JP2000288738A - 高クロムフェライト鋼の溶接継手構造 - Google Patents

高クロムフェライト鋼の溶接継手構造

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JP2000288738A
JP2000288738A JP11098697A JP9869799A JP2000288738A JP 2000288738 A JP2000288738 A JP 2000288738A JP 11098697 A JP11098697 A JP 11098697A JP 9869799 A JP9869799 A JP 9869799A JP 2000288738 A JP2000288738 A JP 2000288738A
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Yasushi Sato
恭 佐藤
Koji Tamura
広治 田村
Koichi Mitsuhata
浩一 光畑
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Abstract

(57)【要約】 【課題】Cr含有量が10〜13%の高クロムフェライ
ト系高強度耐熱鋼において、溶接金属の靭性が高く、脆
性破壊に対する危険性が小さく、信頼性の高い溶接部が
得られる高クロムフェライト鋼の溶接継手構造を提供す
る。 【解決手段】クロム含有量が、重量%で、10〜13%
の高クロムフェライト系のフェライト鋼(1)をアーク
溶接で接合する溶接継手構造であって、溶接接合部の初
層(2)を、クロム含有量が10〜13%の母材と同じ
成分系の溶接材料を用いて、イナートガスタングステン
アーク(TIG)溶接法で施工し、次層以降をクロム含
有量が8.5〜9.5%の溶接材料を用いて、アークおよ
び溶融金属を大気より遮蔽して溶接する保護アーク溶接
法で溶接ビード(3)を積層する。また、溶接部の最終
層の幅が、その直下層の幅よりもビード幅1パス分以
上、広くなるように溶接ビードを積層する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高クロムフェライト
鋼の溶接継手構造に係り、特にボイラ、化学プラント等
の耐圧部に多用されるクロムを10〜13重量%含有す
る高クロムフェライト系高強度耐熱鋼の溶接接合に好適
で、溶接金属の靭性が高く、脆性破壊に対する危険性が
小さく、溶接部の信頼性が高い高クロムフェライト鋼の
溶接継手構造に関する。
【0002】
【従来の技術】発電用ボイラや各種熱交換器等において
は、厚肉大口径の配管類が高温、高圧の条件下で多数使
用されている。近年、特に大容量の発電用ボイラにおい
て、発電効率向上のために、蒸気温度と圧力の設定が一
段と高くなってきておリ、配管材料として、従来の2.
25%Cr−1%Mo鋼、あるいは9%Cr−1%Mo
−Nb−V鋼に代わる高温強度の高い8.5〜13%C
rのフェライト系耐熱鋼が新たに開発されている。これ
らのフェライト系耐熱鋼は、Cr、Mo、Nb、V、N
に加えて、W、CuあるいはCo等を添加し、焼ならし
−焼もどし熱処理によって、焼もどしマルテンサイト組
織となるように成分設計されたものであり、従来の材料
に比べて格段に優れた高温強度を有している。ところ
で、鉄鋼材料を溶接接合するための溶接材料は、従来の
母材と同一成分系の溶接材料を用いるのが原則であり、
各々のフェライト鋼に適合した溶接材料が開発されてい
る。しかしながら、Crの他、添加される合金元素が多
