JP2000279431A - 歯科用補綴物の製造方法及び製造装置 - Google Patents

歯科用補綴物の製造方法及び製造装置

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JP2000279431A
JP2000279431A JP11092857A JP9285799A JP2000279431A JP 2000279431 A JP2000279431 A JP 2000279431A JP 11092857 A JP11092857 A JP 11092857A JP 9285799 A JP9285799 A JP 9285799A JP 2000279431 A JP2000279431 A JP 2000279431A
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prosthetic
prosthesis
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JP11092857A
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English (en)
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Chiyo Kumeta
治庸 粂田
Masami Tamura
雅巳 田村
Toshiaki Ikeda
利昭 池田
Toshiyuki Nanbu
敏之 南部
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LIFE TEC KENKYUSHO KK
Original Assignee
LIFE TEC KENKYUSHO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単かつ安価にベニヤ・クラウン等の歯科用
補綴物を製造する。 【解決手段】 ベニヤ・クラウンの原型となる補綴物素
材3の表側には、ベニヤ・クラウンの表面(前歯の前面
側)に対応する疑似表面32が形成されている。この疑
似表面32は、予め、人間の歯牙独特の表面状態と近似
した形態、透明感及び艶のある白色の状態に形成されて
いる。そして、この疑似表面32の一部または全部を残
して、他の部分を切削または研削加工することにより、
希望の形状のベニヤ・クラウンを完成させる。なお、補
綴物素材3の裏側には、半球状の指標33、33が設け
られており、これら指標33、33により、上記切削ま
たは研削加工する際の位置決めが成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人間の歯牙の欠損
部分を補綴する歯科用補綴物(以下、単に、補綴物と言
う。)の製造方法及び製造装置に関し、特に、前歯や犬
歯等の表面(前面または頬側面)部分を補綴するための
補綴物の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記のように歯牙の表面部分を補綴する
歯科治療技術として、従来、一般にポーセレン・ラミネ
ート・ベニヤ(Porcelain Laminate Veneer )法と呼ば
れている技術が知られている。その手順は、次の通りで
ある。
【0003】まず、歯科医院において、患歯の表面部分
を薄く、例えば厚さ0.5mm程度切削除去して、その
印象を取る。次に、この印象を基に、上記患歯の石膏模
型を作成する。そして、歯科医院若しくは歯科技工所に
おいて、この石膏模型より複製した耐火模型の上記切削
除去した部分(厳密には切削除去した後の残存部)に対
応する部分の表面にペースト状の陶材(Porcelain )を
塗布して焼成し、この陶材の塗布及び焼成作業を繰り返
すことにより、上記患歯の切削除去した部分に代わるべ
く厚さの薄い補綴物、所謂ベニヤ・クラウン(Veneer C
rown)を形成する。そして、このベニヤ・クラウンを、
歯科医院において、上記患歯の切削除去した部分に接着
して、一連の補綴作業を完了する。
【0004】なお、上記のように陶材の塗布及び焼成作
業を繰り返すのは、ベニヤ・クラウンの表面状態を、人
間の歯牙独特の形態、透明感及び艶のある白色の状態に
近づけるためである。即ち、それぞれ種類の異なる複数
の陶材を順次塗布及び焼成することにより、それぞれ透
明度及び色艶の異なる複数のポーセレン層を積層する。
このようにすれば、人間の歯牙独特の表面状態に近似し
た形態、透明感及び艶のある白色の状態を醸し出すこと
ができる。このことは、歯牙の審美性を整えることを主
な目的とする本ポーセレン・ラミネート・ベニヤ法にお
いて、非常に重要なことである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のよう
に、従来のポーセレン・ラミネート・ベニヤ法によれ
ば、陶材の塗布及び焼成作業を何度も繰り返す必要があ
るので、1枚のベニヤ・クラウンを製造するのに非常に
手間が掛かり、コスト的にも高価であるという問題があ
る。また、製品の品質及び生産性は、その作業を行う歯
科医師または歯科技工師の技量に依るところが大きいの
で、一定の品質のものを効率良く生産できないという問
題もある。
【0006】なお、上記ポーセレン・ラミネート・ベニ
ヤ法以外に、例えば、所定の大きさの固体素材から、こ
れを切削することにより、ベニヤ・クラウンを形成する
という技工法もある。しかし、この技工法によれば、歯
牙の表面部分に対応すべき部分をも切削または研削加工
により形成することになるので、人間の歯牙独特の透明
感及び色艶を醸し出すことは到底できない。
【0007】そこで、本発明は、人間の歯牙の表面状態
に近似した形態、透明感及び色艶を有するベニヤ・クラ
ウン等の補綴物を、従来よりも容易かつ安価に製造でき
る補綴物の製造方法及び製造装置を提供することを目的
とする。また、補綴物を製造する者の技量に依存するこ
となく一定の品質の補綴物を従来よりも効率良く生産で
きるようにすることも、本発明の目的とするところであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のうち請求項1に記載の発明は、歯牙の欠損
部分を補綴するための補綴物の製造方法において、所定
の表面部分が予め所定の状態、例えば人間の歯牙の表面
状態に近似した透明感及び色艶を有する状態に形成され
た補綴物素材の該所定の表面部分の一部または全部を非
加工とし、この非加工部分により上記歯牙の非欠損時の
表面に対応する面を形成すると共に、該補綴物素材の他
の部分を上記歯牙の欠損部分の表面形状に適合させる状
態にまで加工することにより上記補綴物を形成するもの
である。
【0009】本請求項1に記載の発明によれば、補綴物
の原型となる補綴物素材の所定の表面部分は、予め、人
間の歯牙の表面状態に近似した形態、透明感及び色艶を
有する状態に形成されている。そして、この補綴物素材
を加工して補綴物を形成する際、上記所定の表面部分を
残して、この所定の表面部分を補綴対象となる歯牙の非
欠損時(換言すれば欠損する前)の表面に対応させると
共に、補綴物素材の他の部分を上記歯牙の欠損部分の表
面形状に適合させるように、例えば切削または研削加工
する。
【0010】なお、補綴物素材の上記所定の表面部分の
外形寸法が、補綴対象となる歯牙の非欠損時の表面の外
形寸法と略同等であるときは、この所定の部分の全部を
非加工として残す。一方、補綴物素材の上記所定の部分
の外形寸法が、補綴対象となる歯牙の非欠損時の表面の
外形寸法と同等でない場合には、これら両者が略同等に
なる程度にまで、上記補綴物素材の所定の部分の一部を
切削または研削加工する。
【0011】このように、本請求項1に記載の発明によ
