JP2000272680A - 二重構造エアゾール容器用マウンテンカップ - Google Patents

二重構造エアゾール容器用マウンテンカップ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マウンテンカップの輸送乃至搬送中に内袋の
位置ずれや脱落が有効に防止されると共に、アンダーカ
ップ充填の際に、内袋へのガスの侵入や内袋の脱落や位
置ずれが有効に防止され、しかも容器口部との確実な密
封が可能となる二重構造エアゾール容器用マウンテンカ
ップを提供するにある。 【解決手段】 二重構造エアゾール容器用のマウンテン
カップにおいて、マウンテンカップの内面有機被膜と樹
脂製内袋の開口部乃至その近傍とが部分的に加熱溶着さ
れた固定部分と、マウンテンカップの被クリンチ部分に
対応して、内面有機被膜と樹脂製内袋とが未接着の状態
に維持されたフリー部分とを備えていることを特徴とす
る二重構造エアゾール容器用マウンテンカップ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二重構造エアゾー
ル容器用マウンテンカップに関するもので、より詳細に
は、二重構造エアゾール容器におけるマウンテンカップ
と内袋とが一体化されており、マウンテンカップの輸送
乃至搬送中、或いはアンダーカップ充填の際に、内袋の
位置ずれや脱落が有効に防止され、容器口部との確実な
密封を可能にする二重構造エアゾール容器用マウンテン
カップに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プロペラント(噴射剤)を利用
し、バルブのアクチュエーター(作動子)を押圧するこ
とにより、内容物を噴射乃至圧出させるようにしたエア
ゾール容器は、化粧品、トイレタリー用品、防虫乃至殺
虫剤、家庭用品、工業用品或いは食品等に対する包装容
器として広く使用されており、この包装容器では、多数
回にわたって内容品を少量づつ取出す場合にも、内容品
の密封状態が維持されるという利点がある。
【0003】このエアゾール容器には大別して、内容物
と共にプロペラントが単一室内に収容され、プロペラン
トにより内容品が噴射される一室型容器と、内容品がバ
ルブに接続される内袋内に収容され、一方プロペラント
が外缶と内袋との空間内に収容される二室型容器(二重
構造容器)とがある。この内、二室型容器では、充填さ
れたプロペラントが使用中も外缶と内缶との空間内に閉
じ込められたままであり、従って一室型容器の場合のよ
うに、プロペラントが大気中に噴出して環境に悪影響を
及ぼすことがなく、またプロペラントとしても、内容品
との相溶性等からくる格別の制限なしに各種のものを使
用し得るという利点がある。エアゾール容器用のバルブ
は、マウンテインカップと呼ばれる蓋に取り付けて使用
されている。このマウンテインカップは、金属製蓋体の
中央部がバルブハウジングとなり、その外周部にエアゾ
ール容器、例えば眼鏡蓋のビード部との締結用カール部
が形成されたものである。
【0004】この二重構造エアゾール容器において、内
袋とマウンテンカップとを同時にエアゾール容器の開口
部に締結することも既に知られている。例えば、特表平
6−502829号公報には、剛性的な付着面に固定す
るための軟質プラスチックから成る容器において、容器
の排気の際に口部領域が剛性的な付着面に不動に固定さ
れるように、剛性的な付着面に取り付けるべき口部領域
の輪郭が付着面の輪郭に適合していることを特徴とする
剛性的な付着面に固定するための軟質プラスチックから
成る容器が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の軟質プラスチッ
ク容器(内袋)はマウンテンカップの輪郭に対応する輪
郭を有し、減圧によりマウンテンカップに不動に固定さ
れるものではあるが、実際にエアゾール容器への適用に
当たっては未だ改善すべき点が多い。即ち、マウンテン
カップの輸送中、或いは工場における工程でのマウンテ
ンカップの搬送中では、減圧が作用していないため、内
袋が脱落したり、或いは脱落しかかったりするという問
題があり、マウンテンカップと内袋とを一体に取り扱う
ことが難しくなる。このため、エアゾール容器への適用
直前に、マウンテンカップと内袋とを組み立てる必要が
あり、工程数が多くなり、また生産性が低くなるという
問題がある。
【0006】最近、エアゾールの充填には、アンダーカ
ップ充填法が広く採用されつつある。この充填法では、
充填ヘッドで3つの操作、即ち、缶内の脱空、噴射剤の
充填、バルブ(マウンテンカップ)のクリンチが1回転
中に行われる。即ち、原液が充填され、缶の頂部にバル
ブ(マウンテンカップ)が載せられた容器がこの充填機
に入ると、充填ヘッドは容器の上部を気密にシールし、
バキュームにより容器内の空気を排気し、次いでバルブ
マウンテンカップ及び内袋の下面と缶のビードとの間か
ら、噴射剤が圧入され、容器内に充填される。最後に、
マウンテンカップが容器のビードにクリンチされて、充
填密封が完了する。
【0007】公知の内袋とマウンテンカップとの組合せ
を用いる方式では、このアンダーカップ充填に際して、
内袋がガスの流れに耐えきれずに動いて、内袋とマウン
テンカップとの隙間から内袋内にガスが混入したり、内
袋の脱落や位置ずれを生じやすいという問題がある。
【0008】したがって、本発明の目的は、マウンテン
カップの輸送乃至搬送中に内袋の位置ずれや脱落が有効
に防止されると共に、アンダーカップ充填の際に、内袋
へのガスの侵入や内袋の脱落や位置ずれが有効に防止さ
れ、しかも容器口部との確実な密封が可能となる二重構
造エアゾール容器用マウンテンカップを提供するにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、二重構
造エアゾール容器用のマウンテンカップにおいて、マウ
ンテンカップの内面有機被膜と樹脂製内袋の開口部乃至
その近傍とが部分的に加熱溶着された固定部分と、マウ
ンテンカップの被クリンチ部分に対応して、内面有機被
膜と樹脂製内袋とが未接着の状態に維持されたフリー部
分とを備えていることを特徴とする二重構造エアゾール
容器用マウンテンカップが提供される。本発明におい
て、前記固定部分が樹脂製内袋に対して溶着性の塗料を
スポットコーティングすることにより形成されたもので
あることが好ましく、また、前記フリー部分が樹脂製内
袋に対して非溶着性の塗料をスポットコーティングする
ことにより形成されたものであることが好ましい。ま
た、前記固定部分がスポット的な高周波誘導加熱或いは
超音波照射加熱により形成されていることが望ましい。
更に、前記固定部分が、樹脂製内袋の内面を構成する樹
脂と同種の樹脂粉末を分散させた内面有機被膜と、樹脂
製内袋との融着により形成されていることが好ましく、
また、樹脂製内袋に対して、それ自体熱接着性を示す塗
料も使用される。その具体例として、(1)樹脂製内袋
の少なくとも内表面がオレフィン系樹脂で構成され且つ
前記固定部分における内面有機被膜がオレフィン系樹脂
粒子を分散させた塗料で形成されているもの、(2)樹
脂製内袋の少なくとも内表面がナイロン系重合体で構成
され且つ前記固定部分における内面有機被膜がナイロン
系重合体粒子を分散させた塗料或いはエポキシ・フェノ
ール樹脂系塗料で形成されているもの、(3)樹脂製内
袋の少なくとも内表面がポリエステル系重合体で構成さ
れ且つ前記固定部分における内面有機被膜がポリエステ
ル系重合体粒子を分散させた塗料、ポリエステル系塗料
或いはエポキシ・フェノール樹脂系塗料で形成されてい
るもの、などが挙げられる。更にまた、前記固定部分
が、樹脂製内袋の内面を構成する樹脂と同種の樹脂フィ
ルムをラミネートさせた内面有機被膜と、樹脂製内袋と
の融着により形成されていることもできる。本発明によ
ればまた、上記マウンテンカップをエアゾール容器に挿
入し容器のビード部にクリンチにより締結して成ること
