JP2000266056A - カーボン摺動材及びその製造法 - Google Patents

カーボン摺動材及びその製造法

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JP2000266056A
JP2000266056A JP11071782A JP7178299A JP2000266056A JP 2000266056 A JP2000266056 A JP 2000266056A JP 11071782 A JP11071782 A JP 11071782A JP 7178299 A JP7178299 A JP 7178299A JP 2000266056 A JP2000266056 A JP 2000266056A
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JP
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carbon
ray diffraction
graphite powder
carbon sliding
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Yoshihiro Watanabe
美博 渡辺
Hideo Nozawa
秀男 野沢
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Showa Denko Materials Co Ltd
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Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属含浸をせずに強度が強く、かつ摩耗量の
少ないカーボン摺動材及びその製造法を提供する。 【解決手段】 空気圧力0.49MPaにおける空気透過
量が10cc/cm2/min以下であるカーボン材を用いてなる
カーボン摺動材及びX線回折による格子面間隔C002
0.671〜0.673nmの黒鉛粉を含む骨材に、固体
潤滑材及び結合剤を含む原料を混合、捏和した後、成
形、焼成することを特徴とするカーボン摺動材の製造
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種ポンプなどの
軸封部において、軸受、メカニカルシール、ロータリジ
ョイントシール、パッキン、ブレード等に使用されるカ
ーボン摺動材及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のカーボン摺動材に用いられるカー
ボン材の製造法は、例えば(石川敏功、長沖通)著、近
代編集社発行の、「新炭素工業」などに示されるよう
に、人造黒鉛、天然黒鉛、カーボンブラック、コークス
等の骨材の一種以上と、タールピッチ、コールタール等
の結合剤の一種以上を適宜配合し、これらを捏和機に投
入し、200〜290℃の温度で捏和混練する。捏和機
には通常双腕型捏和機が使用されている。
【0003】次に捏和物を室温まで冷却した後、平均粒
径が20〜30μmに粉砕し、次いで69〜147MPa
の圧力で成形、800〜1000℃の還元雰囲気中で焼
成し、さらにこの焼成品に金属含浸を行う。金属含浸
は、温度400〜500℃、減圧真空度−0.05〜−
0.1MPaの条件で溶融鉛槽に上記の焼成品を浸漬し、
焼成品に有する気孔に鉛を含浸させる。この後0.49
〜9.8MPaまで加圧した後、溶融鉛槽から引き上げて
冷却し、大気圧に戻して含浸を完了し、カーボン材とし
ている。このカーボン材を機械加工して各種のカーボン
摺動材に供している。
【0004】しかしながら従来のカーボン材は、重金属
である鉛は、環境汚染が心配され、廃棄品の市場からの
回収が必要となり、そのためコストアップにつながる問
題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】請求項1及び2記載の
発明は、金属含浸をせずに強度が強く、かつ摩耗量の少
ないカーボン摺動材を提供するものである。請求項3記
載の発明は、金属含浸をせずに強度が強く、かつ摩耗量
の少ないカーボン摺動材の製造法を提供するものであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、空気圧力0.
49MPaにおける空気透過量が10cc/cm2/min以下であ
るカーボン材を用いてなるカーボン摺動材に関する。ま
た、本発明は、カーボン材が、X線回折による格子面間
隔C002が0.671〜0.673nmの黒鉛粉を含む骨
材40〜50重量%、固体潤滑材1〜5重量%及び結合
剤45〜59重量%含有してなるカーボン摺動材に関す
る。さらに、本発明は、X線回折による格子面間隔C
002が0.671〜0.673nmの黒鉛粉を含む骨材
に、固体潤滑材及び結合剤を含む原料を混合、捏和した
後、成形、焼成することを特徴とするカーボン摺動材の
製造法に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明になるカーボン摺動材に用
いられるカーボン材は、空気圧力0.49MPaにおける
空気透過量が10cc/cm2/min以下、好ましくは5cc/cm2
/min以下、さらに好ましくは2cc/cm2/min以下(0も含
む)とされ、10cc/cm2/minを越えるカーボン材を用い
ると摺動時の液膜が保持できず摺動特性を確保できな
い。
【0008】空気透過量は、サンプルを25×25×5
mmで空気透過面積が314mm2、これに差圧4.98MPa
の空気圧を加えて測定することができる。測定される空
気透過量の単位は、cc/cm2/minであるが、これは1cm2
の面積当たりで、1分間に透過する空気体積(cc)を意
味する。
【0009】本発明において、骨材の一部として使用さ
れる黒鉛粉は、X線回折による格子面間隔C002が0.
