JP2000282786A - シールド掘進機および掘削方法 - Google Patents

シールド掘進機および掘削方法

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JP2000282786A
JP2000282786A JP8604899A JP8604899A JP2000282786A JP 2000282786 A JP2000282786 A JP 2000282786A JP 8604899 A JP8604899 A JP 8604899A JP 8604899 A JP8604899 A JP 8604899A JP 2000282786 A JP2000282786 A JP 2000282786A
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Masatake Yasumoto
匡剛 安本
Konosuke Nakamura
幸之助 中村
Yoshio Iwai
義雄 岩井
Yasuhiko Asai
康彦 浅井
Yoshiharu Shimizu
義治 清水
Suguru Yoshida
英 吉田
Toshio Suzuki
俊夫 鈴木
Yuji Sakuma
裕治 佐久間
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GESUIDO SHINGIJUTSU SUISHIN KI
GESUIDO SHINGIJUTSU SUISHIN KIKO
IHI Corp
Toda Corp
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GESUIDO SHINGIJUTSU SUISHIN KI
GESUIDO SHINGIJUTSU SUISHIN KIKO
IHI Corp
Toda Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 地山を一定の大きさで切り出し掘削するため
のシールド掘進機および掘削方法を提供すること。 【解決手段】 地山を一定の大きさで切り出し掘削でき
るよう、ほぼ一定の間隔で先行掘削溝を形成する、進退
可能な先行ビット70〜75および進退不可能な先行ビ
ット80と、先行掘削溝の間の地山を切り出し掘削する
進退可能な後行ビット90とをカッタヘッド22に配置
し、ジャッキスピードやカッタヘッド22の回転数を制
御しながら掘進するシールド掘進機を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シールド掘進機お
よび掘削方法に関し、特に、比較的硬質な地盤の掘削に
際して土粒子の骨格構造を地山状態と同様に保持したま
まの状態(以下、固形状態という。)で、掘削土砂を流
体輸送して坑外へ搬出するためのシールド掘進機および
掘削方法に関する。
【0002】
【背景技術および発明が解決しようとする課題】従来か
ら、硬質地盤の掘削において、先行ビットにより先行掘
削溝を形成して地山に強度的な攪乱を与えた後、先行掘
削溝の両側の地山をメインビットで切削することが行わ
れている。
【0003】この場合、先行掘削溝はメインビットの切
削ガイドとしての機能が主であったため、形成された先
行掘削溝の形状、寸法や、先行ビットおよびメインビッ
トによる掘削土砂の性状、大きさ等は問題とされていな
かった。
【0004】したがって、事情が許す限り、先行掘削溝
の形成間隔を小さくし、かつ、隣接する先行掘削溝を同
時に形成することが、地山強度の低下を促進し、掘削を
容易に行う上で効果的であった。
【0005】しかし、掘削土砂を固形状態で、かつ、シ
ールド掘進機の掘削土砂の搬送設備が閉塞しない大きさ
で掘削することを目的とした場合、所定の間隔および形
状で先行掘削溝を形成し、先行掘削溝の間に掘り残され
た地山凸部を後行ビットで掘り起こし、所定の大きさお
よび形状で切り出して掘削すること(以下、切り出し掘
削という)が重要となる。
【0006】そこで、本発明では、有効かつ効率的な切
り出し掘削を行うことのできるシールド掘進機および掘
削方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係るシールド掘進機は、切羽に筋状の先行
掘削溝を所定間隔で形成するための複数の先行ビット
と、前記先行掘削溝の間の掘り残された地山凸部を切削
するための後行ビットとを含み、前記先行ビットおよび
前記後行ビットを備えたカッタヘッドの回転により、掘
進経路にある地山を、固形状態で切り出し掘削するシー
ルド掘進機であって、前記先行ビットは、前記カッタヘ
ッドに固設された第1の先行ビット群と、前記カッタヘ
ッドからのビット突出量を進退制御可能に前記カッタヘ
ッドに設けられた第2の先行ビット群とから構成されて
いることを特徴とする。
【0008】本発明によれば、第2の先行ビット群を掘
進方向に進退させることにより、先行掘削溝の切削溝の
切削深さ、すなわち、掘り残される地山の形成高さを適
宜制御することができる。したがって、切り出し掘削さ
れた固形状態の掘削土砂を所望の大きさでシールド掘進
機に取り込むことができる。
【0009】この場合、一定の切削深さで先行掘削溝を
形成する第1の先行ビット群と、第2の先行ビット群と
をカッタヘッドの所定位置に配置することが好ましい。
【0010】これによって、先行掘削溝の切削深さを変
えることができる。したがって、同一切削深さで先行掘
削溝を形成した場合に掘削物が薄片状となることを防止
し、塊状の掘削物として切り出し掘削することができ
る。
【0011】このような固形状態の掘削土砂を流体輸送
する場合には、比表面積の最も小さな球体が流体への溶
解を防ぐ意味においても望ましいが、実際には球体状で
切り出し掘削することは不可能である。このため、本発
明によって、ほぼ立方体に近い形状で掘削土砂をシール
ド掘進機に取り込み、流体への土粒子分の溶解を極力防
止して、流体輸送および固液分離作業の効率化を図るこ
とができ、有効かつ効率的な切り出し掘削を実現でき
る。
【0012】また、前記第2の先行ビット群は、前記カ
ッタヘッドの回転に伴って異なる軌跡を描く複数の先行
ビットを有する複数の先行ビットユニットとして構成さ
れることが好ましい。
【0013】このように、ユニット化することにより、
