JP2000278951A - インバータ回路 - Google Patents

インバータ回路

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JP2000278951A
JP2000278951A JP11076906A JP7690699A JP2000278951A JP 2000278951 A JP2000278951 A JP 2000278951A JP 11076906 A JP11076906 A JP 11076906A JP 7690699 A JP7690699 A JP 7690699A JP 2000278951 A JP2000278951 A JP 2000278951A
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transmission line
circuit
inverter circuit
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type transformer
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JP11076906A
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Inventor
Kiyoto Yamazawa
清人 山沢
Toshiro Sato
敏郎 佐藤
Takashi Hatauchi
隆史 畑内
Toshio Takahashi
利男 高橋
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Alps Alpine Co Ltd
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Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電力損失が低いと共に変換効率が高く、併せ
て小型化が可能なインバータ回路を提供する。 【解決手段】伝送線路10を少なくとも有する分布定数
回路20を備えてなる伝送線路型トランス2と、伝送線
路型トランス2の入力側に設けられたLC回路3とを具
備してなり、分布定数回路20が、分布定数回路20の
同調周波数と略等しい周波数または同調周波数より低い
周波数で動作させた際に、伝送線路型トランス2の入力
インピーダンスを、分布定数回路20の同調周波数にお
ける入力インピーダンス値以上にするものであると共
に、LC回路3が、伝送線路型トランス2の入力電圧を
昇圧するものであることを特徴とするインバータ回路1
を採用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伝送線路を有する
分布定数回路を備えてなる伝送線路型トランスを具備す
るインバータ回路に関するものであり、特に、液晶表示
装置のバックライトに高周波電力を供給するために好適
に用いられるインバータ回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、液晶表示装置のバックライト用
のインバータ回路には、昇圧トランスが備えられている
ことが知られている。バックライトとして用いられる冷
陰極管は、始動時には電子を発生させるために高電圧を
印加する必要があるが、点灯後においては、放電を維持
する電圧が始動電圧の1/3程度で済み、また5〜6m
A程度の電流を流すだけで十分であって大電流を印加す
る必要がない。従って、インバータ回路の昇圧トランス
に望まれる特性は、冷陰極管の放電開始時に出力電圧を
一瞬上昇させ、点灯後に放電維持電圧まで低下させるこ
とが可能なことである。
【0003】ところで、近年、液晶表示装置に対する小
型軽量化ならびに高性能化の要求はさらに高まってお
り、このような要求を満足するために、上記バックライ
ト用のインバータ回路の小型化、薄型化、高変換効率化
が強く要望されるようになってきている。従来からイン
バータ回路の昇圧トランスとしては、平板状のセラミッ
ク素子を具備する圧電トランスが考えられている。圧電
トランスは、高変換効率を維持したまま薄型化が可能で
あるが、昇圧比が不足するために巻線トランスを補助ト
ランスとして使用する場合があり、インバータ回路の小
型化に制約があった。また、セラミック素子の形状を小
さくすると昇圧比が小さくなってしまうため圧電トラン
スの小型化が困難であり、インバータ回路の小型化に制
約があった。
【0004】ところで、インピーダンス変換作用を応用
した電圧変換を行う変成器として、分布定数回路として
高周波同軸ケーブルを使用し、該高周波同軸ケーブルを
電圧変換器として使用した例が報告されている。この同
軸ケーブルの絶縁体としては、使用周波数にもよるが、
通常、ポリエチレン(ε=2.3)かテフロン(ε=
2.1)が使用されている。しかしながらこの構造の変
成器においては、同軸ケーブルの絶縁体の誘電率が低い
ため、例えば、動作周波数1MHz程度で使用するが、
そのためには同軸ケーブルの長さを約49mにする必要
があり、変成器の小型化が困難となってインバータ回路
の小型化に制約があった。
【0005】そこで本願発明者らは、先に、従来のもの
よりも小型な変成器を平成10年9月3日に特願平10
−250083号として特許出願している。この変成器
は、自由空間に比べ、誘電率、透磁率が高い媒質中を伝
搬する電磁界は伝搬波長が短くなることに着目し、透磁
率及び誘電率が高い材料からなるコアを用いることによ
り、伝送線路長を短縮でき、変成器の小型化を図ること
ができるもので、この変成器を伝送線路型トランスとし
てインバータ回路に用いることで、インバータ回路の小
型化を図ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の変成器
からなる伝送線路型トランスは、特性上、同調周波数に
おいて入力インピーダンスが最小となり、冷陰極管等の
負荷の動作に必要な出力電圧を得ようとするとトランス
の入力電流が極めて大きくなるため、伝送線路型トラン
ス自体が発熱してインバータ回路の電力損失が大きくな
ると共に電力の変換効率が低下するという課題があっ
た。
【0007】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、電力損失が低いと共に変換効率が
