JP2000276719A - 磁気抵抗効果素子およびその製造方法 - Google Patents

磁気抵抗効果素子およびその製造方法

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JP2000276719A JP11343134A JP34313499A JP2000276719A JP 2000276719 A JP2000276719 A JP 2000276719A JP 11343134 A JP11343134 A JP 11343134A JP 34313499 A JP34313499 A JP 34313499A JP 2000276719 A JP2000276719 A JP 2000276719A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気抵抗効果素子を構成する多層膜は、その
両側に形成されるハードバイアス層の影響を受けて、前
記多層膜の側部付近の領域が、実質的に磁気抵抗効果を
発揮し得ない不感領域であり、この不感領域は、単に直
流抵抗値を上昇させるだけの領域となっていた。 【解決手段】 多層膜16の不感領域D上にまで電極層
18を延ばして形成する。これにより、前記電極層18
からのセンス電流を多層膜16に有効に流すことがで
き、しかも多層膜16との接合面積を大きくできるの
で、直流抵抗を低減させることができ、再生特性を向上
させることが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば固定磁性層
(ピン(Pinned)磁性層)の磁化の方向と外部磁界の影
響を受けるフリー(Free)磁性層の磁化の方向との関係
で電気抵抗が変化するいわゆるスピンバルブ型薄膜素子
に係り、特に、多層膜に有効にセンス電流を流すことが
できる磁気抵抗効果素子およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図33は、磁気抵抗効果素子の従来の構
造をABS面から見た断面図である。図33に示す磁気
抵抗効果素子は、巨大磁気抵抗効果を利用したGMR
(giant magnetoresistive)素子の1種であるスピンバ
ルブ型薄膜素子と呼ばれるものであり、ハードディスク
などの記録媒体からの記録磁界を検出するものである。
【0003】このスピンバルブ型薄膜素子は、下から下
地層6、反強磁性層1、固定磁性層(ピン(Pinned)磁
性層)2、非磁性導電層3、フリー磁性層(Free)4、
及び保護層7で構成された多層膜9と、この多層膜9の
両側に形成された一対のハードバイアス層5,5と、こ
のハードバイアス層5,5の上に形成された一対の電極
層8,8とで構成されている。なお下地層6及び保護層
7は、Ta(タンタル)膜などで形成されている。また
この多層膜9の上面の幅寸法によってトラック幅Twが
決定される。
【0004】前記反強磁性層1にはFe−Mn(鉄−マ
ンガン)合金膜やNi−Mn(ニッケル−マンガン)合
金膜、固定磁性層2及びフリー磁性層4にはNi−Fe
(ニッケル−鉄)合金膜、非磁性導電層3にはCu
(銅)膜、ハードバイアス層5,5にはCo−Pt(コ
バルト−白金)合金膜、また電極層8,8にはCr膜が
一般的に使用される。
【0005】図33に示すように、固定磁性層2の磁化
は、反強磁性層1との交換異方性磁界によりY方向(記
録媒体からの漏れ磁界方向;ハイト方向)に単磁区化さ
れ、フリー磁性層4の磁化は、前記ハードバイアス層
5,5からのバイアス磁界の影響を受けてX方向に揃え
られる。
【0006】すなわち固定磁性層2の磁化と、フリー磁
性層4の磁化とが、直交するように設定されている。
【0007】このスピンバルブ型薄膜素子では、ハード
バイアス層5,5上に形成された電極層8,8から、固
定磁性層2、非磁性導電層3及びフリー磁性層4に検出
電流(センス電流)が与えられる。ハードディスクなど
の記録媒体の走行方向はZ方向であり、記録媒体からの
洩れ磁界がY方向に与えられると、フリー磁性層4の磁
化がXからY方向へ向けて変化する。このフリー磁性層
4内での磁化の方向の変動と、固定磁性層2の固定磁化
方向との関係で電気抵抗が変化し(これを磁気抵抗効果
という)、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化によ
り、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図33
に示す従来の磁気抵抗効果素子では、以下のような問題
点が発生する。
【0009】固定磁性層2の磁化は、前述したように、
図示Y方向に単磁区化され固定されているが、前記固定
磁性層2の両側にはX方向に磁化されているハードバイ
アス層5,5が設けられている。そのために、特に、固
定磁性層2の両端の磁化が、前記ハードバイアス層5,
5からのバイアス磁界の影響を受け、図示Y方向に固定
されなくなっている。
【0010】すなわち、前記ハードバイアス層5,5の
X方向の磁化を受けて、X方向に単磁区化されているフ
リー磁性層4の磁化と、固定磁性層2の磁化とは、特に
多層膜9の側端部付近では、直交関係にない。フリー磁
性層4の磁化と、固定磁性層2の磁化とを直交関係に設
定しておく理由は、フリー磁性層4の磁化が小さな外部
磁界でも容易に変動可能で、電気抵抗を大きく変化させ
ることができ、再生感度を向上させることができるから
である。さらに前記直交関係にあると、良好な対称性を
有する出力波形を得ることが可能になるためである。
【0011】しかもフリー磁性層4のうち、その側端部
付近における磁化は、ハードバイアス層5,5からの強
い磁化の影響を受けるため固定されやすく、外部磁界に
対し磁化が変動しにくくなっており、図33に示すよう
に、多層膜9の側端部付近には、再生感度の悪い不感領
域が形成される。
【0012】多層膜9のうち、不感領域を除いた中央部
分の領域が、実質的に記録磁界の再生に寄与し、磁気抵
抗効果を発揮する感度領域であり、この感度領域の幅
は、多層膜9の形成時に設定されたトラック幅Twより
も不感領域の幅寸法分だけ短くなっている。
【0013】このように磁気抵抗効果素子の多層膜9に
は、その両側付近に再生出力にほとんど寄与しない不感
領域が形成され、この不感領域は、単に直流抵抗値(D
CR)を上昇させる領域でしかなかった。
【0014】また、図33の従来の磁気抵抗効果素子の
ように、多層膜9の両側にのみ電極層8,8が形成され
ている構造であると、前記電極層8,8からのセンス電
流は、ハードバイアス層5,5に流れ易くなり、前記多
層膜9に流れる割合が減り、また特に不感領域の存在に
より、さらに感度領域へ流れるセンス電流の量は激減す
る結果となる。このように、有効量の前記センス電流を
感度領域に流すことができず、直流抵抗の上昇とともに
再生出力の低下が問題となっていた。
【0015】本発明は上記従来の課題を解決するための
ものであり、特に多層膜の不感領域上に電極層をオーバ
ーラップさせることにより、直流抵抗を低減させること
ができ、再生特性を向上させることが可能な磁気抵抗効
果素子およびその製造方法を提供することを目的として
いる。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、反強磁性層
と、この反強磁性層と接して形成され、前記反強磁性層
との交換異方性磁界により磁化方向が固定される固定磁
性層と、前記固定磁性層に非磁性導電層を介して形成さ
れたフリー磁性層とを有する多層膜と、この多層膜の両
側に形成され、前記フリー磁性層の磁化方向を前記固定
磁性層の磁化方向と交叉する方向へ揃える一対のバイア
ス層と、このバイアス層上に形成され、固定磁性層と非
磁性導電層とフリー磁性層に検出電流を与える一対の導
電層とが設けられて成る磁気抵抗効果素子において、前
記多層膜は、再生感度に優れ、実質的に磁気抵抗効果を
発揮し得る中央部分の感度領域と、前記感度領域の両側
に形成され、再生感度が悪く実質的に磁気抵抗効果を発
揮し得ない不感領域とで構成されており、多層膜の両側
に形成された電極層は、前記多層膜の不感領域上にまで
延ばされて形成されていることを特徴とするものであ
る。
【0017】本発明では前記多層膜は、下から反強磁性
層、固定磁性層、非磁性導電層、及びフリー磁性層の順
で積層され、前記反強磁性層は、その上に形成された前
記各層の両側の領域に延びており、この両側領域の反強
磁性層上に、金属膜を介して一対のバイアス層及び電極
層が積層されていることが好ましい。
【0018】また本発明は、フリー磁性層と、前記フリ
ー磁性層の上下に形成された非磁性導電層と、一方の非
磁性導電層の上及び他方の非磁性導電層の下に形成さ
れ、磁化方向が固定されている固定磁性層と、一方の固
定磁性層の上及び他方の固定磁性層の下に形成された反
強磁性層とを有する多層膜と、前記多層膜の両側に形成
され、前記フリー磁性層の磁化方向を前記固定磁性層の
磁化方向と交叉する方向へ揃える一対のバイアス層と、
このバイアス層上に形成され、固定磁性層と非磁性導電
層とフリー磁性層に検出電流を与える一対の導電層とが
設けられて成る磁気抵抗効果素子において、前記多層膜
は、再生感度に優れ、実質的に磁気抵抗効果を発揮し得
る中央部分の感度領域と、前記感度領域の両側に形成さ
れ、再生感度が悪く実質的に磁気抵抗効果を発揮し得な
い不感領域とで構成されており、多層膜の両側に形成さ
れた電極層は、前記多層膜の不感領域上にまで延ばされ
て形成されていることを特徴とするものである。
【0019】また、前記フリー磁性層は、磁気モーメン
トの大きさが異なる複数の軟磁性薄膜が、非磁性材料層
を介して積層され、前記非磁性材料層を介して隣接する
前記軟磁性薄膜の磁化方向が反平行となるフェリ磁性状
態であると、前記フリー磁性層の膜厚を薄くすることと
同等の効果が得られ、フリー磁性層の磁化が変動しやす
くなり、磁気抵抗効果素子の磁界検出感度が向上するの
で好ましい。
【0020】なお、前記軟磁性薄膜の磁気モーメントの
大きさは、前記軟磁性薄膜の飽和磁化(Ms)と膜厚
(t)の積で表される。
【0021】前記フリー磁性層が、磁気モーメントが異
なる複数の軟磁性薄膜が非磁性材料層を介して積層さ
れ、前記非磁性材料層を介して隣接する前記軟磁性薄膜
の磁化方向が反平行となるフェリ磁性状態であるとき、
前記複数の軟磁性薄膜は、磁化方向が前記バイアス層か
ら発生する磁界の方向に向いているものと、180度反
対方向に向いているものが交互に積層された状態になっ
ている。
【0022】磁化方向が前記バイアス層から発生する磁
界の方向と180度反対方向に向いている軟磁性薄膜
は、前記バイアス層と磁気的に接続している両側端部付
近において磁化方向が乱れてしまう。このとき、これら
の軟磁性薄膜と前記非磁性材料層を介して隣接してい
る、磁化方向が前記バイアス層から発生する磁界の方向
に向いている軟磁性薄膜の両側端部付近の磁化方向もつ
られて乱れる。
【0023】このように、前記フリー磁性層を構成する
軟磁性薄膜の両側端部付近の磁化方向が乱れている領域
は、再生感度が悪く実質的に磁気抵抗効果を発揮し得な
い不感領域となっており、本発明ではこの不感領域上に
まで、前記電極層が延ばされて形成されている。
【0024】さらに、前記フリー磁性層が、磁気モーメ
ントが異なる複数の軟磁性薄膜が非磁性材料層を介して
積層されたものであるときには、前記多層膜と前記バイ
アス層との磁気的接続面が前記フリー磁性層を構成する
複数の軟磁性薄膜の側面のうち、一つの軟磁性薄膜の側
面とのみ重なり合っていることが好ましい。
【0025】前記バイアス層は、前記フリー磁性層を構
成する複数の軟磁性薄膜のうち、一つの軟磁性薄膜の磁
化方向を揃えるだけでよい。一つの軟磁性薄膜の磁化方
向が一定方向に揃えられると、この軟磁性薄膜に隣接す
る軟磁性薄膜は磁化方向が反平行となるフェリ磁性状態
となり、結局全ての軟磁性薄膜の磁化方向が一定方向に
平行か反平行かに揃えられ、フリー磁性層全体の磁化方
向が一定方向に揃えられる。
【0026】前記バイアス層が、前記フリー磁性層を構
成する複数の軟磁性薄膜と磁気的に接続されていると、
軟磁性薄膜の両端部において磁化方向が乱れる原因とな
るので好ましくない。
【0027】また、前記固定磁性層は、磁気モーメント
が異なる複数の軟磁性薄膜が、非磁性材料層を介して積
層され、前非磁性材料層を介して隣接する前記軟磁性薄
膜の磁化方向が反平行となるフェリ磁性状態であると、
前記固定磁性層を構成する複数の軟磁性膜が、互いに他
の軟磁性膜の磁化方向を固定しあうので、全体として固
定磁性層の磁化方向を一定方向に安定させることができ
るので好ましい。
【0028】ここでも、前記軟磁性薄膜の磁気モーメン
トの大きさは、前記軟磁性薄膜の飽和磁化(Ms)と膜
厚(t)の積で表される。
【0029】なお、前記非磁性材料層は、Ru、Rh、
Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の
合金で形成されていることが好ましい。
【0030】本発明では、前記反強磁性層は、PtMn
合金により形成されていることが好ましい。または前記
反強磁性層は、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,R
h,Ruのいずれか1種または2種以上の元素である)
合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、P
d,Ir,Rh,Ru,Au,Agのいずれか1種また
は2種以上の元素である)合金で形成されていることが
好ましい。
【0031】さらに本発明は、非磁性層を介して重ねら
れた磁気抵抗効果層と軟磁性層とを有する多層膜と、こ
の多層膜の両側に形成された一対のバイアス層と、この
バイアス層の上に形成された一対の電極層とを有して成
る磁気抵抗効果素子において、前記多層膜は、再生感度
に優れ、実質的に磁気抵抗効果を発揮し得る中央部分の
感度領域と、前記感度領域の両側に形成され、再生感度
が悪く実質的に磁気抵抗効果を発揮し得ない不感領域と
で構成されており、多層膜の両側に形成された電極層
は、前記多層膜の不感領域上にまで延ばされて形成され
ていることを特徴とするものである。
【0032】また、本発明では、前記多層膜と前記バイ
アス層との磁気的接続面の上縁部及び/又は下縁部の媒
体走行方向の高さ位置が、前記フリー磁性層又は前記磁
気抵抗効果層の上面及び/又は下面の媒体走行方向の高
さ位置とが等しいことが好ましい。
【0033】前記バイアス層は、前記多層膜のトラック
幅方向の側面に、直接または下地層などの他の層を介し
て磁気的に接続されている。前記バイアス層は、前記多
層膜の中の、前記フリー磁性層又は前記磁気抵抗効果層
の磁化方向を一定方向に揃えるためのものである。従っ
て、前記バイアス層は、前記フリー磁性層又は前記磁気
抵抗効果層とのみ磁気的に接続されていればよい。特
に、前記バイアス層が、前記固定磁性層と磁気的に接続
されていなければ、前記バイアス層から発生する磁界が
前記固定磁性層の磁化方向に影響を与えることを抑える
ことができるのでより好ましい。
【0034】また、前記多層膜の最上層には、酸化防止
などを目的とした、Taなどからなる保護層が形成され
ていることが好ましい。
【0035】ただし、前記保護層上に前記電極層が積層
されると、電気抵抗が増加するなど、磁気抵抗効果素子
の特性に悪影響を及ぼすことがあるので、前記多層膜上
の前記電極層と接合していない部分に前記保護層が形成
されていることが好ましい。
【0036】なお本発明では、前記多層膜の感度領域
は、電極層が多層膜の両側にのみ形成された磁気抵抗効
果素子を、ある信号が記録された微小トラック上にトラ
ック幅方向で走査させた場合に、得られた再生出力のう
ち最大出力の50%以上の出力が得られた領域として定
義され、また前記多層膜の不感領域は、前記感度領域の
両側であって、出力が最大出力の50%以下となる領域
として定義されるものである。
【0037】また本発明では、前記多層膜の感度領域
は、光学的トラック幅寸法O−Twと同じ幅寸法で形成
されることが好ましい。
【0038】さらに多層膜上に延びて形成された部分の
各電極層の幅寸法は、0μmより大きく0.08μmの
範囲内であることが好ましい。
【0039】また、前記多層膜上に延びて形成された部
分の各電極層の幅寸法は、0.05μm以上であること
がより好ましい。
【0040】さらに、前記保護層表面または前記保護層
を除いた多層膜表面と、前記多層膜の不感領域上に延ば
された前記電極層の前端面とがなす角度が20度以上、
より好ましくは25度以上、さらに60度以下より好ま
しくは45度以下であることが好ましい。
【0041】また、前記多層膜上で、この多層膜の両側
に形成された前記電極層の間に、絶縁層が形成され、こ
の絶縁層の側面に前記電極層が直接に又は他の層を介し
て接していることが好ましい。
【0042】特に、前記保護層表面または前記保護層を
除いた多層膜表面と、前記多層膜の不感領域上に延ばさ
れた前記電極層の前端面とがなす角度が60度以上より
好ましくは、90度以上であると、前記多層膜に与えら
れる検出電流の分流を抑えることができるので好まし
い。
【0043】さらに、前記多層膜上に延びて形成された
部分の各電極層の幅寸法は、前記多層膜の不感領域の幅
寸法にほぼ等しく形成されていることが好ましい。
【0044】また本発明は、磁気抵抗効果素子の製造方
法において、基板上に磁気抵抗効果を発揮する多層膜を
成膜する工程と、予めマイクロトラックプロファイル法
によって測定された前記多層膜の不感領域となる領域上
に対向する下面に切り込み部の形成されたリフトオフ用
のレジスト層を前記多層膜の感度領域上に形成する工程
と、前記多層膜の両側にバイアス層を成膜し、その後前
記バイアス層をトラック幅方向に着磁する工程と、前記
多層膜に対し斜め方向から前記バイアス層上に電極層を
成膜し、この際、前記電極層を、多層膜上に設けられた
前記レジスト層の下面に形成された切り込み部内にまで
成膜する工程と、前記レジスト層を多層膜上から除去す
る工程と、を有することを特徴とするものである。
【0045】なお、基板上に磁気抵抗効果を発揮する多
層膜を成膜する工程において、前記多層膜の最上層に酸
化防止用などの保護層を成膜する場合には、前記リフト
オフ用のレジスト層を前記多層膜の感度領域上に形成す
る工程において、前記リフトオフ用のレジスト層を前記
保護層の上面であって前記多層膜の感度領域上である領
域に形成し、さらに、前記保護層の前記リフトオフ用の
レジスト層と直接接合していない領域を除去して、前記
保護層の下層を露出させる工程と、を有するようにする
と、前記電極層を前記多層膜上に延ばして形成するとき
に、前記電極層を電気抵抗の高い前記保護層が除去され
た部分で前記多層膜と接合させることができるので好ま
しい。
【0046】なお、前記電極層を成膜する工程におい
て、前記保護層表面または前記保護層を除いた多層膜表
面と、前記多層膜の不感領域上に延ばされた前記電極層
の前端面とがなす角度を20度以上、より好ましくは2
5度以上、さらに、60度以下、より好ましくは45度
以下にすることが好ましい。
【0047】さらに、本発明は、磁気抵抗効果素子の製
造方法において、基板上に磁気抵抗効果を発揮する多層
膜を成膜する工程と、前記多層膜上に絶縁層を成膜する
工程と、予めマイクロトラックプロファイル法によって
測定された前記多層膜の不感領域となる領域上に対向す
る下面に切り込み部の形成されたリフトオフ用のレジス
ト層を、前記絶縁層上であって、前記多層膜の感度領域
上である領域に形成する工程と、前記絶縁層をエッチン
グによって、前記レジスト層の下面に形成された切り込
み部内まで除去する工程と、前記多層膜の両側にバイア
ス層を成膜し、その後前記バイアス層をトラック幅方向
に着磁する工程と、前記多層膜に対し斜め方向から前記
バイアス層上に電極層を成膜し、この際、前記電極層
を、前記レジスト層の下層の前記絶縁層の側面と直接に
または他の層を介して接合するように成膜する工程と、
前記レジスト層を前記絶縁層上から除去する工程と、を
有することを特徴とするものである。
【0048】なお、基板上に磁気抵抗効果を発揮する多
層膜を成膜する工程において、前記多層膜の最上層に酸
化防止用などの保護層を成膜する場合には、前記絶縁層
をエッチングによって、前記レジスト層の下面に形成さ
れた切り込み部内まで除去する工程の後に、前記保護層
の前記絶縁層に覆われていない領域を除去して、前記保
護層の下層を露出させる工程と、を有するようにする
と、前記電極層を前記多層膜上に延ばして形成するとき
に、前記電極層を電気抵抗の高い前記保護層が除去され
た部分で前記多層膜と接合させることができるので好ま
しい。
【0049】また、前記多層膜上に絶縁層を積層する工
程を有する磁気抵抗効果素子の製造方法においては、前
記電極層を成膜する工程において、前記保護層表面また
は前記保護層を除いた多層膜表面と、前記多層膜の不感
領域上に延ばされた前記電極層の前端面とがなす角度が
60度以上、より好ましくは90度以上、にすることが
好ましい。
【0050】本発明では、マイクロトラックプロファイ
ル法により測定された前記多層膜の感度領域は、電極層
がハードバイアス層上にのみ形成され、多層膜上にまで
延ばされて形成されていない磁気抵抗効果素子を、ある
微小トラックに記録された信号上にトラック幅方向で走
査させた場合に、得られた再生出力のうち最大出力の5
0%以上の出力が得られた領域として定義され、また前
記多層膜の不感領域は、前記感度領域の両側であって、
出力が最大出力の50%以下となる領域として定義され
るものである。
【0051】また本発明では、多層膜が形成された基板
を、バイアス層の組成で形成されたターゲットに対し垂
直方向に置き、イオンビームスパッタ法、ロングスロー
スパッタ法、あるいはコリメーションスパッタ法のいず
れか1種以上のスパッタ法によって、前記多層膜の両側
にバイアス層を成膜し、次に、前記多層膜が形成された
基板を、電極層の組成で形成されたターゲットに対し斜
めに傾け、あるいはターゲット側を基板に対し斜めに傾
け、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ
法、あるいはコリメーションスパッタ法のいずれか1種
以上のスパッタ法によって、前記バイアス層上であっ
て、多層膜上に設けられたレジスト層の下面に形成され
た切り込み部内にまで電極層を成膜することが好まし
い。
【0052】なお本発明では、前記多層膜は、反強磁性
層、固定磁性層、非磁性導電層、及びフリー磁性層を1
層ずつ有して構成され、あるいは、フリー磁性層を中心
にして、その上下に非磁性導電層、固定磁性層、及び反
強磁性層を有して構成され、または非磁性層を介して重
ねられた磁気抵抗効果層と軟磁性層とを有して構成され
ることが好ましい。
【0053】あるいは、前記多層膜は、反強磁性層、固
定磁性層、非磁性導電層、及びフリー磁性層を、少なく
とも1層ずつ有して構成され、あるいは、フリー磁性層
を中心にして、その上下に非磁性導電層、固定磁性層、
及び反強磁性層を有して構成され、または非磁性層を介
して重ねられた磁気抵抗効果層と軟磁性層とを有して構
成されることが好ましい。
【0054】また、前記フリー磁性層を、磁気モーメン
トの大きさが異なる複数の軟磁性薄膜が、非磁性材料層
を介して積層され、前記非磁性材料層を介して隣接する
前記軟磁性薄膜の磁化方向が反平行となるフェリ磁性状
態であるものとして形成することが好ましい。
【0055】前記フリー磁性層を、磁気モーメントが異
なる複数の軟磁性薄膜が、非磁性材料層を介して積層さ
れたものとして形成するときには、前記バイアス層を成
膜する工程において、前記多層膜と前記バイアス層との
磁気的接続面を、前記フリー磁性層を構成する複数の軟
磁性薄膜の側面のうち、一つの軟磁性薄膜の側面とのみ
重なり合わせることが好ましい。
【0056】また、前記固定磁性層を、磁気モーメント
の大きさが異なる複数の軟磁性薄膜が、非磁性材料層を
介して積層され、前記非磁性材料層を介して隣接する前
記軟磁性薄膜の磁化方向が反平行となるフェリ磁性状態
