JP2000292254A - 赤外線吸収体及びこの赤外線吸収体を用いた熱型赤外線センサ - Google Patents

赤外線吸収体及びこの赤外線吸収体を用いた熱型赤外線センサ

Info

Publication number
JP2000292254A
JP2000292254A JP11104304A JP10430499A JP2000292254A JP 2000292254 A JP2000292254 A JP 2000292254A JP 11104304 A JP11104304 A JP 11104304A JP 10430499 A JP10430499 A JP 10430499A JP 2000292254 A JP2000292254 A JP 2000292254A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
infrared
metal thin
thin film
absorber
infrared absorber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11104304A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3608427B2 (ja
Inventor
Kenji Sakurai
顕治 櫻井
Fumihiko Sato
文彦 佐藤
Masakazu Shiiki
正和 椎木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Omron Corp
Original Assignee
Omron Corp
Omron Tateisi Electronics Co
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Omron Corp, Omron Tateisi Electronics Co filed Critical Omron Corp
Priority to JP10430499A priority Critical patent/JP3608427B2/ja
Publication of JP2000292254A publication Critical patent/JP2000292254A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3608427B2 publication Critical patent/JP3608427B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)
  • Radiation Pyrometers (AREA)
  • Solid State Image Pick-Up Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 赤外線吸収率が高く、且つ高速応答性を持
ち、低コストで生産が容易な赤外線吸収体を提供する。 【解決手段】 外部からの入射赤外線のエネルギーを熱
に変換するための赤外線吸収体Fであって、2つの金属
薄膜1、2を有し、第1の金属薄膜1と第2の金属薄膜
2との間に絶縁膜3を介在させて、第1及び第2の金属
薄膜1、2間を絶縁すると共に、第1及び第2の金属薄
膜1、2を熱的に接続した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤外線吸収体及び
この赤外線吸収体を用いた熱型赤外線センサに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】赤外線吸収体は熱型赤外線センサに多く
用いられており、外部からの入射赤外線エネルギーを赤
外線吸収体により熱に変換し、その熱を熱型赤外線セン
サにより電気信号に変換している。
【0003】従来、この入射赤外線を熱に変換するため
の赤外線吸収体には、金属を電気が流れない程度の厚
さで蒸着する方法で形成されたものや、金黒、カー
ボンペースト塗布膜、白金などをメッキにより被膜す
る方法で形成されたものがある。
【0004】は、金属薄膜の膜厚を電気が流れない程
度の膜厚にすると、金属薄膜に赤外線を入射した時、金
属薄膜中の電子が振動し、そのエネルギーが熱に変換さ
れる。この金属薄膜の赤外線吸収率は、赤外線反射率お
よび透過率が等しくなる膜厚で最大となり、最大値は理
論的にはO.5(50%)と低い。しかし、通常の蒸着
装置があれば簡単に製造でき、熱容量が小さいため応答
速度が速いという利点がある(文献名:Zeitsch
rift fur Physik,巻号:vol91,
pp230〜251、出版年:1934参照)。
【0005】図10及び図11に示すように、金属を
電気が流れない程度の厚さで蒸着する方法で形成された
赤外線吸収体9は、熱型赤外線センサ(サーモパイルセ
ンサ)のセンサチップGの受光部分を形成している。こ
のセンサチップGは、シリコン製の半導体基板10上に
メンブレン11を結合して構成してある。そして、図1
2に示すように、メンブレン11は一方の誘電薄膜12
上に形成した複数個(11個)の熱電対(サーモパイ
ル)13を直列に接続し、且つこれらの複数個の熱電対
13を十字状に配置して各熱電対13の温接点部(測温
接点)14を中心側に配し各熱電対13の冷接点部(基
準接点)15を外側に配し、且つ2つの端子部16、1
7を形成し、これらの熱電対13を他方の誘電薄膜18
で被覆して構成してある。
【0006】そして、熱電対13は異種金属、例えばB
i製の線材19とSb製の線材20とから構成してあ
り、温接点部14及び冷接点部15は両線材19、20
を重ね合わせて構成してある。
【0007】そして、受光部分である赤外線吸収体9の
形成はメンブレン11上に金属薄膜を蒸着することによ
り行われる。
【0008】
【発明が解決しようとじている課題】吸収効率の良い材
料としては、金黒、カーボンペースト塗布膜、メ
ッキによる白金被膜などがあるが、金黒を形成するた
めには低真空蒸着機が必要であり、形成した赤外線吸収
体は強度が弱いという問題点があった。
【0009】また、カーボンペースト塗布膜は赤外線
センサ上のパタ−ニングが容易であるが、赤外線センサ
を形成する基材(Si)を異方性エッチングするための
薬液に対する耐薬品性がないために生産が困難になると
いう問題点があった。
【0010】また、メッキによる白金被膜も同様に専
