JP2000270589A - 電流制御装置 - Google Patents

電流制御装置

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JP2000270589A
JP2000270589A JP11067473A JP6747399A JP2000270589A JP 2000270589 A JP2000270589 A JP 2000270589A JP 11067473 A JP11067473 A JP 11067473A JP 6747399 A JP6747399 A JP 6747399A JP 2000270589 A JP2000270589 A JP 2000270589A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 トータルの電流帯域を広げ、応答特性の改善
を図る。 【解決手段】 電動機の電圧指令信号u(k)、電流出
力y(k)、δ=z−1、zを進み演算とし、i+1次
モニック安定多項式q(δ)を選んで、多項式方程式
(δ+p){qδ+…+q}+r{hi+1
δi+1+…+h}=q(δ)(p−m )を満た
すh〜hi+1を求め、K(δ)={qδ+…+
}/q(δ),H(δ)={hi+1δi+1+…
+h}/q(δ),g=m/rとして、制御法則
u(k)=K(δ)u(k)+H(δ)y(k)+gv
(k),{ただしv(k)は電流指令}によってフィー
ドバック補償することで、外乱の影響を除去しつつ、電
流制御系全体をM(δ)=m/(δ+m)という極
配置系としたフィードバック補償器に対し、電流指令部
に{zM(δ)}−1というフィードフォワード補償器
を挿入し、電流制御系の電流応答特性をz−1とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電流制御装置に関
する。さらに詳述すると、本発明は、例えばUVW相を
制御する同期モータやdq軸変換制御を行う同期モータ
などにおける電流制御装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】サーボモータなどの電動モータを制御す
るには、モータのコイルのL分による遅れやPWMイン
バータに起因する非線形性を補償する必要があり、この
ため、図5に示すように、電流フィードバックによる電
流制御をかけ、PWMにまつわる非線形性を補償し、電
流の応答性を向上させることが一般的に行われる。この
場合、電流制御の方法としては、PI制御(比例・積分
制御)を用いて遅れの補償と非線形性の補償とを行って
いる。例えば、図5に示すようにUVW相を制御する同
期モータの場合、あるいは図6に示すようにdq軸変換
制御を行う同期モータの場合(図6)は、このような電
流制御によって電流指令から電流に至る特性が改善され
て速い応答特性が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような電流制御においては、電流の検出遅れや閉ループ
内部の非線形性、さらには寄生要素(ダイナミクス)な
どによって電流ループそのもののハイゲイン化が難し
く、電流帯域を広げる限界が低いという問題がある。つ
まり、現実には、電流制御部の応答性は種々の原因によ
り阻害され、応答性を上げすぎるとサーボハンチングが
生じたり、ハイゲイン化に起因した発振が生じたりす
る。
【0004】また、単一のフィードフォワードゲインを
試行錯誤的に調整しなければならなく調整作業に手間が
かかることに加え、実構造に基づいたものでないことか
ら補償効果もそれほど上がらないという問題もある。
【0005】さらに、特開平4−4782号公報(発明
の名称「モータ駆動装置」)や特開平5−207767
号公報(発明の名称「モータ駆動制御装置」)では、い
ずれもフィードフォワード信号をフィードバック電流補
償値と加算する構造になっており、モータのインピーダ
ンスモデルを基に応答特性を補償するが、実際にはドラ
イバ部等に強い非線形性を含んでおり、またPI制御系
の構造から、補償の程度もあまり強くできないため補償
効果がそれほど上がらない。
【0006】本発明は、トータルの電流帯域を広げるこ
とができるとともに、補償効果を上げることにより電流
ループの広帯域化など応答特性の改善を図ることができ
る電流制御装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、請求項1記載の発明の電流制御装置は、電動機の電