を特徴とする二重構造エアゾール容器が提供される。
【0010】
【発明の実施形態】本発明の二重構造エアゾール容器用
のマウンテンカップにおいては、マウンテンカップの内
面有機被膜と樹脂製内袋の開口部乃至その近傍とが部分
的に加熱溶着された固定部分と、マウンテンカップの被
クリンチ部分に対応して、内面有機被膜と樹脂製内袋と
が未接着の状態に維持されたフリー部分とを備えている
ことが顕著な特徴である。
【0011】本発明のマウンテンカップでは、マウンテ
ンカップの内面有機被膜と樹脂製内袋の開口部乃至その
近傍とが加熱溶着により固定されているため、マウンテ
ンカップと内袋との一体的な取り扱いが可能となり、マ
ウンテンカップの輸送乃至搬送中での内袋の脱落や位置
ずれ、或いはアンダーカップ充填時の内袋内へのガスの
混入や内袋の脱落や位置ずれを皆無にすることができ、
これにより、エアゾール容器の密封信頼性や内容品の品
質を向上させ、更にエアゾール容器の生産性を向上させ
ることができる。また、内袋付マウンテンカップの長距
離輸送及び長期間保存が可能となり、内袋付マウンテン
カップの生産拠点とエアゾールの充填拠点とを独立さ
せ、効率のよい生産体制を樹立することができる。
【0012】本発明においては、マウンテンカップはカ
ール部の下方に容器口部にクリンチされるべき部分を備
えているが、前記固定部に加えて、マウンテンカップの
被クリンチ部分に対応して、内面有機被膜と樹脂製内袋
とが未接着の状態に維持されたフリー部分を備えている
という特徴がある。この構成によると、マウンテンカッ
プの被クリンチ部の内袋が自由度の高い状態に保たれ、
その移動や変形が容易となり、これにより、クリンチ時
の容器本体の開口端ビードの変形を防ぐことが可能とな
り、また開口端ビードの成形じわを内袋が吸収して、よ
り密封を確実にするという作用がある。
【0013】また、内袋の接着固定は、加熱溶着により
行われていることが有利である。即ち、加熱溶着では、
加熱による樹脂の溶融により接着が生じ、加熱をやめる
ことにより(冷却により)接着の固定が行われるので、
接着操作が簡便に行われるという利点があり、更に、溶
媒や単量体などの低分子量成分を用いる必要もないの
で、これらの低分子量成分が内容物中に混入するおそれ
もなく、衛生的特性にも優れているという利点がある。
【0014】本発明においては、内袋の固定部分とフリ
ー部分(非接着部分)とを、厳密に制御された位置関係
で設けることが可能となるという利点も得られる。即
ち、部分的な接着固定は、接着性内面塗料のスポットコ
ーティングにより厳密に制御された位置関係で行うこと
もできるし、また内面塗料と内袋とのスポット加熱によ
り厳密に制御された位置関係で行うこともできる。
【0015】[マウンテンカップ]図1は、本発明のマ
ウンテンカップを、バルブを取り付けた状態及び内袋を
取り付け前の状態で示す側面断面図である。このマウン
テンカップ1は、上に凸のカール部11、カール部の内
周縁につながる外周壁12、外周壁の下部に接続された
環状底部13、環状底部の内周縁につながる内周壁14
及び内周壁の上部につながる頂板部15から成ってい
る。頂板部15には貫通口16が設けられており、頂板
部15及び内周壁14で規定される部分がバルブハウジ
ングであって、内部にバルブ2が収容されている。図示
していないが、マウンテンカップの少なくとも内面側に
は金属基体を保護するための内面有機被膜が形成されて
いる(後述する図3参照)。
【0016】バルブ2のステム21は、マウンテンカッ
プの貫通口16を通して外方に突出しており、一方、内
周壁14にはその下方に径が縮小したカシメ部17が設
けられていて、バルブ2の下部と密封的に係合して、バ
ルブ2を支持している。バルブのステムはマウンテンカ
ップに対して上下動可能であり、このステム21の下方
には、ステム21を上方に賦勢する押しスプリング22
が設けられていて、ステムは上方のバルブの閉鎖位置に
押し上げられており、ステム21を指で下方に押し下げ
ることにより、バルブが開放するようになっている。
【0017】樹脂製内袋をマウンテンカップに取り付け
た状態で示す図2において、この内袋3は開口部31、
胴部32及び閉塞底部33を備えた単層或いは多層の樹
脂製袋であって、胴部32には容積の変化を可能にする
プリーツ乃至ガセットが形成されていて、径の小さな谷
折り部34及び径の大きい山折り部35を備えている。
【0018】マウンテンカップ内面樹脂被膜と樹脂製内
袋との接着構造を説明するための図3において、マウン
テンカップの内面有機被膜と樹脂製内袋の開口部乃至そ
の近傍とが部分的に加熱溶着された固定部分40と、マ
ウンテンカップの被クリンチ部分に対応して、内面有機
被膜と樹脂製内袋とが未接着の状態に維持されたフリー
部分41とが設けられている。より具体的には、マウン
テンカップの金属基体42上には、ほぼ全面にわたって
樹脂製内袋3に対して熱溶着性を有しない内面有機被膜
43が形成されており、前述した固定部分40には、樹
脂製内袋3に対して熱溶着性を有する内面有機被膜44
がスポット的に施されている。前述したフリー部分41
では外面に非熱溶着性の内面有機被膜43が露出してお
り、したがって、この状態でマウンテンカップと内袋と
を重ねて加熱すると、熱溶着性被膜44の部分では内袋
の熱融着が生じるが、非熱溶着性被膜43の部分では溶
着が生じることがなく、前述した部分接着固定構造が生
じることになる。
【0019】本発明においては、樹脂製内袋3の開口部
31乃至その近傍を、マウンテンカップ1のカール部1
1内面の熱溶着性内面有機被膜44に熱溶着させるが、
この際、図2に示すように、樹脂製内袋3の開口部31
がマウンテンカップ1のカール部11内面の最頂部に位
置するように熱溶着性内面有機被膜に熱溶着されていて
もよく、また、図4に示すとおり、開口部31を短い幅
で非接着状態に残し、この開口部の近傍の部分36でカ
ール部11内面の熱溶着性内面有機被膜との熱溶着が行
われるようにしてもよい。
【0020】この後者の場合にも、この熱溶着による固
定部分の下方には、図3に関して既に説明したとおり、
マウンテンカップの被フランジ部に対応して、熱溶着さ
れていないフリー部分が存在することが理解されるべき
である。
【0021】本発明に用いるマウンテンカップは、耐圧
性を有する任意の金属素材から形成されている。適当な
金属素材は、表面処理鋼板及びアルミ等の軽金属板であ
る。耐圧強度の点で、表面処理鋼板が有利であり、中で
も加工性の点で錫メッキ鋼板が有利に使用される。他
に、電解クロム酸処理鋼板、クロメート処理ニッケルメ
ッキ鋼板、クロメート処理鉄・錫合金メッキ鋼板、クロ
メート処理錫・ニッケル合金メッキ鋼板、クロメート処
理鉄・錫・ニッケル合金メッキ鋼板、クロメート処理ア
ルミニウムメッキ鋼板等を用いることもできる。
【0022】ブリキ素材として、電気スズメッキ鋼板の
うち、リフローブリキ板もノーリフロー(マット)ブリ
キ板の何れも使用できる。スズメッキ量は、特に制限さ
れないが、加工性や耐食性の点で、1.12乃至11.2 g/
のものがよい。錫メッキ層の上には、クロメート層
等の表面処理層が設けられていることが望ましい。ま
た、錫メッキ層と鋼基体との間には、錫−鉄合金層が形
成されていることが耐腐食性の点で望ましい。
【0023】表面処理鋼板の厚みは、エアゾール缶とし
ての用途から、一般に0.15乃至0.50mm、特に
0.18乃至0.40mmの範囲にあるべきであり、上
記範囲よりも小さいと耐圧性が不十分であり、上記範囲
よりも厚いと、容器が重くなり、加工も困難となるので
好ましくない。
【0024】一方、軽金属板としては、所謂純アルミニ
ウム板の他にアルミニウム合金板が使用される。耐腐食
性と加工性との点で優れたアルミニウム合金板は、M
n:0.2乃至1.5重量%、Mg:0.8乃至5重量
%、Zn:0.25乃至0.3重量%、及びCu:0.