用の装置が必要となり、その材料が高価であるという問
題点があった。
【0011】また、これらの材料は熱容量が大きいた
め、金属薄膜に比べて応答速度が遅くなるという問題点
もあった。(金属薄膜を赤外線吸収体に用いた場合、時
定数は、金黒、樹脂材料を用いたものの約半分であ
る)。
【0012】また、金属を電気が流れない程度の厚さ
で蒸着する方法で形成された赤外線吸収体9にあって
は、その金属薄膜の生産が容易であって、低コストで形
成できるが、赤外線吸収率は0.5(50%)と低い。
赤外線吸収率の高い他の赤外線吸収体を形成するには専
用の装置が必要であったり、材料のコストが高いなどの
問題点があった。
【0013】本発明は上記の問題点に着目して成された
ものであって、その第1の目的とするところは、赤外線
吸収率が高く、且つ高速応答性を持ち、低コストで生産
が容易な赤外線吸収体を提供することにある。
【0014】また、本発明の第2の目的とするところ
は、赤外線吸収率が高く、且つ高速応答性を持ち、低コ
ストで生産が容易な赤外線吸収体を用いた熱型赤外線セ
ンサを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の第1の目的を達成
するために、請求項1の発明に係る赤外線吸収体は、外
部からの入射赤外線のエネルギーを熱に変換するための
赤外線吸収体であって、少なくとも2つ以上の金属薄膜
を有し、且つその隣り合う金属薄膜間に絶縁膜を介在さ
せて多層構造にしたものである。
【0016】かかる構成により、隣り合う金属薄膜間を
絶縁すると共に、隣り合う金属薄膜を熱的に接続するこ
とが可能になり、隣り合う金属薄膜のうち、一方の金属
薄膜を透過した赤外線は、他方の金属薄膜で吸収でき、
他方の金属薄膜で反射した赤外線を一方の金属薄膜で吸
収できるために、単層時の金属薄膜に比べより多くの赤
外線を吸収することができる。このように赤外線吸収率
が高く、且つ高速応答性を持ち、低コストで生産が容易
な赤外線吸収体を提供することができる。
【0017】また、上記の第1の目的を達成するため
に、請求項2の発明に係る赤外線吸収体は、外部からの
入射赤外線のエネルギーを熱に変換するための赤外線吸
収体であって、少なくとも2つ以上の金属薄膜を有し、
且つその隣り合う金属薄膜間に絶縁膜を介在させて多層
構造にし、この多層構造における最終段の金属薄膜は、
その赤外線透過率よりも赤外線反射率を大きくし、最終
段の金属薄膜以外の金属薄膜は、その赤外線反射率より
も赤外線透過率を大きくしたものである。
【0018】かかる構成により、隣り合う金属薄膜間を
絶縁すると共に、隣り合う金属薄膜を熱的に接続するこ
とが可能になり、隣り合う金属薄膜のうち、一方の金属
薄膜を透過した赤外線は、他方の金属薄膜で吸収でき、
他方の金属薄膜で反射した赤外線を一方の金属薄膜で吸
収できるために、単層時の金属薄膜に比べより多くの赤
外線を吸収することができる。
【0019】しかも、多層構造における最終段の金属薄
膜は、その赤外線透過率よりも赤外線反射率を大きく
し、最終段の前記金属薄膜以外の金属薄膜は、その赤外
線反射率よりも赤外線透過率を大きくしてあるために、
より多くの赤外線が最終段の金属薄膜に到達し、この最
終段の金属薄膜はより多くの赤外線を反射し、反射光は
再び最終段の金属薄膜以外の金属薄膜で吸収されて、赤
外線吸収率が向上する。例えば、2層構造の赤外線吸収
体であれば、赤外線吸収率は0.5(単層時)から0.
7に向上するし、3層構造の赤外線吸収体であれば、赤
外線吸収率は0.5(単層時)から0.8に向上する。
【0020】また、上記の第1の目的を達成するため
に、請求項3の発明に係る赤外線吸収体は、外部からの
入射赤外線のエネルギーを熱に変換するための赤外線吸
収体であって、一方の金属薄膜と他方の金属薄膜との間
に絶縁膜を介在させ、且つ赤外線の入射方向に、一方の
金属薄膜と他方の金属薄膜とをこの順序で配置し、他方
の金属薄膜の面積を一方の金属薄膜の面積より大きくし
て、他方の金属薄膜に赤外線の直接入射箇所を設けたも
のである。
【0021】かかる構成により、請求項1の発明の作用
効果と同様な作用効果を奏し得るばかりか、他方の金属
薄膜の面積は一方の金属薄膜の面積より大きくしてあ
り、一方の金属薄膜が他方の金属薄膜を覆っていない赤
外線の直接入射箇所では、入射赤外線を直接に他方の金
属薄膜で吸収し、また、他方の金属薄膜による入射赤外
線の反射光のうち垂直でない方向の反射光をより多く一
方の金属薄膜に入射することができる。このために、単
層時の金属薄膜に比べより多くの赤外線を吸収できる。
【0022】また、上記の第2の目的を達成するため
に、請求項4の発明に係る熱型赤外線センサは、赤外線
吸収体を、少なくとも2つ以上の金属薄膜を有し且つそ
の隣り合う金属薄膜間に絶縁膜を介在させて多層構造に
構成し、この多層構造における最終段の金属薄膜の赤外
線透過率よりも赤外線反射率を大きくすると共に、最終
段の金属薄膜以外の金属薄膜は、その赤外線反射率より
も赤外線透過率を大きくし、赤外線吸収体を受光部にし
たものである。
【0023】かかる構成により、赤外線吸収体の一方の
金属薄膜を透過した赤外線を、他方の金属薄膜で吸収で
き、他方の金属薄膜で反射した赤外線を一方の金属薄膜
で吸収できるため、単層時の金属薄膜に比べより多くの
赤外線を吸収できる。このように吸収率の増加に比例し
てセンサ出力が向上するために、感度が向上し、周囲の
温度のふらつきによる雑音も軽減できるためにセンサの
精度が向上する。このように、赤外線吸収率が高く、且
つ高速応答性を持ち、低コストで生産が容易な赤外線吸
収体を用いた熱型赤外線センサを提供することができ
る。
【0024】しかも、多層構造における最終段の金属薄
膜は、その赤外線透過率よりも赤外線反射率を大きく
し、最終段の前記金属薄膜以外の金属薄膜は、その赤外
線反射率よりも赤外線透過率を大きくしてあるために、
より多くの赤外線が最終段の金属薄膜に到達し、この最
終段の金属薄膜はより多くの赤外線を反射し、反射光は
再び最終段の金属薄膜以外の金属薄膜で吸収されて、赤
外線吸収率が向上する。例えば、2層構造の赤外線吸収
体であれば、赤外線吸収率は0.5(単層時)から0.
7に向上するし、3層構造の赤外線吸収体であれば、赤
外線吸収率は0.5(単層時)から0.8に向上する。
【0025】また、上記の第2の目的を達成するため
に、請求項5の発明に係る熱型赤外線センサは、赤外線
吸収体を、一方及び他方の金属薄膜を有し且つ一方の金