先行掘削溝の予定形成位置を正確に切削することがで
き、先行ビットの突出量の進退制御装置を含めた先行ビ
ットのカッタヘッドへの設置作業が合理化できる。
【0014】また、前記カッタヘッドが1回転する間
に、前記第1の先行ビット群と前記第2の先行ビット群
の少なくとも一部が、同一軌跡を描くように前記カッタ
ヘッドに配置されていることが好ましい。
【0015】これによれば、複数の先行ビットのうちの
一部を、同一軌跡を描くようにカッタヘッドに配置する
ことにより、それぞれの先行ビットがカッタヘッドの回
転に伴って異なる位相角で回転するので、異なる切削深
さで先行掘削溝を形成することになる。すなわち、第1
の先行ビットが形成した第1の先行掘削溝を、第2の先
行ビットがシールド掘進機の掘進した分だけ(同一のビ
ット長であっても)より深く切削した第2の先行掘削溝
を形成する。
【0016】したがって、掘削地山が硬質の固結土層で
所望の先行掘削溝の切削深さが1回の先行掘削で得られ
ない場合には、カッタヘッドが1回転する間に複数回に
分けて先行掘削を行うことになり、所望の先行掘削溝の
切削深さを確実に得ることができる。
【0017】また、前記後行ビットは、前記カッタヘッ
ドの回転方向が時計回りの場合に前記地山凸部を切削す
る第1の後行ビット群と、前記カッタヘッドの回転方向
が反時計回りの場合に前記地山凸部を切削する第2の後
行ビット群とから構成されることが好ましい。
【0018】これによれば、カッタヘッドを通常回転と
は逆の方向に回転させた場合でも、先行掘削溝の間に掘
り残された地山凸部を切り出し掘削することが可能なよ
うに、後行ビットが配置されているので、地山の土質特
性や、トンネル線形や、シールド掘進機の位置または姿
勢状況等に応じてカッタヘッドの回転方向を変更し、適
切な掘削を行うことができる。
【0019】また、カッタヘッドの回転方向を変更する
ことにより、一方向にのみ回転させる場合と比べてビッ
トの摩耗を低減できる。
【0020】また、前記後行ビットの少なくとも一部
は、前記地山凸部の複数を同時に切削可能な切削幅を有
することが好ましい。
【0021】これによれば、切り出し掘削の効率化と、
後行ビットの大型化、設置数量および設置作業時間の低
減化を図ることができる。特に、硬質地盤においては、
切削抵抗が大きくなるため、後行ビットの大型化によっ
て、カッタヘッドでの設置強度やビットの耐摩耗性の向
上を図ることが可能となる。
【0022】また、本発明に係る掘削方法は、先行ビッ
トを用いて掘削対象の地山に先行掘削溝を形成し、後行
ビットを用いて前記先行掘削溝の間に掘り残された地山
凸部を固形状態の掘削土砂として切り出し掘削し、当該
掘削土砂を、所定の輸送路を介して固形状態を保持しつ
つ坑外へ搬出する掘削方法であって、前記先行ビットの
少なくとも一部を掘進方向に進退可能に駆動制御するこ
とが好ましい。
【0023】先行ビットのカッタヘッドからの突出量を
制御可能にすることにより、先行掘削溝の切削溝の切削
深さ、すなわち、掘り残される地山の形成高さを適宜制
御することができる。また、3次元的にほぼ一定の大き
さ、すなわち、立方体に近い形状で固形状態として切り
出し掘削することができ、輸送路での閉塞防止、固液分
離等の点で有効な切り出し掘削が行える。
【0024】また、前記先行ビットおよび前記後行ビッ
トを有するカッタヘッドが1回転する間に、異なる先行
ビットによって所定位置に形成される先行掘削溝を複数
回にわたって切削することが好ましい。
【0025】これによれば、複数の先行ビットのうちの
一部を、同一軌跡を描くようにカッタヘッドに配置する
ことにより、それぞれの先行ビットがカッタヘッドの回
転に伴って異なる位相角で回転するので、異なる切削深
さで先行掘削溝を形成することになる。
【0026】すなわち、第1の先行ビットが形成した第
1の先行掘削溝を、第2の先行ビットがシールド掘進機
の掘進した分だけ(同一のビット長であっても)より深
く切削した第2の先行掘削溝を形成する。
【0027】したがって、掘削地山が硬質の固結土層で
所望の先行掘削溝の切削深さが1回の先行掘削で得られ
ない場合には、カッタヘッドが1回転する間に複数回に
分けて先行掘削を行うことになり、所望の先行掘削溝の
切削深さを確実に得ることができる。
【0028】また、前記輸送路における輸送媒体として
の液体に、前記掘削土砂が液体に溶解することを防止す
るための溶解防止剤を混入することが好ましい。
【0029】これによれば、切り出した掘削土砂の輸送
媒体への溶解量を低減させ、固形状態のまま回収するこ
とが可能となり、適切な固液分離ができる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明によるシールド掘進
機を活用した好適な実施の形態について、泥水式シール
ド工法を例にとり、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0031】図1は、本発明の実施の形態の一例に係る
泥水式シールド工法の全体図を示す。
【0032】泥水式シールド工法は、泥水をシールド掘
進機2内部のチャンバ210に供給して切羽200の安
定を図りながら、シールド掘進機2のカッタヘッド22
を回転させることにより、地山を掘削してトンネルを構
築する工法である。
【0033】泥水式シールド工法においては、切羽安定
のための泥水を作成し、切羽200に供給する作泥送泥
設備、泥水性状を調整する性状調整設備、切羽200を
掘削する掘削設備、切羽200掘削後の泥水を坑外へ搬
出する輸送設備、掘削後の泥水を適切に処理するための
泥水処理設備および掘削坑内で覆工構造を構築する覆工
構築設備等が用いられる。
【0034】掘削設備として機能するシールド掘進機2
は、掘進に伴ってセグメント26を順次継ぎ足し、セグ
メント26にジャッキ28で反力を取りながら、チャン
バ210に供給された泥水圧によって切羽圧に対抗しつ
つ、カッタヘッド22を回転させて地山を掘削する。
【0035】シールド掘進機2内部のチャンバ210に
供給される泥水は、地上の作泥設備または泥水処理設備
から送泥設備の一部である送泥管50を介して送られる
ものであり、切羽200の安定に用いられた泥水は、チ
ャンバ210内で掘削土砂と撹拌混合され、輸送設備の
一部である排泥管52を介して地上の泥水処理設備に送
