JP2000281389A - くもり低減ガラス - Google Patents

くもり低減ガラス

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JP2000281389A
JP2000281389A JP11092103A JP9210399A JP2000281389A JP 2000281389 A JP2000281389 A JP 2000281389A JP 11092103 A JP11092103 A JP 11092103A JP 9210399 A JP9210399 A JP 9210399A JP 2000281389 A JP2000281389 A JP 2000281389A
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glass
water
fogging
window
film
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JP11092103A
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English (en)
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Satoko Sugawara
聡子 菅原
Makoto Wada
真 和田
Yasuaki Kai
康朗 甲斐
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定したくもり低減性能を発現し、耐久性よ
く長期間性能を持続し、かつ低コストのくもり低減ガラ
ス、特に乗物用くもり低減ガラスを提供する。 【解決手段】 くもり低減ガラスは、窓ガラスの室内例
に、水の付着エネルギーが73.0mJm-2以下の実質
的に透明な膜を備える。該透明膜はフッ素化合物及び/
又はシリコーン系化合物をガラス上に設けることにより
形成される。必要に応じて、フッ素化合物及び/又はシ
リコーン系化合物を塗布する前に、金属酸化物からなる
実質的に透明な下地膜を設けることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、くもり低減ガラス
に関し、特に空気中の水蒸気がガラスの表面に付着凝縮
することを低減するくもり低減ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から無機ガラス等は、透明基材とし
ての性質を活かして、例えば窓ガラス、鏡面、眼鏡レン
ズなどの物品に広く利用されている。しかしながら、こ
れら透明基材を用いた物品の欠点は、高温高湿の場所ま
たは温度や湿度差の大きい強界面などにおいて使用する
と、物品の表面に結露を生じ、これに起因して物品の表
面がくもりを帯びることである。特に透明基材のうちで
も、窓ガラス、眼鏡レンズ、鏡などにおいて製品の表面
が曇ったり、あるいは傷がつきやすいということは重大
な問題である。従って各方面からこれらの改良に関する
要望がされており、これまでに透明基材をはじめとする
各種物品に対して、親水性や耐久性を付与しようと試み
が種々提案されている。
【0003】基材表面のくもりを防止する方法として、
通常はガラス等の表面に親水性の被膜を形成することが
行なわれている。親水性被膜を形成すると、空気中の水
蒸気がガラス表面に付着凝縮した際に、水滴とならずに
薄く均一に塗れ広がったり、膜に吸収されたりするた
め、くもりを防止することができる。
【0004】最も簡単な手段として、界面活性剤をガラ
ス表面に塗布することでくもりを防止することは従来か
ら知られており、特開昭52−101680号公報に
は、界面活性剤にポリアクリル酸やポリビニルアルコー
ルなどの水溶性ポリマーを配合することで、くもり防止
の持続性を向上させることが記載されている。しかしな
