JP2000265865A - 電磁駆動バルブを有する動弁装置 - Google Patents

電磁駆動バルブを有する動弁装置

Info

Publication number
JP2000265865A
JP2000265865A JP11066122A JP6612299A JP2000265865A JP 2000265865 A JP2000265865 A JP 2000265865A JP 11066122 A JP11066122 A JP 11066122A JP 6612299 A JP6612299 A JP 6612299A JP 2000265865 A JP2000265865 A JP 2000265865A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
valve
control
stop
spring
piston
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP11066122A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinji Kamimaru
慎二 神丸
Mitsunori Ishii
光徳 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Heavy Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Heavy Industries Ltd filed Critical Fuji Heavy Industries Ltd
Priority to JP11066122A priority Critical patent/JP2000265865A/ja
Publication of JP2000265865A publication Critical patent/JP2000265865A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】内燃機関の停止時における電磁駆動バルブの干
渉を確実に防止すること 【解決手段】電磁駆動バルブを有するツインコイル式の
動弁装置において、内燃機関の停止が指示された場合に
おいて、電源供給の停止に先立ち、バルブの停止制御が
行われる。この停止制御は、ピストンがバルブと干渉し
ないような動作状態になった場合(典型的にはピストン
が下降中の時)、バルブを吸引していた電磁力を減少さ
せて、対向配置されたツインコイルの付勢力が釣り合う
中立位置にバルブを変位させる。ピストンの動作状態を
モニタリングしながらバルブを変位させるため、これら
の部材間の接触等を有効に防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁力により開閉
されるバルブを有する内燃機関の動弁装置に係り、特
に、内燃機関の停止時における電磁駆動バルブの制御に
関する。
【0002】
【従来の技術】エンジン等の内燃機関において、従来、
機械的に行われていたバルブ(吸気バルブおよび排気バ
ルブ)の開閉運動を、電磁力を用いて行う動弁装置が注
目されている。この類の動弁装置では、ピストンの動作
に応じて磁気的な吸引力(すなわち電磁コイルへの供給
電流)を適切に変化させ、ピストンと同期したタイミン
グでバルブを開閉する必要がある。
【0003】このような適切なバルブ制御は、エンジン
が動作している時はもとよりエンジンの停止時において
も要求される。なぜなら、イグニッションキースイッチ
をオンからオフに切り換えた場合、ピストンの位置と無
関係にバルブに対する通電を停止してしまうと、ある気
筒における吸気バルブと排気バルブとが接触してしまっ
たり、バルブがピストンと衝突してしまう可能性がある
からである。その結果、これらの部材の損傷を招いた
り、経年疲労を早めてしまうといった問題が生じる。従
って、このような接触や衝突といったバルブの干渉が生
じないようなバルブの停止制御を行う必要がある。
【0004】バルブの停止制御に関する従来の技術とし
て、例えば、特開平8−170510号公報には、イグ
ニッションキースイッチがオフになった場合であって
も、所定の条件を満たすまでは、電源電圧の供給を継続
する制御が開示されている。すなわち、イグニッション
キースイッチのオフ直後は、電源電圧を供給し続けて、
バルブを全閉位置(バルブが完全に閉じる位置)にホー
ルドする。バルブが全閉位置にある限り、上述したよう
なバルブの干渉が生じることはない。そして、エンジン
回転数が0rpmに近い所定の回転数以下になり、かつ、
車速が0km/hに近い所定の車速以下になった時点から一
定の時間が経過したら電源電圧の供給を停止する。
【0005】この停止制御では、イグニッションキース
イッチをオフした直後はともかく、電源電圧を停止した
時にバルブの干渉が生じてしまう可能性がある。一般
に、電磁駆動バルブを用いた動弁装置は、一対のスプリ
ングが対向配置された構造を有しており、これらのスプ
リングは互いに逆向きの付勢力を有している。電磁力に
よってバルブが吸引されていない状態において、バルブ
は一対のスプリングの付勢力が釣り合っている位置(中
立位置)に静止している。この中立位置は、通常、バル
ブが半開した状態(ハーフリフト)に相当している。従
って、バルブを全閉位置に変位させるために、電磁力を
生じさせて中立位置から閉弁側へと吸引する必要があ
る。バルブが全閉位置にある状態で、従来の技術のよう
に車速とエンジン回転数とが落ちた時点で電磁力を単に
消滅させた場合、スプリングの付勢力によりバルブが中
立位置へ向けて勢いよく動き始める。そして、解放され
たバルブは、まず中立位置より開弁側へ変位(すなわち
オーバーシュート)した後に、中立位置へ徐々に収束し
ていく。バルブがオーバーシュートした際に、ピストン
が上死点付近に位置しているとバルブがピストンと勢い
良く衝突してしまう。また、吸気バルブと排気バルブと
を同時に解放するため、オーバーシュートにより同一気
筒内のバルブ同士が接触してしまう。従って、従来技術
のように、バルブを単に解放するだけでは、スプリング
の付勢力によるバルブのオーバーシュートによって、バ
ルブの干渉が生じる可能性がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような従来技術の
問題点に鑑み、本発明の目的は、内燃機関の停止時にお
けるバルブの干渉を確実に防止することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
めに、第1の発明は、内燃機関が有するバルブを電磁力
によって駆動する動弁装置において、バルブを開弁方向
に付勢する第1のスプリングと、バルブを閉弁方向に付
勢する第2のスプリングと、制御電流に応じてバルブを
開弁方向に吸引する第1の電磁力発生源と、制御電流に
応じてバルブを閉弁方向に吸引する第2の電磁力発生源
と、内燃機関におけるピストンの変位に応じて、第1の
発生源と第2の発生源とに対する制御電流を制御する制
御手段とを有している。この制御手段は、内燃機関の停
止を指示する停止信号が入力された場合において、電源
