JP2000265292A - 浄水装置を備えた貯水槽 - Google Patents

浄水装置を備えた貯水槽

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JP2000265292A
JP2000265292A JP11073332A JP7333299A JP2000265292A JP 2000265292 A JP2000265292 A JP 2000265292A JP 11073332 A JP11073332 A JP 11073332A JP 7333299 A JP7333299 A JP 7333299A JP 2000265292 A JP2000265292 A JP 2000265292A
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water
ozone
treated
anode
storage tank
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JP11073332A
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English (en)
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Masatoshi Inatani
正敏 稲谷
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Original Assignee
Matsushita Refrigeration Co
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 貯水槽の水の溶存オゾンを10μg/L以下
の低濃度に制御することにより微生物汚染の防止と臭素
酸イオンの生成を防止する。 【解決手段】 電解オゾン生成機構と溶存オゾン濃度検
知機構と電解電圧調整機構により貯水槽内のオゾン濃度
を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水を電気分解して
生成した電解式オゾンで、カップ式飲料自動販売機の飲
料タンクやマンション等の高層ビルに設置された高架水
槽の様な、飲用に供する水の殺菌脱臭と汚濁防止を目的
とし、水を長期保存する浄水装置を備えた貯水槽に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、カップ式飲料自動販売機の飲料水
タンクとして設置されている貯水槽内の貯留水の汚濁防
止には塩素発生装置が一般に用いられていた。この塩素
発生装置による貯留水の浄化方法とは、貯留水中に陰極
と陽極の一対の電極を浸漬し、貯留水を電気分解するこ
とにより貯留水中に不純物として含まれる塩素イオンを
陽極面上で酸化させ、塩素を生成させ、その塩素と塩素
が水に溶けることにより生じる次亞塩素酸とで殺菌消毒
を行う方法である。
【0003】塩素は安心して使える消毒剤として、以前
より主に水道水の消毒に用いられ、有効残留塩素濃度は
0.1ppm以上あれば殺菌力を持つとされている。よ
って、この塩素発生装置においても塩素イオンを陽極面
で酸化させ、残留塩素濃度が約0.5ppmになるよう
に設定する。水道水の殺菌に用いられる理由は塩素が残
留性に優れている為であり、水道水の様に浄水場から各
家庭にまで殺菌消毒効果を維持させるには残留性のある
塩素による処理が好ましいのである。
【0004】しかし、カップ式飲料自動販売機の飲料水
として保存する貯留水の汚濁防止には塩素の消毒殺菌は
大きな問題が生じる。すなわち生成した塩素が残留する
為に塩素特有のにおいを発し、また塩素または次亞塩素
酸が各種清涼飲料成分と反応し、塩素化合物を形成し、
味やにおいを変質させる為、おいしい飲料の供給ができ
ないという致命的な問題点である。
【0005】また、塩素の発生量は供給される水道水の
水質により変化し、水に含まれる陽イオンや塩素イオン
などの陰イオンの濃度に大きく影響され、設置場所と時
期により変化する為、定期的に予備実験を行い電解時間
を設定する必要がある。さらに、電極への堆積物の影響
等により生成物は不安定となり一定の濃度に設定するの
は困難である。
【0006】さらに、近年においては塩素と水道水中に
含まれる微量の有機物とが反応し、発ガン性のあるトリ
ハロメタンを生成させる可能性を指摘されることが多く
なり、塩素殺菌については見直しが必要となっている。
【0007】そこで、近年では特開昭61−14739
3号公報に示されるように、カップ式飲料自動販売機の
飲料水を貯蔵する水リザーバーに対してオゾナイザーを
付設し、このオゾナイザーで生成したオゾンガスを水リ
ザーバー内の貯留水中に供給して溶解し、水の殺菌消毒
を行い、これにより飲料水の水質維持を図るようにした
ものが提案されている。
【0008】オゾンは塩素に比べ残留性が少なく、比較
的早く安全な塩素に分解する為に、食品の味を変質させ
たり異臭をつけることが無いので、水道水と違い持続性
を必要としない食品の加工やカップ式飲料自動販売機の
飲料水タンクとして設置される貯水槽の消毒殺菌用とし
ては適切なものである。
【0009】オゾンの生成方法としては特開昭61−1
47393号公報に示されるように放電式のオゾナイザ
ーで空気中の酸素をオゾンに酸化させる方法と、水を電
気分解して水素と酸素とを生成するとき、その酸素発生
時の副生成物としてオゾンを得る方法とがある。
【0010】空気中の酸素からオゾンを生成する方法
は、空気中の約80%の窒素も同時に酸化する為に、二
酸化窒素や一酸化窒素等の窒素酸化物も生成するため、
処理ガスを水に吹き込み溶解させオゾン水を製造する
と、同時に窒素酸化物も水に溶けるため硝酸が生成さ
れ、強酸性のオゾン水となる問題がある。
【0011】また、80%の窒素ガスが含まれ、酸素濃
度が20%と低いことは、生成する処理ガス中のオゾン
