JP2000282191A - 磁気特性に優れた積層コア用鋼板 - Google Patents

磁気特性に優れた積層コア用鋼板

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JP2000282191A
JP2000282191A JP11091957A JP9195799A JP2000282191A JP 2000282191 A JP2000282191 A JP 2000282191A JP 11091957 A JP11091957 A JP 11091957A JP 9195799 A JP9195799 A JP 9195799A JP 2000282191 A JP2000282191 A JP 2000282191A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オルタネータやスタータモータに代表される
積層コアに適用される磁気特性に優れた積層コア用鋼板
を提供する。 【解決手段】 オルタネータやスタータモータなどの積
層コア用鋼板に関して、鋼板の表面粗さを特定の範囲に
厳密に制御し、さらにSi量、Al量などの鋼板の化学
成分を適正化することで積層後のコア損失が飛躍的に低
減することを見い出しなされたもので、C:0.04w
t%以下、Si:4.0wt%以下、Mn:0.05〜
1.0wt%、P:0.2wt%以下、S:0.02w
t%以下、N:0.005wt%以下、Sol.Al:
1.0wt%以下を含有し、残部が実質的にFeからな
り、表面粗さRaが0.6〜4.0μmであることを特
徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、オルタネータやス
タータモータなどの高周波で駆動する自動車用電装品に
好適な積層コア材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】カーエレクトロニクスの発展により、自
動車にはワイパー用、窓開閉用、ミラー駆動用などの各
種のモータが多量に搭載されている。近年、自動車一台
当たりのモータの数は増大しており、車体重量の増加に
よる燃費への影響も無視できない状況にある。このため
地球環境保護の観点から、自動車搭載用のモータを小型
・軽量化、高出力化、高効率化する要求が高まってい
る。こうした電装品の中でも、燃費改善対策として、充
電系のオルタネータと始動系のスタータモータの高性能
化が強く望まれている。
【0003】例えば、オルタネータの場合、駆動周波数
はアイドリング時には100〜200Hz程度である
が、30〜40km/hの走行時には300〜500H
z、高速では1k〜3kHzに達することから、優れた
高周波特性が要求される。また、ロータとステータはそ
れぞれ別工程でコア形状に加工され、特に、ステータコ
アは巻き積層(ヘリカル又はトロイダル)方式による曲
げ加工が適用されることが多く、このように曲げ加工が
適用される用途では素材鋼板に適切な降伏強度が必要と
される。この必要とされる降伏強度は160〜250M
Paの範囲であると云われている。
【0004】また、スタータモータは打ち抜きによる自
動かしめで部品加工されることが多く、駆動周波数は常
用で500Hz程度であるが、小型・軽量化のためにさ
らに高周波化する傾向にある。従来、こうした自動車用
電装品のコア材料には、コストや加工性の観点から板厚
0.8mm〜1.0mmの冷延鋼板が用いられており、
また、最近ではコア損失を低減する目的から板厚0.5
mm、0.6mmの薄物冷延鋼板も使用されている。ま
た、これらの鋼板は表面処理や絶縁被膜処理を施すこと
なく、打ち抜き加工後に直接積層してコア部品として使
用されている。
【0005】自動車用電装品用の鋼板に関しては、特開
平08−295935号において、板厚0.8〜1.0
mmの厚手無方向性電磁鋼板の製造方法が提案されてい
る。しかし、この技術は板厚が0.8mm以上の鋼板を
前提としたものであり、このため50Hzでの鉄損は改
善されるが、板厚が厚いために渦電流損失の増大が避け
られず、高周波特性については不適格である。一方、特
開平08−337824号には、積層用の冷延鋼板に関
する技術が提案されている。この技術は、積層時の鉄損
が増加しない冷延鋼板の製造方法に関するもので、連続
焼鈍する際に鋼板表面に酸化膜を付着させることで渦電
流を抑制するというものであるが、酸化膜厚と磁気特性
との関係については全く開示されていない。
【0006】
【発明の解決しようとする課題】したがって、以上述べ
たような従来技術では、オルタネータやスタータモータ
などの高周波化が進む自動車用高性能電装品の要求性能
には十分に対応できず、現状ではコアに積層した状態で
の高周波特性については全く知見がないのが実情であ
る。本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、そ
の目的は、オルタネータやスタータモータに代表される
積層コアに適用される磁気特性に優れた積層コア用鋼板
を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、オルタネ
ータやスタータモータなどの積層コア用鋼板について、
積層後のコア損失を低減する手法について詳細な検討を
行い、その結果、鋼板の表面粗さを特定の範囲に厳密に
制御し、さらにSi量、Al量などの鋼板の化学成分を
適正化することで積層後のコア損失が飛躍的に低減する
ことを知見した。本発明はこのような知見に基づきなさ
れたもので、その特徴とする構成は以下の通りである。
【0008】[1] C:0.04wt%以下、Si:
4.0wt%以下、Mn:0.05〜1.0wt%、
P:0.2wt%以下、S:0.02wt%以下、N:
0.005wt%以下、Sol.Al:1.0wt%以
下を含有し、残部が実質的にFeからなり、表面粗さR
aが0.6〜4.0μmであることを特徴とする磁気特
性に優れた積層コア用鋼板。
【0009】[2] C:0.04wt%以下、Si:
4.0wt%以下、Mn:0.05〜1.0wt%、
P:0.2wt%以下、S:0.02wt%以下、N:
0.005wt%以下、Sol.Al:0.005wt
%以下又は0.1〜1.0wt%を含有するとともに、
Si+Sol.Al:0.07wt%以上を満足し、残
部が実質的にFeからなり、表面粗さRaが0.6〜
4.0μmであることを特徴とする磁気特性に優れた積
層コア用鋼板。
【0010】[3] C:0.04wt%以下、Si:
4.0wt%以下、Mn:1.0wt%以下、P:0.