15乃至0.25重量%、残部がAlの組成を有するも
のである。これらの軽金属板も、金属クロム換算で、ク
ロム量が20乃至300mg/mとなるようなクロム
酸処理或はクロム酸/リン酸処理が行われていることが
望ましい。軽金属板の場合には0.15乃至0.40m
mの厚みを有するのがよい。
【0025】上記金属板の表面には、金属の腐食を防止
し、また金属の内容物中への溶出を防止するための樹脂
被覆を設ける。この目的のための保護塗膜としては、従
来缶の内面保護に用いられている公知の熱硬化性樹脂塗
料、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フラ
ン−ホルムアルデヒド樹脂、キシレン−ホルムアルデヒ
ド樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムア
ルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、アル
キド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビ
スマレイミド樹脂、トリアリルシアヌレート樹脂、熱硬
化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、油性樹脂、或いは
熱可塑性樹脂塗料、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、塩化ビニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル
−マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、アクリル重合体、
飽和ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これら
の樹脂塗料は単独でも2種以上の組合せでも使用され
る。
【0026】また、樹脂被覆としては、熱可塑性樹脂フ
ィルムを使用することもでき、これを金属板上にラミネ
ートしたものを蓋体の製造に用いる。フィルムとして
は、例えば、二軸延伸PETフィルムを使用することが
でき、エチレンテレフタレート単位のみから成るホモポ
リエステルの他に、改質エステル反復単位の少量を含む
改質PETフィルムが使用される。用いるPETの分子
量は、フィルム形成能を有するような範囲であり、固有
粘度[η]が0.7以上であるのがよい。
【0027】[バルブ]上記マウンテンカップに取り付
けて用いるバルブとしては、従来この種のマウンテンカ
ップに取り付けて使用されるバルブは全て使用でき、特
定のタイプのものに限定されない。
【0028】[樹脂製内袋]本発明では、樹脂製内袋と
して、熱可塑性樹脂から成る単層乃至多層の袋を用いる
ことができる。熱可塑性樹脂としては、例えば各種オレ
フィン系樹脂や、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチ
レン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニ
ル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリ
スチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、AB
S、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレ
ン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化
ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチ
ル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナ
イロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロ
ン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の熱可塑
性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオ
キサイド等あるいはそれらの混合物のいずれかの樹脂で
も使用できる。
【0029】本発明に用いる樹脂製内袋の少なくとも1
層は、マウンテンカップ上で密封に必要な形状に保持さ
れ、必要なクッション性と柔軟性を有するものが好まし
く、また、低温での熱融着性の点では、樹脂製内袋の少
なくとも内表面は比較的低融点或いは低軟化点の熱可塑
性樹脂で形成されているのが好ましい。以下、樹脂製内
袋の好適な構成材料について説明する。
【0030】樹脂製内袋の構成材料としては、オレフィ
ン樹脂、例えば低−、中−、高−密度のポリエチレン
(LDPE、MDPE、HDPE)、線状低密度ポリエ
チレン(LLDPE)、線状超低密度ポリエチレン(L
ULDPE)、アイソタクティックポリプロピレン(P
P)、プロピレン−エチレン共重合体、ポリブテン−
1、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン−1、
エチレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−ブテン−
1共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレ
ン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−酢酸
ビニル共重合体、イオン架橋オレフィン共重合体(アイ
オノマー)或いはこれらのブレンド物等のオレフィン系
樹脂が適当である。
【0031】これらのオレフィン系樹脂の中でも、特に
低密度ポリエチレン(LDPE)や線状低密度ポリエチ
レン(LLDPE)が柔軟性、クッション性、低温熱融
着性の点で好適である。これらのポリエチレンは、密度
が0.9乃至1.0g/cm 、メルトフローレートが
0.1乃至30g/10minの範囲にあるものが適当
である。また、樹脂製内袋の硬度を調整するために、エ
チレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・プ
ロピレン共重合体・ゴム(EPR)、エチレン・プロピ
レン・ジエン共重合体ゴム(EPDM)、スチレン・ブ
タジエン・ゴム(SBR)、ニトリル・ブタジエン・ゴ
ム(NBR)、ポリイソブチレン等の柔軟性分と多層化
したり、或いはブレンドしたりして使用することができ
る。上記ポリエチレンは、柔軟性とクッション性とに優
れているばかりではなく、融点が低く、比較的低温での
融着処理が可能であり、内袋への成形や熱溶着処理が容
易で、しかも塗膜等を熱で損傷しないという点及びエア
ゾール缶としたとき、室温でのクリープが小さく耐漏洩
性の点でも優れている。
【0032】内袋としての機械的強度やガスバリアー性
に優れた材料として、各種ナイロン類や熱可塑性ポリエ
ステル類が挙げられる。これらのナイロン類やポリエス
テル類は、未延伸の状態で袋に成形されていてもよい
が、機械的強度やガスバリアー性の点では、延伸されて
いることが好ましく、特に二軸延伸されていることが好
ましい。また、ガスバリアー性に優れた他の樹脂とし
て、エチレン−ビニールアルコール共重合体、ハイニト
リル樹脂を挙げることができ、これらも、単独であるい
は他の樹脂層との組み合わせで内袋に使用される。
【0033】上記の内袋形成用熱可塑性樹脂には、所望
により公知の配合剤を配合することができる。例えば、
充填剤、補強剤、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、接
着促進剤、滑剤等をそれ自体公知の処方に従って配合す
ることができる。
【0034】内袋は、熱可塑性樹脂のブロー成形で形成
されたワンピース構造の袋状の容器であってよく、この
容器は溶融ブロー成形や延伸ブロー成形で形成されてい
ることができる。また、この内袋は、単層或いは多層の
樹脂フィルムからその他の製袋法で形成された袋状容器
であってもよい。内袋の厚みは、必要な内容物の保存性
が得られ且つマウンテンカップのシール部において十分
な密封性が得られるようなものであり、樹脂の種類によ
っても相違するが、一般に0.05乃至1.5mm、特