れば、補綴物素材の上記所定の表面部分以外の部分を任
意に切削または研削加工するだけで、歯牙の表面部分を
補綴すべく補綴物、例えばベニヤ・クラウンを形成でき
る。また、上記補綴物素材の所定の表面部分は、予め人
間の歯牙の表面状態に近似した状態に形成されているの
で、この表面状態を形成するために上述した従来のポー
セレン・ラミネート・ベニヤ法のように何度も陶材の塗
布及び焼成作業を繰り返す必要もない。
【0012】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明の補綴物の製造方法において、上記補綴物素材の
上記所定の表面部分の状態を、人間の歯牙の表面状態に
近似した形態、透明感及び艶のある白色状態としたもの
である。
【0013】即ち、本請求項2に記載の発明のように、
補綴物素材の上記所定の表面部分を、人間の歯牙の表面
状態に近似した形態、透明感及び色艶とすることによっ
て、より人間の歯牙に近似した補綴物を提供できる。
【0014】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の発明の補綴物の製造方法において、上記補綴物素材の
上記所定の表面部分の形状を、人間の或る特定の歯牙、
例えば補綴対象とする歯牙の一部または全体の形状に近
似させたものである。
【0015】例えば、今、人間の歯牙の一部表面を補綴
するための補綴物を製造するとする。この場合、本請求
項3に記載の発明のように、上記歯牙の一部表面を補綴
すべく補綴物素材の所定の表面部分を、上記歯牙の一部
表面に近似した形状、例えば外形寸法とすれば、この補
綴物素材の所定の表面部分を加工する手間を省くことが
できる場合がある。また、上記補綴物素材の所定の表面
部分を加工する必要があるとしても、その加工量は少な
くて済む。一方、人間の或る特定の歯牙全体を補綴する
ための補綴物を製造する場合にも、上記補綴物素材の所
定の表面部分を、補綴対象となる歯牙の表面全体に近似
した外形寸法とすれば、この補綴物素材の所定の表面部
分を加工する手間を省くことができ、若しくはその手間
を軽減できる。
【0016】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の発明の補綴物の製造方法において、上記補綴物素材
が、補綴対象となる歯牙の種類、例えば大人や小人等の
患者の個人差、または前歯や犬歯、上顎歯や下顎歯等の
歯牙の種別、或いは歯牙表面の色の種別等に応じて、予
め複数種類用意されているものである。
【0017】即ち、補綴対象となる歯牙の種類が異なる
と、当然、補綴すべく歯牙の表面部分の形状や色も異な
る。そこで、本請求項4に記載の発明のように、補綴対
象となる歯牙の種類に応じて、上記所定の表面部分の形
状及び色が様々な複数のバリエーションの補綴物素材を
用意する。このようにすれば、様々な補綴対象に対し
て、効率の良い対応ができ、生産性が向上する。
【0018】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載
の発明の補綴物の製造方法において、上記補綴物が、人
間の歯牙の概略平面な部分、例えば前歯の前面或いは犬
歯の頬側面等を補綴するものであって、上記補綴物素材
が、概略平板状のもので、その一面側に上記所定の表面
部分を有するものである。
【0019】即ち、本請求項5に記載の発明は、補綴物
として、上記ベニヤ・クラウンを製造するものである。
その際、本請求項5に記載の発明のように、加工対象と
なる補綴物素材を、比較的に厚みの薄い平板状のものと
すれば、その加工作業を比較的に簡便にできる。
【0020】請求項6に記載の発明は、請求項5に記載
の発明の補綴物の製造方法において、上記補綴物素材の
全表面積の少なくとも40%以上を加工するものであ
る。
【0021】本請求項6に記載の発明は、上記ベニヤ・
クラウンの製造方法に係る請求項5に記載の発明におい
て、補綴物素材の加工面積を具体的に規定するものであ
る。即ち、非加工とされる上記所定の表面部分は、概略
平板状の補綴物素材の一面側に形成されているので、例
えば補綴物素材の一面側全部が上記所定の表面部分に相
当する場合には、補綴物素材の他面側を加工するだけ
で、その最終形態である補綴物を形成できる。よって、
この場合、上記所定の表面部分(即ち補綴対象となる歯
牙の表面)が若干湾曲することがあることも考慮する
と、補綴物素材の全表面積の少なくとも40%以上を加
工すれば、上記ベニヤ・クラウンを形成できることにな
る。
【0022】請求項7に記載の発明は、請求項1に記載
の発明の補綴物の製造方法において、上記補綴対象とな
る歯牙またはその模型の形状を例えば3次元計測する、
具体的には3次元空間中の曲面データを計測する計測過
程と、この計測過程において計測して得た計測データと
上記補綴物素材の外形データとに基づいて上記補綴物素
材を例えば切削若しくは研削加工する加工過程と、を具
備するものである。
【0023】なお、上記計測過程における3次元空間中
の曲面データの計測は、例えば、一般に知られているレ
ーザ変位計等の非接触型(光学式)変位計により計測対
象である歯牙または模型の表面を2次元走査しながら各
走査点の残りの1次元の座標を得たり、2次元走査面を
3次元空間内で相対的に回転若しくは平行移動させなが
ら、三角測量法に基づいて各走査点の3次元座標を導出
することによって、実現できる。また、先端が尖鋭な接
触子を有する接触型変位計の上記接触子の先端により計
測対象である歯牙または模型の表面を接触走査すること
によっても、上記3次元空間中の曲面データの計測を実
現できる。
【0024】本請求項7に記載の発明によれば、計測過
程において、補綴対象となる歯牙または模型の3次元空
間中における曲面データを計測することにより、その計
測データを得る。一方、補綴物素材の外形寸法に係る3
次元空間中の曲面データが既知であるとすれば、その既
知の外形データと上記計測データとから、補綴物素材の
どこをどのように切削または研削加工すれば希望の補綴
物を形成できるのかを認識できる。そこで、加工過程に
おいて、上記計測過程で計測して得た計測データと補綴
物素材に係る既知の外形データとに基づいて、補綴物素
材を加工することによって、希望の形状を有する補綴物
を得る。
【0025】請求項8に記載の発明は、請求項4に記載
の発明の補綴物の製造方法において、上記補綴対象とな
る歯牙またはその模型の形状を例えば3次元計測する、
具体的には3次元空間中の曲面データを計測する計測過
程と、この計測過程において計測して得た計測データと
上記各補綴物素材の各外形データとを照合して、上記各
補綴物素材のうち上記補綴対象となる歯牙の補綴条件に
最も合致するもの、例えば上記所定の表面部分の形状が
補綴対象となる部分の形状に最も近似するものを選択す
る選択過程と、この選択過程において選択して得た上記
補綴物素材を、該補綴物素材の上記外形データと上記計
測データとに基づいて加工する加工過程と、を具備する
ものである。
【0026】本請求項8に記載の発明によれば、選択過
程において、計測過程で計測して得た計測データと、各
補綴物素材に係る既知の外形データとを、照合する。そ
して、各補綴物素材のうち、上記所定の表面部分の形状
が補綴対象となる部分の形状に最も近似するものを、例
えば一般に知られている特徴抽出法やパターンマッチン
グ法等の所謂形状認識技術により選択して、この選択し
て得た補綴物素材を、加工過程において加工する。この
ように、複数の補綴物素材のうち、補綴物対象となる歯
牙の形状に最も適するものを選択して加工すれば、その
加工作業を効率化でき、生産性が向上する。
【0027】請求項9に記載の発明は、請求項8に記載
の発明の補綴物の製造方法において、上記選択過程が、
