JP2000284054A - 超伝導放射線検出器とその製造方法とそれを用いた装置 - Google Patents

超伝導放射線検出器とその製造方法とそれを用いた装置

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JP2000284054A
JP2000284054A JP9358699A JP9358699A JP2000284054A JP 2000284054 A JP2000284054 A JP 2000284054A JP 9358699 A JP9358699 A JP 9358699A JP 9358699 A JP9358699 A JP 9358699A JP 2000284054 A JP2000284054 A JP 2000284054A
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radiation detector
quantum interference
probe
radiation
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Keiichi Tanaka
啓一 田中
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Seiko Instruments Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カウントレートの高い超伝導放射線検出器
と、試料表面の形状情報と組成分析を同時に行う超伝導
放射線検出器を得ること、及び、そのための超伝導放射
線検出器の製造方法とそれを用いた装置を得ること。 【解決手段】 1K以下の冷却が可能な冷却装置を用いて
動作する超伝導放射線検出器において、1K以下で動作可
能な超伝導量子干渉素子4と1K以下で動作する超伝導放
射線検出素子1が一つのチップ上に作製されていること
を特徴とする超伝導放射線検出器を用いた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は1K以下の冷却が可
能な冷却装置を用いて動作する超伝導デバイスに関し、
特に超伝導量子干渉素子と超伝導放射線素子を利用した
超伝導放射線検出器と、この超伝導放射線検出器の製造
方法及び超伝導放射線検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】超伝導デバイスとして超伝導放射線検出
器がある。超伝導放射線検出器は、外部から放射される
放射線が検出器内部で発生した熱を微小電流信号に変換
するタイプと、また直接放射線を微少電流信号に変換す
るタイプの2つに分けられる。前者はカロリーメーター
と呼ばれ、例えばK.D.Irwin et al.IEEE TRANSCATION O
N APPLIED SUPERCONDUCTIVIY,5,2690(1995)に報告例が
ある。後者は、STJ(Superconductive Tunneling Juncti
on)と呼ばれ、例えばJ.B.Ie Grand et al AppliedPhysi
cs Letters,73,1295(1998)に報告例がある。
【0003】また、超伝導放射線検出器と試料表面観察
用装置を組み合わせた装置として、SEM(Scanning Elect
ron Microscope)-EDS(Energy Dispersive Spectromete
r)がある。この装置を用いると、電子光学的に細く収束
された電子ビームで試料表面をスキャンし、そのとき試
料から放出される2次電子を画像化することにより表面
形状を得ることができ、2次電子と併せて発生する特性
X線の検出を波長ごとに分光することにより組成分析を
おこなうことができる。SEMによる表面形状観察は、用
いる電子線の回折限界のため、ナノメーターレベルでの
観察は不可能である。ナノメーターレベルで試料の表面
を観察する手段として、走査型プローブ顕微鏡がある。
例えば走査型トンネル顕微鏡は、トンネル電流検出用の
探針と試料の間にトンネル電流を流し、その電流を一定
にするように探針を変位し、その変位を変位検出装置に
よって表面の形状を観察することができる。
【0004】また、EDSはエネルギー分解能が100eV以上
であるため、より微細な組成分析を行うことはできな
い。しかし、超伝導放射線検出器であるTES(Transition
EdgeSensor)を用いることで、Irwin等のグループは入
射エネルギー1.5keVに対して、10eV程度のエネルギー分
解能を実現している。例えばApplied PhysicsLetter66,
1998(1995)等にその報告がされている。
【0005】また、超伝導デバイスとして、超伝導量子
干渉素子がある。これは、超伝導体内ループの中にジョ
セフソン接合を挟んだ構造では、超伝導の巨視的な効果
に起因する量子力学的干渉効果が生じ、これを利用した
高磁気感度な磁束計として使われる。特にジョセフソン
接合が一つのループに2個形成されているとき、直流超
伝導量子干渉素子と呼ばれる。以後、超伝導量子干渉素
子と呼ぶ。超伝導量子干渉素子は、ジョセフソン接合が
もつ、内部抵抗とコンデンサのために、ヒステリシスを
描く。このヒステリシスをなくすために、ジョセフソン
接合と平行に抵抗が接続される。これをシャント抵抗と
