JP2000275193A - 表面密度の測定方法および測定装置 - Google Patents

表面密度の測定方法および測定装置

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JP2000275193A
JP2000275193A JP11081737A JP8173799A JP2000275193A JP 2000275193 A JP2000275193 A JP 2000275193A JP 11081737 A JP11081737 A JP 11081737A JP 8173799 A JP8173799 A JP 8173799A JP 2000275193 A JP2000275193 A JP 2000275193A
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ray
rays
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Kazuhiro Takada
一広 高田
Takashi Noma
敬 野間
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微小領域における表面密度を非破壊的に測定
する。 【解決手段】 試料3は、試料回転機構を有するゴニオ
メータ14上に保持されており、これによりX線源10
からの一次X線4の入射角度αが設定される。試料3で
回折及び散乱した回折/散乱X線5は、X線検出器6で
その強度が測定される。算出部13は、X線検出器6で
測定された回折/散乱X線5の強度分布から回折角度2
θを検出すると同時に、出射角度βが規定される。入射
角度αと回折角度2θのデータ、あるいは出射角度βと
回折角度2θのデータから、X線の屈折効果による回折
角度の変化量を求め、それに基づいて試料3の表面を構
成する物質の密度を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多結晶性試料の表
面密度の測定方法、及びその測定装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】対象物質の密度を知りたいという要請に
は、しばしば遭遇する。とりわけ、多結晶性の薄膜は、
近年、種々のデバイス材料に用いられており、その密度
を知ることは非常に重要である。しかしながら、どのよ
うな材料に対しても容易に表面密度が測定可能な手法は
少ない。
【0003】表面密度を求める代表的な手法として、X
線反射率測定が挙げられる。X線を用いた評価手法は、
測定雰囲気を自由に制御できることや、非破壊で測定で
きることなどの利点を有している。X線反射率測定は、
測定の対象となる試料の表面に対するX線の入射角度を
数度以下にして、対称反射によるX線を検出する。
【0004】X線反射率の測定では、密度以外に、膜厚
や表面粗さ等を求めることができる。また層構造を有す
る薄膜に適用した場合には、各層の厚さ、各層の密度、
各界面のラフネス等を求めることができる非常に有効な
手法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
X線反射率の手法では、試料表面に対するX線の入射角
度が数度以下に設定されているため、試料表面でのX線
の照射面積が大きくなってしまう。例えば、実験室系の
X線源において、強力な回転対陰極のX線源を用いた場
合、50μm程度のスリットを用いて試料への照射領域
を制限したとしても、試料上のX線照射領域のサイズは
数cmにもなってしまう。また、放射光等の高輝度光源
を用いてマイクロビームを形成したとしても、試料上の
X線照射領域のサイズは、数mm程度の領域が限度であ
る。
【0006】特に、多結晶薄膜材料のように、数μmか
ら数百μmの領域で構造が変化し、それに対応した機能
を発現しているような場合に、個々の領域における密度
を測定しようとしても、それは事実上不可能であった。
また、薄膜の結晶構造の情報は反射率測定からは得られ
ないので、結晶構造を調べるには、別の測定手段が必要
であった。
【0007】そこで本発明は、上述の課題を解消するた
めになされたものであって、試料の表面密度、とりわけ
微小領域における表面密度を、結晶構造情報と同時に、