高く、併せて小型化が可能なインバータ回路を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成を採用した。本発明のインバ
ータ回路は、伝送線路を少なくとも有する分布定数回路
を備えてなる伝送線路型トランスと、該伝送線路型トラ
ンスの入力側に設けられたLC回路とを具備してなり、
前記LC回路が、前記伝送線路型トランスの入力電圧を
昇圧するものであることを特徴とする。より好ましく
は、前記分布定数回路が、該分布定数回路の同調周波数
と略等しい周波数または前記同調周波数より低い周波数
で動作させた際に、前記伝送線路型トランスの入力イン
ピーダンスを、前記分布定数回路の同調周波数における
入力インピーダンス値以上にするものであると良い。
【0009】かかるインバータ回路においては、その動
作周波数を分布定数回路の同調周波数より低くして、伝
送線路型トランスの入力インピーダンスを高くすること
により、伝送線路型トランスの入力電流が小さくなって
トランス自体の発熱が抑えられ、インバータ回路の電力
損失を小さくすることが可能となる。また、インバータ
回路の動作周波数を分布定数回路の同調周波数より低く
すると、トランスの入力インピーダンスが高くなる一方
でトランス自体の電圧ゲイン(昇圧比)が低下するが、
伝送線路型トランスの入力電圧をLC回路により昇圧す
ることにより、電圧ゲインの低下が補償されて、インバ
ータ回路の出力電圧の低下を防ぎ、インバータ回路の電
力の変換効率を高くすることが可能になる。また、前記
LC回路は、インダクタンスとキャパシタンスを各々最
適な値に選ぶことにより、前記の電圧ゲイン低下分以上
の昇圧比が得られる。
【0010】更に本発明のインバータ回路は、先に記載
のインバータ回路であって、前記伝送線路型トランス
は、前記伝送線路と、誘電性と磁性を有するコアとを具
備してなるものであることを特徴とする。かかるインバ
ータ回路に備えられた伝送線路型トランスにおいては、
伝送線路とコアとにより分布定数回路を構成しており、
このトランスの伝送線路長は、コアの誘電率と透磁率が
大きいほど短縮できるので、コアの形状が小さくなり、
トランス自体が小型化されてインバータ回路の小型化を
図ることが可能となる。
【0011】更にまた、本発明のインバータ回路は、先
に記載のインバータ回路であって、前記コアがMn−Z
nフェライト、Ni−Znフェライト、Ni−Cuフェ
ライトの群から選ばれた1種又は2種以上からなるもの
であることを特徴とする。かかるインバータ回路におい
ては、伝送線路型トランスのコアの形状が小さくなっ
て、インバータ回路の小型化が可能になる。
【0012】また前記コアは、Fe、Co、Niの群か
ら選ばれた1種又は2種以上の元素Tと、Hf、Zr、
W、Ti、V、Nb、Mo、Cr、Mg、Mn、Al、
Si、Ca、Sr、Ba、Cu、Ga、Ge、As、S
e、Zn、Cd、In、Sn、Sb、Te、Pb、B
i、希土類元素の群から選ばれた1種又は2種以上の元
素Mと、O、C、N、Bの群から選ばれた1種又は2種
以上の元素Dを含む軟磁性合金粉末と、合成樹脂からな
るものであることを特徴とする。かかるインバータ回路
によれば、コアの透磁率及び誘電率を大きくでき、波長
短縮効果が十分となって伝送線路長が短縮されてコアの
形状が小さくなり、トランス自体が小型化されてインバ
ータ回路の小型化を図ることが可能となる。
【0013】更に、本発明のインバータ回路は、先に記
載のインバータ回路であって、前記コアの100kHz
における実効透磁率μが10〜20000であり、実効
誘電率εが10〜5000であることを特徴とする。か
かるインバータ回路によれば、コアの透磁率及び誘電率
を大きくでき、波長短縮効果が十分となって伝送線路長
が短縮されてコアの形状が小さくなり、トランス自体が
小型化されてインバータ回路の小型化を図ることが可能
となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1には、本発明の第1の実施形
態であるインバータ回路を示す。このインバータ回路1
は、伝送線路型トランス2と、この伝送線路型トランス
2の入力側に設けられたLC回路3とから構成されてい
る。また、伝送線路型トランス2の出力側には負荷4が
接続されている。更に、LC回路3には、交流電源5が
接続されている。
【0015】伝送線路型トランス2は、図2及び図3に
示すように、コア部13と伝送線路10とからなる電圧
変換部20を主体として構成されている。コア部13
は、図3に示すように、誘電性と磁性を有するコア14
の両面に第1の接着層15を介して絶縁層16が形成さ
れ、さらに該絶縁層16上に第二の接着層17が形成さ
れてなるものである。コア14をなす材料としては、M
n−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Ni−C
uフェライトの群から選ばれた1種又は2種以上からな
るものを用いることが、コア14の寸法を短くでき、変
成器の小型化が可能である点で好ましい。
【0016】コア部13は、100kHzにおける実効
透磁率μが10〜20000であることが好ましく、ま
た、コア部13は、実効誘電率εが10〜5000であ
ることが好ましい。波長短縮効果は、実効透磁率μ、実
効誘電率εが大きいほど大きくなるため伝送線路型トラ
ンス2が小型化できる。しかし、伝送線路10の共振周
波数における入力インピーダンス(固有インピーダン
ス)は、実効透磁率μが大きいほど高くなるが、実効誘
電率εが大きくなると低くなるため、μとεには最適な
範囲が存在する。よって、本発明においては、波長短縮
効果を大きくし、かつ、固有インピーダンスを所定の値
にするには、μとεは上記の範囲であることが好まし
い。
【0017】絶縁層16をなす材料としては、ポリイミ
ド等が用いられる。伝送線路10は一対の線路導体1
1、12からなるものであり、これら一対の線路導体1
1、12は、それぞれコア部13の周囲に螺旋状に巻回
されると共に、その巻回方向が互いに反対となるように
巻回されている。また、各線路導体11、12は、コア
部13の一方の面側にある導体と他方の面側にある導体
に流れる電流の方向を逆(コア部の表裏で電流方向が
逆)にして、磁束を強め合う構造となっている。この伝