2wt%以下、S:0.0009wt%以下、N:0.
005wt%以下、Sol.Al:0.005wt%以
下又は0.1〜1.0wt%を含有するとともに、Si
+Sol.Al:0.07wt%以上を満足し、さらに
Sb及びSnの1種又は2種をSb+Sn/2:0.0
02〜0.02wt%の範囲で含有し、残部が実質的に
Feからなり、表面粗さRaが0.6〜4.0μmであ
ることを特徴とする磁気特性に優れた積層コア用鋼板。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者らは、まず、積層後のコ
ア損失に及ぼす鋼板の表面粗さの影響について調査し
た。試験材として、鋼種A(C:0.022wt%、S
i:0.12wt%、Mn:0.25wt%、P:0.
05wt%、S:0.007wt%、Sol.Al:
0.0002wt%、N:0.0018wt%)と鋼種
B(C:0.038wt%、Si:0.01wt%、M
n:0.18wt%、P:0.015wt%、S:0.
015wt%、Sol.Al:0.024wt%、N:
0.0017wt%)をラボ溶解し、熱間圧延、冷間圧
延を経て板厚0.5mmの鋼板とした。次いで、この鋼
板に840℃×50secの連続焼鈍を施し、さらに調
圧率1.0%の調質圧延を施した後、以下に示すような
磁気特性の評価を行った。なお、鋼板の表面粗さは、冷
間圧延と調質圧延のロール粗度を変化させてRaで0.
15〜4.6μmの範囲で調整した。
【0012】オルタネータやスタータモータなどの積層
コアにおいて問題となる、鋼板表面の直接接触による積
層コアの損失を算定するために、以下のような磁気特性
の測定を行った。上記試験材から外径100mmφ−内
径70mmφのリング状サンプルを打ち抜き加工により
作成し、10枚重ねで直接コア積層した後、コアの表裏
面から均一に圧力を加えながら磁気特性の測定を行っ
た。この際、積層時の加圧力を変化させて測定し、コア
損失の増加量から鋼板間の接触により生じる渦電流の大
きさを評価した。なお、積層加圧力は、実部品加工を想
定して最大12kgf/cm とした。また、ここで
は、オルタネータやスタータモータの代表的な高周波域
の励磁条件として、磁束密度0.5T、周波数2kHz
でのコア損失(W5/2 000)を中心に検討を行っ
た。
【0013】図1(鋼種A)と図2(鋼種B)は、コア
損失(W5/2000)と12kgf/cmまでの積
層加圧力との関係を示している。これらによれば、いず
れも積層加圧力の増大とともにコア損失は増大してい
る。これは、鋼板同志の接触による渦電流の増加が反映
されたものと考えられる。また、鋼種AのRa:0.9
7μm材はRa:0.18μm材に比べて初期(積層加
圧力:0)のコア損失はほぼ同等であるが、加圧力の増
加によるコア損失の増加の度合いは少ないことが判る。
また、鋼種Bの場合も、Ra:1.20μm材はRa:
0.19μm材に比べて初期(積層加圧力:0)のコア
損失はほぼ同等であるが、加圧力の増加によるコア損失
の増加の度合いは少ないことが判る。以上の結果から、
いずれの鋼種においても、表面粗さRaの大きい鋼板は
加圧によるコア損失の増大が抑制できることが判明し
た。
【0014】図3は、鋼種Aに関して、上記の評価方法
による積層加圧力12kgf/cm でのコア損失(W
5/2000)と鋼板の表面粗さRaとの関係を示して
いる。同図によれば、表面粗さRaが0.6μm以上に
なると積層加圧時のコア損失は低下し、また、表面粗さ
Raが4.0μmを超えるとコア損失は再び増加し始め
る。このように鋼板の表面粗さがある程度大きい方が積
層後のコア損失が低くなるのは、鋼板表面の凹凸が小さ
い場合には加圧による鋼板表面での接触面積が増大し、
高周波域では渦電流損失が著しく増大するのに対し、鋼
板表面の凹凸が比較的大きい場合にはこのような原因に
