JP2000274592A - 潤滑油供給システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】従来の技術は、起動しようとするポンプの補助
油ポンプが故障していると、起動時に軸受に潤滑油を供
給出来なくなるため、ポンプが起動出来なくなるにも係
らず、通常運転中に、予備機である待機側ポンプの補助
油ポンプを連続運転しており、ポンプシステムの信頼性
に問題があった。本発明の目的は、待機側ポンプの補助
油ポンプを運転不要とすることによる、ポンプシステム
の信頼性の向上にある。 【解決手段】上記目的は、運転側ポンプの軸端に設置し
た油ポンプから待機側ポンプの軸受に潤滑油を供給する
ためのライン及び待機側ポンプの軸受潤滑油系統から運
転側ポンプの軸受潤滑油系統への潤滑油の戻りラインを
設けることにより、達成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、強制給油を要する
ポンプ軸受への潤滑油供給システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】ポンプ軸受には、何らかの方法で油潤滑
が必要であるが、大型のポンプになると軸受に油ポンプ
で強制的に潤滑油を給油しなければならなくなる。

【０００３】図３に従来の強制給油を要するポンプ軸受
への潤滑油供給システムの系統図の一例を示す。また、
図４にポンプの起動フロー図の一例を示す。

【０００４】図３によれば、ポンプ軸受への潤滑油供給
システムは、強制給油されるポンプ１、このポンプの軸
端に設置された油ポンプ３、潤滑油の供給の起点及び戻
りの終点となる油タンク８、このタンク内に設置された
電動機駆動の補助油ポンプ４、並びに、冷却器９及びフ
ィルタ１０を設置した配管等から構成され、ポンプ毎に
独立している。ポンプの起動は、図４に示す通り、ポン
プ起動指令で、補助油ポンプ４が起動し、ポンプ１及び
電動機２の軸受に潤滑油が供給され始め、給油の圧力が
適正値になると、圧力スイッチ１１で、圧力＝正常を検
知する。

【０００５】圧力＝正常を検知するまでには、まずポン
プ１及び電動機２の軸受の圧力が適正値となり、給油流
量が落ち着き、供給配管の圧力が確保される必要がある
ため、数秒間を要する。また、軸受の潤滑を適正にする
ため、補助油ポンプ４起動後、数秒後に、ポンプを起動
する。さらに、ポンプ起動時間は電動機２の加速時間に
より数秒間を要する。

【０００６】ポンプ起動で、ポンプ１の軸端に設置され
ている油ポンプ３がポンプ１の運転により回転し、各軸
受に潤滑油を供給する。油ポンプ３による軸受潤滑が適
正となる時間を考慮し、補助油ポンプはポンプ起動後、
数十分後に、停止する。

【０００７】待機側ポンプについては、運転ポンプのト
リップによる送水不能時間の短縮を考慮し、待機ポンプ
の急速起動が可能なように、待機ポンプ側の補助油ポン
プ４は待機側ポンプ用であるにも係らず連続運転させて
いる。これは、図４に示すフロー図の通り、ポンプ起動
指令からポンプの起動までには大型のポンプで数十秒要
し、送水先への送水不能時間として長いためであり、従
来技術では、待機側の補助油ポンプを連続運転すること
により、待機ポンプの起動時に、図４に示す補助油ポン
プ起動からポンプ起動までの数十秒間を削除している。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術は、起
動しようとするポンプの補助油ポンプが故障している
と、起動時に軸受に潤滑油を供給出来なくなるため、ポ
ンプが起動出来なくなるにも係らず、通常運転中に、予
備機である待機側ポンプの補助油ポンプを連続運転して
おり、ポンプシステムの信頼性に問題があった。また、
待機側ポンプの補助油ポンプを連続運転させていること
による補助油ポンプ４及び電動機５の部品の寿命の低
減、及び補助油ポンプの運転動力の消費にも問題があっ
た。

