JP2000272041A - キルト加工用クッションシート材とその製法 - Google Patents

キルト加工用クッションシート材とその製法

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JP2000272041A
JP2000272041A JP11082807A JP8280799A JP2000272041A JP 2000272041 A JP2000272041 A JP 2000272041A JP 11082807 A JP11082807 A JP 11082807A JP 8280799 A JP8280799 A JP 8280799A JP 2000272041 A JP2000272041 A JP 2000272041A
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heat
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Toshiro Yamaguchi
俊郎 山口
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】リサイクル化が容易で低コストで製造でき、耐
へたり性を改善すると共に、キルティング加工特性が優
れたクッションシート材とその製法を提供せんとするも
の。 【解決手段】表皮シート材とその裏面の熱可塑性繊維か
らなる不織布とが貼り合わされた、少なくとも該二層を
有するクッションシート材において、前記不織布は、繊
維−繊維間の静止摩擦係数μsが0.1以上、0.2以
下である低摩擦性繊維を全繊維中で20重量%以上とな
る量含有した不織布であって、該表皮シート材と不織布
とは、その中間部に介在させた熱接着性繊維、熱接着性
樹脂あるいは熱接着性不織布の熱溶融により貼り合わさ
れ、該不織布の表皮シート材裏面側に相対する面とは反
対側の面を硬化面となしていることを特徴とするキルト
加工用クッションシート材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、安価で、耐へたり性に
優れたクッションシート材とその製法に関し、更には、
構成素材を単一化することにより、リサイクルが可能な
椅子張り地または自動車用等車両用のクッションシート
材を提供することに関する。また特に本発明は、キルテ
ィング加工による凹凸が表面シート材側に良好に形成で
きるキルト加工用クッションシート材を提供することに
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、椅子張り地または自動車等車両用
のクッションシート材の構成は、表面側から順に、意匠
性を有する表面布帛、外力緩衝性能を有する発泡層から
なり、発泡層としてはポリウレタンが一般的な素材とし
て知られている。しかしながら、前記の構成成分は素材
が異なり、焼却できないものが用いられており、そのた
め廃棄時にこれを分離または分割することが必要である
が、強固に一体化されているため、容易ではない。近
年、環境負荷の低減が益々叫ばれているが、本発明はそ
のような要請の一助となし得んとするものである。
【0003】上述した発泡層の材料として一般的なポリ
ウレタンは過酷な環境下においても抜群な外力緩衝性能
を誇り、更に、成型性および価格面においても他の材料
への代替が困難なほど優れた材料である。しかし、それ
でも、リサイクル化の一環としてポリエステル製ファイ
バー不織布がウレタン代替素材として上市されており、
種々の改良品も開発されているが、該ファイバー不織布
は主体繊維とバインダー繊維が適当な配合比率で混綿さ
れ、シート状に形成された構造体であり、通気性の面で
は優れた性能を有しているが、耐へたり性の点では未だ
不十分である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】よって本発明は、ファ
イバー不織布を用いてクッションシート材を構成する場
合の、リサイクル化が容易で低コストで製造できるクッ
ションシート材とその製法を提供せんとするものであ
り、しかもクッション材としての基本的な性能である耐
へたり性を改善すると共に、キルティング加工特性が優
れたクッションシート材を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、リサイクル化
が容易で低コストで製造できるクッションシート材とし
て通常のポリウレタン発泡層に代えファイバー不織布を
用いるものである。ニードルパンチ不織布の、へたりに
影響する要因として、繊維そのものの物性によるもの、
言い換えればポリマー物性に起因するものと、構造また
は形態に起因するものとに分けて考えることができる。
本発明者は、構成原綿の表面の性質がへたり性に及ぼす
影響について鋭意検討してきた結果本発明に到達した。
すなわち、構成繊維の繊維繊維間の静止摩擦係数は通常
付近であるが、このとき、ニードルパンチ不織布が外力
に対して受ける変形をミクロに眺めた場合、構成繊維の
配列は変形の前後で変化が生じており、単純な弾性的な
変形のみではないことが判明している。
【0006】本発明者は構成繊維の繊維繊維間の静止摩
擦係数がどの程度の値であれば弾性的な変形が主となる
かを検討した結果、繊維繊維間での静止摩擦係数が0.