られる。
【0036】なお、ここで、輸送設備とは、カッタヘッ
ド22から取り込まれた掘削土砂を坑外へ搬出する設備
全体を意味し、具体的には、例えば、チャンバ210、
流体輸送管として機能する排泥管52、圧送ポンプとし
て機能する排泥ポンプ102、沈殿槽、固液分離装置等
を含む。
【0037】泥水処理設備では、排泥水に含まれる掘削
土砂等の固形分と液体分とが分離(固液分離)され、分
離後の液体分は、調整槽で必要な成分調整が行われた
後、再度シールド掘進機2へ向け送り出され、送泥水と
して再利用される。
【0038】また、チャンバ210に送られる泥水は、
トンネル内の性状調整設備等により必要な性状調整がさ
れる。具体的には、トンネル内の性状調整設備は、調泥
剤タンク40と、送泥管50に設けられ、調泥剤タンク
40から供給された調泥剤と泥水とを混合撹拌するスタ
ティックミキサー44と、この混合撹拌後の泥水性状を
測定する粘性計46とを含んで構成されている。
【0039】必要に応じて調泥剤タンク40から所定の
調泥剤が添加され、スタティックミキサー44により撹
拌混合された送泥水は、粘性計46により粘性が測定さ
れ、チャンバ210に供給される。
【0040】粘性計46による測定結果は、制御装置4
8に送られ、制御装置48は、この測定結果に基づき調
泥剤の添加を調整する。
【0041】一方、チャンバ210から泥水処理設備へ
向け送り返される排泥水は、排泥管52に設けられた排
泥ポンプ102によって圧送される。
【0042】図2は、排泥ポンプ102の断面図を示
す。
【0043】排泥ポンプ102は、内部に回転する複数
の羽根体100−1、2を含む。したがって、掘削物1
10、すなわち、掘削後の土砂の大きさが羽根体100
相互の純間隔Lを超える場合、掘削物110により排泥
ポンプ102や排泥管52が閉塞し、輸送設備として機
能しない恐れがある。
【0044】この問題に対して、従来は、排泥ポンプ1
02等の輸送設備が閉塞しないよう、クラッシャー等を
新たに設けて掘削物110を破砕する方式が採られる場
合もあった。しかし、この方式では破砕された掘削物1
10が、排泥水中に溶解しやすくなるため、泥水処理設
備での分級処理効率が悪くなっていた。
【0045】排泥水への掘削物溶解が多くなると、泥水
処理設備において、1次処理で分級される固形分の量が
少なくなり、それに伴って2次処理で分級しなければな
らない処理量が多くなる。2次処理量が多くなると、2
次処理設備が大規模化し、そのために必要とされる立坑
用地の面積も大きくなる。
【0046】それゆえ、1次処理での分級量を増加させ
れば、2次処理を効率化し、必要な立坑用地を省面積化
することができる。
【0047】また、2次処理土は、水分を含む軟弱土で
あるため、産業廃棄物(汚泥)として取り扱われるの
で、その処分に関しても多大な労力と費用が必要とな
る。
【0048】すなわち、立坑用地を省面積化し、環境へ
の負荷を軽減し、処理費用を抑えるためには、掘削物1
10をできるだけ1次処理で分級することが必要であ
る。
【0049】したがって、掘削物110を排泥ポンプ1
02に詰まらない最大の大きさで掘削し、そのままの固
体の状態で坑外へ搬出することによって、掘削土砂を含
む排泥水の処理が効率化でき、環境負荷およびコストを
低減することになる。
【0050】本実施の形態では、掘削物110を排泥ポ
ンプ102等の輸送設備が閉塞しない最大の大きさで切
り出し掘削するよう、先行ビットおよび後行ビットを、
シールド掘進機2のカッタヘッド22に配置し、先行ビ
ットと後行ビットとの相互作用により、上記課題を解決
している。
【0051】なお、図2に示す排泥ポンプ102内の羽
根体100は2枚の構成となっているが、3枚以上の構
成としたり、1枚であっても図2に示す羽根体と同様の
形状とする構成とすることも可能である。
【0052】図3は、シールド掘進機2のカッタヘッド
22の正面図を示す。
【0053】シールド掘進機2のカッタヘッド22に
は、切羽200に所定間隔で筋状の先行掘削溝を形成す
る先行ビット70〜80と、この先行掘削溝の間に掘り
残された部分の地山を、固形状態で切り出し掘削する後
行ビット90が配置されている。
【0054】なお、ここで、固形状態とは、掘削に際し
て土粒子の骨格構造を地山状態と同様に保持したままの
状態を意味する。また、切り出し掘削とは、先行掘削溝
間の掘り残された地山凸部を、固形状態でほぼ一定の大
きさ以下に切削することを意味する。
【0055】先行ビット70〜80および後行ビット9
0は、地山をほぼ一定の大きさで切り出し掘削するよ
う、カッタヘッド22の回転に伴って生じる位相差を考
慮した上で、カッタヘッド22に配置されている。
【0056】例えば、図3に示す2点鎖線は、各先行ビ
ット70〜80の軌跡であり、各先行ビット70〜80
の各軌跡がほぼ等間隔になるよう、先行ビット70〜8
0がカッタヘッド22に配置され、各軌跡の間、すなわ
ち、先行ビット70〜80で掘削されなかった地山を掘
削するよう後行ビット90がカッタヘッド22に配置さ
れている。
【0057】具体的には、先行ビット74、75で掘削
されなかった地山を、後行ビット90−1、2で掘削す
る。同様に、先行ビット70、71に対しては、後行ビ
ット90−3、4が対応し、先行ビット72、73に対
しては、後行ビット90−5、6が対応する。その他の
先行ビット70〜80と、後行ビット90との対応につ
いても同様である。なお、実際の掘削動作については後
述する。
【0058】本実施の形態によれば、先行掘削溝相互の
間隔および切削深さを、例えば図2に示す羽根体100
相互の純間隔Lと同程度にすることにより、カッタヘッ
ド22の回転により当該部分を掘削した場合、固形状態
の掘削土砂の大きさをほぼLの大きさに揃えることがで
きる。
【0059】これにより、掘削物110の大きさを排泥
ポンプ102等の輸送設備につまらない最大の大きさと
することができ、クラッシャー等の土石破砕設備を不要
とし、できるだけ大きな大きさで排泥することができ
る。
【0060】また、先行ビット70〜80は、第1の先
行ビット群と第2の先行ビット群から構成されている。
ここで、第1の先行ビット群としては、カッタヘッド2
2に固設された先行ビット80が該当し、第2のビット
群としてはカッタヘッド22からのビット突出量を進退