がら、この様な方法は、一時的にガラスに親水性を付与
するのみであり、持続的な効果を期待することはできな
い。
【0005】また、特開昭55−154351号公報に
は、ガラス基材表面に、モリブデン酸化物とタングステ
ン酸化物のうちいずれか一種以上とリン酸化物とを含む
薄膜を、物理蒸着や、化学蒸着等で形成することによ
り、親水性に優れた親水性薄膜を形成する方法が提案さ
れ、特開昭54−105120号公報には、P2 Oを含
むガラスに、P2 5 の液体または蒸気を接触させるこ
とにより親水性を付与する方法が提案され、特開昭53
−58492号公報には、スルホン酸型界面活性剤およ
び無機塩あるいは酢酸塩を含む組成物を、低級アルコー
ル溶液を用いて基材に塗布することにより、密着性に優
れた親水膜を形成する方法が提案されているが、いずれ
の方法においても、親水性能の長期持続性に劣るという
欠点があった。
【0006】また、親水性能を長期間持続させる方法と
して、特開平10−72242号公報、WO97/23
572号公報及び特開平09−241038号公報等に
は、チタニア光触媒を利用してガラス表面上に膜を形成
し、紫外線が照射されることにより親水化されることが
記載されている。しかしながら、自動車等の乗物用にお
いては、合わせガラスの接着剤として使用されるPVB
に紫外線吸収剤が含まれていたり、紫外線の大部分を吸
収する着色ガラスが使用されるため、乗物室内には紫外
線はほとんど到達しない。従って、チタニア光触媒によ
って膜を親水化するのに必要な波長380nm以下の紫
外線がほとんど得られず、乗物の室内で親水性を十分に
持続することができないという問題点があった。
【0007】また上記のように、ガラス表面の付着凝縮
水を均一な薄い水膜にすることによってくもりを防止す
る方法では、防曇効果を得るためには水滴接触角が少な
くとも10°以下の極めて高い親水性が持続されること
が求められ、わずかに親水性が低下しただけで水膜が不
均一になり、かえって透視性が阻害される。そのため、
通常の親水性被膜で防曇性が十分に得られる親水性を維
持することは非常に困難となっている。さらに、親水性
被膜では、水膜化した凝縮水が下へ流れ、端部にたまる
という問題点もある。このように従来においては、特に
乗物の室内に透明基材を用いる場合には、長期間にわた
り防曇性を安定して持続することはできなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来技術の欠点を解消し、安定したくもり低減性能を
発現し、耐久性よく長期間性能を持続し、かつ低コスト
のくもり低減ガラス、特に乗物用くもり低減ガラスを提
供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の上記の目的は、
乗物用窓ガラスの室内側に、凝着水との界面エネルギー
が26.0mJm-2以上の実質的に透明な膜を備えるこ
とにより、空気中の水蒸気のガラス表面への付着凝縮を
低減すると同時に付着擬縮水の成長を遅くすることによ
って、ガラスをくもりにくくなるようにすることができ
ることを見出し、本発明に到達した。
【0010】請求項1記載のくもり低減ガラスは、窓ガ
ラスの室内側に、水の付着エネルギーが73.0mJm
-2以下の実質的に透明な膜を備えたものであることを特
徴とする。
【0011】請求項2記載のくもり低減ガラスは、請求
項1記載のくもり低減ガラスは、請求項1記載のくもり
低減ガラスにおいて、窓ガラスが乗物用のフロントウィ
ンドウ、サイドドアガラス、バックウィンドウ及びクォ
ーターガラスから成る群より選ばれる少なくとも1種の
ガラスであることを特徴とする。
【0012】請求項3記載のくもり低減ガラスは、請求
項1又は2記載のくもり低減ガラスにおいて、窓ガラス
の室内側に備えられた透明膜は、フッ素化合物及び/又
はシリコーン系化合物をガラス上に設けることにより形
成されたものであることを特徴とする。
