JP2000272524A - チルト式ステアリング装置 - Google Patents

チルト式ステアリング装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重量やスペースの増大を招来することなく、
可動ギヤの噛合歯と固定ギヤの噛合歯との噛合が過大な
荷重等により外れることを確実に防止すること。 【解決手段】 チルトレバー10の揺動により移動する
押圧部材12によって、アッパーブラケット5に揺動自
在に設けた可動ギヤ8を、ロアブラケット4に設けた固
定ギヤ7に押圧して噛合させるようになっており、この
可動ギヤ8は、その基端部位に揺動中心(9)を有する
と共に、その先端部位に固定ギヤ7の噛合歯7aに噛合
する噛合歯8aを有し、押圧部材12が可動ギヤ8を押
圧する箇所は、可動ギヤ8の噛合歯8aと固定ギヤ7の
噛合歯7aとの噛合範囲の略中央より先端側に設定して
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のステアリン
グホイールの傾斜角度を調整できるチルト式ステアリン
グ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】運転者の体格や運転姿勢等に応じてステ
アリングホイールの傾斜角度を調整できるようにしたチ
ルト式ステアリング装置が知られている。実公平2−3
4145号公報においては、ステアリングシャフトは、
前部ステアリングシャフトと、後部ステアリングシャフ
トとに分割して自在継手により連結してある。この前部
ステアリングシャフトは、車体に固定したロアブラケッ
トに回転自在に収納してあると共に、後部ステアリング
シャフトは、ロアブラケットに対して揺動自在に設けた
アッパーブラケットに回転自在に収納してある。これに
より、車体に固定したロアブラケットに対してアッパー
ブラケットを傾動して、ステアリングホイールの傾斜角
度を調整することができる。
【0003】このロアブラケットに対してアッパーブラ
ケットをチルト締付するためのチルトロック機構とし
て、ロアブラケットの底面には、噛合歯を有する固定ギ
ヤが設けてあり、アッパーブラケットの底面には、この
固定ギヤの噛合歯に係合する噛合歯を有する可動ギヤが
揺動自在に設けてある。
【0004】これにより、チルトレバーを揺動して可動
ギヤを揺動し、この可動ギヤの噛合歯と固定ギヤの噛合
歯との噛合を解除し、これにより、アッパーブラケット
等を傾動してステアリングホイールの傾斜角度を調整す
る一方、チルトレバーを逆方向に揺動して可動ギヤを逆
方向に揺動し、可動ギヤの噛合歯を固定ギヤの噛合歯に
噛合し、これにより、ステアリングホイールを調整後の
状態で固定するようになっている。
【0005】さらに、可動ギヤを揺動して、可動ギヤの
噛合歯を固定ギヤの噛合歯に噛合する際、ローラにより
可動ギヤを固定ギヤに押圧するようになっているが、こ
のローラが可動ギヤを押圧する箇所は、可動ギヤの噛合
歯と固定ギヤの噛合歯との噛合範囲の略中央になってい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両の衝突
時等においては、ドライバーがステアリングホイールに
衝突する二次衝突により上述した可動ギヤの噛合歯と固
定ギヤの噛合歯との噛合部分に、過大な荷重が車両の上
方に向かうチルト跳ね上げ方向に作用するといったこと
があるが、この両ギヤの噛合部分の噛み合いが外れない
ことが望ましい。
【0007】しかしながら、上記実公平2−34145
号公報に開示されたチルト式ステアリング装置では、両
ギヤの噛合時に、ローラが可動ギヤを押圧する箇所は、
両ギヤの噛合範囲の略中央であるため、車両の衝突時に
チルト跳ね上げ方向に過大な荷重が作用すると、可動ギ
ヤの先端が反るように変形し、可動ギヤの先端側の噛合
歯の噛合状態が不完全となり、結果的に、全体の噛み合
い歯数が少なくなり、噛み合いが外れ易いといったこと
がある。
【0008】また、可動ギヤの変形を防止するため、可
動ギヤの肉厚を厚くして補強することも考えられるが、