上記計測データから上記補綴対象となる歯牙の欠損部分
の輪郭を抽出する輪郭抽出過程と、この輪郭抽出過程に
おいて抽出して得た補綴対象輪郭データと、上記各補綴
物素材の各外形データに含まれる各補綴物素材の各輪郭
を表す各素材輪郭データと、をそれぞれ照合し、それら
の偏差を求める照合過程と、この照合過程で求めた上記
補綴対象輪郭データとの偏差が最も小さい素材輪郭デー
タを有する補綴物素材を、上記補綴条件に最も合致する
ものとして選択する選択実行過程と、を備えたものであ
る。
【0028】例えば、今、上記選択過程において、計測
過程で計測して得た3次元空間中の曲面の計測データ
と、各補綴物素材に係る3次元空間中の曲面の各外形デ
ータとを、そのままの状態で照合するとする。この場
合、3次元空間中の面のデータという膨大な量のデータ
を処理する必要があるので、その処理に時間が掛かり、
ひいては選択過程における選択作業に時間が掛かってし
まう。
【0029】これに対して、本請求項9に記載の発明に
よれば、補綴対象となる歯牙の欠損部分の輪郭を表す補
綴対象輪郭データと、各補綴物素材の各輪郭をそれぞれ
表す素材輪郭データという、所謂3次元空間中の曲線の
データ間で、データの照合を行う。この場合、上記3次
元空間中の曲面のデータを処理する場合に比べて、処理
の対象となるデータ量が遙に少ないので、上記データ照
合を高速化でき、ひいては選択過程における選択作業の
効率化及び高速化を実現できる。
【0030】請求項10に記載の発明は、請求項9に記
載の発明の補綴物の製造方法において、上記選択実行過
程で選択して得た上記補綴物素材を、該補綴物素材の外
形データと上記計測データとに基づいて加工した場合の
該補綴物素材の加工後の形状を模擬的に計算する模擬計
算過程、を設けたものである。
【0031】即ち、請求項9に記載の発明においては、
上記のように、補綴対象輪郭データと素材輪郭データと
いう3次元空間中の曲線データ間でデータの照合を行う
ので、場合によっては、このデータ照合に基づいて選択
して得た補綴物素材が、補綴対象である歯牙の補綴条件
を満足し得ない場合が有り得る。例えば、選択して得た
補綴物素材の上記所定の表面部分の平面的な形状が、補
綴対象である歯牙の平面的な形状を満足しても、その補
綴物素材の上記平面と垂直を成す方向、例えば厚み方向
の寸法が、補綴対象である歯牙の厚み方向の寸法を満足
し得ない場合等が、有り得る。
【0032】そこで、本請求項10に記載の発明では、
上記3次元空間中の曲面データの照合に基づいて選択し
て得た補綴物素材を加工過程において加工した場合、そ
の加工後の補綴物素材がどの様な形状になるのかを模擬
的に計算する模擬計算過程、を設ける。このようにすれ
ば、模擬計算過程における計算結果から、上記3次元空
間中の曲面データの照合に基づいて選択して得た補綴物
素材が、補綴対象である歯牙の補綴条件を満足するか否
かを、事前に確認できる。
【0033】なお、上記模擬計算過程における計算結果
から、上記選択して得た補綴物素材が、補綴対象である
歯牙の補綴条件を十分に満足し得るものであることが確
認できた場合には、その補綴物素材を加工過程により加
工すればよい。一方、上記選択して得た補綴物素材が、
上記補綴条件を満足し得ないことを確認した場合には、
その補綴物素材を除く他の補綴物素材の中から、再度、
補綴対象に適するものを選択すればよい。
【0034】請求項11に記載の発明は、請求項7また
は8に記載の発明の補綴物の製造方法において、上記補
綴物素材が、上記所定の表面部分と所定の相対位置関係
を成す位置決めのための指標を有し、上記加工過程が、
その加工対象となる上記補綴物素材を所定の保持手段に
より保持する保持過程と、この保持過程で保持した上記
補綴物素材の上記指標の3次元空間における位置と方向
とを確認して該補綴物素材の基準点及び基準線を設定す
る基準設定過程と、この基準設定過程において設定して
得た基準点及び基準線を基準として上記補綴物素材を3
次元空間中の所定の曲面形状に加工するための加工デー
タを上記計測データと上記外形データとから導出する加
工データ導出過程と、この加工データ導出過程において
導出して得た加工データに基づいて上記補綴物素材を上
記保持手段に保持した状態で加工する加工実行過程と、
を備えたものである。
【0035】ここで、上記指標が、例えば任意の形状の
突起物であるとする。この場合、上記指標の3次元空間
における位置及び方向を確認するには、例えば、一般に
知られているレーザ変位計等の非接触型(光学式)変位
計を用い、この変位計で上記指標の表面を2次元走査し
ながら各走査点の残りの1次元の座標を得たり、2次元
走査面を3次元空間内で相対的に回転若しくは平行移動
させながら、三角測量法に基づいて各走査点の3次元座
標を導出すればよい。また、レーザ変位計に代えて、先
端が尖鋭な接触子を有する接触型変位計を用い、この変
位計の上記接触子の先端により指標の表面を接触走査す
ることによっても、指標の位置を確認できる。更に、2
台以上のカメラを用いて、それぞれ異なる位置から指標
を捉えた所謂ステレオ映像(画像)を分析することによ
っても、指標の位置を確認できる。
【0036】本請求項11に記載の発明によれば、加工
過程において、補綴物素材は、保持手段に保持された状
態で加工される。その際、補綴物素材は、自己の指標に
基づいて設定された基準点及び基準線を基準として加工
され、換言すれば、自己の(保持)位置及び方向を基準
として加工される。このように、加工対象となる補綴物
素材自体の位置及び方向を基準として加工が成されるの
で、例えば保持手段による保持精度等に関係なく、常
に、高精度な加工を実現できる。
【0037】請求項12に記載の発明は、請求項11に
記載の発明の補綴物の製造方法において、上記指標を、
上記補綴物素材の上記所定の表面部分以外の表面にそれ
ぞれ所定の間隔を隔てて形成された複数の概略半球状の
突起物としたものである。
【0038】本請求項12に記載の発明によれば、各突
起物の3次元的な形状や相対的な位置及び方向が決まっ
ているので、2次元走査しながら各走査点の残りの1次
元の座標データを得るだけで、補綴物素材の位置及び方
向を導出できる。なお、各突起物は、概略半球状とされ
ているので、上記基準設定過程において各突起物の3次
元空間における位置を確認する際、それらの外観から、
それぞれの基点とも言える各中心位置を正確に特定でき
る。このように、各突起物の各中心位置をそれぞれ正確
に特定できるので、綴物素材を加工する際の基準点及び
基準線を高精度で設定でき、ひいては高精度な加工を実
現できる。
【0039】これに対して、各突起物の形状が、例えば
直方体等の半球以外の形状であるとすると、場合によっ
ては、それらの外観からは、それぞれの中心位置等、各
突起物の基点となる位置を正確に特定できないことがあ
る。このことは、指標が突起物以外の例えば平面的なも
のである場合も、同様である。従って、本請求項11に
記載の発明のように、上記指標の形状を半球状の突起物
に特定するということは、高精度な加工を実現するのに
非常に有用なことである。
【0040】請求項13に記載の発明は、歯牙の欠損部
分を補綴するための歯科用補綴物を製造する装置であっ
て、 補綴対象となる上記歯牙またはその模型の形状を例えば
3次元計測する、具体的には3次元空間中の曲面データ
を計測する計測手段と、 所定の表面部分が予め所定の状態、例えば人間の歯牙の
表面状態に近似した形態、透明感及び色艶を有する状態
に形成された補綴物素材の外形データを記憶しているデ
ータ記憶手段と、 上記計測手段により計測して得た計測データと上記デー
タ記憶手段に記憶されている上記補綴物素材の外形デー
タとに基づいて、上記補綴物素材の上記所定の表面部分
の一部または全部を非加工とし、この非加工部分により