属薄膜と他方の金属薄膜との間に絶縁膜を介在させて構
成し、この赤外線吸収体を受光部にしたものである。
【0026】かかる構成により、赤外線吸収体の一方の
金属薄膜を透過した赤外線を、他方の金属薄膜で吸収で
き、他方の金属薄膜で反射した赤外線を一方の金属薄膜
で吸収できるため、単層時の金属薄膜に比べより多くの
赤外線を吸収できる。このように吸収率の増加に比例し
てセンサ出力が向上するために、感度が向上し、周囲の
温度のふらつきによる雑音も軽減できるために、センサ
の精度が向上する。また、熱型赤外線センサが安価に製
造可能になる。このように、赤外線吸収率が高く、且つ
高速応答性を持ち、低コストで生産が容易な赤外線吸収
体を用いた熱型赤外線センサを提供することができる。
【0027】また、上記の第2の目的を達成するため
に、請求項6の発明に係る熱型赤外線センサは、請求項
5に記載の熱型赤外線センサにおいて、絶縁膜が、熱電
対を誘電薄膜に封入したメンブレンである。
【0028】かかる構成により、請求項5の発明の作用
効果と同様な作用効果を奏し得るばかりか、一方の金属
薄膜をメンブレンの一方の面に形成し、他方の金属薄膜
をメンブレンの他方の面に形成することにより絶縁膜を
無くすことができて、熱型赤外線センサの受光部の構成
を簡略化することができる。
【0029】また、上記の第2の目的を達成するため
に、請求項7の発明に係る熱型赤外線センサは、赤外線
吸収体を、少なくとも2つ以上の金属薄膜を有し且つそ
の隣り合う金属薄膜間に絶縁膜を介在させた多層構造の
部分赤外線吸収部で構成し、当該部分赤外線吸収部を感
温部上にのみに形成して受光部にしたものである。
【0030】かかる構成により、請求項5の発明の作用
効果と同様な作用効果を奏し得るばかりか、サーモパイ
ルセンサのように受光部が感温部、すなわち温接点部上
にのみでよい場合、温接点部上に部分赤外線吸収部を形
成することで、受光部全体の熱容量を小さくでき、その
結果、応答速度が早くなる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参
照して詳細に説明する。
【0032】(実施の形態例1)本発明に係る赤外線吸
収体の実施の形態例1を図1乃至図3に示す。図1は本
発明に係る赤外線吸収体(実施の形態例1)を用いた熱
型赤外線センサのセンサチップの平面図、図2は同セン
サチップの縦断面図、図3は本発明に係る赤外線吸収体
(実施の形態例1)の作用説明図である。
【0033】本発明に係る赤外線吸収体Fは、一方の金
属薄膜である第1の金属薄膜1と、他方の金属薄膜であ
る第2の金属薄膜2と、これら第1、第2の金属薄膜
1、2間に介装された絶縁膜3とから構成してあり、第
1、第2の金属薄膜1、2は熱的に結合し、電気的には
接触しない構造にしてある。
【0034】第1、第2の金属薄膜1、2としては、例
えばAuの薄膜が用いられており、絶縁膜3としては、
赤外線を吸収しやすい性質を有するもの、例えば、酸化
シリコン(SiO2 )が用いられる。そして、第1、第
2の金属薄膜1、2の膜厚は、単層での吸収率が最大
0.5(50%)となる膜厚にしてある(Auを用いた
場合、膜厚は約170Åにしてある(文献名:Abso
rbing Layers thcrmal Infr
ared Detectors、p635〜638参
照)。
【0035】また、ここで用いた絶縁膜3は酸化シリコ
ン(SiO2 )などのように赤外線の透過率が高いもの
であって、その膜厚も、第1、第2の金属薄膜1、2の
膜厚程度にしてある。
【0036】次に、上記のように構成された赤外線吸収
体Fの赤外線吸収の挙動を、図3を参照して説明する。
【0037】第1の金属薄膜1による赤外線透過光をD
1、第1の金属薄膜1による赤外線反射光をR1、赤外
線透過光D1のうち第2の金属薄膜2による赤外線透過
光をD2、赤外線透過光D1のうち第2の金属薄膜2に
よる赤外線反射光をR2、赤外線反射光R2のうち第1
の金属薄膜1による赤外線透過光をD3、赤外線反射光
R2のうち第1の金属薄膜1による赤外線反射光をR3
とした場合において、赤外線入射光イを(≒1)とする
と、第1の金属薄膜1に吸収された赤外線吸収光A1
は、 A1≒{1−(D1+R1)}+{R2−(D3+R
3)} である。この場合。{1−(D1+R1)}は直接入射
した赤外線入射光であり、{R2−(D3+R3)}は
第2の金属薄膜2による赤外線反射光である。
【0038】また、第2の金属薄膜2により吸収された
赤外線吸収光A2は、 A2≒D1−(D2+R2) である。
【0039】よって、赤外線吸収体Fのトータル吸収量
Aは、 A=A1+A2=1−(D2+D3+R1+R3) となる。
【0040】そして、赤外線吸収体Fにおいて、入射赤
外線量を100%とすると、まず赤外線吸収体Fに到達
した赤外線イは、第1の金属薄膜1により50%が吸収
される。残りの50%の赤外線イは第1の金属薄膜1に
より25%が赤外線反射光(R1)として反射され、残
り25%は赤外線透過光(D1)として透過される。
【0041】赤外線透過光(D1)は第2の金属薄膜2
に到達し、12.5%が吸収(A2)される。さらに、
約6%の赤外線が第2の金属薄膜2で反射(R2)さ
れ、第1の金属薄膜1によりさらに約3%の赤外線が吸
収される。
【0042】このように、赤外線の赤外線吸収体Fによ
る反射を1回反射まで考えても、2層構造では、赤外線
入射量のうち約65%が吸収され、従来の単層での赤外
線の吸収率50%の約1.3倍となる。
【0043】ここでは、第1、第2の金属薄膜1、2を
同じ膜厚で形成したが、それぞれの膜厚が違ってもよ
い。また、面積も同じでなくてもよい。また、赤外線吸
収体Fは3層以上の多層構造でもよい。上記した本発明
の実施の形態例1と同様な赤外線吸収体Fを3層構造と
して計算すると、赤外線の吸収は約70%となり、単層
の吸収率50%の約1.4倍になる。また、各層の赤外
線吸収率、反射率、透過率を、[表1]のように設計す
れば吸収率が最大となる。
【0044】
【表1】
【0045】上記のように構成された赤外線吸収体F
は、熱型赤外線センサ(サーモパイルセンサ)のセンサ
チップGの受光部分を形成している。このセンサチップ
Gはシリコン製の半導体基板10上にメンブレン11を
結合して構成してある。このメンブレン11は一方の誘
電薄膜12上に形成した複数個(11個)の熱電対(サ
ーモパイル)13を直列に接続し、且つこれら複数個の
熱電対13を十字状に配置して各熱電対13の温接点部