に0.2乃至1.0mmの範囲にあるのがよい。
【0035】また、内袋の高さ方向のサイズは、最終エ
アゾール容器の寸法によっても当然異なるが、一般的に
いって、内袋の底がエアゾール容器外缶の底に達しない
程度の高さにあることが、内袋付きマウンテンカップの
エアゾール容器への挿入及び締結の点で望ましい。
【0036】本発明に用いる内袋は、多くの用途に対し
て、ポリエチレン等のオレフィン系樹脂、ナイロン6な
どのポリアミド樹脂、或いはポリエチレンテレフタレー
ト(PET)のポリエステル樹脂などで形成された単層
のもので十分である。しかしながら、前述した内袋とし
ての特性の組み合わせを向上させることを目的として、
多層の樹脂袋を用いることができる。この多層構成の例
として、袋の内面側から、ポリエチレン/ポリアミド、
ポリエチレン/ポリエステル、ポリエチレン/ポリアミ
ド/ポリエチレン、ポリエチレン/ポリエステル/ポリ
エチレン、ポリエチレン/エチレン−ビニルアルコール
共重合体/ポリエチレン、ポリエチレン/ナイロン/エ
チレン−ビニルアルコール共重合体/ポリエチレンなど
の多層構造のものを例示することができる。
【0037】[接着性内面有機被膜]マウンテンカップ
の内面の固定部分に設けられ、樹脂製内袋を熱溶着固定
するための内面有機被膜としては、樹脂製内袋に対して
熱接着性を有するものであれば、全て使用することがで
きる。
【0038】この内面有機被膜の好適な例は、樹脂製内
袋の内面を構成する樹脂と同種の樹脂粉末を分散させた
内面有機被膜と、樹脂製内袋との融着により形成されて
いることが好ましく、その具体例として、(1)樹脂製
内袋の少なくとも内表面がオレフィン系樹脂で構成され
且つ前記固定部分における内面有機被膜がオレフィン系
樹脂粒子を分散させた塗料で形成されているもの、
(2)樹脂製内袋の少なくとも内表面がナイロン系重合
体で構成され且つ前記固定部分における内面有機被膜が
ナイロン系重合体粒子を分散させた塗料、(3)樹脂製
内袋の少なくとも内表面がポリエステル系重合体で構成
され且つ前記固定部分における内面有機被膜がポリエス
テル系重合体粒子を分散させた塗料、などが挙げられ
る。
【0039】勿論、ある種の塗料は、樹脂フィルムと熱
接着性を示すことが知られており、このような塗料は内
袋構成樹脂を分散させることなく、直接樹脂製内袋との
熱溶着の目的に使用できる。例えば、樹脂製内袋の少な
くとも内表面がナイロン系重合体で構成されている場
合、内面有機被膜として、エポキシ・フェノール樹脂系
塗料を用いることができる。また、樹脂製内袋の少なく
とも内表面がポリエステル系重合体で構成されている場
合、内面有機被膜として、ポリエステル系塗料、或いは
エポキシ・フェノール樹脂系塗料を用いることができ
る。
【0040】更にまた、マウンテンカップの固定部分と
なるべき内面に、樹脂製内袋の内面を構成する樹脂と同
種の樹脂フィルムをラミネートさせて内面有機被膜と
し、このラミネート面を樹脂製内袋との融着に用いるこ
とができる。
【0041】以下には、ポリオレフィン粉末を分散配合
した塗料の場合について、詳細に説明するが、本発明は
この例に限定されるものではない。マウンテンカップ内
面有機被膜に用いるポリオレフィンとしては、樹脂製内
袋形成用のポリオレフィンとして、先に例示したものが
全て使用できるが、特に好適なものとして、変性オレフ
ィン系樹脂が挙げられる。というのは、変性オレフィン
系樹脂は、樹脂製内袋に用いるオレフィン系樹脂に対し
て優れた熱接着性を示すばかりでなく、塗料樹脂分に対
しても優れた親和性を示すからである。
【0042】変性オレフィン系樹脂としては、以下に説
明する極性基を0.01乃至600meq/100g重合体、特
に 1.0乃至200meq/100g重合体の濃度で含有する
オレフィン系樹脂が使用される。本発明において、変性
オレフィン樹脂としては、それ自体公知の極性基含有エ
チレン系不飽和単量体をグラフト共重合、ブロック共重
合、ランダム共重合、或いは酸化処理等の手段でオレフ
ィン樹脂の主鎖又は側鎖に導入したものの内、前記条件
を満足するものが使用される。
【0043】極性基含有エチレン系不飽和単量体として
は、カルボン酸、カルボン酸塩、カルボン酸無水物、カ
ルボン酸エステル、カルボン酸アミド乃至イミド、アル
系不飽和単量体の1種又は2種以上の組合せを使用する
ことができ、その適当な例は次の通りである。 (1) カルボニル含有単量体 1−A エチレン系不飽和カルボン酸:アクリル酸、メ
タクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタ
コン酸、シトラコン酸、5−ノルボルネン−2・3 −ジカ
ルボン酸。 1−B エチレン系不飽和無水カルボン酸:無水マレイ
ン酸、無水シトラコン酸、5−ノルボルネン−2・3 −ジ
カルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸。 1−C エチレン系不飽和エステル:アクリル酸エチ
ル、メタクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、マレイン酸モノ又はジ・エチル、酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル。 1−D エチレン系不飽和アミド乃至イミド:アクリル
アミド、メタクリルアミド、マレイミド。 1−E エチレン系不飽和アルデヒド乃至ケトン:アク
ロレイン、メタクロレイン、ビニルメチルケトン、ビニ
ルブチルケトン。 (2) シアノ基含有単量体:アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル。 (3) ヒドロキシ基含有単量体:γ−ヒドロキシメタクリ
ル酸プロピル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル。 (4) エーテル基含有単量体:ビニルメチルエーテル、ビ
ニルエチルエーテル、アリルエチルエーテル。 (5) オキシラン環含有単量体:グリシジルアクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、グリシジルビニルエー
テル。 本発明においては、上述した単量体の内でも、エチレン
系不飽和カルボン酸或いはエチレン系不飽和無水カルボ
ン酸が特に好適であり、これらの単量体は単独で、或い
はその他の単量体との組合せでオレフィン樹脂の変性に
使用される。これらの極性基含有単量体は、極性基の濃
度が前述した範囲となるようにオレフィン樹脂の主鎖ま
たは側鎖に結合させる。
【0044】オレフィンとしては、エチレン、プロピレ
ン、ブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−
1等の1種又は2種以上の組合せが挙げられる。変性オ
レフィン系樹脂がグラフト重合体である場合、幹ポリマ
ーとしては、低−、中−或いは高−密度ポリエチレン、
線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−
プロピレン共重合体、ポリブテン−1、ポリペンテン−
1、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピ
レン−ブテン−1共重合体等が使用されるが、低密度ポ
リエチレンや線状低密度ポリエチレンが特に好適であ
る。また、グラフト変性オレフィン系樹脂の代わりに、
酸化ポリエチレンも好適に使用できる。変性オレフィン
系樹脂は、フイルムを形成するに足る分子量を有するこ
とが望ましい。
【0045】また、変性オレフィン系樹脂を分散させた
塗料の場合、変性オレフィン系樹脂の粒径は、体積基準
のメジアン径が 0.3乃至50μm 、特に 1.0乃至20μ
m の範囲にあることが、塗料中での分散性と接着性との
見地から望ましい。この変性オレフィン系樹脂の粒子は
単分散或いはそれに近い粒度分布を有することが望まし
く、粒度の標準偏差(σ)は平均粒径の 1/3以内にある
ことが特に望ましい。このような粒子の製造法は特に限
定されないが、一例として、変性オレフィン系樹脂を、
熱時キシレン等の芳香族溶媒に溶解し、これを冷却する
か或いはこの溶液に脂肪族炭化水素或いはその誘導体の
ような貧溶媒を添加して、変性オレフィン系樹脂を析出
させることにより製造される。
【0046】塗膜形成性樹脂(以下ベース樹脂とも呼