制御可能にカッタヘッド22に設けられた先行ビット7
0〜75が該当する。
【0061】これによれば、第2の先行ビット群として
の先行ビット70〜75を掘進方向に進退させることに
より、先行掘削溝の切削溝の切削深さおよび切り出し掘
削深さを適宜制御することができる。したがって、切り
出し掘削された固形状態の掘削土砂を所望の大きさでシ
ールド掘進機2に取り込むことができる。
【0062】このような固形状態の掘削土砂を流体輸送
する場合には、比表面積の最も小さな球体が流体への溶
解を防ぐ意味においても望ましいが、実際には球体状で
切り出し掘削することは不可能である。このため、本実
施の形態によって、ほぼ立方体に近い形状で掘削土砂を
シールド掘進機2に取り込み、流体への土粒子分の溶解
を極力防止して、流体輸送および固液分離作業の効率化
を図ることができ、有効かつ効率的な切り出し掘削を実
現できる。
【0063】また、第2の先行ビット群としての先行ビ
ット70〜75は、カッタヘッド22の回転に伴って異
なる軌跡を描く複数の先行ビット70〜75を有する複
数の先行ビットユニット60−1〜3として構成されて
いる。
【0064】このように、ユニット化することにより、
先行掘削溝の予定形成位置を正確に切削することがで
き、先行ビット70〜75の突出量の進退制御装置を含
めた先行ビット70〜75のカッタヘッド22への設置
作業が合理化できる。
【0065】なお、後行ビット90として機能させるも
のとしては、通常のシールド掘進機におけるメインビッ
ト等を利用できる。
【0066】また、後行ビット90よりも大きな切削幅
を有し、前記地山凸部の複数を同時に切削可能な切削幅
を有する後行ビット91もカッタヘッド22の最外周部
に配置されている。
【0067】これによれば、切り出し掘削の効率化と、
後行ビット90、91の大型化、設置数量および設置作
業時間の低減化を図ることができる。特に、硬質地盤に
おいては、切削抵抗が大きくなるため、後行ビット9
0、91の大型化によって、カッタヘッド22での設置
強度やビットの耐摩耗性の向上を図ることが可能とな
る。
【0068】また、地山の特性やシールド掘進機2の大
きさに応じて先行ビット70〜80および後行ビット9
0、91の配置を調整することにより、各地山に最適な
掘削を行うことができる。なお、ここで、ビットの配置
とは、カッタヘッド22上における単なる平面的な位置
だけでなく、先行ビット70〜80および後行ビット9
0、91の切削角度の調整も含む。
【0069】また、本実施の形態によれば、先行ビット
70〜80により地山を筋状に掘削し、先行ビット70
〜80で掘削されなかった部分を後行ビット90、91
により切り出し掘削することができる。これにより、先
行ビット70〜80と後行ビット90、91を異なる役
割とし、効率的に掘削することができる。
【0070】また、各先行ビット70〜80によって形
成される先行掘削溝の切削幅および切削深さについて
も、純間隔Lを超えない大きさとすることにより、排泥
ポンプ102等の輸送設備が閉塞しないできるだけ大き
い寸法で切羽200の切削が行われる。
【0071】すなわち、先行ビット70〜80により所
定間隔で切羽200に筋状の先行掘削溝を形成する。こ
れにより、切羽200に凹凸が形成されて掘削自由面が
多くなり、後行ビット90、91による掘削効率を高め
ることができる。
【0072】そして、先行掘削溝の間に残された地山の
凸部を後行ビット90、91で掘り起こし、土砂の骨格
構造を地山状態と同様に保持しながら排泥ポンプ102
等の輸送設備が閉塞しない大きさの土塊として切り出し
掘削する。
【0073】この場合、カッタヘッド22の回転によっ
て先行掘削溝の形成と固形状態での切り出し掘削が行わ
れるため、シールド掘進機2の掘進速度やカッタヘッド
22の回転速度を考慮して先行ビット70〜80および
後行ビット90、91をカッタヘッド22に配置するこ
とが重要となる。なぜなら、それぞれのビット70〜8
0、90、91の配置位置により、カッタヘッド22の
回転に伴う位相角が異なるため、配置位置の相違が掘削
地山への切削深さの相違となって表れるからである。
【0074】したがって、最も単純な先行ビット70〜
80と後行ビット90、91の組み合わせとしては、一
対の先行ビットMによって形成された先行掘削溝の間の
地山を切り出し掘削する後行ビットNは、前記一対の先
行ビットMに対して、できるだけ位相角が遅れないよう
に配置することが好ましい。
【0075】例えば、図3において、カッタヘッド22
が反時計回り(図3の矢印方向)に回転する場合には、
先行ビット70、71および後行ビット90−3、4を
図3に示すように配置すれば先行掘削溝が形成された直
後に、当該先行掘削溝の間の地山が切り出し掘削される
ことになる。
【0076】このように、先行ビット70〜80による
先行掘削溝の形成と後行ビット90、91による切り出
し掘削との時間差を小さくすることにより、地山と同等
の骨格構造を保持した状態での切り出し掘削が可能とな
る。
【0077】このため、先行ビット70〜80と、この
先行ビット70〜80に対応する後行ビット90、91
は、位相角のずれが90度以内となるようカッタヘッド
22に配置することが好ましい。
【0078】また、上述したように、本実施の形態で
は、掘削物110を一定の大きさに揃えることができる
よう、先行ビット70〜75が掘進方向に進退可能であ
ることに加え、後行ビット90、91も進退可能な構成
を採用している。
【0079】さらに、本願発明では、大口径のシールド
トンネルにおいても、固形状態での切り出し掘削を効率
的に行えるように、先行ビット70〜80および後行ビ
ット90の少なくとも一部が、カッタヘッド22の回転
に伴って同一の軌跡を描くように配置されている。
【0080】すなわち、例えば、図3において、カッタ
ヘッド22の最も外方には進退可能な先行ビット72、
73が配置されると共に、先行ビット72、73と同一
軌跡を描くように位相角をずらしてカッタヘッド22の
中心から同一半径の位置に先行ビット80−1〜8がカ
ッタヘッド22に固設されている。
【0081】また、先行ビット80−1、80−2、8
0−5、80−6によって形成される先行掘削溝の間に
掘り残された地山凸部を切削するために、後行ビット9