よる高周波域での渦電流損失が少ないためであると考え
られる。一方、鋼板表面の凹凸が大きな場合にはコア損
失はやや増大する傾向も認められるが、積層加工時のコ
ア部品自体の占積率の低下が問題になるので、表面粗さ
Raの上限は4.0μmとすべきである。
【0015】以上の結果から、本発明では高周波で励磁
されるオルタネータやスタータモータなどの積層後のコ
ア損失を低減するために、鋼板の表面粗さRaを0.6
μm〜4.0μm、好ましくは0.8〜3.0μmと規
定する。ここで、本発明において鋼板の表面粗さは2次
元測定値であり、鋼板のL方向及びC方向と鋼板表裏面
の平均値である。
【0016】次に、鋼板の化学成分について説明する。
オルタネータやスタータモータなどの積層コア用鋼板と
して優れた磁気特性を確保するため、Si及びAl量
は、Si:4.0wt%以下(但し、無添加の場合を含
む)、Sol.Al:1.0wt%以下(但し、無添加
の場合を含む)とする。Siが4.0wt%を超えると
磁束密度の低下を招き、また、鋼板硬度が高くなるため
に部品加工性が著しく劣化する。また、Sol.Alが
1.0wt%を超えると焼鈍時に鋼板表層が著しく窒化
し、鉄損の増大を招く。Si、Alは単独添加、複合添
加のいずれでも構わない。
【0017】また、Alは鋼中ではAlN系窒化物、A
系酸化物、Al−MnO−SiO系複
合酸化物及び固溶Alの形態で存在することから、Al
を積極添加しない場合には、微細AlNによる焼鈍時の
粒成長性の劣化防止のためにSol.Alは0.005
wt%以下(但し、無添加の場合を含む)とすることが
好ましく、一方、Alを積極添加する場合には、熱間圧
延でのAlNの微細析出防止のためにSol.Alは
0.1〜1.0wt%の範囲とすることが好ましい。
【0018】次に、Si+Sol.Al量の影響につい
て調査した結果を示す。C:0.003wt%、Si:
0.01〜3.0wt%、Mn:0.3wt%、P:
0.05wt%、S:0.01wt%、Sol.Al:
0.0002〜0.3wt%、N:0.002wt%を
含む鋼をラボ溶解し、熱間圧延、冷間圧延を経て板厚
0.5mmの鋼板とした。次いで、この鋼板に800℃
〜880℃×50secの連続焼鈍を施し、さらに調圧
率1.0%の調質圧延を施した後、以下に示すような磁
気特性の評価を行った。なお、鋼板の表面粗さRaは
0.8〜1.2μm、0.15〜0.25μmの2水準
とした。
【0019】図4は、積層加圧力12kgf/cm
おけるコア損失(W5/2000)とSi+Sol.A
l量との関係を示している。同図によれば、Si+So
l.Al量が0.07wt%以上になると鉄損が著しく
低下し、Si+Sol.Al量が増大するにしたがって
コア損失はさらに低減する。また、Si+Sol.Al
量に拘りなく、表面粗さRaが0.8〜1.2μmの鋼
板は、表面粗さRaが0.15〜0.25μmの鋼板に
比べてコア損失はさらに低減している。一方、Si+S
ol.Al量が1.5wt%を超えるとYPが250M
Paを超えるので、ステータの加工方法がヘリカル(又
はトロイダル)方式の場合には加工制約が生じることが
ある。しかし、ヘリカル(又はトロイダル)方式以外の
加工、すなわち、打ち抜き積層−かしめ方式、打ち抜き
積層−溶接方式、分割コア方式などでは、YPの制約は
なくなるので問題はない。以上の結果から、Si+So
l.Al量は0.07wt%以上、好ましくは0.1w
t%以上、より好ましくは0.2wt%以上とすること
が望ましい。
【0020】Sは、一般にその含有量が多いとMnSの
析出量が多くなり、コア損失を増大させる。このためS
量は0.02wt%以下(但し、無添加の場合を含む)
とする。さらに、Sが著しく低い領域について、S量の
影響をより詳細に検討した。C:0.003wt%、S
i:0.15wt%、Mn:0.35wt%、P:0.