供給の停止に先立ち、停止制御を行う。また、この停止
制御は、ピストンがバルブと干渉しないような動作状
態、或いは位置になった場合に、バルブを吸引していた
電磁力を減少させて、第1のスプリングの付勢力と第2
のスプリングの付勢力とが釣り合う中立位置にバルブを
変位させるような制御である。
【0008】また、第2の発明は、内燃機関が有するバ
ルブを電磁力によって駆動する動弁装置において、バル
ブを開弁方向に付勢する第1のスプリングと、バルブを
閉弁方向に付勢する第2のスプリングと、制御電流に応
じてバルブを開弁方向に吸引する第1の電磁力発生源
と、制御電流に応じてバルブを閉弁方向に吸引する第2
の電磁力発生源と、内燃機関におけるピストンの変位に
応じて、第1の発生源と第2の発生源とに対する制御電
流を制御する制御手段とを有している。この制御手段
は、内燃機関の停止を指示する停止信号が入力された場
合において、電源供給の停止に先立ち、停止制御を行
う。制御手段は、通常制御においてバルブを変位させる
場合は、解放側の発生源を逆励磁すると共に、停止制御
においてバルブを解放する場合は、このような逆励磁を
行わない。それによって、停止制御時における第1のス
プリングの付勢力と第2のスプリングの付勢力とが釣り
合う中立位置へ向けたバルブの動きは、通常制御時にお
けるそれよりも鈍化される。
【0009】さらに、第3の発明は、内燃機関が有する
バルブを電磁力によって駆動する動弁装置において、バ
ルブを開弁方向に付勢する第1のスプリングと、バルブ
を閉弁方向に付勢する第2のスプリングと、制御電流に
応じてバルブを開弁方向に吸引する第1の電磁力発生源
と、制御電流に応じてバルブを閉弁方向に吸引する第2
の電磁力発生源と、内燃機関におけるピストンの変位に
応じて、第1の発生源と第2の発生源とに対する制御電
流を制御する制御手段とを有している。この制御手段
は、内燃機関の停止を指示する停止信号が入力された場
合において、電源供給の停止に先立ち、停止制御を行
う。制御手段は、停止制御においてバルブを解放する場
合は、バルブをホールドするのに必要なホールド電流を
徐々に減少させる。それによって、停止制御時におけ
る、第1のスプリングの付勢力と第2のスプリングの付
勢力とが釣り合う中立位置へ向けたバルブの動きは、ホ
ールド電流の緩やかな減少に追従して変位する。すなわ
ちバルブの動きを鈍化させることができる。
【0010】ここで、上述した第3の発明において、バ
ルブの変位を検出する検出手段と、ホールド電流を記憶
する記憶手段とをさらに有し、制御手段は、停止制御に
おいて、検出手段の出力をモニタリングすることによ
り、バルブをホールドするのに必要なホールド電流を更
新するようにしてもよい。このような学習を、ホールド
電流を急激に変化させる必要がある通常制御にて行うこ
とは困難である。
【0011】さらに、上述した第1から第3の発明のい
ずれかにおいて、停止制御を、ピストンが下降している
動作状態において行うようにすることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、電磁駆動バルブを有する
動弁装置の一例を示した断面図である。同図のように、
一対の電磁コイルが対向配置された構造(ツインコイル
式)を有する電磁駆動バルブ1が、エンジンのそれぞれ
の気筒における吸気ポートおよび/または排気ポートに
介装されている。バルブ4(吸気バルブおよび排気バル
ブ)は、シリンダヘッド2中のバルブステムガイド3に
摺動自在に挿入されている。
【0013】磁性を有する円筒状のステータコア7,9
の一方の面には、電磁コイル5,6がそれぞれ収納され
ている。開弁方向の吸引力を発生するステータコア7
は、シリンダヘッド2に取り付けられている。一方、閉
弁方向の吸引力を発生するステータコア9は、ステータ
コア7に接合された円筒状のリフトアジャスタ8に取り
付けられている。アーマチュア17は、磁性材料で形成
されており円板状の形状を有する。リフトアジャスタ8
を調整することによりステータコア7,9間の距離を変
え、バルブ4のリフト量を調整することができる。ま
た、ステータコア9の上部にはケース11が取り付けら
れている。ケース11にはバルブ4の軸方向に延在する
孔が設けられており、アーマチュアステム17aがこの
孔に摺動可能な状態で挿入される。それにより、アーマ
チュア17はバルブ4の軸方向にのみ移動することがで
きる。
【0014】ステータコア7の貫通孔には、バルブステ
ム4bが挿入されていると共に、バルブヘッド4aをバ
ルブシート12に押圧する方向(すなわち閉方向)に付
勢する閉弁用スプリング13が収納されている。このス
プリング13は、コッタピン14を介してバルブステム
4bに固着されたリテーナ15と、シリンダヘッド2に
設けられた環状の受け座との間に介装されている。ま
た、バルブステム4bの端部には、アーマチュア17と
バルブ4とのクリアランスを調整するためのシム16が
装着されている。一方、ステータコア9の貫通孔には、
バルブヘッド4aをバルブシート12から離間する方向
(すなわち開方向)に付勢する開弁用スプリング19が
収納されている。このスプリング19は、アーマチュア
17とケース11側の受け座との間に介装されている。
磁気的吸引力が発生していない状態において、アーマチ
ュア17は、一対のスプリング13,19の付勢力が釣
り合う中立位置で静止している。このような中立位置で
は、アーマチュア17はシム16を押圧しているため、
バルブ4はハーフリフトした状態で静止する。
【0015】本実施例では、少なくともハーフリフトで
バルブがピストンと干渉しないような構造になってい
る。すなわち、図2に示したように、同一気筒内におけ
る吸気バルブ20と排気バルブ21は、ハーフリフトに
おいて接触しない程度に離れている。また、ピストン2
2にはリセス(くぼみ)23が設けられている。これ
は、ピストンが上死点に位置した場合であっても、ハー
フリフトしているバルブ20,21との衝突を避けるた
めである。これにより、バルブが中立位置より開かない
限りバルブの干渉が起きることはない。
【0016】ケース11には、バルブ4の位置(リフト
量)を検出するためのリフトセンサ10が装着されてい
る。リフトセンサ10は、アーマチュアステム17aの
先端部に取り付けられたニードル17bの位置に応じた
電圧を出力する。図3は、バルブのリフト量とリフトセ
ンサ10の出力電圧との関係を説明するための図であ
る。ここで、「リフト量」は、全閉位置を基準にしたバ
ルブの変位量として定義され、全閉位置では0、全開位
置では最大Lmaxとなる。リフトセンサ10の出力自体
は微少な電圧であり、全閉位置と全開位置との間におい
てリフト量に対して非線形的に変化する。従って、セン
サ出力を増幅器によって増幅すると共にリニアライザに
よって線形化している。このような処理を経たリフト電
圧Vがバルブ制御部30へ入力される。バルブ制御部3
0は、リフト電圧V(Vmin≦V≦Vmax)をモニタリン
グすることによって、バルブ4のリフト量を検出するこ
とができる。
【0017】図4は、バルブ制御系の概略的なブロック
図である。なお、この図は一つの電磁駆動バルブ1を駆
