JP2000273443A - ディスプレイ用ガラス基板の研磨用砥材、研磨方法および砥材の品質評価方法 - Google Patents

ディスプレイ用ガラス基板の研磨用砥材、研磨方法および砥材の品質評価方法

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JP2000273443A
JP2000273443A JP7854199A JP7854199A JP2000273443A JP 2000273443 A JP2000273443 A JP 2000273443A JP 7854199 A JP7854199 A JP 7854199A JP 7854199 A JP7854199 A JP 7854199A JP 2000273443 A JP2000273443 A JP 2000273443A
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polishing
abrasive
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coarse particles
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Hiroshi Kimura
宏 木村
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ガラス基板の研磨加工において潜傷の発生頻度
の少ない砥材を得ること、および該砥材の評価方法を提
供する。 【解決手段】酸化セリウム粒子を30〜99重量%含
み、全粒子のうちストークス径6μm以上の粒子が30
0重量ppm以下であるディスプレイ用ガラス基板の研
磨用砥材が提供される。また砥材の品質評価のため、粒
子沈降速度差を利用した分級方法で、所定粒径以上の砥
材を濃縮分離し、ストークス径が所定粒径以上の砥材の
含有量を測定し、砥材から6μm以上の粒子が300重
量ppm以下のものを選別する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、TFT液晶基板、
液晶用カラーフィルタ基板、エレクトロクロミックディ
スプレイ基板、プラズマディスプレイ基板等のフラット
パネルディスプレイ等に使用されるディスプレイ用ガラ
ス基板の研磨、およびテレビ受像機のブラウン管のパネ
ル面の研磨に用いられる研磨用砥材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりガラス板等の鏡面研磨用砥材と
して最もよく使用されている酸化セリウム砥材を研磨用
砥材の代表的な例として以下に述べる。酸化セリウム砥
材は、例えば以下のような方法で製造される。バストネ
サイト系または希土類系の鉱石が破砕された後、鉄等の
金属系の不純物を除くために化学処理(酸処理等)され
る。次に、この化学処理された破砕物が600〜120
0℃で焼成され、その後さらに粉砕され、分級工程を経
て、酸化セリウム砥材として製造される。このようにし
て製造された酸化セリウム砥材は、研磨能率の高さおよ
び研磨品質の高さを兼備するガラス研磨用砥材として従
来から用いられてきた。
【0003】このような砥材の平均粒径または粒度分布
は、研磨速度、研磨面性状に大きく影響するため、砥材
メーカーは製品別に基準を設け、粒度分布測定等により
品質管理を行っている。
【0004】砥材の粒度分布測定は、一般には電解質を
仕切った壁の細孔内に粒子を通過させた際の電気抵抗値
の変化から粒径を測定する電気的検知帯法(コールター
法)や、レーザー光を粒子に照射したときの回折像の濃
淡・間隔から粒径を測定する光回折法等の方式が用いら
れ、粒度分布は一般的には粒径毎の個数または質量の頻
度分布で表される。