重量やスペースの増大を招来するといったことがある。
【0009】本発明は、上述したような事情に鑑みてな
されたものであって、重量やスペースの増大を招来する
ことなく、可動側係合部材の噛合歯と固定側係合部材の
噛合歯との噛合が過大な荷重等により外れることを確実
に防止したチルト式ステアリング装置を提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係るチルト式ステアリング装置は、前部ス
テアリングシャフトを収納して車体に固定したロアブラ
ケットに対して、前部ステアリングシャフトに自在継手
を介して連結した後部ステアリングシャフトを収納した
アッパーブラケットを揺動自在に設け、チルトレバーの
揺動により移動する押圧部材によって、一方のブラケッ
トに揺動自在に設けた可動側係合部材を、他方のブラケ
ットに設けた固定側係合部材に押圧して噛合させるチル
ト式ステアリング装置において、前記可動側係合部材
は、その基端部位に揺動中心を有すると共に、その先端
部位に前記固定側係合部材の噛合歯に噛合する噛合歯を
有し、前記押圧部材が可動側係合部材を押圧する箇所
は、前記可動側係合部材の噛合歯と固定側係合部材の噛
合歯との噛合範囲の略中央より先端側に設定しているこ
とを特徴とする。
【0011】このように、本発明によれば、押圧部材が
可動側係合部材を押圧する箇所は、前記可動側係合部材
の噛合歯と固定側係合部材の噛合歯との噛合範囲の略中
央より先端側に設定している。そのため、可動側係合部
材の略中央より先端側が固定側係合部材の噛合歯に強く
噛み合うようになっており、例えば、車両の衝突による
二次衝突時等により過大な荷重がチルト跳ね上げ方向に
作用したとしても、従来のように、可動側係合部材の先
端側が反るように変形することがなく、両側係合部材の
噛合歯が完全に噛み合っており、両側係合部材の噛み合
いが外れるといったことを確実に防止できる。別言すれ
ば、チルトロック機構の破断荷重を向上することができ
る。また、可動側係合部材の肉厚を厚くして補強する必
要がなく、重量やスペースの増大を招来することもな
い。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係る
チルト式ステアリング装置を図面を参照しつつ説明す
る。
【0013】図1は、本発明の第1実施の形態に係るチ
ルト式ステアリング装置の縦断面図であり、図2は、図
1に示したチルト式ステアリング装置の底面図であり、
図3は、図1に示したチルト式ステアリング装置の要部
拡大側面図であって、チルト締付状態を示す図であり、
図4は、図1に示したチルト式ステアリング装置の要部
拡大側面図であって、チルト解除状態を示す図である。
【0014】ステアリングシャフトは、前部ステアリン
グシャフト1と、後部ステアリングシャフト2とに分割
されて、自在継手3により連結されている。この前部ス
テアリングシャフト1は、車体に固定されたロアブラケ
ット4に回転自在に収納されていると共に、後部ステア
リングシャフト2は、ロアブラケット4に対して揺動自
在に設けられたアッパーブラケット5に回転自在に収納
されている。このアッパーブラケット5は、その側面に
設けられた枢軸を中心として揺動されるようになってい
る。
【0015】このロアブラケット4の底面には、噛合歯
7aを有する固定ギヤ7が例えば鋳込みにより固定され
ている。この噛合歯7aに噛合する噛合歯8aを有する
可動ギヤ8が、アッパーブラケット5に設けられた枢軸
9に揺動自在に枢支されている。
【0016】また、図2によく示すように、チルトレバ
ー10が車両の横方向に掛け渡され、その揺動中心10
aの回りに回動自在に構成され、線状のバネ10bによ
って図2中の反時計回り(即ち、チルト締付方向)に付
勢されている。
【0017】このチルトレバー10から車両の前方向
に、可動ギヤ8を押圧するための押圧部材11が延在さ
れ、図1または図3に示すように、この押圧部材11の
先端には、楔状部12が形成されていると共に、この押
圧部材11の下側には、反力部材13が車両の横方向に
掛け渡されている(図2参照)。