であるものとして形成することが好ましい。
【0057】なお、前記非磁性材料層は、Ru、Rh、
Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の
合金で形成することが好ましい。
【0058】さらに、前記バイアス層を成膜する工程に
おいて、前記多層膜と前記バイアス層との磁気的接続面
の上縁部及び/又は下縁部の媒体走行方向の高さ位置
が、前記フリー磁性層又は前記磁気抵抗効果層の上面及
び/又は下面の媒体走行方向の高さ位置とが等しくなる
ように成膜することが好ましい。
【0059】本発明では、前記反強磁性層を、PtMn
合金により形成することが好ましいが、前記反強磁性層
を、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ruの
いずれか1種または2種以上の元素である)で、あるい
は、Pt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,R
h,Ru,Au,Agのいずれか1種または2種以上の
元素である)で形成してもよい。
【0060】例えば反強磁性層、固定磁性層、非磁性導
電層、及びフリー磁性層を積層して形成された多層膜の
上面の幅寸法を、トラック幅Twとして設定しても、実
際には、この多層膜全体が磁気抵抗効果を発揮するので
はなく、その中央領域のみが再生感度に優れ、実質的に
この中央領域のみが、磁気抵抗効果を発揮し得る領域で
ある。この再生感度に優れた多層膜の領域を感度領域と
呼び、前記感度領域の両側であって、再生感度の悪い領
域を不感領域と呼ぶが、多層膜に占める感度領域及び不
感領域は、マイクロトラックプロファイル法によって測
定される。以下、マイクロトラックプロファイル法につ
いて図31を参照しながら説明する。
【0061】図31に示すように磁気抵抗効果を発揮す
る多層膜と、その両側に形成されたハードバイアス層
と、このハードバイアス層上に形成された電極層とを有
する、従来の磁気抵抗効果素子(図33参照)を基板上
に形成する。前記電極層は、多層膜の両側にのみ形成さ
れた構造となっている。
【0062】次に光学顕微鏡によって、電極層が覆い被
さっていない多層膜の上面の幅寸法Aを測定する。この
幅寸法Aは、光学的方法によって測定されたトラック幅
Tw(以下、光学的トラック幅寸法O−Twという)と
して定義される。
【0063】そして、記録媒体上に微小トラックで、あ
る信号を記録しておき、磁気抵抗効果素子を、微小トラ
ック上でトラック幅方向に走査させて、多層膜の幅寸法
Aと、再生出力との関係を測定する。あるいは、微小ト
ラックが形成された記録媒体側を、磁気抵抗効果素子上
にトラック幅方向に走査させて、多層膜の幅寸法Aと、
再生出力との関係を測定してもよい。その測定結果は、
図31の下側に示されている。
【0064】この測定結果を見ると、多層膜の中央付近
では、再生出力が高くなり、前記多層膜の側部付近で
は、再生出力は低くなることがわかる。この結果から、
多層膜の中央付近では、良好に磁気抵抗効果が発揮さ
れ、再生機能に関与するが、その側部付近では、磁気抵
抗効果が悪化して再生出力が低く、再生機能が低下して
いるといえる。
【0065】本発明では、最大再生出力に対し50%以
上の再生出力が発生する多層膜上面の幅寸法Bで形成さ
れた領域を、感度領域と定義し、最大再生出力に対し5
0%以下の再生出力しか発生し得ない多層膜上面の幅寸
法Cを有して形成された領域を不感領域を定義した。
【0066】この不感領域では、再生機能が有効に働か
ず、単に直流抵抗(DCR)を上昇させる領域でしかな
かったことから、本発明では、電極層を前記不感領域上
にまで延ばして形成することにより、多層膜と、前記多
層膜の両側に形成されているハードバイアス層及び電極
層との接合面積を大きくでき、しかも前記電極層からの
センス電流はハードバイアス層を介さず、多層膜に流れ
やすくなるので、直流抵抗値の低下を図り、再生特性を
向上させることが可能である。
【0067】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1実施形態の
磁気抵抗効果素子の構造をABS面側から見た断面図で
ある。なお、図1ではX方向に延びる素子の中央部分の
みを破断して示している。
【0068】この磁気抵抗効果素子は、スピンバルブ型
薄膜素子と呼ばれるものであり、巨大磁気抵抗効果を利
用したGMR(giant magnetoresistive)素子の一種で
ある。このスピンバルブ型薄膜素子は、ハードディスク
装置に設けられた浮上式スライダのトレーリング側端部
などに設けられて、ハードディスクなどの記録磁界を検
出するものである。なお、ハードディスクなどの磁気記
録媒体の移動方向はZ方向であり、磁気記録媒体からの
洩れ磁界の方向はY方向である。
【0069】図1の最も下に形成されているのはTa
(タンタル)などの非磁性材料で形成された下地層10
である。この下地層10の上に反強磁性層11、固定磁
性層12、非磁性導電層13、およびフリー磁性層14
が積層されている。そして、前記フリー磁性層14の上
にTa(タンタル)などの保護層15が形成されてい
る。前記下地層10から保護層15までの各層によっ
て、多層膜16が構成されている。図1に示すように前
記多層膜16の上面の幅寸法はT30で形成されてい
る。
【0070】前記固定磁性層12は反強磁性層11と接
して形成され、磁場中アニールが施されることにより、
前記反強磁性層11と固定磁性層12との界面にて交換
結合による交換異方性磁界が生じ、前記固定磁性層12
の磁化が図示Y方向に固定される。
【0071】本発明では、前記反強磁性層11がPt−
Mn(白金−マンガン)合金膜により形成されている。
Pt−Mn合金膜は、従来から反強磁性層として使用さ
れているFe−Mn合金膜、Ni−Mn合金膜などに比
べて耐食性に優れており、またブロッキング温度も高
く、さらに交換異方性磁界(Hex)が大きいなど反強
磁性材料として優れた特性を有している。
【0072】また、前記Pt−Mn合金に代えて、X―
Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ruのいずれか
1種または2種以上の元素である)で、あるいはPt―
Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,
Au,Agのいずれか1種または2種以上の元素であ
る)で形成されていてもよい。
【0073】前記固定磁性層12およびフリー磁性層1
4は、Ni−Fe(ニッケル−鉄)合金、Co(コバル
ト)、Fe−Co(鉄−コバルト)合金、Fe−Co−
Ni合金などで形成されており、前記非磁性導電層13
は、Cu(銅)などの電気抵抗の低い非磁性導電材料で
形成されている。
【0074】図1に示すように、下地層10から保護層
15までの多層膜16の両側には、ハードバイアス層1
7,17が形成されており、このハードバイアス層1
7,17は例えばCo−Pt(コバルト−白金)合金や
Co−Cr−Pt(コバルト−クロム−白金)合金など
で形成されている。
【0075】前記ハードバイアス層17,17は図示X
方向(トラック幅方向)に着磁されており、前記ハード
バイアス層17,17からのX方向へのバイアス磁界に
より、前記フリー磁性層14の磁化は図示X方向に揃え
られている。
【0076】ところで図1に示すように多層膜16の中
央に位置する幅寸法T2の領域は、感度領域Eであり、
その両側であって、幅寸法T1の領域は、不感領域D,
Dである。
【0077】前記感度領域Eでは、固定磁性層11の磁
化が、適正に図示Y方向に固定され、しかもフリー磁性
層14の磁化が適正に図示X方向に揃えられており、固
定磁性層11とフリー磁性層14の磁化が直交関係にあ
る。そして記録媒体からの外部磁界に対し、前記フリー
磁性層14の磁化が感度良く変動し、この磁化方向の変
動と、固定磁性層12の固定磁化方向との関係で電気抵
抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化に
より、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0078】すなわち多層膜16の感度領域Eは、実質
的に磁気抵抗効果が発揮される部分であり、この部分で
良好に再生機能が働く。
【0079】これに対し、前記感度領域Eの両側に位置
する不感領域D,Dでは、固定磁性層12及びフリー磁
性層14の磁化が、ハードバイアス層17からの磁化の
影響を強く受け、前記フリー磁性層14の磁化は、外部
磁界に対し変動しにくくなっている。すなわち不感領域
Dは、磁気抵抗効果が弱く、再生機能が低下した領域で
ある。
【0080】本発明では、多層膜16における感度領域
Eの幅寸法T2、及び不感領域D,Dの幅寸法を、上述
したマイクロトラックプロファイル法(図31参照)に
よって測定している。
【0081】本発明では、図1に示すように、多層膜1
6の両側であって、ハードバイアス層17上に形成され
る電極層18が、前記多層膜16の不感領域D上にまで
T3の幅寸法で延ばされて形成されている。なお前記電
極層18は、例えばCr、Au、Ta、W膜などで形成
されている。また前記電極層18に覆われていない多層
膜16の上面の幅寸法は、光学的方法で測定された光学
的トラック幅寸法O−Tw(Optical read track wi
dth)として定義される。
【0082】また上面が電極層18に覆われてない感度
領域Eの幅寸法が、実質的に実質的にトラック幅として
機能し、この幅寸法は磁気的トラック幅寸法M−Tw
(Magnetic read track width)として定義される。
【0083】図1に示す実施例では、光学的トラック幅
寸法O−Tw、磁気的トラック幅寸法M−Tw、及び感
度領域Eの幅寸法T2がすべてほぼ同じ寸法値となって
いる。
【0084】これにより本発明では、電極層18,18
からのセンス電流が、ハードバイアス層17,17に流
れにくくなり、前記ハードバイアス層17,17を介さ
ずに、直接多層膜16に、前記センス電流を流す割合を
多くでき、しかも前記電極層18を不感領域D,D上に
まで延ばして形成することにより、多層膜16と、ハー
ドバイアス層17及び電極層18との接合面積も大きく
なるため直流抵抗値(DCR)を下げることができ、再
生特性を向上させることが可能である。
【0085】また、電極層18,18が不感領域D上に
延ばされて形成されると、センス電流が不感領域Dに流
れ込みノイズを発生させることを抑えることができる。
【0086】特に光学的トラック幅寸法O−Twと感度
領域Eの幅寸法T2(=磁気的トラック幅寸法M−T
w)を同じ幅寸法で形成した場合にあっては、センス電
流を感度領域Eに適切に流しやすくなり、再生特性の向
上をより一層図ることができる。
【0087】なお本発明では、電極層18が、不感領域
D上を完全に覆って形成されているが、前記電極層18
は、完全に不感領域D,Dを覆っていなくてもよく、前
記不感領域Dの一部が露出していてもよい。この場合、
光学的トラック幅O−Twの幅は、磁気的トラック幅M
−Twよりも大きくなる。ただし多層膜16上に延ばさ
れて形成された電極層18の幅寸法T3は、具体的に
は、0μmより大きく0.08μm以下であることが好
ましい。また、前記幅寸法T3は、0.05μm以上
0.08μm以下であることがより好ましい。
【0088】前記電極層18の幅寸法T3を0.08μ
m以上にすると、再生出力にノイズ信号が発生すること
が実験により確認されている。0.08μmという数値
は不感領域Dの上面の最大幅寸法であり、電極層18の
幅寸法T3を0.08μm以上にすれば、すなわち前記
電極層18を部分的に感度領域E上にも形成することに
なる。
【0089】しかしながら多層膜16上に延ばされて形
成される電極層18,18は、感度領域D上にまで延ば
されて形成されてはいけない。
【0090】多層膜16の上面に延ばされて形成された
電極層18からは、その先端から主にセンス電流が流れ
るため、上記のように、実質的に磁気抵抗効果を発揮し
得る感度領域E上にまでも電極層18が形成された場合
には、電極層18が覆い被さった部分の感度領域Eにセ
ンス電流は流れにくく、折角、磁気抵抗効果を良好に発
揮し得る感度領域Eの一部を殺してしまうことになり、
再生出力の低下に繋がり好ましくない。また電極層18
が覆い被さった部分の感度領域Eは、多少感度を有する
ために、磁気的トラック幅M−Twの両端で、磁気抵抗
変化が生じるためノイズを発生してしまい好ましくな
い。
【0091】また、前記電極層18の幅寸法T3を0.
05μm以上にすると、前記電極層18は、フリー磁性
層14の磁化方向が乱れている領域上を覆って磁気抵抗
効果素子の再生特性を向上させることができることがマ
イクロマグネティックシミュレーションの結果から導か
れた。
【0092】また、前記保護層15表面15aと、前記
多層膜16の不感領域上に延ばされた前記電極層18の
前端面18aとがなす角度θ1が20度以上、より好ま
しくは25度以上であると、センス電流が分流して不感
領域に流れ込み、ノイズを発生させることを抑えること
ができる。
【0093】ただし、前記表面15aと、前記前端面1
8aとがなす角度θ1があまり大きすぎると、保護層1
5及び電極層18上に、軟磁性材料からなる上部シール
ド層を積層したときに、電極層18と前記上部シールド
層との短絡が生じ易くなる。従って、前記表面15a
と、前記前端面18aとがなす角度θ1は、60度以下
より好ましくは45度以下であることが好ましい。
【0094】図2に示すスピンバルブ型薄膜素子におい
ても、下地層10、反強磁性層11、固定磁性層12、
非磁性導電層13、フリー磁性層14、及び保護層15
で構成される多層膜20と、その両側に形成されるハー
ドバイアス層17,17と電極層18,18とで構成さ
れる。前記電極層18は、多層膜20上にまでT5の幅
寸法で延ばされて形成されており、例えば前記多層膜2
0上に延ばされた電極層18は、不感領域D上を完全に
覆っている。この場合、電極層18,18に覆われてい
ない多層膜20の上面の幅寸法で決定される光学的トラ
ック幅O−Twと、上面が前記電極層18に覆われてい
ない部分の感度領域Eの幅寸法で決定される磁気的トラ
ック幅寸法M−Tw(=感度領域Eの幅寸法)はほぼ同
じ幅寸法となる。
【0095】あるいは前記電極層18は完全に不感領域
D上を覆っていなくてもよく、多層膜20上に延ばされ
た電極層18の幅寸法T5は、不感領域Dよりも短く形
成されてもよい。この場合、光学的トラック幅O−Tw
は、磁気的トラック幅M−Twよりも大きくなる。前記
電極層18の幅寸法T5は、具体的には0μmより大き
く0.08μmの範囲内であることが好ましい。また、
前記幅寸法T5は、0.05μm以上0.08μm以下
であることがより好ましい。この範囲内であれば、良好
に直流抵抗を低減させることが可能であり、また再生出
力にノイズが発生しないようにすることができる。
【0096】この実施例では、多層膜20の上面の幅寸
法が、図1に示す多層膜16の幅寸法T30よりも大き
な幅寸法T31で形成されている。そして図1に示す多
層膜16に比べて実質的に磁気抵抗効果を発揮し得る感
度領域Eの幅寸法が大きくなっている。図2に示す感度
領域Eの幅寸法は、例えば図1に示す多層膜16の上面
の幅寸法T30とほぼ同じ程度の幅寸法で形成される。
【0097】このように多層膜20の幅寸法を延ばすこ
とにより、前記ハードバイアス層17の影響が小さく、
実質的に磁気抵抗効果を発揮し得る領域である感度領域
Eの幅寸法を図1の場合に比べて大きくできる。これは
不感領域Dの幅寸法は、多層膜20の上面の幅寸法T3
1に関係なくほぼ一定の範囲内の幅寸法で形成されるか
らである。このため図2に示すように、多層膜20の幅
寸法を任意に設定することにより、感度領域Eの幅寸
法、すなわち磁気的トラック幅寸法M−Twの幅を任意
に設定することが可能である。
【0098】さらに詳述すると、図1に示すように、磁
気抵抗効果素子の多層膜16の上面の幅寸法がT30で
形成されても、実質的に磁気抵抗効果を発揮し得る部分
は、感度領域Eの幅寸法T2でしかない。図2に示す実
施例では、前記感度領域Eの幅寸法を図1に示す感度領
域Eの幅寸法T2に比べ長く延ばすことを主目的とした
ものであり、そのために多層膜20の上面の幅寸法をT
31に延ばしたのである。
【0099】また、前記保護層15の表面15aと、前
記多層膜20の不感領域上に延ばされた前記電極層18
の前端面18aとがなす角度θ2が20度以上、より好
ましくは25度以上であると、センス電流が分流して不
感領域に流れ込み、ノイズを発生させることを抑えるこ
とができる。
【0100】ただし、前記表面15aと、前記前端面1
8aとがなす角度θ2があまり大きすぎると、保護層1
5及び電極層18上に、軟磁性材料からなる上部シール
ド層を積層したときに、電極層18と前記上部シールド
層との短絡が生じ易くなる。従って、前記表面15a
と、前記前端面18aとがなす角度θ2は、60度以下
より好ましくは45度以下であることが好ましい。
【0101】図3に示すスピンバルブ型薄膜素子の多層
膜21は、図2に示すスピンバルブ型薄膜素子の多層膜
20の積層の順番を逆にしたものである。つまり、図3
では、下地層10の上にフリー磁性層14、非磁性導電
層13、固定磁性層12、及び反強磁性層11が連続し
て積層されている。
【0102】この実施例においては、図3に示す多層膜
21のフリー磁性層14は、反強磁性層11よりも下方
に形成されているために、ハードバイアス層17,17
の膜厚の厚い部分と隣接しており、従って前記フリー磁
性層14の磁化は容易にX方向に揃えられる。これによ
り、バルクハウゼンノイズの発生を低減させることがで
きる。
【0103】また、図3では、前記多層膜21と前記ハ
ードバイアス層17,17との磁気的接続面Mの上縁部
の媒体走行方向(図示Z方向)の高さ位置が、前記フリ
ー磁性層14の上面の媒体走行方向の高さ位置とが等し
くなっている。
【0104】前記ハードバイアス層17,17は、前記
フリー磁性層14とのみ磁気的に接続されていればよ
い。特に、図3では、前記ハードバイアス層17,17
が、前記固定磁性層12と磁気的に接続されないので、
前記ハードバイアス層17,17から発生する磁界が前
記固定磁性層12の磁化方向に影響を与えることを抑え
ることができる。
【0105】そしてこの実施例においても、多層膜21
の上面の幅寸法は、図1に示す実施例の多層膜16の上
面の幅寸法T30よりも延ばされて形成されており、感
度領域Eの幅寸法が、図1に示す感度領域Eの幅寸法T
2に比べて長くなっている。
【0106】また図3に示すように、前記多層膜21の
両側に形成されている電極層18,18は、前記多層膜
21上に幅寸法T7で延ばされて、多層膜21の不感領
域D上が、前記電極層18によって覆われた状態になっ
ている。前記電極層18の幅寸法T7は、0μmより大
きく0.08μmの範囲内であることが好ましい。ま
た、前記幅寸法T7は、0.05μm以上0.08μm
以下であることがより好ましい。
【0107】この実施例においては、多層膜21上に形
成される電極層18は、完全に不感領域Dを覆わない状
態で形成されている。すなわち図3では、前記電極層1
8,18に覆われていない多層膜21上面の幅寸法で決
定される光学的トラック幅寸法O−Twが、上面が電極
層18,18に覆われていない感度領域Eの幅寸法で決
定される磁気的トラック幅寸法M−Twよりも長く形成
されている。なおこの実施例においても、多層膜20上
で電極層18が不感領域D上を完全に覆い、光学的トラ
ック幅寸法O−Twと磁気的トラック幅寸法M−Tw
(=感度領域Eの幅寸法)とがほぼ同じ幅寸法で形成さ
れていてもよい。
【0108】また、前記保護層15の表面15aと、前
記多層膜21の不感領域上に延ばされた前記電極層18
の前端面18aとがなす角度θ3が20度以上、より好
ましくは25度以上であると、センス電流が分流して不
感領域に流れ込み、ノイズを発生させることを抑えるこ
とができる。
【0109】ただし、前記表面15aと、前記前端面1
8aとがなす角度θ3があまり大きすぎると、保護層1
5及び電極層18上に、軟磁性材料からなる上部シール
ド層を積層したときに、電極層18と前記上部シールド
層との短絡が生じ易くなる。従って、前記表面15a
と、前記前端面18aとがなす角度θ3は、60度以下
より好ましくは45度以下であることが好ましい。
【0110】図4は、他の本発明の磁気抵抗効果素子の
構造をABS面から見た断面図である。
【0111】図4に示すスピンバルブ型薄膜素子は、下
地層10の上に形成される反強磁性層30が、図示X方
向に長く形成され、X方向の中心では前記反強磁性層3
0が高さ寸法d1だけ突出して形成されている。そして
この突出した反強磁性層30上に、固定磁性層31、非
磁性導電層32、フリー磁性層33、及び保護層15が
形成され、下地層10から保護層15までの積層体が多
層膜35として構成されている。
【0112】本発明では、反強磁性層30がPt−Mn
(白金−マンガン)合金膜により形成されている。ある
いは前記Pt−Mn合金に代えて、X―Mn(ただしX
は、Pd,Ir,Rh,Ruのいずれか1種または2種
以上の元素である)で、あるいはPt―Mn―X′(た
だしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Agのい
ずれか1種または2種以上の元素である)で形成されて
いてもよい。
【0113】前記固定磁性層31およびフリー磁性層3
3は、Ni−Fe(ニッケル−鉄)合金、Co(コバル
ト)、Fe−Co(鉄−コバルト)合金、Fe−Co−
Ni合金などで形成されており、前記非磁性導電層32
は、Cu(銅)などの電気抵抗の低い非磁性導電材料で
形成されている。
【0114】そして図4に示すように、図示X方向に延
ばされて形成された反強磁性層30の幅寸法T8上か
ら、固定磁性層31、非磁性導電層32、及びフリー磁
性層33の側面にかけて、Crなどで形成された緩衝膜
及び配向膜となる金属膜36が形成されており、この金
属膜36の形成によって、後述するハードバイアス層3
7から発生するバイアス磁界を増大させることができ
る。
【0115】さらに前記金属膜36の上には、例えばC
o−Pt(コバルト−白金)合金やCo−Cr−Pt
(コバルト−クロム−白金)合金などで形成されたハー
ドバイアス層37が形成されている。
【0116】前記ハードバイアス層37は図示X方向
(トラック幅方向)に着磁されており、前記ハードバイ
アス層37からのX方向へのバイアス磁界により、前記
フリー磁性層33の磁化は図示X方向に揃えられてい
る。
【0117】図4では、前記反強磁性層30が前記ハー
ドバイアス層37,37の下層にまで延びているので、
前記ハードバイアス層37,37の膜厚を薄くできる。
従って、前記ハードバイアス層37,37をスパッタ法
などによって形成することが容易になる。
【0118】また前記ハードバイアス層37,37上に
は、Taなどの非磁性材料で形成された中間層38,3
8が形成され、この中間層38,38の上に、Cr、A
u、Ta、Wなどで形成された電極層39,39が形成
されている。
【0119】この実施例においても、前記多層膜35の
感度領域Eと不感領域Dを、マイクロトラックプロファ
イル法によって測定し、図4に示すように、幅寸法T9
の多層膜35の領域が感度領域Eであり、幅寸法T10
の領域が不感領域Dである。
【0120】前記感度領域Eでは、固定磁性層31の磁
化方向が、適正に図示Y方向に平行な方向に固定され、
しかもフリー磁性層33の磁化が適正に図示X方向に揃
えられており、固定磁性層31とフリー磁性層33の磁
化が直交関係にある。そして記録媒体からの外部磁界に
対し、前記フリー磁性層33の磁化が感度良く変動し、
この磁化方向の変動と、固定磁性層31の固定磁化方向
との関係で電気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に
