JP2000292512A - 磁界センサ - Google Patents

磁界センサ

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JP2000292512A JP11094739A JP9473999A JP2000292512A JP 2000292512 A JP2000292512 A JP 2000292512A JP 11094739 A JP11094739 A JP 11094739A JP 9473999 A JP9473999 A JP 9473999A JP 2000292512 A JP2000292512 A JP 2000292512A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 極めて高感度で小型の磁界センサを提供す
る。 【解決手段】 本発明の磁界センサは、略長方形状の磁
性体コアを有し、当該磁性体コアの長手方向と同一方向
の外部磁界成分を検出する磁界センサであって、前記磁
性体コアの長手方向両端部には高周波電流を通電するた
めの通電部が形成されており、前記磁性体コア周辺近傍
には導体コイルが巻かれ、当該導体コイルを用い、前記
磁界成分を検出できるようになっており、前記磁性体コ
アは、その長手方向が磁化容易軸方向である磁気異方性
を有してなるように構成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は外部磁界を電気信号
に変換する磁界センサ、特に小型の薄膜地磁気センサに
関する。
【0002】
【従来の技術】地磁気のような微小磁界を検出する方法
として、従来から良く知られているのがフラックスゲー
ト磁界センサである。この磁界センサは、1960年代
にアポロ計画において月面探査にも使用された伝統的な
高感度磁気センサである。
【0003】このフラックスゲート磁界センサの動作原
理は、励磁電流を励磁コイルに通電し磁性体が飽和する
ことで、磁性体内を貫通する外部磁束が減少するという
メカニズムで説明されている。すなわち磁気インダクタ
ンス変化を利用したセンサである。このようなフラック
スゲート磁界センサは感度が高く信頼性にも優れている
が、磁気コアが大きく小型化、低価格化が困難なため特
殊用途にのみ使用されるに留まっているのが現状であ
る。
【0004】近年になり20インチ以上の大型CRTの
地磁気補正やカーナビゲーションシステムへの応用が始
まるにつれて、強磁性薄帯や薄膜を用いた小型の磁界セ
ンサが報告されるようになってきている。特に、強磁性
薄帯や薄膜に直接、高周波電流を通電し、それによる磁
界を利用するセンサ素子が注目を集めてきている。この
ような、いわゆる、直接通電では反磁界の影響が無く効
率の高い磁化が実現するというメリットがある。
【0005】例えば、特許番号2617498号には導
電性を有する帯状強磁性体磁気コアにパルス電流を印加
し、磁気コアに巻回された導体巻線からの電気信号で外
部磁界を検出する磁界センサが開示されている。ここで
用いられる磁性体は磁歪がゼロのアモルファスワイヤや
帯状のアモルファス薄帯である。
【0006】また、特開平8ー75835号公報には、
基板上に磁性薄膜を成膜し、その長手方向の両端に、そ
れぞれ電極を設けた磁気インピータンス効果素子が開示
されている。この磁気インピーダンス効果は、当該公開
公報における発明者の一人である毛利佳年雄先生により
提案されたものであるが、長方形または線状の強磁性体
の短辺(幅)方向、円周方向に予め磁気異方性を付与し
ておくことに特徴がある。長手方向からの磁界により、
磁性体の磁化ベクトルが回転し、幅方向の透磁率が上昇
し、それにより表皮効果が増加するために強磁性体のイ
ンピーダンスが増加することを利用している。すなわち
前記のフラックスゲート磁界センサとは全く異なる原理
を利用している。
【0007】さらに、特開平8ー330745号には、
長方形の基板の上面全面に磁性薄膜を形成した磁気イン