動する回路系のみを示しているが、実際には、バルブ制
御部30の後段には、同様の構成がバルブの数だけ存在
している。バルブ制御部30は、マイクロコンピュー
タ、電磁コイル制御部およびホールド電流制御部等で構
成されている。バルブ制御部30の入力信号は、イグニ
ッションキースイッチ32からのオン/オフ信号をはじ
めとして、エンジン回転数センサ33からのエンジン回
転数Ne、車速センサ34からの車速υ、クランク角セ
ンサ35のパルス信号から得られるクランク軸の回転角
θc、リフトセンサ10からのリフト電圧Vなどがあ
る。バルブ制御部30は、これらのセンサ情報に基づい
て、バルブ4(吸気バルブおよび排気バルブ)の開閉タ
イミングを計算し、閉弁用バルブ駆動回路36と開弁用
バルブ駆動回路37とに対して適切なタイミング信号を
出力する。
【0018】記憶部31には、後述する励磁の開始タイ
ミングと終了タイミングとを指示するためのトリガレベ
ルV1,V2等を始め、バルブ制御部30が演算を行う上
で必要となる各種データが記憶されている。バルブ制御
部30は、必要に応じて記憶部31から必要なデータを
読み出したり、データを書き込んだりする。なお、ホー
ルド電流Iholdの値もこの記憶部31に記憶されてい
る。詳細については後述するが、バルブ制御部30はホ
ールド電流Iholdの学習を行っており、記憶部31に記
憶された従前のホールド電流Iholdを必要に応じて新た
な値へと更新する。
【0019】ECU(エンジン・コントロール・ユニッ
ト)38は、バルブ制御部30から指示があった場合、
その指示に従ってインジェクター39および点火コイル
40を制御する。また、電源供給部41は、バルブ制御
部30から指示があった場合に、バルブ駆動系やリフト
センサ等の各種回路に対する電源の供給を停止する。
【0020】バルブ制御部30は、バルブ制御に関する
各種タイミング信号を出力する。閉弁用バルブ駆動回路
36に対するタイミング信号には、一次過励磁タイミン
グ信号FTS1、二次過励磁タイミング信号RTS1、逆励磁タ
イミング信号RTS1およびホールドタイミング信号HTS1が
ある。同様に、開弁用バルブ駆動回路37に対するタイ
ミング信号には、一次過励磁タイミング信号FTS2、二次
過励磁タイミング信号FSTS2、逆励磁タイミング信号RTS
2およびホールドタイミング信号HTS2がある。それぞれ
のタイミング信号FTS,STS,RTS,HTSは、各励磁の開始時
と終了時とを指示している。また、逆励磁タイミング信
号HTSは、コイル5,6の通電方向が逆向きになるよう
な指示も含まれている。また、ホールドタイミング信号
HTSは、所定の周波数(例えば1kHz)を有するPWM信
号であって、そのデューティ比がホールド電流Ihold
相当する。PWM信号がコイル5,6を流れると、コイ
ルのインダクタンスにより波形が鈍りほぼ一定の電流値
になるからである。
【0021】バルブの開閉運動は、一対の電磁コイル
5,6における電磁力を交互に発生/消滅させることで
可能とあるが、バルブの着座速度や渦電流の問題もあっ
て、実際のバルブ制御ではより複雑な制御が行われてい
る。バルブの着座時(全開時および全閉時)の速度が大
きいと、アーマチュア17とステータコア7,9との間
の衝突エネルギーが大きくなるため、騒音(打ち音)や
部材の損傷等の問題が生じる。また、バルブを高速動作
時に発生する渦電流の影響も問題となる。電磁力を急激
に変化させようとすると、レンツの法則によりその変化
を打ち消す方向に逆起電力が生じ、アーマチュア17や
ステータコア7,9内に渦電流が発生する。この渦電流
の影響で、バルブの応答性の低下や消費電力の増大等の
問題が生じる。
【0022】そこで、本実施例では、一次過励磁、二次
過励磁および逆励磁を行うバルブ制御に本発明を適用し
た場合を例に説明する。まず、このバルブ制御における
通常制御について概略的に説明した後に、具体的な停止
制御を各実施例(第1から第4まで)のセクションにお
いて詳述する。なお、本発明の趣旨より明らかなよう
に、ここで述べるバルブ制御は一例であって、本発明の
適用範囲が他の様々な制御方法にも適用可能である点に
特に留意されたい。
【0023】(バルブの通常制御)図5は、バルブ駆動
回路36(37についても同様)の概略的な回路図であ
る。図6は、通常制御におけるタイミングチャートであ
る。昇圧回路41は、電源電圧(例えば12V)を昇圧
して高電圧(例えば100V)を生成する。生成された
高電圧はダイオードを介してコンデンサC1,C2,C3に印加
され、容量に応じて電荷が各コンデンサに蓄積される。
一例として、コンデンサC1,C2,C3は、それぞれ100μ
F,20μF,10μFの容量を有している。バルブ駆動回
路36は、バルブ制御部30からのタイミング信号FTS
1,STS1,HTS,RTS1に応じて、トランジスタT1,T2,T3のい
ずれかがオンして、コイル6に電流が流れる。
【0024】開弁したバルブ4を閉弁する場合、まず、
リフトセンサ10からのセンサ電圧がV1になった時点
t1からV2になる時点t2までの期間、閉弁側コイル6
の一次過励磁が行われる。ここで「一次過励磁」とは、
立ち上がり初期に、大きな磁気的吸引力でバルブ4を加
速させる励磁をいう。通常制御における各励磁を行う期
間は、エンジン回転数、アクセル開度、クランク角パル
スまたはエンジン冷却水温度等の各種パラメータに基づ
いて、各気筒の吸気バルブおよび排気バルブごとに決定
されている。このようなパラメータにより決定される通
常制御におけるバルブ(吸気バルブおよび排気バルブ)
のタイミングを「正規バルブタイミング」という。この
期間では、一次過励磁タイミング信号FTS1が高レベル
(以下Hで示す)となり、逆励磁タイミング信号RTS1は
低レベル(以下Lで示す)のままである。従って、トラ
ンジスタT1がオンしてコンデンサC1が放電され、コイル
6に接続されたノードA1からノードB1の方向に電流が流
れる(トランジスタT5はオン、トランジスタT6はオ
フ)。コンデンサC1の容量は、コンデンサC2,C3と比べ
て非常に大きいため、コイル6を流れる電流は急激に増
大する。開弁側コイル5の吸引力はほぼ消滅しているた
め、閉弁方向への吸引力によって、バルブ4は閉弁側へ
向けて加速する。バルブが所定のリフト量になった時点
(センサ電位がV2になった時点)で、トランジスタT1
がオフするため、吸引力は時刻t2以降、減少してい
く。
【0025】次に、センサ電圧V3(その時刻t3)から
V4(その時刻t4)までの期間、閉弁側コイル6の二次
過励磁が行われる。ここで「二次過励磁」とは、一次過
励磁後に行われ、着座速度を調整するための励磁をい
う。この期間では、二次過励磁タイミング信号STS1がH
となり、逆励磁タイミング信号RTS1はLのままである。
従って、トランジスタT2がオンしてコンデンサC2が放電
され、コイル6に接続されたノードA1からノードB1の方
向に電流が流れる。コンデンサC2の容量は、コンデンサ
C1と比べて非常に小さいため、コイル6により生じる吸
引力は、一次過励磁ほど大きくはない。二次過励磁によ
って、全閉位置への到達時におけるバルブ速度がなるべ
く遅く(理想的には0が好ましい)なるように調整され
る。