呼ぶ。通常よく使われる材料として、アルミニウムやモ
リブデンなどがある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】超伝導放射線検出器
は、外部から放射される放射線を電流に変換する検出器
である。放射線のカウントレートをあげるためには、高
感度・高帯域の超伝導量子干渉素子を用い、微小電流を
増幅し、かつ回路系の時定数を小さくすることが必要と
なる。しかし、超伝導放射線検出素子の動作温度は通常
1K以下で行われるが、今までの超伝導量子干渉素子の動
作温度は1K以上であったため一つのチップ上に作製する
ことは不可能であった。そのため、超伝導放射線検出器
の電子的回路の時定数を決定するインダクタンスが、超
伝導量子干渉素子の検出コイルのインダクタンスだけで
なく、超伝導量子干渉素子と超伝導放射線検出素子を結
ぶ配線のインダクタンスの足し算になるため、時定数が
大きくなる欠点があった。
【0007】また、超伝導放射線検出器と表面観察手段
を組み合わせた装置として、ナノメーターレベルで表面
を観察し、また同時に微小領域の組成分析を行う手段ま
たはその装置は、今までに報告されていない。また、超
伝導量子干渉素子の作製温度を200度以上に加熱する
と、超伝導量子干渉素子を構成するジョセフソン接合が
破壊され、機能しなくなることがあった。また、超伝導
量子干渉素子と超伝導放射線検出素子と走査型プローブ
顕微鏡用の探針を一つのチップ上に作製する方法は今ま
でに提示されていなかった。また、従来の超伝導量子干
渉素子のシャント抵抗材料として従来はアルミニウムや
モリブデン等が用いられてきたが、1K以下では両材料と
も超伝導に転移する。シャント抵抗が抵抗として機能し
ないと、超伝導量子干渉素子の電流―電圧特性はショー
トするため、1K以下で超伝導になるアルミニウムやモリ
ブデンを用いることはできない。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明に関わる超伝導放射線検出器は、1K以
下の冷却が可能な冷却装置を用いて動作する超伝導放射
線検出器において、1K以下で動作可能な超伝導量子干渉
素子と1K以下で動作する超伝導放射線検出素子が一つの
チップ上に作製されている超伝導放射線検出器を用い
る。これにより、1K以下で動作可能な超伝導量子干渉素
子と1K以下で動作する超伝導放射線検出素子を同一チッ
プに組み合わせた結果、回路系全体のインダクタンスを
小さくすることができたため、時定数が短い超伝導放射
線検出器を得ることができる。その結果、従来よりカウ
ントレートが高い超伝導放射線検出器を得ることができ
る。
【0009】また、1K以下の冷却が可能な冷却装置を用
いて動作する超伝導放射線検出器において、1K以下で動
作可能な超伝導量子干渉素子と1K以下で動作する超伝導
放射線検出素子と走査型プローブ顕微鏡用の探針が一つ
のチップ上に作製されている超伝導放射線検出器を用い
る。このように、1K以下で動作可能な超伝導量子干渉素
子と1K以下で動作する超伝導放射線検出素子と走査型プ
ローブ顕微鏡用の探針が一つのチップ上に作製されてい
る超伝導放射線検出器を用いることにより、ナノメータ
ーレベルで試料の表面形状を観察することが可能とな
り、また探針付近の微小領域の組成分析も可能となる。
その結果、従来にはない表面形状観察と組成分析が行う
ことができる超伝導放射線検出器を得ることができる。
【0010】また、1K以下の冷却が可能な冷却装置を用
いて動作する超伝導放射線検出器の製造方法において、
基部に1K以下で動作する超伝導放射線検出素子を作製す
る工程と、1K以下で動作可能な超伝導量子干渉素子を作
製する工程と、走査型プローブ用の探針を作製する工程
からなる超伝導放射線検出器の製造方法を用いる。探針
作製温度が200度以下のため、超伝導量子干渉素子のジ
ョセフソン接合を破壊することがない。そのため、超伝
導量子干渉素子と超伝導放射線素子と走査型プローブ用
の探針を一つのチップに作製することができる。その結
果、ナノメーターレベルで試料の表面形状を観察するこ
とが可能となり、また探針付近の微小領域の組成分析も
可能となる。以上から、作製温度200度以下の超伝導放
射線検出器の製造方法を得ることができる。
【0011】また、1K以下の冷却が可能な冷却装置を用
いて動作する超伝導放射線検出器装置において、1K以下
で動作する超伝導放射線検出素子と、走査型プローブ顕
微鏡用の探針が一つのチップ上に作製されている超伝導
放射線検出器と、超伝導放射線検出器を冷却する冷却機
構と、超伝導放射線検出器と試料間の距離を調整する距
離制御機構と、放射線の導入窓からなる超伝導放射線検
出器を用いた装置を用いる。これにより、1K以下で動作
可能な超伝導量子干渉素子と、1K以下で動作する超伝導
放射線検出素子と、走査型プローブ顕微鏡用の探針が一
つのチップ上に作製されている超伝導放射線検出器と、
超伝導放射線検出器を冷却する冷却機構と、超伝導放射
線検出器と試料間の距離を調整する距離制御機構と、放
射線の導入窓からなる超伝導放射線検出器用装置を用い
ることにより、走査型プローブの探針から得られる2次
元的な表面形状を得るだけではなく、同時に走査型プロ
ーブ探針にon-chip化されている超伝導放射線検出器に
より試料の2次元的な組成分析も行うことができる。以
上から、1K以下の冷却が可能な冷却装置を用いて動作す