【0005】一方、ディスプレイ用ガラス基板の研磨に
は、簡便性、汎用性等の点で優れたオスカー式研磨機、
または被加工物の面性状に優れたホフマン型研磨機が広
く用いられている。その他、前記装置を連続生産用に改
良した装置、基板の供給・搬送等を自動化した装置等、
各種の装置が用いられている。
【0006】オスカー式研磨機は図1に示されるよう
に、被加工物3を上定盤1に固定し、酸化セリウム砥材
等を液体中に分散させた研磨剤スラリーを供給しなが
ら、上定盤1、下定盤2の双方を回転させ、さらに上定
盤1を揺動または円運動させることで研磨する方式の研
磨機である。
【0007】ホフマン型研磨機は図2に示されるよう
に、遊星運動をする研磨キャリア9で被加工物10を保
持し、サンギア7、インターナルギア8を回転させるこ
とで研磨キャリア9を上定盤6、下定盤12の間で自転
・公転させながら均一な運動をさせ研磨する方式の研磨
機である。なお、図2において、4は供給される研磨ス
ラリーの流れを、5は上定盤6に設けられたスラリー供
給口を、11は研磨パッドをそれぞれ示す。ホフマン型
研磨機は、被加工物の両面(上下面)を同時に研磨する
ため、そりのない平行平面で、かつ面精度の高い被加工
物を容易に得ることができる特徴がある。
【0008】ところで、ガラス基板の研磨加工における
問題点の一つとして、研磨加工中に被加工面に生じるキ
ズ(いわゆる研磨キズ)が挙げられる。ガラス基板の前
記研磨キズには、光学的に検出できる顕傷と、被加工面
をエッチングすることによって微小クラックが開き、初
めて光学的に検出できる潜傷との2種類がある。平滑な
表面を要求されるディスプレイ用ガラス基板では、顕傷
はもとより潜傷についても問題となるキズ深さの減少や
キズ数の低減に対する顧客の要求が厳しく、研磨キズの
発生は歩留まりを低下させる大きな要因の一つである。
【0009】前記研磨キズの発生は種々の研磨因子に影
響される。主な因子としては、砥材の粒度・硬度、加工
圧力・相対研磨速度等の研磨条件、研磨パッドの材質・
硬度等が考えられる。
【0010】一般に、研磨条件が同一ならば、研磨用砥
材の粒子が大きいほど研磨速度は速いが、その反面、研
磨面粗さは大きくなり、研磨キズの発生頻度も高くなる
といわれている。すなわち、研磨キズは、研磨用砥材中
の粗大粒子が原因となり生じると考えられている。した
がって、砥材メーカーは、粒度分布測定により、砥材の
平均粒径だけでなく最大粒径についても管理し、研磨キ
ズの生じにくい研磨用砥材の供給をめざしている。
【0011】一方、砥材ユーザーは、被加工品の要求品
質を満たし、かつ研磨コストの上昇を抑えるために、研
磨加工の効率化をめざして、研磨方法や研磨条件に適し
た砥材を選定している。
【0012】このような状況下、砥材メーカーで測定さ
れた同一の粒度分布をもつ同一品種の砥材であっても、
その製造ロット毎に研磨加工で発生する潜傷の数量にバ
ラツキがあることが明らかとなった。また、従来の砥材
の管理法である粒度分布測定では研磨加工で発生する潜
傷の数量を予測できないことがわかった。すなわち、平
均粒径または最大粒径と研磨加工で発生する潜傷の数量
に相関関係が見られないことが実験によりわかった。
【0013】前記潜傷の数量バラツキの原因は、砥材中
の粗大粒子にあると考えられていたが、砥材中に存在す
る粗大粒子の割合(含有量)が微小であるため、従来の
砥材評価法である粒度分布測定ではその含有量を定量的
に測定できなかった。また、潜傷を生じさせる粗大粒子
の大きさ、数量等の影響についても明確にできていなか
ったため、評価する手法が確立しておらず、潜傷を多く
発生させるロットの砥材をあらかじめ選別し排除する手
段がなかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記問題点
