JP2000289070A - 金型の自動開閉装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧力調整時にばねを破損させるようなことが
ないと共に、ばねの耐久性に優れ、長期の使用が可能に
なる金型の自動開閉装置を提供する。 【解決手段】 ベースホルダー１と、このベースホルダ
ー１の上下貫通部分２に挿入部３を抜き差し可能に結合
するロック部材５とからなる射出成形金型の自動開閉装
置であり、ロック部材５に設けた挿入部３の内部に、係
合子４にベースホルダー１の係合凹部６への係合弾性を
付勢する弾性体１９を組み込み、この収納孔の開口側に
弾性体１９の圧力調整ねじ１６を螺合し、該圧力調整ね
じ１６のねじ込みを所定のねじ込み位置で制限するよう
にし、締めすぎによって弾性体１９を破損させるという
ようなことがない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、合成樹脂製品の
射出成形金型において、金型構成部材のの結合と開離を
自動的に行う開閉装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】合成樹脂製品を射出成形するための金型
は、複数の型板を重ね合わせて構成され、型板の重なり
面に形成された成形空間に溶融樹脂をスプールブッシュ
から注入することにより製品を成形するようになってい
る。

【０００３】上記のような射出成形金型は、製品の成形
時に、各型板を重ね合わせ状態で固定化すると共に、製
品の取出し時には、各型板の開離に一定の順序を持たせ
なければならない。

【０００４】即ち、製品の取出し時は、先ず、スプール
ブッシュから製品の間に生じるランナー部分を製品から
引きはなし、この後製品の部分の型板を開離するのが、
製品に対して変形を与える危険性が少ないからである。

【０００５】射出成形金型において、重ね合わせた各型
板の固定化と、製品の取出し時における一定の順序での
開離を自動的に得るために、従来より金型の両側に取り
付ける自動開閉装置が用いられ、本出願人も実公昭６３
−３７２２３号で自動開閉装置を提案した。

【０００６】この自動開閉装置は、上下方向の挿入孔を
設けたベースホルダーと、このベースホルダーの挿入孔
に対して挿入部が抜き差し自在となるロック部材とから
なり、前記ベースホルダーの挿入孔の両側面に係合子を
側面から出没する横移動可能となるよう設け、ロック部
材の挿入部の両側面に係合子の係合凹部を設け、ベース
ホルダーの係合子が、挿入部をベースホルダーの挿入孔
に対して挿入した状態で係合凹部に対する係合状態を保
持する弾性がばねで付勢されている構造になっている。

【０００７】ところで、上記自動開閉装置は、金型の開
閉時に、ロック部材の挿入部がベースホルダーの挿入孔
に対して抜き差し動し、係合凹部が係合子に対して係脱
するため、抜き差し動ごとに、係合子に係合弾性を付勢
するばねに繰り返しの負荷が掛かり、このため、ばねの
圧力調整や取り替えを行う必要がある。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記自
動開閉装置におけるばねは、単にビスのねじ込みによっ
て圧力を調整する構造になっていたため、ビスのねじ込
みとばねの係合子に付与する係合弾性の付勢力との関係
の把握が困難になり、圧力調整時にビスをねじ込みすぎ
てばねを破損させるような事態が往々にして発生すると
いう問題がある。

【０００９】また、上記自動開閉装置は、ばねにコイル
スプリングを使用しているため、繰り返しの負荷に対す
る強度が弱く、耐久性に劣るという点でも改善の余地が
認められた。

【００１０】そこで、この発明の課題は、圧力調整時に
ばねを破損させるようなことがないと共に、ばねの耐久
性に優れ、長期の使用が可能になる金型の自動開閉装置
を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記のような課題を解決
するため、請求項１の発明は、上下貫通部分を設けたベ
ースホルダーと、このベースホルダーの上下貫通部分に
対して挿入部が抜き差し自在となり、その挿入部の両側
の位置で係合子を側面から出没する横移動可能となるよ
う保持したロック部材とからなり、前記ベースホルダー
の上下貫通部分の両側面に係合子の係合凹部を設け、ロ
ック部材の係合子が、挿入部をベースホルダーの上下貫
通部分に対して挿入した状態で係合凹部に対する係合状
態を保持する弾性が付勢されている金型の自動開閉装置
において、ロック部材に設けた収納孔の内部に、係合子
に係合凹部への係合弾性を付勢する弾性体を組み込み、
この収納孔の開口側に弾性体の圧力調整ねじを螺合し、
該圧力調整ねじのねじ込みを所定のねじ込み位置で制限
するようにした構成を採用したものである。