【0026】バルブの着座直前のセンサ電圧V5からク
ランク角との同期ポイントt6までの間、ホールド電流
holdを流すことによりバルブ4は全閉状態にて静止す
る。この期間では、ホールドタイミング信号HTS1がHと
なり、逆励磁タイミング信号RTS1はLのままである。従
って、トランジスタT4がオンして電源電圧によりノード
A1からノードB1の方向に電流が流れる。一連の過励磁を
経て、バルブ4はほぼ全閉位置にあることから、バルブ
4をホールドするのに必要な電流値でよい。上述したよ
うにホールドタイミング信号HTS1はPWM信号であっ
て、そのパルス幅は可変である。このような信号をトラ
ンジスタT3のベースに供給することにより、コイル電流
はホールドタイミング信号HTS1のデューティ比に応じた
値となる。
【0027】時刻t6以降は、全閉状態のバルブを開弁
するために開弁側の励磁を行う。上記の閉弁制御と同様
に、時刻t7から時刻t8の期間で一次過励磁を行い、時
刻t9から時刻t10の期間で二次過励磁を行い、かつ時
刻t11からホールド電流Ihol dの供給を開始する。この
際、ホールド電流Iholdの供給を停止した時点t6から
所定の時間(タイマによる設定時間)、閉弁側の逆励磁
を行う。ここで、「逆励磁」とは、ホールドしていたバ
ルブ4を解放する際に、一瞬コイルの通電方向を逆向き
にし、渦電流の影響の低減を目的とした励磁をいう。具
体的には、この期間において、逆励磁タイミング信号RT
S1をHにして、トランジスタT3がオンしてコンデンサC3
を放電する。その際、トランジスタT5がオフ、トランジ
スタT6がオンしているため、コイル6の電流はノードB1
からノードA1の方向に流れる。すなわち、コンデンサC3
(その容量はC1,C2より小)の容量に応じた逆電流がコ
イル6を流れるため、電流変化による磁束変化を相殺し
て閉弁側に残存している吸引力を消滅させている。
【0028】なお、高速動作するバルブ4の制御(すな
わち電磁コイルの通電制御)を、リフトセンサ10の出
力に応じて行う場合、バルブ4の位置を瞬時に検出し、
それに応じてタイミング信号のレベルを素早く変えるこ
とが重要である。そのため、リフトセンサ10からのセ
ンサ電圧をデジタル化することなくアナログ信号のまま
コンパレータに入力し、センサ電圧をマイコンからの設
定電圧(トリガレベル)と比較することにより、タイミ
ング信号の切り換えを行うことが好ましい。このような
アナログスイッチング制御では、A−D変換の遅延やサ
ンプリング誤差に関する問題が解消させるため、センサ
出力の変化に対して高い追従性を有するタイミング制御
が期待できる。なお、このようなアナログスイッチング
制御に関する具体的な回路構成については、特願平9−
351305号公報に記載されているので参照された
い。
【0029】(第1の実施例)図7は、本実施例におけ
るバルブの停止制御の手順を示したフローチャートであ
る。このフローチャートに示した停止制御はエンジンの
回転数が停止する前に実行され、かつ所定の間隔(例え
ば10ms)で繰り返し実行されている。まず、ステップ
1において、イグニッションキースイッチ32の状態
(オン/オフ)を検出する。イグニッションキースイッ
チ32がオンの場合はそのままリターンへと進み、この
フローチャートの次の実行を待つ。一方、オフ、すなわ
ち内燃機関の停止が指示された場合は、無駄な燃料の排
出を抑えるために燃料の噴射を停止すると共に(ステッ
プ2)、火花点火を停止する(ステップ3)。但し、生
ガスの排出を防ぐために、燃料を噴射した気筒では点火
を行う。これらのステップ2,3は、バルブ制御部30
からの停止指令を受けて、ECU38がインジェクター
39と点火コイル40とを制御することによって達成さ
れる。
【0030】次に、ステップ4において、バルブ制御部
30は、エンジン回転数センサ33から出力信号に基づ
いて、エンジン回転数Neが設定回転数α以下になった
か否かを判断する。燃料噴射と火花点火が停止するとエ
ンジンの爆発エネルギーがなくなるため、エンジンの回
転数が低下していく。設定回転数αは、アイドリング回
転数より低い回転数(例えば500rpm)程度に設定し
てもよい。エンジン回転数Neが設定回転数α以下にな
った場合のみステップ5に進み、それ以外の場合はリタ
ーンへと進む。
【0031】ステップ5において、バルブ制御部30
は、車速センサ34からの出力信号に基づいて、車速υ
が設定速度β以下になったか否かを判断する。この設定
速度βは、例えば10km/h程度に設定してもよい。従っ
て、ステップ6における停止時バルブ制御は、車両が停
止している状態か低速状態にある場合にのみ実行され
る。車速υが低下した段階でステップ6のバルブ停止制
御を行うことで、ピストンとの衝突時におけるバルブの
損傷を防止できる。
【0032】ステップ6において実行されるバルブ停止
制御については後述する。そして、バルブ停止制御が実
行された後に電源電圧が停止される(ステップ7)。こ
のステップにおいて、バルブ制御部30からの指令を受
けた電源供給部41は、バルブ駆動系やリフトセンサ系
を含む各回路に対して電源の供給を停止する。
【0033】図8は、第1の実施例におけるバルブ停止
制御の手順を示したフローチャートである。また、図9
は、本実施例における各タイミング信号のタイミングチ
ャートである。バルブ制御部30は、クランク角センサ
35より得られるクランク角θcを求める(ステップ1
1)。ある時刻におけるピストンの動作状態は気筒ごと
に異なるものの、クランク角θcがわかれば、各気筒の
動作状態(上死点、下降中、下死点、または上昇中)は
一意に特定される。
【0034】ある気筒におけるピストンが下降中である
場合、バルブ制御部30は、全閉したバルブ4に関し
て、上述した通常制御における逆励磁を行うことなく、
閉弁側の電磁コイルの通電を停止する(ステップ1
2)。このステップを図9に基づいて具体的に説明する
と、ピストンが下降中である場合、その気筒におけるバ
ルブ4(吸気バルブおよび排気バルブ)の停止制御を開
始する時刻を時刻tstopとする。時刻tstop直前におい
てバルブ4は全閉状態、すなわちホールドタイミング信
号HTS1(PWM信号)がHレベルに設定されているとす
る。このような状態でバルブ4の停止制御が開始される
と、バルブ制御部30は閉弁側のホールドタイミング信
号HTS1をLに切り換え、コイル6への通電を停止する。
停止時制御では、バルブを中立位置に移動させる制御で
あるから、開弁側へ吸引するいかなる電磁力を発生させ
る必要はない。
【0035】ここで、閉弁側におけるホールド電流I
holdの供給を停止する際に、閉弁側の逆励磁を行わな
い。つまり、逆励磁しないことにより閉弁側で生じる渦
電流を利用して、中立位置に向けたバルブの動きを鈍化
させている点が重要である。閉弁側の電磁コイル6の通
電を停止すると、磁束の急激な変化によってステータコ
ア7,9やアーマチュア17といった磁性部材内におい
て渦電流が発生する。この渦電流の作用によって、コイ
ル6への通電を停止した直後において磁気的吸引力が残
存するため、バルブ4の解放が妨げられる。すなわち、
渦電流の影響を相殺するために行われる逆励磁を、停止