る超伝導デバイスの装置を得ることができる。
【0012】また、1K以下の冷却が可能な冷却装置を用
いて動作する超伝導放射線検出器において、超伝導量子
干渉素子の抵抗材料として非超伝導材料を用いる超伝導
放射線検出器を用いる。その結果、超伝導量子干渉素子
と超伝導放射線検出器は、共に1K以下で動作が可能とな
るため、on-chip化することができ、その結果カウント
レートの高い超伝導放射線検出器を得ることができる。
また、走査型プローブ顕微鏡用の探針と組み合わせるこ
とにより表面形状測定と組成分析を同時に行うことがで
きる。以上から、1K以下の冷却が可能な冷却装置を用い
て動作する超伝導放射線検出器を得ることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に関わる超伝導デバ
イスとその製造方法とその装置の実施の形態を図面を基
づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこ
の発明が限定されるものではない。 [実施の形態1]図1は、1K以下で動作可能な超伝導デ
バイスにおいて、1K以下で動作可能な超伝導量子干渉素
子と1K以下で動作する超伝導放射線検出素子が一つのチ
ップ上に作製されている超伝導放射線検出器を表す概略
図である。構成は、放射線を吸収し、電流信号変化する
超伝導放射線検出素子1と、その電流信号を磁場信号に
変換するコイル2と、超伝導放射線検出素子1に一定の電
圧をかける、または電流を流すための外部回路をつなぐ
パッド3と、コイル2で発生した磁場信号を電圧信号に変
換する超伝導量子干渉素子4と、超伝導量子干渉素子で
発生した電圧信号が、超伝導量子干渉素子4自身が持つ
抵抗により電流信号に変換され、その電流信号を磁場信
号に変換するための複数個からなるコイル5と、超伝導
量子干渉素子4を駆動させるために外部回路と接続させ
るためのパッド6と、コイル5で発生した磁場信号を電圧
信号に変換する複数個からなる超伝導量子干渉素子7
と、超伝導量子干渉素子7で発生した電圧信号を読みと
るため、かつ超伝導量子干渉素子7を駆動させるために
外部回路と接続させるためのパッド8からなる。
【0014】外部から放射された放射線は、超伝導放射
線検出素子1に入射し、超伝導放射線検出素子1内で電流
信号を発生させコイル2で磁場信号に変換された後、同
一チップ上にある超伝導量子干渉素子4の検出コイルで
その磁場信号を電圧信号に変換し、超伝導量子干渉素子
4自身が持つ抵抗により電圧信号は電流信号に変換さ
れ、電流信号は超伝導量子干渉素子4に直列に接続され
たコイル5により、磁場信号に変換される。コイル5によ
り発生した磁場信号は、超伝導量子干渉素子7により電
圧信号に変換されるが、コイル5と超伝導量子干渉素子7
が共にN個あったとすると、一つの超伝導量子干渉素子
あたりΔVの電圧が発生すると、超伝導量子干渉素子7の
出力電圧はN(ΔV)になる。この電圧が外部に取り出され
る。
【0015】次に超伝導放射線検出素子1をTES(Transit
ion Edge Sensor)として具体的に説明する。TESの動作
原理は例えば、Applied PhysicsLetter66,1998(1995)等
で説明されている。TESは放射線吸収体と温度または電
流で変化する抵抗体で構成されており、外部から放射さ
れた放射線を吸収し、抵抗体に流れる電流を変化させる
超伝導放射線検出素子である。TESを動作させるための
電気的等価回路を図2に示す。構成は、超伝導放射線検
出素子1R(I,T)と、入力抵抗9Rinと、,シャント抵抗10Rs
と、電源11と、コイル2からなる。回路は定電圧駆動で
動作する。入力電圧をVin、TESに流れる電流をIとする
と次の関係式を導くことができる。
【0016】
【数1】
【0017】Lはコイル2のインダクタンスと、コイル5
のインダクタンスと、超伝導放射線素子4とコイル5を結
ぶ配線によるインダクタンスの和を表す。この式から時
定数(τel)を求めると、次の式になる。
【0018】
【数2】
【0019】ただし、I0、R0、T0はTESに放射線が入射
されていない時の定常電流と抵抗値と温度である。この
式からわかることは時定数を短くするためには、全体の
コイルのインダクタンスを小さくする、または回路の抵
抗を小さくすることが必要である。今までは、超伝導放
射線検出素子と超伝導量子干渉素子が同一のチップ上で
作製できないため、超伝導量子干渉素子4とコイル5の接
続配線が余計なインダクタンスとなり時定数が短縮でき
なかったが、実施の形態1により超伝導量子干渉素子の
動作温度が1K以下で可能となったため、両者を同一のチ
ップ上に作製できるようになり、時定数を大幅に短縮す
ることが可能となった。
【0020】これにより、1K以下で動作可能な超伝導量
子干渉素子と1K以下で動作する超伝導放射線検出素子を
同一チップに組み合わせた結果、回路系全体のインダク
タンスを小さくすることができたため、時定数が短い超
伝導放射線検出器を得ることができた。その結果、従来
よりカウントレートが高い超伝導放射線検出器を得るこ
とができた。
【0021】[実施の形態2]図3は、1K以下で動作可
能な超伝導デバイスにおいて、1K以下で動作可能な超伝
導量子干渉素子と1K以下で動作する超伝導放射線検出素
子と走査型プローブ顕微鏡用の探針が一つのチップ上に