【００１２】請求項２の発明は、請求項１の発明におい
て、係合子に係合凹部への係合弾性を付勢する弾性体
が、多数の皿ばねを重ね合わせ状に組み合わせることに
より形成されている構成を採用したものである。

【００１３】請求項３の発明は、請求項１又は２の発明
において、圧力調整ねじのねじ込みを所定のねじ込み位
置に制限する手段が、圧力調整ねじに大径の頭部を設
け、所定のねじ込み位置でこの頭部がロック部材に当接
することによりねじ込みを制限するようになっている構
成を採用したものである。

【００１４】請求項４の発明は、請求項１又は２の発明
において、圧力調整ねじのねじ込みを所定のねじ込み位
置に制限する手段が、圧力調整ねじをねじ込む孔の内部
に段部を設け、所定のねじ込み位置でこの段部に圧力調
整ねじの先端部が当接することによりねじ込みを制限す
るようになっている構成を採用したものである。

【００１５】ここで、ベースホルダーは、平面コ字状に
形成されてその内部が上下の貫通部分になり、対向面に
係合凹部が設けられている。

【００１６】また、ロック部材は、取り付けブロックの
下面にベースホルダーの貫通部分に適合する挿入部を突
設し、該挿入部の両側にローラを用いた係合子の収納部
を設け、この収納部内に係合子を収納部内に横移動可能
となるよう保持している。

【００１７】

【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
示例と共に説明する。

【００１８】図１乃至図３のように、金型の自動開閉装
置は、ベースホルダー１と、このベースホルダー１に設
けた上下貫通部分２に対して挿入部３が抜き差し自在と
なり、その挿入部３の両側の位置で係合子４を横移動可
能となるよう保持したロック部材５とで構成され、前記
ベースホルダー１の上下貫通部分２の両側面に前記係合
子４の係合凹部６を水平に設け、挿入部３がベースホル
ダー１の上下貫通部分２に対して挿入した状態で係合子
４が係合凹部６に対する係合状態を弾力的に保持するよ
うになっている。

【００１９】上記ベースホルダー１は、横長のブロック
で平面コ字状に形成されてその内部が上下の貫通部分２
になり、両端部に前後に貫通する取り付け孔７が設けら
れ、貫通部分２の内面で両側対向面に上下方向に傾斜面
を備えた山形の突部８を突設し、この突部８の頂部に円
弧状の浅い係合凹部６が水平に設けられている。

【００２０】また、ロック部材５は、両端部に前後に貫
通する取り付け孔９が設けられた取り付けブロック１０
の下面に、ベースホルダー１の貫通部分２へ上部から抜
き差し自在に嵌挿する挿入部３を突設し、この挿入部３
は、ベースホルダー１の上下貫通部分２を貫通する長さ
と上下貫通部分２に適合する平面的な大きさを有し、前
面をボルト１１止めによるプレート１２で閉鎖した角軸
状になっている。

【００２１】上記ロック部材５には、上下中心線に沿っ
て、取り付けブロック１０の上面で開口して挿入部３の
途中に達する深さのばね収納孔１３と、このばね収納孔
１３の下端に連なる中間ローラの収納孔１４と、挿入部
３の中間部で両側に位置し、挿入部３の側面で一部が開
口し、上記中間ローラの収納孔１４の下部コーナ部分と
連通する一対の係合子収納部１５とが設けられ、上記ば
ね収納孔１３の上部は、圧力調整ねじ１６を螺合するね
じ孔１７になっている。

【００２２】上記係合子４はローラを用い、収納部１５
はこのローラが余裕をもって納まる内径の円形横孔で形
成され、該収納部１５に納まる係合子４は収納部１５内
で横移動可能となるよう遊びをもって保持され、挿入部
３の両側から外周の一部が突出し得る状態になってい
る。

【００２３】また、中間ローラの収納孔１４には係合子
４よりも小径となる２個の中間ローラ１８が両収納部１
６の係合子４に対して当接するように、この収納孔１４
の底部と隙間を形成した状態となるよう移動可能に収納
され、ばね収納孔１３には、ねじ孔１７に螺合した圧力
調整ねじ１６と中間ローラ１８の間で圧縮状態となる弾
性体１９が組み込まれている。

【００２４】この弾性体１９は、図２と図５に示すよう
に、中間ローラ１８への当接部材２０に設けた軸２１
に、多数の皿ばね２２を重ね合わせ状に組み合わせて挿
通し、軸２１の頭部２３と当接部材２０間で抜け止め状
に保持して形成され、当接部材２０が両中間ローラ１８
に圧接する状態でばね収納孔１３内に収納され、頭部２
３側の皿ばね２２が圧力調整ねじ１６で押されることに
なる。