ぶ)としては、塗膜形成能を有する樹脂が何れも使用さ
れるが、変性オレフィン系樹脂の密度よりも 0.1g/cc
以上密度の大きいものを使用するのが接着性の向上の点
で望ましい。また、ベース樹脂中の水酸基やカルボニル
基の官能基の濃度を1meq/g以上とするこにとより、プ
ライマー層の金属基体への密着性や、耐腐食性を一層高
めることが可能となる。本発明において、塗膜形成用の
ベース樹脂としては、マウンテンカップの内面塗膜とし
て例示したものが使用される。本発明の目的に好適な塗
膜形成用のベース樹脂は、一般に熱硬化型と呼ばれるも
のであり、この内でも特にフェノール樹脂−エポキシ樹
脂塗料、尿素樹脂−エポキシ樹脂塗料、メラミン樹脂−
エポキシ樹脂塗料、フェノール樹脂−エポキシ樹脂−ビ
ニル樹脂塗料等である。
【0047】上述した分散型塗料において、塗膜形成性
樹脂(A) と変性オレフィン系樹脂(B)は、 A:B=99.2:0.8 〜50:50 の重量比で組合せて使用するのが好適である。また、塗
膜の厚みは0.5乃至15μm、特に3乃至7μmの範
囲にあるのがよい。
【0048】本発明に用いる分散型塗料中には、ラジカ
ル連鎖禁止作用や過酸化物分解作用を有するそれ自体公
知の熱安定剤、例えば立体障害性フェノール類、スルフ
イド類、ホスファイト類、ベンゾフェノン類、ベンゾト
リアゾール類、アクリレート類、サリチレート類等を、
それ自体公知の処方にしたがって配合することができ、
例えば、樹脂分100重量部当たり、熱安定剤を0.1
乃至5重量部の量で配合してもよい。
【0049】分散型塗料は、一般に有機溶媒溶液の形
で、マウンテンカップの樹脂製内袋を接着固定すべき部
分に施すのがよく、有機溶媒としては、アセトン、メチ
ルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキ
サノン、イソホロン等のケトン類;ジアセトンアルコー
ル、n−ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソ
ルブ等のアルコール類;トルエン、キシレン、デカリン
等の芳香族炭化水素類等が単独又は2種以上の組合せで
使用される。塗料中の固形分濃度は、塗装法によっても
相違するが、一般に5乃至50重量%,特に15乃至4
0重量%の範囲が適当である。
【0050】[部分的接着固定]本発明において、マウ
ンテンカップの内面有機被膜と樹脂製内袋とを熱接着固
定するための加熱方法としては、高周波誘導加熱や超音
波溶着加熱が特に有用である。また、部分的な加熱溶着
方法としては、下記の方法、 a.スポット塗装 1.非溶着性のベース塗膜やラミネート皮膜上のガスケ
ットを溶着させたい部分に、溶着性の塗料をスポット塗
装する方法。 2.溶着性のベース塗膜やラミネート皮膜上のガスケッ
トを溶着させたくない部分に、非溶着性の塗料をスポッ
ト塗装する方法。 b.スポット加熱 1.高周波誘導加熱により、コイル配置や出力調整で、
非溶着部分を溶着温度に達しせしめないようにスポット
的に加熱する方法。 2.超音波溶着加熱では、超音波発振ホーンでの押圧部
分のみをスポット的に加熱する方法。 を挙げることができる。
【0051】本発明において、マウンテンカップの内面
有機被膜と樹脂製内袋との固定部分の幅は、樹脂製内袋
の脱落や位置ずれ等が有効に防止されると共に、フリー
部分が十分に確保されるようなものであり、一般に1乃
至8mm、特に2乃至5mmの範囲にあるのが好まし
い。即ち、この幅が上記範囲を下回ると、樹脂製内袋の
脱落を生じる傾向がある場合があり、一方この幅が上記
範囲を上回ると、十分な幅のフリー部分を確保すること
が困難となる傾向がある。
【0052】[エアゾール容器]本発明のマウンテンカ
ップは、それ自体公知の二重構造エアゾール容器用の外
容器に対して適用できる。この外容器は、ポリエチレン
テレフタレートやポリエチレンナフタレンジカルボキシ
レートなどの樹脂製容器でもよく、或いはスチール製或
いはアルミニウム製の金属缶であってもよい。また、金
属缶は側面継ぎ目缶であってもよく、またシームレス缶
であってもよい。
【0053】本発明のマウンテンカップを締結すべきエ
アゾール容器(外容器)の一例を示す図5において、こ
の容器は、大別して、眼鏡蓋5、及び缶胴6及び底蓋7
からなっている。眼鏡蓋5は内周側及び上部に締結用の
ビード51を有しており、その外周側及び下部の部分5
2は缶胴6の上部のフランジ部61と巻き締められて二
重巻締部53を形成している。一方、底蓋7はその中央
が上に凸となったドーム底壁71を形成しており、その
外周部72が缶胴6の下部フランジ62と巻き締められ
て、二重巻締部73を形成している。
【0054】上述した眼鏡蓋5、及び缶胴6及び底蓋7
は、マウンテンカップについて説明したのと同様な金属
素材から形成されており、これらの金属素材には保護塗
料が施されていることもマウンテンカップの場合と同様
である。眼鏡蓋5は、塗装金属板のプレス成形及びビー
ド加工で形成されており、底蓋7も塗装金属板のプレス
成形で形成されている。一方、缶胴6は塗装金属板を筒
状に形成し、溶接等により側面継ぎ目(図示せず)を形
成し、ネックイン加工及びフランジ加工を施すことによ
り形成されている。
【0055】図5に示した底蓋と巻き締めした缶胴を使
用する代わりに、金属板或いは樹脂被覆金属板を絞り加
工、絞り深絞り加工、絞りしごき加工などで成形したシ
ームレス缶胴を用いることもできる。
【0056】本発明のマウンテンカップのエアゾール容
器(外容器)へのガス等のエアゾールの充填及び締結
は、アンダーカップ充填法により行われる。図5に示す
エアゾール容器の眼鏡蓋5の頂部に対して、図6に示す
樹脂製内袋付マウンテンカップ1が載せられる。充填ヘ
ッド(図示せず)により、容器の上部を気密にシール
し、バキュームにより容器内の空気を排気し、次いでバ
ルブマウンテンカップ1の下面と缶のビード51との間
から、噴射剤が圧入され、容器内に充填される。最後
に、マウンテンカップ1が容器のビード51にクリンチ
される。
【0057】マウンテンカップ1の眼鏡蓋5に対する締
結は、図7に示すクリンチ操作により行われる。即ち、
マウンテンカップ1のカール部11の内面側に眼鏡蓋5
のビード51を挿入し、次いでマウンテンカップの外周
壁12のビード51の下部に対応する部分を径外方向に
押し込んで、径の増大したクリンチ部17を形成させ
る。この際、ビード41とカール部11の内周側及びク
リンチ部17との間には、樹脂製内袋3が介在し、しか
も樹脂製内袋3は非接着のフリーの状態に維持されてい
るため、確実な密封が可能となる。
【0058】最後に、マウンテンカップが締結されたエ
アゾール容器のバルブアクチュエーター(バルブステ
ム)21から、内容物が樹脂製内袋3内に、図8に示す
ように充填され、製品となる。
【0059】[用途]本発明のマウンテンカップを設け
たエアゾール容器は、種々の内容物及びプロペラントを
充填するエアゾール容器として有用である。なお、本発
明にかかるエアゾール容器に充填することのできる内容
物としては、従来公知のものを採用できる。該内容物と
しては、例えば人体用品、家庭用品、工業用品があり、
人体用品には頭髪用品、化粧品、消臭、制汗剤、その他
の人体用品があり、家庭用品には殺虫剤、コーティング
剤、クリーナ、食品、その他の家庭用品があり、工業用
品には自動車用品、その他の工業用品がある。上記頭髪
用品としてはヘアセットスプレー、ヘアドレッサーコン
デイショナー、ヘアシャンプー、リンス、酸性染毛剤、
酸化型2剤タイプ永久染毛剤、カラースプレー、脱色
剤、パーマ剤、育毛剤等がある。化粧品としてはシエー
ビングクリーム、アフターシェーブローション、香水、
オーデコロン、洗顔料、日焼け止め、ファンデーショ
ン、脱毛・脱色剤、浴用剤、歯磨き剤などがある。消臭
・制汗剤としては消臭剤、制汗剤、ボデイシャンプー等
がある。その他の人体用品としては筋肉消炎剤、皮膚疾
患剤、水虫薬、その他の医薬品、害虫忌避剤、冷却剤、
清拭剤、口喉剤等がある。殺虫剤としては空間殺虫剤、
ゴキブリ殺虫剤、園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、不快害虫剤
等がある。コーティング剤としては家庭用塗料、自動車
用塗料、アンダーコーティング剤等がある。クリーナと
しては家庭用ガラスクリーナ、レンズクリーナ、絨毯ク
リーナ、浴用クリーナ、床・家具艶だしクリーナ、靴・