を解決し、ディスプレイ用ガラス基板の研磨加工におい
て潜傷の発生頻度の少ない研磨用砥材を得、それにより
潜傷の少ないディスプレイ用ガラス基板を得ること、お
よび該研磨用砥材の評価方法の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、酸化セリウム
粒子を30〜99重量%含む研磨用砥材であって、該研
磨用砥材の全粒子のうちストークス径6μm以上の粒子
が300重量ppm以下であるディスプレイ用ガラス基
板の研磨用砥材、および該研磨用砥材を用いてディスプ
レイ用ガラス基板を研磨することを特徴とするディスプ
レイ用ガラス基板の研磨方法を提供する。
【0016】このような砥材を用いて研磨加工を行うこ
とにより、ディスプレイ用ガラス基板の研磨加工におい
て潜傷の発生を低減でき加工歩留まりを向上できる。
【0017】また、本発明は、研磨用砥材より、その一
部を採取し、湿式沈降分級方法、または、遠心力もしく
は慣性力を利用した分級方法により所定粒径以上の粗大
粒子を濃縮分離し、濃縮分離した沈殿物をフィルタで濾
過することでストークス径6μm以上の粗大粒子を分離
し、分離した粗大粒子の重量を測定することでストーク
ス径6μm以上の粗大粒子が前記研磨用砥材に300重
量ppm超含まれるか否かを判別し、ストークス径6μ
m以上の粗大粒子が300重量ppm以下である研磨用
砥材を用いてディスプレイ用ガラス基板を研磨すること
を特徴とするディスプレイ用ガラス基板の研磨方法を提
供する。
【0018】このような方法により研磨用砥材を判別す
ることで、ディスプレイ用ガラス基板の研磨加工用に、
研磨加工で発生させる潜傷の発生頻度の少ない研磨用砥
材を選別して使用でき、その結果、潜傷の発生が低減で
き加工歩留まりを向上できる。
【0019】また、本発明は、研磨用砥材より、その一
部を採取し、湿式沈降分級方法、または、遠心力または
慣性力を利用した分級方法によりストークス径が所定粒
径以上の粗大粒子を濃縮分離し、分離した粗大粒子の重
量を測定することでストークス径が所定粒径以上の粗大
粒子の前記研磨用砥材に対する含有量を測定することを
特徴とする研磨用砥材の品質評価方法を提供する。
【0020】このような研磨用砥材の品質評価方法を用
いることで、潜傷を発生させる所定粒径以上の粒子の研
磨用砥材に対する含有量が測定でき、研磨用砥材と加工
歩留まりを低下させる潜傷との関係が解明できる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明におけるディスプレ
イ用ガラス基板の研磨用砥材、該砥材を用いる研磨方
法、および該砥材の評価方法について説明する。
【0022】ディスプレイ用ガラス基板の研磨用砥材
は、酸化セリウムを主成分としているものが多用され
る。該研磨用砥材は、通常は酸化セリウムを主成分と
し、他に希土類酸化物が含まれる。安価な砥材では酸化
セリウムの含有率が低く、高品質の砥材では酸化セリウ
ムの含有率が高い傾向にあり、通常酸化セリウムの含有
率は30〜99%の範囲にある。なお、含有率が30%
未満では研磨速度が遅く工業的生産には不適当である。
【0023】砥材中の粗大粒子の含有量は以下のように
測定する。測定に供する砥材は、砥材全体の粒度分布を
代表するように所定量分取する。分取した試料は溶媒に
所定濃度で分散させる。分散させる溶媒は粒子が分散で
きればよく、ポア径1μmのフィルタを通過させたイオ
ン交換水が例示されるが、これに限定されない。
【0024】試料を溶媒に分散させる方法としては特に
限定されず、超音波、撹拌機、各種分散機等、砥材を分
散できる方法ならよい。また、砥材を溶媒に分散させた
後、二次凝集を防止するために分散剤を添加してもよ
い。該分散剤は、溶媒に可溶で、一次粒子の凝集を防止
するものであれば、有機系、無機系を問わない。このよ