制御時においては行わないことで、渦電流の作用を積極
的に利用してバルブ4の動きを鈍化させている。この残
存した閉弁方向への吸引力はスプリング19の付勢力と
は逆向きに作用するため、逆励磁を行った場合と比べて
バルブ4の動きは鈍化する。従って、中立位置に対する
バルブ4のオーバーシュートの程度が低減されると共
に、極めて短時間の内にバルブ4を中立位置に収束する
ことができる。
【0036】このようにピストンの下降中において、閉
弁側のホールド電流Iholdの供給を停止した後に逆励磁
を行わないことでバルブの干渉を防止することができ
る。なぜなら、下降中のピストンが上昇に転じてバルブ
と衝突し得る位置に到達するまでに要する時間と比べ
て、バルブ4の収束に要する減衰時間の方が非常に短い
からである。また、中立位置に対するバルブ4のオーバ
ーシュート量が少なくなるため、ピストンと衝突し得る
領域が小さくなるからである。図2に示したように、中
立位置にある吸気バルブ20および排気バルブ21は、
ピストン22と衝突しない構造となっているので、中立
位置に対するオーバーシュート量を減らす程、衝突の可
能性を低減することができる。
【0037】このような制御を、ピストンが下降してい
る気筒ごとに、吸気バルブと排気バルブの双方について
行う。なお、同一気筒内における吸気バルブと排気バル
ブとを時刻tstopにおいて同時に解放した場合、これら
がピストンと衝突することはないが、バルブ同士の干渉
が生じてしまう場合も考えられる。すなわち、図2に示
したように、吸気バルブ20と排気バルブ21がハーフ
リフトにおいて非常に近接している場合、若干のオーバ
ーシュートでもバルブ同士が接触してしまう。そのよう
な場合は、吸気バルブ20と排気バルブ21の解放のタ
イミングをずらすことが有効である。
【0038】また、全閉したバルブ4を解放する条件と
して、ピストンが下降中であることに加えて、ピストン
が所定の基準位置より低くなっていることを加えてもよ
い。ビストン速度と比べれば、スプリング13,19の
付勢力によるバルブ4のリフト位置の変化率は十分に大
きいので、ピストンが上死点直後に位置した状態でバル
ブを解放してしまうと、バルブの干渉が生じ得るからで
ある。なお、この基準位置は、解放時のバルブのオーバ
ーシュート量やバルブの速度等を考慮して決定すればよ
い。
【0039】以上のようなバルブの停止制御をすべての
気筒について行う。すなわち、ピストンの動作状態は気
筒ごとに異なるから、下降状態になった気筒から順次停
止制御を行う。すべての電磁コイルの通電が停止された
ら(図8のステップ13)、電源電圧の供給を停止する
(図7のステップ7)。
【0040】このように本実施例では、イグニッション
キースイッチがオフされた場合、その時点で吸気バルブ
および排気バルブを閉弁側から解放するのではなく、ピ
ストンが下降した状態になった時点で解放している。そ
の際、通常制御と異なり閉弁側を逆励磁することなく解
放している。従って、中立位置へ向けたバルブの動き
は、磁束変化より生じる渦電流によって鈍化されるた
め、バルブのオーバーシュート量を減らすことができ
る。このような作用によって、バルブの干渉を防止でき
るため、バルブ等の損傷を防止することができる。
【0041】(第2の実施例)本実施例は、第1の実施
例と同様に逆励磁を行うことなくバルブを解放するもの
であるが、それを行うタイミングが相違している。すな
わち、第1の実施例は、ピストンの下降中にバルブの解
放を行っているのに対して、本実施例は、上述した正規
バルブタイミングで行うものである。イグニッションキ
ースイッチがオフされてから電源電圧の供給が停止され
るまでの全体的な流れは、第1の実施例と同様に、図4
のフローチャートに従って行われる(後述する第3の実
施例および第4の実施例についても同様)。図10は、
本実施例における停止制御の手順を示したフローチャー
トである。また、図11は、本実施例における各タイミ
ング信号のタイミングチャートである。
【0042】まず、バルブ制御部30は、クランク角セ
ンサ35よりクランク角θcを求める(ステップ2
1)。これにより、気筒ごとのピストンの動作状態がわ
かる。次に、正規バルブタイミングにおける閉弁側のホ
ールド電流Iholdの停止時点t6において、逆励磁する
ことなく閉弁側の通電を停止する(ステップ22)。正
規バルブタイミングによって、通常のバルブ制御におけ
る燃料噴射および点火時期のタイミングが決定される
が、このタイミングは、車速、アクセル開度、エンジン
回転数等のパラメータによって決定される。このステッ
プ22を図11に基づき説明する。
【0043】バルブの停止制御の開始条件(図7のステ
ップ4,5)が具備され、停止制御(ステップ6)が指
示された時点を時刻tstopとする。この時刻tstopで閉
弁側の電磁コイル6の通電を停止することなく、正規バ
ルブタイミングにおけるホールド期間の終了までは通常
通りの制御を続行する。そして、正規バルブタイミング
におけるホールド電流Iholdの供給の停止時点t6(図
6に示した時刻t6と同じ)において、閉弁側のコイル
の通電を停止する。その際、第1の実施例と同様に、閉
弁側では逆励磁は行わず、開弁方向への吸引力は発生さ
せない。
【0044】これによって、閉弁状態から中立位置へ向
かうバルブ4の動きは、渦電流の作用によって鈍化され
るため、あまりオーバーシュートすることなく中立位置
へと収束する。また、正規バルブタイミングでバルブ4
を解放させている以上、当然ながらバルブ4とピストン
との間の干渉は生じない。さらに、正規バルブタイミン
グにおいて、吸気バルブと排気バルブとではバルブホー
ルドの時間がずれている(すなわちホールド電流Ihold
の供給停止時刻t6が相違している)。従って、正規バ
ルブタイミングで通電を停止する限り、吸気バルブと排
気バルブとの間の干渉も生じない。
【0045】時刻tstop以降、バルブホールド期間が終
了したバルブから、上記制御を順次行っていく。そし
て、すべての気筒について停止制御が終了したら(ステ
ップ23)、電源電圧の供給を停止する(図7のステッ
プ7)。
【0046】このように本実施例においても第1の実施
例と同様の効果を有する。それと共に、第1の実施例の
ように同一気筒内における吸気バルブと排気バルブとの
解放タイミングの問題を考慮する必要がないため、バル
ブの停止制御における解放タイミングの設定が容易であ
るといった効果もある。
【0047】(第3の実施例)本実施例および後述する
第4の実施例は、バルブ4を中立位置へと変位させるた
めに、閉弁側のホールド電流Iholdを徐々に低下させて
いく制御に関するものである。図12は、本実施例にお
ける停止制御の手順を示したフローチャートである。ま
た、図13は、本実施例における各タイミング信号のタ
イミングチャートである。
【0048】まず、バルブ制御部30は、クランク角セ
ンサ35よりクランク角θcを算出する(ステップ3
1)。次に、ピストンが下降状態(その時刻tstop)に
ある気筒において、その気筒におけるバルブ4のホール
ド電流Iholdを、時刻t6以降、徐々に減少させてい
く。ホールド電流Iholdは、PWM信号であるホールド
タイミング信号HTSのデューティ比に基づいて設定され
