JP2000264721A - 誘電体磁器組成物 - Google Patents
誘電体磁器組成物Info
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Abstract
ず、かつ、ガラス組成物を使用しない低温焼成可能なマ
イクロ波用の誘電体磁器組成物を提供する。 【解決手段】 誘電体磁器組成物を、一般式xBaO・
yNd2O3・zTiO2(ただし、6≦x≦23、13
≦y≦30、64≦z≦68、x+y+z=100の関
係を有する)で表される主成分に対して、副成分として
Cu酸化物をCuO換算にて0.1〜3.0重量%、Z
n酸化物をZnO換算にて0.1〜4.0重量%、B酸
化物をB2O3換算にて0.1〜3.0重量%の範囲で含
有したものとする。
Description
係り、特にAgもしくはCu、または、AgやCuを主
成分とする合金を内部導体として使用できるような低温
燒結性を有する誘電体磁器組成物に関する。
通信分野の成長が著しい。これら移動体通信では、数1
00MHz〜数GHzのいわゆる準マイクロ波と呼ばれ
る高周波帯が使用される。そのため、移動体通信機器に
用いられる共振器、フィルター、コンデンサー等の電子
デバイスにおいても高周波特性が重視される。また、近
年の移動体通信の普及に関しては、サービスの向上の他
に通信機器の小型化および低価格化が重要な因子となっ
ている。そのため、上記の電子デバイスに関しても小型
化・低価格化が要求されている。
上と小型化を達成するために、使用周波数において以下
のような特性が要求される。 比誘電率が大きいこと:マイクロ波付近で使用される共
振器は、誘電体中において波長が誘電率の平方根の逆数
に比例して短縮されることを利用する場合が多く、その
ため共振器の長さは誘電率の平方根に逆数に比例して短
くできる。 Qが大きいこと:マイクロ波材料では、誘電損失の評価
としてQ=1/tanδで定義されるQを用い、このQ
が大きいことは損失が小さいことを表す。 誘電率の温度変化が小さいこと:共振器やフィルター等
の共振周波数の温度変化を極力抑えるため、誘電率の温
度変化は小さいことが望ましい。 低温燒結が可能であること:電子デバイスの小型化を実
現するために、内部に導体電極を内蔵した表面実装型の
部品(SMD:Surface Mount Device)が主流となりつ
つあるが、その場合、電子デバイスの損失特性を向上さ
せるために、導体電極としては低抵抗であるAgもしく
はCuを用いることが望ましい。しかし、AgやCuは
融点が低く、誘電体磁器としては、これらの融点以下の
温度で焼成が可能であることが要求される。この同時焼
成の問題は、AgやCu等を電極導体とした温度補償用
コンデンサー材料とするときにも同様に指摘される。
BaO−4TiO2系、BaO−希土類酸化物−TiO2
系等の組成系がよく知られている。特に、BaO−Nd
2O 3−TiO2系は、誘電率およびQ値が高いことから
広範な研究がなされている。近年では、この組成系での
低温燒結化も行なわれており、特許第2613722号
(主成分仮焼の後に所定粒径まで粉砕を行い、これに副
成分を添加するもの);特許第2781500号、特許
第2781501号、特許第2781502号、特許第
2781503号、特許第2786977号(これら
は、副成分としてガラスを使用する);特開平5−23
4420号公報、特開平6−211564号公報、特開
平6−223625号公報、特開平7−69719号公
報、特開平8−55518号公報、特開平8−5551
9号公報、特開平8−167322号公報、特開平8−
167323号公報、特開平8−167324号公報、
特開平8−208328号公報、特開平8−20832
9号公報(これらは、副成分としてガラスを含有す
る);特開平3−290359号公報、特開平3−29
5854号公報、特開平3−295855号公報、特開
平3−295856号公報、特開平6−116023号
公報、特開平6−150719号公報、特開平6−16
2822号公報、特開平8−55518号公報、特開平