0−6、90−8が同一軌跡を描くように配置されてい
る。
【0082】なお、カッタヘッド22が回転する方向
は、反時計回りだけでなく時計回り(図3に示す矢印と
反対方向)にも回転駆動される。すなわち、カッタヘッ
ド22は正逆両方向に回転駆動され、これに合わせて正
転用の後行ビットと逆転用の後行ビットがカッタヘッド
22には配置されている。
【0083】すなわち、後行ビット90、91は、カッ
タヘッド22の回転方向が時計回りの場合に前記地山凸
部を切削する第1の後行ビット群と、カッタヘッド22
の回転方向が反時計回りの場合に前記地山凸部を切削す
る第2の後行ビット群とから構成される。
【0084】具体的には、例えば、第1の後行ビット群
としては、図3に示す後行ビット90−2、91−2等
が該当し、第2の後行ビット群としては、後行ビット9
0−1、91−1等が該当する。
【0085】これによれば、カッタヘッド22を通常回
転とは逆の方向に回転させた場合でも、先行掘削溝の間
に掘り残された地山凸部を切り出し掘削することが可能
なように、後行ビットが配置されているので、地山の土
質特性や、トンネル線形や、シールド掘進機の位置また
は姿勢状況等に応じてカッタヘッド22の回転方向を変
更し、適切な掘削を行うことができる。
【0086】また、カッタヘッド22の回転方向を変更
することにより、一方向にのみ回転させる場合と比べて
ビットの摩耗を低減できる。
【0087】なお、先行ビット70〜80は、正転逆転
両用の先行ビットとして構成されている。
【0088】また、進退可能な先行ビット70、71お
よび74、75に対しても同一の軌跡を描くように他の
先行ビット80がカッタヘッド22に固設されている。
【0089】このようなビット配置とすることにより、
それぞれの先行ビット70〜80がカッタヘッド22の
回転に伴って異なる位相角で回転するので、異なる切削
深さで先行掘削溝を形成することになる。すなわち、第
1の先行ビットが形成した第1の先行掘削溝を、第2の
先行ビットがシールド掘進機の掘進した分だけ(同一の
ビット長であっても)より深く切削した第2の先行掘削
溝を形成する。
【0090】したがって、掘削地山が硬質の固結土層で
所望の先行掘削溝の切削深さが1回の先行掘削で得られ
ない場合には、カッタヘッドが1回転する間に複数回に
分けて先行掘削を行うことになり、所望の先行掘削溝の
切削深さを確実に得ることができる。
【0091】また、後行ビット90の少なくとも一部
が、カッタヘッド22の回転に伴ってほぼ同一の軌跡を
描くように、カッタヘッド22に配置されているため、
後行ビット90の配置に応じた位相角の相違によって、
第1の後行ビットと第2の後行ビットの切り出し掘削深
さが異なるため、カッタヘッド22が1回転する間に複
数回の切り出し掘削を行うことができる。
【0092】したがって、先行掘削溝を深めに(輸送設
備が閉塞しない程度の大きさより深く切削)形成した場
合でも、当該先行掘削溝の間を、複数の後行ビット90
で複数回に分けて切り出し掘削し、所望の大きさの固形
状態の掘削土砂としてシールド掘進機2に取り込むこと
ができる。
【0093】さらに、カッタヘッド22が1回転する間
に、先行掘削溝の形成と、切り出し掘削とを交互に行う
ことにより、掘削効率が著しく向上し、トンネル構築の
工期も一層の短縮が図れる。
【0094】また、上述したように、カッタヘッド22
は、順逆両方向に回転駆動が可能なため、正方向のビッ
トが摩耗したとしても逆方向に回転させることにより、
ビットの交換を行うことなく掘進を継続できる。したが
って、同一方向にのみカッタヘッド22を回転する場合
と比べてビットの摩耗を低減できる。
【0095】図4は、図1に示すシールド掘進機2の側
面断面を示すもので、図3に示す進退可能な3組の先行
ビットユニット60−1〜3および進退可能な後行ビッ
ト90−9を含むシールド掘進機2のA−A線断面に沿
って説明した図である。
【0096】シールド掘進機2は、必要に応じて先行ビ
ットユニット60−1〜3による先行掘削溝の切削深さ
を調整できるように、掘進経路方向に対して先行ビット
70〜75を相対的に前後に進退させるための先行ビッ
ト駆動装置として、ジャッキ62−1〜3を含む。
【0097】また、シールド掘進機2は、切り出し掘削
された固形状態の掘削土砂の大きさを調整できるよう
に、後行ビット90の先端を、掘進経路方向に対して前
後に進退させるための後行ビット駆動装置を含む。この
後行ビット駆動装置としては、複数のジャッキ63が設
けられ、複数の後行ビット90−1、90−2等を備え
たスポーク23を掘進方向に進退できるよう、ジャッキ
63を駆動させる(図5(A)参照)。なお、この駆動
は制御装置48により制御される。
【0098】本実施の形態によれば、上記の駆動装置に
より、各先行ビット70〜75および後行ビット90の
切削深さを調整することが可能となるため、掘削中に土
質が変化する場合であっても、掘削土砂を所望の大きさ
で切り出し掘削することができる。
【0099】特に、このような調整を行うことにより、
3次元的にほぼ一定の大きさ、すなわち、立方体に近い
形状で固形状態として切り出し掘削することも可能とな
る。
【0100】このような固形状態の掘削土砂を流体輸送
する場合には、比表面積の最も小さな球体が流体への溶
解を防ぐ意味においても望ましいが、実際には球体状で
切り出し掘削することは不可能である。このため、本実
施の形態により、ほぼ立方体に近い形状で掘削物110
をシールド掘進機2に取り込み、流体である排泥水への
土粒子分の溶解を極力防止して、排泥および固液分離作
業の効率化を図ることが望ましい。
【0101】また、先行ビット70〜80および後行ビ
ット90の一部または全部を掘進方向に進退可能とする
構成を採用することにより、切り出し掘削される掘削物
110の大きさを制御することも可能となる。
【0102】すなわち、先行ビット70〜80および後
行ビット90を進退させない構成を採用した場合、ビッ
トの切削深さや切削幅に応じて掘削物110の大きさに
もばらつきが生じる。この場合、掘削物110が排泥水
と接触する面積が大きくなって、排泥水中への掘削物1
10の溶解量も多くなってしまう。
【0103】また、後行ビット90の個数は変更せずに
後行ビット90の切削深さを大きくしてしまうと、カッ
タヘッド22を回転させるためのカッタトルクも大きく