1以上、0.2以下であれば繊維同志の引っ掛り状の変
形が起こらないことがわかった。また繊維繊維間での静
止摩擦係数μsが0.1以上、0.2以下であっても、
その絶対量が少ない場合には、それ程の効果が得られ
ず、最低20%以上必要であり、これを下回っては効果
がないことがわかった。
【0007】すなわち、本発明の請求項1は、表皮シー
ト材とその裏面の熱可塑性繊維からなる不織布とが貼り
合わされた、少なくとも該二層を有するクッションシー
ト材において、前記不織布は、繊維−繊維間の静止摩擦
係数μsが0.1以上、0.2以下である低摩擦性繊維
を全繊維中で20重量%以上となる量含有した不織布で
あって、該表皮シート材と不織布とは、その中間部に介
在させた熱接着性繊維、熱接着性樹脂あるいは熱接着性
不織布の熱溶融により貼り合わされ、該不織布の表皮シ
ート材裏面側に相対する面とは反対側の面を硬化面とな
していることを特徴とするキルト加工用クッションシー
ト材である。また、本発明の請求項2は、表皮シート材
とその裏面の熱可塑性繊維からなる不織布とが貼り合わ
された、少なくとも該二層を有するクッションシート材
の製造方法において、前記不織布は、繊維−繊維間の静
止摩擦係数μsが0.1以上、0.2以下である低摩擦
性繊維を全繊維中で20重量%以上となる量含有した不
織布であって、該不織布の、少なくとも表皮シート材の
裏面側に向く側には、熱接着性繊維、熱接着性樹脂ある
いは熱接着性繊維不織布を仮固定し、反対側の面は硬化
面となした不織布を用い、該不織布の、前記熱接着性繊
維、熱接着性樹脂あるいは熱接着性繊維不織布を仮固定
した面側を火炎バーナーもしくは電熱ヒーターにより直
接加熱し、該熱接着性繊維、熱接着性樹脂あるいは熱接
着性繊維不織布を熱溶融し、直ちに表皮シート材と重ね
合わせて押圧することにより貼り合わせを行うことを特
徴とするキルト加工用クッションシート材の製造方法で
ある。また、本発明の請求項3は、請求項1のクッショ
ンシート材をその表裏面を挟んで縫製によるキルティン
グ加工を行なってなるキルトクッションシート材であ
る。また、本発明の請求項4は、請求項2の貼り合わせ
後、クッションシート材をその表裏面を挟んで縫製によ
るキルティング加工を行なうことを特徴とするキルトク
ッションシート材の製造方法である。
【0008】表皮シート材は、従来自動車用等クッショ
ンシートとして、あるいは椅子張り地として用いられて
いる表皮シート材を適宜用いることができるが、本発明
においては、該表皮シート材の裏面層として用いる不織
布を考慮し、それとの接着性やリサイクル性を考慮すれ
ば、該不織布と同種のポリマーからなる繊維素材による
布帛がより好ましい。例えば、裏面の不織布がポリエス
テル繊維からなる不織布を用いる場合、表皮シート材と
しても、ポリエステル繊維からなる基布(生地)を使用
すれば、生地間の接着性が良好であると共に該積層布帛
をリサイクルする上でも極めて有効である。むろん表皮
シート材は、用途や好みに応じてパイルを有する生地で
あっても、パイルを有しない生地であってもよい。
【0009】表皮シート材の裏面に貼り合わせる不織布
は、該表皮シート材にかかる引張り、圧縮等の力を適宜
緩和し、表皮シート材層を常に滑らかな形状に保つ緩衝
層であり、その外力緩衝性能が、初期はもとより長期に
わたっても優れていることが要請され、本発明では、該
不織布を構成する繊維中、繊維−繊維間での静止摩擦係
数μsが0.1以上、0.2以下である低摩擦性繊維少
なくとも20重量%以上含有したものとするものであ
る。
【0010】この低摩擦性繊維の該静止摩擦係数μsは
0.2以下であることが必要であり、これを越える静止
摩擦係数のものとなると、求める効果が発揮できなくな
る。またこの静止摩擦係数μsが0.1未満のものは不