うに、溶媒に砥材を分散させた分散液をスラリーとい
う。
【0025】所定濃度のスラリーから粗大粒子を分離す
る方法として、粒子の沈降速度差を利用した重力沈降分
離法、遠心分離法等が利用できる。粒径D(単位:m)
の球状粒子1個が静止流体中を重力の作用のみで沈降す
る場合、粒子の運動方程式は、式1で示される。ここ
で、式1中の各記号はそれぞれ以下の諸量を示す。 ρp:粒子密度(単位:kg/m3)、 ρ:流体密度(単位:kg/m3)、 u:粒子と流体の相対速度(単位:m/sec)、 g:重力加速度(単位:m/sec2)、 CD:抵抗係数(−)。
【0026】
【数1】
【0027】遠心場に対しても、式1の右辺第一項の外
力の項を変更するだけで適応できる。式1において、粒
子と流体の相対速度すなわち粒子沈降速度uがある大き
さになると左辺du/dt=0、すなわち、一定速度で
沈降するようになる。この速度を終末速度と呼ぶ。層流
域での終末速度v(単位:m/sec)は、ストークス
の沈降速度式と呼ばれる式2で表される。式2中、μは
流体粘度(単位:kg/m2)を示す。
【0028】
【数2】
【0029】この終末速度vの差を利用して粗大粒子を
濃縮・分離する。濃縮・分離させる方法は特に限定され
ず、重力を利用した垂直流型分級機または水平流型分級
機、遠心力を利用した遠心分離器または液体サイクロン
(登録商標)等の装置により粒子沈降速度差で分離でき
る方法ならよい。
【0030】前記の方法を用いて、砥材中に存在する所
定のストークス径以上の粒子を含む濃縮液(沈殿液)を
得る。ここで、ストークス径とは、粒子の大きさの表し
方であり、粒子が静止流体中を重力の作用のみで沈降す
る際の終末速度と同一の終末速度をもち、かつ同一の密
度の球状粒子の直径で表されるものである。
【0031】前記沈殿液をフィルタを用いて吸引濾過
し、充分に乾燥させた後、フィルタ上の固形分の重量を
測定し、粗大粒子の含有量を算出する。該含有量は前記
沈殿液中の固形分の重量を最初に採取した砥材の全重量
で除した値でありppmで表す。
【0032】前記フィルタはストークス径よりも小さい
ポア径のものを用いる。なお、前記分離操作は、溶媒粘
度の変化を防ぐため環境温度一定で、かつ異物の混入を
防ぐためにクリーンな環境下で行うことが望ましく、ク
リーンルーム内で行うのが望ましい。
【0033】潜傷は、次のように評価した。研磨された
ガラスの研磨面を洗浄後、エッチング液を用いてエッチ
ング処理し、高輝度光源を用いて目視検査し、潜傷の単
位面積(単位:cm2)あたりの個数で評価した。研磨
面の洗浄は、スクラブ洗浄、超音波洗浄等特に限定され
ず、研磨用砥材および他の付着物が除去されればよい。
【0034】エッチング液としては、ガラスをエッチン
グできる液ならば有機系、無機系を問わないが、例えば
フッ化水素酸を主成分とした水溶液が一般的である。エ
ッチング量は、厚みで10μm(片面で)を超えた場
合、潜傷のキズ幅が広がり、潜傷と潜傷ではないキズと
の区別が困難となる。したがって、エッチング量は、厚
みで5μm(片面で)以下が好ましく、厚みで1μm
(片面で)以下がより好ましく、厚みで0.5μm(片
面で)以下がさらに好ましい。
【0035】高輝度光源の輝度は、1万ルックス未満で
は10μm以下の幅(エッチング後)の潜傷が目視で検
出することが困難なので、1万ルックス以上が好まし
く、5万ルックス以上がより好ましく、10万ルックス
以上がさらに好ましい。
【0036】前記の粗大粒子の含有量の測定方法および
潜傷の評価方法を用いて、粗大粒子と潜傷との関係を調
べた結果、ストークス径が6μm以上の粗大粒子を含ま
ない砥材は潜傷が発生せず、また、潜傷の単位面積(単
位:cm2)あたりの個数は、ストークス径が6μm以
上の粗大粒子の含有量と明確な正の相関関係にあること