ピーダンス効果による磁気検出素子が開示されている。
この場合もやはり前記の公報と同様に、磁気インピーダ
ンス効果を利用するため、磁化容易軸方向、すなわち磁
気異方性は幅方向とし、素子の長手方向である磁界検出
方向は磁化困難軸方向となっていることが重要なポイン
トとされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のように従来公知
の磁気インダクタンス効果を利用するフラックゲート型
磁界センサは、励磁電流を通電しない時に多くの外部磁
束が磁性体に導入していなくてはならない。そのため、
磁気異方性を有する磁性体においては、素子の長手方向
である磁化検出方向を、磁化困難軸方向と一致させる必
要がある。換言すれば、磁気異方性方向である磁化容易
軸方向を、磁化検出方向と直交させる必要がある。この
ようなセンサの機構において、例えば、磁化困難軸方向
が飽和する磁界強度をHkh,磁化容易軸方向が飽和す
る磁界強度をHkeとするとHkh>>Hkeとなる。こ
のため磁気異方性方向を磁化検出方向と直交させると大
きなHkhに相当する磁界を検出するには有利である
が、微少磁界を検出するには、小さなHkhが要求され
ていた。
【0009】また、前記2つの公報で提案されている磁
気インピーダンス効果素子も、従来公知の磁気インダク
タンス素子と構造的には同様であり、磁化検出方向を磁
化困難軸とする必要がある。
【0010】特に、磁性薄膜を磁気コアとして用いる場
合には、Hkhを小さくしようとすると、磁気異方性が
乱れて等方膜に近い特性となってしまい、磁化困難軸の
透磁率が低下し、かつ磁化容易軸の保磁力が増加してし
まうという問題点が生じていた。
【0011】このような実状のもとに本発明は創案され
たものであり、その目的は、上記従来の問題点を解決
し、極めて高感度で小型の磁界センサを提供することに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明の磁界センサは、略長方形状の磁性体
コアを有し、当該磁性体コアの長手方向と同一方向の外
部磁界成分を検出する磁界センサであって、前記磁性体
コアの長手方向両端部には高周波電流を通電するための
通電部が形成されており、前記磁性体コア周辺近傍には
導体コイルが巻かれ、当該導体コイルを用い、前記磁界
成分を検出できるようになっており、前記磁性体コア
は、その長手方向が磁化容易軸方向である磁気異方性を
有してなるように構成される。
【0013】また、本発明の好ましい態様として、前記
磁気異方性の形成の主要因が誘導磁気異方性であるよう
に構成される。
【0014】また、本発明の好ましい態様として、前記
磁性体コアの長さをL、幅をWとした時にこれらの比で
あるL/Wの値が、10以上1000以下であるように
構成される。
【0015】また、本発明の好ましい態様として、前記
磁性体コアは複数個組み合わされ、所定の間隙を空けて
並列配置されており、これらの磁性体コアの実質的な長
手方向両端部には高周波電流を通電するための通電部が
一体的に形成された部分を有し、前記複数の磁性体コア
が実質的に並列、または、かつ直列に接続されるように
構成される。
【0016】また、本発明の好ましい態様として、前記
磁性体コアの膜厚は1〜30μmとして構成される。
【0017】また、本発明の好ましい態様として、前記
磁性体コアは、当該磁性体コアの磁化容易軸方向で測定
された保磁力Hceの値が、0.1Oe以上、3Oe以下であ
るように構成される。
【0018】また、本発明の好ましい態様として、前記
通電部に通電される高周波電流の周波数は、0.1MH
z以上1000MHz以下であるように構成される。
【0019】また、本発明の好ましい態様として、前記
磁性体コアは、非磁性層を中間層として介在させ、少な
くとも上下2層の磁性体層に分かれている多層膜である
ように構成される。
【0020】本発明の磁気インダクタンス効果を利用し