する必要がある。
【0104】本実施の形態によれば、後行ビット90を
進退させることにより、掘削物110を、適切な大きさ
の固形状態のまま排泥することができるため、排泥水中
への掘削物110の溶解量を低減させることができる。
【0105】また、一般に、シールド掘進機2を用いた
トンネル掘削においては、掘削地山の特性に応じて掘進
速度やカッタヘッド22の回転速度を適切に選択、変更
しながら掘削を行う。したがって、地山の土層が変化す
る場合には、先行掘削溝の切削深さや後行ビット90に
よる切り出し掘削深さについても適宜変更することが好
ましい。
【0106】そこで、本実施の形態では、掘進速度やカ
ッタヘッド22の回転速度に応じて先行ビット70〜7
5および後行ビット90のカッタヘッド22からの突出
量を適切に制御して、土層が変化した場合でも、固形状
態を保持しつつ掘削土砂をほぼ一定の大きさで切り出し
掘削できるような構成を採用している。
【0107】なお、これら先行ビット70〜80、後行
ビット90等の設けられたカッタヘッド22は、シール
ド掘進機2内のモーター30により回転される。
【0108】次に、後行ビット90の進退機構について
説明する。
【0109】図5は、後行ビット90の進退機構の概略
断面図であり、図5(A)は複数の後行ビット90の取
り付けられたスポーク23全体が掘進方向へ前進した状
態の側面断面図を示し、図3のB−B線断面図を示す。
【0110】また、図5(B)は単一のジャッキ63が
伸展した状態の平面断面図を示し、シールド掘進機2の
外周部からシールド掘進機2の中心部を見たときの図5
(A)のC部分の拡大図である。
【0111】図5(A)に示すように、複数の後行ビッ
ト90の取り付けられたスポーク23は、複数のジャッ
キ63によって進退できるようになっている。複数のジ
ャッキ63を適用することにより、掘削する地山が硬質
地盤であっても、スポーク23全体を前進させるための
推進力を十分に確保することができる。
【0112】また、図5(B)に示すように、スポーク
23に取り付けられた複数の後行ビット90は、ジャッ
キ63によって進退可能に形成されている。また、ジャ
ッキ63は、ケーシング64に固定された台座66に設
けられたピン67を回転軸および支持部として、反力の
かかる方向、すなわち、カッタヘッド22の回転方向の
順逆両方向に揺動可能に形成されている。
【0113】カッタヘッド22が回転すると、スポーク
23およびスポーク23上の後行ビット90は、ピン6
7を支点として回転の逆方向に揺動する。揺動したスポ
ーク23は、カッタヘッド22と一体的に形成されたケ
ーシング64とぶつかることによりその揺動量が制限さ
れる。
【0114】すなわち、スポーク23およびスポーク2
3上の後行ビット90は、反力受けとして機能するケー
シング64によって掘削時の回転順方向に対する反力を
受けることができる。また、ジャッキ63を切羽200
方向に進行させた場合も、スポーク23とケーシング6
4がぶつかることによって反力を受け、安定して掘削す
ることができる。
【0115】また、支持部および回転軸として機能する
ピン67を設けることにより、掘削時に後行ビット90
が最適な姿勢となり、適切な掘削を行うことができる。
なお、前記支持部としては、ジャッキ63を反力方向に
対して前後にスライド可能に支持する構成等を適用する
ことも可能である。
【0116】なお、図4に示すように、後行ビット90
だけでなく、進退する先行ビット70〜75についても
同様に反力受けとして機能するケーシング64−1〜3
が設けられている。これにより、先行ビット70〜75
についても後行ビット90と同様に反力受け等の作用に
より、進退させた場合でも安定して掘削を行うことがで
きる。
【0117】次に、先行ビット70〜80と後行ビット
90を用いた掘削の手順について説明する。
【0118】図6は、先行ビット74、75と後行ビッ
ト90の相互作用による地山の掘削状態を平面的に示す
概略図であり、図6(A)〜(C)は先行ビット74、
75と後行ビット90−1による地山の掘削状態を示
す。
【0119】上述したように、先行ビット74、75に
より形成された先行掘削溝の間の地山を、後行ビット9
0−1で切り出し掘削するよう、先行ビット74、75
および後行ビット90−1はカッタヘッド22に配置さ
れている。
【0120】まず、初期状態では、図6(A)に示すよ
うに掘削予定部分の地山300の掘削面410は平坦な
状態である。
【0121】シールド掘進機2は矢印の方向に掘進す
る。シールド掘進機2が掘進すると、図6(A)の状態
から図6(B)に示す状態になる。この状態では、先行
ビット74、75が後行ビット90−1に先行して掘削
予定部分の地山300を筋状に掘削することにより、地
山300の掘削面に先行掘削溝310−1、2が形成さ
れる。
【0122】先行掘削溝310−1、2は、その深さ、
すなわち、切削深さL2がほぼL、先行掘削溝310−
1、2間の間隔L1もほぼLになっている。ここで、L
は、上述した図2で示す排泥ポンプ102を閉塞させな
い最大の大きさである。
【0123】また、先行掘削溝310−1、2の溝幅、
すなわち、切削幅L3もL以下になっている。これによ
り、先行掘削により生じる掘削物もL以下の大きさとな
り、当該掘削物も輸送設備を閉塞させずに坑外へ搬出で
きる。
【0124】図6(B)に示す状態では、掘削予定部分
の地山300のうち先行掘削溝310−1、2の間に突
出長および突出幅がL以下の帯状凸部が地山として掘り
残された状態となっている。
【0125】この状態で、掘り残された帯状凸部の一部
を切り出し掘削することにより、掘削物110が地山3
00から切り出され、図6(C)に示す状態となる。
【0126】なお、図6、図7に関する上記説明は、一
組の先行ビット74、75および後行ビット90−1の
みの作動について記述したものであるが。本願発明で
は、図3に示すように、複数組の先行ビット70〜80
によって、図6における先行掘削溝310−1、310
−2に隣接して複数の先行掘削溝を形成することが好ま
しい。そして、それらの先行掘削溝群の間に掘り残され
た地山凸部を複数の後行ビット90が切り出し掘削でき
るように構成されている。
【0127】さらに、上述したように、先行ビット70