を見い出した。
【0037】この相関関係から、ストークス径が6μm
以上の粗大粒子の含有量が300重量ppmを超えるも
のでは、単位面積(単位:cm2)あたりの潜傷数が
0.5個以上となる。したがって、ストークス径が6μ
m以上の粗大粒子の含有量は、300重量ppm以下が
好ましく、100重量ppm以下がより好ましく、50
重量ppm以下がさらに好ましく、5重量ppm以下が
最も好ましい。
【0038】
【実施例】[例1]酸化セリウム砥材の同一製品の製造
ロット別に8ロット、および特別に作成された試作品砥
材を2ロット、計10ロットについて評価した。すなわ
ち、ストークス径が6μm以上の粗大粒子の含有量を以
下のように測定した。なお、試作品の2ロットは酸化セ
リウム砥材の同一製品を再度風簸により分級したものを
微粒側と粗粒側に分取したものである。すなわち、砥材
製品より作為的に粗大粒子を少なくしたもの、および粗
大粒子を多く含ませたものである。
【0039】それぞれのロット毎に20kg入りの袋に
入った酸化セリウム砥材のうち任意の約1kgを取り出
し、二分器を用いて粒子径の偏在のないように100g
を分取し、これを粗大粒子の含有量測定用試料とした。
二分器とは粉体を均等に2分割する分割器であり、これ
を繰り返し用いることで、大量の母集団の中から偏りの
ない測定用試料が得られる。ビーカーに入った、ポア径
が1μmのフィルタを通過させたイオン交換水である溶
媒5kgに前記試料を分散させ、2重量%のスラリーと
した。
【0040】前記スラリーに酸化セリウム微粒子の凝集
を防ぐために、分散助剤として有機酸(大智化学社製:
商品名[シュレック107A−50])を溶媒1kgに
対し1ccの割合で添加した。次に、ビーカーを超音波
洗浄機(カイジョー社製:商品名[sono clea
ner 200a])に入れ、10分間超音波を印加し
て二次凝集粒子を分散処理するとともに、ビーカー内の
スラリーをテフロン(登録商標)棒で撹拌した。
【0041】分散処理したスラリーを20分間静置させ
た後、初期液面から深さ105mmの所までの上澄み液
を排出した。排出は、ビーカー内に内径8mmの管を挿
入し、上澄み液を0.4リットル/分の速度でチューブ
ポンプで汲み上げる方法で行った。排出用の管の先端
は、常にビーカーの液面の中央部分で液面から10mm
の深さのところに挿入され、液面の低下に伴って追従し
ていくようにした。
【0042】このときのスラリー静置時間と上澄み液の
除去深さは、分離しようとする目標の粒径である6μm
の球状粒子がストークスの沈降速度式にしたがって、す
なわち終末速度で液面から沈降した場合の沈降時間と沈
降距離を計算して決めたが、実際には経験値による多少
の修正を加えた。
【0043】上澄み液を排出後、排出量と同量の溶媒
(分散剤を含む)を加え、再度、分散処理、静置、上澄
み液排出の操作を行った。この繰り返しを増やすほど、
粗大粒子の分離は確実になるが、その反面、粗大粒子の
吸引または持ち出しの可能性も増え、誤差が大きくな
る。したがって、経験的に以下の基準で行った。排出し
た上澄み液をポア径5μmのメンブランフィルタで濾過
したとき、フィルタ上の砥材が目視で認められなくなる
まで、すなわち上澄み液中に含まれる砥材がなくなるま
で前記一連の操作を繰り返した。
【0044】このようにして得られた沈殿液をポア径5
μmのメンブランフィルタを通して吸引濾過し、次にデ
シケータ内に入れ、1日以上充分乾燥させ、乾燥後にフ
ィルタ上の固形分の重量を測定して含有量を算出した。
前記分離操作は、溶媒粘度の変化を防ぐため、室温を1
8±3℃以内に保ち、かつ異物の混入を防ぐため、クラ
ス1000のクリーンルーム内で行った。
【0045】なお、ポア径5μmのメンブランフィルタ
を使用したのは、ポア径5μmでも粒径5μm以上の粒