くなればなるほど溶接金属の靭性は低下し、高品質の溶
接金属が得られるT1G溶接法であれば実用上問題のな
い靭性値が得られるものの、MIG(アルゴンやヘリウ
ムなどのイナートガスメタルアーク)溶接法、被覆アー
ク溶接法、あるいはサブマージドアーク溶接法の場合に
おいて、特にCr含有量が10%を超える場合には、溶
接金属組織の調整のための添加元素も多くなっているこ
とから溶接部の靭性は著しく低下する。また、溶接部は
形状的に応力集中部となるため、溶接金属の靭性が低い
と水圧試験時における溶接部の脆性破壊に対する危険性
が高くなる。このため10%Cr以上の高Cr鋼を、M
IG溶接法、被覆アーク溶接法あるいはサブマージアー
ク溶接法で接合する場合は、介在物やブローホール等の
溶接欠陥が生じないように溶接施工において細心の注意
を払う必要があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した従来技術における問題点を解消し、Cr含有量が1
0〜13%の高クロムフェライト系高強度耐熱鋼におい
て、溶接金属の靭性が高く、脆性破壊に対する危険性が
小さく、信頼性の高い溶接部が得られる高クロムフェラ
イト鋼の溶接継手構造を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は特許請求の範囲に記載のような構成とする
ものである。すなわち、請求項1に記載のように、クロ
ム含有量が重量%で10〜13%の高クロムフェライト
系耐熱鋼をアーク溶接で接合する溶接継手構造であっ
て、溶接接合部の初層をクロム含有量が10〜13%の
母材と同じ成分系の溶接材料を用いてイナートガスタン
グステンアーク(TIG)溶接法で施工し、次層以降を
クロム含有量が8.5〜9.5%の溶接材料を用いて、ア
ークおよび溶融金属を大気より遮蔽して溶接する保護ア
ーク溶接法により施工してなる高クロムフェライト鋼の
溶接継手構造とするものである。このような構造の溶接
継手とすることにより、例えば、高クロムフェライト鋼
管の内面は母材と同等の耐食性が得られると共に、溶接
部の大半を占めるアーク溶接金属は約9%クロム鋼であ
るので靭性が高くなり、脆性破壊に対する危険性を低減
できる効果がある。
【0005】また、請求項2に記載のように、クロム含
有量が、重量%で、10〜13%の高クロムフェライト
系耐熱鋼をアーク溶接で接合する溶接継手構造であっ
て、溶接接合部の初層をクロム含有量が10〜13%の
母材と同じ成分系の溶接材料を用いてイナートガスタン
グステンアーク(TIG)溶接法で施工し、溶接接合部
の最終層を除いて、次層以降をクロム含有量が8.5〜
9.5%の溶接材料を用いて、アークおよび溶融金属を
大気より遮蔽して溶接する保護アーク溶接法で施工し、
上記最終層をクロム含有量が10〜13%の溶接材料を
用いて保護アーク溶接法により施工してなる高クロムフ
ェライト鋼の溶接継手構造とするものである。このよう
な構造の溶接継手とすることにより、上記請求項1の効
果に加えて、さらに、高クロムフェライト鋼管の内外表
面とも母材と同等の耐食性が得られる効果がある。
【0006】また、請求項3に記載のように、請求項1
または請求項2において、溶接接合部の最終層の幅が、
その直下層の幅よりもビード幅1パス分以上、広くなる
ように保護アーク溶接法を用いて溶接接合してなる高ク
ロムフェライト鋼の溶接継手構造とするものである。こ
のような構造の溶接継手とすることにより、上記請求項
1および2の効果に加えて、さらに、万一、機器使用中