るため、この信号HTSのパルス幅を所定のパターンに従
って徐々に小さくしていけばよい。ホールド電流Iho ld
の緩やかな低下に伴い、閉弁側の磁気的吸引力も徐々に
低下していくため、ある時点において閉弁状態で静止し
ていたバルブ4が変位し始める。
【0049】それによって、バルブ4は中立位置へ向け
て緩やかに変位していく。バルブ4の動きはホールド電
流Iholdの減少パターンの設定である程度調整すること
ができる。従って、バルブ4が中立位置からほとんどオ
ーバーシュートしないように動かしていくことも可能で
ある。仮にオーバーシュートが生じてしまうとしても、
その程度は、渦電流の作用を利用した場合(第1および
第2の実施例)と比較して非常に少なくできるであろ
う。オーバーシュートをほとんど生じさせないようなバ
ルブ4の解放制御をピストンの下降時に行うことによ
り、バルブ4がピストンと干渉することを防止すること
ができる。また、オーバーシュートがほとんど生じなけ
れば、同一気筒内における吸気バルブと排気バルブとを
同時に解放してもバルブ同士が干渉することもないであ
ろう。
【0050】バルブ4が解放され始めるとリフトセンサ
10からの出力が変化し始めるため、制御部30はリフ
トセンサ10の出力をモニタリングすることでバルブ4
が解放され始めた状態を把握することができる。バルブ
4が変位し始めると、すなわちリフトセンサ10の出力
が変化し始めると(ステップ33)、変化し始めた時点
におけるホールド電流Ihold(すなわちホールドタイミ
ング信号HTSのデューティ比)が学習される(ステップ
34)。実際には、学習するホールド電流値は、リフト
量が変化し始めた時点のホールド電流値Iholdに所定の
マージンを加えた値、または変化し始める直前のホール
ド電流値Iholdとすることが好ましい。バルブ制御部3
0は、このようにして得られたホールド電流値I
holdを、記憶部31に記憶されていた従前のホールド電
流Iholdと置き換えて記憶する。そして、それ以降の通
常制御において、この学習値をホールド電流Iholdとし
て用いる。
【0051】このようなホールド電流Iholdの学習を行
うことにより、電磁バルブの動作時における消費電力の
低減を図ることができると共に、経年変化や装置ごとの
ばらつきに応じた適切なホールド電流値Iholdを得るこ
とができる。停止時制御において、リフトセンサ10の
出力をモニタリングしながら、ホールド電流Iholdを徐
々に低減させていくことで、その動弁装置においてバル
ブ4を吸引するのに最低限必要なホールド電流値Ihold
を知ることができる。この値を学習し、停止時制御が行
われるたびにこの値を更新していけば、常に最適なホー
ルド電流値Iho ldを設定することができる。なお、必要
なホールド電流Iholdはバルブごとにばらつきがあるこ
とから、バルブごとに学習することが好ましい。このよ
うな学習をバルブの通常制御において行うことは困難で
あるから、停止制御において行うことは非常に有効であ
る。
【0052】ホールド電流Iholdを学習した後に、その
バルブに関するコイルの通電を停止する(ステップ3
4)。もちろん、この時点において、そのバルブは既に
中立位置にオーバーシュートすることなく停止してい
る。上記の手順を時刻tstop以降ピストンが下降状態に
なった気筒から順次実行していき、すべてのコイルの通
電が停止したら(ステップ36)、電源電圧の供給を停
止する(図7のステップ7)。
【0053】このように本実施例では、ピストンの下降
中にホールド電流Iholdを徐々に低下させていくこと
で、バルブの干渉を防止することができる。また、ホー
ルド電流値Iholdを学習することにより、常に最適なホ
ールド電流値Iholdを設定することができるため、動弁
装置の消費電力を低減することが可能となる。
【0054】(第4の実施例)本実施例は、第3の実施
例と同様にホールド電流Iholdを徐々に減少する停止制
御を行うものであるが、それを正規バルブタイミングに
おいて行っている点で相違している。図14は、本実施
例における停止制御の手順を示したフローチャートであ
る。また、図15は、本実施例における各タイミング信
号のタイミングチャートである。
【0055】まず、クランク角センサ35より得られる
クランク角θcを求めた後(ステップ41)、正規バル
ブタイミングでホールド減少を徐々に減少させていく
(ステップ42)。ホールド電流Iholdは第3の実施例
と同様の手法で減少させていく。これによって、第2お
よび第3の実施例において説明したのと同様の理由で、
バルブの干渉を防ぐことができる。
【0056】そして、リフトセンサ10の出力が変化し
たら(ステップ43)、ステップ44以降へと進む。第
3の実施例と同様、リフトセンサ10の出力が変化した
時点におけるホールド電流値Ihold(ホールドタイミン
グ信号HTSのデューティ比)を学習した後(ステップ4
4)、そのバルブに関するコイルの通電を停止する(ス
テップ45)。そして、すべてのコイルの通電が停止し
た場合に(ステップ46)、電源電圧の供給を停止する
(図7のステップ7)。
【0057】このように本実施例では、第3の実施例と
同様の理由で、停止時にバルブが干渉することがなく、
また、通常制御時における動弁装置の消費電力を低減で
きるという効果がある。また、停止制御を正規バルブタ
イミングで行っているため、同一気筒内における吸気バ
ルブと排気バルブとの間の干渉を一層有効に防止でき
る。
【0058】上記の第1から第4の実施例から明らかな
ように、本発明の重要な特徴の一つは、イグニッション
キースイッチのオフ時に行われる中立位置へ向けたバル
ブの解放制御を、上述したバルブの干渉が生じないよう
なピストンの動作状態に応じて行う点にある。第1およ
び第3の実施例のように、それをピストンの下降中にお
いて行うのはもっとも典型的な例である。また、第2お
よび第4の実施例のように、正規バルブタイミングで行
うことも広い意味でピストンの動作状態に応じていると
いうことができる。正規バルブタイミングは、ピストン
との干渉が生じないようなタイミングであり、クランク
角、すなわちピストンの状態を考慮して決定されるもの
だからである。
【0059】このような観点でいうと、バルブとの干渉
が生じないようなピストンの動作状態は下降中に限定さ
れるものではなく、場合によっては上昇時においても停
止制御を行うことも可能である。図16は、バルブの停
止制御時におけるピストンとバルブ4との位置的関係を
説明するための図である。ハーフリフトにおいてバルブ
がピストンと干渉しない構造を考える。ピストンのスト
ロークをa、バルブ解放時におけるピストンの位置をθ
(下降中:0<θ<π、上昇中:π<θ<2π)、バル
ブの回転数をω、バルブ解放時におけるオーバーシュー
ト量をb、収束までに要する時間(減衰時間)をT1と
する。バルブ4と干渉する可能性のあるピストンの干渉
領域を−θ1<θ<θ1とすると、θ1は数式1で表すこ
とができる。
【数1】θ1=cos-1((b−2a)/b)
【0060】また、ピストンが現在の位置から干渉領域
に到達するまでの時間tとすると、ピストンがバルブと
干渉しないための条件は数式2で示した関係で表すこと