【００２５】図示の場合、皿ばね２２は、複数枚を同一
方向に重ねたものを一組とし、複数組を皿ばね２２の向
きが交互の配置になるよう軸２１に挿通し、大きな弾性
を得られるようにした例を示している。

【００２６】上記弾性体１９を加圧して係合子４に付与
する出没弾性を設定する圧力調整ねじ１６は、レンチ孔
２４を有し、ねじ込みを所定のねじ込み位置に制限する
手段によって、弾性体１９を過度に圧縮して破損させる
ことのないようになっている。なお、圧力調整ねじ１６
の最大ねじ込み状態ても、中間ローラ１８の移動を許容
するような条件になっている。

【００２７】この制限する手段は、図示例では、圧力調
整ねじ１６の端部に大径の頭部１５を設け、最大のねじ
込み位置で該頭部２５がロック部材５の上面に当接する
ことにより、それ以上のねじ込みを不能にした構造を示
している。この図示例では、ロック部材５の上面に頭部
２５が納まる凹段部２６を設け、ロック部材５の上面に
対する頭部２５の突出量の発生を少なくしている。

【００２８】上記制限する手段の他の例としては、図示
省略したが、ばね収納孔１３よりもねじ孔１７を大径に
して該ねじ孔１７の内端に段部を設け、圧力調整ねじ１
６の端部がこの段部に当接することにより、それ以上の
ねじ込みを不能にしたり、ねじ孔の途中に圧力調整ねじ
の進入を阻止するノックピンを設ける等の構造を採用す
ることができ、圧力調整ねじのねじ込みを制限するもの
であれば、特に構造は限定されない。

【００２９】なお、図示の場合、係合子４はローラを用
いたが、ボールや楕円体等、他の形状のものを用いても
よく、ベースホルダー１の係合凹部６も、図示のような
弧状の横溝に限ることなく、係合子４の形状に対応した
凹部を採用すればよい。

【００３０】この発明の開閉装置は、上記のような構成
であり、次にこの開閉装置の使用の方法を説明する。

【００３１】図３は、開閉装置を使用する射出成形用金
型の一例を示し、スプールブッシュ３１が設けられた固
定側取付け板３２にランナーストリッパプレート３３を
重ね、このプレート３３に固定側型板３４と可動側型板
３５を移動できるように順次重ね、可動側型板３５に、
受け板３６、スペーサブロック３７、可動側取付け板３
８を順次固定し、スペーサブロック３７で囲まれた内側
にエジエクタプレート３９を組み込み、このエジエクタ
プレート３９に取り付けたエジエクタピン４０でコア４
１から製品を突き出すような構成になっている。

【００３２】このような射出成形用金型に対し、開閉装
置は、可動側型板３５ にベースホルダー１をボルトで
固定し、固定側型板３４にロック部材５をボルト２７で
固定し、ロック部材５とベースホルダー１を上下一直線
に並ぶよう配置する。

【００３３】図３は、射出成形金型の各型板が重なりあ
った成形時の状態を示し、この状態ではロック部材５と
ベースホルダー１が上下に重なり、ロック部材５の挿入
部３がベースホルダー１の上下貫通部分２内に挿入され
ている。

【００３４】このとき、図２に示すように、ロック部材
５の挿入部３の両側に位置する係合子４が弾性体１９で
外側に押圧されているので、この係合子４がベースホル
ダー１の係合凹部６に弾力的に係合した状態を保持す
る。これによって、製品の成形部分を備えた固定側型板
３４と可動側型板３５は、固定一体化される。

【００３５】製品の成形後における脱型時は、固定側型
板３４をランナーストリッパープレート３３から離反す
る方向に移動させる。図４（Ａ）のように、固定側型板
３４と可動側型板３５はロック部材５とベースホルダー
１の結合により固定一体化されているため、固定側型板
３４と可動側型板３５は一体に移動し、固定側取付け板
３２から離開したランナーストリッパープレート３３
は、プラーボルト４２と共に停止し、ランナーストリッ
パープレート３３から固定側型板３４が離開し、これに
より、スプールブッシュから樹脂ランナー部分の取出し
を行う。

【００３６】固定側型板３４の移動が進み、図４（Ｂ）
のごとく、プラーボルト４２の頭部への当接により該固
定側型板３４の移動が停止するが、可動側型板３５は更
に移動する。