子を一部通過させてしまうこと、市販のフィルタにポア
径6μmのものがないこと等、および経験的に粒径6μ
m以上の粒子を捕捉するのに最適であった事実による。
【0046】次に、研磨加工により発生する潜傷の評価
方法について述べる。前記の、粗大粒子の含有量の測定
に用いた砥材と同一の製品の製造ロット別の8ロット、
および試作品の2ロットの計10ロットの酸化セリウム
砥材を用いて以下のようにガラス基板を同一条件で研磨
し、発生する潜傷の数を測定した。
【0047】研磨加工に使用するホフマン型両面研磨機
として、研磨キャリア径が4インチで2ウェイ方式の研
磨機(浜井産業社製:商品名[4BT])を用いた。研
磨の条件は、研磨圧力100g/cm2、スラリー中の
砥材濃度2重量%、スラリー温度30℃、スラリー供給
量0.3リットル/分、サンギア回転数60rpmで、
全ての試料の研磨条件は同一とした。
【0048】研磨機の上下定盤に貼る研磨パッドは、発
泡ポリウレタンパッド(ユニバーサル・フォトニクス社
製:商品名[GR35])を使用した。研磨試料(ガラ
ス基板)として、液晶ディスプレイ用基板ガラス(旭硝
子社製:商品名[AN635])を用いた。試料形状
は、厚さ1.1mmで一辺が50mmの正方形状であ
る。
【0049】研磨された試料は、研磨面に物が触れるこ
とのないようにして水道水で流水洗浄した後、クラス1
000のクリーンルーム内において、超音波洗浄機で超
音波を印加しながらイオン交換水で3回リンスした。リ
ンス後、圧縮窒素を吹き付けて乾燥した。乾燥後の試料
をフッ化水素酸を主体としたエッチング液を用いて0.
1μmの厚み(片面で)をエッチングし、その後イオン
交換水でリンスし、圧縮窒素による乾燥を行った。
【0050】このようにして、研磨、洗浄、エッチン
グ、リンス、乾燥された試料表面の潜傷を、クラス10
00のクリーンルーム内で、10万ルックスの高輝度光
源を用いて目視検査により計数し、単位面積当たりの潜
傷数(単位:個/cm2)を算出した。
【0051】各ロット毎のストークス径が6μm以上の
粗大粒子の含有量と潜傷数との関係を図3に示す。試作
品で粗大粒子を少なくしたものは、ストークス径が6μ
m以上の粒子の含有量が5重量ppm以下で、かつ研磨
キズ(潜傷)数が0.08(単位:個/cm2)と粗大
粒子の含有量および潜傷数のいずれも最も小さい値とな
った。一方、試作品で粗大粒子を多くしたものは、粗大
粒子の含有量および潜傷数のいずれも最も大きい値とな
った。また、砥材の同一製品でも製造ロット毎に粗大粒
子の含有量および潜傷数にはバラツキがあることがわか
る。前記10ロットの結果から、両者の間には正の相関
が認められ、ストークス径が6μm以上の粗大粒子の含
有量が300重量ppm超となると、潜傷数が0.5個
/cm2以上となることがわかる。
【0052】[例2]例1で評価した砥材のうち、スト
ークス径が6μm以上の粒子の含有量が5重量ppm以
下であり、かつ研磨キズ(潜傷)数が0.08(単位:
個/cm2)であった試作品の砥材を用いて、砥材に粗
大粒子を混入させる試験を行った。該試作品のロット
は、ディスプレイ用ガラス基板の研磨用砥材として好ま
しいものであるが、これにストークス径が6μm以上の
粗大粒子を故意に混入させ研磨テストを行ってその結果
を確認した。
【0053】具体的には、他のロットの砥材から前記の
方法で抽出した、ストークス径が6μm以上の砥材(固
形分)を、前記試作品の砥材に対し50重量ppm、1
00重量ppm、200重量ppm、300重量pp
m、500重量ppm混入させた計5条件の砥材を作成
し、これをスラリーにして研磨テストを行った。その結
果を図4に示す。なお、研磨の条件は例1と同一であ
る。
【0054】図4より、ストークス径が6μm以上の粗
大粒子の混入量と潜傷数には強い1次の正の相関が認め