上記歯牙の非欠損時の表面に対応する面を形成すると共
に、上記補綴物素材の他の部分を上記歯牙の欠損部分の
表面形状に適合させる状態に加工する加工手段と、を具
備するものである。
【0041】請求項14に記載の発明は、歯牙の欠損部
分を補綴するための歯科用補綴物を製造する装置であっ
て、 補綴対象となる上記歯牙またはその模型の形状を例えば
3次元計測する、具体的には3次元空間中の曲面データ
を計測する計測過程と、 所定の表面部分が予め所定の状態に形成されており、上
記補綴対象となる歯牙の種類、例えば患者の個人差、或
いは前歯や犬歯、上顎歯や下顎歯等の歯牙の種別等に応
じて複数種類用意された各補綴物素材の各外形データが
記憶されているデータ記憶手段と、 上記計測手段により計測して得た計測データと上記デー
タ記憶手段に記憶されている各補綴物素材の各外形デー
タとを照合して、上記各補綴物素材のうち上記補綴対象
となる歯牙の補綴条件に最も合致するもの、例えば上記
所定の表面部分の形状が補綴対象となる部分の形状に最
も近似するものを選択する選択手段と、 この選択手段により選択して得た上記補綴物素材の上記
外形データと上記計測データとに基づいて、上記選択手
段により選択して得た補綴物素材の上記所定の表面部分
の一部または全部を非加工とし、この非加工部分により
上記歯牙の非欠損時の表面に対応する面を形成すると共
に、上記選択手段により選択して得た補綴物素材の他の
部分を上記歯牙の欠損部分の表面形状に適合させる状態
に加工する加工手段と、を具備するものである。
【0042】なお、ここで言う上記選択手段は、例えば
CPU(中央演算処理装置)を備えたコンピュータによ
り構成できる。
【0043】請求項15に記載の発明は、請求項14に
記載の発明の補綴物の製造装置において、上記選択手段
が、上記計測データから上記補綴対象となる歯牙の欠損
部分の輪郭を抽出する輪郭抽出手段と、この輪郭抽出手
段により抽出して得た補綴対象輪郭データと、上記各補
綴物素材の各外形データに含まれる各補綴物素材の各輪
郭を表す各素材輪郭データと、をそれぞれ照合し、それ
らの偏差を求める照合手段と、この照合手段により求め
た上記補綴対象輪郭データとの偏差が最も小さい素材輪
郭データを有する補綴物素材を、上記補綴条件に最も合
致するものとして選択する選択実行手段と、を備えたも
のである。
【0044】請求項16に記載の発明は、請求項15に
記載の発明の補綴物の製造装置において、上記選択実行
手段により選択して得た上記補綴物素材を、該補綴物素
材の外形データと上記計測データとに基づいて加工した
場合の該補綴物素材の加工後の形状を模擬的に計算する
例えばコンピュータ構成の模擬計算手段、を設けたもの
である。
【0045】請求項17に記載の発明は、請求項13ま
たは14に記載の発明の補綴物の製造装置において、上
記補綴物素材が、上記所定の表面部分と所定の相対位置
関係を成す位置決めのための指標を有し、上記加工手段
が、その加工対象となる上記補綴物素材を保持する保持
手段と、この保持手段で保持した上記補綴物素材の上記
指標の位置及び方向を確認して該補綴物素材の基準点及
び基準線を設定する基準設定手段と、この基準設定手段
により設定して得た基準点及び基準線を基準として上記
補綴物素材を加工するための加工データを上記計測デー
タと上記外形データとから導出する加工データ導出手段
と、この加工データ導出手段により導出して得た加工デ
ータに基づいて上記補綴物素材を上記保持手段に保持し
た状態で加工する加工実行手段と、を備えたものであ
る。
【0046】なお、ここで言う上記基準設定手段及び加
工データ導出手段は、例えばコンピュータにより構成で
きる。また、上記加工実行手段は、例えば数値制御(Nu
merical Control )が可能な加工機械により構成でき
る。
【0047】請求項18に記載の発明は、請求項17に
記載の発明の補綴物の製造装置において、上記指標を、
上記補綴物素材の上記所定の表面部分以外の表面にそれ
ぞれ間隔を隔てて形成された複数の概略半球状の突起物
としたものである。
【0048】即ち、請求項13、14、15、16、1
7または18に記載の発明の補綴物の製造装置は、それ
ぞれ、上記請求項7、8、9、10、11または12に
記載の発明の補綴物の製造方法に沿った補綴物の製造を
実現するものである。よって、請求項13、14、1
5、16、17または18に記載の発明の補綴物の製造
装置によれば、それぞれ、上記請求項7、8、9、1
0、11または12に記載の発明の補綴物の製造方法と
同様の作用を奏する。
【0049】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態として、例
えば上述したベニヤ・クラウンを製造する場合につい
て、図1から図10を参照して説明する。本実施の形態
においても、上述した従来のポーセレン・ラミネート・
ベニヤ法と同様、例えば図2に示すような患歯の石膏模
型1を取る。なお、図2は、下顎の場合について示して
いるが、上顎の場合も同様である。そして、この石膏模
型1を基に、その補綴対象となる部分、例えば同図に斜
線で示す部分1aを補綴するためのベニヤ・クラウン2
を形成する。
【0050】ただし、従来のポーセレン・ラミネート・
ベニヤ法では、石膏模型1の補綴対象となる部分(厳密
には患歯の補綴対象となる部分に対応する部分)1aの
表面に直接陶材を塗布しこれを焼成するが、本実施の形
態においては、このようなことはしない。即ち、本実施
の形態では、石膏模型1の上記補綴対象部分1a及びそ
の周辺部分の外形寸法を3次元空間中の曲面データとし
て計測する。そして、この計測により得た3次元空間中
の曲面に係る計測データ等に基づいて、図1に示すよう
なセラミック製の補綴物素材3を切削または研削加工
し、この補綴物素材3を原型として上記補綴対象部分1
aを補綴すべくベニヤ・クラウン2を形成し、即ち削り
出す。この点が、本実施の形態における上記従来のポー
セレン・ラミネート・ベニヤ法と大きく異なる点であ
り、最大の特徴である。
【0051】補綴物素材3は、図1に示すように、円盤
状のベース部31を有している。このベース部31の一
面、例えば表面(同図(a)の上方の面)には、その略
中央に、人間の歯牙の一部、例えば前歯の前面部または
犬歯の頬側面側の部分と近似した形状の疑似表面32が
形成されている。そして、この疑似表面32は、予め、
人間の歯牙独特の表面状態に近似した形態、透明感及び
艶のある白色の状態に形成されている。なお、この疑似
表面32が、特許請求の範囲に記載の所定の表面部分に
対応し、補綴物素材3の最終形態である上記ベニヤ・ク
ラウン2の表面(前面または頬側面)となる。また、本
実施の形態では、ベース部31の直径は、約30mm、
厚さ寸法は、約1mm程度とされている。
【0052】一方、ベース部31の裏面には、複数、例
えば2つの半球状の突起部33、33が、それぞれの中
心をベース部31の直径上に位置させた状態で、互いに
間隔を隔てて形成されている。これらの突起部33、3
3は、後述する加工工程の際に、その基準位置及び方向
を決めるための指標となるもので、最終的にはベース部
31と共に除去される。そして、ベース部31の裏面側
は、上記補綴対象部分1aの表面形状に適合する状態に
まで切削または研削加工され、上記補綴対象部分1aと
の接触面となる。
【0053】なお、補綴物素材3は、補綴対象となる歯
牙の種類に応じて、詳しくは、大人や小人等の患者の個
人差、または前歯や犬歯、上顎歯や下顎歯等の歯牙の種
別、或いは歯牙表面の色の種別等に応じて、疑似表面3
2の形状や色を様々なバリエーションとしたものが、予
め複数種類用意されている。そして、図3に示す手順に
従って作業を進めることにより、これら各補綴物素材1