織布製造時のカード工程での紡出性が悪い点でやはり不
都合である。静止摩擦係数μsが0.12〜0.17の
ものがより好ましい。
【0011】前述したように、繊維が前記静止摩擦係数
の範囲にあっても、その繊維配合量が不織布中で20%
未満では、やはり求める効果が発揮できず、20以上が
必要であり、60〜80%であることがより好ましい。
【0012】このような低摩擦係数の繊維とするには、
例えば、表面にシリコーン皮膜が形成された繊維とする
ことである。
【0013】そのようなシリコーン化合物とは、例え
ば、主鎖の大部分が下記の化学式1で示される構造を有
する化合物である。
【0014】
【化1】
【0015】側鎖の−CH3基の代わりに、水素原子、
水酸基、アミノ基、エポキシ基、アルキルエーテル基な
どを有するものでもよい。また、末端は主にメチル基で
あるが、その他水素原子、水酸基、アルコキシル基、ア
ミノ基、エポシキ基、アルキルエーテル基などを有して
いてもよい。最もすぐれたシリコーン化合物としては、
25℃における粘度が25万センチストークス(C.
S.と略記する)以上で、好ましくは50万C.S.以
上で、水酸基を少なくとも2個有する下記一般式2で示
される反応性ポリシロキサン、および架橋剤として下記
一般式3で示される第1級および/または第2級のアミ
ノ基を有するアミノアルコキシシランとを併用したもの
である。
【0016】
【化2】
【0017】
【化3】
【0018】化合物(2)としては、両末端が水酸基で
閉じられたジメチルポリシロキサンなどが例示される。
また化合物(3)としては、γ―アミノプロピルトリエ
トキシシラン、γ―(β―アミノエチル)アミノプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ―(β―アミノエチル)
アミノプロピルトリメトキシシランなどが例示される。
ここで、実際的には、化合物(3)を化合物(2)に対
し1〜30重量%、好ましくは5〜15重量%添加する
と、極めて優れた平滑性、耐久性を大幅に増大させるこ
とができる。
【0019】表皮シート材とその裏面の不織布との貼り
合せは、不織布の表面部分または表面上に、低融点また
は低軟化点の接着性繊維、接着性樹脂粉末または接着性
不織布を仮固定化しておき、該仮固定した接着性繊維、
接着性樹脂粉末または接着性不織布側からその表面をガ
スバーナーなどの火炎や電熱ヒーターを用いて直接加熱
して軟化溶融させ、その時点で直ちに表皮材の裏面を重
ね合せ、その状態で例えば、常温または低温の加圧ロー
ルなどにより軽く押圧することにより十分な接合強度を
有する貼り合せ複合体シートとすることができる。
【0020】表皮シート材の裏面側は加熱する必要はな
く、むしろ裏面が常温または低温であることにより、重
ね合わされると同時に溶融部分が接着しながら冷やされ
て、効率的に貼り合せが行われる。このため、この貼り
合せ方式は、表皮シート材に対して予備的な加熱をせ
ず、また、厳しい条件で圧力も掛けず、常温程度の比較
的低温条件下で積層物を押圧するだけで強固な接着状態
が得られるので、接着時に両生地に対して過酷な加熱圧
着を施す従来のボンディング加工されたパイル製品に見
られるパイル倒れがなく、パイルを有するクッションシ
ートの場合、その概観の良好な商品価値の高いクッショ
ンシートとなるものである。
【0021】表皮シート材とその裏面の不織布との接着
力を増すことは、椅子張り地や自動車用のクッションシ
ート材として必要であり、不織布の表面部分または表面
上に、低融点または低軟化点の接着性繊維、接着性不織
布、または接着性樹脂粉末を仮固定化しておき、該仮固
定した接着性繊維、接着性不織布、または接着性樹脂粉
末を介して表皮シート材との強固な接着を形成すること
が必要ではある。従って、この接着力強化の面から言え