ガス分圧が低くなり、水へのオゾン溶解量が小さく、低
濃度のオゾン水しか製造できないばかりか、水に溶けき
らない余剰オゾンが発生しやすくなる。特開昭61−1
47393号公報に示される様に余剰オゾンを別の水槽
の汚濁防止に使用することも考えられるが、さらに濃度
が低くなるため余剰オゾンを効率よく低減するには問題
がある。
【0012】よって、効率的にオゾンを水に溶かし、中
性でクリーンなオゾン水を生成する為には、純粋で高濃
度のオゾンが得られる水電解式のオゾン生成方法が推奨
される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、水電解
式オゾンでも、被処理水を飲料水として使用する場合に
は、被処理水である原水に含まれる臭化物イオンを酸化
し、現在発ガン性の疑いをもつ臭素酸イオンを副生成物
として生成させる問題がある。現在、規制されている臭
素酸イオンの許容値は10μg/L以下の非常に微量な
濃度であり、生成した臭素酸イオンは比較的安定で、沸
騰水中でも気散することが無く水中に残る。活性炭で還
元すれば一部臭化物イオンに戻るといわれるが、同時に
残留オゾンも除去される為、殺菌効果が無くなり長期貯
蔵が困難となる欠点があった。
【0014】そこで本発明は、上記する問題点を解消す
ることを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は上記する目的を
達成する為に、陰極と、陽極と、前記陰極と陽極を仕切
る固体電解質膜とからなる電解セルと、被処理水を蓄え
る貯水槽と、前記電解セルで水の電気分解によって生成
するオゾンを含むガスを前記貯水槽の被処理水中に、導
入管により導入するように構成し、前記陰極と陽極とに
印加する直流電圧調整機構と、被処理水中のオゾン濃度
を検知するオゾン濃度検知機構とにより、被処理水中の
オゾン濃度を10μg/L以下に制御するものである。
【0016】また、陰極と、陽極と、前記陰極と陽極と
を仕切る固体電解質膜とからなる電解セルと、残留塩素
除去を行った被処理水を蓄える貯水槽と、前記電解セル
で水の電気分解によって生成するオゾンを含むガスを前
記貯水槽の被処理水中に、導入管により導入するように
構成し、前記陰極と陽極とに印加する直流電圧調整機構
と、前記被処理水中の酸化還元電位測定装置を溶存オゾ
ン濃度検知機構として用い、被処理水中の酸化還元電位
が、対水素電極標準電位の換算値として、500mV以
上で1000mV以下となるように制御するものであ
る。
【0017】また、被処理水中のオゾン濃度を検知する
オゾン濃度検知機構を、貯水槽の前記被処理水上層気相
部のオゾンガス濃度を検知するオゾンガスセンサーとし
たものである。
【0018】また、通気性があり、撥水処理を施した多
孔質体の外装防水カバーを有するオゾンセンサーとした
ものである。
【0019】また、陽極表面にオゾン選択性触媒として
二酸化鉛、二酸化銅、二酸化マンガン、フェライト、酸
化ニッケル、酸化コバルトの金属酸化物を単独、又は複
合物として処理し、前記陽極表面に酸素が発生する最小
過電圧以上の電圧を常に陰極との間に印加し、被処理水
中のオゾン濃度を検知するオゾン検知機構からの信号に
より、印加電圧を変動させる溶存オゾン濃度調整機構を
もつものである。
【0020】また、貯水槽内の被処理水の吸排水機能を
持ち、かつ被処理水を回転による遠心力で循環攪拌する
ミキシングポンプを貯水槽内に設け、前記ミキシングポ
ンプの吸水側にオゾンを含むガスを導入管により導入
し、前記ガスをミキシングポンプの羽根により生じる被
処理水の遠心流に注入し、前記遠心流を羽根外周の側壁
に噴射し、被処理水とオゾンを含むガスを混合するもの
である。
【0021】そして、気温、又は貯水槽内の被処理水の
水温を測定する温度センサーと、前記温度センサーの出
力により、陰極と陽極とに印加する直流電圧調整機構を
補正する温度補正機能部のついたものである。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明は各請求項に記載した構成
とすることにより実施できるのであるが、その実施の形
態を理解し易いように以下に構成とその構成による作用
を併記する。
【0023】請求項1記載の発明は、陰極と、陽極と、
前記陰極と陽極を仕切る固体電解質膜とからなる電解セ
ルと、被処理水を蓄える貯水槽と、前記電解セルで水の
電気分解によって生成するオゾンを含むガスを前記貯水
槽の被処理水中に、導入管により導入するように構成
し、前記陰極と陽極とに印加する直流電圧調整機構と、
被処理水中のオゾン濃度を検知するオゾン濃度検知機構
とにより、被処理水中のオゾン濃度を10μg/L以下
に制御する。
【0024】水の電気分解で生成する電解式オゾンは、
純粋であり高濃度で湿潤オゾンとなるので比較的容易に
被処理水に溶解する。そして溶存するオゾン濃度を10
μg/l以下で精密制御することにより、消毒殺菌効果
を維持するも、臭化物イオンを臭化酸イオンに酸化する
のを抑制することができる。
【0025】請求項2記載の発明は、陰極と、陽極と、
前記陰極と陽極とを仕切る固体電解質膜とからなる電解
セルと、残留塩素除去を行った被処理水を蓄える貯水槽
と、前記電解セルで水の電気分解によって生成するオゾ
ンを含むガスを前記貯水槽の被処理水中に、導入管によ
り導入するように構成し、前記陰極と陽極とに印加する
直流電圧調整機構と、前記被処理水中の酸化還元電位測
定装置を溶存オゾン濃度検知機構として用い、被処理水
中の酸化還元電位が、対水素電極標準電位の換算値とし
て、500mV以上で1000mV以下となるように制
御する。
【0026】溶存オゾン濃度検知機構として低濃度領域
でのオゾン濃度変化で酸化還元電位が著しく変化するこ
とを利用し、オゾンが細菌を不活化する酸化還元電位以
上で、かつ臭化物イオンを臭素酸イオンに酸化させない
酸化還元電位以下での処理をより精度良く行うことがで
きる。
【0027】請求項3記載の発明は、被処理水中のオゾ
ン濃度を検知する溶存オゾン濃度検知機構を、貯水槽の