送線路型トランス2においては、一方の線路導体11と
他方の線路導体12がコア部13において磁束が矢印M
Fの方向を向くように形成されている。図中、符号
a、Ibで示される矢印の向きは、各線路導体11,1
2に流れる電流により発生する磁束の方向である。この
ようにして、伝送線路10及びコア部13により電圧変
換部20が構成されていて、この電圧変換部20は分布
定数回路として動作するように構成されている。
【0018】伝送線路10をコア部13の周囲に形成す
る方法としては、例えば、一般的な被覆銅線を巻回す
る、絶縁層16上にメッキまたはスパッタで導体を形成
する、接着層15、絶縁層16、第2の接着層17、伝
送線路10が一体で形成されたものを帯状に加工し、コ
ア14の両面に所定の形状で配置するなどの方法により
形成することができる。
【0019】各線路導体11、12の出力側(受端側)
の端子11a、12aには、負荷4が接続されており、
入力側(送端側)の端子11b、12bには、LC回路
3が接続されている。各線路導体11、12(伝送線路
10)の線路長Dは、所定の交流電圧の周波数の1/4
波長にほぼ等しいことが、上記の分布定数回路の共振周
波数における入力インピーダンス(固有インピーダン
ス)より大きなインピーダンスの負荷4が接続された場
合にインピーダンス変換及び電圧変換を行うことができ
る点で、好ましい。
【0020】電圧変換部20からなる分布定数回路の固
有インピーダンスは、負荷4のインピーダンスと異なる
値とするのが、負荷4の両端に電圧変換部20(分布定
数回路)の固有のインピーダンスとの比に応じた倍率で
入力電圧と異なる電圧が加わる点で好ましい。さらに、
電圧変換部20からなる分布定数回路の固有インピーダ
ンスは、負荷4のインピーダンスより大きな値とするこ
とが、負荷の両端に電圧変換部20の固有のインピーダ
ンスとの比に応じた倍率で入力電圧より高い電圧が加わ
る点でより好ましい。
【0021】LC回路3は、交流電源5と電圧変換部2
0に対してインダクタLが直列に、コンデンサCが並列
に接続されてなるものであって、伝送線路型トランス2
の入力側の端子11b、12bに接続されている。
【0022】図4には、この伝送線路型トランス2の特
性を示す。この特性図は、伝送線路型トランス2の入力
端子11b、12b側に交流電源を接続し、出力端子1
1a、12a側に負荷を接続してなる回路を用いて得ら
れたものである。尚、負荷4は、分布定数回路の固有イ
ンピーダンスより大きいインピーダンスを有するものを
用いた。図の横軸には伝送線路型トランス2に印加する
電力の周波数を示し、縦軸には、伝送線路型トランス2
の入力側から見たインピーダンス(入力インピーダンス
in)及び電圧ゲインG(昇圧比)を示す。
【0023】図4から明らかなように、この伝送線路型
トランス2の分布定数回路は、動作させる際の周波数f
によって入力インピーダンスZin及び電圧ゲインGを大
幅に変動させるもので、特に周波数f0の時に入力イン
ピーダンスZinが最小となり、電圧ゲインGが最大とな
る。この周波数f0の1/4波長が分布定数回路の伝送
線路長Dにほぼ等しくなり、従って周波数f0がこの分
布定数回路の同調周波数となる。
【0024】ところで、周波数f0においては、入力イ
ンピーダンスZinが最小となるため、伝送線路型トラン
ス2の入力側には高い電流が流れることになり、伝送線
路10が発熱して電力損失や変換効率の低下が懸念され
る。そこで伝送線路型トランス2の動作周波数をf0
らf1に低下させると、図4から明らかなように、入力
インピーダンスZinがZ0からZ1に上昇するため、伝送
線路型トランス2の入力電流を小さくすることが可能に
なり、伝送線路型トランス2の発熱が抑えられて、電力
損失を防ぐことができる。一方、動作周波数をf0から
1に低下すると、図4から明らかなように、電圧ゲイ
ンGがG0からG1に低下し、伝送線路型トランス2の昇
圧比が低下することになる。そこで、本発明では、伝送
線路型トランス2の入力側にLC回路3を設け、このL
C回路3により伝送線路型トランス2の入力電圧を予め
昇圧しておくことで、動作周波数の低下による電圧ゲイ
ンGの低下を補償し、インバータ回路1全体として電圧
ゲインGの低下を防止して電力の伝送効率を高くするこ
とができる。
【0025】また、図4から明らかなように、動作周波
数をf0からf1に低下したときの、電圧ゲインGの変化
の割合(G1/G0)が、入力インピーダンスZinの変化
の割合(Z0/Z1)よりも小さいので、電圧ゲインGの
低下よりも、入力インピーダンスZinの上昇による入力
電流抑制の効果が大きくなり、インバータ回路1におい
て、電力損失が防止されると共に、電圧ゲインの低下が
なく変換効率の低下を防止できるという効果を得ること
ができる。
【0026】ここで、LC回路3による昇圧作用につい
て説明する。まず、図5に示すように、伝送線路型トラ
ンス2の入力側にインダクタLを直列に接続した場合を
考える。伝送線路型トランス2は、同調周波数f0より
低い周波数f1において、その入力インピーダンスZin
は容量性であるため、伝送線路型トランス2をコンデン
サC’とみなすことができ、図5に示す回路をインダク
タLとコンデンサC’からなるLC回路とみなすことが
できる。なお、図5に示す回路の入力電圧をVin1、伝
送線路型トランス2の入力側(コンデンサC’)の両端
の電圧をVin2とする。
【0027】このLC回路におけるインダクタLの誘導
リアクタンスはωL、コンデンサC’の容量リアクタン
スは1/ωC’である。ここで、下記式(1)を満たす
場合を考える。なお、ωはω=2πfであり、fは動作
周波数を示す。 1/ωC’≫ωL・・・(1) また、インダクタLに流れる電流ILは下記式(2)で
表される。 IL=Vin1/(1/jωC’)=jωC’Vin1・・・(2) 従って、インダクタLの両端にかかる電圧VLは下記式
(3)で表される。 VL=IL・jωL=jωC’Vin1・jωL=−ω2
C’Vin1・・・(3) よって、伝送線路型トランス
2の入力側(コンデンサC’)の両端の電圧V in2は下
記式(4)で表される。 Vin2=Vin1−VL=Vin1+ω2LC’Vin1・・・(4) 従って、伝送線路型トランス2の入力側(コンデンサ
C’)の両端の電圧Vin 2は、回路の入力電圧Vin1に対