【0013】請求項4記載のくもり低減ガラスは、請求
項1又は2記載のくもり低減ガラスにおいて、窓ガラス
の室内側に備えられた透明膜は、金属酸化物からなる実
質的に透明な下地膜の上に、フッ素化合物及び/又はシ
リコーン系化合物を塗布することにより形成されたもの
であることを特徴とする。
【0014】請求項5記載のくもり低減ガラスは、請求
項4記載のくもり低減ガラスにおいて、下地膜は凹凸形
状を有することを特徴とする。
【0015】請求項6記載のくもり低減ガラスは、請求
項3〜5いずれかの項記載のくもり低減ガラスにおい
て、フッ素化合物がフルオロアルキルシランであること
を特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明のくもり低減ガラスは、窓
ガラスの室内側に、水の付着エネルギーが73.0mJ
-2以下の実質的に透明な膜を備えたものである。窓ガ
ラスとしては、例えば自動車、飛行機、船舶、列車等の
乗物用のフロントウィンドウ、サイドドアガラス、バッ
クウィンドウ及びクォーターガラス等を用いることがで
きる。また、実質的に透明とは、曇価が1%以下であれ
ば良い。
【0017】通常、空気中の水蒸気は、その温度での飽
和水蒸気圧を超えたとき(相対湿度が100%以上のと
き)に凝縮し始め、水滴となる。特に乗物の窓ガラスの
場合、乗物室内温度と比べてガラス温度が低くなり、か
つ湿度の高い場合、ガラス表面に水滴が付着凝縮しくも
りとなる。清浄な空気中で水が凝縮するためには、蒸気
圧が飽和水蒸気圧以上となることが必要であるが、ガラ
ス上に水滴が成長する場合は核となる汚れなどが存在す
るため、飽和水蒸気圧以下でもくもりが発生する。
【0018】相対湿度が大きいほど、小さなサイズの水
滴も安定に存在できるようになる。例えば、半径0.0
1μmの水滴は相対湿度が112%以上、半径0.1μ
mの水滴は相対湿度が約101%以上、また半径1μm
の水滴は相対湿度が100%以上でなければ、蒸発し消
滅してしまう。これは、小さな水滴ほど(水滴の半径が
小さく曲率が大きいほど)同じだけの体積が増加する場
合の表面積の増加が大きく、表面張力が邪魔をするため
である。(一般気象学、小倉義光著、東京大学出版、p
74〜77)。
【0019】このことから、半径0.01μm以下の水
滴が凝縮し、成長するには112%以上の相対湿度でな
ければならないが、もっと大きな核があればより低い相
対湿度でも付着凝縮水が成長してくもりとなることがわ
かる。ガラスの表面に汚染粒子が存在すると、清浄なガ
ラス表面と比較して、より簡単にくもりが発生する。ま
た、親水性表面の場合は、低湿度でも膜表面へ水分が吸
着しているため、曲率の小さな(水滴の半径が大きな)
平面に近い表面に水が凝縮することとなり、表面積の増
加による表面張力の影響が少なく、空気中の水分の付着
凝縮が進みやすい。
【0020】一方、ガラス上に形成された膜への水の付
着エネルギーWは下式で表される(分子間と表面力,第
2版、J.N.イスラエルアチビリ著、近藤保/大島広行
訳、朝倉書店、p301〜311 参照)。 W=γW (1+cos θ)=γS +γW −γSW W :膜への水の付着エネルギー(mJm-2)、正の場
合は引力、負の場合はは斥力 γW :水の表面エネルギー(mJm-2)=73 θ :膜の水滴接触角 γS :ガラス上に形成された膜の表面エネルギー(mJ
-2) γSW:ガラス上に形成された膜と水の界面エネルギー
(mJm-2
【0021】上式においては、水滴接触角はγS とγSW
によって決定し、膜の表面エネルギーが高く、水との界
面エネルギーが小さいほど水が安定に付着しやすいこと
がわかる。くもりを低減するには、空気中の水蒸気が付
着凝縮しにくいように、表面エネルギーが小さく、水と
の界面エネルギーが低い、接触角の大きな膜をガラス上
に形成し、水の付着エネルギーを小さくすることが必要
である。
【0022】水滴接触角が大きく、水の付着エネルギー