ができる。
【数2】t=((2π−θ1)−θ)/ω>T1
【0061】この時間tの値がもっとも大きくなるの
は、上記の関係から明らかなようにθ=θ1の時であ
る。しかしながら、実際には、電磁バルブの速度に対し
てピストン速度ωは十分遅いため、0<θ<π(下降
中)であれば十分満足される。換言すると、第1または
第3の実施例のように、停止制御を行う条件を、ピスト
ンの下降中としたのは干渉を起こさないのに十分な時間
的マージンを取ったケースを例示しているに過ぎないと
いうことである(但し、それゆえにタイミング設定が容
易であるというメリットがある)。従って、ピストンが
上昇中(π<θ<2π)であっても、数式2の関係を満
足するような範囲であれば、その範囲を解放制御を開始
する条件とすることは当然に可能である。
【0062】また、上述した実施例は、停止制御におい
て閉弁側に吸引されていたバルブを解放する例について
説明した。しかしながら、バルブの動きを鈍化させてオ
ーバーシュート量を減らすという観点で見ると、バルブ
が閉弁側に静止している必要性は必ずしもなく、開弁側
に位置した状態で上述した停止制御を行うことも当然に
可能であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で様
々な停止制御に適用することができる。
【0063】
【発明の効果】このように本発明においては、エンジン
等の内燃機関の停止時において、バルブを解放するタイ
ミングをピストンの動作状態に応じて決定している。そ
の際、中立位置へ向けたバルブの動きを鈍化させる制御
を行っているため、対向したスプリングの付勢力が中立
する位置を基準としたバルブのオーバーシュートを低減
することができる。従って、バルブの干渉を防ぐことが
でき、バルブ等が損傷することを有効に防止することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電磁駆動バルブを有する動弁装置の一例を示し
た断面図
【図2】バルブとピストンとの相対的な位置関係を示し
た図
【図3】バルブのリフト量とリフトセンサの出力電圧と
の関係を説明するための図
【図4】バルブ制御系の概略的なブロック図
【図5】バルブ駆動回路の概略的な回路図
【図6】通常制御におけるタイミングチャート
【図7】停止制御の手順を示したフローチャート
【図8】第1の実施例における停止制御の手順を示した
フローチャート
【図9】第1の実施例における各タイミング信号のタイ
ミングチャート
【図10】第2の実施例における停止制御の手順を示し
たフローチャート
【図11】第2の実施例における各タイミング信号のタ
イミングチャート
【図12】第3の実施例における停止制御の手順を示し
たフローチャート
【図13】第3の実施例における各タイミング信号のタ
イミングチャート
【図14】第4の実施例における停止制御の手順を示し
たフローチャート
【図15】第4の実施例における各タイミング信号のタ
イミングチャート
【図16】停止制御時のピストンとバルブとの位置的関
係を説明するための図
【符号の説明】
1 電磁駆動バルブ、 2 シリンダヘッド、
3 バルブステムガイド、 4 バルブ、4a バ
ルブヘッド、 4b バルブステム、5,6
電磁コイル、 7,9 ステータコア、8 リ
フトアジャスタ、 10 リフトセンサ、11 ケ
ース、 12 バルブシート、13,1
9 スプリング、 14 コッタピン、15 リテ
ーナ、 16 シム、17 アーマチュ
ア、 17a アーマチュアステム、17b ニ
ードル、 20 吸気バルブ、21 排気
バルブ、 22 ピストン、23 リセス、
30 バルブ制御部、31 記憶部、
32 イグニッションキースイッチ、
33 エンジン回転数センサ、 34 車速センサ、3
5 クランク角センサ、 36 開弁用バルブ駆動
回路、37 閉弁用バルブ駆動回路 38 ECU、
39 インジェクター、 40 点火コイル、4
1 昇圧回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16K 31/06 310 F16K 31/06 310A 385 385A Fターム(参考) 3G084 BA23 CA00 DA00 EB11 EB17 FA05 FA10 FA20 FA33 FA36 FA38 3G092 AA11 BA10 BB10 CA01 CB02 CB04 CB05 DA01 DA02 DA07 DA12 DF05 DG02 DG09 EA02 EA12 EA22 EC01 EC05 FA00 FA11 GA10 HA13X HA13Z HE01Z HE03Z HE08Z HF08Z HF20Z HF21Z 3G301 HA19 JA00 LA07 LC01 ND01 ND21 NE08 PE01Z PE03Z PE08Z PE10A PE10Z PF01Z PF03Z PF16Z 3H106 DA07 DA25 DB02 DB12 DB26 DB32 DC02 DC17 DD05 EE48 FB07 FB43 GC29 KK17

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内燃機関が有するバルブを電磁力によって
    駆動する動弁装置において、 前記バルブを開弁方向に付勢する第1のスプリングと、 前記バルブを閉弁方向に付勢する第2のスプリングと、 制御電流に応じて前記バルブを開弁方向に吸引する第1
    の電磁力発生源と、 制御電流に応じて前記バルブを閉弁方向に吸引する第2
    の電磁力発生源と、 前記内燃機関におけるピストンの変位に応じて、前記第
    1の発生源と前記第2の発生源とに対する制御電流を制
    御する制御手段とを有し、 前記制御手段は、前記内燃機関の停止を指示する停止信
    号が入力された場合において、電源供給の停止に先立ち
    停止制御を行い、かつ、 前記停止制御は、前記ピストンが前記バルブと干渉しな
    いような動作状態になった場合に、前記バルブを吸引し
    ていた電磁力を減少させて、前記第1のスプリングの付
    勢力と前記第2のスプリングの付勢力とが釣り合う中立
    位置に前記バルブを変位させる制御であることを特徴と
    する動弁装置。
  2. 【請求項2】内燃機関が有するバルブを電磁力によって
    駆動する動弁装置において、 前記バルブを開弁方向に付勢する第1のスプリングと、 前記バルブを閉弁方向に付勢する第2のスプリングと、 制御電流に応じて前記バルブを開弁方向に吸引する第1
    の電磁力発生源と、 制御電流に応じて前記バルブを閉弁方向に吸引する第2
    の電磁力発生源と、 前記内燃機関におけるピストンの変位に応じて、前記第
    1の発生源と前記第2の発生源とに対する制御電流を制
    御する制御手段とを有し、 前記制御手段は、前記内燃機関の停止を指示する停止信
    号が入力された場合において、電源供給の停止に先立ち
    停止制御を行い、かつ、 前記制御手段は、通常制御において前記バルブを変位さ
    せる場合は、解放側の前記発生源を逆励磁すると共に、
    前記停止制御において前記バルブを解放する場合は、前