非破壊的に測定するための測定方法及び、測定装置を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の表面密度の測定方法は、試料にX線を照射した
ときに前記試料によって回折されて前記試料から出射す
る回折X線の回折角度を測定することにより前記試料の
表面の密度を求める表面密度の測定方法であって、前記
試料の表面に対する、入射X線の入射角度または前記回
折X線の出射角度を5°以下に設定し、設定された前記
入射角度または出射角度における前記回折X線の強度分
布を測定する強度分布測定工程と、測定された前記回折
X線の強度分布から前記回折角度を検出する回折角度検
出工程と、前記入射角度または出射角度と前記回折角度
のデータから、前記試料の表面でのX線の屈折による回
折角度の変化量を求め、求められた変化量に基づき、前
記試料の表面を構成する物質の密度を算出する算出工程
とを有する。
【0009】また、本発明の表面密度の測定装置は、試
料にX線を照射したときに前記試料によって回折されて
前記試料から出射する回折X線の回折角度を測定するこ
とにより前記試料の表面の密度を求める表面密度の測定
装置であって、試料に向けてX線を照射するX線源と、
前記回折X線の強度を測定するX線測定手段と、前記試
料の表面に対する、前記X線源から前記試料に入射する
入射X線の入射角度または前記回折X線の出射角度を設
定する角度設定手段と、前記照射X線の入射角度、また
は前記試料の表面に対する前記回折X線の出射角度が5
°以下の条件で、前記X線測定手段で測定された前記回
折X線の強度分布から前記回折角度を検出し、前記入射
角度または出射角度と前記回折角度のデータから、前記
試料の表面でのX線の屈折による回折角度の変化量を求
め、求められた変化量に基づき、前記試料の表面を構成
する物質の密度を算出する算出手段とを有する。
【0010】本発明の表面密度の測定方法及び測定装置
によれば、X線の反射率の測定ではなく回折X線を用い
ているので、試料に対する入射側と出射側では、X線は
非対称反射の配置となる。その結果、入射角度が微小で
あってもX線の取り込み領域を決定することができるの
で、微小領域の評価が可能となる。また、回折X線を用
いているので、試料の少なくとも表面近傍が結晶構造を
有する場合には、その結晶構造に関する情報も得ること
が可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態について
図面を参照して説明する。
【0012】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1
の実施形態である、試料の表面密度測定装置の概略構成
図である。
【0013】本実施形態では、基板2上に薄膜1が形成
された試料3を測定の対象として、薄膜1の表面密度を
測定するものである。
【0014】図1において、X線源10は単一波長の一
次X線4を放射するものであり、X線源10から放射さ
れた一次X線4は薄膜1上に照射される。一次X線4
の、試料3の表面に対する入射角度αは微小な角度に設
定されるが、そのためには一次X線4がほぼ平行ビーム
であることが必要であり、ビームの発散角が0.5°以
下であることが好ましい。そのために、X線源10と試
料3の間に平行ビーム形成手段8が挿入されている。平
行ビーム形成手段8としては、一つまたは複数のスリッ
トからなるスリットシステム、一つまたは複数のX線反
射鏡からなる光学系、各種コリメーター、キャピラリー
を利用したX線導管などを使用することができる。X線
源10としては、各種X線管の他、単色化されたシンク
ロトロン放射光を用いることができる。
【0015】試料3は、回転機構が装備されたゴニオメ
ーター14の試料ホルダ14a上に保持されている。試
料ホルダ14aは、上記回転機構により回転駆動が可能
であり、この回転機構を用いることで、試料3の表面に
対する一次X線4の入射角度αを自由に設定できるよう
になっている。
【0016】平行ビーム形成手段8を透過した一次X線
4は、薄膜1の結晶格子面7で回折及び散乱されて回折
/散乱X線5となって出射する。そして、この回折/散
乱X線5は、出射角度制限手段9を透過し、その強度が
X線検出器6で検出される構成となっている。出射角度
制限手段9は、X線検出器6へ余計な散乱X線や蛍光X
線を入射させないため、及び、回折/散乱X線5の取り
込む領域を制限するために設置されている。その手段と