してω2LC’Vin1だけ昇圧されたことになる。
【0028】但し、伝送線路型トランス2は、同調周波
数f0において純抵抗となるため、図5に示す回路が同
調周波数f0にて動作した場合にはVin1>Vin2 とな
って昇圧作用を示さなくなる。そこで、図6に示すよう
に、伝送線路型トランス2の入力側に対して並列となる
ようにコンデンサCを追加すると、同調周波数f0にて
動作させてもトランスの入力電圧Vin2を昇圧させるこ
とが可能になる。ここで、図6に示すLC回路を同調周
波数f0以下で動作させるには、下記式(5)を満たす
ように、LとCを選択することが必要とされる。 1/ω(C’+C)≫ωL・・・(5) また、インダクタLに流れる電流ILは下記式(6)で
表される。 IL=Vin1/(1/jω(C’+C))=jω(C’+C)Vin1・・・( 6) 従って、インダクタLの両端にかかる電圧VLは下記式
(7)で表される。 VL=IL・jωL=jω(C’+C)Vin1・jωL =−ω2L(C’+C)Vin1・・・(7) よって、伝送線路型トランス2の入力側の両端の電圧V
in2は下記式(8)で表される。 Vin2=Vin1−VL=Vin1+ω2L(C’+C)Vin1・・・(8) 従って、図6に示す回路を構成した場合、伝送線路型ト
ランス2の入力側の両端の電圧Vin2は、回路の入力電
圧Vin1に対してω2L(C’+C)Vin1だけ昇圧され
たことになる。このようにして、LC回路3を伝送線路
型トランス2の入力側に設けることにより、トランスの
入力電圧Vin2を昇圧することが可能になる。
【0029】次に、伝送線路型トランス2の動作につい
て更に詳しく説明する。上述の伝送線路型トランス2に
おいては、誘電性と磁性を有するコア14と、伝送線路
10からなる図7に示すような分布定数回路が構成され
ている。図7中、符号Vin2はトランス2の入力電圧、
outはトランス2の出力電圧、Iin2はトランス2の入
力電流、Ioutはトランスの出力電流、Zinは入力側か
ら見た入力インピーダンス、Zoutは出力側から見た負
荷4の負荷インピーダンス、ZSは伝送線路10及びコ
ア14から構成される分布定数回路の固有インピーダン
ス、Dは伝送線路10の線路長である。図4に示す分布
定数回路は、下記式(9)で表される。尚、式(9)中
βは伝送線路10の伝搬定数(β=2πf/v=2π/
λ・・・(9−a)式)である。(9−a)式でのvは
伝搬速度(=fλ)、λは伝搬波長である。
【0030】
【数1】
【0031】本実施形態において、伝送線路10の各線
路長Dを所定の周波数のλ/4とすると、 βL=(2π/λ)×(λ/4)=π/2 となる。よって、式(9)は、下記式(10)で表せ
る。
【0032】
【数2】
【0033】上記式(10)を変形し、入力側から見た
入力インピーダンスZinを求めると、 Zin=Vin2/Iin2 =(jZS・Iout)/((j/ZS)・Vout)・・・(11) ここでVout=Zout・Ioutであるので、 Zin2=ZS/(Zout/ZS)=ZS 2/Zout・・・(12) これは、伝搬波長/4=線路長Dである場合において
は、固有インピーダンスZSが50オームの線路の出力
側の端子に100オームのインピーダンスを有する負荷
を接続した場合、入力側から見ると負荷のインピーダン
スが25オームに見えることを示しており、出力側に
接続された負荷インピーダンスZoutは、入力側からは
inに変換されて見える。よって、インピーダンス変換
がされることになる。
【0034】また、上記式(10)から 以上のことから、トランス2の入力電圧Vin2は出力
電流Ioutに比例し、入力電流Iin2は出力電圧Vout
比例することがわかる。各線路長Dが伝搬波長/4のと
きにおいてのみ、上記並びにの関係が成り立ち電圧
変換が行われる。このように伝送線路型トランス2の電
圧ゲインG(昇圧比)は、分布定数回路の固有インピー
ダンスZSと、負荷4の負荷インピーダンスZoutとの比
率で決まるので、この伝送線路型トランス2は、高電圧
が必要な始動時に高抵抗、点灯時に抵抗が下がる冷陰極
管のような負荷4のインピーダンス特性に適している。
【0035】次に、この伝送線路型トランス2の昇圧作
用について更に詳しく説明する。図8は、伝送線路型ト
ランス2の伝送線路10の昇圧作用を説明するためのグ
ラフである。図8のグラフにおいて、横軸は負荷インピ
ーダンスZoutと固有インピーダンスZSの比を表してい
る。ここで、トランス2の入力電圧Vin2が定電圧であ
るとする。負荷インピーダンスZoutが固有インピーダ
ンスZSに等しい場合(Zout/ZS=1)は、分布定数
回路が整合状態となっており、図中A点に示されている
ように入力側と出力側の電圧が等しいのが明らかであ
る。Zout>ZSなる負荷を接続した場合(Zout/ZS
1)は、上記式(12)よりZin2<ZSとなって入力電
流Iin2が増える。また、上記式(13)から、出力電
圧Voutは 入力電圧Iin2に比例するので、図中B点に
示されているように同じく増える。Zout>ZSの領域で
は、VoutはVin2より大きくなっており昇圧されている
ことになる。よって、線路長Dが動作周波数の1/4波
長の線路の負荷として、分布定数回路の固有インピーダ
ンスZSより大きな負荷4を接続すると、その負荷4の
両端には固有インピーダンスZSとの比に応じた倍率で
入力電圧Vin2より高い出力電圧Voutが加わる。
【0036】次に、この伝送線路型トランス2におい
て、上述のコア14を用いることにより波長を短縮で
き、伝送線路型トランス2を小型化できる理由について
説明する。自由空間における波長は下記式(14)で表
される。 λ=v/f ・・・(14) 電圧変換部20の電界が発生する部分の誘電率・透磁率
が大きいと、進行波の伝搬速度vが遅くなる。この伝搬
速度vは、下記式(15)で示される。 v[m/s]=3×108×(ε1/2・μ1/2-1 ・・・(15) よって、その場合の波長は下記式(16)で示される。 λ=(v/f)・(ε1/2・μ1/2-1 ・・・(16) 上記(16)式から明らかなように誘電率、透磁率の値
に応じて波長短縮が生じ、すなわち、誘電率、透磁率が
大きくなるとこれに応じて波長も短くなっており、よっ
て、コア14を誘電率、透磁率が大きい材料から構成す
ることにより、波長を短縮でき、コア寸法も短くでき、