【０００９】本発明の第１の目的は、待機側ポンプの補
助油ポンプを運転不要とすることによる、ポンプシステ
ムの信頼性の向上にある。

【００１０】本発明の第２の目的は、第１の目的と同
様、待機側ポンプの補助油ポンプを運転不要とすること
による、補助油ポンプ及び電動機の部品の寿命の向上、
及び消費動力の低減を可能とすることにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的は、運転側ポン
プの軸端に設置した油ポンプから待機側ポンプの軸受に
潤滑油を供給するためのライン６及び待機側ポンプの軸
受潤滑油系統から運転側ポンプの軸受潤滑油系統への潤
滑油の戻りライン７を設けることにより、達成される。

【００１２】

【発明の実施の形態】本発明の実施例を、図１及び図２
により説明する。

【００１３】図１によれば、ポンプ軸受への潤滑油供給
システムは、強制給油されるポンプ１、このポンプの軸
端に設置された油ポンプ３、潤滑油の供給の起点及び戻
りの終点となる油タンク８、このタンク内に設置された
電動機駆動の補助油ポンプ４、並びに、冷却器９及びフ
ィルタ１０を設置した配管等から構成され、ポンプ毎に
独立している。

【００１４】図３に示す従来の実施例の系統に対する相
違点は、運転側ポンプの軸端に設置した油ポンプ３から
待機側ポンプの軸受に潤滑油を供給するためのライン６
及び待機側ポンプの軸受潤滑油系統から運転側ポンプの
軸受潤滑油系統への潤滑油の戻りライン７を設けている
ことにある。

【００１５】ポンプの起動フローを図４により説明する
と、ポンプ起動指令で、補助油ポンプ４が起動し、ポン
プ１及び電動機２の軸受に潤滑油が供給され始め、給油
の圧力が適正値になると、圧力スイッチ１１で、圧力＝
正常を検知する。圧力＝正常を検知するまでには、まず
各軸受の圧力が適正値となり、給油流量が落ち着き、供
給配管の圧力が確保される必要があるため、数秒間を要
する。また、軸受の潤滑を適正にするため、補助油ポン
プ起動後、数秒後に、ポンプを起動する。さらに、ポン
プ起動時間は電動機の加速時間により数秒間を要する。

【００１６】ポンプ起動で、ポンプ１の軸端に設置され
ている油ポンプ３がポンプ１の運転により回転し、各軸
受に潤滑油を供給する。油ポンプ３による軸受潤滑が適
正となる時間を考慮し、補助油ポンプはポンプ起動後、
数十分後に、停止する。待機側ポンプについては、運転
側ポンプの油ポンプからライン６を通過して、軸受に潤
滑油が供給される。

【００１７】このため、運転側ポンプのトリップによ
り、待機側のポンプが起動する場合、すでに、油圧＝正
常が確立しており、この確立から、１０秒以上の時間は
既に経過していることから、待機ポンプは起動指令で、
即、起動可能である。

【００１８】このような系統及び運転とすることによ
り、第１の効果として、待機側ポンプの補助油ポンプを
運転不要とすることが可能となり、ポンプシステムの信
頼性の向上が計れる。

【００１９】第２の効果として、第１の効果と同様、待
機側ポンプの補助油ポンプを運転不要とすることが可能
となり、補助油ポンプ及び電動機の部品の寿命の向上、
及び消費動力の低減が計れる。

【００２０】待機側ポンプの補助油ポンプを運転不要と
することによる、補助油ポンプ及び電動機の部品の寿命
の向上は、ギヤの場合で、連続運転する場合の約１０年
に対し、約２０年の延長となる。また、消費動力は次の
条件で約０.２ｋＷ の低減とすることが出来る。