前記被処理水上層気相部のオゾンガス濃度を検知するオ
ゾンガスセンサーとしたものである。
【0028】電解式オゾンは余剰オゾンが少なく水中の
オゾン濃度と上層部のオゾンガス濃度との精度の良い正
比例の相関性があることを利用するもので、また、飲用
とする被処理水中にオゾン濃度計等の異物を浸漬するこ
となく、清浄な状態を維持することができ、比較的感度
の高いオゾンガスセンサでオゾン水の濃度を正確に制御
できる。
【0029】請求項4記載の発明は、オゾンガスセンサ
ーに、通気性があり、撥水処理を施した多孔質体の外装
を有するオゾンセンサーとしたものである。
【0030】オゾンガスセンサーは活性を上げる為に約
300℃以上に加熱されているが、その為、比較的水分
に弱く、水滴がつくと割れや剥がれが生じる。水面上の
オゾンガスを測定するには、貯水槽からの水滴の飛散を
防止する必要があり、そのため、オゾンガスを通過する
多孔質体で形成し、防水のために撥水処理を施した防水
カバーをオゾンセンサー外装に付設した。
【0031】請求項5記載の発明は、陽極表面にオゾン
選択性触媒として二酸化鉛、二酸化銅、二酸化マンガ
ン、フェライト、酸化ニッケル、酸化コバルトの金属酸
化物を単独、又は複合物として処理し、前記陽極表面に
酸素が発生する最小過電圧以上の電圧を常に陰極との間
に印加し、被処理水中のオゾン濃度を検知する溶存オゾ
ン濃度検知機構からの信号により、印加電圧を変動させ
る直流電圧調整機構をもつものである。
【0032】金,白金,カーボン、およびダイヤモンド
のような貴な電極面では陽電極として用いても腐食電位
が高く溶解は比較的少なく、ましてや電解を停止しても
還元されることは考えられなかった。しかし、陽極に二
酸化鉛、二酸化銅、二酸化マンガン、フェライト、酸化
ニッケル、酸化コバルト等の金属酸化物については陰性
の極性を持つもので、常時陽電極として用いるのに問題
はないが、電解停止時には、逆電位が生じ、還元作用の
ため電極面が溶解・失活し、オゾン選択性触媒能が低下
する。そのため、オゾン濃度を調整するのに印加電圧を
ゼロにし、水の電解運転を停止させるとオゾンの生成量
が低下する。よって、常に陽極面から酸素過電圧より高
い電圧を印加することでオゾンの生成量の低下を防止で
きる。
【0033】請求項6記載の発明は、貯水槽内の被処理
水の吸排水機能を持ち、かつ被処理水を回転による遠心
力で循環攪拌するミキシングポンプを貯水槽内に設け、
前記ミキシングポンプの吸水側にオゾンを含むガスを導
入管により導入し、前記ガスをミキシングポンプの羽根
により生じる被処理水の遠心流に注入し、前記遠心流を
羽根外周の側壁に噴射し、被処理水とオゾンを含むガス
を混合するものである。
【0034】電解式オゾンは高濃度であり、オゾンを含
む混合ガスは量的に少なく、効率的に被処理水と混合す
る必要がある。そこで、減圧状態のミキシングポンプの
吸水側に導入し体積を高め、均一な導入ガス量とすると
ともに、遠心流に注入して外周壁側に勢い良くぶつける
ことにより気泡を微細化と加圧し、被処理水への溶け込
みを促進させる。
【0035】請求項7記載の発明は、気温、又は貯水槽
内の被処理水の水温を測定する温度センサーと、前記温
度センサーの出力により、陰極と陽極とに印加する直流
電圧を補正する温度補正機能部のついた調整機構とする
ものである。
【0036】オゾン発生量と被処理水への溶け込み量は
被処理水の水温により変化する為、貯水槽内の被処理水
の水温を検知、補正して電圧値を決めることにより安定
した被処理水中の溶存オゾン濃度が得られる。
【0037】以下本発明の一実施の形態について、図面
を参照しながら説明する。
【0038】(実施の形態1)図1は本発明の実施の形
態1における貯水槽1とその浄水装置2との構成を示す
ものである。
【0039】貯水槽1は貯水容器3と蓋4とを有してお
り、フロート5の信号による給水弁6の開閉により被処
理水7が所定の水位Hに保たれる。
【0040】貯水槽1内の被処理水7は、駆動モータ8
で回転する羽根9を有するミキシングポンプ10により
ポンプガイド11内を吸水口12から排水口13に流
れ、貯水槽1内を攪拌循環する。排水口13はダンパ1
4の上下の位置調整により自在に開口面積を調節するこ
とができる。
【0041】浄水装置2は、吸排水機能を持つミキシン
グポンプ10と、被処理水7の残留オゾン濃度を測定し
出力機能を持つ溶存オゾン濃度検出機構15と、オゾン
ガスを生成する機能を持つオゾン発生部16とから構成
される。
【0042】また、エキスパンド状のチタン材に白金メ
ッキを施し、有機物を分解しやすくする酸化促進触媒体
17を、ミキシングポンプ10の排出口13のダンパ1
4に取り付けた。
【0043】オゾン発生部16は、イオン交換樹脂塔1
8とガス分離室19を併設する電解セル20と直流電圧
調整機構21を備えている。
【0044】イオン交換樹脂塔18は、フィルターA2
2とフィルターB23との間にイオン交換樹脂24が充
填されたもので、イオン交換樹脂塔18の下部とミキシ
ングポンプ10の排水口13側のポンプガイド11と連
通管25で連通されている。
【0045】また、イオン交換樹脂塔18の上部とガス
分離室19とは通水路26で通水が可能となっており、
さらに、ガス分離室19の上部には、ミキシングポンプ
10の吸水口11側にガスを導く事が出来るように導入
管27と、また、圧力調整のための空気穴28とがあ
り、空気穴28とガス分離室19との間にはオゾン分解
触媒29が設けられている。
【0046】図2はミキシングポンプ10の構成を示す
縦断面図である。駆動モーター8の回転部先端29付近
に取り付けられた回転体である羽根9は、下方と左右に
開口部30を持つコの字状に折り曲げられたステンレス
製のもので、回転中心部近傍に吸い込み穴31を設けて
ある。
【0047】連通管25は常に水が満たされた状態でサ
イフォンの原理によりミキシングポンプ10の排水口1
3側水圧とガス分離室18の水圧との均衡をに保つ役割
を持つ。