た磁界センサは、略長方形状の磁性体コアを有し、当該
磁性体コアの長手方向と同一方向の外部磁界成分を検出
する磁界センサであって、前記磁性体コアは、その長手
方向が磁化容易軸方向であり、かつ当該磁性体コア長手
方向に0.1MHz以上1000MHz以下の高周波電
流を通電することにより、磁化困難軸方向に高周波励磁
する機構を有し、電流が通電されていない状態と比較し
て、電流が通電されている状態においてより多くの長手
方向の外部磁束を磁性体コア内に導入することができ、
この磁束差により、外部磁界を前記磁性体に巻回された
導体コイルのインダクタンス変化として検出するように
構成される。
【0021】本発明によれば、特に、磁性体コアの長手
方向が磁化容易軸方向であり、かつ磁化検出方向である
ために、磁性体の磁化容易軸方向保磁力程度の小さな磁
界で大きな出力が得られる。さらに、磁化困難軸方向励
磁のための高周波駆動が可能で、これによる高出力化も
同時に実現できる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的実施の形態
について詳細に説明する。
【0023】図1は、本発明の磁界センサ1の好適な一
実施形態を概略的に示した斜視図であり、図2は図1の
A−A方向の断面矢視図である。
【0024】これらの図に示されるように、本発明の磁
界センサは、基板5の上に略長方形状の強磁性体からな
る磁性体コア11,12,13,14を有している。こ
れらの磁性体コア11,12,13,14図示のごとく
一括した状態で導体コイル20が巻回されている。本実
施の形態の場合、4つの磁性体コアは、略長方形状の磁
性体コアを2本ずつ1組として(11と12、13と1
4)、並列かつ直列に接続されている。すなわち、磁性
体コア11,12および磁性体コア13,14の片側端
にはそれぞれ、一体的に接続された通電部41および通
電部42が形成されており、この一方で4つの磁性体コ
アの他方端には、4つのコア端部を一体的に接続した折
り返しのための導電膜60が設けられている。通電部4
1,42は、高周波電流を通電するために形成されてお
り、図示のごとく高周波電源9が接続されるようになっ
ている。
【0025】これらの磁性体コア11,12,13,1
4には磁界検出用の導体コイル20が巻回されている。
導体コイル20は、通常、薄膜コイル20として形成さ
れ、コイルの引き出し部には電極端子51、52が設け
られている。そして、通常、電極端子51、52からワ
イヤーボンダーにより、外部に設けられた電源および信
号処理部へと接続がなされる。もちろん、電極端子5
1、52に半田バンプを設け、基板面を上にしてプリン
ト基板等に実装することも可能である。あるいは、スル
ーホールを有する基体にセンサを形成し、素子面を上に
プリント基板等に実装することも可能である。
【0026】本発明において、上記磁性体コア11,1
2,13,14の磁化容易軸方向(α)は、磁性体コア
の長手方向と同じ方向に設定されており、また、外部磁
界検出方向(Hex)もまた、磁性体コアの長手方向と同
じ方向である。外部磁界の方向が磁性体コアの長手方向
とずれを生じていても、当該コア長手方向と同一方向の
外部磁界成分は検出することができる。
【0027】本発明においては、磁性体コアの通電部4
1、42から高周波電流を通電し、前記強磁性コア1
1,12,13,14に巻回された導体コイル20に発
生する信号を、電極端子51、52から出力として検出
する。
【0028】図1に示されるように、複数の強磁性コア
を組み合わせるとともに、これらを所定の間隙を空けて
並列配置させ、これらの磁性体コアの実質的な長手方向
両端部に高周波電流を通電するための通電部を一体的に
形成させ、前記複数の磁性体コアが実質的に並列、また
は、かつ直列に接続されるよう構成することにより、一
枚の幅広のコアを用いる場合と比べて、反磁場の影響が
小さくなり磁性体コアの実効透磁率が高くなるために高
い出力が得られる。また、磁性体コアの磁区構造も改善