ば、前記接着性繊維等との熱結合をさらに容易にする別
の接着性繊維を不織布中に存在させておればより有効と
一見考えられ、またさらに、該接着性繊維が不織布中に
存在し各主体繊維間を結合すれば、外力に対する回復率
も、より高いものとなる、即ち“へたり”の少ないもの
となると一見考えられる。しかし本発明者の実験によれ
ば、不織布中に該接着性繊維が存在し、熱により各主体
繊維間が熱結合した不織布としても、不織布中に該接着
性繊維を存在させず、該不織布を構成する主体繊維が低
摩擦係数の繊維で構成させたものの方が、その回復率は
好ましいことがわかった。すなわち、不織布の表皮材裏
面と貼り合わせる側の表面部分には前記接着性繊維等が
存在することは必要ではあるが、該不織布全体中に存在
し、その構成繊維間を結合させるような状態にさせるこ
とはむしろ好ましくないことがわかった。
【0022】前記接着性繊維は、通常熱接着性繊維また
はバインダー繊維として知られている公知の接着性繊維
をいずれも用いることができ、不織布を構成する繊維よ
り融点または軟化点が20℃以上低いポリマー成分を少
なくとも表面成分とする熱接着性繊維または樹脂とする
ことが好ましい。接着性樹脂の場合も同様である。熱接
着性繊維は、上記の融点または軟化点を有するポリマー
成分単独からなる繊維であってもよいし、かかるポリマ
ー成分を少なくとも表面成分とする芯鞘型、サイドバイ
サイド型の複合繊維であってもよい。
【0023】熱接着性を示すポリマー成分としては、特
に制限はないが、リサイクルを考慮すると、表皮材裏面
に貼り付ける前記不織布等の構成繊維と同種ポリマーか
らなる繊維あるいは樹脂であることが好ましく、就中、
ポリエステル系やポリオレフィン系のポリマー成分が好
ましく使用される。
【0024】接着性不織布も同様であり、通常繊度の熱
接着性繊維からなる乾式または湿式不織布であっても、
また極細繊度の熱接着性繊維からなるメルトブローン不
織布であってもよい。メルトブローン不織布使用の場合
は、その繊度が微細でその分散が均一な点で、加熱溶融
させ均一な接合を行わせるためにはより好ましい。
【0025】以上で述べたような直接加熱法によるクッ
ション材に、縫製によるキルティング加工を施し、表皮
材に、良好な凹凸が付与されたキルティングシート材を
得るには、表皮シート材裏面に貼り付ける前記不織布に
次のような施工が必要であることがわかった。すなわ
ち、この場合、前記不織布の裏面側(表皮シート材と貼
り合せる面とは反対側)の少なくとも表面部分が、何ら
の加工も加えられていない、構成繊維がお互いに動き易
い状態にある通常の不織布にあっては、そこに縫製によ
るキルティング加工を施しても、該不織布の裏面側に凹
凸模様が形成されるばかりで、表皮シート材側には凹凸
模様が形成されないのである。
【0026】そこで、この課題を解決するには、該不織
布裏面側の少なくとも外層面側を硬化面となすことが必
要で、これにより、該不織布裏面側でのキルティング加
工縫製部分の内部側への移動を阻止し、表皮シート材の
表面側に良好な凹凸模様を付与できるようになるもので
ある。
【0027】ここで、該不織布裏面側の少なくとも外層
面側を硬化面となす手段としては、該不織布それ自体
で、その裏面側の少なくとも外層面を硬化面とする方法
ばかりでなく、硬化面となる織目、編目が緩まない他の
布帛等を、キルティング縫製加工前の段階で、該不織布
繊維シート層裏面側の外層面上に積層しておく方法をも
包含意味するものであるが、製造コストの面で前者手段
を用いることがより好ましい。
【0028】前者手段の場合、不織布層裏面側の少なく
とも外層面を硬化面とするには、例えば、該裏面層をバ
ーナーもしくは電熱ヒーターにより直接加熱し、該外層
面の繊維を溶融させ、互いに結合して固定化することに
よって得られる。この場合、該不織布層は、それ自体熱