(測温接点)14を中心側に配し各熱電対13の冷接点
部(基準接点)15を外側に配し、且つ2つの端子部1
6、17を形成し、これらの熱電対13を他方の誘電薄
膜18で被覆して構成してある(図12参照)。
【0046】そして、熱電対13は異種金属、例えばB
i製の線材19とSb製の線材20とから構成してあ
り、温接点部14及び冷接点部15は両線材19、20
を重ね合わせて構成してある。
【0047】そして、受光部分である赤外線吸収体Fの
形成はメンブレン11上に第2の金属薄膜2を蒸着など
によりAuなどで形成し、その上にSiO2 などの絶
縁膜3を形成し、さらに、その上に第1の金属薄膜1を
蒸着などによりAuなどで形成して行われている。この
場合、センサチップGの各熱電対13の温接点部14が
赤外線吸収体Fに覆われている。
【0048】したがって、受光部分である赤外線吸収体
Fは上記したように2層構造では、赤外線入射量のうち
約65%を吸収する。この赤外線吸収体Fが吸収した赤
外線の熱エネルギーはセンサチップGの各熱電対13の
温接点部14を加熱し、温接点部(測温接点)14と冷
接点部(基準接点)15との間に温度差を与えて各熱電
対13に起電力を生じさせる。これらの起電力を端子部
16、17より取出して、物体から放射される熱放射エ
ネルギーを測定する。
【0049】上記した本発明の実施の形態例1によれ
ば、赤外線吸収体Fは、第1の金属薄膜1と第2の金属
薄膜2との間に絶縁膜3を介在させて、第1、第2の金
属薄膜1、2間を絶縁すると共に、第1、第2の金属薄
膜1、2を熱的に接続することが可能になり、第1の金
属薄膜1を透過した赤外線は、第2の金属薄膜2で吸収
でき、第2の金属薄膜2で反射した赤外線を第1の金属
薄膜1で吸収できるため、単層時の金属薄膜に比べより
多くの赤外線を吸収できる。
【0050】また、上記したセンサチップGを用いた熱
型赤外線センサは、赤外線吸収体Fの第1の金属薄膜1
を透過した赤外線を、第2の金属薄膜2で吸収でき、第
2の金属薄膜2で反射した赤外線を第1の金属薄膜1で
吸収できるため、単層時の金属薄膜に比べより多くの赤
外線を吸収できる。
【0051】このように吸収率の増加に比例してセンサ
出力が向上するために、感度が向上し、周囲の温度のふ
らつきによる雑音も軽減できるために、センサの精度が
向上する(外乱である周囲温度の影響が小さくなる)。
また、熱型赤外線センサが安価に製造可能になる。
【0052】また、絶縁膜3の膜厚と第1、第2の金属
薄膜1、2との膜厚を同程度にすることにより、熱型赤
外線センサの赤外線吸収エリアの熱容量(H)の増加及
び熱伝導率(G)の低下を最小限にすることができて、
応答速度(τ=H/G)を赤外線吸収体が単層の場合と
同じにできる。
【0053】また、絶縁膜3は、赤外線透過率が高く、
熱容量の小さい材料で構成すると、この絶縁膜3による
吸収損失を最小限にできるし、この絶縁膜3の吸収損失
を無視できるために設計が容易になる。
【0054】また、赤外線吸収体Fを2層構造とし、第
1の金属薄膜1は赤外線反射率よりも赤外線透過率を多
くし、第2の金属薄膜2は赤外線透過率よりも赤外線反
射率を大きくすることは可能である。
【0055】この場合、より多くの赤外線が第2の金属
薄膜2に到達するようになるし、また、第2の金属薄膜
2は透過よりも反射が多くなるため、より多くの赤外線
を反射し、赤外線反射光は再び第1の金属薄膜1で吸収
される。その結果、赤外線吸収率は最大で0.5(50
%)(単層時)→0.7(70%)に向上する(表1参
照)。
【0056】また、赤外線吸収体Fを3層以上の多層構
造とし、最終段の金属薄膜以外は赤外線反射率よりも赤
外線透過率を多くし、最終段の金属薄膜は赤外線透過率
よりも赤外線反射率を大きくすることも可能である。
【0057】この場合、膜構成を多くするほど赤外線吸
収率は向上する。3層構成で赤外線吸収率は最大で0.
5(50%)(単層時)→0.8(80%)に向上する
(表1参照)。
【0058】(実施の形態例2)本発明に係る赤外線吸
収体の実施の形態例2を図4及び図5に示す。図4は本
発明に係る赤外線吸収体(実施の形態例2)を用いた熱
型赤外線センサのセンサチップの平面図、図5は同セン
サチップの縦断面図である。なお、上記した本発明の実
施の形態例1と同じ部品には同じ符号を付す。
【0059】本発明の実施の形態例2では、赤外線吸収
体F−1を、メンブレン11の他方の誘電薄膜18上に
第1の金属薄膜1を蒸着などによりAuなどで形成し、
メンブレン11の一方の誘電薄膜12に第2の金属薄膜
2を蒸着などによりAuなどで形成して構成し、本発明
の実施の形態例1における絶縁膜3を無くしたものであ
る。この場合、熱型赤外線センサのセンサチップGの各
熱電対13の温接点部14が赤外線吸収体F−1の第
1、第2の金属薄膜1、2に覆われている。そして、こ
の赤外線吸収体F−1は熱型赤外線センサ(サーモパイ
ルセンサ)の受光部分を形成している。
【0060】このように構成された赤外線吸収体F−1
の赤外線吸収の挙動は、本発明の実施の形態例1の赤外
線吸収体Fの場合と同様である。この場合、熱電対13
の配線部分の占める割合が小さいので、この配線部分の
熱的な損失は微小である。
【0061】また、受光部分である赤外線吸収体F−1
は、2層構造では、赤外線入射量のうち約65%が吸収
する。この赤外線吸収体F−1が吸収した赤外線の熱エ
ネルギーは熱型赤外線センサのセンサチップGの各熱電
対13の温接点部14を加熱し、温接点部(測温接点)
14と冷接点部(基準接点)15との間に温度差を与え
て各熱電対13に起電力を生じさせる。これらの起電力
を端子部16、17より取出して、物体から放射される
熱放射エネルギーを測定する。
【0062】上記した本発明の実施の形態例2によれ
ば、赤外線吸収体F−1を、第1の金属薄膜1をメンプ
レン11の他方の誘電薄膜18上に形成し、第2の金属
薄膜2をメンプレン11の一方の誘電薄膜12上に形成
して構成することにより、絶縁膜3を無くすことでき
て、熱型赤外線センサGの受光部の構成を簡略化するこ
とができる。
【0063】(実施の形態例3)本発明に係る赤外線吸
収体の実施の形態例3を図6及び図7に示す。図6は本
発明に係る赤外線吸収体(実施の形態例3)を用いた熱
型赤外線センサのセンサチップの平面図、図7は同セン
サチップの縦断面図である。なお、上記した本発明の実
施の形態例1と同じ部品には同じ符号を付す。
【0064】本発明の実施の形態例3では、赤外線吸収