【0018】これにより、チルト締付時、チルトレバー
10を揺動すると、押圧部材11は、車両の前方向に移
動して、その楔状部12が可動ギヤ8の背面と反力部材
13の間に浸入して、可動ギヤ8を固定ギヤ7に対して
押圧するようになっている。
【0019】なお、このチルト締付時、楔状部12の傾
斜角度(θ)は、可動ギヤ8の背面と楔状部12の最大
摩擦係数を(α)としたとき、tanθ<αを満たすよ
うに設定されている。これにより、チルト締付時、可動
ギヤ8の背面と反力部材13とに対する楔状部12の摩
擦係合状態が確保されていると共に、チルトレバー10
の線状のバネ10bの付勢力によっても、楔状部12が
可動ギヤ8の背面と反力部材13の間から不用意に抜け
ないように構成されている。又は、傾斜角度がtanθ
<αの関係になくても、前述のばね10bの付勢力によ
って、楔状部12が引き抜き方向(図3中右方)に移動
することを押さえることができる。
【0020】なお、ロアブラケット4とアッパーブラケ
ット5との間には、後部ステアリングシャフト2、アッ
パーブラケット5およびステアリングホイール(図示
略)を支持するための圧縮バネ14が設けられている。
これにより、チルト解除時に、ステアリングホイール等
が勢い良く降下することが防止されている。
【0021】このように構成されたチルト式ステアリン
グ装置では、チルト解除してステアリングホイールの傾
斜角度を調整する場合には、チルトレバー10を揺動さ
せると、押圧部材11が車両の後方に移動して、その楔
状部12による可動ギヤ8の押圧を解除する。これによ
り、可動ギヤ8が揺動して、可動ギヤ8の噛合歯8aと
固定ギヤ7の噛合歯7aとの係合を解除し、後部ステア
リングシャフト2の後端に固定されたステアリングホイ
ールの傾斜角度を調整することができる。
【0022】このステアリングホイールの傾斜角度調整
後に、チルト締付する場合には、チルトレバー10を逆
方向に揺動させると、押圧部材11が車両の前方に移動
して、その楔状部12が可動ギヤ8を固定ギヤ7に押圧
する。これにより、可動ギヤ8の噛合歯8aが固定ギヤ
7の噛合歯7aに噛合し、ステアリングホイールを調整
後の状態で固定することができる。
【0023】本実施の形態では、図3によく示すよう
に、押圧部材11がその楔状部12により可動ギヤ8を
押圧する箇所は、可動ギヤ8の噛合歯8aと固定ギヤ7
の噛合歯7aとの噛合範囲の中央より先端側に設定して
ある。
【0024】したがって、可動ギヤ8の略中央より先端
側が固定ギヤ7の噛合歯7aに強く噛み合うようになっ
ており、例えば、車両の衝突時等により過大な荷重がチ
ルト跳ね上げ方向に作用したとしても、従来のように、
可動ギヤ8の先端側が反るように変形することがなく、
両ギヤ7,8の噛合歯7a,8aが完全に噛み合ってお
り、両ギヤ7,8の噛み合いが外れるといったことを確
実に防止できる。別言すれば、チルトロック機構の破断
荷重を向上することができる。また、可動ギヤ8の肉厚
を厚くして補強する必要がなく、重量やスペースの増大
を招来することもない。
【0025】なお、荷重がチルト跳ね上げ荷重と逆(チ
ルト下方向)に作用すると、可動ギヤ8の噛み合いの基
端側が浮く方向に変形するが、実際にチルト下方向にか
かる荷重は、衝突時の跳ね上げ荷重に比べれば小さく、
問題にならないレベルである。
【0026】また、可動ギヤ8の枢軸9と、この枢軸9
の孔15との隙間は、0.013mm以下に設定するこ
とが好ましい。隙間がこの値以上になると、ステアリン
グホイールのガタ付きが生起される虞れがあるためであ
る。
【0027】次に、図5および図6に、本発明の第2実
施の形態を示す。図5は、本発明の第2実施の形態に係
るチルト式ステアリング装置の縦断面図であり、図6
は、図5に示したチルト式ステアリング装置の底面図で
ある。
【0028】本実施の形態では、車両の横方向に掛け渡
されたチルトレバー10が、反力部材13の車両の前側
に配置され、押圧部材11は、このチルトレバーから車
両の後方向に延在されている。
【0029】さらに、本実施の形態でも、押圧部材11
がその楔状部12により可動ギヤ8を押圧する箇所は、