【0048】図3は水の電気分解によりオゾンを発生さ
せる電解セル20の構成を示す縦断面図である。
【0049】ガス拡散電極33と集電体34とを有する
陰極35を備えた陰極室36と、オゾン発生電極である
陽極37を有する陽極室38とで構成されており、陰極
室36と陽極室38とは固体電解質膜39で仕切られ、
陰極35と陽極37と固体電解質膜39とはゼロギャッ
プで構成されている。
【0050】固体電解質膜39は水素イオンの伝達機能
があるスルフォン酸基を持つ高分子膜であり、その他の
イオンを伝導したり、透過したりすることは比較的少な
い。本実施例で使用した水素イオン伝導型膜の固体電解
質膜39は、デュポン社からナフィオン膜との商品名で
販売されているN117の固体高分子膜である。
【0051】陽極37は多孔質状の耐食性金属チタンの
基体表面にオゾン選択性触媒としてβ型の二酸化鉛を電
着により形成した。
【0052】陰極35は通気性を有する多孔性のメッシ
ュ状のものとして、表面に白金超微粒子を担持したカー
ボン粉末とフッ素樹脂粉末の混合物を圧縮成形して適度
な撥水性を持たせた多孔性のガス拡散電極33と電荷を
均一に伝達する集電体34との接合体として形成されて
いる。
【0053】40は吸入口41に取り付けられた外気を
吸入する吸入ファンと、排気口42とからなる給排気機
構43であり、陰極室36のガス拡散電極33に酸素を
含む外気を順次送り込むものである。
【0054】電解セル20とガス分離室19とは水移動
管44とガス移動管45で通じており、イオン交換樹脂
塔18と通過してきたイオン交換水はガス分離室19に
注水されると共に水移動管44を通じ陽極室38にも注
水される。
【0055】46は陽極室38で水の電解により発生す
る酸素ガスとオゾンガスの混合ガスがガス移動管45を
通じてガス分離室19に移動し、ガス分離室19の水面
上の空間部47に滞留した後、排出していく排出口であ
り、排出口46から導入管27を通じてミキシングポン
プ10の吸水口12側に微調整弁48を介して導入され
る。また、ガス分離室19の一部のガスはオゾン分解触
媒29を介して空気穴28を通じて大気に通じる。
【0056】ここで、ガス分離室19と陽極室38の固
定位置を貯水槽1内の被処理水7の水位位置Hよりも高
くすることで、ミキシングポンプ10が停止している時
にはガス分離室19および陽極室38に水は移動せず、
ミキシングポンプ10が稼動するとダンパ14により排
水口13の開口面積を小さくすることで、内部圧を上
げ、陽極室38が満たされる水位になるように調整する
ことで、ガス分離室19と陽極室38とにイオン交換水
が送り込まれるようになる。
【0057】また、直流電圧調整機構21には蓄電池機
構があり、ミキシングポンプ10が停止し、ガス分離室
19と陽極室38の水位が低下しても、所定時間は電解
が継続する様に設置されている。
【0058】また、溶存オゾン濃度検知機構15は貯水
槽1内のオゾン濃度をセンシングする溶存オゾン濃度計
であり、隔膜型ポーラログラフ電極で被処理水7中の溶
存オゾン濃度を直読し、増幅変換された電位信号を出力
するもので、その出力は直流電圧調整機構21内の切替
回路49に伝達され、電解セル20の陽極37と陰極3
5に加わる電圧を調整することでオゾン濃度をコントロ
ールする。
【0059】尚、50は被処理水7の温度を測定する温
度センサー51の値に応じ陽極37と陰極35に加わる
電圧を補正し、溶存オゾン濃度を安定にするための温度
補正機構である。
【0060】ここで、本発明の実施の形態1に用いた陽
極37の表面処理工程について説明する。
【0061】まず、前処理として多孔質状の耐食性金属
チタン材の基体を5%の界面活性剤の溶液で超音波洗浄
により脱脂し、イオン交換水ですすいだ後、5%の蓚酸
溶液の沸騰水に5分間浸漬し表面の酸化層を取り除き、
さらに下地処理直前に1規定の硫酸を電解研磨液とし、
4A/dm2の条件で陰極側にて電解還元処理をした。
【0062】上記の前処理後、塩化白金酸を各々0.1
モルの濃度に調整した塩酸混合溶液に浸漬し、40℃で
15分間の予備乾燥後、520℃で焼き付けた。この焼
き付け下地処理を3回繰り返し、約1μmの導電性酸化
金属の下地層を設けた。
【0063】次に下地処理面を4A/dm2で30秒間
の電解還元処理を行った後、オゾン発生選択性触媒とし
て二酸化鉛の電気めっき処理を行った。
【0064】二酸化鉛のめっきは、まず3.5規定の水
酸化ナトリウムの飽和酸化鉛溶液をめっき浴とし1.1
A/dm2で陽極側にて20分間処理し、数ミクロンの
α型の二酸化鉛を形成した。この時の浴温は40℃とし
た。
【0065】次に30重量%の硝酸鉛の1規定の硝酸浴
で、4A/dm2の条件で40分間、陽極にてオゾン発
生選択性触媒であるβ型の二酸化鉛の触媒層を形成し
た。この時の浴温度は70℃とした。
【0066】以下、上記で説明した実施の形態1の陽極
37を有する電解セル20中の化学反応と貯水槽1と浄
水装置2の作用と被処理水7中の溶存オゾン濃度のコン
トロール法について説明する。
【0067】まず、貯水槽1に源水である被処理水7が
給水弁6から給水され水位Hまで満たされるとフロート
5が働き給水が停止される。また、水位調整力により貯
水槽1に浸漬されているミキシングポンプ10の排水口
13側の連通管25を通り、イオン交換樹脂塔18に流
れ込んでHの水位まで被処理水7で満たされる。満たさ
れた被処理水7は、フィルターA21,イオン交換樹脂
24,フィルターB23を通り抜ける間に、被処理水7
に含まれる陽イオンである金属イオンは水素イオンに、
陰イオンである塩素イオンや炭酸イオンは水酸基イオン
にイオン交換樹脂24表面でイオン交換され電気伝導度
が2μs以下のイオン交換水となる。
【0068】次に浄水装置2の電源を入れると、駆動モ
ータ8等の全装置が運転状態となり、ミキシングポンプ
10が稼動し、陽極37と陰極35に直流電圧が付加さ
れ吸入ファン40が稼動する。
【0069】ミキシングポンプ10が稼動すると被処理