体F−2は、熱型赤外線センサのセンサチップGの感温
部、すなわち、各熱電対13の温接点部14上のみに形
成された部分赤外線吸収部4を有している。この部分赤
外線吸収部4の構成は本発明の実施の形態例1における
赤外線吸収体Fと同構成であって、金属薄膜の2層構造
にしてある。すなわち、部分赤外線吸収部4は第1、第
2の金属薄膜1、2と、これら第1、第2の金属薄膜
1、2間に介装された絶縁膜3とから構成してあり、第
1、第2の金属薄膜1、2は熱的に結合し、電気的には
接触しない構造にしてある。第1、第2の金属薄膜1、
2としては、例えばAuの薄膜が用いられており、絶縁
膜3としては、赤外線を吸収しやすい性質を有するも
の、例えば、酸化シリコン(SiO2 )が用いられる。
【0065】第1、第2の金属薄膜1、2の膜厚は、単
層での吸収率が最大0.5(50%)となる膜厚とする
(Auを用いた場合、膜厚は約170Åにしてあ
る。)。また、ここで用いた絶縁膜3は酸化シリコン
(SiO2 )などのように赤外線の透過率が高いもので
あり、その膜厚も、第1、第2の金属薄膜1、2の膜厚
程度にしてある。
【0066】そして、赤外線吸収体F−2の赤外線吸収
の挙動は、各熱電対13の温接点部14上のみにおい
て、本発明の実施の形態例1に場合と同様である。
【0067】上記した本発明の実施の形態例3によれ
ば、サーモパイルセンサのように受光部が感温部、すな
わち温接点部14上にのみでよい場合、温接点部14上
に部分赤外線吸収部4を形成することで、受光部全体の
熱容量を小さくでき、その結果、応答速度が早くなる。
【0068】(実施の形態例4)本発明に係る赤外線吸
収体の実施の形態例4を図8及び図9に示す。図8は本
発明に係る赤外線吸収体(実施の形態例4)の断面図、
図9は同赤外線吸収体を用いた熱型赤外線センサの縦断
面図である。なお、上記した本発明に係る赤外線吸収体
の実施の形態例1と同じ部品には同じ符号を付す。
【0069】本発明に係る赤外線吸収体F−3を用いた
センサチップGをセンサパッケージ31に収容して熱型
赤外線センサSを構成した場合、このセンサパッケージ
31に設けた窓部32の大きさから入射赤外線の範囲は
2θである。
【0070】そして、赤外線吸収体F−3の構成は、金
属薄膜の2層構造にしてある。すなわち、赤外線吸収体
F−3は第1、第2の金属薄膜1、2と、これら第1、
第2の金属薄膜1、2間に介装された絶縁膜3とから構
成してあり、第1、第2の金属薄膜1、2は熱的に結合
し、電気的には接触しない構造にしてある。第1、第2
の金属薄膜1、2としては、例えばAuの薄膜が用いら
れており、絶縁膜3としては、赤外線を吸収しやすい性
質を有するもの、例えば、酸化シリコン(SiO 2
)が用いられる。
【0071】第1、第2の金属薄膜1、2の膜厚は、単
層での吸収率が最大0.5(50%)となる膜厚とする
(Auを用いた場合、膜厚は約170Åにしてあ
る。)。また、ここで用いた絶縁膜3は酸化シリコン
(SiO2 )などのように赤外線の透過率が高いもので
あり、その膜厚も、第1、第2の金属薄膜1、2の膜厚
程度にしてある。
【0072】そして、赤外線の入射方向に、第1の金属
薄膜1と第2の金属薄膜2とが、この順序で配置してあ
って、第2の金属薄膜2の面積は第1の金属薄膜1の面
積より大きくしてある。このために、第1の金属薄膜1
が第2の金属薄膜2を覆っていない直接入射箇所2Aが
生じている。
【0073】このような赤外線吸収体F−3の構成にお
いて、赤外線入射光には、図8に示すように第1、第2
の金属薄膜1、2に入射する赤外線入射光aと、第2の
金属薄膜2に直接入射して、その赤外線反射光が第1の
金属薄膜1に入射する赤外線入射光bと、第2の金属薄
膜2に直接入射する赤外線入射光cとが存在する。
【0074】赤外線入射光aの場合は、本発明の実施の
形態例1に場合と同様であって、図3に示すように入射
赤外線量を100%とすると、まず赤外線吸収体F−3
に到達した赤外線イは、第1の金属薄膜1により50%
が吸収される。残りの50%の赤外線イは第1の金属薄
膜1により25%が赤外線反射光(R1)として反射さ
れ、残り25%は赤外線透過光(D1)として透過され
る。
【0075】赤外線透過光(D1)は第2の金属薄膜2
に到達し、12.5%が吸収(A2)される。さらに、
約6%の赤外線が第2の金属薄膜2で反射(R2)さ
れ、第1の金属薄膜1によりさらに約3%の赤外線が吸
収される。
【0076】このように、赤外線の赤外線吸収体F−3
による反射を1回反射まで考えても、2層構造では、赤
外線入射量の内約65%が吸収され、従来の単層での赤
外線の吸収率50%の約1.3倍となる。
【0077】また、赤外線入射光bの場合は、第2の金
属薄膜2の直接入射箇所2Aに直接入射してこの第2の
金属薄膜2に吸収され、第2の金属薄膜2による入射赤
外線の反射光のうち、メンブレン11に対して垂直でな
い方向の赤外線反射光をより多く第1の金属薄膜1に入
射するようにしてある。例えば、図8に示すように入射
角θで第1の金属薄膜1に入射した入射赤外線ロの反射
光ロ´は、より多く第1の金属薄膜1に入射される。
【0078】また、赤外線入射光cの場合は、第2の金
属薄膜2の直接入射箇所2Aに直接入射してこの第2の
金属薄膜2に吸収され、第2の金属薄膜2による入射赤
外線ハの反射光は第1の金属薄膜1に入射しない。
【0079】上記した本発明の実施の形態例4によれ
ば、第2の金属薄膜2の面積は第1の金属薄膜1の面積
より大きくしてあるために、第1の金属薄膜1が第2の
金属薄膜2を覆っていない箇所、すなわち直接入射箇所
2Aが生じ、この直接入射箇所2Aに直接に入射した入
射赤外線を第2の金属薄膜2で吸収し、この第2の金属
薄膜2による入射赤外線ロの反射光ロ´のうち、メンブ
レン11に対して垂直でない方向の反射光をより多く第
1の金属薄膜1に入射することができる。このために、
単層時の金属薄膜に比べより多くの赤外線を吸収でき
る。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1の発明に
係る赤外線吸収体によれば、隣り合う金属薄膜間を絶縁
すると共に、隣り合う金属薄膜を熱的に接続することが
可能になり、隣り合う金属薄膜のうち、一方の金属薄膜
を透過した赤外線は、他方の金属薄膜で吸収でき、他方
の金属薄膜で反射した赤外線を一方の金属薄膜で吸収で
きるために、単層時の金属薄膜に比べより多くの赤外線
を吸収することができる。このように赤外線吸収率が高
く、且つ高速応答性を持ち、低コストで生産が容易な赤