伝送線路型トランス2の小型化が可能である。
【0037】上述の伝送線路型トランス2においては、
コア14をなす材料として、Fe、Co、Niの群から
選ばれた1種又は2種以上の元素Tと、Hf、Zr、
W、Ti、V、Nb、Mo、Cr、Mg、Mn、Al、
Si、Ca、Sr、Ba、Cu、Ga、Ge、As、S
e、Zn、Cd、In、Sn、Sb、Te、Pb、B
i、希土類元素の群から選ばれた1種又は2種以上の元
素Mと、O、C、N、Bの群から選ばれた1種又は2種
以上の元素Dを含む軟磁性合金粉末と、合成樹脂からな
るものを用いるのが、コア14の透磁率及び誘電率を大
きくでき、波長短縮効果が十分となり、変成器2を小型
化できる点で好ましい。
【0038】上記軟磁性合金粉末としては、例えば、以
下の組成式で示されるものが好適に用いられる。 Tabc (上記組成式中、TはFe,Co,Niの群から選ばれ
た1種または2種以上の元素を表し、MはHf,Zr,
W,Ti,V,Nb,Mo,Cr,Mg,Mn,Al,
Si,Ca,Sr,Ba,Cu,Ga,Ge,As,S
e,Zn,Cd,In,Sn,Sb,Te,Pb,B
i,希土類元素の群から選ばれた1種または2種以上の
元素を表し、DはO,C,N,Bの群から選ばれた1種
または2種以上の元素を表す。また、組成式中、組成比
を示すa,b,cは、原子%で、40≦a<87、0<
b≦20、0<c≦50なる関係を満足するものであ
る。)
【0039】上記合成樹脂としては、誘電損失が小さい
材料(即ちQの大きい材料でQが400以上のもの)が
用いられ、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポ
リスチレン、パラフィン、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂等が挙げられ
る。
【0040】上述のような軟磁性合金粉末と合成樹脂か
らなるコア4は、例えば、以下のようにして製造するこ
とができる。まず、組成式がTabcで示される軟磁
性合金粉末の組成になるように各原料を秤量する。ここ
での原料は、Tの粉末、Mの粉末が用いられる。Tの粉
末としては、Fe,Co,Niの群から選ばれた少なく
とも一種の元素の単体,酸化物,炭化物,炭酸塩,窒素
化物,ホウ化物のうちから選ばれた粉末が用いられる。
Mの粉末としては、Hf,Zr,W,Ti,V,Nb,
Mo,Cr,Mg,Mn,Al,Si,Ca,Sr,B
a,Cu,Ga,Ge,As,Se,Zn,Cd,I
n,Sn,Sb,Te,Pb,Bi,希土類元素の群か
ら選ばれた少なくとも1種の元素の単体,酸化物,炭化
物,炭酸塩,窒素化物,ホウ化物のうちから選ばれた粉
末が用いられる。上記希土類元素としては、周期表の3
A族に属するSc,Y,あるいは、La,Ce,Pr,
Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Td,Dy,Ho,E
r,Tm,Yb,Luなどのランタノイドの群から選ば
れる少なくとも1種の元素またはそれらの混合物が挙げ
られる。この際、Tの粉末は粒径が100μm以下、M
の粉末は粒径が2μm以下のものが望ましい。
【0041】次いで、Dのうち、O,C,Nを添加する
場合は、上述のTの粉末とMの粉末とをステンレス鋼製
ポット中に、ポットと同材質のステンレス球と共に封入
し、O,C,Nの群から選ばれた少なくとも一種の元素
の単体ガス,酸化物ガス,炭化物ガスのうちから選ばれ
たDのガスを充満させる。そして、高エネルギ型遊星式
ボールミルを用いて所定時間、粉砕、攪拌するメカニカ
ルアロイングにより、組成式がTabcで示される軟
磁性合金粉末が得られる。メカニカルアロイングの時間
は、2時間以上とするのが、bcc構造もしくはfcc
構造、または、これらが混在したTの結晶の微細化を十
分にできる点で好ましい。ここで得られた軟磁性合金粉
末は、平均結晶粒径が数nm〜数10nmオーダーのb
cc構造のTの微結晶相が、M,Dを多量に含む非晶質
相で取り囲まれたような構造を有する平均粒径が1〜2
μm程度の凝集粒子となる。この軟磁性合金粉末は、凝
集粒子を構成するbcc構造もしくはfcc構造、また
は、これらが混在したTの微結晶の平均粒径が微細であ
るため、優れた軟磁気特性を示し、また、bcc構造も
しくはfcc構造、またはこれらが混在したTの微結晶
が、高抵抗の非晶質相によって取り囲まれているため、
渦電流損失を小さく押えることができるという特徴があ
る。
【0042】次に、得られた軟磁性合金粉末を有機溶剤
を溶媒とする合成樹脂液に分散してスラリーを得た後、
このスラリーを3本ロールに繰り返し通して該スラリー
が粉末状になるまで混練し混練物を得る。この合成樹脂
を溶解させる有機溶剤としては、キシレン、トルエン、
ベンゼン等が挙げられる。合成樹脂への軟磁性合金粉末
の添加割合は、目的とするコアの磁性と誘電性によって
適宜変更可能であるが、スラリー中の体積割合で50〜
80vol%程度となるように添加するのが好ましい。軟
磁性合金粉末の体積割合が50vol%未満であると、
透磁率が低くなるという不都合が生じる恐れがあり、一
方、80vol%を超えると射出成形等により成形する
のが困難になるという不都合が生じる恐れがある。
【0043】上記軟磁性合金粉末は合成樹脂液に分散、
混練する前に、空気,酸素,窒素,水蒸気のうちから選
択される雰囲気中またはこれらの混合雰囲気中で熱処理
を行うことが望ましい。ここでの加熱温度は、25℃〜
300℃程度、加熱時間は、0.5時間〜48時間程度
が好ましい。このようにすると、上記軟磁性合金粉末の
表面に酸化物からなる絶縁層が形成されるので、軟磁性
合金粉末の固有抵抗が上がり、高周波での誘電率をより
低くすることができる。なお、ここでの絶縁層は、酸化
膜に限らず、他の絶縁膜を用いて形成してもよい。
【0044】ついで、上記混練物を乾燥器等に入れて加
熱することにより有機溶剤を蒸発させたのち、プレス成
形機、射出成形機、押出装置等を用いて所望の形状に成
形して成形体を作製する。この後、この成形体を150
〜400℃程度、1時間程度加熱することにより、目的
とする磁性と誘電性とを有するコア14が得られる。ま
た、軟磁性合金粉末と合成樹脂からなるコア14は、T
の粉末とMの粉末とを混合後、Dのガス雰囲気中で粉
砕、攪拌するのに代えて、Tの粉末と、Mの粉末と、D