から、その最終形態であるベニヤ・クラウン2を形成す
る。
【0054】同図に示すように、まず最初に、上記石膏
模型1の補綴対象となる部分1a及びその周辺部分の外
形寸法を3次元空間中における曲面データとして計測す
る(ステップS2)。この計測を行うには、例えば図4
に示すような3次元計測装置4を用いる。これは、一般
に知られているレーザ変位計41を利用するもので、レ
ーザ変位計41による石膏模型1の表面の測定ポイント
を3次元ステージ42により2次元走査しながらこれら
各走査点における残りの1次元の座標データを得たり、
或いは2次元走査面を3次元空間内で相対的に回転若し
くは平行移動させながら、三角測量法に基づいて各走査
点の3次元座標を導出する。
【0055】このように3次元ステージ42によりレー
ザ変位計41による測定ポイントを走査させながら曲面
上の各走査点における3次元座標を導出するという処理
は、CPU43の制御によって実現される。そして、C
PU43は、導出して得た曲面の3次元座標の測定デー
タを、例えばCRTや液晶パネル構成の表示部44に、
数値または図形により表示する。CPU43は、これら
の動作を、例えばROMやRAM等の半導体メモリ構成
の記憶部45に記憶されているプログラムに従って実行
し、その実行命令は、例えばキーボード構成の操作部4
6により与えられる。このステップS2において、石膏
模型1の外形を3次元空間中の曲面データとして計測す
ることが、特許請求の範囲に記載の計測過程に対応し、
この計測を実現するための計測装置4が、特許請求の範
囲に記載の計測手段に対応する。
【0056】ここで、予め用意されている全ての補綴物
素材3の各外形曲面寸法に係る3次元空間中の曲面デー
タが既知であるとすると、その既知の曲面データと上記
計測して得た曲面データとから、各補綴物素材3のいず
れが、上記補綴対象部分1aを補綴するのに適している
か(詳しくは上記補綴対象部分1aを補綴するのに適し
た形状の疑似表面32を有するか)、及びその補綴物素
材3のどこをどのように切削または研削加工すれば上記
補綴対象部分1aを良好に補綴すべくベニヤ・クラウン
2を形成できるのかを、認識できる。
【0057】そこで、まず、上記各既知の曲面データと
計測して得た曲面データとを照合して、各補綴物素材3
のいずれが上記補綴対象部分1aを補綴するのに適して
いるのかを、判断する。ただし、上記各曲面データをそ
のままの状態で照合するとなると、膨大な量のデータを
処理しなければならないので、その処理に時間が掛か
る。この処理の高速化を図るために、本実施の形態で
は、上記各曲面データから補綴物素材3及び補綴対象部
分1aの各輪郭に係る輪郭データを導出する。そして、
これら輪郭データという3次元空間中の曲線データ間
で、データの照合を行う。
【0058】即ち、上記各既知の曲面データ及び計測し
て得た曲面データに対して、それぞれ一般に知られてい
るエッジ強調処理を施す。これにより、各補綴物素材3
及び補綴対象部分1aの各輪郭データが得られる(ステ
ップS4)。その際、各補綴物素材3及び補綴対象部分
1aのどの部分の輪郭に係るデータを導出するのかにつ
いては、可変できるものとする。このステップS4が、
特許請求の範囲に記載の輪郭抽出過程に対応する。
【0059】そして、上記ステップS4において導出し
て得た各輪郭データについて、例えば周囲長や面積等を
特徴量とする特徴抽出処理を施して、この処理により得
られる各補綴物素材3に係る各特徴抽出量と補綴対象部
分1aに係る特徴抽出量とを照合し、それらの偏差を求
める。そして、補綴対象部分1aに係る特徴抽出量との
偏差が最も小さい特徴抽出量に対応する補綴物素材3
を、上記補綴対象部分1aを補綴するのに最も適するも
のと判断し、その補綴を実現すべくベニヤ・クラウン2
の原型として選択する(ステップS6)。このステップ
S6において、上記各特徴抽出量を照合することが、特
許請求の範囲に記載の照合過程に対応し、その照合結果
に基づいて1つの補綴物素材3を選択することが、特許
請求の範囲に記載の選択実行過程に対応する。
【0060】ただし、上記ステップS6においては、輪
郭データという3次元空間中の曲線データに基づいて、
上記補綴対象部分1aを補綴するのに適する、厳密には
適するであろう補綴物素材3を選択するので、場合によ
っては、この選択して得た補綴物素材3が、補綴対象部
分1aを補綴するのに必要な条件を満足しない場合が起
こり得る。例えば、上記ステップS6において選択して
得た補綴物素材3(厳密には疑似表面32)の輪郭形状
が、上記補綴対象部分1aの輪郭形状と略同等であって
も、上記選択して得た補綴物素材3の厚み方向の寸法
が、補綴対象部分1aを補綴するのに十分な厚み寸法に
満たない場合等が、有り得る。
【0061】そこで、上記ステップS6において選択し
て得た補綴物素材3が、実際に補綴対象部分1aを補綴
するのに必要な条件を満たしているか否かを、その補綴
物素材3を加工する前に、模擬的に計算して確認する
(ステップS8)。即ち、補綴対象部分1aを補綴すべ
くベニヤ・クラウン2を形成するために、上記選択して
得た補綴物素材3の外形寸法に係る3次元空間中の曲面
データと、補綴対象部分1aの3次元空間中の曲面を計
測して得た曲面データと、に基づいて補綴物素材3を加
工した場合の、加工後の補綴物素材3(ベニヤ・クラウ
ン2)がどの様な形状になるのかを模擬的に計算する。
そして、上記選択して得た補綴物素材3が補綴対象部分
1aを補綴するのに必要な条件を満たす場合(ステップ
S8においてYESの場合)には、実際にその補綴物素
材3を加工すべく、次のステップS12に進む。一方、
上記補綴物素材3が補綴対象部分1aを補綴するのに必
要な条件を満たさない場合、例えば補綴物素材3の厚み
が足りない場合等(ステップS8においてNOの場合)
には、上記ステップS6に戻り、再度、補綴物素材3の
選択を行う。その際、上記補綴条件を満たさなかった補
綴物素材3については、選択の対象から除外する。
【0062】なお、上記ステップS8が、特許請求の範
囲に記載の模擬計算過程に対応する。そして、上記ステ
ップS4からステップS8までの各過程は、上記3次元
計測装置4により実施され、詳しくは、CPU43が記
憶部45に記憶されている上記プログラムに従って上記
各過程を実施すべく各種データ処理を実行する。よっ
て、この場合、CPU43が、特許請求の範囲に記載の
輪郭抽出手段、照合手段、選択実行手段及び模擬計算手
段として機能する。そして、記憶部45が、特許請求の
範囲に記載のデータ記憶手段に対応し、即ち、記憶部4
5内には、予め、各補綴物素材3の外径寸法に係る各3
次元空間中の曲面または曲線データが記憶されている。
【0063】上記のようにベニヤ・クラウン2の原型と
なる補綴物素材3を選択した後、次に、この選択して得
た補綴物素材3を、例えば図5乃至図8に示す加工装置
により実際に加工する。なお、各図のうち図5、図6及
び図7は、それぞれ、同加工装置の正面図、右側面図及
び平面図、図8は、その電気的な概略構成を示すブロッ
ク図である。
【0064】図5乃至図7に示すように、この装置は、
上面が平らなベース台5と、このベース台5上に設けら
れたX軸スライドテーブル6と、このX軸スライドテー
ブル上に設けられたY軸スライドテーブル7と、このY
軸スライドテーブル7上に設けられたZ軸スライドテー
ブル8と、を備えている。このうち、X軸スライドテー
ブル6は、ベース台5上に固定された土台部61と、こ
の土台部61上を装置の左右方向(以下、この方向をX
軸方向と言う。)に沿ってスライドする駆動部62と、
から成る。駆動部62は、図8に示すX軸方向駆動モー
タ63により駆動される。また、Y軸スライドテーブル
7は、X軸スライドテーブル6の駆動部62上に固定さ