外線吸収体を提供することができる。
【0081】また、請求項2の発明に係る赤外線吸収体
によれば、隣り合う金属薄膜間を絶縁すると共に、隣り
合う金属薄膜を熱的に接続することが可能になり、隣り
合う金属薄膜のうち、一方の金属薄膜を透過した赤外線
は、他方の金属薄膜で吸収でき、他方の金属薄膜で反射
した赤外線を一方の金属薄膜で吸収できるために、単層
時の金属薄膜に比べより多くの赤外線を吸収することが
できる。
【0082】しかも、多層構造における最終段の金属薄
膜は、その赤外線透過率よりも赤外線反射率を大きく
し、最終段の金属薄膜以外の金属薄膜は、その赤外線反
射率よりも赤外線透過率を大きくしてあるために、より
多くの赤外線が最終段の金属薄膜に到達し、この最終段
の金属薄膜はより多くの赤外線を反射し、反射光は再び
最終段の金属薄膜以外の金属薄膜で吸収されて、赤外線
吸収率が向上する。例えば、2層構造の赤外線吸収体で
あれば、赤外線吸収率は0.5(単層時)から0.7に
向上するし、3層構造の赤外線吸収体であれば、赤外線
吸収率は0.5(単層時)から0.8に向上する。
【0083】また、請求項3の発明に係る赤外線吸収体
によれば、請求項1の発明の作用効果と同様な作用効果
を奏し得るばかりか、他方の金属薄膜の面積は一方の金
属薄膜の面積より大きくしてあり、一方の金属薄膜が他
方の金属薄膜を覆っていない赤外線の直接入射箇所で
は、入射赤外線を直接に他方の金属薄膜で吸収し、ま
た、他方の金属薄膜による入射赤外線の反射光のうち垂
直でない方向の反射光をより多く一方の金属薄膜に入射
することができる。このために、単層時の金属薄膜に比
べより多くの赤外線を吸収できる。
【0084】また、請求項4の発明に係る熱型赤外線セ
ンサによれば、赤外線吸収体の一方の金属薄膜を透過し
た赤外線を、他方の金属薄膜で吸収でき、他方の金属薄
膜で反射した赤外線を一方の金属薄膜で吸収できるた
め、単層時の金属薄膜に比べより多くの赤外線を吸収で
きる。このように吸収率の増加に比例してセンサ出力が
向上するために、感度が向上し、周囲の温度のふらつき
による雑音も軽減できるためにセンサの精度が向上す
る。このように、赤外線吸収率が高く、且つ高速応答性
を持ち、低コストで生産が容易な赤外線吸収体を用いた
熱型赤外線センサを提供することができる。
【0085】しかも、多層構造における最終段の金属薄
膜は、その赤外線透過率よりも赤外線反射率を大きく
し、最終段の前記金属薄膜以外の金属薄膜は、その赤外
線反射率よりも赤外線透過率を大きくしてあるために、
より多くの赤外線が最終段の金属薄膜に到達し、この最
終段の金属薄膜はより多くの赤外線を反射し、反射光は
再び最終段の金属薄膜以外の金属薄膜で吸収されて、赤
外線吸収率が向上する。例えば、2層構造の赤外線吸収
体であれば、赤外線吸収率は0.5(単層時)から0.
7に向上するし、3層構造の赤外線吸収体であれば、赤
外線吸収率は0.5(単層時)から0.8に向上する。
【0086】また、請求項5の発明に係る熱型赤外線セ
ンサによれば、赤外線吸収体の一方の金属薄膜を透過し
た赤外線を、他方の金属薄膜で吸収でき、他方の金属薄
膜で反射した赤外線を一方の金属薄膜で吸収できるた
め、単層時の金属薄膜に比べより多くの赤外線を吸収で
きる。このように吸収率の増加に比例してセンサ出力が
向上するために、感度が向上し、周囲の温度のふらつき
による雑音も軽減できるために、センサの精度が向上す
る。また、熱型赤外線センサが安価に製造可能になる。
【0087】このように、赤外線吸収率が高く、且つ高
速応答性を持ち、低コストで生産が容易な赤外線吸収体
を用いた熱型赤外線センサを提供することができる。
【0088】また、請求項6の発明に係る熱型赤外線セ
ンサによれば、請求項5の発明の作用効果と同様な作用
効果を奏し得るばかりか、一方の金属薄膜をメンブレン
の一方の面に形成し、他方の金属薄膜をメンブレンの他
方の面に形成することにより絶縁膜を無くすことができ
て、熱型赤外線センサの受光部の構成を簡略化すること
ができる。
【0089】また、請求項7の発明に係る熱型赤外線セ
ンサによれば、請求項5の発明の作用効果と同様な作用
効果を奏し得るばかりか、サーモパイルセンサのように
受光部が感温部、すなわち温接点部上にのみでよい場
合、温接点部上に部分赤外線吸収部を形成することで、
受光部全体の熱容量を小さくでき、その結果、応答速度
が早くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る赤外線吸収体(実施の形態例1)
を用いた熱型赤外線センサのセンサチップの平面図であ
る。
【図2】同センサチップの縦断面図である。
【図3】本発明に係る赤外線吸収体(実施の形態例1)
の作用説明図である。
【図4】本発明に係る赤外線吸収体(実施の形態例2)
を用いた熱型赤外線センサのセンサチップの平面図であ
る。
【図5】同センサチップの縦断面図である。
【図6】本発明に係る赤外線吸収体(実施の形態例3)
を用いた熱型赤外線センサのセンサチップの平面図であ
る。
【図7】同センサチップの縦断面図である。
【図8】本発明に係る赤外線吸収体(実施の形態例4)
の断面図である。
【図9】同赤外線吸収体を用いた熱型赤外線センサの縦
断面図である。
【図10】従来の赤外線吸収体を用いた熱型赤外線セン
サのセンサチップの平面図である。
【図11】同センサチップの縦断面図である。
【図12】赤外線吸収体を除いた状態のセンサチップの
平面図である。
【符号の説明】
1 第1の金属薄膜(一方の金属薄膜) 2 第2の金属薄膜(他方の金属薄膜) 3 絶縁膜 4 部分赤外線吸収部 10 半導体基板 11 メンブレン 12 一方の誘電薄膜 13 熱電対 14 温接点部(測温接点)(感温部) 15 冷接点部(基準接点) 16 端子部 17 端子部 18 他方の誘電薄膜 19 線材 20 線材 31 センサパッケージ 32 窓部 G センサチップ F 赤外線吸収体 F−1 赤外線吸収体 F−2 赤外線吸収体 F−3 赤外線吸収体 S 熱型赤外線センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 椎木 正和 京都府京都市右京区花園土堂町10番地 オ ムロン株式会社内 Fターム(参考) 2G065 AA04 AB02 BA11 BA14 BB50 2G066 BA08 BA60 BB11 4M118 AA01 AA10 BA05 CA14 CB13 CB14 GA10 GD15