しては、複数のスリット系などが用いられる。ここで用
いられる出射角度制限手段9によって、測定の分解能と
分析領域が決定されるので、目的に応じて適宜設定を行
う。
【0017】また、X線検出器6としては、シンチレー
ションカウンター、比例計数管等を用いることができ
る。通常は、X線検出器6として、シンチレーションカ
ウンターが用いられる。
【0018】本実施形態では、出射角度制限手段9とX
線検出器6とは一体になっており、ゴニオメーターによ
る試料3の回転軸回りに試料3の回転と連動して旋回す
るように設置してある。また、X線検出器6を上記回転
機構から外し、回転機構を用いなければ、X線検出器6
としては、位置敏感型比例計数管(PSPC:Position
Sensitive Proportional Counter)、イメージングプ
レート等を用いることも可能である。
【0019】算出部13は、ゴニオメータ14の回転機
構からの出力とX線検出器6からの出力とに基づき、以
下に述べる手順に従って試料3の表面の密度を算出する
ものである。
【0020】次に、図1に示した配置における、試料3
に形成された薄膜1の表面密度の測定手順について図2
のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0021】以下に示す例では、試料3の表面に対する
一次X線4の入射角度αを後述する範囲内で変化させな
がら、それぞれの入射角度αに応じて試料3によって回
折されて試料3から出射する回折X線の回折角度の変化
を測定していく。
【0022】まず、一次X線4の試料3の表面に対する
入射角度αを微小な角度αiに設定する(ステップ10
1)。αiの設定値は0〜5°の範囲で選択するが、そ
の中でも一次X線4の薄膜1に対する全反射臨界角に近
い角度を選択するのが好ましい。
【0023】次に、入射角度αiにおける回折線プロフ
ァイル、すなわち回折/散乱X線5の強度分布を測定す
る(ステップ102)。続いて、測定された回折線プロ
ファイルから、回折角度2θiを求める(ステップ10
3)。この方法としては、回折線ピークをガウス関数で
フィッティングする方法、回折ピークの重心から求める
方法などを用いることができる。入射角度αiが上記の
範囲のように小さい場合には、回折/散乱X線5は薄膜
1の表面で屈折され、回折角度がシフトし、回折角度2
θiは入射角度αiに応じて変化する。
【0024】ここで、回折角度2θは、一次X線4と回
折/散乱X線5とがなす角度を表わしている。
【0025】入射角度αiに対応する回折角度2θiを
求めたら、他の入射角度αiでも同様の測定を行う。こ
の操作は、後述するが最低2ヶ所以上で行うことが解析
の精度上好ましく、その回数は必要に応じて設定すれば
よい。その際には、別の入射角度αiでも測定を行うか
否かを判断し(ステップ104)、行う場合には、入射
角度αiを変化させて(ステップ105)、以上の測定
を繰り返す。
【0026】この測定を必要な数だけ繰り返すと、(α
i,Δ2θi)のデータの組が得られる。ここで、Δ2
θiは、上記方法で得られた回折角度と、屈折の影響が
ないときの回折角度(文献値等)との差、すなわちX線
の屈折効果による回折角度の変化量である。このとき、
αiの値は上記の角度範囲に設定されているので、X線
の屈折の効果を検知し易く、短時間で高い精度の解析を
行うことができる。
【0027】そして、(αi,Δ2θi)のデータの組
が得られたら、入射角度αを独立変数としたΔ2θの関
数、すなわちX線の屈折効果による回折角度の入射角度
依存性を、例えばカーブフィッティングにより求め、こ
の関数に基づいて試料3の表面密度を計算する(ステッ
プ106)。
【0028】ここで、X線の屈折効果による回折角度の
変化量Δ2θiと入射角度αiとによる表面密度の計算
について説明する。
【0029】αiの変化に伴い、屈折の効果によりΔ2
θiが以下の式(1)に従って変化する。
【0030】
【数1】 ここで、δ、βは、X線の薄膜1に対する複素屈折率
(n)の実数部分と虚数部分であり、n=1−δ−iβ
である。また、全反射臨界角θCとδとの間には、
【0031】
【数2】 なる関係があるので、式(1)から明らかなように、シ
フト量は、入射角度αが薄膜1の全反射臨界角θCに等
しくなるときに最大となり、以下、入射角度αが大きく
なるにつれて、シフト量が小さくなり、最終的には、シ
フト量は0になる。