られた。また、この粗大粒子を混入させた研磨テストの
結果で得られた図4の回帰直線と、図3に示される値の
回帰直線とを比較すると、両者はよく一致していること
がわかる。したがって、本発明の砥材の品質評価方法お
よびガラス基板の研磨方法の妥当性がこれより認められ
る。
【0055】以上の結果から、次のことが言える。スト
ークス径が6μm以上の粗大粒子の含有量が300重量
ppm以下の砥材を用いればガラス基板の潜傷を0.5
個/cm2以下に抑えることができる。また、本発明の
砥材の品質評価方法を用いて事前に砥材を評価すること
により、潜傷を多発させるロットの砥材を見い出すこと
ができ、そのような不良なロットの使用を未然に防ぐこ
とができる。
【0056】
【発明の効果】本発明のディスプレイ用ガラス基板の研
磨用砥材を用いてガラス基板を研磨すれば、砥材起因の
潜傷の発生を抑制でき、高品質なガラス基板が得られ、
研磨歩留まりを高められる。
【0057】また、本発明のディスプレイ用ガラス基板
の研磨用砥材の評価方法を用いて事前に研磨用砥材を評
価すれば、潜傷を多発させる砥材を発見でき、未然に砥
材に起因する潜傷の発生を防げる。
【図面の簡単な説明】
【図1】オスカー式研磨機の概略図。
【図2】ホフマン型研磨機の概略図。(a)ホフマン型
研磨機の概略図。(b)ホフマン型研磨機における被加
工物の運動を示す説明図。
【図3】砥材のロット毎の、ストークス径が6μm以上
の粗大粒子の含有量と潜傷数との関係を示したグラフ。
【図4】ストークス径が6μm以上の粗大粒子を混入さ
せた研磨テストの結果を示す、ストークス径が6μm以
上の粗大粒子の混入量と潜傷数との関係を示したグラ
フ。
【符号の説明】
1:上定盤 2:下定盤 3:被加工物 4:研磨スラリー 5:スラリー供給口 6:上定盤 7:サンギア 8:インターナルギア 9:研磨キャリア 10:被加工物 11:研磨パッド 12:下定盤

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化セリウム粒子を30〜99重量%含む
    研磨用砥材であって、該研磨用砥材の全粒子のうちスト
    ークス径6μm以上の粒子が300重量ppm以下であ
    るディスプレイ用ガラス基板の研磨用砥材。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の研磨用砥材を用いてディ
    スプレイ用ガラス基板を研磨することを特徴とするディ
    スプレイ用ガラス基板の研磨方法。
  3. 【請求項3】研磨用砥材より、その一部を採取し、湿式
    沈降分級方法、または、遠心力もしくは慣性力を利用し
    た分級方法により所定粒径以上の粗大粒子を濃縮分離
    し、濃縮分離した沈殿物をフィルタで濾過することでス
    トークス径6μm以上の粗大粒子を分離し、分離した粗
    大粒子の重量を測定することでストークス径6μm以上
    の粗大粒子が前記研磨用砥材に300重量ppm超含ま
    れるか否かを判別し、ストークス径6μm以上の粗大粒
    子が300重量ppm以下である研磨用砥材を用いてデ
    ィスプレイ用ガラス基板を研磨することを特徴とするデ
    ィスプレイ用ガラス基板の研磨方法。
  4. 【請求項4】研磨用砥材より、その一部を採取し、湿式
    沈降分級方法、または、遠心力または慣性力を利用した
    分級方法によりストークス径が所定粒径以上の粗大粒子
    を濃縮分離し、分離した粗大粒子の重量を測定すること
    でストークス径が所定粒径以上の粗大粒子の前記研磨用
    砥材に対する含有量を測定することを特徴とする研磨用
    砥材の品質評価方法。
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