されるためにノイズ成分が小さくなるという効果が発現
する。
【0029】なお、図1に示されるように磁性体コア1
1,12,13,14の両端部における短辺部は、それ
ぞれ鋭角(先端部が尖がった形状)を形成しているが、
このような形態も略長方形状の1つと見なされる。鋭角
を形成させることにより、いわゆる単純な長方形状の磁
性体に比べると、磁区構造が安定し、ノイズを低減させ
る効果が期待できる。すなわち、本発明で言う「略長方
形状」とは、その長さL(図1)がその幅W(図2)よ
りも長い状態を示す。なお、磁性体コアの端部の短辺部
に鋭角を形成している場合の長さLとは全長を指す。1
つの磁性体コアにおいて、上記幅(W)に対する長さ
(L)の比であるL/Wの値は、10以上1000以
下、特に10以上300以下であることが好ましい。L
/Wの値が10未満となると反磁界効果により磁界感度
が低下する。また、L/Wの値が1000を超えると磁
性体コア素子のパターニングが困難となったり、あるい
は素子が長く大型化してしまう。また、1つの導体コイ
ル20に巻回される磁性体コアは1個である必要は無
く、幅の狭い磁性体コアを数本用いることが可能である
(本発明の実施形態)。
【0030】図1における、導体コイル20は、検出用
コイルとして簡略的な巻線コイル形状が描かれている
が、このものは前述したようにいわゆる薄膜プロセスに
基いて形成される薄膜コイル20とすることが好まし
い。図2に薄膜コイル20の断面が部分的に示されてお
り、薄膜コイル(検出用コイル)は、通常、下部コイル
部分21と、上部コイル部分25との結合により形成さ
れる。この場合、磁性体コア11,12,13,14と
の絶縁を図るために、絶縁層71,72が磁性体コアを
囲むように形成されている。
【0031】なお、薄膜コイルを薄膜形成すると同時
に、例えば、銅からなる前記通電部41,42や折り返
しのための導電膜60を形成すれば、製造工程の合理化
が図られる。
【0032】なお、上記の隣接する磁性体コア同士の間
隙は、0.1〜50μm程度とされる。
【0033】本発明で用いられる磁性体コア11,1
2,13,14の材料としてはNiFe、NiFeM
o,CoFe,CoNiFe等の公知の各種の一軸磁気
異方性を示す軟磁性体から選ぶことが出来る。製法は高
速急冷薄帯やバルクの板を用いることが出来るが、特に
好ましくは真空成膜法、めっき法で成膜された薄膜をパ
ターニングした膜厚1μm以上30μm以下の磁性薄膜
である。膜厚が1μm未満では出力が低下してしまう
し、膜厚が30μmを超えると良好な一軸磁気異方性の
付与が困難となってしまう。
【0034】磁性体コア11,12,13,14のそれ
ぞれの長手方向に、一軸磁気異方性を付与する方法とし
ては、誘導磁気異方性または歪み磁気異方性、あるい
は、この両者を複合した方法が好ましい。特に好ましく
は誘導磁気異方性である。これは異方性の方向性管理、
および異方性の値(大きさ)の管理が容易なためである。
【0035】また、磁性体コア11,12,13,14
の磁化容易軸方向の保磁力Hceは0.1Oe以上、3Oe以
下であることが好ましい。保磁力Hceが0.1Oe未満と
なると検出可能な磁界範囲が極めて小さくなってしま
い、また、保磁力Hceが3Oeを超えると磁界感度が低下
してしまう。
【0036】本発明の磁界センサにおいては、磁性体コ
ア11,12,13,14の長手方向に高周波電流を流
す。本発明における高周波電流とは、時間により電流値
が変化する電流の総称であり、サイン波、矩形波、鋸
波、パルス波等のいずれの波形においても用いることが
可能である。周波数はサイン波の場合には、0.1MH
z以上1000MHz以下の周波数が好ましい。このよ
うな周波数の範囲を外れると、いずれの場合においても
出力が低下してしまう。
【0037】本発明の動作原理は従来公知の各種の磁界
センサとは全く異なる。すなわち、従来の磁気インダク
タンス効果を利用する磁界センサは、励磁電流を励磁コ