基づく電圧変化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出
される。
【0121】そして前記多層膜35の両側に形成された
電極層39,39は、前記多層膜35上にまで延ばされ
て形成され、前記電極層39が形成されていない多層膜
35の上面の幅寸法が、光学的トラック幅寸法O−Tw
である。
【0122】また上面が電極層39に覆われていない感
度領域Eの幅寸法で決定される磁気的トラック幅寸法M
−Twは、前記感度領域Eと同じ幅寸法T9である。
【0123】この実施例では、多層膜35上に形成され
る電極層39が、完全に不感領域Dを覆っておらずそれ
よりも短いので、光学的トラック幅寸法O−Twは、磁
気的トラック幅寸法M−Twよりも大きくなっている。
なお多層膜35上に形成される電極層39が、完全に不
感領域Dを覆って、光学的トラック幅寸法O−Twと磁
気的トラック幅寸法M−Tw(=感度領域Eの幅寸法)
とがほぼ同じ幅寸法で形成されていてもよい。
【0124】これにより本発明では、ハードバイアス層
37を介さずに、多層膜35内に前記電極層39からの
センス電流を流す割合を多くすることができ、しかも前
記電極層39を不感領域D上にまで延ばして形成するこ
とにより、多層膜34と、ハードバイアス層37及び電
極層39との接合面積も大きくなるため直流抵抗値(D
CR)を下げることができ、再生特性を向上させること
が可能である。
【0125】また、電極層39,39が不感領域D上に
延ばされて形成されると、センス電流が不感領域Dに流
れ込みノイズを発生させることを抑えることができる。
【0126】なお図4に示すように、多層膜35の不感
領域D上に延ばされて形成された電極層39の幅寸法T
11は、具体的には0μmより大きく0.08μm以下
であることが好ましい。また、前記幅寸法T11は、
0.05μm以上0.08μm以下であることがより好
ましい。
【0127】また、前記保護層15の表面15aと、前
記多層膜35の不感領域上に延ばされた前記電極層39
の前端面39aとがなす角度θ4が20度以上、より好
ましくは25度以上であると、センス電流が分流して不
感領域に流れ込み、ノイズを発生させることを抑えるこ
とができる。
【0128】ただし、前記表面15aと、前記前端面3
9aとがなす角度θ4があまり大きすぎると、保護層1
5及び電極層39上に、軟磁性材料からなる上部シール
ド層を積層したときに、電極層39と前記上部シールド
層との短絡が生じ易くなる。従って、前記表面15a
と、前記前端面39aとがなす角度θ4は、60度以下
より好ましくは45度以下であることが好ましい。
【0129】図5のスピンバルブ型薄膜素子は、図4の
スピンバルブ型薄膜素子とその構成自体は同じである
が、図5では、スピンバルブ型薄膜素子の多層膜40の
上面の幅寸法を、図4に示すスピンバルブ型薄膜素子の
多層膜35の上面の幅寸法よりも図示X方向に延ばして
形成している。
【0130】これにより図5に示す多層膜40では、感
度領域Eの幅寸法が、図4に示す多層膜40の感度領域
Eの幅寸法T9よりも延ばされて形成されている。
【0131】そして前記多層膜40の両側に形成されて
いる電極層39が多層膜40上にまで延ばされて形成さ
れており、前記電極層39が形成されていない多層膜4
0の上面の幅寸法が磁気的トラック幅寸法O−Twとし
て定義されている。
【0132】図5に示すように、多層膜40の上面に形
成される電極層39は、不感領域D上をほぼ覆った状態
になっているので、前記磁気的トラック幅寸法O−Tw
と、上面が前記電極層39に覆われていない感度領域E
の幅寸法で決定される磁気的トラック幅寸法M−Tw
(=感度領域Eの幅寸法)とがほぼ同じ幅寸法で形成さ
れている。なお前記電極層39は不感領域D上を完全に
覆っていなくてもよく、この場合、前記光学的トラック
幅寸法O−Twは、磁気的トラック幅寸法M−Twより
も大きく形成される。なお多層膜40の不感領域D上に
延ばされて形成された電極層39の幅寸法T13は、具
体的には0μmより大きく0.08μm以下であること
が好ましい。また、前記幅寸法T13は、0.05μm
以上0.08μm以下であることがより好ましい。
【0133】また、前記保護層15の表面15aと、前
記多層膜40の不感領域上に延ばされた前記電極層39
の前端面39aとがなす角度θ5が20度以上、より好
ましくは25度以上であると、センス電流が分流して不
感領域に流れ込み、ノイズを発生させることを抑えるこ
とができる。
【0134】ただし、前記表面15aと、前記前端面3
9aとがなす角度θ5があまり大きすぎると、保護層1
5及び電極層39上に、軟磁性材料からなる上部シール
ド層を積層したときに、電極層39と前記上部シールド
層との短絡が生じ易くなる。従って、前記表面15a
と、前記前端面39aとがなす角度θ5は、60度以下
より好ましくは45度以下であることが好ましい。
【0135】図6は、他の本発明の磁気抵抗効果素子の
構造をABS面から見た断面図である。
【0136】このスピンバルブ型薄膜素子は、フリー磁
性層44を中心として、その上下に非磁性導電層43,
45、固定磁性層42,46、及び反強磁性層41,4
7が形成された、いわゆるデュアルスピンバルブ型薄膜
素子と呼ばれるものであり、図1ないし図5に示すスピ
ンバルブ型薄膜素子(シングルスピンバルブ型薄膜素子
と呼ばれる)よりも高い再生出力を得ることが可能であ
る。なお最も下側に形成されている層が下地層10で、
最も上側に形成されている層が保護層15であり、下地
層10から保護層15までの積層体によって多層膜48
が構成されている。
【0137】本発明では、反強磁性層41,47がPt
−Mn(白金−マンガン)合金膜により形成されてい
る。あるいは前記Pt−Mn合金に代えて、X―Mn
(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ruのいずれか1種
または2種以上の元素である)で、あるいはPt―Mn
―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,A
u,Agのいずれか1種または2種以上の元素である)
で形成されていてもよい。
【0138】前記固定磁性層42,46およびフリー磁
性層44は、Ni−Fe(ニッケル−鉄)合金、Co
(コバルト)、Fe−Co(鉄−コバルト)合金、Fe
−Co−Ni合金などで形成されており、前記非磁性導
電層43,45は、Cu(銅)などの電気抵抗の低い非
磁性導電材料で形成されている。
【0139】図6に示すように、多層膜48の両側に
は、ハードバイアス層49,49が形成されており、こ
のハードバイアス層49,49は例えばCo−Pt(コ
バルト−白金)合金やCo−Cr−Pt(コバルト−ク
ロム−白金)合金などで形成されている。
【0140】前記ハードバイアス層49,49は図示X
方向(トラック幅方向)に着磁されており、前記ハード
バイアス層49,49からのX方向へのバイアス磁界に
より、前記フリー磁性層44の磁化は図示X方向に揃え
られている。
【0141】この実施例においても、前記多層膜48の
感度領域Eと不感領域Dを、マイクロトラックプロファ
イル法によって測定しているが、図6に示すように多層
膜48の中央に位置する幅寸法T15の領域は、感度領
域Eであり、その両側であって、幅寸法T14の領域
は、不感領域Dである。
【0142】前記感度領域Eでは、固定磁性層42,4
6の磁化が、適正に図示Y方向に固定され、しかもフリ
ー磁性層44の磁化が適正に図示X方向に揃えられてお
り、固定磁性層42,46とフリー磁性層44の磁化が
直交関係にある。そして記録媒体からの外部磁界に対
し、前記フリー磁性層44の磁化が感度良く変動し、こ
の磁化方向の変動と、固定磁性層42,46の固定磁化
方向との関係で電気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変
化に基づく電圧変化により、記録媒体からの洩れ磁界が
検出される。
【0143】本発明では、図6に示すように、多層膜4
8の両側であって、ハードバイアス層49,49上に非
磁性材料製の中間層50,50を介して形成される電極
層51,51が、前記多層膜48の不感領域D上にまで
延ばされて形成されている。なお前記電極層51,51
は、例えばCr、Au、Ta、W膜などで形成されてい
る。
【0144】前記電極層51,51に覆われていない多
層膜48の上面の幅寸法が光学的トラック幅寸法O−T
wとして定義されており、上面が前記電極層51に覆わ
れていない感度領域Eの幅寸法T15が、磁気的トラッ
ク幅寸法M−Twとして定義されている。この実施例に
おいては、例えば前記多層膜48上に延ばされた電極層
51は、不感領域D上を完全に覆っている。この場合、
光学的トラック幅O−Twと、磁気的トラック幅寸法M
−Tw(=感度領域Eの幅寸法)はほぼ同じ幅寸法とな
る。
【0145】あるいは前記電極層51は完全に不感領域
D上を覆っていなくてもよく、多層膜48上に延ばされ
た電極層51の幅寸法T5は、不感領域Dよりも短く形
成されてもよい。この場合、光学的トラック幅O−Tw
は、磁気的トラック幅M−Twよりも大きくなる。
【0146】これにより本発明では、前記電極層51か
らのセンス電流はハードバイアス層49を介さず、直
接、多層膜48に流れやすくなり、しかも前記電極層5
1,51を不感領域D上にまで延ばして形成することに
より、多層膜48と、ハードバイアス層49及び電極層
51との接合面積も大きくなるため直流抵抗値(DC
R)を下げることができ、再生特性を向上させることが
可能である。
【0147】また、電極層51,51が不感領域D上に
延ばされて形成されると、センス電流が不感領域Dに流
れ込みノイズを発生させることを抑えることができる。
【0148】図6に示すように、多層膜48の不感領域
D上に延ばされて形成された電極層51の幅寸法T16
は、具体的には0μmより大きく0.08μm以下であ
ることが好ましい。また、前記幅寸法T16は、0.0
5μm以上0.08μm以下であることがより好まし
い。
【0149】また、前記保護層15の表面15aと、前
記多層膜48の不感領域上に延ばされた前記電極層51
の前端面51aとがなす角度θ6が20度以上、より好
ましくは25度以上であると、センス電流が分流して不
感領域に流れ込み、ノイズを発生させることを抑えるこ
とができる。
【0150】ただし、前記表面15aと、前記前端面5
1aとがなす角度θ6があまり大きすぎると、保護層1
5及び電極層51上に、軟磁性材料からなる上部シール
ド層を積層したときに、電極層51と前記上部シールド
層との短絡が生じ易くなる。従って、前記表面15a
と、前記前端面51aとがなす角度θ6は、60度以下
より好ましくは45度以下であることが好ましい。
【0151】図7に示すデュアルスピンバルブ型薄膜素
子は、図6に示すデュアルスピンバルブ型薄膜素子の構
成と同じであるが、図7に示す多層膜60の幅寸法は、
図6に示す多層膜48の幅寸法よりも図示X方向に長く
形成されている。
【0152】図7に示すように、前記多層膜60は、図
6に示す多層膜48に比べ図示X方向に延ばされて形成
されており、これにより前記多層膜60における感度領
域Eの幅寸法は、前記多層膜48の感度領域Eの幅寸法
よりも大きくなっている。
【0153】前記多層膜60の両側に形成されている電
極層51は、前記多層膜60上にまで延ばされて形成さ
れており、前記多層膜60のうち不感領域D上が、前記
電極層51によって覆われている。
【0154】なお、前記多層膜60の不感領域D上に延
ばされて形成された電極層51の幅寸法T18は、具体
的には0μmより大きく0.08μm以下であることが
好ましい。また、前記幅寸法T18は、0.05μm以
上0.08μm以下であることがより好ましい。 ま
た、前記保護層15の表面15aと、前記多層膜60の
不感領域上に延ばされた前記電極層51の前端面51a
とがなす角度θ7が20度以上、より好ましくは25度
以上であると、センス電流が分流して不感領域に流れ込
み、ノイズを発生させることを抑えることができる。
【0155】ただし、前記表面15aと、前記前端面5
1aとがなす角度θ7があまり大きすぎると、保護層1
5及び電極層51上に、軟磁性材料からなる上部シール
ド層を積層したときに、電極層51と前記上部シールド
層との短絡が生じ易くなる。従って、前記表面15a
と、前記前端面51aとがなす角度θ7は、60度以下
より好ましくは45度以下であることが好ましい。
【0156】図8は、他の本発明における磁気抵抗効果
素子をABS面側から見た断面図である。
【0157】図8に示す磁気抵抗効果素子は、AMR
(amisotropic magnetoresisitive)素子と呼ばれるも
のであり、下から軟磁性層(SAL層)52、非磁性層
(SHUNT層)53、磁気抵抗層54(MR層)54
及び保護層55の順に積層され、この積層体が多層膜6
1である。この多層膜61の両側には、ハードバイアス
層56,56が形成されている。前記軟磁性層52に
は、NiFeNb合金膜、非磁性層53にはTa膜、磁
気抵抗層54にはNiFe合金膜、ハードバイアス層5
6にはCoPt合金膜が、一般的に使用される。
【0158】この実施例においても、前記多層膜61の
感度領域Eと不感領域Dを、マイクロトラックプロファ
イル法によって測定し、前記多層膜61の中央に位置す
る幅寸法T19の領域が感度領域Eであり、その両側に
位置する幅寸法T20の領域が不感領域Dである。
【0159】多層膜61の両側に形成されているハード
バイアス層56,56の上には、非磁性材料製の中間層
57,57が形成され、この中間層57,57の上に
は、Cr、Au、Ta、Wなどで形成された電極層5
8,58が形成されている。
【0160】図8に示すように前記電極層58,58
は、多層膜61の上面にも延ばされて形成されており、
前記多層膜61の上に電極層58が形成されていない前
記多層膜61の上面の幅寸法が、光学的トラック幅寸法
O−Twであり、上面が電極層58で覆われていない感
度領域Eの幅寸法で磁気的トラック幅寸法M−Twが決
定される。この実施例では、例えば前記多層膜61上に
延ばされた電極層58は、不感領域D上を完全に覆って
いる。この場合、光学的トラック幅O−Twと、磁気的
トラック幅寸法M−Twはほぼ同じ幅寸法となる。
【0161】あるいは前記電極層58は完全に不感領域
D上を覆っていなくてもよく、多層膜61上に延ばされ
た電極層58の幅寸法T21は、不感領域Dよりも短く
形成されてもよい。この場合、光学的トラック幅O−T
wは、磁気的トラック幅M−Twよりも大きくなる。
【0162】これにより本発明では、前記電極層51か
らのセンス電流はハードバイアス層49を介さず、直
接、多層膜48に流れやすくなり、しかも前記電極層5
8,58を不感領域D上にまで延ばして形成することに
より、多層膜61と、ハードバイアス層56及び電極層
58との接合面積も大きくなるため直流抵抗値(DC
R)を下げることができ、再生特性を向上させることが
可能である。
【0163】また、電極層58が不感領域D上に延ばさ
れて形成されると、センス電流が不感領域Dに流れ込み
ノイズを発生させることを抑えることができる。
【0164】なお、前記多層膜61の不感領域D上に延
ばされて形成された電極層58の幅寸法T21は、具体
的には0μmより大きく0.08μm以下であることが
好ましい。また、前記幅寸法T21は、0.05μm以
上0.08μm以下であることがより好ましい。
【0165】このAMR素子では、ハードバイアス層5
6が図示X方向に磁化されており、このハードバイアス
層56により磁気抵抗層54にX方向のバイアス磁界が
与えられる。さらに軟磁性層52から磁気抵抗層54に
図示Y方向のバイアス磁界が与えられる。磁気抵抗層5
4にX方向とY方向のバイアス磁界が与えられることに
より、磁気抵抗層54の磁界変化に対する磁化変化が直
線性を有する状態に設定される。
【0166】電極層58からのセンス電流は、感度領域
Eの磁気抵抗層54に直接与えられる。記録媒体の走行
方向はZ方向であり、記録媒体からの洩れ磁界がY方向
に与えられると、磁気抵抗層54の磁化方向が変化する
ことにより、抵抗値が変化し、これが電圧変化として検
出される。
【0167】また、前記保護層55の表面55aと、前
記多層膜61の不感領域上に延ばされた前記電極層58
の前端面58aとがなす角度θ8が20度以上、より好
ましくは25度以上であると、センス電流が分流して不
感領域に流れ込み、ノイズを発生させることを抑えるこ
とができる。
【0168】ただし、前記表面55aと、前記前端面5
8aとがなす角度θ8があまり大きすぎると、保護層5
5及び電極層58上に、軟磁性材料からなる上部シール
ド層を積層したときに、電極層58と前記上部シールド
層との短絡が生じ易くなる。従って、前記表面55a
と、前記前端面58aとがなす角度θ8は、60度以下
より好ましくは45度以下であることが好ましい。
【0169】図9に示すAMR素子は、図8に示すAM
R素子の構成と同じであるが、図9に示す多層膜62の
幅寸法は、図8に示す多層膜61の幅寸法よりも図示X
方向に長く形成されている。よって図9に示す多層膜6
2の感度領域Eの幅寸法は、図8に示す多層膜61の感
度領域Eの幅寸法に比べて大きく形成されている。
【0170】前記多層膜62の両側に形成されている電
極層58は、前記多層膜62上にまで延ばされて形成さ
れており、前記多層膜62のうち不感領域D上が、前記
電極層58によって覆われている。
【0171】なお、前記多層膜62の不感領域D上に延
ばされて形成された電極層58の幅寸法T23は、具体
的には0μmより大きく0.08μm以下であることが
好ましい。また、前記幅寸法T23は、0.05μm以
上0.08μm以下であることがより好ましい。
【0172】また、前記保護層55の表面55aと、前
記多層膜62の不感領域上に延ばされた前記電極層58
の前端面58aとがなす角度θ9が20度以上、より好
ましくは25度以上、また、60度以下より好ましくは
45度以下であることが好ましい。
【0173】図10は、他の本発明の磁気抵抗効果素子
の構造をABS面から見た断面図である。
【0174】図10に示すスピンバルブ型薄膜素子は、
下地層10の上に形成される反強磁性層70が、図示X
方向に長く形成され、X方向の中心では前記反強磁性層
70が突出して形成されている。そしてこの突出した反
強磁性層70上に、固定磁性層71、非磁性導電層7
2、第1フリー磁性層73、非磁性材料層74、第2フ
リー磁性層75及び保護層15が形成され、下地層10
から保護層15までの積層体が多層膜200として構成
されている。
【0175】前記固定磁性層71は、前記反強磁性層7
0と接して形成され、磁場中アニールが施されることに
より、前記固定磁性層71と前記反強磁性層70との界
面にて交換結合による交換異方性磁界が生じ、前記固定
磁性層71の磁化方向が図示Y方向に固定される。
【0176】本発明では、前記反強磁性層70がPt−
Mn(白金−マンガン)合金膜により形成されている。
あるいは前記Pt−Mn合金に代えて、X―Mn(ただ
しXは、Pd,Ir,Rh,Ruのいずれか1種または
2種以上の元素である)で、あるいはPt―Mn―X′
(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag
のいずれか1種または2種以上の元素である)で形成さ
れていてもよい。
【0177】前記固定磁性層71および第1フリー磁性
層73及び第2フリー磁性層75は、Ni−Fe(ニッ
ケル−鉄)合金、Co(コバルト)、Fe−Co(鉄−
コバルト)合金、Fe−Co−Ni合金などで形成され
ている。
【0178】前記非磁性導電層72は、Cu(銅)など
の電気抵抗の低い非磁性導電材料で形成されている。
【0179】そして図10に示すように、図示X方向に
延ばされて形成された前記反強磁性層70の幅寸法T4
0上から、固定磁性層71、非磁性導電層72、第1フ
リー磁性層73、非磁性材料層74、及び第2フリー磁
性層75の側面にかけて、Crなどで形成された緩衝膜
及び配向膜となる金属膜76,76が形成されており、
この金属膜76,76の形成によって、後述するハード
バイアス層77,77から発生するバイアス磁界を増大
させることができる。
【0180】さらに前記金属膜76,76の上には、例
えばCo−Pt(コバルト−白金)合金やCo−Cr−
Pt(コバルト−クロム−白金)合金などで形成された
ハードバイアス層77,77が形成されている。
【0181】また前記ハードバイアス層77,77上に
は、Taなどの非磁性材料で形成された中間層78,7
8が形成され、この中間層78,78の上に、Cr、A
u、Ta、Wなどで形成された電極層79,79が形成
されている。
【0182】図10では、前記反強磁性層70が前記ハ
ードバイアス層77,77の下層にまで延びているの
で、前記ハードバイアス層77,77の膜厚を薄くでき
る。従って、前記ハードバイアス層77,77をスパッ
タ法などによって形成することが容易になる。
【0183】なお、前記第1フリー磁性層73及び前記
第2フリー磁性層75は、それぞれの磁気モーメントが
異なるように形成されている。磁気モーメントは、飽和
磁化(Ms)と膜厚(t)の積で表される。従って、例
えば、前記第1フリー磁性層73及び前記第2フリー磁
性層75を同じ材料を用いて形成し、さらに、それぞれ
の膜厚を異ならせることにより、前記第1フリー磁性層
73及び前記第2フリー磁性層75の磁気モーメントを
異ならせることができる。
【0184】さらに、前記第1フリー磁性層73と前記
第2フリー磁性層75の間の非磁性材料層74は、R
u、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは
2種以上の合金で形成されている。
【0185】図10では、磁気モーメントが異なる前記
第1フリー磁性層73と前記第2フリー磁性層75が、
前記非磁性材料層74を介して積層されたものが、一つ
のフリー磁性層Fとして機能する。
【0186】前記第1フリー磁性層73と前記第2フリ
ー磁性層75の磁化方向は180度異なる反平行のフェ
リ磁性状態になっている。このとき、磁気モーメントが
大きい方、例えば、前記第1フリー磁性層73の磁化方
向が、前記ハードバイアス層77,77から発生する磁
界の方向に向き、前記第2フリー磁性層75の磁化方向
が、180度反対方向に向いた状態になる。
【0187】前記第1フリー磁性層73と前記第2フリ
ー磁性層75の磁化方向が180度異なる反平行のフェ
リ磁性状態になると、フリー磁性層Fの膜厚を薄くする
ことと同等の効果が得られ、飽和磁化が小さくなり、フ
リー磁性層Fの磁化が変動しやすくなって、磁気抵抗効
果素子の磁界検出感度が向上する。
【0188】前記第1フリー磁性層73の磁気モーメン
トと前記第2フリー磁性層75の磁気モーメントを足し
合わせた合成磁気モーメントの方向が前記フリー磁性層
Fの磁化方向となる。
【0189】ただし、固定磁性層71の磁化方向との関
係で出力に寄与するのは前記第1フリー磁性層73の磁
化方向のみである。
【0190】前記ハードバイアス層77,77は図示X
方向(トラック幅方向)に着磁されており、前記ハード
バイアス層77,77からのX方向へのバイアス磁界に
より、前記フリー磁性層Fの磁化方向は図示X方向にな
っている。
【0191】しかし、磁化方向が前記ハードバイアス層
77,77から発生する磁界の方向に対して180度反
対方向に向いている前記第2フリー磁性層75は、前記
ハードバイアス層77,77と磁気的に接続している両
側端部付近において磁化方向が乱れてしまう。このと
き、前記第1フリー磁性層73の両側端部付近の磁化方
向もつられて乱れる。
【0192】前記フリー磁性層Fの、両側端部付近の磁
化方向が乱れている領域は、再生感度が悪く実質的に磁
気抵抗効果を発揮し得ない不感領域となっている。
【0193】この実施例においても、前記多層膜200
の感度領域Eと不感領域Dを、マイクロトラックプロフ