れた土台部71と、この土台部71上を装置の前後方向
(以下、この方向をY軸方向と言う。)に沿ってスライ
ドする駆動部72と、から成る。このY軸スライドテー
ブル7の駆動部72は、図8に示すY軸方向駆動モータ
73により駆動される。そして、Z軸スライドテーブル
8は、Y軸スライドテーブル7の駆動部72上に固定さ
れた土台部81と、この土台部81の前方側面を装置の
上下方向(以下、この方向をZ軸方向と言う。)に沿っ
てスライドする駆動部82と、から成る。このZ軸スラ
イドテーブル8の駆動部82は、図8に示すZ軸方向駆
動モータ83により駆動される。
【0065】更に、Z軸スライドテーブル8の駆動部8
2の前方側面には、回転テーブル9を介して、補綴物素
材3の加工具となる円盤状の砥石101を有するスピン
ドル10が、設けられている。即ち、回転テーブル9
は、上記駆動部82の前方側面に固定された土台部91
と、この土台部91の前方側面に位置し、X軸方向に沿
う軸を中心として図5に矢印92で示す方向に回転する
回転駆動部93と、から成る。そして、この回転駆動部
93の前方側面に、上記スピンドル10が、先端に上記
砥石101を有する回転軸102をX軸方向に沿わせ、
かつこの回転軸102の先端を装置正面に向かって右側
に向けた状態で、固定治具103により固定されてい
る。なお、このスピンドル10(回転軸102)は、図
示しない電源装置から供給される直流または交流電力に
より駆動する。また、上記回転駆動部93は、図8に示
す回転駆動モータ94により駆動される。
【0066】そして、上記スピンドル10の砥石101
が位置する下方の空間に、この装置による加工の対象と
なる補綴物素材3が、配置される。即ち、この空間にお
けるベース台5上には、固定台11及び回転テーブル1
2を介して、上記補綴物素材3を保持するための保持
具、例えば一般に知られている冷凍チャック13が設け
られている。この冷凍チャック13は、氷を媒介として
補綴物素材3を保持するもので、これを実現するため
に、この冷凍チャック13の上部には、図9に示すよう
に、上記氷を形成するための凍結剤、例えば水131を
入れるための丸孔132が設けられている。この丸孔1
32の直径は、補綴物素材3のベース部31の直径より
も若干小さめとされており、補綴物素材3は、疑似表面
32を丸孔132内に向け、換言すれば上述した指標3
3、33を上方に向け、かつ、丸孔132をベース部3
1で塞ぐ状態に、設けられる。この丸孔132の近傍、
例えば丸孔132の底面付近には、電子冷却素子(ペル
チェ素子)133が設けられており、この電子冷却素子
133を作動することにより、丸孔132内の水131
を凍結させて、補綴物素材3を固定する。勿論、この冷
凍チャック13以外の手段により補綴物素材3を保持し
ても構わない。
【0067】なお、上記冷凍チャック13を支持する回
転テーブル12は、上記固定台11上に固定された土台
部121と、この土台部121の上方において、Z軸方
向に沿う軸を中心として図7に矢印122で示す方向に
回転する回転駆動部123と、から成る。そして、この
回転駆動部123上に冷凍チャック13が固定されてお
り、この回転駆動部123は、図8に示す回転駆動モー
タ124により駆動される。
【0068】ところで、上記各駆動モータ63、73、
83、94、124は、図8に示すように、それぞれ、
この加工装置が有するCPU14に接続されている。こ
のCPU14は、上述した補綴物素材3の外径寸法に係
る3次元空間中の曲面データと、補綴対象部分1aを計
測して得た3次元空間中の曲面データと、に基づいて、
次のように動作する。なお、この加工装置内にある記憶
部15内にも、予め、上記補綴物素材3の外形寸法に係
る3次元空間中の曲面データが記憶されている。また、
上記補綴対象部分1aを計測して得た3次元空間中の曲
面及び曲線データは、上述した3次元計測装置4からC
PU14に転送される。
【0069】即ち、加工対象となる補綴物素材3を冷凍
チャック13で保持した後(ステップS12)、この補
綴物素材3の指標33、33の3次元空間における位置
及び方向を確認する(ステップS14)。この確認は、
上記図4と同様の、図示しないレーザ変位計を用いた3
次元計測装置により行う。
【0070】ここで、各指標33、33は、半球状の突
起物であるので、これらの外観から、それぞれの基点と
も言える各中心を正確に特定できる。これに対して、各
指標33、33の形状が、例えば直方体等の半球以外の
形状であるとすると、場合によっては、それらの外観か
らは、それぞれの中心位置等、各突起物の基点となる位
置を正確に特定できないことがある。従って、本実施の
形態のように、指標33、33の形状を半球状の突起物
とすることは、各指標33、33の位置を正確に特定す
るのに、非常に有用なことである。
【0071】次に、上記ステップS14において確認し
て得た各指標33、33の中心位置に係るデータを、C
PU14に転送する。これにより、CPU14は、図1
0に示すように、補綴物素材3の各指標33、33の各
中心を通る直線をx軸とし、このx軸と直角を成しかつ
各指標33、33間の中点Oを通りかつベース部31の
裏面に沿う直線をy軸とし、これらx軸及びy軸と直角
を成す直線をz軸とする、補綴物素材3自体を基準とす
る座標系、を形成する。そして、上記補綴物素材3の外
形形状に係る3次元空間中における曲面または曲線デー
タと、補綴対象部分1aの3次元空間中における曲面を
計測して得た曲面または曲線データとの、各座標系を、
上記補綴物素材3自体を基準とする座標系〔x,y,
z〕に変換する(ステップS16)。
【0072】そして、CPU14は、上記変換して得た
座標系〔x,y,z〕に基づいて、補綴対象部分1aを
良好に補綴すべく希望の形状のベニヤ・クラウン2を形
成するには、上記スピンドル10の砥石101により補
綴物素材3のどこをどの様に研削すればよいのかの所謂
加工用データ(ツール・パス)を作成する(ステップS
18)。そして、このステップS18において作成して
得た加工用データに基づいて、上記各駆動モータ63、
73、83、94、124を制御する。これにより、ス
ピンドル10の砥石101による補綴物素材3の研削加
工が実施され(ステップS20)、補綴物素材3の疑似
表面32の一部または全部を除く部分、即ち指標33、
33を含む疑似表面32の裏側、ベース部31、及び場
合によっては疑似表面32の周縁部分が、研削除去さ
れ、最終形態であるベニヤ・クラウン2が形成される。
【0073】なお、上記CPU14の動作は、記憶部1
5に記憶されているプログラムにより制御される。そし
て、その命令は、CPU14に接続された例えばキーボ
ード構成の操作部16により与えられる。
【0074】このように、本実施の形態によれば、補綴
物素材3の疑似表面32の一部または全部を残して、他
の部分を研削(または切削)加工するだけで、補綴対象
部分1aを良好に補綴すべくベニヤ・クラウン2を形成
できる。なお、概略円盤状の補綴物素材3(ベース部3
1)の片面側の面積を、上記疑似表面32と略同等の面
積にまで縮小すれば、補綴物素材3の略他面側(裏面
側)のみを加工するだけで、ベニヤ・クラウン2を形成
できる。この場合、疑似表面32が若干湾曲しているこ
とを考慮すると、補綴物素材3の全表面積の少なくとも
40%以上を加工すれば、ベニヤ・クラウン2を形成で
きることになる。そして、このベニヤ・クラウン2の表
面に対応する補綴物素材3の疑似表面32は、予め人間
の歯牙の表面状態に近似した形態、透明感及び艶のある
白色の状態に形成されているので、上述した従来のポー
セレン・ラミネート・ベニヤ法のように何度も陶材の塗
布及び焼成作業を繰り返す必要もない。従って、上記従
来のポーセレン・ラミネート・ベニヤ法に比べて、容易