【００３７】停止した固定側型板３４に対して可動側型
板３５が移動して、弾性体１９で付与された係合子４と
係合凹部６の係合弾性に打ち勝つ引っ張り力が作用する
と、ロック部材５の挿入部３からベースホルダー１が抜
けていくことになり、このとき、挿入部３の両側に保持
されている係合子４は、内側へ向けての移動が可能とな
り、ベースホルダー１の係合凹部６は係合子４から離脱
することになる。

【００３８】従って、図４（Ｂ）のごとく、可動側型板
３５と固定側型板３４が支障なく離開し、成形された製
品の取り出しが支障なく行えることになる。

【００３９】また、射出成形金型の組み立て時は、可動
側型板３５の移動でベースホルダー１が固定側型板３４
に固定したロック部材５の挿入部３に外嵌し、固定側型
板３４と可動側型板３５が重なり合った時点で両型板３
４、３５は一体に移動し、係合子４と係合凹部６の係合
によって可動側型板３５と固定側型板３４が固定一体化
された状態で、固定側型板３４がランナーストリッパー
プレート３３に重なり、図３のように、金型の組み立て
が完了する。

【００４０】

【発明の効果】以上のように、この発明によると、射出
成形金型の自動開閉装置において、ロック部材に設けた
収納孔の内部に、係合子に係合凹部への係合弾性を付勢
する弾性体を組み込み、この収納孔の開口側に弾性体の
圧力調整ねじを螺合し、該圧力調整ねじのねじ込みを所
定のねじ込み位置で制限するようにしたので、係合子の
係合凹部への係合弾性の圧力調整時に、圧力調整ねじの
最大ねじ込み位置を制限でき、締めすぎによってばねを
破損させるというようなことがない。

【００４１】また、弾性体に重ね合わせた皿ばねを使用
することにより、強力な弾性が得られるだけでなく、ば
ねの耐久性が向上し、長期の使用が可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る自動開閉装置の分解斜視図

【図２】自動開閉装置の結合状態を示す拡大縦断面図

【図３】自動開閉装置の金型への固定状態を示す縦断面
図

【図４】（Ａ）と（Ｂ）は金型の離開工程を示す縦断面
図

【図５】自動開閉装置に組み込む弾性体の拡大縦断面図

【符号の説明】

１ ベースホルダー ２ 上下貫通部分 ３ 挿入部 ４ 係合子 ５ ロック部材 ６ 係合凹部 １３ ばね収納孔 １４ 中間ローラの収納孔 １５ 係合子収納部 １６ 圧力調整ねじ １７ ねじ孔 １８ 中間ローラ １９ 弾性体 ２２ 皿ばね

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 上下貫通部分を設けたベースホルダー
   と、このベースホルダーの上下貫通部分に対して挿入部
   が抜き差し自在となり、その挿入部の両側の位置で係合
   子を側面から出没する横移動可能となるよう保持したロ
   ック部材とからなり、前記ベースホルダーの上下貫通部
   分の両側面に係合子の係合凹部を設け、ロック部材の係
   合子が、挿入部をベースホルダーの上下貫通部分に対し
   て挿入した状態で係合凹部に対する係合状態を保持する
   弾性が付勢されている金型の自動開閉装置において、ロ
   ック部材に設けた収納孔の内部に、係合子に係合凹部へ
   の係合弾性を付勢する弾性体を組み込み、この収納孔の
   開口側に弾性体の圧力調整ねじを螺合し、該圧力調整ね
   じのねじ込みを所定のねじ込み位置で制限するようにし
   たことを特徴とする金型の自動開閉装置。
2. 【請求項２】 係合子に係合凹部への係合弾性を付勢す
   る弾性体が、多数の皿ばねを重ね合わせ状に組み合わせ
   ることにより形成されていることを特徴とする請求項１
   記載の金型の自動開閉装置。
3. 【請求項３】 圧力調整ねじのねじ込みを所定のねじ込
   み位置に制限する手段が、圧力調整ねじに大径の頭部を
   設け、所定のねじ込み位置でこの頭部がロック部材に当
   接することによりねじ込みを制限するようになっている
   ことを特徴とする請求項１又は２に記載の金型の自動開
   閉装置。
4. 【請求項４】 圧力調整ねじのねじ込みを所定のねじ込
   み位置に制限する手段が、圧力調整ねじをねじ込む孔の
   内部に段部を設け、所定のねじ込み位置でこの段部に圧
   力調整ねじの先端部が当接することによりねじ込みを制
   限するようになっていることを特徴とする請求項１又は
   ２に記載の金型の自動開閉装置。