皮革クリーナ、ワックス艶だし剤等がある。その他の家
庭用品としては室内消臭剤、トイレ用消臭剤、防水剤、
洗濯糊、除草剤、衣類用防虫剤、防炎剤等がある。自動
車用品としては、防曇剤、解氷剤、エンジン始動液、パ
ンク修理液、エンジンクリーナ等がある。その他の工業
用品としては潤滑防錆剤、接着剤、金属深傷剤、離型剤
等がある。
【0060】上記内容物の形状としては液状、流動体
状、半流動体状、発泡体状、気体状の他、これら形状の
ものに粉体状や粒状の固体を少し混ぜたもの等、適宜選
択して採用することができる。該素材にあっては、従来
内容物として採用される公知のものを採用でき、例えば
上記ヘアスプレーであれば、変性アルコール、噴射剤と
してのLPG(液化石油ガス)を主成分とし、アクリル
樹脂アルカノールアミン液、ポリオキシエチレンオイル
エーテル、香料等を添加したものがあり、上記ヘアトリ
ートメントであれば変性アルコール、噴射剤としてのL
PGを主成分とし、流動パラフィン、プロピレングリコ
ール、メチルフェニルポリシロキサン、香料を添加した
ものがある。
【0061】内容物の処方の例を下記に示す。番号 製品名 原 料 名 重量% 1 ヘアースプレー 内袋: アクリル樹脂アルカノールアミン液 (30%) 4.00 ポリオキシエチレン(10) オレイルエーテル 0.01 香料 0.17 99%変性エチルアルコール 95.32 外容器: 窒素 0.50 計 100.00 2 ヘアースプレー 内袋: N-メタクリロイルオキシエチル、 N、N−ジメチルアンモニウム、α-N-メチル カルボキシベタイン、メタクリル 酸アルキルエステル(30%) 5.00 オクチルドデカノール 0.50 香料 0.10 99%変性エチルアルコール 93.40 外容器: 液化石油ガス 1.00 計 100.00 3 育毛剤 内袋: サルチル酸 0.30 酢酸トコフェノール 0.05 センブリエキス 0.20 L−メントール 0.05 濃グリセリン 1.00 95%変性エチルアルコール 60.00 精製水 37.90 外容器: 炭酸ガス 0.50 計 100.00 4 育毛剤 内袋: イチョウジエキス 0.05 サルチル酸 0.10 酢酸トコフェノール 0.05 センブリエキス 0.20 L−メントール 0.05 ニコチン酸アミド 0.10 95%変性エチルアルコール 60.00 精製水 38.45 外容器: 液化石油ガス 1.00 計 100.00 5 酸性染毛剤 内袋: ベンジルアルコール 10.00 (ジェル) オレイン酸 5.00 乳酸 5.00 ヒドロキシエチルセルロース 2.00 ポリエチレングリコール 7.00 エデトン酸二ナトリウム 0.20 ヘアロン酸 0.05 色素 0.50 染料 0.10 95%変性エチルアルコール 10.00 精製水 59.65 外容器: 窒素 0.50 計 100.00 6 シェービング 内袋: フォーム パルミチン酸 10.0 ジブチルヒドロキシトルエン 0.10 オレイルアルコール 1.00 グリセリン 5.00 ソルビット液 (70%) 5.00 ヒドロキシエチルセルロース 0.50 トリエタノールアミン 6.50 防腐剤 0.20 色素(1%水溶液) 0.05 イソペンタン/イソブタン 95/5 3.50 精製水 66.15 外容器 液化石油ガス 2.00 計 100.00 7 シェービング 内袋 フォーム パルミチン酸 10.00 ジブチルヒドロキシトルエン 0.10 オレイルアルコール 1.00 グリセリン 5.00 ソルビット液 (70%) 5.00 ヒドロキシエチルセルロース 0.50 トリエタノールアミン 6.50 防腐剤 0.20 色素(1%水溶液) 0.05 イソペンタン/イソブタン 95/5 3.50 精製水 67.65 外容器: 窒素 0.50 計 100.00 8 パック剤 内袋: ポリビニールアルコール 15.00 カルボキシメチルセルロース 5.00 ポリプロピレングリコール 3.00 香料 0.10 防腐剤 0.20 95%変性エチルアルコール 10.00 精製水 65.80 外容器: 炭酸ガス 0.90 計 100.00 9 パック剤 内袋: 酢酸トコフェノール 0.10 ポリビニールアルコール 15.00 カルボキシメチルセルロース 5.00 ポリプロピレングリコール 3.00 香料 0.10 防腐剤 0.20 95%変性エチルアルコール 10.00 ヒアロン酸 0.10 精製水 65.00 外容器: 液化石油ガス 1.50 計 100.00
【0062】
【実施例】本発明を次の実施例で更に説明する。
【0063】[実施例1]エアゾール用ブリキ板の両面に
エポキシ・フェノール塗料をロール塗装し、それぞれ2
00℃×10分の条件で焼き付けた。さらに、酸化ポリ
エチレン粉末を分散したエポキシ・フェノール塗料をマ
ウンテンカップのカール部内面側に対応する位置にドー
ナッツ状にスポット塗装し、190℃×10分の条件で
焼き付けた。スポット塗装は、マウンテンカップの側壁
部のバルブクリンチ部を避けるようにして行い、マウン
テンカップ成形用塗装板を作製した。次いで、前記塗装
板からマウンテンカップをプレス成形し、マウンテンカ
ップの中央部にバルブハウジングを分離不能の状態に固
定し、バルブ機構を作製した。別途、低密度ポリエチレ
ンを素材樹脂に用い、押出し成形機にて二重容器用内袋
を成形した。内袋は、内容物の減少にともない、容積を
減少可能となるようにプリーツ状に形成させた。この内
袋の開口部内周に、バルブ機構のマウンテンカップ側壁
部の円周を挿入し、テフロン製冶具にて内袋開口端を押
圧して、マウンテンカップのカール部から側壁部にかけ
て内袋開口端部を密着させるようにしながら、高周波誘
導加熱法にてマウンテンカップのカール部周辺の金属を
瞬間的に加熱して、マウンテンカップと内袋の接触界面
を溶着温度に達しせしめ、マウンテンカップの酸化ポリ
エチレン入りエポキシ・フェノール内面有機被膜と内袋
の低密度ポリエチレンの接触界面を加熱溶着固定し、エ
アゾールバルブを作製した。マウンテンカップのバルブ
クリンチ部の内面有機被膜は、内袋と非溶着性のエポキ
シ・フェノール塗膜であったため、内袋とは非溶着状態
であった。エアゾールバルブのバルブハウジングのステ
ムより内袋内の空気を排出し、内袋内部をバキューム状
態とした減圧エアゾールバルブを作製した。減圧エアゾ
ールバルブの内袋部をエアゾール容器の開口端ビード部
より挿入し、アンダーカップ方式により、ビード部とマ
ウンテンカップとの間隙から、エアゾール容器内に噴射
剤窒素ガスを圧力充填し、エアゾール容器のビード部に
減圧エアゾールバルブのマウンテンカップのカール部を
嵌合し、バルブクリンチを行い密封した。この際の内袋
のずれ、脱落の発生、内袋内への窒素ガスの侵入及び内
袋内の減圧破壊の発生は皆無であった。噴射剤窒素ガス
を充填密封したエアゾール容器のバルブハウジングのス
テムより、外気との接触によって発泡する後発泡シェー
ブジェルを充填し、重量減少を追跡したところ、37
℃、3ヶ月の保存試験において、重量の異常減少を示す
ものは皆無であった。前記減圧エアゾールバルブを箱詰
めにし、長距離輸送を想定した振動試験を実施したとこ
ろ、内袋内の減圧破壊、及びバルブ機構からの内袋の脱
落の発生は皆無であった。
【0064】[実施例2]エアゾール用ブリキ板の両面
に低密度ポリエチレンとアイオノマーの共押出しフィル
ムをアイオノマーを接着層としてラミネートし、マウン
テンカップ成型用のラミネート板を作製した。次いで、
前記塗装板を用い実施例1と同様にしてマウンテンカッ
プをプレス成形し、マウンテンカップの中央部にバルブ
ハウジングを分離不能の状態に固定し、バルブ機構を作
製した。別途、実施例1と同様にして低密度ポリエチレ
ンを素材樹脂に用い、プリーツ状の二重容器用内袋を成
形した。この内袋の開口部内周に、前記バルブ機構のマ
ウンテンカップ側壁部の円周を挿入し、テフロン製冶具
にて内袋開口端を押圧して、マウンテンカップのカール
部から側壁部にかけて内袋開口端部を密着させるように
しながら、カール部外縁近傍を集中的に加熱できるよう
に配置した高周波誘導コイルを用いて、マウンテンカッ
プの低密度ポリエチレン内面有機被膜と内袋の接触界面
を加熱溶着固定し、エアゾールバルブを作製した。ここ
で行った高周波誘導加熱は、マウンテンカップの側壁バ
ルブクリンチ部を溶着温度に到達させないようにしたス
ポット加熱であり、内袋とマウンテンカップは部分的な