671〜0.673nm、好ましくは0.6715〜0.
6725nmの範囲とされ、0.671nm未満では機械強
度が低下し、0.673nmを越えると空気透過量が増加
するため液中での摺動性が悪くなる。なお本発明におい
ては、X線回折による格子面間隔C002が0.671〜
0.673nmの黒鉛粉を、全組成物中に15重量%以
上、好ましくは18〜35重量%含有していれば、X線
回折による格子面間隔C002が上記の範囲から外れた黒
鉛粉を併用して使用しても差し支えない。なお、X線回
折による格子面間隔C002は、学振法等により測定する
ことができる。
【0010】また、本発明になるカーボン摺動材に用い
られるカーボン材は、X線回折による格子面間隔C002
が0.671〜0.673nmの黒鉛粉を含む骨材40〜
50重量%、固体潤滑材1〜5重量%及び結合剤45〜
59重量%含有することが好ましく、骨材が多いと緻密
性が損なわれる傾向があり、少ないと摺動性が損なわれ
る傾向がある。また固体潤滑材が多いと機械強度が低下
する傾向があり、少ないと摺動性が損なわれる傾向があ
る。さらに結合剤が多いと焼成中に割れる傾向があり、
少ないと機械強度が低下する傾向がある。なお骨材中に
含まれるX線回折による格子面間隔C002が0.671
〜0.673nmの黒鉛粉の含有量については特に制限は
ないが、骨材に対して20〜70重量%とすることが好
ましく、30〜50重量%とすることがさらに好まし
い。
【0011】カーボン摺動材に用いられるカーボン材を
製造するための原料としては、X線回折による格子面間
隔C002が0.671〜0.673nmの黒鉛粉を含み、
その他に油煙、天然黒鉛粉等を骨材として使用し、それ
に固体潤滑材としてタルク、二硫化モリブデン等を使用
し、さらに結合剤としてタールピッチ、コールタール等
が使用される。
【0012】カーボン摺動材に用いられるカーボン材
は、前記各原料を用い、加熱混練(捏和)、粉砕、成形
した後、焼成することにより製造することができる。捏
和は、双腕型ニーダー、スクリュー型ニーダー等を用い
て、各原料を好ましくは230〜270℃の温度で混練
する。捏和温度が高いと機械強度が低下する傾向があ
り、低いと捏和時間が長くなる傾向がある。なお捏和時
間については、捏和物の量、骨材の粒径、結合剤の配合
量により変化するので、その都度適宜選定する。
【0013】粉砕は、捏和で得られたものを、各種粉砕
機を用いて、平均粒子径が20〜30μmになるように
粉砕することにより行われる。平均粒子径が大きいと機
械強度が低下する傾向があり、小さいと焼成中に割れる
傾向がある。成形は、粉砕して得られた粉体を、ブロッ
ク状に金型プレスなどの方法で付形することにより行わ
れる。成形圧力は、69〜147MPaが好ましい。成形
圧力が低いと機械強度が低下する傾向があり、高いと焼
成中に割れる傾向がある。
【0014】上記により得られた成形品を、焼成する。
焼成は、還元雰囲気下で、好ましくは800〜1000
℃に昇温して行うことができる。焼成時間は、300〜
500時間が好ましい。還元雰囲気下で焼成する方法と
しては、成形体のまわりに炭素粉を詰めて焼成する方法
等がある。このようにして得られたカーボン材を所望の
形状の摺動材に加工することができる。摺動材として
は、軸受、メカニカルシール、ロータリジョイントシー
ル、パッキン、プレード等が挙げられる。
【0015】
【実施例】以下本発明の実施例を説明する。 実施例1 骨材として、X線回折による格子面間隔C002が0.6
72nmの黒鉛粉23重量%及び油煙22重量%に固体潤
滑剤として、市販の二硫化モリブデン2重量%並びに結
合剤としてバインダピッチ(川崎製鉄(株)製、商品名P
KL)40重量%及びコールタール13重量%を配合
し、双腕型ニーダーを用いて温度250℃で5時間捏和
混練した。
【0016】この後上記の捏和物を、平均粒子径が25
μmに粉砕した。この成形粉を寸法が150×250×
50mmの金型に入れ、成形圧力123MPaで1個成形し