ァイル法によって測定し、図10に示すように、幅寸法
T41の多層膜200の領域が感度領域Eであり、幅寸
法T42の領域が不感領域Dである。
【0194】前記感度領域Eでは、固定磁性層71の磁
化方向が、適正に図示Y方向に平行な方向に固定され、
しかもフリー磁性層Fの磁化が適正に図示X方向に揃え
られており、固定磁性層71とフリー磁性層Fの磁化が
直交関係にある。そして記録媒体からの外部磁界に対
し、前記フリー磁性層Fの磁化が感度良く変動し、この
磁化方向の変動と、固定磁性層71の固定磁化方向との
関係で電気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づ
く電圧変化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出され
る。ただし、電気抵抗値の変化(出力)に直接寄与する
のは固定磁性層71の磁化方向と第1フリー磁性層73
の磁化方向の相対角であり、これが検出電流が通電され
ている状態かつ信号磁界が与えられていない状態で直交
していることが好ましい。
【0195】そして前記多層膜200の両側に形成され
た電極層79,79は、前記多層膜200上にまで延ば
されて形成され、前記電極層79,79が形成されてい
ない多層膜200の上面の幅寸法が、光学的トラック幅
寸法O−Twである。
【0196】また上面が電極層79,79に覆われてい
ない感度領域Eの幅寸法で決定される磁気的トラック幅
寸法M−Twは、前記感度領域Eと同じ幅寸法T41で
ある。
【0197】この実施例では、多層膜200上に形成さ
れる電極層79,79が、完全に不感領域Dを覆って、
光学的トラック幅寸法O−Twと磁気的トラック幅寸法
M−Tw(=感度領域Eの幅寸法)とがほぼ同じ幅寸法
で形成されている。
【0198】ただし、多層膜200上に形成される電極
層79,79が、完全に不感領域Dを覆わずにそれより
も短く形成されてもよい。このとき、光学的トラック幅
寸法O−Twは、磁気的トラック幅寸法M−Twよりも
大きく形成される。
【0199】これにより本発明では、ハードバイアス層
77,77を介さずに、多層膜200内に前記電極層7
9からのセンス電流を流す割合を多くすることができ
る。
【0200】また、電極層79,79が不感領域D上に
延ばされて形成されると、センス電流が不感領域Dに流
れ込みノイズを発生させることを抑えることができる。
【0201】なお図10に示すように、多層膜200の
不感領域D上に延ばされて形成された電極層79の幅寸
法T43は、具体的には0μmより大きく0.08μm
以下であることが好ましい。また、電極層79の幅寸法
T43は、0.05μm以上0.08μm以下であるこ
とがより好ましい。
【0202】また、前記保護層15の表面15aと、前
記多層膜200の不感領域上に延ばされた前記電極層7
9の前端面79aとがなす角度θ10が20度以上、よ
り好ましくは25度以上であると、センス電流が分流し
て不感領域に流れ込み、ノイズを発生させることを抑え
ることができる。
【0203】ただし、前記表面15aと、前記前端面7
9aとがなす角度θ10があまり大きすぎると、保護層
15及び電極層79上に、軟磁性材料からなる上部シー
ルド層を積層したときに、電極層79と前記上部シール
ド層との短絡が生じ易くなる。従って、前記表面15a
と、前記前端面79aとがなす角度θ10は、60度以
下より好ましくは45度以下であることが好ましい。
【0204】図11は、他の本発明の磁気抵抗効果素子
の構造をABS面から見た断面図である。
【0205】図11に示すスピンバルブ型薄膜素子は、
下地層10の上に形成される反強磁性層80が、図示X
方向に長く形成され、X方向の中心では前記反強磁性層
80が突出して形成されている。そしてこの突出した反
強磁性層80上に、第1固定磁性層81、非磁性材料層
82、第2固定磁性層83、非磁性導電層84、第1フ
リー磁性層85、非磁性材料層86、第2フリー磁性層
87及び保護層15が形成され、下地層10から保護層
15までの積層体が多層膜201として構成されてい
る。
【0206】本発明では、反強磁性層80がPt−Mn
(白金−マンガン)合金膜により形成されている。ある
いは前記Pt−Mn合金に代えて、X―Mn(ただしX
は、Pd,Ir,Rh,Ruのいずれか1種または2種
以上の元素である)で、あるいはPt―Mn―X′(た
だしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Agのい
ずれか1種または2種以上の元素である)で形成されて
いてもよい。
【0207】第1固定磁性層81、第2固定磁性層8
3、第1フリー磁性層85及び第2フリー磁性層87
は、Ni−Fe(ニッケル−鉄)合金、Co(コバル
ト)、Fe−Co(鉄−コバルト)合金、Fe−Co−
Ni合金などで形成されている。
【0208】前記非磁性導電層84は、Cu(銅)など
の電気抵抗の低い非磁性導電材料で形成されている。
【0209】そして図11に示すように、図示X方向に
延ばされて形成された反強磁性層80の幅寸法T44上
から、第1固定磁性層81、非磁性材料層82、第2固
定磁性層83、非磁性導電層84、及び第1フリー磁性
層85の側面にかけて、Crなどで形成された緩衝膜及
び配向膜となる金属膜88,88が形成されており、こ
の金属膜88,88の形成によって、後述するハードバ
イアス層89,89から発生するバイアス磁界を増大さ
せることができる。
【0210】さらに前記金属膜88,88の上には、例
えばCo−Pt(コバルト−白金)合金やCo−Cr−
Pt(コバルト−クロム−白金)合金などで形成された
ハードバイアス層89,89が形成されている。
【0211】また前記ハードバイアス層89,89上に
は、Taなどの非磁性材料で形成された中間層90,9
0が形成され、この中間層90,90の上に、Cr、A
u、Ta、Wなどで形成された電極層91,91が形成
されている。
【0212】図11では、前記反強磁性層80が前記ハ
ードバイアス層89,89の下層にまで延びているの
で、前記ハードバイアス層89,89の膜厚を薄くでき
る。従って、前記ハードバイアス層89,89をスパッ
タ法などによって形成することが容易になる。
【0213】また、図11では、磁気モーメントが異な
る前記第1固定磁性層81と前記第2固定磁性層83
が、前記非磁性材料層82を介して積層されたものが、
一つの固定磁性層Pとして機能する。
【0214】前記第1固定磁性層81は反強磁性層80
と接して形成され、磁場中アニールが施されることによ
り、前記第1固定磁性層81と反強磁性層80との界面
にて交換結合による交換異方性磁界が生じ、前記第1固
定磁性層81の磁化方向が図示Y方向に固定される。前
記第1固定磁性層81の磁化方向が図示Y方向に固定さ
れると、前記非磁性材料層82を介して対向する第2固
定磁性層83の磁化方向が、前記第1固定磁性層81の
磁化方向と反平行の状態で固定される。
【0215】なお、前記第1固定磁性層81の磁気モー
メントと前記第2固定磁性層83の磁気モーメントを足
し合わせた合成磁気モーメントの方向が前記固定磁性層
Pの磁化方向となる。
【0216】このように、前記第1固定磁性層81と前
記第2固定磁性層83の磁化方向は、反平行となるフェ
リ磁性状態になっており、前記第1固定磁性層81と前
記第2固定磁性層83とが互いに他方の磁化方向を固定
しあうので、全体として固定磁性層Pの磁化方向を一定
方向に安定させることができるので好ましい。
【0217】図11では、前記第1固定磁性層81及び
前記第2固定磁性層83を同じ材料を用いて形成し、さ
らに、それぞれの膜厚を異ならせることにより、それぞ
れの磁気モーメントを異ならせている。
【0218】さらに、前記第1固定磁性層81と前記第
2固定磁性層83の間の前記非磁性材料層82は、R
u、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは
2種以上の合金で形成されている。
【0219】また、前記第1フリー磁性層85及び前記
第2フリー磁性層87は、それぞれの磁気モーメントが
異なるように形成されている。ここでも、前記第1フリ
ー磁性層85及び前記第2フリー磁性層87を同じ材料
を用いて形成し、さらに、それぞれの膜厚を異ならせる
ことにより、前記第1フリー磁性層85及び前記第2フ
リー磁性層87の磁気モーメントを異ならせている。
【0220】さらに、非磁性材料層86は、Ru、R
h、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以
上の合金で形成されている。
【0221】図11では、前記第1フリー磁性層85と
前記第2フリー磁性層87が、前記非磁性材料層86を
介して積層されたものが、一つのフリー磁性層Fとして
機能する。
【0222】前記第1フリー磁性層85と前記第2フリ
ー磁性層87の磁化方向は、180度異なる反平行のフ
ェリ磁性状態になっており、フリー磁性層Fの膜厚を薄
くすることと同等の効果が得られ、フリー磁性層F全体
の飽和磁化が小さくなって磁化が変動しやすくなり、磁
気抵抗効果素子の磁界検出感度が向上する。
【0223】前記第1フリー磁性層85の磁気モーメン
トと前記第2フリー磁性層87の磁気モーメントを足し
合わせた合成磁気モーメントの方向が前記フリー磁性層
Fの磁化方向となる。ただし、出力に寄与するのは第2
固定磁性層83の磁化方向と第1フリー磁性層85の磁
化方向の相対角度である。
【0224】前記ハードバイアス層89,89は図示X
方向(トラック幅方向)に着磁されており、前記ハード
バイアス層89,89からのX方向へのバイアス磁界に
より、前記フリー磁性層Fの磁化方向は図示X方向にな
っている。
【0225】しかし、フリー磁性層Fの、両側端部付近
の領域は磁化方向が乱れており、再生感度が悪く実質的
に磁気抵抗効果を発揮し得ない不感領域となっている。
【0226】この実施例においても、前記多層膜201
の感度領域Eと不感領域Dを、マイクロトラックプロフ
ァイル法によって測定し、図11に示すように、幅寸法
T45の多層膜201の領域が感度領域Eであり、幅寸
法T46の領域が不感領域Dである。
【0227】前記感度領域Eでは、固定磁性層Pの磁化
方向が、適正に図示Y方向に平行な方向に固定され、し
かもフリー磁性層Fの磁化が適正に図示X方向に揃えら
れており、固定磁性層Pとフリー磁性層Fの磁化が直交
関係にある。そして記録媒体からの外部磁界に対し、前
記フリー磁性層Fの磁化が感度良く変動し、この磁化方
向の変動と、固定磁性層Pの固定磁化方向との関係で電
気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変
化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。ただ
し、電気抵抗値の変化(出力)に直接寄与するのは第2
固定磁性層83の磁化方向と第1フリー磁性層85の磁
化方向の相対角であり、これが検出電流が通電されてい
る状態かつ信号磁界が印加されていない状態で直交して
いることが好ましい。
【0228】そして前記多層膜201の両側に形成され
た電極層91,91は、前記多層膜201上にまで延ば
されて形成され、前記電極層91,91が形成されてい
ない多層膜201の上面の幅寸法が、光学的トラック幅
寸法O−Twである。
【0229】また上面が電極層91,91に覆われてい
ない感度領域Eの幅寸法で決定される磁気的トラック幅
寸法M−Twは、前記感度領域Eと同じ幅寸法T45で
ある。
【0230】この実施例では、多層膜201上に形成さ
れる電極層91,91が、完全に不感領域Dを覆って、
光学的トラック幅寸法O−Twと磁気的トラック幅寸法
M−Tw(=感度領域Eの幅寸法)とがほぼ同じ幅寸法
で形成されている。
【0231】ただし、多層膜201上に形成される電極
層91,91が、完全に不感領域Dを覆わずにそれより
も短く形成されてもよい。このとき、光学的トラック幅
寸法O−Twは、磁気的トラック幅寸法M−Twよりも
大きく形成される。
【0232】これにより本発明では、ハードバイアス層
89を介さずに、多層膜201内に前記電極層91,9
1からのセンス電流を流す割合を多くすることができ
る。
【0233】また、電極層91,91が不感領域D上に
延ばされて形成されると、センス電流が不感領域Dに流
れ込みノイズを発生させることを抑えることができる。
【0234】なお図11に示すように、多層膜201の
不感領域D上に延ばされて形成された電極層91,91
の幅寸法T47は、具体的には0μmより大きく0.0
8μm以下であることが好ましい。また、電極層91,
91の幅寸法T47は、0.05μm以上0.08μm
以下であることがより好ましい。
【0235】また、前記保護層15を除いた多層膜20
1の表面、図11では第2フリー磁性層87の表面87
aと、前記多層膜201の不感領域上に延ばされた前記
電極層91の前端面91aとがなす角度θ11が20度
以上、より好ましくは25度以上であると、センス電流
が分流して不感領域に流れ込み、ノイズを発生させるこ
とを抑えることができる。
【0236】ただし、前記表面87aと、前記前端面9
1aとがなす角度θ11があまり大きすぎると、保護層
15及び電極層91,91上に、軟磁性材料からなる上
部シールド層を積層したときに、電極層91,91と前
記上部シールド層との短絡が生じ易くなる。従って、前
記表面87aと、前記前端面91aとがなす角度θ11
は、60度以下より好ましくは45度以下であることが
好ましい。
【0237】また、図11では、前記多層膜201と前
記ハードバイアス層89,89との磁気的接続面M,M
が、前記第1フリー磁性層85と前記第2フリー磁性層
87の側面のうち、前記第1フリー磁性層85の側面と
のみ重なり合っている。
【0238】前記ハードバイアス層89,89は、前記
第1フリー磁性層85と前記第2フリー磁性層87のい
ずれかの磁化方向を揃えるだけでよい。いずれかのフリ
ー磁性層の磁化方向が一定方向に揃えられると、隣接す
るフリー磁性層は磁化方向が反平行となるフェリ磁性状
態となり、第1および第2フリー磁性層を合わせた合成
磁気モーメントの方向が一定方向、図11の場合はトラ
ック幅方向に揃えられる。
【0239】前記ハードバイアス層89,89が、前記
第1フリー磁性層85及び第2フリー磁性層87の双方
と磁気的に接続されていると、前記第1フリー磁性層8
5及び第2フリー磁性層87の両側端部において磁化方
向の乱れが大きくなるが、図11の構成であれば、前記
両フリー磁性層の両側端部の磁化方向の乱れを抑えて、
感度領域Eの幅寸法T45を大きくすることができる。
【0240】また、図11では、前記多層膜201上の
前記電極層91,91と接合していない部分に前記保護
層15が形成されており、前記電極層91,91が前記
保護層15を介さずに直接前記第2フリー磁性層87と
接合している。
【0241】従って、前記保護層15上に前記電極層9
1,91が積層される場合よりも、電気抵抗を低下させ
ることができ、磁気抵抗効果素子の特性を向上させるこ
とができる。
【0242】図12に示すスピンバルブ型薄膜素子の多
層膜202は、図11に示すスピンバルブ型薄膜素子の
多層膜201の積層の順番を逆にしたものである。つま
り、図12では、下地層10の上に第2フリー磁性層8
7、非磁性材料層86、第1フリー磁性層85、非磁性
導電層84、第2固定磁性層83、非磁性材料層82、
第1固定磁性層81、反強磁性層80、及び保護層15
が連続して積層されている。
【0243】図12では、前記ハードバイアス層89,
89は、第1固定磁性層81及び第2固定磁性層83の
側面と磁気的に接続していない。従って、前記ハードバ
イアス層89,89によって印加される磁界によって、
図示Y方向に平行な方向に揃えられている第1固定磁性
層81及び第2固定磁性層83の磁化方向が変動するこ
とを抑えることができ、磁気抵抗効果素子の特性を向上
させることができる。
【0244】また、図12でも、磁気モーメントが異な
る前記第1固定磁性層81と前記第2固定磁性層83
が、前記非磁性材料層82を介して積層されたものが、
一つの固定磁性層Pとして機能する。図12では、前記
第1固定磁性層81及び前記第2固定磁性層83を同じ
材料を用いて形成し、さらに、それぞれの膜厚を異なら
せることにより、それぞれの磁気モーメントを異ならせ
ている。
【0245】図12でも、前記第1固定磁性層81は、
反強磁性層80と接して形成され、磁場中アニールが施
されることにより、前記第1固定磁性層81と反強磁性
層80との界面にて交換結合による交換異方性磁界が生
じ、前記第1固定磁性層81の磁化方向が図示Y方向に
固定される。前記第1固定磁性層81の磁化方向が図示
Y方向に固定されると、前記非磁性材料層82を介して
対向する第2固定磁性層83の磁化方向が、前記第1固
定磁性層81の磁化方向と反平行の状態で固定される。
なお前記第1固定磁性層81の磁気モーメントと前記第
2固定磁性層83の磁気モーメントを足し合わせた合成
磁気モーメントの方向が前記固定磁性層Pの磁化方向と
なる。
【0246】また、前記第1フリー磁性層85と前記第
2フリー磁性層87が、前記非磁性材料層86を介して
積層されたものが、一つのフリー磁性層Fとして機能す
る。
【0247】ここでも、前記第1フリー磁性層85及び
前記第2フリー磁性層87を同じ材料を用いて形成し、
さらに、それぞれの膜厚を異ならせることにより、前記
第1フリー磁性層85及び前記第2フリー磁性層87の
磁気モーメントを異ならせている。
【0248】図12のスピンバルブ型薄膜素子において
も、前記第1フリー磁性層85と前記第2フリー磁性層
87の磁化方向は、180度異なる反平行のフェリ磁性
状態になっており、フリー磁性層Fの膜厚を薄くするこ
とと同等の効果が得られ、フリー磁性層F全体の飽和磁
化が小さくなって磁化が変動しやすくなり、磁気抵抗効
果素子の磁界検出感度が向上する。
【0249】前記第1フリー磁性層85の磁気モーメン
トと前記第2フリー磁性層87の磁気モーメントを足し
合わせた合成磁気モーメントの方向が前記フリー磁性層
Fの磁化方向となる。
【0250】前記ハードバイアス層89,89は図示X
方向(トラック幅方向)に着磁されており、前記ハード
バイアス層89,89からのX方向へのバイアス磁界に
より、前記フリー磁性層Fの磁化方向は図示X方向にな
っている。
【0251】しかし、前記フリー磁性層Fの、両側端部
付近の領域は磁化方向が乱れており、再生感度が悪く実
質的に磁気抵抗効果を発揮し得ない不感領域となってい
る。
【0252】この実施例においても、前記多層膜202
の感度領域Eと不感領域Dを、マイクロトラックプロフ
ァイル法によって測定し、図12に示すように、幅寸法
T48の多層膜202の領域が感度領域Eであり、幅寸
法T49の領域が不感領域Dである。
【0253】前記感度領域Eでは、固定磁性層Pの磁化
方向が、適正に図示Y方向に平行な方向に固定され、し
かもフリー磁性層Fの磁化が適正に図示X方向に揃えら
れており、固定磁性層Pとフリー磁性層Fの磁化が直交
関係にある。そして記録媒体からの外部磁界に対し、前
記フリー磁性層Fの磁化が感度良く変動し、この磁化方
向の変動と、固定磁性層Pの固定磁化方向との関係で電
気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変
化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。ただ
し、電気抵抗値の変化(出力)に直接寄与するのは第2
固定磁性層83の磁化方向と第1フリー磁性層85の磁
化方向の相対角であり、これが検出電流が通電されてい
る状態かつ信号磁界が印加されていない状態で直交して
いることが好ましい。
【0254】そして前記多層膜202の両側に形成され
た電極層91,91は、前記多層膜202上にまで延ば
されて形成され、前記電極層91,91が形成されてい
ない多層膜202の上面の幅寸法が、光学的トラック幅
寸法O−Twである。
【0255】また上面が電極層91,91に覆われてい
ない感度領域Eの幅寸法で決定される磁気的トラック幅
寸法M−Twは、前記感度領域Eと同じ幅寸法T48で
ある。
【0256】この実施例では、多層膜202上に形成さ
れる電極層91,91が、完全に不感領域Dを覆って、
光学的トラック幅寸法O−Twと磁気的トラック幅寸法
M−Tw(=感度領域Eの幅寸法)とがほぼ同じ幅寸法
で形成されている。
【0257】ただし、多層膜202上に形成される電極
層91,91が、完全に不感領域Dを覆わずにそれより
も短く形成されてもよい。このとき、光学的トラック幅
寸法O−Twは、磁気的トラック幅寸法M−Twよりも
大きく形成される。
【0258】これにより本発明では、ハードバイアス層
89を介さずに、多層膜202内に前記電極層91,9
1からのセンス電流を流す割合を多くすることができ
る。
【0259】また、電極層91,91が不感領域D上に
延ばされて形成されると、センス電流が不感領域Dに流
れ込みノイズを発生させることを抑えることができる。
【0260】なお、多層膜202の不感領域D上に延ば
されて形成された電極層91の幅寸法T50は、具体的
には0μmより大きく0.08μm以下であることが好
ましい。また、電極層91の幅寸法T50は、0.05
μm以上0.08μm以下であることがより好ましい。
【0261】また、前記保護層15を除いた多層膜20
2の表面、図12では反強磁性層80の表面80aと、
前記多層膜202の不感領域上に延ばされた前記電極層
91の前端面91aとがなす角度θ12が20度以上、
より好ましくは25度以上であると、センス電流が分流
して不感領域に流れ込み、ノイズを発生させることを抑
えることができる。
【0262】ただし、保護層15及び電極層91上に、
上部シールド層を積層したときに、電極層91と前記上
部シールド層との短絡を防ぐために、前記表面80a
と、前記前端面91aとがなす角度θ12は、60度以
下より好ましくは45度以下であることが好ましい。
【0263】また、図12では、前記多層膜202と前
記ハードバイアス層89,89との磁気的接続面M,M
が、前記第1フリー磁性層85と前記第2フリー磁性層
87の側面のうち、前記第2フリー磁性層87の側面と
のみ重なり合っており、前記両フリー磁性層の両側端部
の磁化方向の乱れを抑えて、感度領域Eの幅寸法T48
を大きくしている。
【0264】また、図12では、前記多層膜202上の
前記電極層91,91と接合していない部分に前記保護
層15が形成されており、前記電極層91,91が前記
保護層15を介さずに直接前記反強磁性層80と接合し
ている。
【0265】従って、前記保護層15上に前記電極層9
1,91が積層される場合よりも、電気抵抗を低下させ
ることができ、磁気抵抗効果素子の特性を向上させるこ
とができる。
【0266】図13は、他の本発明の磁気抵抗効果素子
の構造をABS面から見た断面図である。
【0267】このスピンバルブ型薄膜素子は、非磁性材
料層106を中心として、その上下に第1フリー磁性層
105、第2フリー磁性層107、非磁性導電層10
4,108、第1固定磁性層103,第3固定磁性層1
09、非磁性材料層102,110、第2固定磁性層1
01,第4固定磁性層111及び反強磁性層100,1
12が形成された、いわゆるデュアルスピンバルブ型薄
膜素子と呼ばれるものであり、図10ないし図13に示
すスピンバルブ型薄膜素子(シングルスピンバルブ型薄
膜素子と呼ばれる)よりも高い再生出力を得ることが可
能である。なお最も下側に形成されている層が下地層1
0で、最も上側に形成されている層が保護層15であ
り、下地層10から保護層15までの積層体によって多
層膜203が構成されている。
【0268】なお、図13では、下地層10の上に形成
される反強磁性層100が、図示X方向に長く形成さ
れ、X方向の中心では前記反強磁性層100が突出して
形成されている。
【0269】本発明では、反強磁性層100,112が
Pt−Mn(白金−マンガン)合金膜により形成されて