の粉末とを混合後、不活性ガス雰囲気中、あるいはO,
C,Nの群から選ばれた少なくとも一種の元素の単体ガ
ス,酸化物ガス,炭化物ガスのうちから選ばれたDのガ
ス雰囲気中で粉砕、攪拌する以外は先に述べた製造例と
同様にして製造することもできる。上記Dの粉末として
は、カーボンとBのうちから選ばれた少なくとも一種ま
たは混合物が用いられる。また、この例では、上記Tの
粉末とMの粉末とDの粉末の粉砕、攪拌をDのガス雰囲
気下、またはArガス等の不活性ガス雰囲気下、あるい
は上記DのガスとArガス等の不活性ガスとの混合ガス
雰囲気下で行なわれ、上記混合ガス雰囲気下で行う場合
には材料中の酸素,炭素,窒素量を調整することができ
る。
【0045】また、軟磁性合金粉末と合成樹脂からなる
コア14は、Tの粉末とMの粉末に代えて液体急冷法に
より得られたT−M合金薄帯の粉砕物粉末を用いる以外
は、先に述べた製造例と同様にして製造することもでき
る。また、軟磁性合金粉末と合成樹脂からなるコア14
は、Tの粉末とMの粉末と、Dの粉末および/またはD
のガスに加えて液体急冷法により得られたT−M合金薄
帯の粉砕物粉末も用いる以外は、先に述べた製造例と同
様にして製造することもできる。
【0046】次に本発明の第2の実施形態について説明
する。図9には、第2の実施形態のインバータ回路を示
す。このインバータ回路21が、図1〜図3に示したイ
ンバータ回路1と異なるところは、伝送線路型トランス
の構成が異なる点にある。即ち、このインバータ回路2
1に備えられた伝送線路型トランス22は、誘電性と磁
性を有する板状の一対のコア44、44間に、スパイラ
ル型の伝送線路41が挟持され、一対のコア44、44
の外側に接地導体42、42が形成されてなるものであ
る。コア44、44は、前述した図2及び図3に示す伝
送線路型トランス2のコア14と同じ材料からなるもの
である。このコア44、44と伝送線路41により電圧
変換部23(分布定数回路)が構成される。接地導体4
2、42は、一対のコア半体44、44の各突き合わせ
面の反対側の各面にそれぞれ設けられている。この接地
導体42、42は、コア44、44の各突き合わせ面の
反対側の面の全面に設けられた薄膜であるが、薄膜に限
られずコイル状に形成されたものであっても良い。
【0047】この伝送線路41の出力側の端子41aに
は負荷4が接続され、入力側の端子41bにはLC回路
3が接続されている。また、一方の接地導体42の出力
側の端子には負荷4が接続されており、入力側の端子に
はLC回路3が接続されている。また、一方の接地導体
42と他方の接地導体42は、電位を同じにするために
接続用導体43により電気的に接続されている。
【0048】上述の構成のインバータ回路21において
は、図1から図3に示したインバータ回路1の効果に加
えて、以下の効果が得られる。即ち、伝送線路型トラン
ス22が一対のコア44、44間に伝送線路41を挟ん
でなるので、伝送線路41のインダクタンスを大きくす
ることが可能となって静電容量を高くでき、インバータ
回路21の変換効率をより高くすることができる。
【0049】次に本発明の第3の実施形態について説明
する。図10及び図11には、第3の実施形態のインバ
ータ回路を示す。このインバータ回路30が、図1〜図
3に示したインバータ回路1と異なるところは、伝送線
路型トランスの構成が異なる点にある。即ち、このイン
バータ回路30に備えられた伝送線路型トランス31
は、コア54を構成する一対のコア半体54a、54b
の間にスパイラル型の伝送線路51が挟持され、さらに
一対のコア半体54a、54bの外側に接地導体52、
52が形成されてなるものである。コア54は、前述し
た図2及び図3に示す伝送線路型トランス2のコア14
と同じ材料からなるものである。このコア54と伝送線
路51により電圧変換部32(分布定数回路)が構成さ
れる。接地導体52、52は、一対のコア半体54a、
54bの各突き合わせ面の反対側の各面にそれぞれ設け
られている。この接地導体52、52は、コア半体54
a、54bの各突き合わせ面の反対側の面の全面に接着
層101、102を介して設けられた薄膜であるが、薄
膜に限られずコイル状に形成されたものであっても良
い。
【0050】また、図10及び図11に示すように、コ
ア半体54aの突き合わせ面54fの中央には中央凸部
54cが設けられ、突き合わせ面54fの周辺部54d
の一部には周辺凸部54e、54eが設けられている。
周辺凸部54e、54eは、突き合わせ面54f上にて
互いに対向して設けられている。また、コア半体54b
は板状とされている。そして、このコア半体54aの中
央凸部54cと周辺凸部54e、54eがコア半体54
bに突き合わされてコア54が形成されると共に、この
コア54の内部に、一対のコア半体54a、54bと中
央凸部54cと周辺凸部54e、54eとに区画されて
空隙部7aが形成され、この空隙部7aにより磁路形成
部7が構成される。そして、これら一対のコア半体54
a、54bと中央凸部54cと周辺凸部54e、54e
とにより磁路形成部7を囲む磁路が構成される。
【0051】次に図10及び図11に示すように、伝送
線路51は、導体からなるものであって、中央凸部54
cの周囲に巻回されて、コア半体54aと離間して磁路
形成部7内に配置されている。このようにして伝送線路
51は、磁路形成部7内に配置されて磁路に囲まれてい
る。
【0052】また図11に示すように、コア半体54b
には接着層103が積層され、この接着層103の一部
にポリイミド等からなる絶縁層104が積層され、この
絶縁層104上に上述の伝送線路51が形成されてい
て、伝送線路51とコア半体54bが絶縁されている。
また、伝送線路51には接着層106を介してポリイミ
ド等からなる絶縁層105が積層されている。
【0053】また、伝送線路51の出力側の端子51b
には負荷4が接続されており、入力側の端子51aには
LC回路3が接続されている。また、一方の接地導体5
2の出力側の端子には負荷4が接続されており、入力側
の端子にはLC回路3が接続されている。また、接地導
体52、52同士は、電位を同じにするために接続用導
体53により電気的に接続されている。
【0054】この伝送線路型トランス31では、上述の
ような一対のコア半体54a、54b間に介在された伝
送線路51より発生する磁束の方向は、伝送線路51に