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外部からの入射赤外線のエネルギーを熱
    に変換するための赤外線吸収体であって、少なくとも2
    つ以上の金属薄膜を有し、且つその隣り合う前記金属薄
    膜間に絶縁膜を介在させて多層構造にしたことを特徴と
    する赤外線吸収体。
  2. 【請求項2】 外部からの入射赤外線のエネルギーを熱
    に変換するための赤外線吸収体であって、少なくとも2
    つ以上の金属薄膜を有し、且つその隣り合う前記金属薄
    膜間に絶縁膜を介在させて多層構造にし、この多層構造
    における前記最終段の金属薄膜は、その赤外線透過率よ
    りも赤外線反射率を大きくし、前記最終段の金属薄膜以
    外の前記金属薄膜は、その赤外線反射率よりも赤外線透
    過率を大きくしたことを特徴とする赤外線吸収体。
  3. 【請求項3】 外部からの入射赤外線のエネルギーを熱
    に変換するための赤外線吸収体であって、一方の金属薄
    膜と他方の金属薄膜との間に絶縁膜を介在させ、且つ赤
    外線の入射方向に、前記一方の金属薄膜と前記他方の金
    属薄膜とをこの順序で配置し、前記他方の金属薄膜の面
    積を前記一方の金属薄膜の面積より大きくして、前記他
    方の金属薄膜に赤外線の直接入射箇所を設けたことを特
    徴とする赤外線吸収体。
  4. 【請求項4】 赤外線吸収体を、少なくとも2つ以上の
    金属薄膜を有し且つその隣り合う前記金属薄膜間に絶縁
    膜を介在させて多層構造に構成し、この多層構造におけ
    る前記最終段の金属薄膜の赤外線透過率よりも赤外線反
    射率を大きくすると共に、前記最終段の金属薄膜以外の
    前記金属薄膜は、その赤外線反射率よりも赤外線透過率
    を大きくし、前記赤外線吸収体を受光部にしたことを特
    徴とする熱型赤外線センサ。
  5. 【請求項5】 赤外線吸収体を、一方及び他方の金属薄
    膜を有し且つ前記一方の金属薄膜と前記他方の金属薄膜
    との間に絶縁膜を介在させて構成し、前記赤外線吸収体
    を受光部にしたことを特徴とする熱型赤外線センサ。
  6. 【請求項6】 前記絶縁膜が、熱電対を誘電薄膜に封入
    したメンブレンである請求項5に記載の熱型赤外線セン
    サ。
  7. 【請求項7】 赤外線吸収体を、少なくとも2つ以上の
    金属薄膜を有し且つその隣り合う前記金属薄膜間に絶縁
    膜を介在させた多層構造の部分赤外線吸収部で構成し、
    当該部分赤外線吸収部を感温部上にのみに形成して受光
    部にしたことを特徴とする熱型赤外線センサ。
JP10430499A 1999-04-12 1999-04-12 赤外線吸収体及びこの赤外線吸収体を用いた熱型赤外線センサ Expired - Lifetime JP3608427B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10430499A JP3608427B2 (ja) 1999-04-12 1999-04-12 赤外線吸収体及びこの赤外線吸収体を用いた熱型赤外線センサ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10430499A JP3608427B2 (ja) 1999-04-12 1999-04-12 赤外線吸収体及びこの赤外線吸収体を用いた熱型赤外線センサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000292254A true JP2000292254A (ja) 2000-10-20
JP3608427B2 JP3608427B2 (ja) 2005-01-12