イルに通電させ磁性体コアが飽和することで、磁性体コ
ア内を貫通する外部磁束が減少するというメカニズムで
あった。これに対して本発明の磁界センサは、その作用
が全く反対となっている。つまり、本発明においては、
略長方形状の磁性体コアの長手方向が磁化容易軸(図1
(α)方向)であり、かつ磁性体コアの長手方向に高周波
電流を通電する機構を有し、電流を通電しない場合(電
流値=0の状態)と比較して、電流を通電した場合によ
り多くの長手方向の外部磁束を磁性体内に導入し、この
磁束差により、外部磁界Hexを前記磁性体に巻回された
コイルのインダクタンス変化として検出することを特徴
とする磁気インダクタンス効果を利用している。
【0038】図3には本発明の磁界センサの異なる実施
の形態が示されている。図3において、4つの磁性体コ
ア11,12,13,14の両端部にはそれぞれ一体的
に接合された通電部41,42が形成されており、各磁
性体コアは、単に並列に接続されており、図1に示され
るような折り返しのための導電膜60は存在していな
い。この場合(図3)には、構造が単純で生産歩留まり
が高いというメリットがあり、また、前記図1の形態で
は、励磁電流による磁束変化が打ち消しあうために検出
コイルに励磁電流による信号が加算されないというメリ
ットがある。
【0039】以下、さらに本発明の構成および作用原理
について従来技術との比較も含めつつ詳細に説明する。
【0040】図4には、略長方形状の磁性体を磁性体コ
アとし、その磁性体コアに巻回されたコイルを有する磁
気素子のインダクタンスが周波数にどのように依存する
かを調べたグラフの一例が示されている。磁性体コアの
長手方向を磁化容易軸とした場合(図中(a)のライ
ン)では、1MHz以上の周波数でインダクタンスが低
下し、10MHzにおいてはインダクタンスが1μH以
下である。これに対して磁性体コアの長手方向を磁化困
難軸とした場合(図中(b)のライン)では、10MH
z以上の高周波においてもインダクタンスは20μHに
維持されている。磁気インダクタンス効果を利用する磁
界センサにおいては、駆動周波数に比例して、出力が得
られる。すなわち高出力を得るためには高周波駆動する
ことが好ましく、そのためには従来公知の磁界センサに
おいては、磁性体の長手方向を磁化困難軸(逆にいえば
長手方向と直交する方向が磁化容易軸)する必要があっ
た。
【0041】これに対して本発明の磁界センサは磁性体
コアの長手方向を磁化容易軸としているが、本発明で
は、さらに、磁性体コアの長手方向に高周波の励磁電流
を通電させる機構を備えている。すなわち、図5に示す
ように磁性体コアに高周波の励磁電流を通電させ、磁化
方向を90度回転させることによりインダクタンスを上
昇させる現象を利用している。前記図4の図中(a)の
ラインに示されるように、励磁電流を通電しない状態で
の10MHzのインダクタンスは1μH以下であるが、
図5に示されるように100mAの通電によりインダク
タンスは20μHにまで上昇していた。そして、さらに
通電状態でのインダクタンスの周波数依存性は、図4の
(b)のラインと全く同じであり、100MHzまで高
い値を示することが本発明者らによって確認されてい
る。すなわち本発明の磁界センサは、磁性体コアの長手
方向を磁化容易軸としているが、高周波駆動が可能であ
ることが分かる。なお、励磁電流は、10〜1000m
Aが好ましく、特に好ましくは100〜300mAであ
る。励磁電流が10mA未満の励磁では磁化方向の移動
が不十分で、1000mAを超えると磁化が強すぎて外
部磁界による変化が小さくなってしまう。
【0042】そして、さらに図5には、磁性体コアの長
手方向を磁化容易軸とした素子(図中(a))に100
mAの励磁電流を印加した状態でのインダクタンスの外
部磁界依存性、および磁性体コアの長手方向を磁化困難
軸とした素子(図中(b))のインダクタンスの外部磁
界依存性を示す。共に外部磁界が印加されない状態(H
ex=0)のインダクタンスは20μHであるが、(a)