流れる電流の方向が図11に示された通りであるとき
は、図11中の符号Ia、Ibで示される矢印の向きとな
る。従って、伝送線路51から発生した磁束は、その大
部分が一対のコア半体54a、54bと中央凸部54c
と周辺凸部54e、54eとにより構成される磁路に流
れることになる。そして、伝送線路51から発生した磁
束のうち、コア半体54aからコア半体54bに移動す
る渡り磁束成分が、中央凸部54c及び周辺凸部54
e、54eに集中し、渡り磁束成分が伝送線路51に鎖
交することがなく、交流抵抗が減少して銅損が小さくな
る。特に、伝送線路51が、中央凸部54cの周囲に巻
回されて磁路形成部7内に配置されているので、発生し
た磁束を中央凸部54cに集中させることが可能とな
り、伝送線路51に鎖交する渡り磁束成分をより減少さ
せることが可能となる。
【0055】よって、上述の構成のインバータ回路30
においては、図1から図3に示したインバータ回路1の
効果に加えて、以下の効果が得られる。即ち、伝送線路
型トランス31が上述の構成からなるので、伝送線路5
1に鎖交する渡り磁束成分が減少して銅損が小さくな
り、伝送線路型トランス31の変換効率が高くなって、
インバータ回路30の変換効率をより高くすることがで
きる。
【0056】
【実施例】(実験例1)伝送線路型トランスの入力イン
ピーダンスZin及び電圧ゲインGの周波数特性を調査し
た。図10及び図11に示したインバータ回路30の伝
送線路型トランス31と同様の伝送線路型トランスを作
製した。ここで作製した伝送線路型トランスのMn−Z
nフェライトからなる各コア半体54a、54bの厚み
は0.5mm、コア半体54aの中央凸部54c及び周
辺凸部54eの高さが0.5mmであることから磁路形
成部7の深さは0.5mm、スパイラル型の伝送線路5
1の厚みは0.04mm、伝送線路51の幅は0.29
mm、伝送線路51のピッチは0.24mm、接地導体
52、52の厚みは0.04mmであった。また、伝送
線路51の線路長Dは1.8mであった。
【0057】ここで作製した伝送線路型トランスの電圧
ゲイン−フェーズ特性及び入力インピーダンス−フェー
ズ特性を測定した。ここでの測定には、インピーダンス
アナライザHP4194A(商品名;日本ヒューレット
パッカード株式会社製)を用い、トランスの出力側の端
子に接続する終端抵抗を100kΩとして行った。測定
周波数範囲は、共振近傍の点が細かくとれるように0.
01MHzから10MHzとした。 終端抵抗には、炭
素皮膜抵抗を用いた。測定結果を図12及び図13に示
す。
【0058】図12及び図13から明らかなように、こ
の伝送線路型トランスのλ/4に同調したときの周波数
(同調周波数)は930kHz、同調周波数における入
力インピーダンスは55Ω、電圧ゲインは24dBであ
った。次に、同調周波数よりも200kHz低い周波数
である730kHzにおける入力インピーダンス及び電
圧ゲインはそれぞれ300Ω、11dBであった。従っ
て、動作周波数を930kHz(同調周波数)から73
0kHzとした場合、入力インピーダンスは5.45倍
に増加し、電圧ゲインは4.46分の1に減少した。こ
のことから、伝送線路型トランスの動作周波数を同調周
波数から低下させると、電圧ゲインの変化よりも入力イ
ンピーダンスの変化の方が大きくなるので、伝送線路型
トランスの入力電流の電流量を減少させることができ、
伝送線路型トランスの入力側における発熱を効果的に抑
制可能であることが判明した。
【0059】(実験例2)インバータ回路のLC回路の
周波数特性を調査した。図10及び図11に示したイン
バータ回路30を作製した。このインバータ回路に備え
られる伝送線路型トランスは、実験例1において用いた
ものと同様なものを用意した。また、インバータ回路の
LC回路の入力電圧(Vin1)は7V、周波数は700
〜1100kHz、コンデンサCの容量は10nF、イ
ンダクタLのインダクタンスは0.2、0.98、2.
1、2.9、3.6μHの5種類で実験した。このイン
バータ回路のLC回路からの出力電圧、即ちトランスの
入力電圧Vin U2の周波数特性を調査した。結果を図14
に示す。
【0060】図14に示すように、周波数700〜11
00kHzにおいては、トランスの入力電圧Vin2が、
インバータ回路の入力電圧Vin1(7V)より高く、L
C回路により昇圧されていることがわかる。特に、トラ
ンスの入力電圧Vin2は、周波数880kHzにおいて
極大を示しており、またインダクタLのインダクタンス
が大きいほど高くなっており、インダクタLのインダク
タンス値が0.98μH以上で高い入力電圧が得られて
おり、特に2.1μH以上、更に好ましくは2.9μH
以上でより高い入力電圧が得られていることがわかる。
本実験に使用した伝送線路型トランスの同調周波数は9
30kHzであり、その同調周波数より低い周波数にお
いて高い昇圧比が得られていることから、本実験結果
は、本発明におけるインバータ回路のLC回路が所定の
作用をすることを示している。
【0061】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本発明の
インバータ回路は、分布定数回路を備えてなる伝送線路
型トランスと、該伝送線路型トランスの入力側に設けら
れたLC回路とを具備することにより、伝送線路型トラ
ンスの入力電圧を向上させることができる。更に、本発
明のインバータ回路においては、伝送線路型トランスの
分布定数回路が、該分布定数回路の同調周波数と略等し
い周波数または前記同調周波数より低い周波数で動作さ
せた際に、前記伝送線路型トランスの入力インピーダン
スを、前記分布定数回路の同調周波数における入力イン
ピーダンス値以上にするものであると共に、前記LC回
路が、前記伝送線路型トランスの入力電圧を昇圧するも
のであり、入力インピーダンスを高くすることにより伝
送線路型トランスの入力電流が小さくなってトランス自
体の発熱が抑えられ、インバータ回路の電力損失を小さ
くすることができる。また、トランスの入力インピーダ
ンスが高くなる一方でトランス自体の電圧ゲイン(昇圧
比)が低下するが、伝送線路型トランスの入力電圧をL
C回路により昇圧するので、電圧ゲインの低下が補償さ
れて、インバータ回路の出力電圧の低下を防いで電力の
変換効率を高くすることができる。