Family

ID=14377196

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10430499A Expired - Lifetime JP3608427B2 (ja) 1999-04-12 1999-04-12 赤外線吸収体及びこの赤外線吸収体を用いた熱型赤外線センサ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3608427B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7282384B2 (en) 2002-11-12 2007-10-16 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Thermoelectric transducing material thin film, sensor device, and its manufacturing method
EP2343523A1 (en) 2009-12-28 2011-07-13 Omron Corporation Infrared sensor and infrared sensor module
CN106404186A (zh) * 2016-11-01 2017-02-15 深圳市美思先端电子有限公司 一种用于热电堆红外探测器的入射光线聚集器的制作工艺
JP2020134336A (ja) * 2019-02-20 2020-08-31 国立大学法人横浜国立大学 赤外線吸収体および赤外線吸収体を備えるガスセンサ

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5283825B2 (ja) 2006-01-25 2013-09-04 浜松ホトニクス株式会社 熱型赤外線検出器

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7282384B2 (en) 2002-11-12 2007-10-16 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Thermoelectric transducing material thin film, sensor device, and its manufacturing method
EP2343523A1 (en) 2009-12-28 2011-07-13 Omron Corporation Infrared sensor and infrared sensor module
US8519336B2 (en) 2009-12-28 2013-08-27 Omron Corporation Infrared sensor and infrared sensor module
CN106404186A (zh) * 2016-11-01 2017-02-15 深圳市美思先端电子有限公司 一种用于热电堆红外探测器的入射光线聚集器的制作工艺
CN106404186B (zh) * 2016-11-01 2023-07-14 深圳市美思先端电子有限公司 一种用于热电堆红外探测器的入射光线聚集器的制作工艺
JP2020134336A (ja) * 2019-02-20 2020-08-31 国立大学法人横浜国立大学 赤外線吸収体および赤外線吸収体を備えるガスセンサ
JP7240666B2 (ja) 2019-02-20 2023-03-16 国立大学法人横浜国立大学 赤外線吸収体および赤外線吸収体を備えるガスセンサ

Also Published As

Publication number Publication date
JP3608427B2 (ja) 2005-01-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5056929A (en) Temperature compensation type infrared sensor
JP2006214758A (ja) 赤外線検出器
JP3514681B2 (ja) 赤外線検出器
KR101840480B1 (ko) 적외선 센서
US7544942B2 (en) Thermal detector for electromagnetic radiation and infrared detection device using such detectors
JPS6129648B2 (ja)
JP5283825B2 (ja) 熱型赤外線検出器
US20050161605A1 (en) Infrared gas sensor
JP5001007B2 (ja) 最適化された表面を活用する赤外線センサー
KR100591390B1 (ko) 멤브레인을 갖는 센서 및 그 제조 방법
WO1998011411A1 (en) Microbridge structure for emitting or detecting radiations, and method for forming such microbridge structure
CN114695635A (zh) 一种半导体器件及其制作方法、封装结构
JPH06229821A (ja) 赤外線センサおよびその製造方法
CN110349946B (zh) 一种温度图像传感器及其制备方法
JP2000292254A (ja) 赤外線吸収体及びこの赤外線吸収体を用いた熱型赤外線センサ
JP3339276B2 (ja) 赤外線検出素子
CN113432726B (zh) 一种具有组合柱状结构的红外探测器
CN115060371A (zh) 一种微测辐射热计、制作方法及红外探测器
CN111504477B (zh) 红外温度传感器及其制造方法、温度检测设备
JPH11258041A (ja) サーモパイル型赤外線センサ
KR100785738B1 (ko) 볼로미터
JP2006208177A (ja) 赤外線検出器
JPH11258055A (ja) サーモパイル型温度センサ
JP3385762B2 (ja) 赤外線検知素子
CN113851552A (zh) 石墨烯氧化钒红外探测器、制备方法及其应用

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20040603

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040622

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040823

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040921

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041004

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071022

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081022

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091022

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101022

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101022

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111022

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111022

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121022

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121022

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131022

Year of fee payment: 9

EXPY Cancellation because of completion of term