〜80および後行ビット90の少なくとも一部を、カッ
タヘッド22の回転中心から同一半径の位置に位相角を
変えて複数のビットPを配置する構成とすることもでき
る。
【0128】このような構成とすることにより、地山3
00のある特定位置Q点に着目すると、カッタヘッド2
2が一回転する間に、Q点においては複数回の地山切削
が行われることになる。すなわち、位相角のずれ量に対
応してシールド掘進機2は切羽側へ掘進するため、前記
複数のビットPのカッタヘッド22からの突出量が同じ
であっても、シールド掘進機2の掘進距離分だけ地山3
00への切り込み深さを大きくすることができる。
【0129】したがって、円形断面のシールドトンネル
であれば、トンネル中心からの距離が大きくなるほど、
カッタヘッド22の周速度が大きくなり、切削距離も大
きくなることから、外縁部(円形断面の外周部近く)に
前記複数のビットPを配置することにより、ビットの摩
耗防止を図ることができる。
【0130】このように、カッタヘッド22が1回転す
る間に、ほぼ同位置の地山300に対して先行掘削溝を
形成する工程と、固形状態での切り出し掘削を行う工程
とを少なくとも一回交互に行うことにより、地山300
の特徴に応じた効率的な掘削が可能となり、トンネル工
期を著しく短縮することが可能になる。
【0131】また、シールド掘進機2の掘進速度やカッ
タヘッド22の回転速度に応じて先行ビット70〜75
および後行ビット90のカッタヘッド22への配置(カ
ッタビットの切削角度を含めて)を適宜選択することに
より、切り出し掘削された掘削物110の大きさをある
程度制御することが可能になる。
【0132】さらに、本発明においては、先行ビット7
0〜75および後行ビット90を掘進方向に進退可能に
構成することにより、掘削物110を好ましい形状、寸
法として切り出し掘削することができる。
【0133】すなわち、本実施の形態に係るシールド掘
進機2は、図1に示すように、掘削物110を坑外へ搬
出するための搬出経路(輸送路)に掘削物110の大き
さを測定するための掘削物測定手段としての固形物測定
装置120を備えている。この掘削物測定装置120
は、例えば、特開平9−159623号公報に記載され
た電波による固体測定装置などを用いることができる。
【0134】このような測定装置を用いることによって
得られる計測値(掘削物110の大きさなど)は、図1
に示す制御装置48にリアルタイムで伝送される。
【0135】制御装置48は、掘削物110の大きさの
計測値と、そのときの先行ビット70〜75および後行
ビット90のカッタヘッド22からの突出長さと、シー
ルド掘進機2の掘進速度(ジャッキスピード)並びにカ
ッタヘッド22の回転速度とを考慮して、先行ビット7
0〜75および後行ビット90の進退を制御する機能も
有している。
【0136】なお、先行ビット70〜75および後行ビ
ット90の突出量をリアルタイムで制御するためには、
土砂取り込み後、できるだけ早い時点で掘削土砂の大き
さを測定することが好ましい。このため、掘削物測定装
置120は、チャンバ210内または排泥管52の最も
切羽付近に設けることが好ましい。
【0137】本実施の形態では、図1に示すように、チ
ャンバ210に近い位置の排泥管52に設けている。こ
れにより、リアルタイムな制御が可能となっている。
【0138】また、これによれば、輸送設備の経路内で
切り出し掘削された固形状態の掘削土砂の大きさを測定
することにより、排泥ポンプ102等の輸送設備が閉塞
する可能性を予測することができ、さらに、測定結果を
フィードバックして先行ビット70〜80および後行ビ
ット90のカッタヘッド22からの突出量を制御するこ
とができる。これにより、掘削物110の大きさを所定
値以下で切り出し掘削することが可能となる。
【0139】また、本実施の形態では、掘削物110を
切り出したままの固形状態で搬出するため、図1に示す
ように、溶解防止剤タンク42から供給された溶解防止
剤が、必要に応じて排泥管52内の掘削物110を含む
輸送媒体としての排泥水に混入されるようになってい
る。
【0140】これによれば、固形状態で切り出し掘削さ
れた掘削物110が、泥水中に熔解することなく、その
ままの状態で坑外へ搬出されるので、固液分離のための
処理作業等をさらに効率化でき、産業廃棄物として処理
すべき汚泥の発生量をさらに低減することができる。
【0141】以上説明してきたように、本実施の形態に
よれば、排泥ポンプ102等の輸送設備が閉塞しないで
きるだけ大きい寸法で、しかも、できるだけ立方体に近
い形状の固形状態で掘削物110を切り出し掘削して排
泥することにより、掘削土砂を固形状態の塊として1次
処理で分級することができる。
【0142】これにより、2次処理設備を含む立坑用地
を省面積化し、環境への影響や処理費用を抑えることが
できる。
【0143】図7は、本願出願人による掘進距離と固形
回収率との関係を求めた実験結果の一例を示すグラフで
ある。
【0144】図7に示すように、掘進の初期および終期
において、多少回収率が落ちているものの、掘進中期
(掘進距離100m〜300m)においては、固形状態
での回収率が60%強〜90%弱と、良好な固形回収が
行えている。
【0145】なお、上述した実施例では、先行ビット7
0〜75は複数対になっているが、少なくとも一対あれ
ばよい。上述したように、先行ビット70〜75を複数
対設け、カッタヘッド22が1回転する間に筋切先行掘
削溝の形成工程および切り出し掘削工程を複数回繰り返
すことにより、大口径のシールド掘進機2に対しても、
地山300を所定の大きさの固形状態のまま、効率的に
切り出し掘削することが可能となっている。
【0146】なお、本発明の適用は、前記泥水式シール
ド工法に限定されない。例えば、地中連続壁工法やリバ
ース工法等における泥水処理にも適用できる。
【0147】また、カッタヘッドとしては、上述した円
盤状のカッタヘッド22だけでなく、矩形断面シールド
掘進機に用いられるドラムカッタ等を適用することも可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例に係る泥水式シール
ド工法の全体図である。
【図2】図1に示す排泥ポンプの平面断面図である。
【図3】図1に示すシールド掘進機のカッタヘッドの正
面図である。