た。得られた成形体を、還元雰囲気下で1000℃まで
400時間かけて昇温した後、冷却し焼成品を得た。得
られた焼成品から試験片を図1のように採取し、その物
理特性を測定した。その測定結果を表1に示す。また水
中摩耗試験の結果も合わせて表1に示す。
【0017】実施例2 骨材として、X線回折による格子面間隔C002が0.6
72nmの黒鉛粉18重量%、X線回折による格子面間隔
002が0.674nmの黒鉛粉22重量%及び油煙5重
量%に固体潤滑剤として、市販の二硫化モリブデン2重
量%並びに結合剤としてバインダピッチ(川崎製鉄(株)
製、商品名PKL)40重量%及びコールタール13重
量%を配合し、双腕型ニーダーを用いて温度250℃で
5時間捏和混練した。
【0018】この後上記の捏和物を、平均粒子径が25
μmに粉砕した。この成形粉を寸法が150×250×
50mmの金型に入れ、成形圧力123MPaで1個成形し
た。得られた成形体を、還元雰囲気下で1000℃まで
400時間かけて昇温した後、冷却し焼成品を得た。得
られた焼成品から試験片を図1のように採取し、その物
理特性を測定した。その測定結果を表1に示す。また水
中摩耗試験の結果も合わせて表1に示す。
【0019】実施例3 骨材として、X線回折による格子面間隔C002が0.6
72nmの黒鉛粉19重量%、X線回折による格子面間隔
002が0.674nmの黒鉛粉9重量%、X線回折によ
る格子面間隔C002が0.678nmの黒鉛粉12重量%
及び油煙5重量%に固体潤滑剤として、市販のタルク
1.3重量%、二硫化モリブデン1.7重量%並びに結
合剤としてバインダピッチ(川崎製鉄(株)製、商品名P
KQL)38重量%及びコールタール14重量%を配合
し、双腕型ニーダーを用いて温度250℃で5時間捏和
混練した。
【0020】この後上記の捏和物を、平均粒子径が25
μmに粉砕した。この成形粉を寸法が150×250×
50mmの金型に入れ、成形圧力123MPaで1個成形し
た。得られた成形体を、還元雰囲気下で1000℃まで
400時間かけて昇温した後、冷却し焼成品を得た。得
られた焼成品から試験片を図1のように採取し、その物
理特性を測定した。その測定結果を表1に示す。また水
中摩耗試験の結果も合わせて表1に示す。
【0021】比較例1 骨材として、X線回折による格子面間隔C002が0.6
74nmの黒鉛粉28重量%、X線回折による格子面間隔
002が0.678nmの黒鉛粉12重量%及び油煙5重
量%に固体潤滑剤として、市販のタルク1.3重量%、
二硫化モリブデン1.7重量%並びに結合剤としてバイ
ンダピッチ(川崎製鉄(株)製、商品名PKQL)38重
量%及びコールタール14重量%を配合し、双腕型ニー
ダーを用いて温度250℃で5時間捏和混練した。
【0022】この後上記の捏和物を、平均粒子径が25
μmに粉砕した。この成形粉を寸法が150×250×
50mmの金型に入れ、成形圧力123MPaで1個成形し
た。得られた成形体を、還元雰囲気下で1000℃まで
400時間かけて昇温した後、冷却し焼成品を得た。得
られた焼成品から試験片を図1のように採取し、その物
理特性を測定した。その測定結果を表1に示す。また水
中摩耗試験の結果も合わせて表1に示す。
【0023】比較例2 骨材として、X線回折による格子面間隔C002が0.6
74nmの黒鉛粉40重量%及び油煙5重量%に固体潤滑
剤として、市販の二硫化モリブデン2重量%並びに結合
剤としてバインダピッチ(川崎製鉄(株)製、商品名PK
L)40重量%及びコールタール13重量%を配合し、
双腕型ニーダーを用いて温度250℃で5時間捏和混練
した。
【0024】この後上記の捏和物を、平均粒子径が25
μmに粉砕した。この成形粉を寸法が150×250×
50mmの金型に入れ、成形圧力123MPaで1個成形し
た。得られた成形体を、還元雰囲気下で1000℃まで
400時間かけて昇温した後、冷却し焼成品を得た。得
られた焼成品から試験片を図1のように採取し、その物