に、応力集中部である溶接止端部に疲労亀裂等が発生、
進展した場合においても、亀裂先端は溶接金属よりも靭
性の良い母材側に進むので、脆性破壊の危険性を低減で
きる効果がある。
【0007】また、請求項4に記載のように、請求項1
ないし請求項3のいずれか1項において、母材の溶接開
先面の最終層の位置の角を削って広く加工し、最終層の
幅が、その直下層の幅よりもビード幅1パス分以上、広
くなるように溶接接合してなる高クロムフェライト鋼の
溶接継手構造とするものである。このような構造の溶接
継手とすることにより、上記請求項1〜3の効果に加え
て、さらに、上記請求項3の場合よりも、確実に亀裂先
端は溶接金属よりも靭性の良い母材側に進ませることが
できるので、脆性破壊の危険性を大幅に低減できる効果
がある。
【0008】また、請求項5に記載のように、請求項1
ないし請求項4のいずれか1項に記載の高クロムフェラ
イト鋼の溶接継手構造において、保護アーク溶接法は、
被覆アーク溶接、サブマージドアーク溶接、イナートガ
スメタルアーク溶接(MIG)、炭酸ガスメタルアーク
溶接、イナートガスタングステンアーク(TIG)溶接
のうちから選択される少なくとも1種の溶接法を用いて
施工してなる高クロムフェライト鋼の溶接継手構造とす
るものである。このように本発明の溶接継手構造を作製
する場合に、多種の保護アーク溶接方法の中から、より
適切な溶接方法を選択することができるので、高品質で
靭性が高く、脆性破壊の危険性が少ない、高信頼性の高
クロムフェライト鋼の溶接継手構造が得られる効果があ
る。
【0009】本発明の高クロムフェライト鋼の溶接継手
構造は、クロムを重量%で10〜13%含有する母材と
同じ成分系の溶接材料を用いて、初層をTIG溶接法で
施工し、次層以降の溶接を、クロムを8.5〜9.5%含
有する溶接材料を用いて、消耗式または非消耗式の保護
アーク溶接法、すなわち、アークや溶融金属を大気より
遮蔽して保護するために、金属心線の周りを固形フラッ
クスで被覆した被覆溶接棒を用いる被覆アーク溶接法
や、裸アーク溶接棒と母材間の粒状のフラックス中で溶
接するサブマージドアーク溶接法、あるいはアルゴンや
ヘリウムなどのイナートガスをアークの周りに流して保
護するイナートガスメタルアーク溶接(MIG)法やイ
ナートガスタングステンアーク(TIG)溶接法または
炭酸ガスをアークの周りに流して保護する炭酸ガスメタ
ルアーク溶接等のアーク溶接法により施工して高クロム
フェライト鋼の溶接継手構造を作製するものであり、さ
らには、最終層の溶接層の幅が、その直下層の溶接層の
幅よりもビード幅1パス分以上、広くなるように被覆ア
ーク溶接等の保護アーク溶接により接合をした高クロム
フェライト鋼の溶接継手構造とするものである。本発明
の高クロムフェライト鋼の溶接継手構造において、溶接
金属部の大半を占めるアーク溶接金属は約9%クロム鋼
であるので靭性が高く、脆性破壊に対する危険性は小さ
く、万一、機器使用中に、応力集中部である溶接止端部
に疲労亀裂等が発生、進展した場合においても、亀裂先
端は溶接金属部よりも靭性の良い母材側に進むので、脆
性破壊の危険性を大幅に低減できる効果がある。
【0010】
【発明の実施の形態】〈実施の形態1〉以下に本発明の
実施の形態の一例を挙げ、本発明の溶接継手構造の基本
的な作製手順について説明する。表1に示すごとく、素
材として用いたのはCrを10.34重量%含有し、焼
ならし焼もどし処理された高強度フェライト鋼管(A
鋼、外径300mm、肉厚40mm)と、Crを10.
01重量%含有する溶接材料(B材)およびCrを8.