素子は微少な外部磁界でインダクタンスが急激に減少す
るのに対して、(b)素子では、ゆるやかに減少する。
図5における示されるA点は、(a)素子の磁化容易軸
方向の飽和磁界Hkeに相当し、B点は(b)素子の磁化
困難軸方向の飽和磁界Hkhに相当する。なお、磁化容易
軸方向において理想的にはHkeは保磁力Hceと完全に一
致するが、実際の素子においては各種の効果によりHke
≧Hceである。
【0043】一軸磁気異方性を有する磁性体において
は、Hce<<Hkhであるために、本発明の磁界センサ
は、極めて高い磁界感度を有する。
【0044】なお、本発明の磁界センサは、単純にコイ
ルからの出力信号を利用するだけでなく、従来公知の磁
界センサで用いられている各種の検出回路を構成するこ
とが可能である。例えば、(1)適当なバイアス磁界を
使用すること、(2)正負の励磁電流に対して得られた
信号の差信号を処理すること、(3)出力信号が一定と
なるようにコイルに電流を印加しその電流値を処理する
こと等である。
【0045】また、本発明の磁界センサで用いられる略
長方形状の強磁性体薄膜(磁性体コア)の磁区構造を安
定化させるために、中間層として非磁性層を設け、上下
の磁性層を磁気的に結合させるように構成することも好
ましい。その際に中間層として導電層を用いることも可
能である。この場合には励磁電流は主として中間に位置
する導電層を流れることになる。さらには磁区安定のた
めに、高保磁力薄膜を長手方向両端部の近傍に形成する
ことも可能である。
【0046】また、本発明の磁界センサは、図2に示さ
れるように公知の有機物、および/または無機物の保護
膜75を最上面に設けることが好ましい。さらに、他の
電子部品同様の樹脂封止の処理をすることも可能であ
る。この場合には、磁性体コアに大きな応力がかからな
いように、樹脂封止をする前に、予め、応力緩和層とし
て封止樹脂とは異なる樹脂で保護層を形成しておくこと
が望ましい。
【0047】また、本発明の磁界センサを2つ組み合わ
せることで、2軸の磁界センサ、3個組み合わせること
で3軸の磁界センサとすることも可能である。この際
に、各センサを構成する磁性体コアの電流が流れる方向
は、互いに直交する配置となる。2軸の場合には、1枚
の基板の表と裏にそれぞれ素子部を形成したり、あるい
は2つのセンサを一枚の基板上に積層して形成したりす
ることも可能である。
【0048】なお、上述してきた本発明の磁界センサ
は、特に好ましくは、薄膜磁気ヘッドと同様の薄膜プロ
セスにより形成される。
【0049】
【実施例】以下に具体的実施例を示し、本発明をさらに
詳細に説明する。 [実験例1] (実施例1〜4、比較例1〜2)
【0050】図3に示されるような磁界サンプルを下記
の要領で作製した。
【0051】具体的サンプルの作製
【0052】表面に酸化皮膜を有するシリコンウエハー
基板5の上に下部コイル21を電気めっき法により形成
した。なお、コイル引き出し線は、下部コイル21作製
時に両端とも作製し、歩留まり向上を図っている。次い
で、熱硬化ノボラック樹脂からなる下部絶縁層71上
に、NiFeMoめっき膜(磁歪ほぼゼロ組成)からな
る磁性体コアを形成した。この磁性体コアの長さLは2
mmに固定し、幅W、膜厚dは下記表1に示す各種の形
状とした。なお、表1において「100×3」とは幅1
00μmの磁性体コアが3個形成され並列に接続されて
いる状態を示す。
【0053】磁性膜形成後に、上部絶縁層72を介して
上部コイル25を形成した。上部コイル25のフォトレ
ジスト露光時には、レジスト膜厚に分布が生じるため補
助露光マスクを用いた。最後に保護層75として絶縁層
を形成し磁界センサとした。
【0054】なお磁性体コアのパターニングは、フォト
レジスト法によりマスクを用いて露光、現像したレジス
トパターンを用い、フレームめっき法またはエッチング
法により形成した。
【0055】なお、実施例1〜実施例4においては、N
iFeMoめっき膜成膜時に、磁性体長手方向に600