理特性を測定した。その測定結果を表1に示す。また水
中摩耗試験の結果も合わせて表1に示す。
【0025】比較例3 骨材として、X線回折による格子面間隔C002が0.6
74nmの黒鉛粉23重量%及び油煙22重量%に固体潤
滑剤として、市販の二硫化モリブデン2重量%並びに結
合剤としてバインダピッチ(川崎製鉄(株)製、商品名P
KL)40重量%及びコールタール13重量%を配合
し、双腕型ニーダーを用いて温度250℃で5時間捏和
混練した。
【0026】この後上記の捏和物を、平均粒子径が25
μmに粉砕した。この成形粉を寸法が150×250×
50mmの金型に入れ、成形圧力123MPaで1個成形し
た。得られた成形体を、還元雰囲気下で1000℃まで
400時間かけて昇温した後、冷却し焼成品を得た。得
られた焼成品から試験片を図1のように採取し、その物
理特性を測定した。その測定結果を表1に示す。また水
中摩耗試験の結果も合わせて表1に示す。
【0027】比較例4 骨材として、X線回折による格子面間隔C002が0.6
73nmの黒鉛粉23重量%及び油煙22重量%に結合剤
としてバインダピッチ(川崎製鉄(株)製、商品名PK
L)40重量%及びコールタール15重量%を配合し、
双腕型ニーダーを用いて温度250℃で5時間捏和混練
した。
【0028】この後上記の捏和物を、平均粒子径が25
μmに粉砕した。この成形粉を寸法が150×250×
50mmの金型に入れ、成形圧力123MPaで1個成形し
た。得られた成形体を、還元雰囲気下で1000℃まで
400時間かけて昇温した後、冷却し焼成品を得た。得
られた焼成品から試験片を図1のように採取し、その物
理特性を測定した。その測定結果を表1に示す。また水
中摩耗試験の結果も合わせて表1に示す。
【0029】なお空気透過量の測定は、試験片寸法25
×25×5mmで空気透過断面積が314mm2、これに差
圧4.98MPaの空気圧を加え、その透過空気量を測定
した。また水中摩耗試験は、試験片5×15×20mm
(摺動面5×15mm)を相手材SUS304、寸法が1
00mm(φ)のリングを回転させ、周速を1m/sとし
た。面圧は0.98MPaとし100時間の試験を行い試
験片の摩耗量を測定した。
【0030】
【表1】
【0031】表1に示されるように、実施例1〜3の空
気透過量は、比較例1〜4の空気透過量に比較して小さ
く、また摩耗量も小さく、カーボン摺動材として適して
いることが確認された。
【0032】
【発明の効果】請求項1及び2記載のカーボン摺動材
は、金属含浸をせずに強度が強く、かつ摩耗量が少な
く、工業的に極めて好適である。請求項3記載の方法で
得られるカーボン摺動材は、金属含浸をせずに強度が強
く、かつ摩耗量が少なく、工業的に極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における試験片と比較例におけ
る試験片の採取位置を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空気圧力0.49MPaにおける空気透過
    量が10cc/cm2/min以下であるカーボン材を用いてなる
    カーボン摺動材。
  2. 【請求項2】 カーボン材が、X線回折による格子面間
    隔C002が0.671〜0.673nmの黒鉛粉を含む骨
    材40〜50重量%、固体潤滑材1〜5重量%及び結合
    剤45〜59重量%含有してなる請求項1記載のカーボ
    ン摺動材。
  3. 【請求項3】 X線回折による格子面間隔C002が0.
    671〜0.673nmの黒鉛粉を含む骨材に、固体潤滑
    材及び結合剤を含む原料を混合、捏和した後、成形、焼
    成することを特徴とするカーボン摺動材の製造法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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