可塑性繊維からなるものであるので、上記加熱手段によ
り、繊維を溶融させ、互いに結合して固定化することが
できる。
【0029】すなわち、不織布裏面側をこのような硬化
面としておくことにより、本発明での表皮シート材とそ
の裏面の不織布とからなるシート地は、それを後の工程
で、その表裏面を挟んで縫製によるキルティング加工を
行なったとき、不織布の裏面の硬化面の存在により、不
織布裏面側が不織布前面側に附勢される糸張力に対応
し、いわば窪まない面となっているので、凹凸は表皮シ
ート材側に形成されることとなるものである。このよう
に、本発明シート材の、不織布の裏面の硬化面の存在
は、上記のようなキルティング加工をする上で重要な要
件である。
【0030】図1は、本発明キルト加工用クッションシ
ート材の好適な製造方法をさらに説明するものである。
すなわち、この図例は、不織布2として、予め、その表
面側に熱接着性不織布(図示略)を仮固定し、裏面側は
そのままでのシート層を用い、該表面側への直接加熱法
により、表面側は表皮材1の裏面層と貼り合せ、その後
不織布裏面側には、同じく直接加熱法により、その外層
面を硬化面とした、キルティング加工用として好適なシ
ート積層物を得る例である。
【0031】図において、表皮材1は巻取り管8に巻き
取られて用意され、またその表面側に熱接着性繊維を仮
固定した不織布2は巻取り管3に巻き取られて用意され
ている。不織布2を巻取り管3から引き出し、ローラー
を介してニップローラー4、5に導き、該ローラー5上
で、表面側をガスバーナー7で直接加熱し、該面を溶融
状態にさせると共に、別途巻取り管8から引き出し、ニ
ップローラー6に導いた前記表皮材1の裏面を重ね合
せ、該ニップローラー5、6で押圧し、冷却させながら
貼り合せを行い、積層シート9として巻取り管10に導
いて巻取りを行う。
【0032】以上で、表皮材1と不織布2との貼り合せ
工程が完了し、積層したクッション材が得られるが、該
クッション材を縫製によるキルティング加工を行うため
に、上記で巻取り管10に巻き取られた積層シート9
を、ローラー11に導き、表皮材1側とは反対面の不織
布2裏面側をガスバーナー13で直接加熱し、表面の繊
維同士を融着結合させて、ニップローラー12に導き、
両ローラー11、12で押圧し、冷却して巻取り管14
に巻き上げることによって、不織布2裏面側の硬化面を
形成したクッション材15とするものである。上記工程
により、表皮材1と不織布2とが積層されたクッション
材とすることができ、さらにまた該不織布2の裏面側の
外表面が硬化面となった、キルティング加工に供するに
適したクッション材15を得ることができる。
【0033】なお上記では、表皮材1と不織布2との接
合操作と、不織布2裏面側の硬化面作成操作とを、一般
的にはその加工速度差があるので別工程で行う例を説明
したが、ニップローラー5、6から出た積層シートを、
いったん巻取り管9に巻き取ることなく、ニップローラ
ー5、6から直接ニップローラー10に導く連続操作で
行うことも無論可能である。
【0034】
【実施例】以下本発明を実施例によってさらに説明する
が、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0035】〔表面材の作成〕;スリー・バー・トリコ
ット編機を用いて、フロント糸としてポリエステル製1
50デニール/72フィラメントの糸を使用し、ミドル
糸およびバック糸としてポリエステル製75デニール/
24フィラメントの糸を用いてパイル高さが3mmのフ
ルカット生地を作った。
【0036】〔不織布原綿〕;次の原綿を用意した。 〈原綿(A)〉…捲縮数6.6ケ/25mmで、表面に
シリコーンを被覆した繊維−繊維間の静止摩擦係数μs
が0.149のポリエステル繊維(融点=260℃)