かつ安価にベニヤ・クラウン2を製造できる。
【0075】また、人間の手を殆ど介さず、CPU43
を備えた3次元計測装置4により石膏模型1を計測して
得た計測データ等を基に、CPU14を備えた加工装置
が略自動的に補綴物素材3を研削加工して希望のベニヤ
・クラウン2を製造するので、一定の品質のベニヤ・ク
ラウン2を、効率良く生産することができる。
【0076】そして、上記加工装置により補綴物素材3
を加工する際、CPU14は、その加工対象となる補綴
物素材3自体の座標系〔x,y,z〕に基づいて研削加
工を実施する。従って、例えば冷凍チャック13による
補綴物素材3の保持精度が余り高くない場合や、或い
は、冷凍チャック13に対する補綴物素材3の向きが一
定でなくても、常に正確な研削加工を実現できる。
【0077】なお、本実施の形態においては、補綴物と
して、患歯の表面部分を補綴すべくベニヤ・クラウン2
を形成する場合について説明したが、これ以外の部分を
補綴するための補綴物を形成する場合についても、本発
明を応用できる。
【0078】また、石膏模型1の形状や補綴物素材3の
指標33、33の位置及び方向を計測するのに、図4に
示すような非接触型の3次元計測装置4を用いたが、こ
れに限らない。例えば、一般に知られている接触子を備
えた接触型の計測装置や、或いは、2台以上のカメラを
用いて、そのステレオ映像を分析することによっても、
上記計測を実現できる。
【0079】そして、補綴物素材3の材料や形状、及び
加工装置の構造等についても、本実施の形態で説明した
態様に限るものではない。また、補綴物素材3を加工す
る際、スピンドル10の砥石101による研削加工を施
したが、これに併せて、切削加工等の他の加工を施して
もよい。
【0080】なお、上記研削加工により最終的に得られ
たベニヤ・クラウン2の補綴対象部分1aへの適合が不
十分である場合は、歯科医師または歯科技工士等の手作
業により、上記ベニヤ・クラウン2に微細な加工を施し
てもよい。また、図3におけるステップS6において、
補綴体小部分1aを補綴するのに適した補綴物素材3を
選択する際、この作業を、上述した計測装置4に依ら
ず、例えば歯科医師や歯科技工士等の手作業により行っ
てもよい。
【0081】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、補綴物
素材の上記所定の表面部分以外の部分を切削または研削
加工するだけで、歯牙の表面部分を補綴すべくベニヤ・
クラウン等の補綴物を形成できる。そして、補綴対象と
なる歯牙の表面に代わるべく上記補綴物素材の所定の表
面部分は、予め人間の歯牙の表面状態に近似した形態、
透明感及び艶のある白色の状態に形成されているので、
この表面状態を形成するために、上述した従来のポーセ
レン・ラミネート・ベニヤ法のように何度も陶材の塗布
及び焼成作業を繰り返す必要もない。よって、上記従来
のポーセレン・ラミネート・ベニヤ法に比べて、容易か
つ安価に補綴物を製造できるという効果がある。また、
コンピュータ及びこれを利用した数値制御が可能な加工
機械により補綴物の製造を実現するので、一定の品質の
補綴物を、その製造者の技量に依らず効率良く生産でき
るという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における補綴物素材の外
観図で、(a)は、表面側を斜めから見た図、(b)
は、裏面側を斜めから見た図、(c)は、側面図であ
る。
【図2】同実施の形態において、患歯の型を取った石膏
模型の斜視図である。
【図3】同実施の形態における一連の補綴作業の流れを
示すフローチャートである。
【図4】同実施の形態における3次元計測装置の概略構
成を示すブロック図である。
【図5】同実施の形態における加工装置の正面図であ
る。
【図6】同実施の形態における加工装置の右側面図であ
る。
【図7】同実施の形態における加工装置の平面図であ
る。
【図8】同実施の形態における加工装置の概略構成を示
すブロック図である。
【図9】同実施の形態における補綴物素材の保持具の概
略構成を示す縦断面図である。
【図10】同実施の形態における補綴物素材自体の座標
系を表す図である。
【符号の説明】
3 補綴物素材 31 ベース部 32 疑似表面 33 指標
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 池田 利昭 大阪府豊中市新千里東町1丁目4番2号 千里ライフサイエンスセンタービル12階 1220号室 株式会社ライフテック研究所内 (72)発明者 南部 敏之 大阪府豊中市新千里東町1丁目4番2号 千里ライフサイエンスセンタービル12階 1220号室 株式会社ライフテック研究所内

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 歯牙の欠損部分を補綴するための歯科用
    補綴物の製造方法において、所定の表面部分が予め所定
    の状態に形成された補綴物素材の該所定の表面部分の一
    部または全部を非加工とし、この非加工部分により上記
    歯牙の非欠損時の表面に対応する面を形成すると共に、
    該補綴物素材の他の部分を上記歯牙の欠損部分の表面形
    状に適合させる状態に加工することにより上記歯科用補
    綴物を形成する歯科用補綴物の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記補綴物素材の上記所定の表面部分の
    状態を、人間の歯牙の表面状態に近似させた請求項1に
    記載の歯科用補綴物の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記補綴物素材の上記所定の表面部分の
    形状を、人間の或る特定の歯牙の一部または全体の形状
    に近似させた請求項1に記載の歯科用補綴物の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 上記補綴物素材が、補綴対象となる歯牙
    の種類に応じて予め複数種類用意された請求項1に記載
    の歯科用補綴物の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記歯科用補綴物が、人間の歯牙の概略
    平面な部分を補綴するものであって、上記補綴物素材
    が、概略平板状のもので、その一面側に上記所定の表面
    部分を有する請求項1に記載の歯科用補綴物の製造方
    法。
  6. 【請求項6】 上記補綴物素材の全表面積の少なくとも
    40%以上を加工する請求項5に記載の歯科用補綴物の
    製造方法。
  7. 【請求項7】 上記補綴対象となる歯牙またはその模型
    の形状を計測する計測過程と、 この計測過程において計測して得た計測データと上記補
    綴物素材の外形データとに基づいて上記補綴物素材を加
    工する加工過程と、を具備する請求項1に記載の歯科用
    補綴物の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記補綴対象となる歯牙またはその模型
    の形状を計測する計測過程と、 この計測過程において計測して得た計測データと上記各
    補綴物素材の各外形データとを照合して、上記各補綴物
    素材のうち上記補綴対象となる歯牙の補綴条件に最も合
    致するものを選択する選択過程と、 この選択過程において選択して得た上記補綴物素材を、
    該補綴物素材の上記外形データと上記計測データとに基
    づいて加工する加工過程と、を具備する請求項4に記載
    の歯科用補綴物の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記選択過程が、上記計測データから上