作製されている超伝導放射線検出器を表す概略図であ
る。
【0022】構成は、放射線を吸収し、電流信号変化す
る超伝導放射線検出素子1と、その電流信号を磁場信号
に変換するコイル2と、超伝導放射線検出素子1に一定の
電圧をかける、または電流を流すための外部回路をつな
ぐパッド3と、コイル2で発生した磁場信号を電圧信号に
変換する超伝導量子干渉素子4と、超伝導量子干渉素子4
で発生した電圧信号が、超伝導量子干渉素子4自身が持
つ抵抗により電流信号に変換され、その電流信号を磁場
信号に変換するための複数個からなるコイル5と、超伝
導量子干渉素子4を駆動させるために外部回路と接続さ
せるためのパッド6と、コイル5で発生した磁場信号を電
圧信号に変換する複数個からなる超伝導量子干渉素子7
と、超伝導量子干渉素子6で発生した電圧信号を読みと
るため、かつ超伝導量子干渉素子7を駆動させるために
外部回路と接続させるためのパッド8と、からなる。試
料と超伝導放射線素子1の距離を制御するための走査型
プローブ顕微鏡用の探針12と、走査型プローブ顕微鏡用
の探針12からの信号を外部に取り出すためのパッド13か
らなる。
【0023】試料と超伝導放射線検出器の距離制御を、
トンネル電流で行う場合、走査型プローブ顕微鏡用の探
針12は導電率がある材料で作られる。また、1K以下で動
作する超伝導放射線検出素子1としてTESまたはSTJどち
らでもかまわないが、ここではTESを用いて説明する。S
TJは、Single Tunneling Juntionを表し、超伝導体内に
吸収された放射線により、クーパー対が破壊され、それ
により発生する準粒子の増加を測定する方式である。例
えば、M.Frank al.Rev.Sci.Instrum,69,25(1998)があ
る。TESは、放射線を吸収するための吸収体と、吸収体
で発生した熱により抵抗値が変化する抵抗体からなる。
このとき吸収体と抵抗体は、熱コンダクタンスがなるべ
く0に近くなるように設計される。
【0024】超伝導放射線検出器は、超伝導放射線検出
素子を構成する抵抗体の相転移温度より低く冷却しなく
てはならないため、相転移温度以下に冷却された熱相に
取り付けられる。TESの平衡状態は、TESを構成する抵抗
体の発熱とTESと熱相の熱交換のバランスによって決定
される。TESを平行状態にした後、走査型プローブ顕微
鏡用の探針12と試料を、両者の間にトンネル電流が流れ
るまで近づける。トンネル電流が流れ始めたところで、
近づけることをやめる。トンネル電流を一定にして、試
料表面上を走査すれば、試料表面の形状を測定すること
ができる。
【0025】走査型プローブ顕微鏡用の探針12と試料が
近づいている状態で、試料から放射線が放出されると、
TESの吸収体に吸収される。このとき、試料と吸収体間
距離が短いため、試料の局所的な箇所からの放射線のみ
検出することができる。放射線の吸収により吸収体は発
熱するため、吸収体に接合されている抵抗体の抵抗値が
増加し、抵抗体を流れる電流が変化する。TESと同じ配
線上にあるコイル2には、電流変化によって磁場信号が
発生する。発生した磁場信号は、超伝導量子干渉素子4
で電圧信号に変換され、超伝導量子干渉素子4が持つ抵
抗により電流信号に変化され、電流信号はコイル5で磁
場信号に変換され、超伝導量子干渉素子7により電圧信
号に変換される。試料からの放射線と電圧信号は1対1
に対応するため、電圧信号を観測することにより、放射
線を検出することができる。
【0026】以上のように1K以下で動作可能な超伝導量
子干渉素子と1K以下で動作する超伝導放射線検出素子と
走査型プローブ顕微鏡用の探針が一つのチップ上に作製
されている超伝導放射線検出器を用いることにより、ナ
ノメーターレベルで試料の表面形状を観察することが可
能となり、また探針付近の微小領域の組成分析も可能と
なった。その結果、従来にはない表面形状観察と組成分
析が行うことができる超伝導放射線検出器を得ることが
できた。
【0027】[実施の形態3]図4は、1K以下で動作可
能な超伝導デバイスにおいて、基部に1K以下で動作する
超伝導放射線検出素子を作製する工程と、1K以下で動作
可能な超伝導量子干渉素子を作製する工程と、走査型プ
ローブ用の探針を作製する工程を表す概略図である。
【0028】図4(a)〜(d)は、超伝導放射線検出素子1
を作製する工程を表す図である。超伝導放射線検出器と
して、例えばTESを用いた場合を示す。TESは、放射線を
吸収する吸収体14と、吸収体で発生した熱によりその抵
抗値を変化させる抵抗体15と、抵抗体を支える基部16か
ら構成されている。基部16として例えばシリコンを用
い、表面を例えば窒素により絶縁膜を形成したあと、図
4(a)のように後に抵抗体を形成する基部16の裏面をエ
ッチングする。シリコンのエッチングは、例えば水酸化
カリウム溶液により可能である。その後、図4(b)のよ
うにエッチングされた基部の絶縁膜上に、抵抗体15を作
製する。抵抗体15として例えばチタンを用いることがで
きる。成膜方法は、スパッタ、蒸着、CVD等が可能であ
る。成膜条件を変化させることにより、TESの動作温度
を任意に選択することができる。また、超伝導体になら
に材料を連続して成膜することにより近接効果を用いて
動作温度を変化させることもできる。例えばチタン膜厚
が50nm程度の時、動作温度は0.5K程度である。その後、
図4(c)のように吸収体14を抵抗体の上に、例えばスパ