の小さな膜を乗物用窓ガラス上に形成して検討を行った
結果、水の付着エネルギーが73.0mJm-2以下の実
質的に透明な膜を乗物用窓ガラスの室内側に設けた場合
に、著しいくもり低減効果が認められ、非常に実用的に
安定した特性を有することを見出した。この水の付着エ
ネルギーは小さいほど、くもり防止効果は高かった。
【0023】水の付着エネルギーが73.0mJm-2
り大きい場合には、処理を行わないガラスと比較して、
くもり低減効果が小さく、くもり低減ガラスとして使用
するのに実用的なレベルには至らなかった。また、この
場合本発明の膜の水滴接触角は90°以上であり、この
水滴接触角は大きいほど効果が高くる。
【0024】一般的には、水の付着エネルギーが大きく
水滴接触角が大きな膜はくもりが発生しやすいと考えら
れているが、くもりが発生しやすいのは水の付着エネル
ギーが約80〜140mJm-2、水滴接触角が約30〜
80°の範囲の膜であり、水の付着エネルギーをさらに
小さくしていくと、逆にくもりにくく、くもりが発生し
た場合も透過光の散乱が小さく、また容易に晴れるくも
り低減ガラスが得られる。
【0025】具体的に上記のようなくもり低減膜を乗物
用窓ガラス上に形成する方法としては、パラフィン構造
を有する炭化水素を塗布する方法もあるが、耐久性の良
い膜を均一に形成するためには、フツ素化合物またはシ
リコーン系化合物を用いることが好ましい。これらの化
合物は、いずれか一方でも、混合して用いてもよい。
【0026】フッ素化合物を用いる方法としては、PT
FE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素系ポリ
マーの微粒子をバインダーに分散しガラス上にコーティ
ングする方法がある。また、各種のフルオロアルキルシ
ラン等のアルコキシドやハロゲン化物、イソシアネート
などのシランカップリング剤タイプの化合物を用い、こ
れを加水分解、重縮合反応したものをコーティング材と
してガラス上に固定させることもできる。
【0027】シリコーン化合物としては各種の物を用い
ることができるが、ジメチルシリコーン、アミノ変性シ
リコーン等のシリコーンポリマーや、ジメチルシリコー
ンや変性シリコーン等のシランカップリング剤タイプの
ものなどを使用できる。ガラス上へのこれらの化合物を
設ける方法は、これらをそのまま、あるいはバインダー
と混合して塗布する。アルコキシドのシランカップリン
グ剤は加水分解してから用いると、より密着性が良い。
【0028】これらのフッ素化合物やシリコーン系化合
物は、それぞれ単独で使用することもできるし、いくつ
かを混合して用いてもよい。また、バインダーとして
は、金属酸化物を用いることができ、例えば、Si
2 ,TiO2 ,ZrO2 ,Al2 3 などがある。
【0029】また、上記の化合物をガラスに直接塗布し
て、くもり低減膜を形成してもよいが、更に下地層を設
けることによってさらにくもり低減効果を増したり、耐
久性を向上させることができる。
【0030】下地層としては、例えば金属酸化物の膜が
挙げられ、金属酸化物としては、例えばSiO2 ,Ti
2 ,TiO2 ,Al2 3 ,ZrO2 など一般的なも
のを単独でも混合しても用いることができる。くもり低
減膜としてシランカップリング剤タイプの化合物を塗布
する湯合には、この様な下地層を設けることによって、
結合サイトが増えて導入量が多くなるため、水との界面
エネルギーがより大きく、水滴接触角が大きくなる上、
耐久性も向上する。下地層を設ける方法はゾルゲル法を
用いても良いし、蒸着やスパッタなどの真空成膜法によ
っても良い。
【0031】平坦なガラス表面へのフッ素化合物及び/
又はシリコーン系化合物の導入によって得られる膜の水
滴接触角は、大きくても105°程度であるが、下地層
を設けてこれに凹凸形状をつけることで110°以上の
水滴接触角が得られるようになる。この揚合、くもり低
減膜自体と水との界面エネルギーは変わらないが、巨視