8−167322号公報、特開平8−167323号公
報、特開平8−167324号公報、特開平8−208
328号公報、特開平8−208329号公報、特開平
8−245262号公報(これらは、副成分としてGe
酸化物を含有する);その他、特開平2−44609号
公報、特開平5−97508号公報、特開平6−116
023号公報、特開平8−157257号公報、特開平
8−277161号公報等に記載されている。
類酸化物−TiO2を主成分とするものであり、これに
ガラス組成物、あるいは、ガラス組成物と数種の副成分
を添加する形で低温焼結化を可能としている。また、上
述の誘電体材料の多くは、主成分中もしくは添加成分中
にPbO、Bi2O3等を含有している。これは、Pb
O、Bi2O3が誘電率の増大等のような特性向上効果と
ともに低温焼結助成効果を有し、このような両方の効果
を利用することにより、低温焼結高周波用材料を可能と
するためである。
−Nd2O3−TiO2系の誘電体磁器は、誘電率および
Qが高く、誘電率の温度係数が小さいことから、マイク
ロ波用誘電体として利用されている。特に、近年におい
てBaO−Nd2O3−TiO2系での低温焼結化が実現
されるようになったが、それらのほとんどは、特性の向
上と低温焼結助成のために、上記のようにPbO、Bi
2O3の少なくとも一方を含有している。
環境保護運動がいっそう高まりを見せている。そのた
め、電子部品の分野においてもPbO、Bi2O3等の環
境汚染物質の低減が要望されている。また、このような
環境汚染物質を含有する場合、製造工程における廃液の
処理施設等、特殊設備も必要となり、製造コストの面か
も、環境汚染物質を含有しないことが望まれる。さら
に、PbO、Bi2O3等は高温において蒸発しやすい物
質であるため、製造時の品質のばらつきの要因ともなり
やすく、この点からもPbO、Bi2O3を含まないこと
が望まれている。
のように、そのほとんどが焼結助成のための添加物とし
てガラス組成物を必須としているが、これにより、予め
所定のガラスを作製する必要があり、製造工程増加によ
るコストの増大、および、不安定要素の増大を来してい
た。また、ガラスを製造する際には、ガラス化条件によ
りガラスの組成的制限を受けるため、必ずしも最適な組
成となり得ず、誘電体磁器の特性劣化の要因となる。こ
れに対して、ガラスを添加しない誘電体磁器の研究も行
われているが、その多くは1000℃以上の温度におけ
る焼成が必要であるため、例えば、Agを内部導体とし
て使用することができないとういう問題があった。
たものであり、PbO、Bi2O3等の環境汚染物質を含
有せず、かつ、ガラス組成物を使用しない低温焼成可能
なマイクロ波用誘電体磁器組成物を提供することを目的
とする。
るために、本発明の誘電体磁器組成物は、主成分が一般
式xBaO・yNd2O3・zTiO2(ただし、6≦x
≦23、13≦y≦30、64≦z≦68、x+y+z
=100の関係を有する)で表され、該主成分に対し
て、副成分としてCu酸化物をCuO換算で0.1〜
3.0重量%、Zn酸化物をZnO換算で0.1〜4.
0重量%、B酸化物をB2O3換算で0.1〜3.0重量
%の範囲で含有するような構成とした。
あるBaO−Nd2O3−TiO2系主成分とともに所定
の含有量で添加されたCu酸化物、Zn酸化物およびB
酸化物により、誘電特性がほぼ維持されたまま、誘電体
磁器組成物の焼成温度がAgもしくはCu、または、A
gやCuを主成分とする合金の融点以下となる。
説明する。本発明の誘電体磁器組成物は、一般式xBa
O・yNd2O3・zTiO2で表される主成分に対し
て、副成分としてCu酸化物、Zn酸化物およびB酸化
物を含有するものである。
を満足する組成である。 6≦x≦23 13≦y≦30 64≦z≦68 x+y+z=100
の含有量は、下記の範囲内で設定される。 Cu酸化物:CuO換算にて0.1〜3.0重量% Zn酸化物:ZnO換算にて0.1〜4.0重量% B酸化物 :B2O3換算にて0.1〜3.0重量%
含有範囲は、本発明にて目標とする誘電特性に基づいて