ッタをもちいて作製する。吸収体14材料として、例えば
金を用いることができる。成膜方法は、スパッタ、蒸
着、CVD等が可能である。抵抗体15、吸収体14を成膜し
た後、例えばレジストを用いて抵抗体15、吸収体14を設
計にあわせてパターニングを行う(図4(d))。金は、
例えばヨウ化カリウム液で、チタンはCF4+O2ガスを用い
たRIEによりエッチングを行うことができる。また、抵
抗体15、吸収体14を成膜する際に、例えばメタルマスク
を用いてセルフパターニングを行っても良い。
【0029】図4(e)は、超伝導量子干渉素子4と、コイ
ル2と、超伝導量子干渉素子7と、コイル5と、パッド3、6
と、超伝導放射線検出素子1を形成した超伝導放射線検
出器を真上からみた模式図である。超伝導量子干渉素子
の製造方法は、例えば特開平10-242537がある。素子内
の配線は、たとえばアルミニウムを用いて結線する。結
線する材料としては、TESの動作温度で超伝導になる材
料が望ましい。結線を作製するときに、走査型プローブ
顕微鏡用探針を作製するためのパッド13と電極17も形成
する。
【0030】次工程として、走査型プローブ顕微鏡用探
針を作製する時に、超伝導放射線検出素子と超伝導量子
干渉素子の保護膜となる絶縁膜18を成膜する。絶縁膜18
としてたとえば2酸化珪素を用いることができる。図4
(f)は図4(e)の点線Aに沿った断面図を表す。走査型プ
ローブ顕微鏡用探針を作製するためのコンタクトホール
を、たとえばRIEを用いることにより形成する。2酸化
珪素のRIEによるエッチングは、例えばCHF3+O2ガスによ
り行われる。
【0031】図4(g)は、磁気検出コイルの中心にコン
タクトホールを形成された基部16に走査型プローブ顕微
鏡用の探針12を形成する工程を表したものであり、電解
析出法により走査型プローブ顕微鏡用の探針12を形成す
る状態を表す模式図である。電解析出法とは、金属粒子
を溶かした溶液19中に2つの電極間を十分狭く配置し電
極間に電圧を印加すると、電極に溶液中に溶けている金
属が析出される。また、一方の電極を探針のような先端
が尖った形状にすると、走査型プローブ顕微鏡用探針先
端にのみ強電界が加わるため、走査型プローブ顕微鏡用
探針先端にのみ溶液に含まれる金属の析出を行うことが
できる。
【0032】具体的には、はじめに検出コイルの中心に
コンタクトホールを形成された基部16をパッド13と電解
析出用探針20の間に電源21を設置する。次に電解析出用
探針20をコンタクトホールの中心に移動させ、トンネル
電流検出用電極17と電解析出用探針20を近づける。近づ
ける距離の目安は、トンネル電流がトンネル電流検出用
電極17と電解析出用探針20間で検出されることで判断さ
れる。ここで電解液19中に溶けている金属粒子はプラス
の電荷をもっているとする。トンネル電流検出用電極17
から電解析出用探針20に電流が流れるようにすると、金
属粒子がトンネル電流検出用電極17上に析出される。ト
ンネル電流検出用電極17上に析出される析出金属の広が
りは電解析出用探針20の曲率半径でおよそ決まる。曲率
半径が小さいほど、広がりは狭くすることができる。そ
の後の過程は、電解析出用探針20とトンネル電流検出用
電極17上に析出された金属析出の間でトンネル電流の大
きさが決定されるため、トンネル電流を一定になるよう
に電解析出用探針20を上に引き上げると、それに応じて
析出金属が高く析出されることになる。析出金属が目的
の高さになったところで、トンネル電流の供給を停止す
る。
【0033】また、トンネル電流検出用の電極17と電解
析出用探針20を近づける方法として、次のようなことも
可能である。例えば、2種類の金属板A、Bを非接触状
態で溶液中に浸漬した場合、次のような反応が起こり、
金属板Aの方が金属板Bよりもイオン化しやすいとす
る。このとき、金属板A上で起こる反応としては、 M1→M1 n++ne- (1) M1 n++ne-→M1 (2) 金属板B上で起こる反応としては、 M2→M2 n++ne- (3) M2 n++ne-→M2 (4) であり、金属板Aの平衡電位は(1)式と(2)式の反
応が平衡状態になるときの電位であり、金属板Bの平衡
電位は(3)式と(4)式の反応が平衡状態になるとき
の電位である。
【0034】ここで、金属板Aを電解析出用探針とし、
金属板Bをトンネル電流検出用電極とし、参照電極を基
準としてトンネル電流検出用電極の電位を測定した場
合、トンネル電流検出用の電極の電位は、(1)式と
(2)式の反応が平衡になるときの電位を測定すること
になる。一方、金属板Bが金属板Aに接触すると、金属
板Aは金属板Bよりもイオン化しやすいので、(1)式
の反応は(3)式の反応より起こりやすく、(4)式の
反応は(2)式の反応より起こりやすくなる。即ち、
(1)式及び(4)式の反応の平衡状態が主体となる電
位が測定されると推察される。
【0035】以上より、金属板同士が接触することで化
学反応の平衡状態に変化が生じるので、例えば、電解析
出用探針に対するトンネル電流検出用電極の電圧をモニ
タすることにより電解析出用探針20とトンネル電流検出
用電極17が接触したことを検出することができる。以上
のように基部に1K以下で動作する超伝導放射線検出素子
を作製する工程と、1K以下で動作可能な超伝導量子干渉
素子を作製する工程と、走査型プローブ用の探針を作製