いる。あるいは前記Pt−Mn合金に代えて、X―Mn
(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ruのいずれか1種
または2種以上の元素である)で、あるいはPt―Mn
―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,A
u,Agのいずれか1種または2種以上の元素である)
で形成されていてもよい。
【0270】前記第1フリー磁性層105、前記第2フ
リー磁性層107、前記第1固定磁性層103、前記第
2固定磁性層101、前記第3固定磁性層109、前記
第4固定磁性層111は、Ni−Fe(ニッケル−鉄)
合金、Co(コバルト)、Fe−Co(鉄−コバルト)
合金、Fe−Co−Ni合金などで形成されており、前
記非磁性導電層104,108は、Cu(銅)などの電
気抵抗の低い非磁性導電材料で形成されている。
【0271】そして図13に示すように、図示X方向に
延ばされて形成された反強磁性層100の幅寸法T51
上から、第2固定磁性層101、非磁性材料層102、
第1固定磁性層103、非磁性導電層104、第1フリ
ー磁性層105の側面にかけて、Crなどで形成された
緩衝膜及び配向膜となる金属膜113,113が形成さ
れており、この金属膜113,113の形成によって、
後述するハードバイアス層114,114から発生する
バイアス磁界を増大させることができる。
【0272】さらに前記金属膜113,113の上に
は、例えばCo−Pt(コバルト−白金)合金やCo−
Cr−Pt(コバルト−クロム−白金)合金などで形成
されたハードバイアス層114,114が形成されてい
る。
【0273】また前記ハードバイアス層114,114
上には、Taなどの非磁性材料で形成された中間層11
5,115が形成され、この中間層115,115の上
に、Cr、Au、Ta、Wなどで形成された電極層11
6,116が形成されている。
【0274】図13では、前記反強磁性層100が前記
ハードバイアス層114,114の下層にまで延びてい
るので、前記ハードバイアス層114,114の膜厚を
薄くできる。従って、前記ハードバイアス層114,1
14をスパッタ法などによって形成することが容易にな
る。
【0275】また、図13では、磁気モーメントが異な
る前記第1固定磁性層103と前記第2固定磁性層10
1が、前記非磁性材料層102を介して積層されたもの
が、一つの固定磁性層P1として機能する。また、磁気
モーメントが異なる前記第3固定磁性層109と前記第
4固定磁性層111が、前記非磁性材料層110を介し
て積層されたものが、一つの固定磁性層P2として機能
する。
【0276】前記第1固定磁性層103と前記第2固定
磁性層101の磁化方向は、180度異なる反平行のフ
ェリ磁性状態になっており、前記第1固定磁性層103
と前記第2固定磁性層101とが互いに他方の磁化方向
を固定しあうので、全体として固定磁性層P1の磁化方
向を一定方向に安定させることができる。
【0277】図13では、前記第1固定磁性層103及
び前記第2固定磁性層101を同じ材料を用いて形成
し、さらに、それぞれの膜厚を異ならせることにより、
それぞれの磁気モーメントを異ならせている。
【0278】また、前記第3固定磁性層109と前記第
4固定磁性層111の磁化方向も、180度異なる反平
行のフェリ磁性状態になっており、前記第3固定磁性層
109と前記第4固定磁性層111とが互いに他方の磁
化方向を固定しあっている。
【0279】なお、前記非磁性材料層102、110
は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あ
るいは2種以上の合金で形成されている。
【0280】前記第2固定磁性層101及び第4固定磁
性層111は、それぞれ反強磁性層100及び112と
接して形成され、磁場中アニールが施されることによ
り、前記第2固定磁性層101及び反強磁性層100と
の界面並びに前記第4固定磁性層111及び反強磁性層
112との界面にて交換結合による交換異方性磁界が生
じる。
【0281】前記第2固定磁性層101の磁化方向は、
図示Y方向に固定される。前記第2固定磁性層101の
磁化方向が図示Y方向に固定されると、前記非磁性材料
層102を介して対向する第1固定磁性層103の磁化
方向が、前記第2固定磁性層101の磁化方向と反平行
の状態で固定される。なお前記第2固定磁性層101の
磁気モーメントと前記第1固定磁性層103の磁気モー
メントを足し合わせた合成磁気モーメントの方向が前記
固定磁性層P1の磁化方向となる。
【0282】前記第2固定磁性層101の磁化方向が図
示Y方向に固定されるとき、前記第4固定磁性層111
の磁化方向は、図示Y方向と反平行方向に固定されるこ
とが好ましい。このとき、前記非磁性材料層110を介
して対向する第3固定磁性層109の磁化方向が、前記
第4固定磁性層111の磁化方向と反平行方向に、すな
わち、Y方向に固定される。なお前記第4固定磁性層1
11の磁気モーメントと前記第3固定磁性層109の磁
気モーメントを足し合わせた合成磁気モーメントの方向
が前記固定磁性層P2の磁化方向となる。
【0283】すると、前記第1フリー磁性層105、前
記非磁性材料層106、前記第2フリー磁性層107を
介して対向する、前記第1固定磁性層103と前記第3
固定磁性層109の磁化方向は、互いに180度異なる
反平行状態になる。
【0284】図13では、後述するように、フリー磁性
層Fが前記第1フリー磁性層105と前記第2フリー磁
性層107が、前記非磁性材料層106を介して積層さ
れたものとして形成され、前記第1フリー磁性層105
と前記第2フリー磁性層107の磁化方向が反平行とな
るフェリ磁性状態になっている。
【0285】前記第1フリー磁性層105と前記第2フ
リー磁性層107は、外部磁界の影響を受けて、フェリ
磁性状態を保ったまま磁化方向を変化させる。このと
き、前記第1固定磁性層103と前記第3固定磁性層1
09の磁化方向が、互いに180度異なる反平行状態に
なっていると、フリー磁性層Fより上層部分の抵抗変化
率とフリー磁性層Fより下層部分の抵抗変化率が等しく
なる。
【0286】さらに、前記固定磁性層P1の磁化方向と
前記固定磁性層P2の磁化方向が、反平行方向であるこ
とが好ましい。
【0287】例えば、磁化方向が図示Y方向に固定され
ている前記第2固定磁性層101の磁気モーメントの大
きさを前記第1固定磁性層103の磁気モーメントの大
きさよりも大きくし、固定磁性層P1の磁化方向を図示
Y方向にする。一方、磁化方向が図示Y方向に固定され
ている前記第3固定磁性層109の磁気モーメントの大
きさを前記第4固定磁性層111の磁気モーメントの大
きさよりも小さくし、固定磁性層P2の磁化方向を図示
Y方向と反平行方向にする。
【0288】すると、センス電流を図示X方向に流した
ときに発生するセンス電流磁界の方向と、固定磁性層P
1の磁化方向及び固定磁性層P2の磁化方向が一致し、前
記第1固定磁性層103と前記第2固定磁性層101の
フェリ磁性状態、及び前記第3固定磁性層109と前記
第4固定磁性層111のフェリ磁性状態が安定する。
【0289】また、前記第1フリー磁性層105及び前
記第2フリー磁性層107は、それぞれの磁気モーメン
トが異なるように形成されている。ここでも、前記第1
フリー磁性層105及び前記第2フリー磁性層107を
同じ材料を用いて形成し、さらに、それぞれの膜厚を異
ならせることにより、前記第1フリー磁性層105及び
前記第2フリー磁性層107の磁気モーメントを異なら
せている。
【0290】さらに、非磁性材料層102,106,1
16は、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1
種あるいは2種以上の合金で形成されている。
【0291】図13では、前記第1フリー磁性層105
と前記第2フリー磁性層107が、前記非磁性材料層1
06を介して積層されたものが、一つのフリー磁性層F
として機能する。
【0292】前記第1フリー磁性層105と前記第2フ
リー磁性層107の磁化方向は、反平行となるフェリ磁
性状態になっており、フリー磁性層Fの膜厚を薄くする
ことと同等の効果が得られ、フリー磁性層F全体の飽和
磁化が小さくなって磁化が変動しやすくなり、磁気抵抗
効果素子の磁界検出感度が向上する。
【0293】前記第1フリー磁性層105の磁気モーメ
ントと前記第2フリー磁性層107の磁気モーメントを
足し合わせた合成磁気モーメントの方向が前記フリー磁
性層Fの磁化方向となる。
【0294】前記ハードバイアス層114,114は図
示X方向(トラック幅方向)に着磁されており、前記ハ
ードバイアス層114,114からのX方向へのバイア
ス磁界により、前記フリー磁性層Fの磁化方向は図示X
方向になっている。
【0295】しかし、前記第1フリー磁性層105及び
前記第2フリー磁性層107の、両側端部付近の領域は
磁化方向が乱れており、再生感度が悪く実質的に磁気抵
抗効果を発揮し得ない不感領域となっている。
【0296】この実施例においても、前記多層膜203
の感度領域Eと不感領域Dを、マイクロトラックプロフ
ァイル法によって測定しているが、図13に示すように
多層膜203の中央に位置する幅寸法T52の領域は、
感度領域Eであり、その両側であって、幅寸法T53の
領域は、不感領域Dである。
【0297】前記感度領域Eでは、固定磁性層P1、P2
の磁化方向が、適正に図示Y方向に平行な方向に固定さ
れ、しかもフリー磁性層Fの磁化が適正に図示X方向に
揃えられており、固定磁性層P1、P2とフリー磁性層F
の磁化が直交関係にある。そして記録媒体からの外部磁
界に対し、前記フリー磁性層Fの磁化が感度良く変動
し、この磁化方向の変動と、固定磁性層P1、P2の固定
磁化方向との関係で電気抵抗が変化し、この電気抵抗値
の変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの洩れ磁
界が検出される。ただし、電気抵抗値の変化(出力)に
直接寄与するのは第1固定磁性層103の磁化方向と第
1フリー磁性層105の磁化方向の相対角、及び第3固
定磁性層109の磁化方向と第2フリー磁性層107の
磁化方向の相対角であり、これらの相対角が検出電流が
通電されている状態かつ信号磁界が印加されていない状
態で直交していることが好ましい。
【0298】本発明では、図13に示すように、多層膜
203の両側であって、ハードバイアス層114,11
4上に非磁性材料製の中間層115,115を介して形
成される電極層116,116が、前記多層膜203の
不感領域D上にまで延ばされて形成されている。なお前
記電極層116,116は、例えばCr、Au、Ta、
W膜などで形成されている。
【0299】前記電極層116,116に覆われていな
い多層膜203の上面の幅寸法が光学的トラック幅寸法
O−Twとして定義されており、上面が前記電極層11
6,116に覆われていない感度領域Eの幅寸法T52
が、磁気的トラック幅寸法M−Twとして定義されてい
る。この実施例においては、例えば前記多層膜203上
に延ばされた電極層116,116は、不感領域D上を
完全に覆っている。この場合、光学的トラック幅O−T
wと、磁気的トラック幅寸法M−Tw(=感度領域Eの
幅寸法)はほぼ同じ幅寸法となる。
【0300】あるいは前記電極層116,116は完全
に不感領域D上を覆っていなくてもよく、多層膜203
上に延ばされた電極層116,116の幅寸法T54
は、不感領域Dよりも短く形成されてもよい。この場
合、光学的トラック幅O−Twは、磁気的トラック幅M
−Twよりも大きくなる。
【0301】これにより本発明では、前記電極層11
6,116からのセンス電流はハードバイアス層11
4,114を介さず、直接、多層膜203に流れやすく
なり、しかも前記電極層116,116を不感領域D上
にまで延ばして形成することにより、多層膜203と電
極層116,116との接合面積も大きくなるため直流
抵抗値(DCR)を下げることができ、再生特性を向上
させることが可能である。
【0302】また、電極層116,116が不感領域D
上に延ばされて形成されると、センス電流が不感領域D
に流れ込みノイズを発生させることを抑えることができ
る。
【0303】図13に示すように、多層膜203の不感
領域D上に延ばされて形成された電極層116の幅寸法
T54は、具体的には0μmより大きく0.08μm以
下であることが好ましい。また、前記幅寸法T54は、
0.05μm以上0.08μm以下であることがより好
ましい。
【0304】また、前記保護層15を除いた多層膜20
3の表面、図13では反強磁性層112の表面112a
と、前記多層膜203の不感領域上に延ばされた前記電
極層116の前端面116aとがなす角度θ13が20
度以上、より好ましくは25度以上であると、センス電
流が分流して不感領域に流れ込み、ノイズを発生させる
ことを抑えることができる。
【0305】ただし、保護層15及び電極層116,1
16上に、上部シールド層を積層したときに、電極層1
16,116と前記上部シールド層との短絡を防ぐため
に、前記表面112aと、前記前端面116aとがなす
角度θ13は、60度以下より好ましくは45度以下で
あることが好ましい。
【0306】また、図13では、前記多層膜203と前
記ハードバイアス層114,114との磁気的接続面
M,Mが、前記第1フリー磁性層105と前記第2フリ
ー磁性層107の側面のうち、前記第1フリー磁性層1
05の側面とのみ重なり合っており、前記両フリー磁性
層の両側端部の磁化方向の乱れを抑えて、感度領域Eの
幅寸法T52を大きくしている。
【0307】また、図13では、前記多層膜203上の
前記電極層116,116と接合していない部分に前記
保護層15が形成されており、前記電極層116,11
6が前記保護層15を介さずに直接前記反強磁性層11
2と接合している。
【0308】従って、前記保護層15上に前記電極層1
16,116が積層される場合よりも、電気抵抗を低下
させることができ、磁気抵抗効果素子の特性を向上させ
ることができる。
【0309】図14は、他の本発明における磁気抵抗効
果素子をABS面側から見た断面図である。
【0310】図14に示す磁気抵抗効果素子は、AMR
(amisotropic magnetoresisitive)素子と呼ばれるも
のであり、素子の膜構成は図8に示されたAMR素子と
同じである。
【0311】この実施例においても、前記多層膜61の
感度領域Eと不感領域Dを、マイクロトラックプロファ
イル法によって測定し、前記多層膜61の中央に位置す
る幅寸法T19の領域が感度領域Eであり、その両側に
位置する幅寸法T20の領域が不感領域Dである。
【0312】図14のAMR素子は、図8のAMR素子
と、前記多層膜61上の前記電極層120,120と接
合していない部分に前記保護層55が形成されており、
前記電極層120,120が前記保護層55を介さずに
直接前記磁気抵抗層54と接合している点でのみ異なっ
ている。
【0313】従って、前記保護層55上に前記電極層1
20,120が積層される場合よりも、電気抵抗を低下
させることができ、磁気抵抗効果素子の特性を向上させ
ることができる。
【0314】図14に示すように前記電極層120,1
20は、多層膜61の上面にも延ばされて形成されてお
り、前記多層膜61の上に電極層58が形成されていな
い前記多層膜61の上面の幅寸法が、光学的トラック幅
寸法O−Twであり、上面が電極層120で覆われてい
ない感度領域Eの幅寸法で磁気的トラック幅寸法M−T
wが決定される。この実施例では、例えば前記多層膜6
1上に延ばされた電極層120は、不感領域D上を完全
に覆っている。この場合、光学的トラック幅O−Tw
と、磁気的トラック幅寸法M−Twはほぼ同じ幅寸法と
なる。
【0315】あるいは前記電極層120は完全に不感領
域D上を覆っていなくてもよく、多層膜61上に延ばさ
れた電極層120の幅寸法T55は、不感領域Dよりも
短く形成されてもよい。この場合、光学的トラック幅O
−Twは、磁気的トラック幅M−Twよりも大きくな
る。
【0316】なお、前記多層膜61の不感領域D上に延
ばされて形成された電極層120の幅寸法T55は、具
体的には0μmより大きく0.08μm以下であること
が好ましい。また、前記幅寸法T55は、0.05μm
以上0.08μm以下であることがより好ましい。
【0317】また、前記磁気抵抗層の表面54aと、前
記多層膜61の不感領域上に延ばされた前記電極層12
0の前端面120aとがなす角度θ14が20度以上、
より好ましくは25度以上であると、センス電流が分流
して不感領域に流れ込み、ノイズを発生させることを抑
えることができる。
【0318】ただし、前記表面54aと、前記前端面1
20aとがなす角度θ14があまり大きすぎると、保護
層55及び電極層120,120上に、軟磁性材料から
なる上部シールド層を積層したときに、電極層120,
120と前記上部シールド層との短絡が生じ易くなる。
従って、前記表面54aと、前記前端面120aとがな
す角度θ14は、60度以下より好ましくは45度以下
であることが好ましい。
【0319】このAMR素子では、ハードバイアス層5
6,56が図示X方向に磁化されており、このハードバ
イアス層56,56により磁気抵抗層54にX方向のバ
イアス磁界が与えられる。さらに軟磁性層52から磁気
抵抗層54に図示Y方向のバイアス磁界が与えられる。
磁気抵抗層54にX方向とY方向のバイアス磁界が与え
られることにより、磁気抵抗層54の磁界変化に対する
磁化変化が直線性を有する状態に設定される。
【0320】電極層120,120からのセンス電流
は、感度領域Eの磁気抵抗層54に直接与えられる。記
録媒体の走行方向はZ方向であり、記録媒体からの洩れ
磁界がY方向に与えられると、磁気抵抗層54の磁化方
向が変化することにより、抵抗値が変化し、これが電圧
変化として検出される。
【0321】なお、後述する磁気抵抗効果素子の製造方
法を用いることにより、図1から図14に示された磁気
抵抗効果素子は、ハードバイアス層の多層膜と接する面
付近は膜厚が薄く形成され、ハードバイアス層の上面
が、多層膜付近で、図示下方方向に傾斜あるいは湾曲す
る。
【0322】図33に示された従来の磁気抵抗効果素子
のように、ハードバイアス層の上面が、多層膜付近で図
示上方方向に突出していると、この突出部において、漏
れ磁界やループ磁界が発生しフリー磁性層の磁化方向が
安定しにくくなっていた。
【0323】図1から図14のように、ハードバイアス
層の上面が、多層膜付近で、図示下方方向に傾斜あるい
は湾曲していると、漏れ磁界やループ磁界の発生を防ぐ
ことができ、フリー磁性層の磁化方向を安定させること
ができる。
【0324】次に図1から図14に示された磁気抵抗効
果素子の製造方法について図面を参照しながら説明す
る。
【0325】まず図15に示すように、基板160上
に、磁気抵抗効果素子の多層膜161を成膜する。なお
この多層膜161は、図1、図2、図3、図4、図5、
図10、図11、及び図12に示すシングルスピンバル
ブ型薄膜素子の多層膜、図6、図7、及び図13に示す
デュアルスピンバルブ型薄膜素子の多層膜、あるいは図
8、図9、及び図14に示すAMR素子の多層膜のいず
れであってもよい。
【0326】また図4、図5、図10、図11、及び図
13に示す磁気抵抗効果素子のように、反強磁性層3
0、70、80、100を図示X方向に長く形成するに
は、図15に示す多層膜161の側面をエッチングで削
り取る段階で、反強磁性層30、70、80、100の
側面を削り取らず残るようにエッチングレート及びエッ
チング時間を制御すればよい。
【0327】なお前記多層膜161を、シングルスピン
バルブ型薄膜素子あるいはデュアルスピンバルブ型薄膜
素子の多層膜で形成する場合、前記多層膜161を構成
する反強磁性層を、PtMn合金により形成することが
好ましく、またはX―Mn(ただしXは、Pd,Ir,
Rh,Ruのいずれか1種または2種以上の元素であ
る)あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,
Ir,Rh,Ru,Au,Agのいずれか1種または2
種以上の元素である)で形成してもよい。前記反強磁性
層を上述した材質で形成する場合、固定磁性層との界面
で交換結合磁界を発生させるには熱処理を施す必要があ
る。
【0328】そして予め、図31に示すように、多層膜
の両側にのみハードバイアス層と電極層が形成された従
来型(例えば図33参照)の磁気抵抗効果素子を用い、
この磁気抵抗効果素子の多層膜の上面の幅寸法Aを光学
顕微鏡にて測定する。次に、前記磁気抵抗効果素子を、
ある信号が記録された微小トラック上でトラック幅方向
にて走査させ、再生出力を検出し、この再生出力のう
ち、最大出力の50%以上の再生出力を発する上面の幅
寸法がBの領域を感度領域Eと、最大出力の50%以下
の再生出力を発する上面の幅寸法がCの領域を不感領域
Dと定義する。
【0329】この測定結果に基づき、マイクロトラック
プロファイル法によって予めわかっている不感領域Dの
幅寸法Cを考慮しながら、多層膜161上にリフトオフ
用のレジスト層162を形成する。図15に示すよう
に、前記レジスト層162には、その下面に切り込み部
162a,162aが形成されているが、この切り込み
部162a,162aは、多層膜161のうち、不感領
域D上に形成されるようにし、多層膜161のうち感度
領域Eの上は、前記レジスト層162によって完全に覆
われた状態にしておく。
【0330】次に図16に示す工程では、エッチングに
より多層膜161の両側を削り込む。
【0331】なお、図11から図14に示された磁気抵
抗効果素子を製造する場合には、前記多層膜161の最
上層に保護層を形成しておき、この保護層上にレジスト
層162を積層する。さらに、前記レジスト層162の
切り込み部162a,162aの下になる前記保護層の
部分、すなわち、前記保護層と前記レジスト層162と
が直接接合していない保護層の部分を斜め方向から入射
するイオンミリングによって除去して、前記保護層の下
層を露出させておく。
【0332】さらに図17に示す工程では、前記多層膜
161の両側にハードバイアス層163,163を成膜
する。本発明では、このハードバイアス層163,16
3の成膜及び次の工程で行われる電極層165の成膜の
際に使用されるスパッタ法は、イオンビームスパッタ
法、ロングスロースパッタ法、あるいはコリメーション
スパッタ法のいずれか1種以上であることが好ましい。
【0333】図17に示すように本発明では、多層膜1
61の形成された基板160を、ハードバイアス層16
3,163の組成で形成されたターゲット164に対し
垂直方向に置き、これにより例えばイオンビームスパッ
タ法を用いることで、前記多層膜161に対し垂直方向
からハードバイアス層163,163を成膜することが
できるから、多層膜161上に形成されたレジスト層1
62の切り込み部162a,162a内に、ハードバイ
アス層163,163が入り込んで形成されることがな
い。また、ハードバイアス層163,163の多層膜1
61と接する面付近は、レジスト層162の両端部によ
って覆われているので、スパッタ粒子が積層されにく
い。従って、ハードバイアス層163,163の多層膜
161と接する面付近は膜厚が薄く形成され、ハードバ
イアス層163,163の上面は、多層膜161付近
で、図示下方方向に傾斜あるいは湾曲している。なお図
17に示すように、レジスト層162上にも前記ハード
バイアス層163,163と同じ組成の層163aが形
成される。
【0334】なお、図17の工程において、前記多層膜
161と前記バイアス層163,163との磁気的接続
面の上縁部及び/又は下縁部の媒体走行方向(図示Z方
向)の高さ位置が、前記フリー磁性層又は前記磁気抵抗
効果層の上面及び/又は下面の媒体走行方向の高さ位置
とが等しくなるように、ハードバイアス層163、16
3を形成することが好ましい。
【0335】前記ハードバイアス層163,163は、
前記フリー磁性層又は前記磁気抵抗効果層とのみ磁気的