水7の循環攪拌が開始され、吸水口12よりミキシング
ポンプ10内に吸い込まれ、排水口13側に吐き出され
る流れが生じることになる。その流れの勢いを水圧力と
して受け、連通管25を通じ、イオン交換樹脂塔18内
の水位も上昇し、通水路26を介しガス分離室19にイ
オン交換水が進入し、水移動管44を通じ陽極室38に
もイオン交換水が侵入する。さらに、このイオン交換水
は電解液として働くため通気性のある陽極37を通して
固体電解質膜39の表面を満たす。
【0070】陽極37と固体電解質膜39の界面にイオ
ン交換水である電解液が満たされると、固体電解質膜3
9が吸水し、スルフォン酸基の水素イオンが活性化し、
陰極35と陽極37との導通が良くなり陽極37と固体
電解質膜39の界面でイオン交換水である電解液の電気
分解反応が開始される。
【0071】陽極37の表面材質はβ型の二酸化鉛であ
り、腐食電位が高く反応酸素を含むオゾン発生選択性触
媒として働き、電極材の溶解は殆ど無く、陽極37の表
面においてはイオン交換水である電解液中の水分子を酸
化し、化1から化4の反応が起こる。反応式の平衡電位
より化1と化4が主体となり、陽極37の表面から酸素
ガスとオゾンガスが発生する。
【0072】ここで、白金等のめっき表面であれば、酸
素過電圧が低く化1の反応のみでオゾンの生成は少ない
が、酸素過電圧が高く、反応酸素を含むβ型の二酸化鉛
では、反応酸素が化1の反応式に触媒作用として介在す
るため化4の反応が積極的に生じることとなり、オゾン
の生成が効率良く行われ、生成ガス中のオゾン濃度は高
くなる。実施の形態1では、3.5Vの直流電圧を印加
し2Aの電流が流れることにより、約50mg/hrの
オゾン発生量を得た。
【0073】
【化1】
【0074】
【化2】
【0075】
【化3】
【0076】
【化4】
【0077】電解液がイオン交換水であり、水素イオン
の対イオンは殆ど無いため、過剰となる水素イオンは水
素イオン伝導型膜である固体電解質膜39を通じて陰極
室35に移動する。そのため、陽極室38内では水素イ
オン濃度の増加は見られず、pHは源水またはイオン交
換水と同じpHを維持し、被処理水7が浄水を使用し、
中性であれば中性を維持することになる。
【0078】陰極室36の陰極35はガス拡散電極33
で構成されることにより、吸入ファン40により送り込
まれてくる外気に含まれる酸素と、陰極35から負の電
位として流れてくる電子と、陽極室38で生成されて固
体電解質膜39を通過してくる水素イオンとの3つの成
分が存在し、化5の反応を起こすことにより水分子を生
成する。生成した水分子は固体電解質膜39に吸着する
か、蒸気となって排気口42から排出される。
【0079】
【化5】
【0080】また、固体電解質膜39に密着して取り付
けることにより、外気に含まれる酸素と、陰極35を経
由し運ばれた電子と、固体電解質膜39を通過してくる
水素イオンとを白金超微粒子の触媒作用でもって円滑に
反応させることが可能となるもので、陰極35のガス拡
散電極33と固体電解質膜39とを隔離すると水素イオ
ンの移動が不導体のガス層に邪魔されて円滑に行かず、
また陰極35に貫通穴が無いと外気に接する面から固体
電解質膜39への酸素の移動を陰極35自身が遮断する
ため円滑な3つの成分の反応ができなくなる。
【0081】以上のように陰極35として多孔質状のガ
ス拡散電極33のような貫通穴を有する多孔性のメッシ
ュ状のものを用い、固体電解質膜39に密着して取り付
けることにより、吸排気機構43で送り込まれる酸素
と、陽極室38から固体電解質膜39を通過してくる水
素イオンと陰極35を経由して運ばれる電子により水分
を生成することは、陰極35の表面からの水素ガスの発
生を無くすことができ、水素ガスによる火災や爆発の危
険を除去することができる。
【0082】また陰極室36には電解液,浄水,イオン
交換水,蒸留水、純水等を必要としないので電解水の処
理や濃度調整の管理が必要でなくなるため、非常に電解
セル20の構造が簡素化でき、部材の費用も削減でき
る。
【0083】陽極室38では主に化1と化4の反応で生
じる酸素とオゾンが生成する。その酸素とオゾンの混合
ガスを電解セル20のガス移動管45からガス分離室1
9に浮力で移動し水面上の空間部47に分離される。水
面上の空間部47が細管の導入管27でミキシングポン
プ10の吸水口12近傍に通じているため、水面上の空
間部47より微減圧となっているミキシングポンプ10
の吸水口12近傍に導かれる。また、生成されるガスが
多かった場合、その余剰ガスは空気穴28を通し大気に
放出される。この時、オゾン分解触媒29を介して大気
に放出されるためオゾンの漏れによる危険性はなくな
る。
【0084】即ちミキシングポンプ10で被処理水7が
循環攪拌されているため、オゾンを含む混合ガスが貯水
槽1の被処理水7とミキシングされ、貯水槽1の被処理
水7を殺菌する。ミキシングする混合ガスの量はダンパ
ー14の上下移動による排出口13の開放面積変化と導
入管27の微調整弁48で調整し濃度を設定する。
【0085】ここで、空気穴28が無いと、微調整弁4
8の開閉度合いにより、ミキシングポンプ10の微減圧
量と電解により生成する混合ガス量とのバランスが合わ
なくなり、ガス分離室19内の水面上の空間部47の圧
力が変化し水面が上下する。混合ガス量が多く発生する
と空間部47のガス圧が上がり、最悪の場合ガス分離室
19内の水が無くなったり、ミキシングポンプ10によ
る吸気量が大きいと水面上の空間部47が無くなり電解
水が導入管27を通り貯水槽1に流れ込むこともある。
【0086】しかし、空気穴28があると、電解による
混合ガスの生成量が多い場合、混合ガスの一部がオゾン
分解触媒29を通じ空気穴28から大気に放出され、ま
た微減圧により引かれる量が多い場合は、空気穴28か
ら空気が入り込み、ガス分離室19の水位をミキシング
ポンプ10の排水側水圧高に応じた水位で維持すること
ができる。
【0087】本実施の形態1では、さらに隔膜型ポーラ