【0032】よって、ピークシフト量の入射角度による
依存性を式(1)で最小2乗最適化することで、式
(1)内のパラメータを決定できることになる。通常、
薄膜1のβの値は10-6程度あるいはそれ以下と小さ
く、第1近似としては、式(1)内のβに依存する項を
無視することが可能であり、その際には、式(1)に含
まれる未知変数はδのみとなり、任意の1つの入射角度
におけるΔ2θの値を求めればよい。しかしながら、実
際の測定においては、入射角度αの値を精確に決定する
ことは難しいために、1つの入射角度で最適化を行うこ
とは困難である。従って上述のように、(αi,Δ2θ
i)の組を、複数組求め、実験値と式(1)の最適化を
行うことが望ましい。
【0033】薄膜1の表面密度と、上記の回折角度のシ
フト量は、δ値を介して以下の関係式(3)で結ばれて
いる。
【0034】
【数3】 ここで、A=2.7019×1010、λは使用する一次
X線4の波長、Mは原子量、Zは原子番号、f’は原子
散乱因子に対する異常分散による補正項の実数部、ρが
密度である。よって、最終的に実験値を式(1)で最適
化して上記複素屈折率の実数部分を求めれば、式(3)
から薄膜1の表面密度が求められることになる。
【0035】また、表面密度の測定に回折/散乱X線5
を用いているので、回折/散乱X線5の回折ピーク値を
求めることによって、表面密度と同時に、薄膜1の結晶
構造に関する情報を得ることもできる。
【0036】なお、本手法では、X線の入射角度αは通
常の反射率測定法と近い値に設定されているが、出射側
については、反射率測定で採用されている対称反射の配
置ではなく非対称反射の配置を採用しているため、X線
の入射角度αは、微小であるが、出射角度制限手段9を
用いて試料3からのX線の取り込み領域が決定できるの
で、微小領域の評価が可能となる。
【0037】(第2の実施形態)図3は、本発明の第2
の実施形態である、試料の表面密度測定装置の概略構成
図である。本実施形態は、試料3の表面へのX線の入射
と出射との関係が第1の実施形態と入れ替っただけで、
装置の構成要素は第1の実施形態とほぼ同様であるの
で、第1の実施形態と同様のものについては図1と同一
の符号を用いて説明する。
【0038】X線源10から放射された単一波長の一次
X線4は、基板2上に形成された薄膜1に照射される。
一次X線4の試料3の表面に対する入射角度αは適当な
角度に設定することが可能であるが、第1の実施形態と
同様に、一次X線4がほぼ平行ビームである方が望まし
く、ビームの発散角が0.5°以下であることが好まし
い。そのために、必要に応じて、平行ビーム形成手段
(不図示)が設置される。
【0039】X線源10と試料3との間には、照射領域
制限手段11が挿入されている。照射領域制限手段11
としては、通常のスリット、一つまたは複数のX線反射
集光光学系、キャピラリーを利用したX線導管などを使
用することが可能であり、一次X線4の、試料3への照
射領域の大きさは、これらの手段を適宜使用すること
で、数μm〜数mm程度の範囲で選択が可能である。X
線源10としては、各種X線管の他、単色化されたシン
クロトロン放射光を用いることができる。
【0040】試料3は、試料回転機構が装備されたゴニ
オメーター14の試料ホルダ14aの上に保持されてお
り、この回転機構を用いることで、試料3の表面に対す
る一次X線4の入射角度α、ひいては試料3の表面に対
する回折/散乱X線5の出射角度βを自由に設定できる
ようになっている。
【0041】試料3上で、回折/散乱された回折/散乱
X線5は、出射角度制限手段9を透過し、X線検出器6
で検出される。出射角度制限手段9の目的は、測定の分
解能を決定するために用いられ、その手段としては、1
つ又は複数のスリット系などが用いられる。また、X線
検出器6としては、シンチレーションカウンター、比例
計数管等を用いることができる。通常は、X線検出器6
として、シンチレーションカウンターが設置されてい
る。
【0042】出射角度制限手段9とX線検出器6は一体
になっており、ゴニオメータ14による試料3の回転軸
回りに試料3の回転と連動して旋回するように設置して
ある。なお、X線検出器6を上記回転機構から外し、回
転機構を用いなければ、X線検出器6としては、PSP
C(位置敏感型比例計数管)、イメージングプレート等
を用いることも可能である。
【0043】算出部13は、ゴニオメータ14の回転機