圧指令信号u(k)から電流出力y(k)までの伝達関
数をKpwm/(Ls+R)と近似し、これを離散値変
換して制御対象N(δ)をN(δ)=r/(δ+
)とした時(ただしδ=z−1、zを進み演算とす
る)、この系にd(t)=d+dt+…+d
(iは0以上の適当な整数)というような近似誤差分を
含む外乱が印加されているものとしてi+1次モニック
安定多項式q(δ)を選んで、多項式方程式(δ+
){qδ+…+q}+r{h i+1δ
i+1+…+h}=q(δ)(p−m)を満たす
〜hi+1を求め、K(δ)={qδ+…+q
}/q(δ),H(δ)={hi+1δi+1+…+
}/q(δ),g=m/rとして、制御法則u
(k)=K(δ)u(k)+H(δ)y(k)+gv
(k),{ただしv(k)は電流指令}によってフィー
ドバック補償することで、外乱d(t)の影響を除去し
つつ電流制御系全体をM(δ)=m/(δ+m)と
いう極配置系としたフィードバック補償器に対し、さら
に電流指令部に{zM(δ)}−1というフィードフォ
ワード補償器を挿入し、電流制御系全体の電流応答特性
をz−1としたものである。
【0008】ここでは、まずモータの電圧−電流特性を
1次で表し、外乱補償機能を含んだ極配置制御を行い、
ドライバ部やモータにまつわる非線形性を補償し、系全
体を無理なく適当に大きく設定した極をもつ1次の線形
モデルに補償する。この系は、制御構造に含まれた外乱
補償機能と、状態フィードバック効果によりPWMイン
バータ等で発生する外乱やミスマッチに対してロバスト
である。このようにして構成したフィードバック制御系
に対して、1次離散系フィードフォワード補償をかける
ことで、任意の応答特性を得ることができる。そして、
1次有限整定応答することができる。
【0009】したがって、電流の検出遅れや、寄生要素
(ダイナミクス)によって電流ループそのもののハイゲ
イン化が難しい場合でも、指令信号のみにフィードフォ
ワード補償することだけで、トータル電流帯域を自由に
広げられる。また、やみくもにフィードフォワードゲイ
ンを調整する必要なく応答特性の改善が自由にできるよ
うになる。
【0010】またトータル電流帯域を調整するため、極
の配置だけでなく、フィードフォワード補償の度合いを
調整するために、フィードフォワード補償器を、請求項
2記載の電流制御装置のように、ゲインαを持った、
{αδ+m}/{mz}とすることができる。
【0011】またさらに電流ループの広帯域化や応答特
性のさらなる高速化を計るため、請求項3記載の電流制
御装置のように、本発明を例えばPWMドライバや同期
モータの制御用として用いることができる。
【0012】またさらに電流ループの広帯域化や応答特
性のさらなる高速化を計るため、さらにトータル電流帯
域を調整するのに、極の配置だけでなくフィードフォワ
ード補償の度合いを調整するようにして、種々の特性の
ドライバやモータに対応してより柔軟な調節を可能にす
るため、請求項4記載の電流制御装置のように、本発明
を例えばPWMドライバや同期モータの制御用として用
いることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を図面に示す
実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0014】図1〜図2に、本発明の電流制御装置1の
一実施形態を示す。本実施形態での電流制御装置1は、
外乱補償機能をもった極配置系にフィードフォワード補
償による応答特性の改善を図ることにより、電流制御系
に対して外乱dが例えば図1に想像線で示すように印加
されている場合においても電流帯域を広げるとともに補
償効果を上げるようにしたものである。なお、以下に説
明する実施形態は、PWMドライバと同期モータとの組
み合わせからなる制御対象N(δ)に本発明の電流制御
装置1を適用したものである。また本実施形態では、P
WM等に関わる非線形性等は、この系に外乱dとして印
加されるものとしている。また、本実施形態では、外乱
dは0次外乱、つまり請求項1におけるi=0としてい
るが、もちろんi=1以上のより高次の外乱dとしても
かまわない。
【0015】まず、系の入力信号である各相電圧指令信
号u(k)から出力である電流出力y(k)までの伝達
関数は、近似式である以下の数式1により
【数1】Kpwm/(Ls+R) と表すことができる。この数式1で表される関数を離散
値変換し、制御対象であるN(δ)を以下の数式2のよ