ログラフ電極を用いた溶存オゾン濃度計をオゾン濃度検
知機構15として用い、オゾン濃度に応じた溶存オゾン
濃度検知機構15からの出力電位で電解セル20の陽極
37と陰極35に印加する電圧値を制御した。
【0088】図4は陽極面積を9cm2とした電解セル
20で、各印加電圧値におけるオゾン発生量を測定した
結果を示す。
【0089】図4より、陽極37面から酸素やオゾンを
発生する最低の電圧は2.3Vであり、その電圧以上で
は印加電圧値とオゾン発生量は正比例の関係を持つ。す
なわち、印加電圧を微妙に調整することによりオゾン発
生量を精度良くコントロールすることができる。
【0090】本実施の形態1では溶存オゾン濃度検知機
構15である溶存オゾン濃度計の値が1μg/L以下で
印加電圧値を3.5Vとし、1μg/L以上で3Vとす
ることでオゾン発生量を変化させ、被処理水の溶存オゾ
ン濃度を1μg/Lで安定化させた。
【0091】また、本実施の形態1での被処理水7内の
溶存オゾン濃度は、外気温や被処理水7の温度により電
解セル20の電解抵抗が変化し、オゾン発生量が変わ
る。また、溶解量も変化する為に、外気温や水温が大き
く変化するとオゾン濃度計のオゾン濃度検出機構15で
の印加電圧変化だけでは調整不可となる場合がある。そ
こで、被処理水7の温度を温度センサー51により検知
し、温度補正機能部50で印加電圧を補正できる直流電
圧調整機構21とすることにより、温度変化による大き
なオゾン濃度の変化を抑えた。
【0092】図5は水温と溶存オゾン濃度との相関であ
り、1μg/Lの濃度で制御するときは25℃では3V
であるが、30℃では3.5Vに電圧を高める補正式を
温度補正機構50にインプットし直流電圧調整機構21
を制御した。
【0093】飲料水をオゾン処理する場合の問題点は、
臭化物イオンを含む場合の臭素酸イオンの生成である。
臭素酸イオンは10μg/L以上では発ガン性の懸念が
あるといわれる物質である。
【0094】図6は各種溶存オゾン濃度条件で0.5m
g/Lから1.0mg/Lの臭化物イオンを添加した水
道水を処理したときの時間経過における臭素酸イオンの
増加をイオンクロマト−ポストカラム発色法で微量分析
した結果である。60μg/Lの溶存オゾン濃度では1
時間以内で現在基準とされる臭素酸イオン濃度の基準値
を超えるが、6μg/Lでは上昇の傾向があるものの大
幅に生成量が低下する傾向を示し、さらに1μg/Lの
オゾン濃度では100時間でもほとんど上昇が見られな
かった。
【0095】この理由について検討した結果、オゾン濃
度と酸化還元電位との相関より解釈することができる。
すなわち臭化物イオンが酸化され臭素酸イオンに酸化さ
れる式は化6であり、その時の平衡電位はフルーベの実
験より約1Vであるとされている。そこでオゾンを水道
水とイオン交換水に混合したときの溶存オゾン濃度に対
する酸化還元電位を実験により求めると図7のようにな
る。すなわち、オゾン濃度が10μg/L前後で酸化還
元電位が大きく変化し、臭素酸イオンを生成する酸化還
元電位を10μg/Lのオゾン濃度以上で超えることが
わかった。なお、この実験で使用した酸化還元電位測定
装置は簡便な塩化銀電極を標準電位としたものを用い測
定した値を、水素電極標準電位に換算して記載した。
【0096】
【化6】
【0097】この実験より10μg/L以下にオゾン濃
度を抑えることにより、発ガン性物質の疑いのある臭素
酸イオンの生成を抑えることができることがわかった。
【0098】また、1μg/Lにおける殺菌効果につい
ても検討した結果を図8に記載するが、室温にて1μg
/Lの残留オゾン濃度で維持された貯蔵タンクの原水
に、106CFU/mlの食品の腐敗菌を添加し、各反
応時間毎の菌数測定を行った。その結果は塩素除去を行
った水道水、イオン交換水、共に10分以内で検知限界
(10CFU/ml)以下に達する殺菌効果を確認し
た。
【0099】このように約1μg/Lの低いオゾン濃度
でも殺菌効果が得られ、また、その濃度における臭素酸
イオン生成の抑制効果が判明した結果、低オゾン濃度で
の安定な精密制御が飲料水の保存に不可欠な技術とな
る。
【0100】電解式のオゾン発生装置は純粋で、且つ高
濃度な湿潤オゾンを得る事が出来、効率よくミキシング
攪拌することで、また、オゾン濃度検知機構15と電圧
調整機構21とさらに気温、又は水温による温度補正を
加えることにより、溶存オゾンを10μg/L以下の低
濃度で精度良くコントロールでき、殺菌力がある、臭素
酸イオンが生成しない飲料水の長期保管が可能なものと
なり、おいしい飲料水が提供でき、排水も環境に悪影響
を及ぼさないものとなる。
【0101】また、陽極37表面にオゾン選択性触媒と
して二酸化鉛、二酸化銅、二酸化マンガン、フェライ
ト、酸化ニッケル、酸化コバルトの金属酸化物を単独、
又は複合物として処理し、前記陽極表面に酸素が発生す
る最小過電圧以上の電圧を常に陰極35との間に印加
し、被処理水7中のオゾン濃度を検知する溶存オゾン濃
度検知機構15からの信号により、印加電圧を変動させ
る直流電圧調整機構21を形成したことにより、次の作
用も得られる。すなわち、金,白金、カーボン、および
ダイヤモンドのような貴な電極面では陽極37として用
いても腐食電位が高く溶解は比較的少なく、ましてや電
解を停止しても還元されることは考えられなかった。し
かし、陽極37に二酸化鉛、二酸化銅、二酸化マンガ
ン、フェライト、酸化ニッケル、酸化コバルト等の金属
酸化物を用いると、これらは陰性の極性を持ち、常時陽
電極として用いるのに問題はないが、電解停止時には、
逆電位が生じ、還元作用のため電極面が溶解・失活し、
オゾン選択性触媒能が低下する。そのため、オゾン濃度
を調整するのに印加電圧をゼロにし、水の電解運転を停
止させるとオゾンの生成量が低下する。よって、常に陽
極37面から酸素過電圧より高い電圧を印加することで
オゾンの生成量の低下を防止したものである。本実施の
形態1では、酸素が発生する最小過電圧は図4より約
2.3Vであると求められるので、低電圧値として2.