構からの出力とX線検出器6からの出力とに基づき、以
下に述べる手順に従って試料3の表面の密度を算出する
ものである。
【0044】次に、図3に示した配置における、表面密
度の測定手順について、図4のフローチャートを参照し
つつ説明する。
【0045】本実施形態では、上述したように試料表面
に対するX線の入射角度αと出射角度βとの関係を第1
の実施形態に対して入れ替えたものである。すなわち、
第1の実施形態では、回折X線の回折角度と入射角度α
とに基づいて表面密度を測定したのに対し、本実施形態
では、回折X線の回折角度と、その回折X線の試料の表
面に対する出射角度とに基づいて表面密度を測定する。
【0046】まず、一次X線4の入射角度αを変化させ
ることにより、試料3の表面からの回折/散乱X線5の
出射角度βを微小な角度βiに設定する(ステップ20
1)。ここで、後述するステップでX線の屈折の効果を
検知し易くするために、出射角度βiは0〜5°の範囲
で選択される。
【0047】次に、その出射角度βiにおける回折線プ
ロファイルを測定する(ステップ201)。回折線プロ
ファイルの測定方法としては、 (1)常に出射角度一定の回折プロファイルを測定でき
るように、入射角度(実際には試料3の回転量)と出射
角度(実際にはX線検出器6の位置)とを同時に変化さ
せながら測定する方法や、 (2)1つの入射角度において、出射角度のみを変化さ
せ、種々の出射角度からなる回折プロファイルの測定を
行い、再び、入射角度を微小角だけ変化させ、その入射
角度において、再度出射角度を変化させ、回折プロファ
イルを測定し、得られたデータの組から、出射角度が一
定の回折プロファイルを抽出する方法、などが挙げられ
るが、最終的に、一定の出射角度における回折プロファ
イルが得られれば、いかなる手段を用いても良い。
【0048】続いて、測定された回折線プロファイルか
ら、第1の実施形態と同様にして回折角度2θiを求め
る(ステップ203)。回折角度2θiは出射角度βi
に応じて変化する。
【0049】出射角度βiに対応する回折角度2θiを
求めたら、他の入射角度βiでも同様の測定を行う。こ
の操作は、第1の実施形態で説明したように最低2ヶ所
以上で行うことが解析の精度上好ましく、その回数は必
要に応じて設定すればよい。その際には、別の出射角度
βiで測定を行うか否かを判断し(ステップ204)、
行う場合には、出射角度βiを変化させて(ステップ2
05)、以上の測定を必要な回数だけ繰り返す。これに
より、(βi,Δ2θi)のデータの組が得られる。Δ
2θiは、第1の実施形態と同様、X線の屈折効果によ
る回折角度の変化量である。
【0050】そして、(βi,Δ2θi)のデータの組
が得られたら、出射角度βとΔ2θとの関係、すなわち
X線の屈折効果による回折角度の出射角度依存性を、例
えばカーブフィッティングにより求め、試料3上の薄膜
1の表面密度を計算する(ステップ206)。薄膜1の
表面密度は、第1の実施形態と同様にして、実験値を式
(1)で最適化して式(3)から求めることができる。
【0051】本実施形態では、照射領域制限手段11を
用いて試料3へのX線照射領域が決定できるので、本実
施形態においても微小領域の評価が可能となる。
【0052】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳し
く説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもの
ではなく、本発明の目的が達成される範囲内での各要素
の置換や設計変更がなされたものをも包含する。
【0053】<実施例1>本実施例では、図3に示した
配置の表面密度測定装置を用いた。X線源10として
は、Cuを対陰極とする回転対陰極X線管を使用した。
回転対陰極X線管を管電圧40kV、管電流200mA
で駆動した。X線焦点はラインフォーカスとした。本実
施例の配置では、実効焦点の幅は0.05mm、長さは
10mmである。
【0054】照射領域制限手段11としては、幅が0.
15mmのスリットを、X線源10から100mmの位
置に設置した。また、照射領域制限手段11と試料3と
の距離は85mmとした。
【0055】試料3としては、石英からなる基板2上
に、パラジウムからなる薄膜1を真空蒸着で約30nm
の膜厚で形成したものを用いた。
【0056】また、出射角度制限手段9として、幅0.