71重量%含有する溶接材料(C材)を用いた。なお、
B材はA鋼用に開発されたTIG溶接材料で、C材はA
鋼と同等の高温強度を有する8.5〜9.5%Cr鋼用に
開発された被覆アーク溶接材料である。
【0011】
【表1】
【0012】なお、溶接開先は、図1に示すような開先
面4を有する突合せ溶接開先とした。図2(a)、
(b)に、溶接積層方法を模式的に示す。まず、初層
(1層目)2を、溶接材料として表1に示すB材を用い
て、フェライト鋼(A鋼)1よりなる鋼管の全周をTI
G溶接で積層し、2層目以降はC材を用いて被覆アーク
溶接法により、溶接ビード(C材)3に示すように、最
終層まで順次積層する。なお、比較のために、従来法で
ある2層目以降をB材と同一成分系の被覆アーク溶接材
料を用いて順次積層したものを作製した。溶接完了後、
いずれにおいても745℃にて4.5時間の応力除去焼
鈍を行った。図2(a)に示す本発明の溶接部の断面の
マクロ写真のスケッチを図3に示す。図3に示すごと
く、応力集中部である溶接止端部に疲労亀裂等の発生が
なく、介在物やブローホール等の溶接欠陥のない良好な
溶接部が得られた。次に、図4に示すごとく、JIS4
号シャルピー衝撃試験片5を切削加工により作製し、0
℃の場合と、20℃の場合とについて衝撃試験を行っ
た。その結果を図5に示す。図において、本発明による
溶接部の溶接金属は、従来法の溶接部よりも吸収エネル
ギーが高く、明らかに靭性が向上していることが分かっ
た。
【0013】また、本発明による溶接部の継手構造の引
張り試験も行ったが、母材のフェライト鋼(A鋼)1と
同等の強度が得られ、実用上、問題のない溶接部である
ことを確認した。本実施の形態1においては、2層目以
降を被覆アーク溶接法により施工する一例を示したが、
2層目以降をC材と同一成分系のMIG(アルゴンやヘ
リウムなどのイナートガスメタルアーク)溶接材料、炭
酸ガスメタルアーク溶接材料もしくはサブマージドアー
ク溶接材料を用いて、MIG溶接、炭酸ガスメタルアー
ク溶接、あるいはサブマージドアーク溶接法により施工
しても、上記と同様の効果が得られることを確認してい
る。また、2層目以降もTIG溶接法で施工すれば最良
の溶接部が得られることは言うまでもない。本発明の溶
接継手構造においては、溶接部の組成が主としてクロム
含有量が8.5〜9.5%の溶接金属よりなり、母材(C
r量は10〜13%)よりも靭性が向上することによっ
て、脆性破壊に対する信頼性が向上することはもちろん
のこと、母材よりもCr量が低い溶接材料を主に使用す
るにもかかわらず、管内流体に接する管内面側の初層の
みを母材と同じ高Cr系の溶接金属となっているため、
溶接部内面の耐食性は母材と同等であり、溶接部が選択
的に腐食される心配はない。ここで、管の外表面も腐食
性の環境に曝される場合には、図2(b)に示すよう
に、最終層を、例えば溶接材料として表1に示すB材
(高Cr系の溶接材料)を用いてTIG溶接法により施
工し、溶接ビード(B材)8を形成させても良い。この
場合には、管の内外表面とも母材と同等の耐食性が得ら
れる効果がある。
【0014】〈実施の形態2〉図6は本実施の形態2で
例示する溶接の開先形状を示す。本実施の形態における
溶接方法は、基本的には実施の形態1と同様であるが、
溶接の開先面4の最終層の位置における開先面の角6を
削って最終層の開先幅が広くなるように加工したもので
ある。図7に示すように、溶接材料としてB材を用いて
全周TIG溶接法で積層して初層2を形成し、2層目以
降は、溶接材料としてC材を用いて被覆アーク溶接法に
より順次積層し、最終層の幅が、その直下層の幅よりも