する工程を用いることにより、探針作製温度が200度以
下のため、超伝導量子干渉素子のジョセフソン接合を破
壊することがない。そのため、超伝導量子干渉素子と超
伝導放射線素子と走査型プローブ用の探針を一つのチッ
プに作製することができる。その結果、ナノメーターレ
ベルで試料の表面形状を観察することが可能となり、ま
た探針付近の微小領域の組成分析も可能となる。以上か
ら、作製温度200度以下の超伝導放射線検出器の製造方
法を得ることができる。
【0036】[実施の形態4]図5は、1K以下の冷却が
可能な冷却装置を用いて動作する超伝導デバイスにおい
て、1K以下で動作可能な超伝導量子干渉素子と、1K以下
で動作する超伝導放射線検出素子と、走査型プローブ顕
微鏡用の探針が一つのチップ上に作製されている超伝導
放射線検出器と、超伝導放射線検出器を冷却する冷却機
構と、超伝導放射線検出器と試料間の距離を調整する距
離制御機構と、放射線の導入窓からなる超伝導放射線検
出器を用いた装置を表す概略図である。
【0037】超伝導放射線検出器22は、試料から放射さ
れる放射線を検出する超伝導放射線検出素子と、超伝導
放射線検出素子で発生した微小信号を検出、増幅するた
めの超伝導量子干渉計と、試料と超伝導放射線検出器間
にトンネル電流またはファンデルワールス力を発生する
ための走査型プローブ顕微鏡用の探針12からなる。冷却
機構は、素子の動作温度が1K以下であるため、素子を1K
以下まで冷却する必要があり、液体ヘリウムだと2Kまで
しか冷却されないため例えば断熱消磁冷凍機を用いる必
要がある。参考文献として、C.Hagmann and P.L.Richar
ds Cryogenics,34,221(1994)がある。超伝導放射線検出
器と試料間の距離を調整する距離制御機構は、試料と走
査型プローブ顕微鏡用の探針12の距離を測定する距離測
定手段と、距離測定手段で測定した距離からフィードバ
ック信号を発生させる距離制御回路と、このフィードバ
ックにより走査型プローブ顕微鏡用の探針12と試料間の
距離を変化させる粗動機構と微動機構からなっている。
距離測定手段は、例えば試料23と走査型プローブ顕微鏡
用の探針12間を流れるトンネル電流の変化を測定するこ
とにより行われる。粗動機構24は例えばステッピングモ
ーターとラックアンドピニオンを、微動機構25はピエゾ
素子を用いることができる。また、装置全体はコンピュ
ーター26により制御されている。
【0038】超伝導放射線検出器22は、1K以下まで冷却
可能な冷却機構のコールドヘッド部27に取り付けられ
る。超伝導放射線検出器22はコールドヘッド部27に取り
付けられた後、試料23と超伝導放射線検出器22間を流れ
るトンネル電流の変化を処理するためのコンピュータ26
に取り付けられる。また、コンピューター26は試料23か
ら発生した信号放射線28により生じる微小信号も処理す
る。試料23は、微動機構25の上に取り付けられる。ま
た、超伝導放射線検出器22は、定電圧駆動するための電
源A29と超伝導量子干渉計を駆動させるための電源B30に
接続される。
【0039】接続が完了したら、例えば試料23を基準電
位とし、走査型プローブ顕微鏡用の探針12に電圧を印加
する。粗動機構24を始め用いて、試料23を走査型プロー
ブ顕微鏡用の探針12に近づける。両者間にトンネル電流
が流れる前に、微動機構25を用いて走査型プローブ顕微
鏡用の探針12を近づける。試料23と走査型プローブ顕微
鏡用の探針12間に、トンネル電流が流れ始めたら微動機
構25を止める。走査型プローブ顕微鏡用の探針12からの
電気信号は、フィードバック信号33としてコンピュータ
ー26に取り込まれ、試料23と走査型プローブ顕微鏡用の
探針12間のトンネル電流が一定になるようにコンピュー
ター26から制御信号34が、粗動機構24と微動機構25に送
られ、試料23と走査型プローブ顕微鏡用の探針12間距離
が一定になる。走査型プローブ顕微鏡用の探針12を試料
23表面上で、トンネル電流を一定にするように走査する
と、表面形状の情報が得られる。
【0040】このとき、放射線導入窓31から励起用放射
線32を入射し、試料232を照射させる。試料23内で発生
した放射線は、信号放射線28として試料23外部に取り出
される。この信号放射線28が、超伝導放射線検出器22の
吸収体に取り込まれると、超伝導放射線検出器22内で信
号放射線28は熱または電子に変換され、それにともなう
微小電流が増幅され、増幅された微小信号35が外部に取
り出される。この微小信号35はコンピューター26で処理
される。このとき、超伝導放射線検出器22と試料23が近
くにいるため、走査型プローブ顕微鏡用の探針12付近か
ら発生した信号放射線28のみ検出することができる。そ
のため、走査型プローブ顕微鏡用の探針12を走査したと
きに、表面形状の2次元的な情報が得られるだけでな
く、試料の2次元的な信号放射線28の情報も得ることが
できる。試料23の2次元的な信号放射線28の情報とは、
例えば試料の2次元的な組成情報を表す。
【0041】また、信号放射線28を発生させる方法とし
て、励起用放射線32を入射させるのではなく、電子線を
試料にあてて、信号放射線28を発生させることも可能で
ある。これにより、1K以下で動作可能な超伝導量子干渉
素子と、1K以下で動作する超伝導放射線検出素子と、走
査型プローブ顕微鏡用の探針が一つのチップ上に作製さ