Gの直流磁界を印加しながら行い、長手方向に誘導磁気
異方性を付与した。また比較例1においては反対に素子
幅方向に同様の方法で誘導磁気異方性を付与し、比較例
2においては回転磁界中で成膜を行い、見かけ上、等方
膜とした。同様の成膜方法を行った1cmφのめっき膜
の磁気特性(Hce、Hkh)を振動試料型磁力計で評価し
た。
【0056】さらに、完成した磁界センサの磁性体コア
に、周波数5MHzサイン波形高周波電流を印加し、地
磁気(0.3Oe)による出力値を求め、1T(テスラ)
当たりの出力に換算して各サンプル素子を比較した。そ
の結果を表1に示す。
【0057】
【表1】 [実験例2]
【0058】ガラス基板上にポリイミド樹脂を全面に塗
布し350℃で熱硬化処理を行った。熱硬化処理後のポ
リイミドの膜厚は1μmであった。この上にスパッタ下
地膜を用いて、電気めっき法により下部コイル21を形
成した。なお、不要なスパッタ下地膜はアルゴンイオン
ミリングにて除去した。この際、ポリイミド膜が全面に
塗布されているために、ガラス基板がミリングされるこ
とはない。次いで、ノボラック系フォトレジストを用い
て、パターンニングした後、熱硬化処理を行い、上部絶
縁層を形成した。この際に、同一のフォトレジストフレ
ームを用いて、最初にNiFeを2μm、次ぎに銅を1
μm、さらにNiFeを2μm成膜し、3層構造とし
た。この際に、永久磁石により磁性体コアの長手方向に
磁場を印加しながら成膜を行い、誘導磁気異方性を長手
方向に付与した。磁気コア寸法は等は実施例1と同様と
した。磁気コアの上に下部絶縁層と同様な手法で上部絶
縁層を設け、さらにこの上に下部コイルと同様な手法で
上部コイルを設けた。また、本素子は、ウエハーから切
断後、励磁電流発生回路、信号処理回路が設けられてい
る半導体基板の所定のパッドとワイヤーボンダーによ
り、電気的に接続させ、さらにエポキシ樹脂により、半
導体基板との一体化モジュールとして評価を進めた。そ
の結果、この磁界センサモジュールにおいては、前記実
施例1と同等の出力であったが、ノイズ成分が50%低
減したこと、すなわち、信号/ノイズの比であるS/N
では2倍の改善がなされたことが確認できた。
【0059】
【発明の効果】上記の結果より本発明の効果は明らかで
ある。すなわち、本発明の磁界センサは、略長方形状の
磁性体コアを有し、当該磁性体コアの長手方向と同一方
向の外部磁界成分を検出する磁界センサであって、前記
磁性体コアの長手方向両端部には高周波電流を通電する
ための通電部が形成されており、前記磁性体コア周辺近
傍には導体コイルが巻かれ、当該導体コイルを用い、前
記磁界成分を検出できるようになっており、前記磁性体
コアは、その長手方向が磁化容易軸方向である磁気異方
性を有してなるように構成されているので、従来のセン
サと比べて、極めて高感度となり、しかも小型化が図れ
るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁界センサの好適な一例を概略的に示
した斜視図である。
【図2】図1のA−A断面矢視図である。
【図3】本発明の磁界センサの好適な一例を概略的に示
した斜視図である。
【図4】一軸磁気異方性を示す磁性体コアを用いた素子
のインダクタンスの周波数特性を示すグラフである。
【図5】本発明の磁界センサの励磁電流に対するインダ
クタンス変化を示すグラフである。
【図6】本発明の磁界センサ(ライン(a))と従来の磁
界センサ(ライン(b))のインダクタンスの外部磁界
依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…磁界センサ 5…基板 9…高周波電源 11、12、13、14…磁性体コア 20…導体コイル 41,42…通電部 51、52…電極端子