的な水滴接触角は大きくなり、くもり低減効果はさらに
改善される。
【0032】さらに、該下地層表面に微細な凹凸形状を
形成すると、水滴接触角がさらに大きくなり、優れたく
もり低減効果を発揮する。下地層に微細凹凸形状を形成
する方法としては、ゾルゲル法にて作製する場合は、上
記した各種バインダー成分に金属酸化物の微粒子を混入
したり、金属酸化物の前駆体に有機化合物を混入して焼
成し燃焼させてビットを作る方法、また、構造の異なる
複数の金属酸化物を混合して用い表面を凹凸化する方法
などがある。
【0033】以上説明してきたくもり低減膜やその下地
層をガラス上に形成する方法としては、ゾルゲル法や真
空成膜法などの各種の方法を用いることができるが、自
動車用窓ガラスのように大きな面積のものを処理する方
法としては、ゾルゲル法が高価な装置を必要とせず、安
価にできる点より、最も適当である。
【0034】
【実施例】本発明を、以下の実施例及び比較例により詳
しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。なお、くもり低減性能の評価は、自動車を5℃の
環境下に放置しガラス温度を安定化した後、ドア、ウィ
ンドウをすべて閉じた状態で水蒸気を500g/時間の
割合で発生させ、5分後の状態を調べることにより行っ
た。
【0035】実施例1 次の構造式;C7 17CH2 CH2 Si(OCH3 3
で示されるフルオロアルキルシラン10gを、イソプロ
ピルアルコール(IPA)90gで希釈した液に、水を
5gを加えて攪拌し、さらに硝酸でpH2となるように
調整した。
【0036】この溶液を室温にて3時間攪拌し、塗布溶
液(A)を得た。自動車用窓ガラスとして、フロントウ
ィンドウを用い、まず、車室内側の表面を酸化セリウム
の粉末を使用して研磨し、次いで水で洗浄して乾燥し
た。この洗浄を行ったガラス面に上記塗布溶液(A)を
全面に塗布し、そのまま30分放置した。 その後、 IP
Aを綿布に含ませて余分の塗布液を拭取り、くもり低減
ガラスを得た。
【0037】ガラス表面の接触角は105°、接触角か
ら計算した水の付着エネルギーは約54mJm-2であっ
た。得られたくもり低減ガラスを自動車に装着し、前記
くもり低減性能評価を行った。評価の結果、得られたく
もり低減ガラスは4分後までくもりはなく、5分で薄い
くもりが発生したが、前方視界はまだかなりはっきりし
ていた。その後、空調を作動させて送風したところ、速
やかにくもりが解消し、20秒でくもりは解消した。
【0038】また、この窓ガラスを自動車に取り付け
後、1ケ月間通常に使用し、再度前記くもり低減性能評
価を行った。この時の表面の水滴接触角と水の付着エネ
ルギーは初期の場合と変化なく、くもり防止性能も初期
と同等であった。さらに、タオルに水を含ませて表面を
払拭した後も、ガラス表面の水滴接触角と水の付着エネ
ルギーは初期と変化なく、くもり防止性にも変化がなか
った。
【0039】実施例2 次の構造式;C2 5 Si(OCH3 3 で表されるア
ルコキシシラン10gをIPA90gで希釈し、水を5
g加えて攪拌した後、硝酸でPH2となるように調整し
た。この溶液を室温で5時間携拝して得られた溶液
(B)に、実施例1で用いた塗布液(A)を重量比で 1
: 1となるように混合し、塗布液(C)を得た。
【0040】実施例1と同様に準備した自動車のフロン
トウィンドウの室内側に、塗布液(C)を用いて実施例
1と同様に処理した。ガラス処理面の水滴接触角は約9
8°、接触角から計算した水の付着エネルギーは約62
mJm-2であった。
【0041】得られたくもり低減ガラスを自動車に装着
し、前記くもり低減性能評価を行った。評価の結果、得
られたくもり低減ガラスは3分後まではくもりはなく、
4分で薄いくもりが発生したが、前方視界はまだかなり
はっきりしていた。その後、空調を作動させて送風した
ところ、速やかにくもりが解消し20秒でくもりは解消
した。