    記補綴対象となる歯牙の欠損部分の輪郭を抽出する輪郭
    抽出過程と、 この輪郭抽出過程において抽出して得た補綴対象輪郭デ
    ータと、上記各補綴物素材の各外形データに含まれる各
    補綴物素材の各輪郭を表す各素材輪郭データと、をそれ
    ぞれ照合し、それらの偏差を求める照合過程と、 この照合過程で求めた上記補綴対象輪郭データとの偏差
    が最も小さい素材輪郭データを有する補綴物素材を、上
    記補綴条件に最も合致するものとして選択する選択実行
    過程と、 を備えた請求項8に記載の歯科用補綴物の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記選択実行過程において選択して得
    た上記補綴物素材を、該補綴物素材の外形データと上記
    計測データとに基づいて加工した場合の該補綴物素材の
    加工後の形状を模擬的に計算する模擬計算過程、を設け
    た請求項9に記載の歯科用補綴物の製造方法。
  11. 【請求項11】 上記補綴物素材が、上記所定の表面部
    分と所定の相対位置関係を成す指標を有し、 上記加工過程が、その加工対象となる上記補綴物素材を
    所定の保持手段により保持する保持過程と、この保持過
    程で保持した上記補綴物素材の上記指標の位置及び方向
    を確認して該補綴物素材の基準点及び基準線を設定する
    基準設定過程と、この基準設定過程において設定して得
    た基準点及び基準線を基準として上記補綴物素材を加工
    するための加工データを上記計測データと上記外形デー
    タとから導出する加工データ導出過程と、この加工デー
    タ導出過程において導出して得た加工データに基づいて
    上記補綴物素材を上記保持手段に保持した状態で加工す
    る加工実行過程と、を備えた請求項7または8に記載の
    歯科用補綴物の製造方法。
  12. 【請求項12】 上記指標が、上記補綴物素材の上記所
    定の表面部分以外の表面にそれぞれ間隔を隔てて形成さ
    れた複数の概略半球状の突起物である請求項11に記載
    の歯科用補綴物の製造方法。
  13. 【請求項13】 歯牙の欠損部分を補綴するための歯科
    用補綴物を製造する製造装置であって、 補綴対象となる上記歯牙またはその模型の形状を計測す
    る計測手段と、 所定の表面部分が予め所定の状態に形成された補綴物素
    材の外形データを記憶しているデータ記憶手段と、 上記計測手段により計測して得た計測データと上記デー
    タ記憶手段に記憶されている上記補綴物素材の外形デー
    タとに基づいて、上記補綴物素材の上記所定の表面部分
    の一部または全部を非加工とし、この非加工部分により
    上記歯牙の非欠損時の表面に対応する面を形成すると共
    に、上記補綴物素材の他の部分を上記歯牙の欠損部分の
    表面形状に適合させる状態に加工する加工手段と、を具
    備する歯科用補綴物の製造装置。
  14. 【請求項14】 歯牙の欠損部分を補綴するための歯科
    用補綴物を製造する製造装置であって、 補綴対象となる上記歯牙またはその模型の形状を計測す
    る計測手段と、 所定の表面部分が予め所定の状態に形成されており、上
    記補綴対象となる歯牙の種類に応じて複数種類用意され
    た各補綴物素材の各外形データが記憶されているデータ
    記憶手段と、 上記計測手段により計測して得た計測データと上記デー
    タ記憶手段に記憶されている各補綴物素材の各外形デー
    タとを照合して、上記各補綴物素材のうち上記補綴対象
    となる歯牙の補綴条件に最も合致するものを選択する選
    択手段と、 この選択手段により選択して得た上記補綴物素材の上記
    外形データと上記計測データとに基づいて、上記選択手
    段により選択して得た補綴物素材の上記所定の表面部分
    の一部または全部を非加工とし、この非加工部分により
    上記歯牙の非欠損時の表面に対応する面を形成すると共
    に、上記選択手段により選択して得た補綴物素材の他の
    部分を上記歯牙の欠損部分の表面形状に適合させる状態
    に加工する加工手段と、を具備する歯科用補綴物の製造
    装置。
  15. 【請求項15】 上記選択手段が、上記計測データから
    上記補綴対象となる歯牙の欠損部分の輪郭を抽出する輪
    郭抽出手段と、 この輪郭抽出手段により抽出して得た補綴対象輪郭デー
    タと、上記各補綴物素材の各外形データに含まれる各補
    綴物素材の各輪郭を表す各素材輪郭データと、をそれぞ
    れ照合し、それらの偏差を求める照合手段と、 この照合手段により求めた上記補綴対象輪郭データとの
    偏差が最も小さい素材輪郭データを有する補綴物素材
    を、上記補綴条件に最も合致するものとして選択する選
    択実行手段と、を備えた請求項14に記載の歯科用補綴
    物の製造装置。
  16. 【請求項16】 上記選択実行手段により選択して得た
    上記補綴物素材を、該補綴物素材の外形データと上記計
    測データとに基づいて加工した場合の該補綴物素材の加
    工後の形状を模擬的に計算する模擬計算手段、を設けた
    請求項15に記載の歯科用補綴物の製造装置。
  17. 【請求項17】 上記補綴物素材が、上記所定の表面部
    分と所定の相対位置関係を成す指標を有し、 上記加工手段が、その加工対象となる上記補綴物素材を
    保持する保持手段と、この保持手段で保持した上記補綴
    物素材の上記指標の位置及び方向を確認して該補綴物素
    材の基準点及び基準線を設定する基準設定手段と、この
    基準設定手段により設定して得た基準点及び基準線を基
    準として上記補綴物素材を加工するための加工データを
    上記計測データと上記外形データとから導出する加工デ
    ータ導出手段と、この加工データ導出手段により導出し
    て得た加工データに基づいて上記補綴物素材を上記保持
    手段に保持した状態で加工する加工実行手段と、を備え
    た請求項13または14に記載の歯科用補綴物の製造装
    置。
  18. 【請求項18】 上記指標が、上記補綴物素材の上記所
    定の表面部分以外の表面にそれぞれ間隔を隔てて形成さ
    れた複数の概略半球状の突起物である請求項17に記載
    の歯科用補綴物の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009536056A (ja) * 2006-05-08 2009-10-08 シロナ・デンタル・システムズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 義歯を製造するための方法、ブランク、ブランクのストック、歯のデータバンク、および予め製造された部分端面を有するブランクのデータバンク
JP2011528597A (ja) * 2008-07-21 2011-11-24 ビタ・ゼーンファブリク・ハー・ラウター・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コー・カーゲー 形状安定化材料から製造される成形部材、及びその製造法
JP2013220502A (ja) * 2012-04-16 2013-10-28 Dainippon Printing Co Ltd 位置合わせシステム、位置合わせ方法、構造体の製造方法及びアライメントマーク付き金型

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