15mmのスリットを試料3の中心から185mmの位
置に設置し、その直前に、余分な散乱X線を除去するた
めの、スリットも設置した。出射角度制限手段9の直後
には、X線検出器6として、シンチレーションカウンタ
ーを設置した。
【0057】石英の基板2上に形成されたパラジウムか
らなる薄膜1は、一次X線4をCuの特性X線とした場
合に、回折角が40.1°となる近傍に、(111)面
による回折ピークが観測される。また、この場合の薄膜
1上での、全反射臨界角θcは、およそ0.47°とな
る。この条件での、試料3上での一次X線4の照射領域
は、およそ0.5mm×10mm、出射角度βの分解能
は、0.05°以下となる。
【0058】実際の測定は、まず一次X線4をα=38
°で試料3に照射し、検出系(出射角度制限手段9、X
線検出器6)を38.02°から42.0°まで、0.
05°刻みで、各点10秒積算して、回折プロファイル
の測定を行った。続けて、試料3を0.1°回転させ、
再び検出系を走査して回折プロファイルの測定を行っ
た。この操作は、入射角度αが、40°になるまで、
0.1°刻みで回転させ、測定を行った。測定された回
折プロファイルからは、Pd(111)回折ピークが観
測されることから、この試料3が確かに金属パラジウム
の結晶構造を有していることが確認された。
【0059】次に、各入射角度における、回折プロファ
イルのデータから、出射角度βが0.32°となるデー
タを全ての回折プロファイルから、抽出した。以下、
0.05°刻みで1.52°までのデータを抽出した。
その後、各出射角度βのデータを、ガウス型関数で最小
2乗最適化を行い、回折角度を求める。
【0060】ピークシフトΔ2θは、回折角が40.1
°からの差として縦軸に、出射角度βを横軸として、プ
ロットする。図5に、実験値と、式(1)による、フィ
ッティングを示す。このフィッティングにより、式
(3)を用い、基板1上に形成された薄膜2(パラジウ
ム膜)の表面密度として、10.20g/cm3という
値が得られた。
【0061】<実施例2>本実施例では、図6に示す配
置の表面密度測定装置を用いて、実施例1と同じ構成の
試料3に形成された薄膜1の表面密度を求めた。なお、
図6ではX線の光学的配置のみを示し、算出部は省略し
ている。
【0062】X線源10としては、Cuを対陰極とする
回転対陰極X線管を使用し、管電圧40kV、管電流3
00mAで駆動した。X線焦点はラインフォーカスとし
た。本実施例の配置では、実効焦点の幅は0.05m
m、長さは10mmである。
【0063】X線源10から放射された一次X線4の試
料表面に対する入射角度αを微小な角度に設定する手段
として、幅0.15mmのスリット17をX線焦点から
100mmの距離の位置に設置した。X線源10からの
一次X線4であるCu特性X線は、スリット17を通過
し、スリット17から85mmの位置で試料表面に入射
する。
【0064】試料3は、試料回転機構であるゴニオメー
ター14上の試料ホルダー14aに保持されている。ゴ
ニオメーター14の回転中心軸は試料表面内の一次X線
照射領域の中央に存在する。
【0065】試料3からの回折/散乱X線5の試料表面
に対する回折角度を測定する手段としては、一体となっ
て試料回転軸回りを旋回する2つのスリット15,16
及びX線検出器6を用いた。各スリット15,16はそ
れぞれ幅が0.3mmで、試料中心からの距離が、一方
のスリット15は185mmの位置、他方のスリット1
6は230mmの位置に配置した。また、X線検出器6
としてはシンチレーションカウンターを用い、スリット
16の直後に配置した。このスリットシステムは、試料
3からの回折X線の試料表面に対する出射角度βを約
0.075°の分解能で規定することができる。
【0066】実際の測定は、初めに、入射角度αを0.