07wt%、Sol.Al:0.15wt%、N:0.
002wt%、Sb:tr.及びSb:80ppmを含
む鋼をベースとし、S量を3ppm、6ppm、9pp
m、12ppm、15ppm、30ppmに調整した鋼
をラボ溶解し、熱間圧延、冷間圧延を経て板厚0.5m
mの鋼板とした。次いで、この鋼板に850℃×50s
ecの連続焼鈍を施した後、調圧率1.0%の調質圧延
を施した。このようにして得られた各鋼板コイルからリ
ング状サンプルを採取し、以下に示すようにして積層加
圧時のコア損失を測定した。なお、鋼板の表面粗さは、
Ra:0.15〜0.25μmとRa:0.9〜1.2
μmの2水準とした。
【0021】図5は、S量と積層加圧力12kgf/c
におけるコア損失(W5/20 00)との関係を示
している。同図によれば、S量が9ppm以下になると
積層加圧時のコア損失は全体的に低下するが、Sb添加
鋼ではこれが著しい。この原因を調査するために、光学
顕微鏡による鋼板断面の組織観察を行った。これによれ
ばSbの有無に拘りなくS量の低下とともにフェライト
粒径は粗大化しているが、Sb無添鋼(Sb:tr.)
では表層部に微細粒組織が認められ、一方、Sb添加鋼
(Sb:80ppm)ではそのような微細粒組織は認め
られなかった。これは、S量が9ppm以下になると焼
鈍時に著しく窒化しやすくなるため、鋼板表層部に微細
なAlNが析出する傾向があるが、Sbは鋼板表層部に
偏析し易い元素であるため、Sb添加鋼の場合には鋼板
表層部に偏析したSbが焼鈍時の窒素吸着を抑制して鋼
板の窒化を防止し、この結果、鋼板表層部での微細粒組
織の生成が抑えられるものと推定される。同様の現象
は、Sn添加鋼の場合にも認められた。
【0022】以上の結果に基づいてさらに詳細な実験と
検討を行った結果、Sb及びSnの1種又は2種をSb
+Sn/2として0.002wt%以上添加することに
より、上記のような窒化防止効果が得られることが判っ
た。一方、Sb、Snの過剰な添加は粒界偏析による粒
成長性劣化招くため、Sb+Sn/2は0.02wt%
以下とすることが好ましい。以上の理由から、オルタネ
ータやスタータモータなどのコア損失をさらに低減する
ためには、S:0.0009wt%以下(但し、無添加
の場合を含む)とし、Sb、Snの1種又は2種をSb
+Sn/2で0.002〜0.02wt%添加すること
が好ましい。
【0023】その他の成分の限定理由について説明す
る。Cは、磁気特性を劣化させる元素であるため、0.
04wt%以下(但し、無添加の場合を含む)とする。
Mnは、SをMnSとして固定することで熱間圧延時の
赤熱脆性を防止するために0.05wt%以上必要であ
るが、1.0wt%を超えると磁束密度を低下させるた
め、0.05〜1.0wt%とする。一方、Sが0.0
009wt%以下の場合には、MnSは問題ないレベル
となるので下限量の制約はなく、Mnは1.0wt%以
下(但し、無添加の場合を含む)とすればよい。
【0024】Pは、鋼板の打ち抜き性を改善するために
必要な元素であるが、0.2wt%を超えて添加すると
鋼板が脆化するため、0.2wt%以下(但し、無添加
の場合を含む)とする。Nは、その含有量が多いとAl
Nの析出量が多くなってコア損失を増大させるため、
0.005wt%以下(但し、無添加の場合を含む)と
する。本発明の鋼板は実質的に上記成分とFeとからな
り、したがって不可避的不純物等の他の元素が本発明の
効果を損なわない限度で微量含まれることは妨げない。
【0025】本発明の鋼板は、その表面粗さRaと化学
成分が所定の範囲内であれば、製造法自体に特別な制約
はなく、通常の方法で製造することができる。すなわ
ち、転炉で吹練した溶鋼を脱ガス処理して所定の成分に
調整し、引き続き鋳造、熱間圧延を行う。熱間圧延時の
仕上温度、巻取り温度は特に規制する必要はなく、通常
の条件でよい。また、熱間圧延後の熱延板焼鈍は行って
もよいが必須ではない。次いで、一回の冷間圧延若しく
は中間焼鈍を挟んだ2回以上の冷間圧延により所定の板
厚とした後、連続焼鈍又はバッチ焼鈍を施し、その後必
要に応じて調質圧延を行う。
【0026】また、鋼板の表面粗さRaの制御は、例え
ば、冷間圧延又は調質圧延のロールの粗度を調整するこ
とで行うことができる。本発明は、磁気特性に優れたオ
ルタネータやスタータモータなどの積層コア用鋼板を対
象としているため、鋼板の板厚は0.6mm以下が好ま
しい。また、鋼板表面への絶縁被膜塗布や特殊な表面処
理は行わない。
【0027】
【実施例】転炉で吹練した後に脱ガス処理を行うことに
より所定の成分に調整した表1に示す鋼をスラブに鋳造