に接続されていればよい。特に、前記ハードバイアス層
163,163が、前記固定磁性層と磁気的に接続され
ていなければ、前記バイアス層から発生する磁界が前記
固定磁性層の磁化方向に影響を与えることを抑えること
ができる。
【0336】さらに、前記多層膜161が、図10から
図13に示された薄膜素子の多層膜のように、前記フリ
ー磁性層が、磁気モーメントが異なる複数の軟磁性薄膜
が非磁性材料層を介して積層されたものであるときに
は、前記多層膜161と前記ハードバイアス層163,
163との磁気的接続面が前記フリー磁性層を構成する
複数の軟磁性薄膜の側面のうち、一つの軟磁性薄膜の側
面とのみ重なり合うように、前記ハードバイアス層16
3,163を形成することが好ましい。
【0337】前記多層膜161と前記ハードバイアス層
163,163との磁気的接続面が前記フリー磁性層を
構成する複数の軟磁性薄膜の側面のうち、一つの軟磁性
薄膜の側面とのみ重なりあっていると、前記軟磁性薄膜
の両端部において磁化方向が乱れることを防ぐことがで
きる。
【0338】次に図18に示す工程では、前記多層膜1
61に対し斜め方向から前記ハードバイアス層163,
163上に電極層165,165を成膜し、この際、前
記電極層165,165を、多層膜161上に設けられ
た前記レジスト層162の下面に形成された切り込み部
162a,162a内にまで成膜する。
【0339】例えば図18に示すように、多層膜161
が形成された基板160に対し、電極層165の組成で
形成されたターゲット166を斜めに傾けて、前記ター
ゲット166を前記基板160上で移動させながら、イ
オンビームスパッタ法により前記電極層165,165
をハードバイアス層163,163上に成膜する。この
とき、斜め方向からスパッタされる電極層165,16
5は、ハードバイアス層163,163上のみならず、
多層膜161の上に形成されたレジスト層162の切り
込み部162a,162a内にも侵入し成膜される。す
なわち、前記切り込み部162a,162a内に成膜さ
れた電極層165,165は、多層膜161の不感領域
D上を覆う位置に成膜される。
【0340】なお図18では、基板160を固定し、タ
ーゲット166側を前記基板160に対し斜め方向に移
動させているが、ターゲット166を固定して基板16
0側を、前記ターゲット166に対し斜め方向に移動さ
せてもよい。また図18に示すように、レジスト層16
2の上に形成された層163a上には、電極層165,
165と同じ組成の層165aが成膜される。
【0341】なお、前記多層膜161の最上層に形成さ
れた前記保護層の前記レジスト層162とが直接接合し
ていない部分を除去して、前記保護層の下層を露出させ
ておいた場合には、図11から図14に示される磁気抵
抗効果素子のように、前記電極層165,165は前記
保護層の下層のフリー磁性層、反強磁性層、または磁気
抵抗効果層と直接接合するように形成される。
【0342】そして図19に示す工程では、図18に示
すレジスト層162を、レジスト剥離液を用いながらリ
フトオフによって除去し、これによって多層膜161の
うち不感領域D上にまで電極層165,165が成膜さ
れた磁気抵抗効果素子が完成する。
【0343】なお、前記電極層165,165を成膜す
る工程において、前記多層膜表面161aと、前記電極
層の前記切り込み部162a内に入り込んで形成される
前端面165bとがなす角度θを20度以上、より好ま
しくは25度以上に形成すると、センス電流が分流して
不感領域に流れ込み、ノイズを発生させることを抑える
ことができる。
【0344】しかし、図15から図19に示された製造
方法では、前記表面161aと前記前端面165bとが
なす角度θを大きく形成することが困難である。また、
前記表面161aと前記前端面165bとがなす角度θ
があまり大きすぎると、多層膜161及び電極層16
5,165上に、軟磁性材料からなる上部シールド層を
積層したときに、電極層165,165と前記上部シー
ルド層との短絡が生じ易くなる。従って、前記表面16
1aと前記前端面165bとがなす角度θは、60度以
下より好ましくは45度以下に形成することが好まし
い。
【0345】図20は、他の本発明における磁気抵抗効
果素子をABS面側から見た断面図である。
【0346】図20の磁気抵抗効果素子は、図10に示
された磁気抵抗効果素子と同じ構成の多層膜200上
に、Al23などからなる絶縁層131が積層され、前
記絶縁層131の両側面部に、電極層130,130の
前端面130a,130aが接しているものである。
【0347】前記多層膜200の膜構成および材料は、
全て図10に示された磁気抵抗効果素子と同一である。
【0348】また、図示X方向に延ばされて形成された
反強磁性層70の幅寸法T56上に積層された金属膜7
6,76、ハードバイアス層77,77、中間層78,
78の膜構成及び材料も図10の磁気抵抗効果素子と同
一である。
【0349】すなわち図20の磁気抵抗効果素子は、磁
気モーメントが異なる前記第1フリー磁性層73と前記
第2フリー磁性層75の磁化方向が反平行となるフェリ
磁性状態になっており、また、前記第1フリー磁性層7
3と前記第2フリー磁性層75が、前記非磁性材料層7
4を介して積層されたものが、一つのフリー磁性層Fと
して機能している。
【0350】前記フリー磁性層Fの、両側端部付近の磁
化方向が乱れている領域は、再生感度が悪く実質的に磁
気抵抗効果を発揮し得ない不感領域となっている。
【0351】この実施例においても、前記多層膜200
の感度領域Eと不感領域Dを、マイクロトラックプロフ
ァイル法によって測定し、図20に示すように、幅寸法
T57の多層膜200の領域が感度領域Eであり、幅寸
法T58の領域が不感領域Dである。
【0352】前記感度領域Eでは、固定磁性層Pの磁化
方向が、適正に図示Y方向に平行な方向に固定され、し
かもフリー磁性層Fの磁化が適正に図示X方向に揃えら
れており、固定磁性層Pとフリー磁性層Fの磁化が直交
関係にある。そして記録媒体からの外部磁界に対し、前
記フリー磁性層Fの磁化が感度良く変動し、この磁化方
向の変動と、固定磁性層Pの固定磁化方向との関係で電
気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変
化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。ただ
し、電気抵抗値の変化(出力)に直接寄与するのは固定
磁性層71の磁化方向と第1フリー磁性層73の磁化方
向の相対角であり、この相対角が検出電流が通電されて
いる状態かつ信号磁界が印加されていない状態で直交し
ていることが好ましい。すなわち、電気抵抗値の変化は
非磁性導電層72を介して隣接するフリー磁性層と固定
磁性層の磁化方向の相対角によって決定される。
【0353】そして前記多層膜200の両側に形成され
た電極層130,130は、前記多層膜200上にまで
延ばされて形成され、前記電極層130,130が形成
されていない多層膜200の上面の幅寸法が、光学的ト
ラック幅寸法O−Twである。
【0354】また上面が電極層130,130に覆われ
ていない感度領域Eの幅寸法で決定される磁気的トラッ
ク幅寸法M−Twは、前記感度領域Eと同じ幅寸法T5
7である。
【0355】この実施例では、多層膜200上に形成さ
れる電極層130が、完全に不感領域Dを覆って、光学
的トラック幅寸法O−Twと磁気的トラック幅寸法M−
Tw(=感度領域Eの幅寸法)とがほぼ同じ幅寸法で形
成されている。
【0356】ただし、多層膜200上に形成される電極
層130,130が、完全に不感領域Dを覆わずにそれ
よりも短く形成されてもよい。このとき、光学的トラッ
幅寸法O−Twは、磁気的トラック幅寸法M−Twより
も大きく形成される。
【0357】これにより本発明では、ハードバイアス層
77を介さずに、多層膜200内に前記電極層130,
130からのセンス電流を流す割合を多くすることがで
きる。
【0358】また、電極層130,130が不感領域D
上に延ばされて形成されると、センス電流が不感領域D
に流れ込みノイズを発生させることを抑えることができ
る。
【0359】図20の磁気抵抗効果素子を、後述する製
造方法を用いて形成すると、前記多層膜200の不感領
域上に延ばされた前記電極層130の前記絶縁層131
の両側面部に接している前端面130aと、前記保護層
15の表面15aとがなす角度θ20を60度以上、さ
らには、90度以上にすることができる。したがって、
電極層130の先端部まで、常に一定量のセンス電流を
流すことができる。つまり、センス電流が分流して不感
領域に流れ込みノイズを発生させることを、図10に示
された磁気抵抗効果素子よりも効果的に、抑えることが
できる。
【0360】また、図1から図14に示された磁気抵抗
効果素子のように、電極層の先端部が先細り形状になっ
ているものを、図15から図19に示された製造方法に
よって形成すると、電極層の不感領域上に延ばされた部
分の幅寸法を一定にして形成することが難しく、電極層
の先端が感度領域上にまで延びてしまう磁気抵抗効果素
子が形成されてしまう可能性もあった。
【0361】電極層の先端部が感度領域上にまで延びる
と、センス電流が流れる領域の幅寸法が前記感度領域の
幅寸法よりも短くなり、磁気抵抗効果素子が実際に磁界
を検出できる領域が狭くなる。
【0362】一方、図20の磁気抵抗効果素子では、後
述する製造方法を用いることにより、前記絶縁層131
の前記多層膜200上での位置を正確に設定することが
できるので、前記電極層130が不感領域を越えて延び
てしまうことを防ぐことができる。
【0363】なお図20に示すように、多層膜200の
不感領域D上に延ばされて形成された電極層130の幅
寸法T59は、具体的には0μmより大きく0.08μ
m以下であることが好ましい。また、電極層130の幅
寸法T59は、0.05μm以上0.08μm以下であ
ることがより好ましい。
【0364】なお、図20の磁気抵抗効果素子を後述す
る製造方法を用いて形成することにより、図20の磁気
抵抗効果素子の前記多層膜200の側面と前記絶縁層1
31の側面は平行になっている。
【0365】図21は、他の本発明における磁気抵抗効
果素子をABS面側から見た断面図である。
【0366】図21の磁気抵抗効果素子は、図11に示
された磁気抵抗効果素子と同じ構成の多層膜201上
に、Al23などからなる絶縁層133が積層され、前
記絶縁層133の両側面部に、電極層132,132の
前端面132a,132aが接しているものである。
【0367】前記多層膜201の膜構成および材料は、
全て図11に示された磁気抵抗効果素子と同一である。
【0368】また、図示X方向に延ばされて形成された
反強磁性層80の幅寸法T60上に積層された金属膜8
8,88、ハードバイアス層89,89、中間層90,
90の膜構成及び材料も図11の磁気抵抗効果素子と同
一である。
【0369】また、前記第1固定磁性層81と前記第2
固定磁性層83の磁化方向は、反平行となるフェリ磁性
状態になっており、前記第1固定磁性層81と前記第2
固定磁性層83とが互いに他方の磁化方向を固定しあ
い、全体として固定磁性層Pの磁化方向を一定方向に安
定させている。
【0370】また、図21の磁気抵抗効果素子は、磁気
モーメントが異なる前記第1フリー磁性層85と前記第
2フリー磁性層87の磁化方向が反平行となるフェリ磁
性状態になっており、また、前記第1フリー磁性層85
と前記第2フリー磁性層8が、前記非磁性材料層86を
介して積層されたものが、一つのフリー磁性層Fとして
機能している。
【0371】前記フリー磁性層Fの、両側端部付近の磁
化方向が乱れている領域は、再生感度が悪く実質的に磁
気抵抗効果を発揮し得ない不感領域となっている。
【0372】この実施例においても、前記多層膜201
の感度領域Eと不感領域Dを、マイクロトラックプロフ
ァイル法によって測定し、図21に示すように、幅寸法
T61の多層膜201の領域が感度領域Eであり、幅寸
法T62の領域が不感領域Dである。
【0373】前記感度領域Eでは、固定磁性層Pの磁化
方向が、適正に図示Y方向に平行な方向に固定され、し
かもフリー磁性層Fの磁化が適正に図示X方向に揃えら
れており、固定磁性層Pとフリー磁性層Fの磁化が直交
関係にある。そして記録媒体からの外部磁界に対し、前
記フリー磁性層Fの磁化が感度良く変動し、この磁化方
向の変動と、固定磁性層Pの固定磁化方向との関係で電
気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変
化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0374】そして前記多層膜201の両側に形成され
た電極層132,132は、前記多層膜201上にまで
延ばされて形成され、前記電極層132,132が形成
されていない多層膜201の上面の幅寸法が、光学的ト
ラック幅寸法O−Twである。
【0375】また上面が電極層132,132に覆われ
ていない感度領域Eの幅寸法で決定される磁気的トラッ
ク幅寸法M−Twは、前記感度領域Eと同じ幅寸法T6
1である。
【0376】この実施例では、多層膜201上に形成さ
れる電極層132,132が、完全に不感領域Dを覆っ
て、光学的トラック幅寸法O−Twと磁気的トラック幅
寸法M−Tw(=感度領域Eの幅寸法)とがほぼ同じ幅
寸法で形成されている。
【0377】ただし、多層膜201上に形成される電極
層132,132が、完全に不感領域Dを覆わずにそれ
よりも短く形成されてもよい。このとき、光学的トラッ
ク幅寸法O−Twは、磁気的トラック幅寸法M−Twよ
りも大きく形成される。
【0378】これにより本発明では、ハードバイアス層
89,89を介さずに、多層膜201内に前記電極層1
32,132からのセンス電流を流す割合を多くするこ
とができる。
【0379】また、電極層132,132が不感領域D
上に延ばされて形成されると、センス電流が不感領域D
に流れ込みノイズを発生させることを抑えることができ
る。
【0380】また、図21では、前記多層膜201上の
前記電極層132,132と接合していない部分に前記
保護層15が形成され、前記保護層15上に前記絶縁層
133が形成されている。前記電極層132,132
は、前記保護層15を介さずに直接前記第2フリー磁性
層87と接合している。
【0381】従って、前記保護層15上に前記電極層1
32,132が積層される場合よりも、電気抵抗を低下
させることができ、磁気抵抗効果素子の特性を向上させ
ることができる。
【0382】図21の磁気抵抗効果素子を、後述する製
造方法を用いて形成すると、前記多層膜201の不感領
域上に延ばされた前記電極層132の前記絶縁層133
の両側面部に接している前端面132aと、前記第2フ
リー磁性層87の表面87aとがなす角度θ20を60
度以上、さらには、90度以上にすることができる。し
たがって、電極層132の先端部まで、常に一定量のセ
ンス電流を流すことができる。つまり、センス電流が分
流して不感領域に流れ込みノイズを発生させることを、
図11に示された磁気抵抗効果素子よりも効果的に、抑
えることができる。
【0383】図21の磁気抵抗効果素子では、後述する
製造方法を用いることにより、前記絶縁層133の前記
多層膜201上での位置を正確に設定することができる
ので、前記電極層132,132が不感領域を越えて延
びてしまうことを防ぐことができ、磁気抵抗効果素子が
実際に磁界を検出できる領域が狭くなることを防ぐこと
ができる。
【0384】なお図21に示すように、多層膜201の
不感領域D上に延ばされて形成された電極層132の幅
寸法T63は、具体的には0μmより大きく0.08μ
m以下であることが好ましい。また、電極層132の幅
寸法T63は、0.05μm以上0.08μm以下であ
ることがより好ましい。
【0385】また、図21では、前記多層膜201と前
記ハードバイアス層89,89との磁気的接続面M,M
が、前記第1フリー磁性層85と前記第2フリー磁性層
87の側面のうち、前記第1フリー磁性層85の側面と
のみ重なり合っている。
【0386】なお、図21の磁気抵抗効果素子を後述す
る製造方法を用いて形成することにより、図2の磁気抵
抗効果素子の前記多層膜201の側面と前記絶縁層13
3の側面は平行になっている。
【0387】図22は、他の本発明における磁気抵抗効
果素子をABS面側から見た断面図である。
【0388】図22の磁気抵抗効果素子は、図12に示
された磁気抵抗効果素子と同じ構成の多層膜202上
に、Al23などからなる絶縁層135が積層され、前
記絶縁層135の両側面部に、電極層134,134の
前端面134a,134aが接しているものである。
【0389】前記多層膜202の膜構成および材料は、
図12に示された磁気抵抗効果素子と同一である。ただ
し、図22では、多層膜202の最上層に保護層15が
形成されていない。
【0390】また、下地膜10上に積層された金属膜8
8,88、ハードバイアス層89,89、中間層90,
90の膜構成及び材料も図12の磁気抵抗効果素子と同
一である。
【0391】また、前記第1固定磁性層81と前記第2
固定磁性層83の磁化方向は、反平行となるフェリ磁性
状態になっており、前記第1固定磁性層81と前記第2
固定磁性層83とが互いに他方の磁化方向を固定しあ
い、全体として固定磁性層Pの磁化方向を一定方向に安
定させている。
【0392】また、図21の磁気抵抗効果素子は、磁気
モーメントが異なる前記第1フリー磁性層85と前記第
2フリー磁性層87の磁化方向が反平行となるフェリ磁
性状態になっており、また、前記第1フリー磁性層85
と前記第2フリー磁性層8が、前記非磁性材料層86を
介して積層されたものが、一つのフリー磁性層Fとして
機能している。
【0393】前記フリー磁性層Fの、両側端部付近の磁
化方向が乱れている領域は、再生感度が悪く実質的に磁
気抵抗効果を発揮し得ない不感領域となっている。
【0394】この実施例においても、前記多層膜202
の感度領域Eと不感領域Dを、マイクロトラックプロフ
ァイル法によって測定し、図22に示すように、幅寸法
T64の多層膜202の領域が感度領域Eであり、幅寸
法T65の領域が不感領域Dである。
【0395】前記感度領域Eでは、固定磁性層Pの磁化
方向が、適正に図示Y方向に平行な方向に固定され、し
かもフリー磁性層Fの磁化が適正に図示X方向に揃えら
れており、固定磁性層Pとフリー磁性層Fの磁化が直交
関係にある。そして記録媒体からの外部磁界に対し、前
記フリー磁性層Fの磁化が感度良く変動し、この磁化方
向の変動と、固定磁性層Pの固定磁化方向との関係で電
気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変
化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0396】そして前記多層膜202の両側に形成され
た電極層134,134は、前記多層膜202上にまで
延ばされて形成され、前記電極層134,134が形成
されていない多層膜202の上面の幅寸法が、光学的ト
ラック幅寸法O−Twである。
【0397】また上面が電極層134,134に覆われ
ていない感度領域Eの幅寸法で決定される磁気的トラッ
ク幅寸法M−Twは、前記感度領域Eと同じ幅寸法T6
4である。
【0398】この実施例では、多層膜202上に形成さ
れる電極層134,134が、完全に不感領域Dを覆っ
て、光学的トラック幅寸法O−Twと磁気的トラック幅
寸法M−Tw(=感度領域Eの幅寸法)とがほぼ同じ幅
寸法で形成されている。
【0399】ただし、多層膜202上に形成される電極
層134,134が、完全に不感領域Dを覆わずにそれ
よりも短く形成されてもよい。このとき、光学的トラッ
ク幅寸法O−Twは、磁気的トラック幅寸法M−Twよ
りも大きく形成される。
【0400】これにより本発明では、ハードバイアス層
89,89を介さずに、多層膜202内に前記電極層1
34,134からのセンス電流を流す割合を多くするこ
とができる。
【0401】また、電極層134,134が不感領域D
上に延ばされて形成されると、センス電流が不感領域D
に流れ込みノイズを発生させることを抑えることができ
る。
【0402】また、図22では、前記多層膜202の最
上層に前記保護層15は形成されず、前記反強磁性層8
0上に直接前記絶縁層133が形成され、この前記絶縁
層133が酸化防止用の保護層の役割も果たしている。
また、前記電極層134,134は、直接前記反強磁性
層80と接合している。
【0403】従って、前記保護層15上に前記電極層1
34,134が積層される場合よりも、電気抵抗を低下
させることができ、磁気抵抗効果素子の特性を向上させ
ることができる。
【0404】図22の磁気抵抗効果素子を、後述する製
造方法を用いて形成すると、前記多層膜202の不感領
域上に延ばされた前記電極層134の前記絶縁層135
の両側面部に接している前端面134aと、前記反強磁
性層80の表面80aとがなす角度θ22を60度以
上、さらには、90度以上にすることができる。したが
って、電極層134の先端部まで、常に一定量のセンス
電流を流すことができる。つまり、センス電流が分流し
て不感領域に流れ込みノイズを発生させることを、図1
2に示された磁気抵抗効果素子よりも効果的に、抑える
ことができる。
【0405】また、図22の磁気抵抗効果素子では、後
述する製造方法を用いることにより、前記絶縁層135
の前記多層膜202上での位置を正確に設定することが
できるので、前記電極層134が不感領域を越えて延び
てしまうことを防ぐことができ、磁気抵抗効果素子が実
際に磁界を検出できる領域が狭くなることを防ぐことが
できる。
【0406】なお図22に示すように、多層膜202の
不感領域D上に延ばされて形成された電極層134の幅
寸法T66は、具体的には0μmより大きく0.08μ
m以下であることが好ましい。また、電極層134の幅
寸法T66は、0.05μm以上0.08μm以下であ
ることがより好ましい。
【0407】また、図22では、前記多層膜202と前
記ハードバイアス層89,89との磁気的接続面M,M
が、前記第1フリー磁性層85と前記第2フリー磁性層
87の側面のうち、前記第2フリー磁性層87の側面と
のみ重なり合っている。
【0408】なお、図22の磁気抵抗効果素子を後述す
る製造方法を用いて形成することにより、図22の磁気
抵抗効果素子の前記多層膜202の側面と前記絶縁層1
35の側面は平行になっている。
【0409】図23は、他の本発明における磁気抵抗効
果素子をABS面側から見た断面図である。
【0410】図23の磁気抵抗効果素子は、図13に示
された磁気抵抗効果素子と同じ構成の多層膜203上
に、Al23などからなる絶縁層137が積層され、前
記絶縁層137の両側面部に、電極層136,136の
前端面136a,136aが接しているものである。
【0411】前記多層膜203の膜構成および材料は、
図13に示された磁気抵抗効果素子と同一である。ただ
し、図23では、多層膜の最上層に保護層15が形成さ
れていない。
【0412】また、図示X方向に延ばされて形成された
反強磁性層100の幅寸法T67上に積層された金属膜
113,113、ハードバイアス層114,114、中
間層115,115の膜構成及び材料も図13の磁気抵
抗効果素子と同一である。
【0413】また、前記第1固定磁性層103と前記第
2固定磁性層101の磁化方向は、反平行となるフェリ
磁性状態になっており、前記第1固定磁性層103と前
記第2固定磁性層101とが互いに他方の磁化方向を固
定しあい、全体として固定磁性層P1の磁化方向を一定
方向に安定させている。さらに、前記第3固定磁性層1
09と前記第4固定磁性層111の磁化方向も、反平行
となるフェリ磁性状態になっている。
【0414】また、図23の磁気抵抗効果素子は、磁気
モーメントが異なる前記第1フリー磁性層105と前記
第2フリー磁性層107の磁化方向が反平行となるフェ
リ磁性状態になっており、また、前記第1フリー磁性層