【００２１】

【数１】消費動力＝(ポンプ容量×全揚程×１.６３）／
（１０００×ポンプ効率×油比重×電動機効率） 上式は消費動力の計算式で、各々の値は、実施例では、
運転側ポンプの油ポンプのみが電動機２により駆動さ
れ、運転側ポンプの油ポンプの容量が従来例の２倍とな
り３００ ｌ／min、全揚程が０.５Ｍｐａ 、ポンプ効率
が７４％、油比重が０.９及び電動機効率が９６％であ
り、消費動力は３.８ｋＷとなり、従来例では、運転側
ポンプの油ポンプ及び待機側ポンプの補助油ポンプが電
動機により駆動され、運転側ポンプの油ポンプの容量が
１５０ ｌ／min、全揚程が０.５Ｍｐa、ポンプ効率が７
２％、油比重が０.９ 及び電動機効率が９６％、待機側
ポンプの補助油ポンプの容量が１５０ ｌ／min、全圧
力；０.５Ｍｐａ 、ポンプ効率が７５％、油比重が０.
９及び電動機効率が８７％であり、消費動力は４.０ｋ
Ｗとなり、従来例と実施例との消費動力の差は０.２ｋ
Ｗとなる。

【００２２】また、図２は、軸受潤滑油系統を共通化し
たものであり、図３の従来例の系統との相違は、補助油
ポンプ４及び電動機５，油タンク８、並びに冷却器９及
びフィルタ１０を含む配管の一部を共通化したところに
あり、ポンプシステムの信頼性向上等の効果は図１に示
す実施例の系統による効果と同一で、さらに、補助油ポ
ンプ４及び電動機５，油タンク８、並びに冷却器９及び
フィルタ１０を設置した配管の一部を共通化したことに
より、機器数の低減を計ることが出来る。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、運転側ポンプの軸端に
設置した油ポンプから、待機側ポンプの軸受潤滑油系統
に潤滑油を供給するためのラインを設けたことにより、
第１に、待機側ポンプの補助油ポンプを運転不要とする
ことによる、ポンプシステムの信頼性の向上を計ること
が可能となる効果がある。

【００２４】第２に、第１の効果と同様、待機側ポンプ
の補助油ポンプを運転不要とすることによる、補助油ポ
ンプ及び電動機の部品の寿命の向上、及び消費動力の低
減が可能となる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用した実施例の説明図で、ポンプ軸
受潤滑油系統図を表す。

【図２】本発明を適用した実施例の説明図で、軸受潤滑
油系統を共通化したポンプ軸受潤滑油系統図を表す。

【図３】従来の実施例の説明図で、ポンプ軸受潤滑油系
統図を表す。

【図４】ポンプ起動までのフロー図を表す。

【符号の説明】

１…強制給油を要するポンプ、２…電動機、３…ポンプ
軸端設置の油ポンプ、４…補助油ポンプ、５…補助油ポ
ンプ駆動用電動機、６…待機側ポンプへの潤滑油供給ラ
イン、７…運転側ポンプへの潤滑油戻りライン、８…油
タンク、９…冷却器、１０…フィルタ、１１…圧力スイ
ッチ。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】強制給油を要するポンプ軸受への潤滑油供
   給システムに関し、強制給油されるポンプ、このポンプ
   の軸端に設置された油ポンプ，潤滑油の供給の起点及び
   戻りの終点となる油タンク、このタンク内に設置された
   電動機駆動の補助油ポンプ、並びに、冷却器及びフィル
   タを設置した配管等から構成され、強制給油を要するポ
   ンプ毎に独立に設置される軸受潤滑油系統で、強制給油
   を要するポンプが運転ポンプ及び待機ポンプとして２台
   以上あるシステムにおいて、運転側ポンプの軸端に設置
   した油ポンプから、待機側ポンプの軸受に潤滑油を供給
   するためのラインを設けたことを特徴とした、潤滑油供
   給システム。
2. 【請求項２】請求項１のポンプ軸受への潤滑油供給シス
   テムにより、運転側ポンプの軸端に設置した油ポンプか
   ら、待機側ポンプの軸受に潤滑油を供給し、運転側ポン
   プの油ポンプで、運転側ポンプの軸受及び待機側ポンプ
   の軸受に同時に潤滑油を供給し、運転ポンプがトリップ
   した場合に、待機側ポンプが急速に起動出来ることを特
   徴とした潤滑油供給システム。