で、6デニール×64mmからなる。 〈原綿(B)〉…表面にシリコーンを被覆していない点
のみが異なる原綿(A)のポリエステル繊維からなる。
なお、このポリエステル繊維の繊維−繊維間の静止摩擦
係数μsは0.307である。
【0037】〔不織布の作成〕; 〈不織布1〉…原綿(A)を80%、原綿(B)を20
%用いて混綿し、カードによりウェブを紡出し、これに
ニードルパンチを行い、厚さ10mm、目付け360g
/m2の不織布を得た。これを不織布1とする。 〈不織布2〉…上記原綿(A)および(B)の混綿比率
を60%と40%にした以外は、上記と同じ方法で、そ
の目付けをほぼ同一にした不織布を得た。これを不織布
2とする。
【0038】〔熱接着性不織布の固定〕;前記各不織布
の一面側に平均目付が30g/m2の低融点ポリエステ
ルからなるメルトブローン不織布(以下MBと略記)を
重ね合せ、該不織布側からニードルパンチを行い、該M
Bを不織布に固定化し、これに150℃、1分間の乾熱
処理を行って、MBを固定した不織布を得、これをMB
が表側となるように巻き取り、それぞれ目付が390g
/m2のMB固定不織布を得た。
【0039】《実施例1および2》 〔積層シートの作成〕;上記で得られ、巻き取られたM
B固定不織布を、図1の巻取り管3から引き出し、ロー
ラーを介してニップローラー4、5に導き、該ローラー
5上で、表面MB側をガスバーナー7で直接加熱し、該
面を溶融状態にさせると共に、別途巻取り管8から引き
出し、ニップローラー6に導いた前記表皮材層1の裏面
(パイルを有しない方の面)に重ね合せ、該ニップロー
ラー5、6で押圧し、冷却させながら貼り合わせ、積層
シート9として巻取り管10に巻き取った。
【0040】〔不織布裏面硬化面の形成〕:次に、この
巻き取られた積層シート9を巻取り管10から引き出
し、不織布裏面側(MBが固定されていない側)を上面
にしてニップローラー11に導き、該ニップローラー1
1上で、ガスバーナー13で直接加熱し、該不織布裏面
側の繊維間を溶融結合し、直ちにニップローラー12に
導き、該ニップローラー11、12で押圧し、冷却させ
て、不織布裏面側が硬化した、硬化面を有する積層クッ
ションシート15を得た。
【0041】〔キルティング縫製加工〕:上記工程で得
られた、すなわち、不織布1または不織布2から得られ
た各積層シート9に、それぞれ縫製によるキルティング
加工を施した。
【0042】〔キルティング縫製加工後のクッションシ
ートの評価〕:上記で得られた積層クッションシートの
外観は、いずれのクッションシートも、パイル糸がよく
揃って立ち、表面のすばらしいものであった。しかも、
キルティング縫製加工による、表皮材層表面側のキルテ
ィング凹凸は、くっきりとした、かつ凹凸の緩和のない
優れたキルティング模様を形成していた。なお、圧縮荷
重に対する耐へたり性をJIS−K6401法に準ずる
圧縮残留歪み率(常温時)で評価したが、その結果は、
前記各不織布1または2からなる積層クッションシート
は、それぞれ3.5%(実施例1)および4.4%(実
施例2)であり、その回復率が優れたものであった。
【0043】上記JIS−K6401法に準ずる圧縮残
留歪み率(常温時)の測定には、試験片の厚さを正確に
測定し、圧縮板で該試験片の厚さを50%に圧縮して、
常温で22時間放置した後、圧縮板を解放し、そのまま
30分間放置後、その後の厚さを測定したもので、その
歪み率の算出は次の式によった。 C=100×(t0−t1)/t0 C;圧縮残留歪み率(%) t0;初期試験片厚みmm、 t1;試験後試験片厚みm
【0044】《比較例1および2》実施例1および2と
は、不織布1および2から積層シート9を得ることは同
じで、その不織布裏面側に硬化面を形成させない点のみ