35°に設定し、検出器系(スリット15,16、X線
検出器6)を2θ=38〜41°まで走査し、試料3の
表面に形成された薄膜のPd(111)の回折プロファ
イルを測定した。その後、入射角度αを0.4°に設定
し、再び検出器系を走査することで、回折プロファイル
の測定を行った。以下、入射角度を0.05°刻みで
1.50°まで変化させて、同様な回折プロファイルの
測定を行った。得られた回折プロファイルは、ガウス関
数で最適化し、回折角度位置を正確に求めた。
【0067】ピークシフトΔ2θは、回折角度40.1
°からの差として縦軸に、出射角を横軸としてプロット
する。実施例1と同様の処理を施すことにより、基板上
に形成されたパラジウム膜の表面密度として、10.2
0g/cm3という値が得られた。
【0068】本実施例では、入射角度α、出射角度βの
値を適当に選択することにより、上述の第1の実施形態
による方法と第2の実施形態による方法の両方の測定を
行うことも可能である。
【0069】<実施例3>本実施例では、図1に示した
配置の表面密度測定装置を用いた。また、試料3として
は、石英からなる基板2上に、パラジウムを真空蒸着し
350℃で10分焼成て薄膜1を形成したものを用い
た。この薄膜1は、完全に酸化されておらず、パラジウ
ムと酸化パラジウムの混合膜となっている。
【0070】測定は、パラジウムに関しては実施例1と
全く同様の条件で、酸化パラジウムに関しては、入射角
度αを32°から0.1°刻みに、検出器系は、0.0
5°刻みで走査した。
【0071】測定された回折プロファイルからは、Pd
(111)回折ピーク、PdO(101)回折ピークが
観測されることから、この試料が確かに金属パラジウ
ム、酸化パラジウムの結晶構造を有していることが確認
された。
【0072】図7(a)に、パラジウムの回折ピークの
出射角度依存性を、図7(b)に、酸化パラジウムの回
折ピークの出射角度依存性を示した。実施例1と同様の
処理を行うことで、パラジウム層の密度として、5.7
6g/cm3、酸化パラジウム層の密度として、9.6
2g/cm3という値が得られた。
【0073】<実施例4>本実施例では、実施例1と同
じ配置すなわち図3に示した配置の表面密度測定装置を
用いて、実施例1と同じ構成の試料3に形成された薄膜
1の表面密度を求めた。
【0074】ただし、本実施例では、図3に示すX線検
出器6として、回転機構を用いずに、試料中心から30
0mmの位置に位置敏感型比例計数管(PSPC)を設
置した。その他の構成及び配置は実施例1と同様であ
る。
【0075】この配置を用いると、測定を行うために必
要な可動部分は、試料3の回転だけになる。そのため、
1つの回折プロファイルを測定するための時間が、実施
例1よりも短縮された。
【0076】<実施例5>本実施例では、実施例4の構
成に対し、更に、X線源10についても変更を加えて、
実施例1と同じ構成の試料3に形成された薄膜1の表面
密度を求めた。
【0077】すなわち、X線源10としては、Cuでは
なくCrを対陰極とする回転対陰極X線管を使用した。
そして、回転対陰極X線管を管電圧40kV、管電流2
00mAで駆動した。X線焦点はラインフォーカスとし
た。本実施例の配置では実効焦点の幅は、0.05m
m、長さは10mmである。X線検出器6である位置敏
感型比例計数管の検出効率は、Cuの特性X線を使用し
た場合に38%程度、Crの特性X線を使用した場合に
54%程度となり、実施例4の場合より、さらに検出効
率が向上したため、測定時間を短縮することができた。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、回
折X線を用い、入射側と出射側とで非対称反射の配置を
とっているため、X線反射率の測定では極めて困難であ
った微小領域の表面密度の測定を行うことができるよう
になる。また、表面密度の解析のために回折X線を用い
ているので、試料の表面が結晶構造を有する場合には、
同時に結晶構造に関する情報も得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態である、試料の表面密
度測定装置の概略構成図である。
【図2】図1に示した配置での、試料の表面密度の測定
手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態である、試料の表面密
度測定装置の概略構成図である。
【図4】図3に示した配置での、試料の表面密度の測定
手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例1で求められた、回折ピークの
出射角度依存性のグラフである。
【図6】本発明の実施例2で使用した表面密度測定装置