5Vを印加している。
【0102】また、ガス分離室19から導入管27で移
送されるオゾンと酸素の混合ガスはミキシングポンプ1
0の吸水口12近傍に通じる。吸水口12近傍の被処理
水7は回転する羽根9によりミキシングポンプ10のポ
ンプガイド内に入る流れを持つ。その水流は減圧となっ
ている為、混合ガスは膨張しながら被処理水の流れに吸
いこまれる。さらに、コの字状の羽根の回転は下方のみ
ならず側面に流れる遠心流を生じ、その遠心流は中心部
からポンプガイド11の側壁に勢い良く衝突する流れも
作るため、羽根9の吸いこみ穴32から吸いこまれた混
合ガスもポンプガイド9の側壁にぶつかり細かく砕け、
微粒子となり被処理水との接触面積を増やし溶解効率を
著しく良くする働きがある。
【0103】(実施の形態2)図9は本発明の実施の形
態2における貯水槽とその浄水装置との構成を示すもの
である。なお実施の形態1と同じ構成部分については同
一符号を付与し、陽極37の表面処理工程等の詳細な説
明は省略する。
【0104】貯水槽1内の被処理水7としては活性炭等
で構成したろ過装置52で残留塩素の除去処理したもの
を原水として用い、オゾン濃度検知機構15として酸化
還元電位測定装置53を適用した。
【0105】以下、上記で説明した実施の形態2の作用
について説明するが、電解セル20中の化学反応等は実
施の形態1と同じであり省略する。
【0106】水道水には残留塩素があり、酸化還元電位
は0.8V以上を示すこともある。よって単純に酸化還
元電位からオゾン濃度を知ることはできないが、活性炭
にて酸化物である塩素を還元し塩素イオンに変えておく
ことにより酸化還元電位を0.4Vに下げておくことが
できる。その水にオゾンを注入するとオゾン濃度に応じ
た酸化還元電位が得られ、オゾン濃度とともに図7で示
す酸化還元電位との曲線が得られる。臭素酸イオンを生
成しないためには酸化還元電位を1V以下にする必要が
あり、10μg/L前後でオゾン濃度に対する変化率が
大きい酸化還元電位を検知するのが確実で精度が上が
る。実施の形態1と同じく溶存オゾン濃度検知機構15
として酸化還元電位測定装置53を用い、その出力電位
を切替回路49にフィードバックし直流電圧調整機構2
1で印加電圧を変化させオゾン発生量を精度良くコント
ロールすることができる。
【0107】(実施の形態3)図10は本発明の実施の
形態3における貯水槽とその浄水装置との構成を示すも
のである。なお実施の形態1と同じ構成部分については
同一符号を付与し、詳細な説明は省略する。
【0108】貯水槽1および浄水装置2の構成は実施の
形態1と同じであり、被処理7水中のオゾン濃度を検知
する溶存オゾン濃度検知機構15を、貯水槽1の前記被
処理水7上層気相部54のオゾンガス濃度を検知するオ
ゾンガスセンサー55としたものである。
【0109】電解式オゾンは余剰オゾンが少なく水中の
オゾン濃度と上層部のオゾンガス濃度との精度の良い正
比例の相関性があることを利用するもので、また、飲用
とする被処理水中にオゾン濃度計等の異物を浸漬するこ
とも無いので、被処理水7を清浄な状態で維持すること
ができ、比較的感度の高いオゾンガスセンサでオゾン水
の濃度を正確に制御できる。
【0110】また、図11は実施の形態3のオゾンガス
センサー55の断面図であり、通気性があり、撥水処理
を施した多孔質体の外装防水カバー56でオゾンセンサ
ー素子57を防水処理したガスセンサー55である。
【0111】オゾンガスセンサー55は活性を上げる為
に約300℃以上に加熱されているが、その為、比較的
水分に弱く、水滴がつくと割れや剥がれが生じる。水面
上のオゾンガスを測定するには、貯水槽からの水滴の飛
散を防止する必要があり、そこで防水のためオゾンガス
センサー素子57の外装に防水カバー56をとりつけ
た。この防水カバー56はオゾンガスは通過し、撥水処
理により水滴は遮断することができる。
【0112】以下、上記で説明した実施の形態3の作用
について説明するが、電解セル24中の化学反応等は実
施の形態1と同じであり省略する。
【0113】貯水槽1中の被処理水7に含まれるオゾン
量が増加し、余剰オゾンが生成すると上層気相部54の
オゾンガス濃度が上昇する。このオゾンガス濃度をオゾ
ンガスセンサー55で感知し、出力電圧を直流電圧調整
機構21に伝達し電圧値を変化させることにより被処理
水7中のオゾン濃度をコントロールすることができる。
【0114】水電解式オゾンは純粋で、高濃度であると
共に、混合ガス自体の湿度が高い特徴を持つ。この特徴
は酸素分子やオゾン分子が水蒸気分子と分子間引力で引
き付け合い、馴染み易くなっていることを示唆し、ヘン
リーの法則の分圧差による水への溶解性の差以上に、放
電式オゾンに比べ電解式オゾンの方が水への溶解性が高
い。
【0115】即ち水電解式オゾンを使った貯水槽1の浄
水装置2では、貯水槽1の水面上層気相部54のオゾン
ガス濃度のセンシングにより水中オゾン濃度を精度良く
推定可能であり、安価なオゾンガスセンサー55での制
御が容易にできる。
【0116】本発明の実施の形態1においては0.1p
pmのオゾンガス濃度で、抵抗変化の大きい錫をドープ
した酸化インジウム薄膜のオゾンガスセンサー55を使
用し、抵抗変化を信号として捉らえ、電解セル20に印
加する電圧を直流電圧調整機構21で制御することで、
貯水槽1内の水中オゾン濃度を10μg/L以下に安定
化することができた。
【0117】尚、本実施例においては電解セル20とガ
ス分離室19とは貯水槽1の水位Hよりも高く設置し、
ミキシングポンプ9が停止した時、電解セル20の陽極
室35からイオン交換水が自動的に排水され、蓄電池機
能によりミキシングポンプ9の停止後もしばらく電解セ
ル20への電位の印加を継続することで電極の劣化を極
力防止する構成としたが、水槽と浄化装置との構成を規
定するものではない。
【0118】
【発明の効果】以上のように本発明は、陰極と、陽極
と、前記陰極と陽極を仕切る固体電解質膜とからなる電
解セルと、被処理水を蓄える貯水槽と、前記電解セルで
水の電気分解によって生成するオゾンを含むガスを前記
貯水槽の被処理水中に、導入管により導入するように構
成し、前記陰極と陽極とに印加する直流電圧の調整機構
と、被処理水中のオゾン濃度を検知するオゾン濃度検知
機構とにより、被処理水中のオゾン濃度を10μg/L
以下に制御することで、消毒殺菌効果は維持されなが
ら、臭化物イオンを酸化し臭素酸イオンを生成する反応
を抑制することができる。
【0119】また、陰極と、陽極と、前記陰極と陽極と
を仕切る固体電解質膜とからなる電解セルと、残留塩素
除去を行った被処理水を蓄える貯水槽と、前記電解セル
で水の電気分解によって生成するオゾンを含むガスを前
記貯水槽の被処理水中に、導入管により導入するように
構成し、前記陰極と陽極とに印加する直流電圧の調整機
構と、前記被処理水中の酸化還元電位測定装置をオゾン
濃度検知機構として用い、水素電極に対する酸化還元電