溶着固定状態となった。前記エアゾールバルブのバルブ
ハウジングのステムより内袋内の空気を排出し、内袋内
部をバキューム状態とした減圧エアゾールバルブを作製
した。減圧エアゾールバルブの内袋部をエアゾール容器
の開口端ビード部より挿入し、アンダーカップ方式によ
り、ビード部とマウンテンカップとの間隙から、エアゾ
ール容器内に噴射剤窒素ガスを圧力充填し、エアゾール
容器のビード部に減圧エアゾールバルブのマウンテンカ
ップのカール部を嵌合し、バルブクリンチを行い密封し
た。この際の内袋のずれ、脱落の発生、内袋内への窒素
ガスの侵入及び内袋内の減圧破壊の発生は皆無であっ
た。噴射剤窒素ガスを充填密封したエアゾール容器のバ
ルブハウジングのステムより、外気との接触によって発
泡する後発泡シェーブジェルを充填し、重量減少を追跡
したところ、37℃、3ヶ月の保存試験において、重量
の異常減少を示すものは皆無であった。前記減圧エアゾ
ールバルブを箱詰めにし、長距離輸送を想定した振動試
験を実施したところ、内袋内の減圧破壊、及びバルブ機
構からの内袋の脱落の発生は皆無であった。
【0065】[実施例3]実施例2と同様にしてバルブ
機構、及び二重容器用内袋を作製した。この内袋の開口
部内周に、バルブ機構のマウンテンカップ側壁部の円周
を挿入し、円筒状の超音波発振ホーンを用いて内袋をマ
ウンテンカップのカール部に押しつけながら超音波を発
振し、瞬間的にマウンテンカップの低密度ポリエチレン
内面有機被膜と低密度ポリエチレン内袋との接触界面を
摩擦発熱によって加熱溶着固定し、エアゾールバルブを
作製した。内袋とマウンテンカップの固着は、超音波発
振ホーンで押圧した部分のみの部分的な溶着固定状態で
あった。前記エアゾールバルブのバルブハウジングのス
テムより内袋内の空気を排出し、内袋内部をバキューム
状態とした減圧エアゾールバルブを作製した。減圧エア
ゾールバルブの内袋部をエアゾール容器の開口端ビード
部より挿入し、アンダーカップ方式により、ビード部と
マウンテンカップとの間隙から、エアゾール容器内に噴
射剤窒素ガスを圧力充填し、エアゾール容器のビード部
に減圧エアゾールバルブのマウンテンカップのカール部
を嵌合し、バルブクリンチを行い密封した。この際の内
袋のずれ、脱落の発生、内袋内への窒素ガスの侵入及び
内袋内の減圧破壊の発生は皆無であった。噴射剤窒素ガ
スを充填密封したエアゾール容器のバルブハウジングの
ステムより、外気との接触によって発泡する後発泡シェ
ーブジェルを充填し、重量減少を追跡したところ、37
℃、3ヶ月の保存試験において、重量の異常減少を示す
ものは皆無であった。前記減圧エアゾールバルブを箱詰
めにし、長距離輸送を想定した振動試験を実施したとこ
ろ、内袋内の減圧破壊、及びバルブ機構からの内袋の脱
落の発生は皆無であった。
【0066】[実施例4]エアゾール用ブリキ板の両面
にエポキシ・ユリア塗料をロール塗装し、それぞれ20
0℃×10分の条件で焼き付けた。さらに、ナイロン粉
末を分散したエポキシ・フェノール塗料をマウンテンカ
ップのカール部内面側に対応する位置にドーナッツ状に
スポット塗装し、190℃×10分の条件で焼き付け
た。スポット塗装は、マウンテンカップの側壁部のバル
ブクリンチ部を避けるようにして行い、マウンテンカッ
プ成形用塗装板を作製した。次いで、前記塗装板からマ
ウンテンカップをプレス成形し、マウンテンカップの中
央部にバルブハウジングを分離不能の状態に固定し、バ
ルブ機構を作製した。別途、ナイロンを素材樹脂に用
い、押出し成形機にて二重容器用内袋を成形した。内袋
は、内容物の減少にともない、容積を減少可能となるよ
うにプリーツ状に形成させた。この内袋の開口部内周
に、バルブ機構のマウンテンカップ側壁部の円周を挿入
し、テフロン製冶具にて内袋開口端を押圧して、マウン
テンカップのカール部から側壁部にかけて内袋開口端部
を密着させるようにしながら、高周波誘導加熱法にてマ
ウンテンカップのカール部周辺の金属を瞬間的に加熱し
て、マウンテンカップと内袋の接触界面を溶着温度に達
しせしめ、マウンテンカップのナイロン入りエポキシ・
フェノール内面有機被膜と内袋のナイロンの接触界面を
加熱溶着固定し、エアゾールバルブを作製した。マウン
テンカップのバルブクリンチ部のエポキシ・ユリア内面
有機被膜は、内袋と非溶着性であったため、内袋とは非
溶着状態となった。エアゾールバルブのバルブハウジン
グのステムより内袋内の空気を排出し、内袋内部をバキ
ューム状態とした減圧エアゾールバルブを作製した。減
圧エアゾールバルブの内袋部をエアゾール容器の開口端
ビード部より挿入し、アンダーカップ方式により、ビー
ド部とマウンテンカップとの間隙から、エアゾール容器
内に噴射剤窒素ガスを圧力充填し、エアゾール容器のビ
ード部に減圧エアゾールバルブのマウンテンカップのカ
ール部を嵌合し、バルブクリンチを行い密封した。この
際の内袋のずれ、脱落の発生、内袋内への窒素ガスの侵
入及び内袋内の減圧破壊の発生は皆無であった。噴射剤
窒素ガスを充填密封したエアゾール容器のバルブハウジ
ングのステムより、園芸用殺虫剤を充填し、重量減少を
追跡したところ、37℃、3ヶ月の保存試験において、
重量の異常減少を示すものは皆無であった。前記減圧エ
アゾールバルブを箱詰めにし、長距離輸送を想定した振
動試験を実施したところ、内袋内の減圧破壊、及びバル
ブ機構からの内袋の脱落の発生は皆無であった。
【0067】[実施例5]エアゾール用ブリキ板の両面
にポリエチレンテレフタレート・フィルムをポリエステ
ル・アミノ塗膜を接着層としてラミネートし、マウンテ
ンカップ成型用のラミネート板を作製した。次いで、前
記塗装板を用い実施例1と同様にしてマウンテンカップ
をプレス成形し、マウンテンカップの中央部にバルブハ
ウジングを分離不能の状態に固定し、バルブ機構を作製
した。別途、実施例1と同様にしてポリエチレンテレフ
タレートを素材樹脂に用い、プリーツ状の二重容器用内
袋を成形した。この内袋の開口部内周に、バルブ機構の
マウンテンカップ側壁部の円周を挿入し、円筒状の超音
波発振ホーンを用いて内袋をマウンテンカップのカール
部に押しつけながら超音波を発振し、瞬間的にマウンテ
ンカップのポリエチレンテレフタレート内面有機被膜と
ポリエチレンテレフタレート内袋との接触界面を摩擦発
熱によって加熱溶着固定し、エアゾールバルブを作製し
た。内袋とマウンテンカップの固着は、超音波発振ホー
ンで押圧した部分のみの部分的な溶着固定状態であっ
た。前記エアゾールバルブのバルブハウジングのステム
より内袋内の空気を排出し、内袋内部をバキューム状態
とした減圧エアゾールバルブを作製した。減圧エアゾー
ルバルブの内袋部をエアゾール容器の開口端ビード部よ
り挿入し、アンダーカップ方式により、ビード部とマウ
ンテンカップとの間隙から、エアゾール容器内に噴射剤
窒素ガスを圧力充填し、エアゾール容器のビード部に減
圧エアゾールバルブのマウンテンカップのカール部を嵌
合し、バルブクリンチを行い密封した。この際の内袋の
ずれ、脱落の発生、内袋内への窒素ガスの侵入及び内袋
内の減圧破壊の発生は皆無であった。噴射剤窒素ガスを
充填密封したエアゾール容器のバルブハウジングのステ
ムより、洗顔剤を充填し、重量減少を追跡したところ、
37℃、3ヶ月の保存試験において、重量の異常減少を
示すものは皆無であった。前記減圧エアゾールバルブを
箱詰めにし、長距離輸送を想定した振動試験を実施した
ところ、内袋内の減圧破壊、及びバルブ機構からの内袋
の脱落の発生は皆無であった。
【0068】[比較例1]エアゾール用ブリキ板の両面
にエポキシ・フェノール塗料をロール塗装し、それぞれ
200℃×10分の条件で焼き付け、マウンテンカップ
成形用塗装板を作製した。酸化ポリエチレン粉末を分散
したエポキシ・フェノール塗料のスポット塗装を省略し
た以外は、実施例1とまったく同様にして内袋を装着し
たエアゾールバルブを作製した。マウンテンカップの内
面有機被膜がエポキシ・フェノール塗膜のみであったた
め、内袋とマウンテンカップは溶着固定されなかった。
エアゾールバルブのバルブハウジングのステムより内袋
内の空気を排出し、内袋を内袋内部をバキューム状態と
して仮固定した減圧エアゾールバルブを作製した。減圧
エアゾールバルブの内袋部をエアゾール容器の開口端ビ
ード部より挿入し、アンダーカップ方式により、ビード
部とマウンテンカップとの間隙から、エアゾール容器内
に噴射剤窒素ガスを圧力充填し、エアゾール容器のビー