うに表す。
【0016】
【数2】N(δ)=r/(δ+p) ただし、この数式2中におけるδは、zを進み演算子と
して
【数3】δ=z−1 によって示されるものである。
【0017】また、系の極配置モデルを
【数4】M(δ)=m/(δ+m) としたフィードバック補償器2に対し、図2に示すよう
に、電流指令部にz−1M(δ)−1で表されるフィー
ドフォワード補償器3を挿入する。そして、数式5で表
される安定多項式
【数5】q(δ)=δ+q を選び、数式6で表される多項式方程式
【数6】(δ+p)q+r(hδ+h)=
(δ+q)(p−m) を満たすh、hを求める。
【0018】次に、上述の数式6に関し、
【数7】K(δ)=q(δ+q−1
【数8】H(δ)=(hδ+h)(δ+q−1
【数9】g=m/r で表される各式をつくり、これら数式7〜9を利用して
数式10に示す制御法則を得る。
【0019】
【数10】 u(k)=K(δ)u(k)+H(δ)y(k)+gv(k) ただし u(k):各相電圧指令 y(k):各相電流 v(k):各相電流指令 この場合、v(k)→y(k)特性は、M(δ)とな
る。このことは、制御法則をN(δ)の式に代入して、
多項式方程式の関係をつかうことで簡単に証明すること
ができる。またこの制御系は、入力外乱やミスマッチの
影響にもロバストな構造をしておりモータやPWMにま
つわる非線形性やミスマッチ、外乱を抑制し、1次モデ
ルに補償している。
【0020】さて、電流指令部分にz−1M(δ)−1
というフィードフォワード補償器3を挿入することで、
電流制御部全体の電流応答特性z−1となる。なお、こ
のフィードフォワード補償器3はプロパーであるから、
実現可能な補償器である。また、本実施形態では、数式
10に示すフィードバック制御を施すことにより、制御
系の極を適当な位置に配置するだけでなく、モデル化誤
差や非線形性を含んだ外乱dも補償することができる。
【0021】以上説明したように、本発明の電流制御装
置1によれば、非線形要素を含んだモデル化誤差も外乱
dとして補償し、制御系を極配置して1次系に補償して
おいてから、フィードフォワードをかけることにより補
償効果を上げ、反応速度を向上させることができる。こ
れにより、電流制御部の応答性が向上し、電流ループそ
のもののハイゲイン化や、トータルの電流帯域を拡げる
ことが可能となる。また、本発明の電流制御装置1を例
えばUVW相を制御する同期モータ、あるいはdq軸変
換制御を行う同期モータに応用した場合、図3及び図4
に示すようになり、電流制御系を無理なく適当な位置に
配置した極をもつ1次系に補償することができることか
ら、それぞれにおいて、電流ループの広帯域化や応答特
性のさらなる高速化を図ることができる。
【0022】なお、上述の実施形態は本発明の好適な実
施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発
明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能で
ある。例えば上述の実施形態では、制御対象がPWMド
ライバ及び同期モータの組み合わせであるとして本発明
の電流制御装置1を説明したが、この電流制御装置1の
用途は特にこれらに限られないことは勿論であり、各種
モータをはじめとした他の機器において実施可能であ
る。
【0023】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、請求項
1記載の電流制御装置によれば、非線形性を補償して任
意の応答特性を得ることができるので、電流の検出遅れ
や、寄生要素(ダイナミクス)によって電流ループその
もののハイゲイン化が難しい場合でも、指令信号のみに
フィードフォワード補償することだけでトータルの電流
帯域を広げることができる。
【0024】しかも、非線形性をもつモータやPWMド
ライバを、外乱補償機能とフィードバック効果による強
いロバスト性をもった制御構造により、電流制御系を無
理なく適当な位置に配置した極をもつ1次系に補償する
ことができ、さらにこれを基に実現可能な最適な構造で
フィードフォワード補償をかけるため、やみくもにフィ
ードフォワードゲインを調整する必要もなく、応答特性
の改善(電流ループの広帯域化)が自由にできるように
なる。
【0025】また、請求項2記載の電流制御装置によれ
ば、フィードフォワード補償器を、ゲインαを持った、
{αδ+m}/{mz}としているため、トータル