105と前記第2フリー磁性層107が、前記非磁性材
料層106を介して積層されたものが、一つのフリー磁
性層Fとして機能している。
【0415】前記フリー磁性層Fの、両側端部付近の磁
化方向が乱れている領域は、再生感度が悪く実質的に磁
気抵抗効果を発揮し得ない不感領域となっている。
【0416】この実施例においても、前記多層膜203
の感度領域Eと不感領域Dを、マイクロトラックプロフ
ァイル法によって測定し、図23に示すように、幅寸法
T68の多層膜203の領域が感度領域Eであり、幅寸
法T69の領域が不感領域Dである。
【0417】前記感度領域Eでは、固定磁性層P1、P2
の磁化方向が、適正に図示Y方向に平行な方向に固定さ
れ、しかもフリー磁性層Fの磁化が適正に図示X方向に
揃えられており、固定磁性層P1、P2とフリー磁性層F
の磁化が直交関係にある。そして記録媒体からの外部磁
界に対し、前記フリー磁性層Fの磁化が感度良く変動
し、この磁化方向の変動と、固定磁性層P1、P2の固定
磁化方向との関係で電気抵抗が変化し、この電気抵抗値
の変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの洩れ磁
界が検出される。
【0418】そして前記多層膜203の両側に形成され
た電極層136,136は、前記多層膜203上にまで
延ばされて形成され、前記電極層136,136が形成
されていない多層膜203の上面の幅寸法が、光学的ト
ラック幅寸法O−Twである。
【0419】また上面が電極層136,136に覆われ
ていない感度領域Eの幅寸法で決定される磁気的トラッ
ク幅寸法M−Twは、前記感度領域Eと同じ幅寸法T6
8である。
【0420】この実施例では、多層膜203上に形成さ
れる電極層136,136が、完全に不感領域Dを覆っ
て、光学的トラック幅寸法O−Twと磁気的トラック幅
寸法M−Tw(=感度領域Eの幅寸法)とがほぼ同じ幅
寸法で形成されている。
【0421】ただし、多層膜203上に形成される電極
層136,136が、完全に不感領域Dを覆わずにそれ
よりも短く形成されてもよい。このとき、光学的トラッ
ク幅寸法O−Twは、磁気的トラック幅寸法M−Twよ
りも大きく形成される。
【0422】これにより本発明では、ハードバイアス層
114を介さずに、多層膜203内に前記電極層13
6,136からのセンス電流を流す割合を多くすること
ができる。
【0423】また、電極層136,136が不感領域D
上に延ばされて形成されると、センス電流が不感領域D
に流れ込みノイズを発生させることを抑えることができ
る。
【0424】また、図23では、前記多層膜203の最
上層に前記保護層15は形成されず、前記反強磁性層1
12上に直接前記絶縁層137が形成され、この前記絶
縁層137が酸化防止用の保護層の役割も果たしてい
る。また、前記電極層136,136は、直接前記反強
磁性層112と接合している。
【0425】従って、前記保護層15上に前記電極層1
36,136が積層される場合よりも、電気抵抗を低下
させることができ、磁気抵抗効果素子の特性を向上させ
ることができる。
【0426】図23の磁気抵抗効果素子を、後述する製
造方法を用いて形成すると、前記多層膜203の不感領
域上に延ばされた前記電極層136の前記絶縁層137
の両側面部に接している前端面136aと、前記反強磁
性層112の表面112aとがなす角度θ23を60度
以上、さらには、90度以上にすることができる。した
がって、電極層136の先端部まで、常に一定量のセン
ス電流を流すことができる。つまり、センス電流が分流
して不感領域に流れ込みノイズを発生させることを、図
13に示された磁気抵抗効果素子よりも効果的に、抑え
ることができる。
【0427】一方、図23の磁気抵抗効果素子では、後
述する製造方法を用いることにより、前記絶縁層137
の前記多層膜203上での位置を正確に設定することが
できるので、前記電極層136,136が不感領域を越
えて延びてしまうことを防ぐことができ、磁気抵抗効果
素子が実際に磁界を検出できる領域が狭くなることを防
ぐことができる。
【0428】なお図23に示すように、多層膜203の
不感領域D上に延ばされて形成された電極層136の幅
寸法T70は、具体的には0μmより大きく0.08μ
m以下であることが好ましい。また、電極層136の幅
寸法T70は、0.05μm以上0.08μm以下であ
ることがより好ましい。
【0429】また、図23では、前記多層膜203と前
記ハードバイアス層114,114との磁気的接続面
M,Mが、前記第1フリー磁性層105と前記第2フリ
ー磁性層107の側面のうち、前記第1フリー磁性層1
05の側面とのみ重なり合っている。
【0430】なお、図23の磁気抵抗効果素子を後述す
る製造方法を用いて形成することにより、図23の磁気
抵抗効果素子の前記多層膜203の側面と前記絶縁層1
37の側面は平行になっている。
【0431】図24は、他の本発明における磁気抵抗効
果素子をABS面側から見た断面図である。
【0432】図24の磁気抵抗効果素子は、図14に示
された磁気抵抗効果素子と同じ構成の多層膜61上に、
Al23などからなる絶縁層141が積層され、前記絶
縁層141の両側面部に、電極層140,140の前端
面140a,140aが接しているものである。
【0433】前記多層膜61の膜構成および材料は、図
14に示された磁気抵抗効果素子と同一である。ただ
し、図24では、多層膜の最上層に保護層55が形成さ
れていない。
【0434】また、ハードバイアス層56,56、中間
層57,57の膜構成及び材料も図14の磁気抵抗効果
素子と同一である。
【0435】この実施例においても、前記多層膜61の
感度領域Eと不感領域Dを、マイクロトラックプロファ
イル法によって測定し、図24に示すように、幅寸法T
19の多層膜61の領域が感度領域Eであり、幅寸法T
20の領域が不感領域Dである。
【0436】そして前記多層膜61の両側に形成された
電極層140,140は、前記多層膜61上にまで延ば
されて形成され、前記電極層140,140が形成され
ていない多層膜61の上面の幅寸法が、光学的トラック
幅寸法O−Twである。
【0437】また上面が電極層140,140に覆われ
ていない感度領域Eの幅寸法で決定される磁気的トラッ
ク幅寸法M−Twは、前記感度領域Eと同じ幅寸法T1
9である。
【0438】この実施例では、多層膜61上に形成され
る電極層140,140が、完全に不感領域Dを覆っ
て、光学的トラック幅寸法O−Twと磁気的トラック幅
寸法M−Tw(=感度領域Eの幅寸法)とがほぼ同じ幅
寸法で形成されている。
【0439】ただし、多層膜61上に形成される電極層
140,140が、完全に不感領域Dを覆わずに、それ
よりも短く形成されてもよい。このとき、光学的トラッ
ク幅寸法O−Twは、磁気的トラック幅寸法M−Twよ
りも大きく形成される。
【0440】これにより本発明では、ハードバイアス層
56,56を介さずに、多層膜61内に前記電極層14
0,140からのセンス電流を流す割合を多くすること
ができる。
【0441】また、電極層140,140が不感領域D
上に延ばされて形成されると、センス電流が不感領域D
に流れ込みノイズを発生させることを抑えることができ
る。
【0442】また、図24では、前記多層膜61の最上
層に前記保護層55は形成されず、前記磁気抵抗層54
上に直接前記絶縁層141が形成され、この前記絶縁層
141が酸化防止用の保護層の役割も果たしている。ま
た、前記電極層140,140は、直接前記磁気抵抗層
54と接合している。
【0443】従って、前記保護層55上に前記電極層1
40,140が積層される場合よりも、電気抵抗を低下
させることができ、磁気抵抗効果素子の特性を向上させ
ることができる。
【0444】図24の磁気抵抗効果素子を、後述する製
造方法を用いて形成すると、前記多層膜61の不感領域
上に延ばされた前記電極層140の前記絶縁層141の
両側面部に接している前端面140aと、前記磁気抵抗
層54の表面54aとがなす角度θ24を60度以上、
さらには、90度以上にすることができる。したがっ
て、電極層140の先端部まで、常に一定量のセンス電
流を流すことができる。つまり、センス電流が分流して
不感領域に流れ込みノイズを発生させることを、図14
に示された磁気抵抗効果素子よりも効果的に、抑えるこ
とができる。
【0445】また、図24の磁気抵抗効果素子では、後
述する製造方法を用いることにより、前記絶縁層141
の前記多層膜61上での位置を正確に設定することがで
きるので、前記電極層140が不感領域を越えて延びて
しまうことを防ぐことができ、磁気抵抗効果素子が実際
に磁界を検出できる領域が狭くなることを防ぐことがで
きる。
【0446】なお図24に示すように、多層膜61の不
感領域D上に延ばされて形成された電極層140の幅寸
法T71は、具体的には0μmより大きく0.08μm
以下であることが好ましい。また、電極層140の幅寸
法T71は、0.05μm以上0.08μm以下である
ことがより好ましい。
【0447】このAMR素子では、ハードバイアス層5
6,56が図示X方向に磁化されており、このハードバ
イアス層56,56により磁気抵抗層54にX方向のバ
イアス磁界が与えられる。さらに軟磁性層52から磁気
抵抗層54に図示Y方向のバイアス磁界が与えられる。
磁気抵抗層54にX方向とY方向のバイアス磁界が与え
られることにより、磁気抵抗層54の磁界変化に対する
磁化変化が直線性を有する状態に設定される。
【0448】電極層140,140からのセンス電流
は、感度領域Eの磁気抵抗層54に直接与えられる。記
録媒体の走行方向はZ方向であり、記録媒体からの洩れ
磁界がY方向に与えられると、磁気抵抗層54の磁化方
向が変化することにより、抵抗値が変化し、これが電圧
変化として検出される。
【0449】なお、図24の磁気抵抗効果素子を後述す
る製造方法を用いて形成することにより、図24の磁気
抵抗効果素子の前記多層膜61の側面と前記絶縁層14
1の側面は平行になっている。
【0450】また、図20から図24に示された磁気抵
抗効果素子は、電極層間に絶縁層が形成されているので
上面がなだらかになり、前記保護層、フリー磁性層、ま
たは反強磁性層の表面と前記電極層の前端面とがなす角
度が大きくなっても、前記多層膜及び前記電極層上に、
軟磁性材料からなる上部シールド層を積層したときに、
前記電極層と前記上部シールド層との短絡が生じにくく
なる。
【0451】次に図20から図24に示された磁気抵抗
効果素子の製造方法について図面を参照しながら説明す
る。
【0452】まず図25に示すように、基板150上
に、磁気抵抗効果素子の多層膜151を成膜し、この多
層膜151上にAl23などを用いて、絶縁層152を
成膜する。なおこの多層膜151は、図20、図21、
図22に示すシングルスピンバルブ型薄膜素子の多層
膜、図23に示すデュアルスピンバルブ型薄膜素子の多
層膜、あるいは図24に示すAMR素子の多層膜のいず
れであってもよい。
【0453】また図20、図21、図23に示すスピン
バルブ型薄膜素子のように、反強磁性層70、80、ま
たは100を図示X方向に長く形成するには、図26に
示す多層膜151及び絶縁層152の側面をエッチング
で削り取る段階で、反強磁性層70、80、又は100
の側面を削り取らず残るようにエッチングレート及びエ
ッチング時間を制御すればよい。
【0454】なお前記多層膜151を、シングルスピン
バルブ型薄膜素子あるいはデュアルスピンバルブ型薄膜
素子の多層膜で形成する場合、前記多層膜151を構成
する反強磁性層を、PtMn合金により形成することが
好ましく、またはX―Mn(ただしXは、Pd,Ir,
Rh,Ruのいずれか1種または2種以上の元素であ
る)あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,
Ir,Rh,Ru,Au,Agのいずれか1種または2
種以上の元素である)で形成してもよい。前記反強磁性
層を上述した材質で形成する場合、固定磁性層との界面
で交換結合磁界を発生させるには熱処理を施す必要があ
る。
【0455】そして予め、図31に示すように、多層膜
の両側にのみハードバイアス層と電極層が形成された従
来型(例えば図33参照)の磁気抵抗効果素子を用い、
この磁気抵抗効果素子の多層膜の上面の幅寸法Aを光学
顕微鏡にて測定する。次に、前記磁気抵抗効果素子を、
ある信号が記録された微小トラック上でトラック幅方向
にて走査させ、再生出力を検出し、この再生出力のう
ち、最大出力の50%以上の再生出力を発する上面の幅
寸法がBの領域を感度領域Eと、最大出力の50%以下
の再生出力を発する上面の幅寸法がCの領域を不感領域
Dと定義する。
【0456】この測定結果に基づき、マイクロトラック
プロファイル法によって予めわかっている不感領域Dの
幅寸法Cを考慮しながら、絶縁層152上にリフトオフ
用のレジスト層153を形成する。
【0457】図25に示すように、前記レジスト層15
3には、その下面に切り込み部153a,153aが形
成されている。レジスト層153は、後の工程で絶縁層
152をエッチングするときのマスクとなる。絶縁層1
52がエッチングされた後に、この絶縁層152の底面
が多層膜151の感度領域E上を完全に覆うことができ
るように、レジスト層153を調節して積層する。切り
込み部153a,153aは、多層膜151のうち主に
不感領域D上に形成されるが、エッチング後にレジスト
層153の側面が傾斜面となるときには、この傾斜面を
考慮して切り込み部153a,153aを若干感度領域
E上にまで延長してもよい。
【0458】次に図26に示す工程では、エッチングに
より多層膜151及び絶縁層152の両側を削り込む。
【0459】次に図27に示す工程では、アルカリ溶液
によってAl23からなる絶縁層152のみをエッチン
グすることにより、多層膜151の不感領域D上を露出
させる。このとき、多層膜151を構成する各層はアル
カリ溶液によって溶出しない。図27の状態では、この
絶縁層152の底面が多層膜151の感度領域E上を完
全に覆っている。
【0460】アルカリ溶液によってAl23からなる絶
縁層152をエッチングすると、絶縁層152の側面は
前記多層膜151の側面と平行にされた状態を維持して
エッチングされるので、エッチング後の絶縁層152の
側面と多層膜151の側面は平行になる。
【0461】なお、図21に示された磁気抵抗効果素子
を製造する場合には、前記多層膜151の最上層に保護
層を形成しておき、この保護層上に絶縁層152、レジ
スト層153を順次積層する。さらに、図27の工程の
後で、前記レジスト層153の切り込み部153a,1
53aの下になり前記絶縁層152によって覆われてい
ない前記保護層の部分を斜め方向から入射するイオンミ
リングによって除去して、前記保護層の下層を露出させ
ておく。
【0462】さらに図28に示す工程では、前記多層膜
151の両側にハードバイアス層154,154を成膜
する。本発明では、このハードバイアス層154,15
4の成膜及び次の工程で行われる電極層156の成膜の
際に使用されるスパッタ法は、イオンビームスパッタ
法、ロングスロースパッタ法、あるいはコリメーション
スパッタ法のいずれか1種以上であることが好ましい。
【0463】図28に示すように本発明では、多層膜1
51の形成された基板150を、ハードバイアス層15
4,154の組成で形成されたターゲット155に対し
垂直方向に置き、これにより例えばイオンビームスパッ
タ法を用いることで、前記多層膜151に対し垂直方向
からハードバイアス層154,154を成膜することが
できる。ハードバイアス層154,154が多層膜15
1と接する面付近は、レジスト層153の両端部によっ
て覆われているので、スパッタ粒子が積層されにくい。
従って、ハードバイアス層154,154の多層膜15
1と接する面付近は膜厚が薄く形成され、ハードバイア
ス層154,154の上面は、多層膜151付近で、図
示下方方向に傾斜あるいは湾曲している。なお図28に
示すように、レジスト層153上にも前記ハードバイア
ス層154と同じ組成の層154aが形成される。
【0464】なお、図28の工程において、前記多層膜
151と前記バイアス層154,154との磁気的接続
面の上縁部及び/又は下縁部の媒体走行方向(図示Z方
向)の高さ位置が、前記フリー磁性層又は前記磁気抵抗
効果層の上面及び/又は下面の媒体走行方向の高さ位置
とが等しくなるように、ハードバイアス層154、15
4を形成することが好ましい。
【0465】前記ハードバイアス層154,154は、
前記フリー磁性層又は前記磁気抵抗効果層とのみ磁気的
に接続されていればよい。特に、前記ハードバイアス層
154,154が、前記固定磁性層と磁気的に接続され
ていなければ、前記バイアス層から発生する磁界が前記
固定磁性層の磁化方向に影響を与えることを抑えること
ができる。
【0466】さらに、前記多層膜151が、図20から
図23に示された薄膜素子の多層膜のように、前記フリ
ー磁性層が、磁気モーメントが異なる複数の軟磁性薄膜
が非磁性材料層を介して積層されたものであるときに
は、前記多層膜151と前記ハードバイアス層154,
154との磁気的接続面が前記フリー磁性層を構成する
複数の軟磁性薄膜の側面のうち、一つの軟磁性薄膜の側
面とのみ重なり合うように、前記ハードバイアス層15
4,154を形成することが好ましい。
【0467】前記多層膜151と前記ハードバイアス層
154,154との磁気的接続面が前記フリー磁性層を
構成する複数の軟磁性薄膜の側面のうち、一つの軟磁性
薄膜の側面とのみ重なりあっていると、前記軟磁性薄膜
の両端部において磁化方向が乱れることを防ぐことがで
きる。
【0468】次に図29に示す工程では、前記多層膜1
51に対し斜め方向から前記ハードバイアス層154,
154上に電極層156,156を成膜し、この際、前
記電極層156,156を、多層膜151上に設けられ
た前記レジスト層153の下面に形成された切り込み部
153a,153a内にまで成膜する。
【0469】例えば図29に示すように、多層膜151
が形成された基板150に対し、電極層156の組成で
形成されたターゲット157を斜めに傾けて、前記ター
ゲット157を前記基板150上で移動させながら、イ
オンビームスパッタ法により前記電極層156,156
をハードバイアス層154,154上に成膜する。この
とき、斜め方向からスパッタされる電極層156は、ハ
ードバイアス層154,154上のみならず、絶縁層1
52の上に形成されたレジスト層153の切り込み部1
53a内にも侵入し成膜される。
【0470】すなわち、前記切り込み部153a,15
3a内に成膜された電極層156,156は、多層膜1
51の不感領域D上を覆う位置に成膜される。
【0471】さらに、前記電極層156,156の前端
面156bは前記絶縁層152の両側面部に接する。
【0472】なお図29では、基板150を固定し、タ
ーゲット157側を前記基板150に対し斜め方向に移
動させているが、ターゲット157を固定して基板15
0側を、前記ターゲット157に対し斜め方向に移動さ
せてもよい。また図29に示すように、レジスト層15
3の上に形成された層154a上には、電極層156と
同じ組成の層156aが成膜される。
【0473】なお、前記多層膜151の最上層に形成さ
れた前記保護層の下層を露出させておいた場合には、図
21に示される薄膜磁気素子のように、前記電極層15
6,156は前記保護層の下層のフリー磁性層上に形成
される。
【0474】そして図30に示す工程では、図29に示
すレジスト層153を、レジスト剥離液を用いながらリ
フトオフによって除去し、これによって多層膜151の
うち不感領域D上にまで電極層156,156が成膜さ
れ、前記電極層156,156間に絶縁層152が形成
された磁気抵抗効果素子が完成する。
【0475】なお、前記電極層156,156を成膜す
る工程において、前記多層膜151の不感領域D上に延
ばされた前記電極層156の前記絶縁層152の両側面
部に接している前端面156bと、前記多層膜151の
表面151aとがなす角度θを60度以上、さらには、
90度以上にすることができる。したがって、電極層1
56の先端部まで、常に一定量のセンス電流を流すこと
ができる。つまり、センス電流が分流して不感領域に流
れ込みノイズを発生させることを、図1から図14に示
された磁気抵抗効果素子よりも効果的に、抑えることの
できる磁気抵抗効果素子を製造できる。
【0476】また、前記絶縁層152の前記多層膜15
1上での位置を正確に設定することができるので、前記
電極層156,156が不感領域を越えて延びてしまう
ことを防ぐことができ、磁気抵抗効果素子が実際に磁界
を検出できる領域が狭くなることを防ぐことができる。
【0477】
【実施例】本発明では、磁気抵抗効果素子を構成する多
層膜上にまで延ばして形成された部分の各電極層の幅寸
法と、直流抵抗(DCR)及びノイズ発生率との関係に
ついて測定した。
【0478】実験に使用した磁気抵抗効果素子は、図5
に示すスピンバルブ型薄膜素子であり、前記磁気抵抗効
果素子を構成する多層膜の上面の幅寸法を1.4μmで
形成した。
【0479】そして、前記多層膜の両側に形成される電
極層を、前記多層膜上にまで延ばして形成するが、この
とき、多層膜上に延ばされて形成される電極層の幅寸法
を0.00μmから0.12μmまで0.01μmずつ
大きくして形成された複数の磁気抵抗効果素子を製造
し、各磁気抵抗効果素子における電極層の多層膜上に延
ばされた幅寸法と直流抵抗及びノイズ発生率との関係に
ついて測定した。その実験結果を図32に示す。
【0480】図32に示すように、多層膜上に延ばされ
て形成された各電極層の幅寸法が長くなれば、直流抵抗
値は小さくなっていくことがわかる。これは、多層膜上
に電極層を形成し、その幅寸法を前記多層膜上で延ばし
て形成すれば、前記多層膜の側部付近に形成される不感
領域D上を前記電極層で覆うことができ、前記電極層か
らのセンス電流を、より有効に感度領域Eに流すことが
できること、及び、多層膜との接合面積を大きくできる
ことから、直接抵抗値を低減できるものと考えられる。
【0481】特に図32に示すように、多層膜上に延ば
して形成される電極層の幅寸法を0.08μm以下にす
れば、多層膜上に全く電極層を形成しない場合の直流抵
抗値(電極層の幅寸法=0μmの際の直流抵抗値)に比
べて直流抵抗値を低減でき、且つ再生出力にノイズが発
生しないことがわかる。
【0482】ただし、前記多層膜上に形成される電極層
の幅寸法をあまり長くしすぎると、再生出力にノイズが
発生することがわかる。
【0483】図32に示すように、多層膜上に延ばされ
て形成される電極層の幅寸法が0.08μm以上になる
と、ノイズの発生率が大きくなっているが、これは多層
膜の縁部から0.08μmの領域までが不感領域Dであ
り、前記多層膜上に0.08μm以上の幅寸法の有する
電極層が形成されると、この電極部が、感度領域E上に
までも形成されることになるからである。すなわち感度
領域Eは有効に磁気抵抗効果を発揮し得るにも係らず、
前記感度領域Eのうち、上面に電極層が形成された部分
の感度領域Eは、磁気的トラック幅寸法M−Twから外
れた位置に存するために、この部分で再生された出力は
ノイズとなって発生しまうのである。この実験結果か
ら、多層膜上に延ばして形成される電極層は、不感領域
D上までで感度領域E上にまで形成されないことが好ま
しいとわかる。
【0484】以上により本発明では、多層膜上に形成さ
れる電極層の幅寸法を0μmより大きく0.08μm以
下の範囲内で形成することが好ましいとした。
【0485】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、多層膜の
両側に形成される電極層を、前記多層膜のうち、磁気抵
抗効果が悪く実質的に再生機能を有しない、多層膜の両
側付近に形成される感度領域上にまで延ばして形成する
ことにより、電極層からのセンス電流を、ハードバイア
ス層を介さずに、多層膜に流しやすくなり、しかも多層
膜との接合面積を大きくできるから、直流抵抗を低減で