ド部に減圧エアゾールバルブのマウンテンカップのカー
ル部を嵌合し、バルブクリンチを行い密封した。この
際、アンダーカップ方式の圧力充填に耐えられず、内袋
が脱落するものが1%の割合で発生し、内袋内への窒素
ガスの侵入及び内袋内の減圧破壊は、相当数で発生し
た。保存試験は、内袋内への窒素ガスの侵入及び内袋内
の減圧破壊が発生したため中止した。前記の内袋を仮固
定した減圧エアゾールバルブを箱詰めにし、長距離輸送
を想定した振動試験を実施したところ、ほとんどが内袋
内の減圧破壊を起こし、バルブ機構からの内袋の脱落は
20%の割合で発生した。
【0069】[比較例2]高周波誘導加熱法による加熱
を省略した以外は、実施例2とまったく同様にして、エ
アゾールバルブを作製した。内袋とマウンテンカップは
加熱溶着固定された状態とはなっていない。エアゾール
バルブのバルブハウジングのステムより内袋内の空気を
排出し、内袋を内袋内部をバキューム状態として仮固定
した減圧エアゾールバルブを作製した。減圧エアゾール
バルブの内袋部をエアゾール容器の開口端ビード部より
挿入し、アンダーカップ方式により、ビード部とマウン
テンカップとの間隙から、エアゾール容器内に噴射剤窒
素ガスを圧力充填し、エアゾール容器のビード部に減圧
エアゾールバルブのマウンテンカップのカール部を嵌合
し、バルブクリンチを行い密封した。この際、アンダー
カップ方式の圧力充填に耐えられず、内袋が脱落するも
のが5%の割合で発生し、内袋内への窒素ガスの侵入及
び内袋内の減圧破壊は、相当数で発生した。保存試験
は、内袋内への窒素ガスの侵入及び内袋内の減圧破壊が
発生したため中止した。前記の内袋を仮固定した減圧エ
アゾールバルブを箱詰めにし、長距離輸送を想定した振
動試験を実施したところ、ほとんどが内袋内の減圧破壊
を起こし、バルブ機構からの内袋の脱落は40%の割合
で発生した。
【0070】
【発明の効果】本発明のマウンテンカップでは、マウン
テンカップの内面有機被膜と樹脂製内袋の開口部乃至そ
の近傍とが加熱溶着により固定されているため、マウン
テンカップと内袋との一体的な取り扱いが可能となり、
マウンテンカップの輸送乃至搬送中での内袋の脱落や位
置ずれ、或いはアンダーカップ充填時の内袋内へのガス
の混入や内袋の脱落や位置ずれを皆無にすることがで
き、これにより、エアゾール容器の密封信頼性や内容品
の品質を向上させ、更にエアゾール容器の生産性を向上
させることができる。また、内袋付マウンテンカップの
長距離輸送及び長期間保存が可能となり、内袋付マウン
テンカップの生産拠点とエアゾールの充填拠点とを独立
させ、効率のよい生産体制を樹立することができる。ま
た、本発明においては、マウンテンカップはカール部の
下方に容器口部にクリンチされるべき部分を備えている
が、前記固定部に加えて、マウンテンカップの被クリン
チ部分に対応して、内面有機被膜と樹脂製内袋とが未接
着の状態に維持されたフリー部分を備えているという特
徴がある。この構成によると、マウンテンカップの被ク
リンチ部の内袋が自由度の高い状態に保たれ、その移動
や変形が容易となり、これにより、クリンチ時の容器本
体の開口端ビードの変形を防ぐことが可能となり、また
開口端ビードの成形じわを内袋が吸収して、より密封を
確実にするという作用がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマウンテンカップの一例の樹脂製内袋
を取り付ける前の状態を示す断面図である。
【図2】本発明のマウンテンカップの一例の樹脂製内袋
を取り付けた状態を示す断面図である。
【図3】本発明のマウンテンカップにおけるマウンテン
カップ内面と樹脂製内袋との接着構造を示すための拡大
断面図である。
【図4】本発明のマウンテンカップの他の例の樹脂製内
袋を取り付けた状態を示す断面図である。
【図5】本発明に用いるエアゾール容器(外容器)の一
例を示す断面図である。
【図6】図5の容器に締結される樹脂製内袋付きマウン
テンカップの断面図である。
【図7】本発明の二重構造エアゾール容器の内容物充填
前の状態を示す断面図である。
【図8】本発明の二重構造エアゾール容器の内容物充填
後の状態を示す断面図である。
フロントページの続き (72)発明者 前田 和英 東京都東村山市廻田町3−4−30−203 Fターム(参考) 3E014 PA01 PB02 PC02 PC03 PC07 PC11 PD01 PD22 4F033 RA02 RA07 RA20 RC01

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二重構造エアゾール容器用のマウンテン
    カップにおいて、マウンテンカップの内面有機被膜と樹
    脂製内袋の開口部乃至その近傍とが部分的に加熱溶着さ
    れた固定部分と、マウンテンカップの被クリンチ部分に
    対応して、内面有機被膜と樹脂製内袋とが未接着の状態
    に維持されたフリー部分とを備えていることを特徴とす
    る二重構造エアゾール容器用マウンテンカップ。
  2. 【請求項2】 前記固定部分が樹脂製内袋に対して溶着
    性の塗料をスポットコーティングすることにより形成さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載のマウンテン
    カップ。
  3. 【請求項3】 前記フリー部分が樹脂製内袋に対して非
    溶着性の塗料をスポットコーティングすることにより形
    成されていることを特徴とする請求項1または2に記載
    のマウンテンカップ。
  4. 【請求項4】 前記固定部分がスポット的な高周波誘導
    加熱或いは超音波照射加熱により形成されていることを
    特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のマウンテン
    カップ。
  5. 【請求項5】 前記固定部分が、樹脂製内袋の内面を構
    成する樹脂と同種の樹脂粉末を分散させた内面有機被膜
    と、樹脂製内袋との融着により形成されていることを特
    徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のマウンテンカ
    ップ。
  6. 【請求項6】 前記固定部分が、樹脂製内袋の内面を構
    成する樹脂と同種の樹脂フィルムを最内面にラミネート
    させた内面有機被膜と、樹脂製内袋との融着により形成
    されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに
    記載のマウンテンカップ。
  7. 【請求項7】 樹脂製内袋の少なくとも内表面がオレフ
    ィン系樹脂で構成され且つ前記固定部分における内面有
    機被膜の最内面がオレフィン系樹脂粒子を分散させた塗
    料或いはオレフィン系樹脂のラミネートで形成されてい
    ることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載のマ
    ウンテンカップ。
  8. 【請求項8】 樹脂製内袋の少なくとも内表面がナイロ
    ン系重合体で構成され且つ前記固定部分における内面有
    機被膜の最内面がナイロン系重合体粒子を分散させた塗
    料、エポキシ・フェノール樹脂系塗料或いはナイロン系
    重合体のラミネートで形成されていることを特徴とする
    請求項1乃至5の何れかに記載のマウンテンカップ。
  9. 【請求項9】 樹脂製内袋の少なくとも内表面がポリエ
    ステル系重合体で構成され且つ前記固定部分における内
    面有機被膜の最内面がポリエステル系重合体粒子を分散
    させた塗料、ポリエステル系塗料、エポキシ・フェノー
    ル樹脂系塗料或いはポリエステル系重合体のラミネート
    で形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何
    れかに記載のマウンテンカップ。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9の何れかに記載のマウ
    ンテンカップをエアゾール容器に挿入しそのビード部に
    クリンチにより締結して成ることを特徴とする二重構造
    エアゾール容器。
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