し、このスラブを加熱した後、板厚2.0mmまで熱間
圧延した。この熱延板を酸洗後、板厚0.5mmまで冷
間圧延し、次いで表1に示す焼鈍条件で仕上焼鈍した
後、種々の粗度を有するロールを用いて調圧率1.0%
の調質圧延を行った。このようにして得られた各鋼板コ
イルから、外径100mmφ−内径70mmφのリング
状試験片を打ち抜き、10枚重ねにして積層加圧時のコ
ア損失を測定した。また、鋼板表裏面のL方向とC方向
の2次元表面粗さRaを測定し、それらの平均値をもっ
て鋼板の表面粗さRaとした。測定されたコア損失(W
5/2000)を仕上焼鈍条件及び鋼板の表面粗さRa
とともに表1に示す。
【0028】表1によれば、鋼板の化学成分と表面粗さ
Raが本発明条件を満足する場合にのみ、優れた高周波
磁気特性が得られることが判る。
【表1】
【0029】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、オル
タネータやスタータモータなどのコアに積層した状態で
の高周波特性が極めて優れた積層コア用鋼板を得ること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面粗さRaが異なる鋼板について、コア積層
時の加圧力とコア損失(W5/ 2000)との関係を示
すグラフ
【図2】表面粗さRaが異なる鋼板について、コア積層
時の加圧力とコア損失(W5/ 2000)との関係を示
すグラフ
【図3】鋼板の表面粗さRaと積層加圧力12kgf/
mmでのコア損失(W5/2 000)との関係を示す
グラフ
【図4】表面粗さRaが異なる鋼板について、Si+S
ol.Al量と積層加圧力12kgf/mmでのコア
損失(W5/2000)との関係を示すグラフ
【図5】Sb添加鋼とSb無添加鋼からなる表面粗さR
aが異なる鋼板について、S量と積層加圧力12kgf
/mmでのコア損失(W5/2000)との関係を示
すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 靖 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 中村 秋彦 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 戸川 正人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 5E041 AA11 AA19 CA04 NN01 NN06

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.04wt%以下、Si:4.0
    wt%以下、Mn:0.05〜1.0wt%、P:0.
    2wt%以下、S:0.02wt%以下、N:0.00
    5wt%以下、Sol.Al:1.0wt%以下を含有
    し、残部が実質的にFeからなり、表面粗さRaが0.
    6〜4.0μmであることを特徴とする磁気特性に優れ
    た積層コア用鋼板。
  2. 【請求項2】 C:0.04wt%以下、Si:4.0
    wt%以下、Mn:0.05〜1.0wt%、P:0.
    2wt%以下、S:0.02wt%以下、N:0.00
    5wt%以下、Sol.Al:0.005wt%以下又
    は0.1〜1.0wt%を含有するとともに、Si+S
    ol.Al:0.07wt%以上を満足し、残部が実質
    的にFeからなり、表面粗さRaが0.6〜4.0μm
    であることを特徴とする磁気特性に優れた積層コア用鋼
    板。
  3. 【請求項3】 C:0.04wt%以下、Si:4.0
    wt%以下、Mn:1.0wt%以下、P:0.2wt
    %以下、S:0.0009wt%以下、N:0.005
    wt%以下、Sol.Al:0.005wt%以下又は
    0.1〜1.0wt%を含有するとともに、Si+So
    l.Al:0.07wt%以上を満足し、さらにSb及
    びSnの1種又は2種をSb+Sn/2:0.002〜
    0.02wt%の範囲で含有し、残部が実質的にFeか
    らなり、表面粗さRaが0.6〜4.0μmであること
    を特徴とする磁気特性に優れた積層コア用鋼板。
JP09195799A 1999-03-31 1999-03-31 積層コア用鋼板 Expired - Fee Related JP3915308B2 (ja)

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