の概略構成図である。
【図7】本発明の実施例3で求められた、回折ピークの
出射角度依存性のグラフであり、(a)はパラジウムに
ついて、(b)は酸化パラジウムについて示すものであ
る。
【符号の説明】
1 薄膜 2 基板 3 試料 4 一次X線 5 回折/散乱X線 6 X線検出器 7 結晶格子面 8 平行ビーム形成手段 9 出射角度制限手段 10 X線源 11 照射領域制限手段 13 算出部 14 ゴニオメータ 14a 試料ホルダ 15,16,17 スリット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G001 AA01 AA09 BA14 BA18 CA01 DA01 DA02 DA03 DA06 DA07 DA09 EA09 FA01 FA08 FA30 GA13 JA06 JA07 JA11 JA20 KA01 KA08 LA11 MA05 RA03 SA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料にX線を照射したときに前記試料に
    よって回折されて前記試料から出射する回折X線の回折
    角度を測定することにより前記試料の表面の密度を求め
    る表面密度の測定方法であって、 前記試料の表面に対する、入射X線の入射角度または前
    記回折X線の出射角度を5°以下に設定し、設定された
    前記入射角度または出射角度における前記回折X線の強
    度分布を測定する強度分布測定工程と、 測定された前記回折X線の強度分布から前記回折角度を
    検出する回折角度検出工程と、 前記入射角度または出射角度と前記回折角度のデータか
    ら、前記試料の表面でのX線の屈折による回折角度の変
    化量を求め、求められた変化量に基づき、前記試料の表
    面を構成する物質の密度を算出する算出工程とを有す
    る、表面密度の測定方法。
  2. 【請求項2】 前記算出工程は、 前記入射角度または出射角度と前記回折角度のデータか
    ら、前記試料の表面でのX線屈折による回折角度の変化
    量を、前記入射角度または出射角度を独立変数として表
    現する関数を求める工程と、 求められた前記関数から、前記試料の表面を構成する物
    質の入射X線に対する複素屈折率の実数部を求める工程
    と、 前記複素屈折率の実数部から、前記試料の表面を構成す
    る物質の密度を求める工程とを有する、表面密度の測定
    方法。
  3. 【請求項3】 試料にX線を照射したときに前記試料に
    よって回折されて前記試料から出射する回折X線の回折
    角度を測定することにより前記試料の表面の密度を求め
    る表面密度の測定装置であって、 試料に向けてX線を照射するX線源と、 前記回折X線の強度を測定するX線測定手段と、 前記試料の表面に対する、前記X線源から前記試料に入
    射する入射X線の入射角度または前記回折X線の出射角
    度を設定する角度設定手段と、 前記照射X線の入射角度、または前記試料の表面に対す
    る前記回折X線の出射角度が5°以下の条件で、前記X
    線測定手段で測定された前記回折X線の強度分布から前
    記回折角度を検出し、前記入射角度または出射角度と前
    記回折角度のデータから、前記試料の表面でのX線の屈
    折による回折角度の変化量を求め、求められた変化量に
    基づき、前記試料の表面を構成する物質の密度を算出す
    る算出手段とを有する、表面密度の測定装置。
  4. 【請求項4】 前記算出手段は、前記入射角度または出
    射角度と前記回折角度のデータから、前記試料の表面で
    のX線屈折による回折角度の変化量を、前記入射角度ま
    たは出射角度を独立変数として表現する関数を求め、求
    められた前記関数から、前記試料の表面を構成する物質
    の入射X線に対する複素屈折率の実数部を求め、前記複
    素屈折率の実数部から、前記試料の表面を構成する物質
    の密度を求める、請求項3に記載の表面密度の測定装
    置。
  5. 【請求項5】 前記試料と前記X線測定手段との間に、
    前記回折X線の取り込み領域を制限するための出射角度
    制限手段が配置されている、請求項3または4に記載の
    表面密度の測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105403482A (zh) * 2015-10-26 2016-03-16 东华大学 一种相对面密度的光学算法

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