【0042】また、この窓ガラスを自動車に取り付け
後、 1ケ月間通常に使用し、再度前記くもり低減性能評
価を行った。この時の表面の水滴接触角と水の付着エネ
ルギーは初期の場合と変化なく、くもり防止性能も初期
と同等であった。さらに、タオルに水を含ませて表面を
払拭した後も、ガラス表面の水滴接触角と水の付着エネ
ルギーは初期と変化なく、くもり防止性にも変化がなか
った。
【0043】実施例3 シシリコーン化合物として、商品名「SR2410」
(東レ・ダウ・コーニング・シリコーン(株)製)を用
い、トルエンで固形分濃度が2重量%となるように希釈
し、塗布溶液(D)とした。実施例1と同様に洗浄し、
乾燥した自動車用サイドドアガラスに、塗布溶液(D)
を塗布し、自然乾燥後、150℃で30分硬化させた。
ガラス処理面の水滴接触角は約93°、接触角から計算
した水の付着エネルギーは約70mJm-2であった。
【0044】得られたくもり低減ガラスを自動車に装着
し、前記くもり低減性能評価を行った。評価の結果、得
られたくもり低減ガラスは3分後まではくもりがなく、
4分で薄いくもりが発生したが、前方視界はまだかなり
はっきりしていた。その後、空調を作動させて送風した
ところ、速やかにくもりが解消し40秒でくもりは解消
した。また、この窓ガラスを自動車に取り付け後、 1ケ
月間通常に使用し、再度前記くもり低減性能評価を行っ
た。この時の表面の水滴接触角と水の付着エネルギーは
初期の場合と変化なく、くもり防止性能も初期と同等で
あった。さらに、タオルに水を含ませて表面を払拭した
後も、ガラス表面の水滴接触角と水の付着エネルギーは
初期と変化なく、くもり防止性にも変化がなかった。
【0045】実施例4 下地塗布溶液(E)として、次の構造式;Si(NC
O)4 の化合物を酢酸エチルで固形分濃度が2重量%と
なるように希釈し、10分間攪拌したものを準備した
(塗布溶液(E))。実施例1と同様にして洗浄乾燥し
た自動車用のサイドドアガラスの室内側に、塗布溶液
(E)を塗布し、 30分間自然乾燥させて下地層を得
た。次いで形成された下地層の上に、実施例1と同様に
準備した塗布溶液(A)を塗布し, 150℃で30分加熱
した。その後、 IPAを綿布に染み込ませて余分の塗布
液を拭取り、くもり低減ガラスを得た。ガラス処理面の
水滴接触角は約107°、接触角から計算した水の付着
エネルギーは約51mJm-2であった。
【0046】得られたくもり低減ガラスを自動車に装着
し、前記くもり低減性能評価を行った。評価の結果、得
られたくもり低減ガラスは4分後まではくもりがなく、
5分で薄いくもりが発生したが、前方視界はまだかなり
はっきりしていた。その後、空調を作動させて送風した
ところ、速やかにくもりが解消し40秒でくもりは解消
した。
【0047】また、この窓ガラスを自動車に取り付け
後、1ケ月間通常に使用し、再度前記くもり低減性能評
価を行った。この時の表面の水滴接触角と水の付着エネ
ルギーは初期の場合と変化なく、くもり防止性能も初期
と同等であった。さらに、タオルに水を含ませて表面を
払拭した後も、ガラス表面の水滴接触角と水の付着エネ
ルギーは初期と変化なく、くもり防止性にも変化がなか
った。
【0048】実施例5 下地塗布溶液(F)として、商品名「CGS−D1−0
600」(チッソ(株)製)10gと商品名IPA−S
T(日産化学工業(株))1.6gとIPA88.4g
とを混合し、1時間攪拌したものを準備した(塗布溶液
(F))。実施例1と同様にして洗浄乾焼した自動車用
のサイドドアガラスの室内側に、塗布溶液(F)を塗布
し、 30分間自然乾燥させた後、300℃で30分加熱し
て下地層を得た。次いで形成した下地層の上に、実施例
1 と同様に準備した塗布溶液(A)を塗布し、150℃
で30分加熱した。その後、IPAを綿布に染み込ませて
余分の塗布液を拭取り、くもり低減ガラスを得た。ガラ
ス処理面の水滴接触角は約115°接触角から計算した
水の付着エネルギーは約42mJm-2であった。