電流帯域を調整するのに、極の配置だけでなく、フィー
ドフォワード補償の度合いを調整することができるた
め、種々の特性のドライバやモータに対応してより柔軟
な調節を可能である。
【0026】また、請求項3記載の電流制御装置によれ
ば、電流制御装置を用いてPWMドライバ及び同期モー
タを制御し、電流ループの広帯域化や応答特性のさらな
る高速化を計ることができる。
【0027】また、請求項4記載の電流制御装置によれ
ば、電流制御装置を用いてPWMドライバ及び同期モー
タを制御し、電流ループの広帯域化や応答特性のさらな
る高速化を計ることができるとともに、トータル電流帯
域を調整するのに、極の配置だけでなくフィードフォワ
ード補償の度合いを調整することができるため、種々の
特性のドライバやモータに対応してより柔軟な調節が可
能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる電流制御装置の一実施形態を示
す図であり、電流のフィードバック補償を表す。
【図2】フィードバック補償器とその前段に挿入された
フィードフォワード補償器とを示す図である。
【図3】本発明の電流制御装置をUVW相を制御する同
期モータに応用した一例を示す図である。
【図4】本発明の電流制御装置をdq軸変換制御を行う
同期モータに応用した一例を示す図である。
【図5】従来の電流制御装置をUVW相を制御する同期
モータに応用した一例を示す図である。
【図6】従来の電流制御装置をdq軸変換制御を行う同
期モータに応用した一例を示す図である。
【符号の説明】
1 電流制御装置 2 フィードバック補償器 3 フィードフォワード補償器 d 外乱 u(k) 各相電圧指令信号 v(k) 各相電流指令 y(k) 電流出力 N(δ) 制御対象 M(δ) 極配置モデル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H004 GA02 GA17 HA14 HB14 KA22 KA32 KA76 KB15 KB16 KB27 KB30 KB32 LA01 LA05 5H570 BB20 DD04 GG01 GG08 HB16 JJ25 LL02 LL03 5H571 BB06 GG04 GG08 HB01 HC02 HD02 JJ25 LL22 LL23

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電動機の電圧指令信号u(k)から電流
    出力y(k)までの伝達関数をKpwm/(Ls+R)
    と近似し、これを離散値変換して制御対象N(δ)をN
    (δ)=r/(δ+p)とした時(ただしδ=z−
    1、zを進み演算とする)、この系にd(t)=d
    t+…+d(iは0以上の適当な整数)とい
    うような近似誤差分を含む外乱が印加されているものと
    してi+1次モニック安定多項式q(δ)を選んで、多
    項式方程式(δ+p){qδ+…+q}+r
    {hi+1δi+1+…+h}=q(δ)(p−m
    )を満たすh〜hi+1を求め、K(δ)={q
    δ+…+q}/q(δ),H(δ)={hi+1δ
    i+1+…+h}/q(δ),g=m/rとし
    て、制御法則u(k)=K(δ)u(k)+H(δ)y
    (k)+gv(k),{ただしv(k)は電流指令}に
    よってフィードバック補償することで、外乱d(t)の
    影響を除去しつつ電流制御系全体をM(δ)=m
    (δ+m)という極配置系としたフィードバック補償
    器に対し、さらに電流指令部に{zM(δ)}−1とい
    うフィードフォワード補償器を挿入し、電流制御系全体
    の電流応答特性をz−1としたことを特徴とする電流制
    御装置。
  2. 【請求項2】 フィードフォワード補償器が、{zM
    (δ)}−1の代わりに、フィードフォワード補償の度
    合いを調整できるようにゲインαを持った、{αδ+m
    }/{mz}としたことを特徴とする請求項1記載
    の電流制御装置。
  3. 【請求項3】 制御対象は、PWMドライバ及び同期モ
    ータであることを特徴とする請求項1記載の電流制御装
    置。
  4. 【請求項4】 制御対象は、PWMドライバ及び同期モ
    ータであることを特徴とする請求項2記載の電流制御装
    置。
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