フロントページの続き (72)発明者 山岡 英彦 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 2G017 AA01 AD04 AD05 AD42 AD51 AD63 AD65 BA03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略長方形状の磁性体コアを有し、当該磁
    性体コアの長手方向と同一方向の外部磁界成分を検出す
    る磁界センサにおいて、 前記磁性体コアの長手方向両端部には高周波電流を通電
    するための通電部が形成されており、前記磁性体コア周
    辺近傍には導体コイルが巻かれ、当該導体コイルを用
    い、前記磁界成分を検出できるようになっており、 前記磁性体コアは、その長手方向が磁化容易軸方向であ
    る磁気異方性を有してなることを特徴とする磁界セン
    サ。
  2. 【請求項2】 前記磁気異方性の形成の主要因が誘導磁
    気異方性である請求項1に記載の磁界センサ。
  3. 【請求項3】 前記磁性体コアの長さをL、幅をWとし
    た時にこれらの比であるL/Wの値が、10以上100
    0以下である請求項1または請求項2に記載の磁界セン
    サ。
  4. 【請求項4】 前記磁性体コアは複数個組み合わされ、
    所定の間隙を空けて並列配置されており、これらの磁性
    体コアの実質的な長手方向両端部には高周波電流を通電
    するための通電部が一体的に形成された部分を有し、前
    記複数の磁性体コアが実質的に並列、または、かつ直列
    に接続されている請求項1ないし請求項3のいずれかに
    記載の磁界センサ。
  5. 【請求項5】 前記磁性体コアの膜厚が1〜30μmで
    ある請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の磁界セ
    ンサ。
  6. 【請求項6】 前記磁性体コアは、当該磁性体コアの磁
    化容易軸方向で測定された保磁力Hceの値が、0.1Oe
    以上、3Oe以下である請求項1ないし請求項5のいずれ
    かに記載の磁界センサ。
  7. 【請求項7】 前記通電部に通電される高周波電流の周
    波数が、0.1MHz以上1000MHz以下である請
    求項1ないし請求項6のいずれかに記載の磁界センサ。
  8. 【請求項8】 前記磁性体コアは、非磁性層を中間層と
    して介在させ、少なくとも上下2層の磁性体層に分かれ
    ている多層膜である請求項1ないし請求項7のいずれか
    に記載の磁界センサ。
  9. 【請求項9】 略長方形状の磁性体コアを有し、当該磁
    性体コアの長手方向と同一方向の外部磁界成分を検出す
    る磁界センサにおいて、 前記磁性体コアは、その長手方向が磁化容易軸方向であ
    り、かつ当該磁性体コア長手方向に0.1MHz以上1
    000MHz以下の高周波電流を通電することにより、
    磁化困難軸方向に高周波励磁する機構を有し、電流が通
    電されていない状態と比較して、電流が通電されている
    状態においてより多くの長手方向の外部磁束を磁性体コ
    ア内に導入することができ、この磁束差により、外部磁
    界を前記磁性体に巻回された導体コイルのインダクタン
    ス変化として検出することを特徴とする磁気インダクタ
    ンス効果を利用した磁界センサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006518845A (ja) * 2003-02-24 2006-08-17 コミサリヤ・ア・レネルジ・アトミク 小型磁場センサ
JP2013008283A (ja) * 2011-06-27 2013-01-10 Panasonic Corp 建具用施解錠検出装置
WO2014034143A1 (ja) * 2012-08-31 2014-03-06 パナソニック株式会社 施解錠検出装置

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