【0049】得られたくもり低減ガラスを自動車に装着
し、前記くもり低減性能評価を行った。評価の結果、得
られたくもり低減ガラスは5分経過後もほとんどくもり
は発生しなかった。また、この窓ガラスを自動車に取り
付け後, 1ケ月間通常に使用し、再度前記くもり低減性
能評価を行った。この時の表面の水滴接触角と水の付着
エネルギーは初期の場合と変化なく、くもり防止性能も
初期と同等であつた。さらに、タオルに水を含ませて表
面を払拭した後も、ガラス表面の水滴接触角と水の付着
エネルギーは初期と変化なく、くもり防止性にも変化が
なかった。
【0050】比較例1 自動車用のフロントウィンドウとサイドドアガラスの室
内側の水滴接触角を測定したところ、水滴接触角は約4
5°、接触から計算した水の付着エネルギーは約125
mJm-2であった。この未処理のウィンドウを自動車に
装着して前記くもり低減性能評価を行った。その結果、
上記の未処理のウィンドウは1分で薄くくもりはじめ、
3分後にはくもりが濃くなった。このため空調を作動さ
せ送風したが、くもりが完全に解消したのはフロントウ
ィンドウで90秒後、サイドドアガラスで5分後であっ
た。
【0051】比較例2 自動車のフロントウィンドウ、サイドドアガラスの室内
側に市販のくもり止め剤商品名「油膜とりくもり止めス
プレー」(ジョンソン(株)製)を塗布し、前記くもり
低減性能評価を行った。ガラス処理面の水滴接触角は約
5°、接触から計算した水の付着エネルギーは146m
Jm-2であつた。
【0052】その結果、ウィンドウやドアガラスにはく
もり止め剤の塗布むらによる水膜の厚みむらが観られ、
透視像がやや歪んでいたものの、 5分間くもりの発生は
なくほぼすっきりとした視界が保たれていた。
【0053】この自動車を通常に1ケ月使用した後、再
び同様の前記くもり低減性能試験を行った。この時のガ
ラス表面の水滴接触角は、場所によってむらがあり7〜
22°、この接触角から計算した水の付着エネルギーは
141〜146mJm-2であった。くもり試験の結果
は, 3分後には水膜のムラが激しくなり、所々くもりが
発生し、視界の歪みが大きかった。このため空調を作動
させ送風したが、くもりが完全に解消したのはフロント
ウィンドウで90秒後、サイドドアガラスで3分後であ
った。
【0054】また、さらにウィンドウやドアガラス室内
側の表面を水拭きした後に、前記くもり低減性能評価を
行ったところ、ガラス表面の接触角は15〜23°、接
触角から計算した水の付着エネルギーは140〜143
mJm-2で、評価開始後2分後にはくもりが発生しはじ
め、4分で濃いくもりの状態となった。このため空調を
作動させ送風したが、くもりが完全に解消したのはフロ
ントウィンドウで90秒後、サイドドアガラスで5分後
であった。
【0055】比較例3 実施例1と同様に洗浄、乾燥を行った自動車用サイドド
アガラスの室内側に、実施例5と同様にして、塗布溶液
(F)を塗布し加熱を行った。ガラスの表面は、水滴接
触角が約5°、接触角から計算した水の付着エネルギー
は約146mJm-2の非常に高い親水性のものであっ
た。得られたサイドドアガラスを自動車に装着し、前記
くもり低減性能評価を行ったところ、5分間くもりも水
膜の不均一も発生せず、非常に優れた防曇性を示した。
【0056】この親水性のサイドドアガラスを装着した
自動車を通常に1ケ月使用した後、ガラス表面の水滴接
触角は25〜30°、接触角から計算した水の付着エネ
ルギーは136〜140mJm-2となり、親水性はやや
低下していた。この自動車を用いて前記くもり低減性能
評価を行った結果、2分後に結露のため全体に不均一な
水膜が形成され、前方の視界が歪むようになっていた。
5分後にもこの状態は変わらず、結露をとるために空調
を作動して送風したが、歪みが解消するまでに約3分を
要した。さらに、このガラス表面を水拭きしてくもり低
減性能評価を行なったが、水拭き前と比較して変化はな