可動ギヤ8の噛合歯8aと固定ギヤ7の噛合歯7aとの
噛合範囲(図5の符号d)の中央より先端側に設定して
ある。
【0030】したがって、本実施の形態でも、可動ギヤ
8の略中央より先端側が固定ギヤ7の噛合歯7aに強く
噛み合うようになっており、例えば、車両の衝突による
二次衝突時等により過大な荷重がチルト跳ね上げ方向に
作用したとしても、従来のように、可動ギヤ8の先端側
が反るように変形することがなく、両ギヤ7,8の噛合
歯7a,8aが完全に噛み合っており、両ギヤ7,8の
噛み合いが外れるといったことを確実に防止できる。別
言すれば、チルトロック機構の破断荷重を向上すること
ができる。また、可動ギヤ8の肉厚を厚くして補強する
必要がなく、重量やスペースの増大を招来することもな
い。
【0031】なお、本発明は、上述した実施の形態に限
定されず、種々変形可能である。例えば、上述した実施
の形態では、固定ギヤ7および可動ギヤ9に関して、円
弧の一部を使用したギヤについて説明しが、ギヤの形状
は、ラック状のものでもよい。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
押圧部材が可動側係合部材を押圧する箇所は、前記可動
側係合部材の噛合歯と固定側係合部材の噛合歯との噛合
範囲の略中央より先端側に設定している。そのため、可
動側係合部材の略中央より先端側が固定側係合部材の噛
合歯に強く噛み合うようになっており、例えば、車両の
衝突時等により過大な荷重がチルト跳ね上げ方向に作用
したとしても、従来のように、可動側係合部材の先端側
が反るように変形することがなく、両側係合部材の噛合
歯が完全に噛み合っており、両側係合部材の噛み合いが
外れるといったことを確実に防止できる。別言すれば、
チルトロック機構の破断荷重を向上することができる。
また、可動側係合部材の肉厚を厚くして補強する必要が
なく、重量やスペースの増大を招来することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係るチルト式ステア
リング装置の縦断面図。
【図2】図1に示したチルト式ステアリング装置の底面
図。
【図3】図1に示したチルト式ステアリング装置の要部
拡大側面図であって、チルト締付状態を示す図。
【図4】図1に示したチルト式ステアリング装置の要部
拡大側面図であって、チルト解除状態を示す図。
【図5】本発明の第2実施の形態に係るチルト式ステア
リング装置の縦断面図。
【図6】図5に示したチルト式ステアリング装置の底面
図。
【符号の説明】
1 前部ステアリングシャフト 2 後部ステアリングシャフト 3 自在継手 4 ロアブラケット 5 アッパーブラケット 7 固定ギヤ(固定側係合部材) 7a 噛合歯 8 可動ギヤ(可動側係合部材) 8a 噛合歯 9 枢軸 10 チルトレバー 11 押圧部材 12 楔状部 13 反力部材 14 圧縮バネ 15 孔

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前部ステアリングシャフトを収納して車体
    に固定したロアブラケットに対して、前部ステアリング
    シャフトに自在継手を介して連結した後部ステアリング
    シャフトを収納したアッパーブラケットを揺動自在に設
    け、 チルトレバーの揺動により移動する押圧部材によって、
    一方のブラケットに揺動自在に設けた可動側係合部材
    を、他方のブラケットに設けた固定側係合部材に押圧し
    て噛合させるチルト式ステアリング装置において、 前記可動側係合部材は、その基端部位に揺動中心を有す
    ると共に、その先端部位に前記固定側係合部材の噛合歯
    に噛合する噛合歯を有し、 前記押圧部材が可動側係合部材を押圧する箇所は、前記
    可動側係合部材の噛合歯と固定側係合部材の噛合歯との
    噛合範囲の略中央より先端側に設定していることを特徴
    とするチルト式ステアリング装置。
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