    記逆励磁を行わないことにより、前記第1のスプリング
    の付勢力と前記第2のスプリングの付勢力とが釣り合う
    中立位置へ向けた前記バルブの動きを鈍化させることを
    特徴とする動弁装置。
  3. 【請求項3】内燃機関が有するバルブを電磁力によって
    駆動する動弁装置において、 前記バルブを開弁方向に付勢する第1のスプリングと、 前記バルブを閉弁方向に付勢する第2のスプリングと、 制御電流に応じて前記バルブを開弁方向に吸引する第1
    の電磁力発生源と、 制御電流に応じて前記バルブを閉弁方向に吸引する第2
    の電磁力発生源と、 前記内燃機関におけるピストンの変位に応じて、前記第
    1の発生源と前記第2の発生源とに対する制御電流を制
    御する制御手段とを有し、 前記制御手段は、前記内燃機関の停止を指示する停止信
    号が入力された場合において、電源供給の停止に先立ち
    停止制御を行い、かつ、 前記制御手段は、前記停止制御において前記バルブを解
    放する場合は、前記バルブをホールドするのに必要なホ
    ールド電流を徐々に減少させることにより、前記第1の
    スプリングの付勢力と前記第2のスプリングの付勢力と
    が釣り合う中立位置へ向けた前記バルブの動きを鈍化さ
    せることを特徴とする動弁装置。
  4. 【請求項4】前記バルブの変位を検出する検出手段と、 前記ホールド電流を記憶する記憶手段とをさらに有し、 前記制御手段は、前記停止制御において、前記検出手段
    の出力をモニタリングすることにより、前記バルブをホ
    ールドするのに必要な前記ホールド電流を更新すること
    を特徴とする請求項3に記載された動弁装置。
  5. 【請求項5】前記停止制御を、前記ピストンが下降して
    いる状態において行うことを特徴とする請求項1,2ま
    たは3に記載された動弁装置。
JP11066122A 1999-03-12 1999-03-12 電磁駆動バルブを有する動弁装置 Withdrawn JP2000265865A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11066122A JP2000265865A (ja) 1999-03-12 1999-03-12 電磁駆動バルブを有する動弁装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11066122A JP2000265865A (ja) 1999-03-12 1999-03-12 電磁駆動バルブを有する動弁装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000265865A true JP2000265865A (ja) 2000-09-26

Family

ID=13306767

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11066122A Withdrawn JP2000265865A (ja) 1999-03-12 1999-03-12 電磁駆動バルブを有する動弁装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000265865A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1321259C (zh) * 2003-03-05 2007-06-13 丰田自动车株式会社 电磁式气门驱动系统及其方法
JP2007309176A (ja) * 2006-05-17 2007-11-29 Toyota Motor Corp 内燃機関

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN1321259C (zh) * 2003-03-05 2007-06-13 丰田自动车株式会社 电磁式气门驱动系统及其方法
EP1455058A3 (en) * 2003-03-05 2008-10-15 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Electromagnetic valve drive system and method
JP2007309176A (ja) * 2006-05-17 2007-11-29 Toyota Motor Corp 内燃機関
JP4552895B2 (ja) * 2006-05-17 2010-09-29 トヨタ自動車株式会社 内燃機関

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4691523B2 (ja) 電磁式燃料噴射弁の制御回路
US6925975B2 (en) Controller for controlling an electromagnetic actuator
US6202608B1 (en) Control system for internal combustion engine
US6371075B2 (en) Method for reactivating a cylinder of a multicylinder internal combustion engine
US6948461B1 (en) Electromagnetic valve actuation
US6845300B2 (en) Control methods for electromagnetic valve actuators
JP2000265865A (ja) 電磁駆動バルブを有する動弁装置
JP4066559B2 (ja) 内燃機関の電磁駆動バルブ制御装置
JP4852809B2 (ja) 内燃機関の電磁吸気弁開弁誤差対処運転方法
JP4089614B2 (ja) 電磁駆動弁の可変フィードバックゲイン通電制御方法
JP4019980B2 (ja) 吸排気バルブの駆動装置
JPH1182128A (ja) 電磁式燃料噴射弁の駆動装置
JP2003065461A (ja) 電磁駆動弁の制御装置
JP2005307758A (ja) 内燃機関の燃料噴射装置
JPH11148327A (ja) 電磁式弁駆動装置
US7295417B2 (en) Electromagnetic valve actuation with series connected electromagnet coils
JP2001165014A (ja) 燃料噴射装置
JP4389140B2 (ja) 燃料噴射装置および燃料噴射弁の制御方法
JP4080551B2 (ja) 内燃機関の制御装置
JP2000008894A (ja) 電磁駆動バルブの制御装置
JP3671793B2 (ja) 電磁駆動弁の制御装置
JP4066213B2 (ja) 電磁駆動バルブの制御装置
JP2000337177A (ja) 電磁駆動式バルブ装置
JP3021182B2 (ja) 電磁式ユニットインジェクタ
JPH08177583A (ja) 電磁弁駆動装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20060606