が異なる積層クッションシートに、それぞれ縫製による
キルティング加工を施した。このキルティング加工した
積層クッションシートの外観は、いずれも、パイル糸が
よく揃って立ち、表面のすばらしいものであったが、そ
のキルティングによる凹凸がクッションシートの不織布
裏面側に形成されるばかりで、その表皮材シート側に好
適な凹凸を形成させることが出来なかった。
【0045】
【発明の効果】本発明は、椅子張り地または自動車等車
両用のクッションシート材として、そのリサイクル性を
容易にする素材構成とすることが出来、基本的に、荷重
に対する回復率が優れており、またキルティング縫製加
工を行う場合に、該加工による良好な凹凸が付与された
キルティングシート材となすことができるものであり、
キルト加工用クッションシート材として実用性が高く有
益なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のキルティングシート材の製造方法を示
した説明図である。
【符号の説明】
1 表皮材層 2 不織布層 3 巻取り管 4 ニップローラー 5 ニップローラー 6 ニップローラー 7 ガスバーナー 8巻取り管 9 積層シート 10 巻取り管 11 ニップローラー 12 ニップローラー 13 ガスバーナー 14 巻取り管 15 クッション材

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表皮シート材とその裏面の熱可塑性繊維
    からなる不織布とが貼り合わされた、少なくとも該二層
    を有するクッションシート材において、前記不織布は、
    繊維−繊維間の静止摩擦係数μsが0.1以上、0.2
    以下である低摩擦性繊維を全繊維中で20重量%以上と
    なる量含有した不織布であって、該表皮シート材と不織
    布とは、その中間部に介在させた熱接着性繊維、熱接着
    性樹脂あるいは熱接着性不織布の熱溶融により貼り合わ
    され、該不織布の表皮シート材裏面側に相対する面とは
    反対側の面を硬化面となしていることを特徴とするキル
    ト加工用クッションシート材。
  2. 【請求項2】 表皮シート材とその裏面の熱可塑性繊維
    からなる不織布とが貼り合わされた、少なくとも該二層
    を有するクッションシート材の製造方法において、前記
    不織布は、繊維−繊維間の静止摩擦係数μsが0.1以
    上、0.2以下である低摩擦性繊維を全繊維中で20重
    量%以上となる量含有した不織布であって、該不織布
    の、少なくとも表皮シート材の裏面側に向く側には、熱
    接着性繊維、熱接着性樹脂あるいは熱接着性繊維不織布
    を仮固定し、反対側の面は硬化面となした不織布を用
    い、該不織布の、前記熱接着性繊維、熱接着性樹脂ある
    いは熱接着性繊維不織布を仮固定した面側を火炎バーナ
    ーもしくは電熱ヒーターにより直接加熱し、該熱接着性
    繊維、熱接着性樹脂あるいは熱接着性繊維不織布を熱溶
    融し、直ちに表皮シート材と重ね合わせて押圧すること
    により貼り合わせを行うことを特徴とするキルト加工用
    クッションシート材の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1のクッションシート材をその表
    裏面を挟んで縫製によるキルティング加工を行なってな
    るキルトクッションシート材。
  4. 【請求項4】 請求項2の貼り合わせ後、クッション
    シート材をその表裏面を挟んで縫製によるキルティング
    加工を行なうことを特徴とするキルトクッションシート
    材の製造方法。
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