位を500mV以上で1000mV以下に制御すること
で、オゾンが細菌を不活化し、臭素酸イオンを生成しな
いする酸化還元電位以下で正確にオゾン処理することが
できる。
【0120】また、被処理水中のオゾン濃度を検知する
オゾン濃度検知機構を、貯水槽の前記被処理水上層空間
部のオゾンガスセンサーとすることで、飲用とする被処
理水中にオゾン濃度計等の異物を浸漬することなく、溶
存オゾン濃度が推定でき清浄な状態を維持することがで
きる。
【0121】また、オゾンセンサーに防水カバーを外装
に設けることにより、水面上層での水滴の影響を無くし
センサーの信頼性を増すことができる。
【0122】また、陽極に二酸化鉛、二酸化銅、二酸化
マンガン、フェライト、酸化ニッケル、酸化コバルトの
金属酸化物を単独、又は複合物のオゾン選択性触媒とし
て用い、前記陽極に酸素が発生する最小過電圧以上の電
圧を常に陰極との間に印加し、被処理水中のオゾン濃度
を検知する溶存オゾン濃度検知機構からの信号により、
印加電圧を変動させるオゾン濃度調整機構をもつものと
したことで、電解停止時の逆電位による電極面が溶解・
失活することを防止できる。
【0123】また、貯水槽内の被処理水の吸排水機能を
持つミキシングポンプの羽根により生じる被処理水の遠
心流にオゾンガスを注入し、前記遠心流を羽根外周の側
壁に噴射し、気泡を微細化と加圧し、被処理水への溶け
込みを促進させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における貯水槽とその浄
水装置の概略図
【図2】本発明の実施の形態1におけるミキシングポン
プの縦断面図
【図3】本発明の実施の形態1における電解セルの縦断
面図
【図4】本発明の実施の形態1における電解セルに印加
する電圧値とオゾン発生量との相関を示すグラフ
【図5】本発明の実施の形態1における電解セルに一定
電圧を印加した時の貯水槽内の水温と溶存オゾン濃度と
の相関を示すグラフ
【図6】本発明の実施の形態1における臭化物イオン残
存時のオゾン処理時間と臭素酸イオンの濃度変化を示す
グラフ
【図7】本発明の実施の形態1におけるオゾン濃度と処
理水の酸化還元電位との相関を示すグラフ
【図8】本発明の実施の形態1におけるオゾン濃度を約
1μg/Lで制御した時の菌添加時からの反応時間と生
菌数の減衰から殺菌力を示すグラフ
【図9】本発明の実施の形態2における貯水槽とその浄
水装置の概略図
【図10】本発明の実施の形態3における貯水槽とその
浄水装置の概略図
【図11】本発明の実施の形態3におけるオゾンセンサ
ーの縦断面図
【図12】本発明の実施の形態3における液相オゾン濃
度と気相オゾン濃度との相関を示すグラフ
【符号の説明】
1 貯水槽 2 浄水装置 7 被処理水 9 羽根 10 ミキシングポンプ 11 ポンプガイド 15 オゾン濃度検出機構 20 電解セル 21 直流電圧調整機構 27 導入管 35 陰極 36 陰極室 37 陽極 38 陽極室 39 固体電解質膜 50 温度補正機能部 51 温度センサー 53 酸化還元電位測定装置 55 オゾンガスセンサー

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陰極と、陽極と、前記陰極と陽極とを仕
    切る固体電解質膜とからなる電解セルと、被処理水を蓄
    える貯水槽と、前記電解セルで水の電気分解によって生
    成するオゾンを含むガスを前記貯水槽の被処理水中に、
    導入管により導入するように構成し、前記陰極と陽極と
    に印加する直流電圧調整機構と、被処理水中のオゾン濃
    度を検知するオゾン濃度検知機構とにより、被処理水中
    のオゾン濃度を10μg/L以下に制御することを特徴
    とする浄水装置を備えた貯水槽。
  2. 【請求項2】 陰極と、陽極と、前記陰極と陽極とを仕
    切る固体電解質膜とからなる電解セルと、残留塩素除去
    を行った被処理水を蓄える貯水槽と、前記電解セルで水
    の電気分解によって生成するオゾンを含むガスを前記貯
    水槽の被処理水中に、導入管により導入するように構成
    し、前記陰極と陽極とに印加する直流電圧調整機構と、
    前記被処理水中の酸化還元電位測定装置を溶存オゾン濃
    度検知機構として用い、被処理水中の酸化還元電位が、
    対水素電極標準電位の換算値として、500mV以上で
    1000mV以下となるように制御することを特徴とす
    る浄水装置を備えた貯水槽。
  3. 【請求項3】 被処理水中のオゾン濃度を検知するオゾ
    ン検知機構を、貯水槽の前記被処理水上層気相部のオゾ
    ンガス濃度を検知するオゾンガスセンサーとしたことを
    特徴とする請求項1記載の浄水装置を備えた貯水槽。
  4. 【請求項4】 通気性があり、撥水処理を施した多孔質
    体の外装防水カバーを有するオゾンセンサーとしたこと
    を特徴とする請求項3記載の浄水装置を備えた貯水槽。
  5. 【請求項5】 陽極表面にオゾン選択性触媒として二酸
    化鉛、二酸化銅、二酸化マンガン、フェライト、酸化ニ
    ッケル、酸化コバルトの金属酸化物を単独、又は複合物
    として処理し、前記陽極表面に酸素が発生する最小過電
    圧以上の電圧を常に陰極との間に印加し、被処理水中の
    オゾン濃度を検知するオゾン濃度検知機構からの信号に
    より、印加電圧を変動させる直流電圧調整機構をもつ請
    求項1から請求項4のいずれか一項記載の浄水装置を備
    えた貯水槽。
  6. 【請求項6】 貯水槽内の被処理水の吸排水機能を持
    ち、かつ被処理水を回転による遠心力で循環攪拌するミ
    キシングポンプを貯水槽内に設け、前記ミキシングポン
    プの吸水側にオゾンを含むガスを導入管により導入し、
    前記ガスをミキシングポンプの羽根により生じる被処理
    水の遠心流に注入し、前記遠心流を羽根外周の側壁に噴
    射し、被処理水とオゾンを含むガスとを混合することを
    特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の浄水装
    置を備えた貯水槽。
  7. 【請求項7】 気温又は貯水槽内の被処理水の水温を測
    定する温度センサーと、前記温度センサーの出力によ
    り、陰極と陽極とに印加する直流電圧調整機構を補正す
    る温度補正機能部のついたことを特徴とする請求項1か
    ら6のいずれか一項記載の浄水装置を備えた貯水槽。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002105681A (ja) * 2000-10-05 2002-04-10 Matsushita Refrig Co Ltd 電解式オゾン発生装置
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