き、再生特性を向上させることができる。
【0486】また本発明では、リフトオフ用のレジスト
層を用い、イオンビームスパッタ法等によって、前記多
層膜の不感領域上に確実にしかも容易に電極層を延ばし
て形成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の磁気抵抗効果素子の構
造を示す部分断面図、
【図2】本発明の第2実施形態の磁気抵抗効果素子の構
造を示す部分断面図、
【図3】本発明の第3実施形態の磁気抵抗効果素子の構
造を示す部分断面図、
【図4】本発明の第4実施形態の磁気抵抗効果素子の構
造を示す部分断面図、
【図5】本発明の第5実施形態の磁気抵抗効果素子の構
造を示す部分断面図、
【図6】本発明の第6実施形態の磁気抵抗効果素子の構
造を示す部分断面図、
【図7】本発明の第7実施形態の磁気抵抗効果素子の構
造を示す部分断面図、
【図8】本発明の第8実施形態の磁気抵抗効果素子の構
造を示す部分断面図、
【図9】本発明の第9実施形態の磁気抵抗効果素子の構
造を示す部分断面図、
【図10】本発明の第10実施形態の磁気抵抗効果素子
の構造を示す部分断面図、
【図11】本発明の第11実施形態の磁気抵抗効果素子
の構造を示す部分断面図、
【図12】本発明の第12実施形態の磁気抵抗効果素子
の構造を示す部分断面図、
【図13】本発明の第13実施形態の磁気抵抗効果素子
の構造を示す部分断面図、
【図14】本発明の第14実施形態の磁気抵抗効果素子
の構造を示す部分断面図、
【図15】本発明における磁気抵抗効果素子の製造方法
を示す一工程図、
【図16】図15の工程の次に行われる一工程図、
【図17】図16の工程の次に行われる一工程図、
【図18】図17の工程の次に行われる一工程図、
【図19】図18の工程の次に行われる一工程図、
【図20】本発明の第15実施形態の磁気抵抗効果素子
の構造を示す部分断面図、
【図21】本発明の第16実施形態の磁気抵抗効果素子
の構造を示す部分断面図、
【図22】本発明の第17実施形態の磁気抵抗効果素子
の構造を示す部分断面図、
【図23】本発明の第18実施形態の磁気抵抗効果素子
の構造を示す部分断面図、
【図24】本発明の第19実施形態の磁気抵抗効果素子
の構造を示す部分断面図、
【図25】本発明における磁気抵抗効果素子の製造方法
を示す一工程図、
【図26】図25の工程の次に行われる一工程図、
【図27】図26の工程の次に行われる一工程図、
【図28】図27の工程の次に行われる一工程図、
【図29】図28の工程の次に行われる一工程図、
【図30】図29の工程の次に行われる一工程図、
【図31】磁気抵抗効果素子の多層膜に占める感度領域
と不感領域Dの測定方法を示す測定図、
【図32】多層膜の上に形成された電極層の幅寸法と直
流抵抗値及びノイズ発生率との関係を示すグラフ、
【図33】従来の磁気抵抗効果素子の構造を示す部分断
面図、
【符号の説明】
11、30、41、47 反強磁性層 12、31、42、46 固定磁性層 13、32、43、45 非磁性導電層 14、33、44 フリー磁性層 16、20、21、35、40、48、60、61、6
2、161 多層膜 17、37、49、56、163 ハードバイアス層 18、39、51、58、165 電極層 36 金属層 38、50、57 中間層 52 軟磁性層(SAL層) 53 非磁性層(SHUNT層) 54 、磁気抵抗層(MR層) 162 リフトオフ用レジスト層 162a 切り込み部 164、166 ターゲット D 不感領域 E 感度領域 M−Tw 磁気的トラック幅寸法 O−Tw 光学的トラック幅寸法
フロントページの続き (72)発明者 柿原 芳彦 東京都大田区雪谷大塚1番7号 アルプス 電気株式会社社内 (72)発明者 青木 大悟 東京都大田区雪谷大塚1番7号 アルプス 電気株式会社社内 Fターム(参考) 5D034 BA05 BA08 BA17 CA00 CA08 DA07

Claims (44)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反強磁性層と、この反強磁性層と接して
    形成され、前記反強磁性層との交換異方性磁界により磁
    化方向が固定される固定磁性層と、前記固定磁性層に非
    磁性導電層を介して形成されたフリー磁性層とを有する
    多層膜と、この多層膜の両側に形成され、前記フリー磁
    性層の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交叉する
    方向へ揃える一対のバイアス層と、このバイアス層上に
    形成され、固定磁性層と非磁性導電層とフリー磁性層に
    検出電流を与える一対の導電層とが設けられて成る磁気
    抵抗効果素子において、前記多層膜は、再生感度に優
    れ、実質的に磁気抵抗効果を発揮し得る中央部分の感度
    領域と、前記感度領域の両側に形成され、再生感度が悪
    く実質的に磁気抵抗効果を発揮し得ない不感領域とで構
    成されており、多層膜の両側に形成された電極層は、前
    記多層膜の不感領域上にまで延ばされて形成されている
    ことを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  2. 【請求項2】 前記多層膜は、下から反強磁性層、固定
    磁性層、非磁性導電層、及びフリー磁性層の順で積層さ
    れ、前記反強磁性層は、その上に形成された前記各層の
    両側の領域に延びており、この両側領域の反強磁性層上
    に、金属膜を介して一対のバイアス層及び電極層が積層
    されている請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
  3. 【請求項3】 フリー磁性層と、前記フリー磁性層の上
    下に形成された非磁性導電層と、一方の非磁性導電層の
    上及び他方の非磁性導電層の下に形成され、磁化方向が
    固定されている固定磁性層と、一方の固定磁性層の上及
    び他方の固定磁性層の下に形成された反強磁性層とを有
    する多層膜と、前記多層膜の両側に形成され、前記フリ
    ー磁性層の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と交叉
    する方向へ揃える一対のバイアス層と、このバイアス層
    上に形成され、固定磁性層と非磁性導電層とフリー磁性
    層に検出電流を与える一対の導電層とが設けられて成る
    磁気抵抗効果素子において、前記多層膜は、再生感度に
    優れ、実質的に磁気抵抗効果を発揮し得る中央部分の感
    度領域と、前記感度領域の両側に形成され、再生感度が
    悪く実質的に磁気抵抗効果を発揮し得ない不感領域とで
    構成されており、多層膜の両側に形成された電極層は、
    前記多層膜の不感領域上にまで延ばされて形成されてい
    ることを特徴とする磁気抵抗効果素子。
  4. 【請求項4】 前記フリー磁性層は、磁気モーメントの
    大きさが異なる複数の軟磁性薄膜が、非磁性材料層を介
    して積層され、前記非磁性材料層を介して隣接する前記
    軟磁性薄膜の磁化方向が反平行となるフェリ磁性状態で
    ある請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気抵抗効果
    素子。
  5. 【請求項5】 前記多層膜と前記バイアス層との磁気的
    接続面が前記フリー磁性層を構成する複数の軟磁性薄膜
    の側面の内、一つの軟磁性薄膜の側面とのみ重なり合っ
    ている請求項4に記載の磁気抵抗効果素子。
  6. 【請求項6】 前記固定磁性層は、磁気モーメントの大
    きさが異なる複数の軟磁性薄膜が、非磁性材料層を介し
    て積層され、前記非磁性材料層を介して隣接する前記軟
    磁性薄膜の磁化方向が反平行となるフェリ磁性状態であ
    る請求項1ないし5のいずれかに記載の磁気抵抗効果素
    子。
  7. 【請求項7】 前記非磁性材料層は、Ru、Rh、I
    r、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の合
    金で形成されている請求項4ないし6のいずれかに記載
    の磁気抵抗効果素子。
  8. 【請求項8】 前記反強磁性層は、PtMn合金により
    形成されている請求項1ないし7のいずれかに記載の磁
    気抵抗効果素子。
  9. 【請求項9】 前記反強磁性層は、X―Mn(ただしX
    は、Pd,Ir,Rh,Ruのいずれか1種または2種
    以上の元素である)合金で形成されている請求項1ない
    し7のいずれかに記載の磁気抵抗効素子。
  10. 【請求項10】 前記反強磁性層は、Pt―Mn―X′
    (ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag
    のいずれか1種または2種以上の元素である)合金で形
    成されている請求項1ないし請求項7のいずれかに記載
    の磁気抵抗効果素子。
  11. 【請求項11】 非磁性層を介して重ねられた磁気抵抗
    効果層と軟磁性層とを有する多層膜と、この多層膜の両
    側に形成された一対のバイアス層と、このバイアス層の
    上に形成された一対の電極層とを有して成る磁気抵抗効
    果素子において、前記多層膜は、再生感度に優れ、実質
    的に磁気抵抗効果を発揮し得る中央部分の感度領域と、
    前記感度領域の両側に形成され、再生感度が悪く実質的
    に磁気抵抗効果を発揮し得ない不感領域とで構成されて
    おり、多層膜の両側に形成された電極層は、前記多層膜
    の不感領域上にまで延ばされて形成されていることを特
    徴とする磁気抵抗効果素子。
  12. 【請求項12】 前記多層膜と前記バイアス層との磁気
    的接続面の上縁部及び/又は下縁部の媒体走行方向の高
    さ位置が、前記フリー磁性層又は前記磁気抵抗効果層の
    上面及び/又は下面の媒体走行方向の高さ位置とが等し
    い請求項1ないし11のいずれかに記載の磁気抵抗効果
    素子。
  13. 【請求項13】 前記多層膜の最上層に保護層が形成さ
    れている請求項1ないし12のいずれかに記載の磁気抵
    抗効果素子。
  14. 【請求項14】 前記多層膜上の前記電極層と接合して
    いない部分に前記保護層が形成されている請求項13に
    記載の磁気抵抗効果素子。
  15. 【請求項15】 前記多層膜の感度領域は、電極層が多
    層膜の両側にのみ形成された磁気抵抗効果素子を、ある
    信号が記録された微小トラック上にトラック幅方向で走
    査させた場合に、得られた再生出力のうち最大出力の5
    0%以上の出力が得られた領域として定義され、また前
    記多層膜の不感領域は、前記感度領域の両側であって、
    出力が最大出力の50%以下となる領域として定義され
    る請求項1ないし14のいずれかに記載の磁気抵抗効果
    素子。
  16. 【請求項16】 前記多層膜の感度領域は、光学的トラ
    ック幅寸法O−Twと同じ幅寸法で形成される請求項1
    ないし15のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子。
  17. 【請求項17】 多層膜上に延びて形成された部分の各
    電極層の幅寸法は、0μmより大きく0.08μmの範
    囲内である請求項1ないし16のいずれかに記載の磁気
    抵抗効果素子。
  18. 【請求項18】 前記多層膜上に延びて形成された部分
    の各電極層の幅寸法は、0.05μm以上である請求項
    17に記載の磁気抵抗効果素子。
  19. 【請求項19】 前記保護層表面または前記保護層を除
    いた多層膜表面と、前記多層膜の不感領域上に延ばされ
    た前記電極層の前端面とがなす角度が20度以上、60
    度以下である請求項1ないし18のいずれかに記載の磁
    気抵抗効果素子。
  20. 【請求項20】 前記保護層表面または前記保護層を除
    いた多層膜表面と、前記多層膜の不感領域上に延ばされ
    た前記電極層の前端面とがなす角度が25度以上、45
    度以下である請求項1ないし18のいずれかに記載の磁
    気抵抗効果素子。
  21. 【請求項21】 前記多層膜上で、この多層膜の両側に
    形成された前記電極層の間に、絶縁層が形成され、この
    絶縁層の側面に前記電極層が直接に又は他の層を介して
    接している請求項1ないし18のいずれかに記載の磁気
    抵抗効果素子。
  22. 【請求項22】 前記保護層表面または前記保護層を除
    いた多層膜表面と、前記多層膜の不感領域上に延ばされ
    た前記電極層の前端面とがなす角度が60度以上である
    請求項21に記載の磁気抵抗効果素子。
  23. 【請求項23】 前記保護層表面または前記保護層を除
    いた多層膜表面と、前記多層膜の不感領域上に延ばされ
    た前記電極層の前端面とがなす角度が90度以上である
    請求項21に記載の磁気抵抗効果素子。
  24. 【請求項24】 前記多層膜上に延びて形成された部分
    の各電極層の幅寸法は、前記多層膜の不感領域の幅寸法
    に等しく形成されている請求項21ないし23のいずれ
    かに記載の磁気抵抗効果素子。
  25. 【請求項25】 基板上に磁気抵抗効果を発揮する多層
    膜を成膜する工程と、 予めマイクロトラックプロファイル法によって測定され
    た前記多層膜の不感領域となる領域上に対向する下面に
    切り込み部の形成されたリフトオフ用のレジスト層を前
    記多層膜の感度領域上に形成する工程と、 前記多層膜の両側にバイアス層を成膜し、その後前記バ
    イアス層をトラック幅方向に着磁する工程と、 前記多層膜に対し斜め方向から前記バイアス層上に電極
    層を成膜し、この際、前記電極層を、多層膜上に設けら
    れた前記レジスト層の下面に形成された切り込み部内に
    まで成膜する工程と、 前記レジスト層を多層膜上から除去する工程と、 を有することを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方
    法。
  26. 【請求項26】 基板上に磁気抵抗効果を発揮する多層
    膜を成膜する工程において、前記多層膜の最上層に保護
    層を成膜し、 前記リフトオフ用のレジスト層を前記多層膜の感度領域
    上に形成する工程において、前記リフトオフ用のレジス
    ト層を前記保護層の上面であって前記多層膜の感度領域
    上である領域に形成し、 さらに、前記保護層の前記リフトオフ用のレジスト層と
    直接接合していない領域を除去して、前記保護層の下層
    を露出させる工程と、 を有する請求項25に記載の磁気抵抗効果素子の製造方
    法。
  27. 【請求項27】 前記電極層を成膜する工程において、
    前記保護層表面または前記保護層を除いた多層膜表面
    と、前記多層膜の不感領域上に延ばされた前記電極層の
    前端面とがなす角度を20度以上、60度以下にする請
    求項25または26のいずれかに記載の磁気抵抗効果素
    子の製造方法。
  28. 【請求項28】 前記電極層を成膜する工程において、
    前記保護層表面または前記保護層を除いた多層膜表面
    と、前記多層膜の不感領域上に延ばされた前記電極層の
    前端面とがなす角度を25度以上、45度以下にする請
    求項25または26のいずれかに記載の磁気抵抗効果素
    子の製造方法。
  29. 【請求項29】 基板上に磁気抵抗効果を発揮する多層
    膜を成膜する工程と、 前記多層膜上に絶縁層を成膜する工程と、 予めマイクロトラックプロファイル法によって測定され
    た前記多層膜の不感領域となる領域上に対向する下面に
    切り込み部の形成されたリフトオフ用のレジスト層を、
    前記絶縁層上であって、前記多層膜の感度領域上である
    領域に形成する工程と、 前記絶縁層をエッチングによって、前記レジスト層の下
    面に形成された切り込み部内まで除去する工程と、 前記多層膜の両側にバイアス層を成膜し、その後前記バ
    イアス層をトラック幅方向に着磁する工程と、 前記多層膜に対し斜め方向から前記バイアス層上に電極
    層を成膜し、この際、前記電極層を、前記レジスト層の
    下層の前記絶縁層の側面と直接にまたは他の層を介して
    接合するように成膜する工程と、 前記レジスト層を前記絶縁層上から除去する工程と、 を有することを特徴とする磁気抵抗効果素子の製造方
    法。
  30. 【請求項30】 基板上に磁気抵抗効果を発揮する多層
    膜を成膜する工程において、前記多層膜の最上層に保護
    層を成膜し、 前記絶縁層をエッチングによって、前記レジスト層の下
    面に形成された切り込み部内まで除去する工程の後に、
    前記保護層の前記絶縁層に覆われていない領域を除去し
    て、前記保護層の下層を露出させる工程と、 を有する請求項29に記載の磁気抵抗効果素子の製造方
    法。
  31. 【請求項31】 前記電極層を成膜する工程において、
    前記保護層表面または前記保護層を除いた多層膜表面
    と、前記多層膜の不感領域上に延ばされた前記電極層の
    前端面とがなす角度を60度以上にする請求項29また
    は30に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  32. 【請求項32】 前記電極層を成膜する工程において、
    前記保護層表面または前記保護層を除いた多層膜表面
    と、前記多層膜の不感領域上に延ばされた前記電極層の
    前端面とがなす角度を90度以上にする請求項29また
    は30に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  33. 【請求項33】 マイクロトラックプロファイル法によ
    り測定された前記多層膜の感度領域は、電極層がハード
    バイアス層上にのみ形成され、多層膜上にまで延ばされ
    て形成されていない磁気抵抗効果素子を、ある微小トラ
    ックに記録された信号上にトラック幅方向で走査させた
    場合に、得られた再生出力のうち最大出力の50%以上
    の出力が得られた領域として定義され、また前記多層膜
    の不感領域は、前記感度領域の両側であって、出力が最
    大出力の50%以下となる領域として定義される請求項
    25ないし32のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子の
    製造方法。
  34. 【請求項34】 多層膜が形成された基板を、バイアス
    層の組成で形成されたターゲットに対し垂直方向に置
    き、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ
    法、あるいはコリメーションスパッタ法のいずれか1種
    以上のスパッタ法によって、前記多層膜の両側にバイア
    ス層を成膜し、 次に、前記多層膜が形成された基板を、電極層の組成で
    形成されたターゲットに対し斜めに傾け、あるいはター
    ゲット側を基板に対し斜めに傾け、イオンビームスパッ
    タ法、ロングスロースパッタ法、あるいはコリメーショ
    ンスパッタ法のいずれか1種以上のスパッタ法によっ
    て、前記バイアス層上であって、多層膜上に設けられた
    レジスト層の下面に形成された切り込み部内にまで電極
    層を成膜する請求項25ないし33のいずれかに記載の
    磁気抵抗効果素子の製造方法。
  35. 【請求項35】 前記多層膜は、反強磁性層、固定磁性
    層、非磁性導電層、及びフリー磁性層を1層ずつ有して
    構成され、あるいは、フリー磁性層を中心にして、その
    上下に非磁性導電層、固定磁性層、及び反強磁性層を有
    して構成され、または非磁性層を介して重ねられた磁気
    抵抗効果層と軟磁性層とを有して構成される請求項25
    ないし34のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子の製造
    方法。
  36. 【請求項36】 前記多層膜は、反強磁性層、固定磁性
    層、非磁性導電層、及びフリー磁性層を、少なくとも1
    層ずつ有して構成され、あるいは、フリー磁性層を中心
    にして、その上下に非磁性導電層、固定磁性層、及び反
    強磁性層を有して構成され、または非磁性層を介して重
    ねられた磁気抵抗効果層と軟磁性層とを有して構成され
    る請求項25ないし34のいずれかに記載の磁気抵抗効
    果素子の製造方法。
  37. 【請求項37】 前記フリー磁性層を、磁気モーメント
    の大きさが異なる複数の軟磁性薄膜が、非磁性材料層を
    介して積層され、前記非磁性材料層を介して隣接する前
    記軟磁性薄膜の磁化方向が反平行となるフェリ磁性状態
    であるものとして形成する請求項25ないし36のいず
    れかに記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  38. 【請求項38】 前記バイアス層を成膜する工程におい
    て、前記多層膜と前記バイアス層との磁気的接続面を、
    前記フリー磁性層を構成する複数の軟磁性薄膜の側面の
    うち、一つの軟磁性薄膜の側面とのみ重なり合わせる請
    求項37に記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  39. 【請求項39】 前記固定磁性層を、磁気モーメントの
    大きさが異なる複数の軟磁性薄膜が、非磁性材料層を介
    して積層され、前記非磁性材料層を介して隣接する前記
    軟磁性薄膜の磁化方向が反平行となるフェリ磁性状態で
    あるものとして形成する請求項25ないし38のいずれ
    かに記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  40. 【請求項40】 前記非磁性材料層を、Ru、Rh、I
    r、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の合
    金で形成する請求項37ないし39のいずれかに記載の
    磁気抵抗効果素子の製造方法。
  41. 【請求項41】 前記バイアス層を成膜する工程におい
    て、前記多層膜と前記バイアス層との磁気的接続面の上
    縁部及び/又は下縁部の媒体走行方向の高さ位置が、前
    記フリー磁性層又は前記磁気抵抗効果層の上面及び/又
    は下面の媒体走行方向の高さ位置とが等しくなるように
    成膜する請求項25ないし40のいずれかに記載の磁気
    抵抗効果素子の製造方法。
  42. 【請求項42】 前記反強磁性層を、PtMn合金によ
    り形成する請求項35ないし41のいずれかに記載の磁
    気抵抗効果素子の製造方法。
  43. 【請求項43】 前記反強磁性層を、X―Mn(ただし
    Xは、Pd,Ir,Rh,Ruのいずれか1種または2
    種以上の元素である)で形成する請求項35ないし41
    のいずれかに記載の磁気抵抗効果素子の製造方法。
  44. 【請求項44】 前記反強磁性層を、Pt―Mn―X′
    (ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag
    のいずれか1種または2種以上の元素である)で形成す
    る請求項35ないし41のいずれかに記載の磁気抵抗効
    果素子の製造方法。
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