ビード幅が1パス分以上、広くなるように積層する。一
般に、高温機器の長時間運転中に予期しない過大な応力
が作用して疲労亀裂が発生、進展した場合、水圧試験時
に、この亀裂を起点として脆性破壊に至る可能性が生じ
る。この疲労亀裂の発生位置は応力集中部となる溶接止
端部であるが、本実施の形態2においては、図7に示す
ごとく、応力集中部となる溶接止端部は母材側となり、
万一、疲労亀裂7が発生しても亀裂先端は靭性のよい母
材〔フェライト鋼(A鋼)1〕側に進展するため、脆性
破壊に対する危険性は大幅に低下し、溶接部の信頼性を
いっそう向上できる効果がある。
【0015】〈実施の形態3〉図8は本実施の形態3で
例示する溶接積層方法を模式的に示すものであって、溶
接開先形状は図1に示した従来型のものを用い、実施の
形態1と同様の方法で溶接積層を施工するものである
が、溶接ビード3の最終層を幅広く積層し、最終層の幅
が、その直下層の幅よりもビード幅1パス分以上、広く
なるように溶接部を形成したものである。上記実施の形
態2の図6で示した開先面の角6を削って最終層の開先
幅を広くなるように加工することなく、従来のままの開
先形状のものを使用し、上記実施の形態2と同様の効果
が得られる溶接継手構造を提供するものである。本実施
の形態3で示す溶接継手構において、疲労亀裂の発生位
置は応力集中部となる溶接止端部であるので、上記実施
の形態2と同様に、万一、疲労亀裂が発生しても亀裂先
端は靭性のよい母材側に進展するため、脆性破壊に対す
る危険性は大幅に低下し、溶接部の信頼性をいっそう向
上できる効果がある。上記実施の形態1〜3において例
示した高クロムフェライト鋼の溶接継手構造は、クロム
を重量%で10〜13%含有する母材と同じ成分系の溶
接材料を用いて、初層をTIG溶接法で施工し、次層以
降の溶接を、クロムを8.5〜9.5%含有する溶接材料
を用いて、消耗式または非消耗式の保護アーク溶接法、
すなわち、アークや溶融金属を大気より遮蔽して保護す
るために、金属心線の周りを固形フラックスで被覆した
被覆溶接棒を用いる被覆アーク溶接法や、裸アーク溶接
棒と母材間の粒状のフラックス中で溶接するサブマージ
ドアーク溶接法、あるいはアルゴンやヘリウムなどのイ
ナートガスをアークの周りに流して保護するイナートガ
スメタルアーク溶接(MIG)法やイナートガスタング
ステンアーク(TIG)溶接法または炭酸ガスをアーク
の周りに流して保護する炭酸ガスメタルアーク溶接等の
アーク溶接法により施工して高クロムフェライト鋼の溶
接継手構造とするものであり、さらには最終層の溶接層
の幅が、その直下層の溶接層の幅よりもビード幅1パス
分以上、広くなるように被覆アーク溶接等の保護アーク
溶接により接合をした高クロムフェライト鋼の溶接継手
構造とするものである。このように、本発明の高クロム
フェライト鋼の溶接継手構造において、溶接金属部の大
半を占めるアーク溶接金属は約9%クロム鋼であるので
靭性が高く、したがって、脆性破壊に対する危険性は小
さく、万一、機器使用中に、応力集中部である溶接止端
部に疲労亀裂等が発生、進展した場合においても、亀裂
先端は溶接金属よりも靭性の良い母材側に進むので、脆
性破壊の危険性を大幅に低減することができ、溶接部の
信頼性を向上できる効果がある。
【0016】
【発明の効果】本発明の高クロムフェライト鋼の溶接継
手構造によれば、高強度の10〜13重量%Crフェラ
イト系耐熱鋼の溶接部において、初層をCrの含有量が
10〜13重量%の母材と同じ成分系の溶接材料を用い
てTIG溶接法で施工し、次層以降をCr含有量が8.