れている超伝導放射線検出器と、超伝導放射線検出器を
冷却する冷却機構と、超伝導放射線検出器と試料間の距
離を調整する距離制御機構と、放射線の導入窓からなる
超伝導放射線検出器用装置を用いることにより、走査型
プローブの探針から得られる2次元的な表面形状を得る
だけではなく、同時に走査型プローブ探針にon-chip化
されている超伝導放射線検出器により試料の2次元的な
組成分析も行うことができる。以上から、1K以下の冷却
が可能な冷却装置を用いて動作する超伝導デバイスの装
置を得ることができる。
【0042】[実施の形態5]図6は、1K以下の冷却が
可能な冷却装置を用いて動作する超伝導デバイスにおい
て、超伝導量子干渉素子の抵抗材料として非超伝導材料
を用いる超伝導放射線検出器を表す概略図である。構成
は位相差を接合間で発生させるジョセフソン接合36と、
接合の抵抗を見かけ上小さくするためのシャント抵抗37
と、超伝導リングを形成するためのワッシャーコイル38
と、電流を外部から流すため、かつ電圧を測定するため
のバイアスライン39からなる。シャント抵抗の材料とし
て例えば、金、銀、白金、銅、クロム、マンガン、鉄、
ニッケル、コバルトがある。またこれらの材料は、シャ
ント抵抗以外の抵抗にも使用することができる。図7
は、温度と金40またはアルミニウム41抵抗の関係を表す
図である。金、アルミニウムとも4.2Kにおける抵抗値で
規格化されている。金抵抗は1K以下では温度に対して変
化しないが、アルミニウムは1K程度から超伝導に転移
し、抵抗値が0になる。このように金抵抗を用いること
により、1K以下で抵抗が機能することがわかる。また例
として0.3Kで超伝導量子干渉素子を動作させたときの電
流―電圧特性を図8に、磁束―電圧特性を図9に示す。
このように金40のシャント抵抗を用いることにより、1K
以下で超伝導量子干渉素子が動作することがわかる。臨
界電流の大きさと温度の関係を調べると、超伝導量子干
渉素子を冷却するにつれて熱雑音にともなう電流が減少
するため、臨界電流が大きくなることがわかる。次に金
のシャント抵抗の作製方法を以下に示す。例えば基板に
熱酸化シリコン基板を用いた場合、金と二酸化珪素の密
着性が悪いため、バッファ層を使う。バッファ層とし
て、チタン、クロム等がある。チタンを用いた場合、金
とチタンをスパッタ法で真空を破ることなく、成膜する
ことが望ましい。成膜方法は、加熱蒸着、CVDなどでも
よい。また、Tiが厚いと超伝導に転移することもあるの
で、十分薄くすることが望ましい。その後、レジストを
塗布し目的の型にパターニングする。レジストはポジ、
ネガどちらでも良い。金をKI+Iでウェットエッチングし
た後、チタンをRIEでレジストを剥離しないでドライエ
ッチングする。エッチングガスとして例えば、CF4+O2を
用いることができる。その後、レジストを除去すること
で金抵抗を得ることができる。この金40の抵抗を実施の
形態1から4の中で使用される超伝導量子干渉素子のシ
ャント抵抗材料として用いることができる。その結果、
超伝導量子干渉素子と超伝導放射線検出器は、共に1K以
下で動作が可能となるため、on-chip化することがで
き、その結果カウントレートの高い超伝導放射線検出器
を得ることができる。また、走査型プローブ顕微鏡用の
探針と組み合わせることにより表面形状測定と組成分析
を同時に行うことができる。以上から、1K以下の冷却が
可能な冷却装置を用いて動作する超伝導放射線検出器を
得ることができる。
【0043】
【発明の効果】以上で説明したように、本発明によれ
ば、1K以下で動作可能な超伝導デバイスにおいて、1K以
下で動作可能な超伝導量子干渉素子と1K以下で動作する
超伝導放射線検出素子が一つのチップ上に作製されてい
る超伝導放射線検出器を用いることにより、回路系全体
のインダクタンスを小さくすることができたため、時定
数が短い超伝導放射線検出器を得ることができる。その
結果、従来よりカウントレートが高い超伝導放射線検出
器をえることができる。
【0044】また、本発明によれば、1K以下で動作可能
な超伝導デバイスにおいて、1K以下で動作可能な超伝導
量子干渉素子と1K以下で動作する超伝導放射線検出素子
と走査型プローブ顕微鏡用の探針が一つのチップ上に作
製されている超伝導放射線検出器を用いることにより、
ナノメーターレベルで試料の表面形状を観察することが
可能となり、また探針付近の微小領域の組成分析も可能
となる。その結果、従来にはない表面形状観察と組成分
析が行うことができる超伝導放射線検出器を得ることが
できる。
【0045】また、本発明によれば、1K以下で動作可能
な超伝導デバイスにおいて、基部に1K以下で動作する超
伝導放射線検出素子を作製する工程と、1K以下で動作可
能な超伝導量子干渉素子を作製する工程と、走査型プロ
ーブ用の探針を作製する工程を用いることにより、探針
作製温度が200度以下のため、超伝導量子干渉素子のジ
ョセフソン接合を破壊することがない。そのため、超伝
導量子干渉素子と超伝導放射線素子と走査型プローブ用
の探針を一つのチップに作製することができる。その結
果、ナノメーターレベルで試料の表面形状を観察するこ
とが可能となり、また探針付近の微小領域の組成分析も
可能となる。以上から、作製温度200度以下の超伝導放
射線検出器の製造方法を得ることができる。
【0046】また、本発明によれば、1K以下の冷却が可