かった。
【0057】前記実施例1〜5及び比較例1〜3で得ら
れたくもり低減性能評価結果を、表1に示す。
【表1】
【0058】
【発明の効果】本発明のくもり低減ガラスは、くもり低
減効果が安定して持続される上に、耐久性も優れる。
【0059】本発明のくもり低減ガラスは、特に乗物用
窓ガラス用として非常に有効なものであり、乗物の室内
では、水蒸気圧が過飽和状態となることは少なく、緩や
かな条件下におけるくもりを低減することができる。ま
た、例え、くもりが発生したとしてもそのくもり度合い
は小さいので不快感が低く、乗物のデフォッガーを動作
し、送風すると即座に解消することが可能である。
【0060】更に、本発明のくもり低減ガラスは、空気
中の汚染粒子なども付着しにくく、付着しても容易に拭
き取ることが可能なため、水滴凝縮の核となるものを減
らすことができる。また、本発明のくもり低減ガラス
は、親水性の被膜のように空気中の汚染物質の付着によ
って性能が劣化することもなく、長期間に渡り安定した
性能を得ることができる。更に、本発明のくもり低減ガ
ラスは、構成が簡単で、乗物用窓ガラスの製造工程にも
容易にその形成工程を取り入れることが可能なため、コ
ストが低く抑えられるという利点もある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 甲斐 康朗 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内 Fターム(参考) 3D025 AA02 AC20 AD02 AD03 AD04 AD13 4G059 AA01 AA11 AC21 FA05 FA27 FB03 GA01 GA02 GA04 GA16

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窓ガラスの室内側に、水の付着エネルギ
    ーが73.0mJm-2以下の実質的に透明な膜を備える
    ことを特徴とする、くもり低減ガラス
  2. 【請求項2】 窓ガラスが、乗物用のフロントウィンド
    ウ、サイドドアガラス、バックウィンドウ及びクォータ
    ーガラスから成る群より選ばれる少なくとも1種のガラ
    スであることを特徴とする、請求項1記載のくもり低減
    ガラス。
  3. 【請求項3】 窓ガラスの室内側に備えられた透明膜
    は、フッ素化合物及び/又はシリコーン系化合物をガラ
    ス上に設けることにより形成されたものであることを特
    徴とする、請求項1又は2記載のくもり低減ガラス。
  4. 【請求項4】 窓ガラスの室内側に備えられた透明膜
    は、金属酸化物からなる実質的に透明な下地膜の上に、
    フッ素化合物及び/又はシリコーン系化合物を塗布する
    ことにより形成されたものであることを特徴とする、請
    求項1又は2記載のくもり低減ガラス。
  5. 【請求項5】 下地膜は凹凸形状を有することを特徴と
    する、請求項4記載のくもり低減ガラス。
  6. 【請求項6】 フッ素化合物がフルオロアルキルシラン
    であることを特徴とする、請求項3〜5いずれかの項記
    載のくもり低減ガラス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008114760A (ja) * 2006-11-06 2008-05-22 Asahi Glass Co Ltd 防曇ガラスを備えた車両及び車両用窓ガラスのセット

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JP2008114760A (ja) * 2006-11-06 2008-05-22 Asahi Glass Co Ltd 防曇ガラスを備えた車両及び車両用窓ガラスのセット

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