【図4】図1に示すシールド掘進機側面の概略断面図で
ある。
【図5】本実施の形態の一例に係る後行ビットの進退機
構の概略断面図であり、(A)は複数の後行ビットの取
り付けられたスポーク全体が進行した状態の側面断面図
を示す図であり、(B)は単一のジャッキが進行した状
態の平面断面図を示す図である。
【図6】先行ビットと後行ビットの進退による地山の掘
削状態を平面的に示す概略図であり、(A)〜(C)は
先行ビットと後行ビットによる地山の掘削状態を示す図
である。
【図7】本願出願人による掘進距離と固形回収率との関
係を求めた実験結果の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
2 シールド掘進機 22 カッタヘッド 23 スポーク 26 セグメント 28、62、63 ジャッキ 30 モーター 40 調泥剤タンク 42 溶解防止剤タンク 44 スタティックミキサー 46 粘性計 48 制御装置 50 送泥管 52 排泥管 60 先行ビットユニット 64 ケーシング 66 台座 67 ピン 70〜80 先行ビット 90 後行ビット 100 羽根体 102 排泥ポンプ 110 掘削物 120 掘削物測定装置 200 切羽 210 チャンバ 300 掘削予定部分の地山 310 先行掘削溝 410、420 掘削面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安本 匡剛 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田建 設株式会社内 (72)発明者 中村 幸之助 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田建 設株式会社内 (72)発明者 岩井 義雄 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田建 設株式会社内 (72)発明者 浅井 康彦 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田建 設株式会社内 (72)発明者 清水 義治 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田建 設株式会社内 (72)発明者 吉田 英 東京都中央区京橋1丁目7番1号 戸田建 設株式会社内 (72)発明者 鈴木 俊夫 東京都千代田区大手町2丁目2番1号 石 川島播磨重工業株式会社内 (72)発明者 佐久間 裕治 東京都千代田区大手町2丁目2番1号 石 川島播磨重工業株式会社内 Fターム(参考) 2D054 AB05 AC05 BA04 BA23 BB04 CA03 DA12 DA33 DA35 GA58 GA67 GA81

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 切羽に筋状の先行掘削溝を所定間隔で形
    成するための複数の先行ビットと、前記先行掘削溝の間
    の掘り残された地山凸部を切削するための後行ビットと
    を含み、前記先行ビットおよび前記後行ビットを備えた
    カッタヘッドの回転により、掘進経路にある地山を、固
    形状態で切り出し掘削するシールド掘進機であって、 前記先行ビットは、前記カッタヘッドに固設された第1
    の先行ビット群と、前記カッタヘッドからのビット突出
    量を進退制御可能に前記カッタヘッドに設けられた第2
    の先行ビット群とから構成されていることを特徴とする
    シールド掘進機。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記第2の先行ビット群は、前記カッタヘッドの回転に
    伴って異なる軌跡を描く複数の先行ビットを有する複数
    の先行ビットユニットとして構成されていることを特徴
    とするシールド掘進機。
  3. 【請求項3】 請求項1、2のいずれかにおいて、 前記カッタヘッドが1回転する間に、前記第1の先行ビ
    ット群と前記第2の先行ビット群の少なくとも一部が、
    同一軌跡を描くように前記カッタヘッドに配置されてい
    ることを特徴とするシールド掘進機。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記後行ビットは、前記カッタヘッドの回転方向が時計
    回りの場合に前記地山凸部を切削する第1の後行ビット
    群と、前記カッタヘッドの回転方向が反時計回りの場合
    に前記地山凸部を切削する第2の後行ビット群とから構
    成されることを特徴とするシールド掘進機。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかにおいて、 前記後行ビットの少なくとも一部は、前記地山凸部の複
    数を同時に切削可能な切削幅を有することを特徴とする
    シールド掘進機。
  6. 【請求項6】 先行ビットを用いて掘削対象の地山に先
    行掘削溝を形成し、後行ビットを用いて前記先行掘削溝
    の間に掘り残された地山凸部を固形状態の掘削土砂とし
    て切り出し掘削し、当該掘削土砂を、所定の輸送路を介
    して固形状態を保持しつつ坑外へ搬出する掘削方法であ
    って、 前記先行ビットを掘進方向に進退可能に駆動制御するこ
    とを特徴とする掘削方法。
  7. 【請求項7】 請求項6において、 前記先行ビットおよび前記後行ビットを有するカッタヘ
    ッドが1回転する間に、異なる先行ビットによって所定
    位置に形成される先行掘削溝を複数回にわたって切削す
    ることを特徴とする掘削方法。
  8. 【請求項8】 請求項6、7のいずれかにおいて、 前記輸送路における輸送媒体としての液体に、前記掘削
    土砂が液体に溶解することを防止するための溶解防止剤
    を混入することを特徴とする掘削方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017020231A (ja) * 2015-07-09 2017-01-26 株式会社アルファシビルエンジニアリング 推進工法用掘進機

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