能な冷却装置を用いて動作する超伝導デバイスにおい
て、1K以下で動作可能な超伝導量子干渉素子と、1K以下
で動作する超伝導放射線検出素子と、走査型プローブ顕
微鏡用の探針が一つのチップ上に作製されている超伝導
放射線検出器と、超伝導放射線検出器を冷却する冷却機
構と、超伝導放射線検出器と試料間の距離を調整する距
離制御機構と、放射線の導入窓からなる超伝導放射線検
出器を用いた装置を用いることにより、走査型プローブ
の探針から得られる2次元的な表面形状を得るだけでは
なく、同時に走査型プローブ探針にon-chip化されてい
る超伝導放射線検出器により試料の2次元的な組成分析
も行うことができる。以上から、1K以下の冷却が可能な
冷却装置を用いて動作する超伝導デバイスの装置を得る
ことができる。
【0047】また、本発明によれば、1K以下の冷却が可
能な冷却装置を用いて動作する超伝導デバイスにおい
て、超伝導量子干渉素子の抵抗材料として非超伝導材料
を用いる超伝導放射線検出器を用いることにより、超伝
導量子干渉素子と超伝導放射線検出器は、共に1K以下で
動作が可能となるため、on-chip化することができ、そ
の結果カウントレートの高い超伝導放射線検出器を得る
ことができる。また、走査型プローブ顕微鏡用の探針と
組み合わせることにより表面形状測定と組成分析を同時
に行うことができる。以上から、1K以下の冷却が可能な
冷却装置を用いて動作する超伝導放射線検出器を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に関わる超伝導放射線検
出器を示す概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1に関わる超伝導放射線検
出器の駆動回路を示す概略図である。
【図3】本発明の実施の形態2に関わる超伝導放射線検
出器を示す概略図である。
【図4】本発明の実施の形態3に関わる超伝導放射線検
出器の製造方法を示す概略図である。
【図5】本発明の実施の形態4に関わる超伝導放射線検
出器装置を示す概略図である。
【図6】本発明の実施の形態5に関わる超伝導量子干渉
素子を示す概略図である。
【図7】本発明の実施の形態5に関わる抵抗-温度の関
係を示す概略図である。
【図8】本発明の実施の形態5に関わる電流-電圧の関
係を示す概略図である。
【図9】本発明の実施の形態5に関わる磁束-電圧の関
係を示す概略図である。
【符号の説明】
1 超伝導放射線検出素子 2 コイル 3 パッド 4 超伝導量子干渉素子 5 コイル 6 パッド 7 超伝導量子干渉素子 8 パッド 9 入力抵抗 10 シャント抵抗 11 電源 12 走査型プローブ顕微鏡用の探針 13 パッド 14 吸収体 15 抵抗体 16 基部 17 トンネル電流検出用電極 18 絶縁膜 19 電解液 20 電界析出用探針 21 電源 22 超伝導放射線検出器 23 試料 24 粗動機構 25 微動機構 26 コンピューター 27 コールドヘッド部 28 信号放射線 29 電源A 30 電源B 31 放射線導入口 32 励起用放射線 33 フィードバック信号 34 制御信号 35 微小信号 36 ジョセフソン接合 37 シャント抵抗 38 ワッシャーコイル 39 バイアスライン 40 金の抵抗 41 アルミニウムの抵抗

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1K以下の冷却が可能な冷却装置を用いて
    動作する超伝導放射線検出器において、 1K以下で動作可能な超伝導量子干渉素子と1K以下で動作
    する超伝導放射線検出素子が一つのチップ上に作製され
    ていることを特徴とする超伝導放射線検出器。
  2. 【請求項2】 1K以下の冷却が可能な冷却装置を用いて
    動作する超伝導放射線検出器において、 1K以下で動作可能な超伝導量子干渉素子と1K以下で動作
    する超伝導放射線検出素子と走査型プローブ顕微鏡用の
    探針が一つのチップ上に作製されていることを特徴とす
    る超伝導放射線検出器。
  3. 【請求項3】 1K以下の冷却が可能な冷却装置を用いて
    動作する超伝導放射線検出器の製造方法において、 基部に1K以下で動作する超伝導放射線検出素子を作製す
    る工程と、 1K以下で動作可能な超伝導量子干渉素子を作製する工程
    と、 走査型プローブ用の探針を作製する工程からなることを
    特徴とする超伝導放射線検出器の製造方法。
  4. 【請求項4】 1K以下の冷却が可能な冷却装置を用いて
    動作する超伝導放射線検出器装置において、 1K以下で動作する超伝導放射線検出素子と、 走査型プローブ顕微鏡用の探針が一つのチップ上に作製
    されている超伝導放射線検出器と、 超伝導放射線検出器を冷却する冷却機構と、 超伝導放射線検出器と試料間の距離を調整する距離制御
    機構と、放射線の導入窓からなることを特徴とする超伝
    導放射線検出器を用いた装置。
  5. 【請求項5】 超伝導放射線検出器において、前記超伝
    導量子干渉素子の抵抗材料として非超伝導材料を用いる
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載
    の超伝導放射線検出器。
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