【0062】また、本発明のインバータ回路の伝送線路
型トランスは、前記伝送線路と誘電性と磁性を有するコ
アとを具備してなるものであり、伝送線路とコアとによ
り分布定数回路を構成していて、このトランスの伝送線
路長はコアの誘電率と透磁率が高いと短縮されるので、
コアの形状が小さくなり、トランス自体が小型化されて
インバータ回路の小型化を図ることができる。
【0063】更に、本発明のインバータ回路の伝送線路
型トランスのコアがMn−Znフェライト、Ni−Zn
フェライト、Ni−Cuフェライトの群から選ばれた1
種又は2種以上からなるものであるので、コアの形状が
小さくなって、インバータ回路を小型化することができ
る。
【0064】また前記コアは、Fe、Co、Niの群か
ら選ばれた1種又は2種以上の元素Tと、Hf、Zr、
W、Ti、V、Nb、Mo、Cr、Mg、Mn、Al、
Si、Ca、Sr、Ba、Cu、Ga、Ge、As、S
e、Zn、Cd、In、Sn、Sb、Te、Pb、B
i、希土類元素の群から選ばれた1種又は2種以上の元
素Mと、O、C、N、Bの群から選ばれた1種又は2種
以上の元素Dを含む軟磁性合金粉末と、合成樹脂からな
るものであるので、コアの透磁率及び誘電率を大きくで
き、波長短縮効果が十分となって伝送線路長が短縮され
てコアの形状が小さくなり、トランス自体が小型化され
てインバータ回路の小型化を図ることができる。
【0065】更に、コアの100kHzにおける実効透
磁率μが10〜20000であり、実効誘電率εが10
〜5000であるので、波長短縮効果が十分となって伝
送線路長が短縮されてコアの形状が小さくなり、トラン
ス自体が小型化されてインバータ回路の小型化を図るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態であるインバータ回
路を示す回路図である。
【図2】 図1のインバータ回路に備えられた伝送線路
型トランスを示す斜視図である。
【図3】 図1のインバータ回路に備えられた伝送線路
型トランスを示す断面図である。
【図4】 伝送線路型トランスの入力インピーダンスと
電圧ゲインの周波数特性を示す図である。
【図5】 図1のインバータ回路の動作を説明するため
の回路図である。
【図6】 図1のインバータ回路の動作を説明するため
の回路図である。
【図7】 伝送線路型トランスに備えられた分布定数回
路を説明するための図である。
【図8】 伝送線路型トランスの昇圧作用を説明するた
めの図である。
【図9】 本発明の第2の実施形態であるインバータ回
路に備えられた伝送線路型トランスを示す断面図であ
る。
【図10】 本発明の第3の実施形態であるインバータ
回路に備えられた伝送線路型トランスを示す斜視図であ
る。
【図11】 図10のインバータ回路に備えられた伝送
線路型トランスを示す断面図である。
【図12】 伝送線路型トランスの入力インピーダンス
とフェーズの周波数特性を示す図である。
【図13】 伝送線路型トランスの電圧ゲインとフェー
ズの周波数特性を示す図である。
【図14】 インバータ回路における伝送線路型トラン
スの入力電圧の周波数特性を示す図である。
【符号の説明】
1、21、30 インバータ回路 2、22、31 伝送線路型トランス 20、23、32 電圧変換部(分布定数回路) 3 LC回路 4 負荷 5 交流電源 10、41、51 伝送線路 14、44、54 コア Zin 入力インピーダンス ZS 固有インピーダンス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 31/00 C Z (72)発明者 高橋 利男 東京都大田区雪谷大塚町1番7号 アルプ ス電気株式会社内 Fターム(参考) 5E041 AA11 AA14 AA17 AA19 AB01 AB02 AB14 AB19 BB03 CA01 NN14 NN15 5H750 BA01 BA05 CC11 CC14 CC16 DD25 JJ03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 伝送線路を少なくとも有する分布定数回
    路を備えてなる伝送線路型トランスと、該伝送線路型ト
    ランスの入力側に設けられたLC回路とを具備してな
    り、 前記LC回路が、前記伝送線路型トランスの入力電圧を
    昇圧するものであることを特徴とするインバータ回路。
  2. 【請求項2】 前記分布定数回路が、該分布定数回路の
    同調周波数と略等しい周波数または前記同調周波数より
    低い周波数で動作させた際に、前記伝送線路型トランス
    の入力インピーダンスを、前記分布定数回路の同調周波
    数における入力インピーダンス値以上にするものである
    ことを特徴とする請求項1記載の変成器。
  3. 【請求項3】 前記伝送線路型トランスは、前記伝送線
    路と、誘電性と磁性を有するコアとを具備してなるもの
    であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の
    インバータ回路。
  4. 【請求項4】 前記コアはMn−Znフェライト、Ni
    −Znフェライト、Ni−Cuフェライトの群から選ば
    れた1種又は2種以上からなるものであることを特徴と
    する請求項3記載のインバータ回路。
  5. 【請求項5】 前記コアは、Fe、Co、Niの群から
    選ばれた1種又は2種以上の元素Tと、Hf、Zr、
    W、Ti、V、Nb、Mo、Cr、Mg、Mn、Al、
    Si、Ca、Sr、Ba、Cu、Ga、Ge、As、S
    e、Zn、Cd、In、Sn、Sb、Te、Pb、B
    i、希土類元素の群から選ばれた1種又は2種以上の元
    素Mと、O、C、N、Bの群から選ばれた1種又は2種
    以上の元素Dを含む軟磁性合金粉末と、合成樹脂からな
    るものであることを特徴とする請求項3ないし4のいず
    れかに記載のインバータ回路。
  6. 【請求項6】 前記コアの100kHzにおける実効透
    磁率μが10〜20000であり、実効誘電率εが10
    〜5000であることを特徴とする請求項3ないし請求
    項5のいずれかに記載のインバータ回路。
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