5〜9.5%の溶接材料を用いて、被覆アーク溶接、サ
ブマージドアーク溶接、イナートガスメタルアーク溶接
(MIG)、炭酸ガスメタルアーク溶接法等の保護アー
ク溶接法により施工し、溶接金属中のCr含有量を低下
させて靱性の高い溶接部を形成しているので脆性破壊に
対する危険性が小さくなる。また、最終層の溶接層の幅
が、その直下層の幅よりもビード幅1パス分以上、広く
なるように溶接施工しているので、応力集中部である溶
接止端部に疲労亀裂等が発生、進展した場合において
も、亀裂先端は溶接金属よりも靭性の良い母材側に進む
ので、脆性破壊の危険性を大幅に低減することができ
る。また、初層と最終層に母材と同等の高Crの溶接材
料を用いることにより、溶接部の内外面の耐食性の低下
を防止することができ、高強度の高クロムフェライト鋼
の用途を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1で例示した溶接開先の形
状を示す模式図。
【図2】本発明の実施の形態1で例示した溶接積層方法
を示す模式図。
【図3】本発明の実施の形態1で例示した溶接部断面の
マクロ写真のスケッチ図。
【図4】本発明の実施の形態1で例示したJIS4号シ
ャルピー衝撃試験片の加工部を示す図。
【図5】本発明の実施の形態1で例示したJIS4号シ
ャルピー衝撃試験結果を示すグラフ。
【図6】本発明の実施の形態2で例示した溶接開先の形
状を示す模式図。
【図7】本発明の実施の形態2で例示した溶接積層方法
を示す模式図。
【図8】本発明の実施の形態3で例示した溶接積層方法
を示す模式図。
【符号の説明】
1…フェライト鋼(A鋼) 2…初層(B材) 3…溶接ビード(C材) 4…開先面 5…衝撃試験片 6…開先面の角 7…疲労亀裂 8…溶接ビード(B材) 9…突合せ面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 光畑 浩一 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉工場内 Fターム(参考) 4E001 AA03 BB01 BB05 BB07 BB08 BB09 CA04 CC04 DA01 DB03 DC01 DD01 DF01 DF04 EA05 EA09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロム含有量が重量%で10〜13%の高
    クロムフェライト系耐熱鋼をアーク溶接で接合する溶接
    継手構造であって、溶接接合部の初層をクロム含有量が
    10〜13%の母材と同じ成分系の溶接材料を用いてイ
    ナートガスタングステンアーク(TIG)溶接法で施工
    し、次層以降をクロム含有量が8.5〜9.5%の溶接材
    料を用いて、アークおよび溶融金属を大気より遮蔽して
    溶接する保護アーク溶接法により施工してなることを特
    徴とする高クロムフェライト鋼の溶接継手構造。
  2. 【請求項2】クロム含有量が重量%で10〜13%の高
    クロムフェライト系耐熱鋼をアーク溶接で接合する溶接
    継手構造であって、溶接接合部の初層をクロム含有量が
    10〜13%の母材と同じ成分系の溶接材料を用いて、
    イナートガスタングステンアーク(TIG)溶接法で施
    工し、溶接接合部の最終層を除いて、次層以降をクロム
    含有量が8.5〜9.5%の溶接材料を用いて、アークお
    よび溶融金属を大気より遮蔽して溶接する保護アーク溶
    接法で施工し、上記最終層をクロム含有量が10〜13
    %の溶接材料を用いて保護アーク溶接法により施工して
    なることを特徴とする高クロムフェライト鋼の溶接継手
    構造。
  3. 【請求項3】請求項1または請求項2において、溶接接
    合部の最終層の幅が、その直下層の幅よりもビード幅1
    パス分以上、広くなるように保護アーク溶接法を用いて
    溶接接合してなることを特徴とする高クロムフェライト
    鋼の溶接継手構造。
  4. 【請求項4】請求項1ないし請求項3のいずれか1項に
    おいて、母材の溶接開先面の最終層の位置の角を削って
    広く加工し、最終層の幅が、その直下層の幅よりもビー
    ド幅1パス分以上、広くなるように溶接接合してなるこ
    とを特徴とする高クロムフェライト鋼の溶接継手構造。
  5. 【請求項5】請求項1ないし請求項4のいずれか1項に
    記載の高クロムフェライト鋼の溶接継手構造において、
    保護アーク溶接法は、被覆アーク溶接、サブマージドア
    ーク溶接、イナートガスメタルアーク溶接(MIG)、
    炭酸ガスメタルアーク溶接、イナートガスタングステン
    アーク(TIG)溶接のうちから選択される少なくとも
    1種の溶接法を用いて施工してなることを特徴とする高
    クロムフェライト鋼の溶接継手構造。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010174904A (ja) * 2010-05-20 2010-08-12 Hitachi Ltd 高温蒸気タービンプラント
FR2973723A1 (fr) * 2011-04-06 2012-10-12 Alstom Hydro France Procede de soudage et organe de machine hydraulique fabrique au moyen d'un tel procede
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CN110773846A (zh) * 2019-10-16 2020-02-11 北京城建集团有限责任公司 一种高空钢结构焊接方法

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