設定され、以下、これについて説明する。本発明では、
誘電特性の評価を、低温燒結性、比誘電率、誘電
率の温度係数(以下、TCCで表す)、Q(1/ta
nδ)特性に関して、以下のように行うものである。
uを主成分とする合金を内部導体とする電子デバイスに
用いられる低温燒結可能な誘電体磁器組成物を提供する
ことにあり、低温燒結性は最重要特性である。具体的に
は、920℃での焼成後に燒結体密度が5.0g/cm
3以上ものを実用可能であると判断する。
共振器に用いられた場合、共振器の長さは誘電率の大き
さに依存するので、共振器の小型化を図るためには誘電
率が大きい方が有利である。しかし、本発明の誘電体磁
器組成物は、上記の誘電体共振器の他にも、Agもしく
はCu、または、AgやCuを主成分とした合金を内部
導体とする種々の電子デバイスに使用可能であり、好ま
しい誘電率の値は一概には決定できない。したがって、
本発明では誘電率の値は特に考慮しないものとする。
れる。 TCC=[(C85℃‐C-25℃)/C25℃]×1/11
0℃×1000000 ここで、TCC:−25℃〜85℃の誘電率の温度係数 C85℃ :85℃でのキャパシタンス C-25℃ :−25℃でのキャパシタンス C25℃ :25℃でのキャパシタンス
ppm/℃以内であることが好ましく、誘電体フィルタ
ではTCCが±100ppm/℃以内であることが好ま
しく、さらに、温度補償用コンデンサーではTCCは広
範な値をもつ方が利用領域が広くなる。そして、本発明
の誘電体磁器組成物を、このような誘電体共振器、誘電
体フィルタ、温度補償用コンデンサ等に利用可能とする
ためには、TCCの目標として0近傍が好ましいが、T
CCの値が大きくても特に問題とはならない。
る合金を内部導体とする電子デバイスに用いられる低温
燒結可能な誘電体磁器組成物を提供することにあり、Q
特性の低下は電子デバイスの損失が大きくなることを意
味するので、ある程度以上のQ特性が必要となる。そこ
で、本発明では、Q特性の目標を1000以上とする。
比誘電率、TCC、および、Q特性等の誘電特性
は、誘電体磁器組成物の主成分組成により大きく影響さ
れ、主成分組成が上記の本発明の組成範囲から外れる
と、以下のような不具合が生じる。
と、誘電率が低下するとともに、低温燒結性も低下(9
20℃での焼成後において燒結体密度が5.0g/cm
3未満となる)する。低温燒結性の低下は、Agもしく
はCu、または、AgやCuを主成分とする合金を内部
導体とする電子デバイスの提供という本発明の目的に対
して致命的であるため、低温燒結性の確保が可能な範囲
にBaO量を限定した。また、BaOが23モル%を超
えると、誘電率が大きくなり低温燒結性が向上し、TC
Cが大きくマイナス側にシフトするとともに、Q特性が
低下(1000未満)する。Q特性の低下は、電子デバ
イスの損失増大を来すことになり好ましくないため、Q
特性の確保(1000以上)が可能な範囲にBaO量を
限定した。
場合、誘電率が増加し、低温燒結性が向上するものの、
TCCおよびQ特性の低下(1000未満)が生じるの
で、Q特性の確保が可能な範囲にNd2O3量を限定し
た。一方、Nd2O3が30モル%を超えると、誘電率が
低下するとともに、低温燒結性が低下(920℃での焼
成後において燒結体密度が5.0g/cm3未満)する
ので好ましくない。
場合、TCCがプラス側に大きくなるとともに、Q特性
が悪化(1000未満)するので好ましくない。一方、
TiO2の割合が68モル%を超えると、低温燒結性が
低下するとともに、TCCがマイナス側に大きくなる。
このため、低温燒結性の確保が可能な範囲にTiO2量
を限定した。
組成が上記の範囲から外れると、以下のような不具合が
生じる。まず、Cu酸化物の割合が、主成分に対してC
uO換算にて0.1重量%未満であると、Cu酸化物に
よる低温燒結効果が不充分なものとなる。また、3.0
重量%を超えると、Q特性が低下(1000未満)して
好ましくないとともに、温度に対して誘電率が非直線的
に変化するため、電子デバイスとしては使用しにくいも
のとなる。
てZnO換算にて0.1重量%未満であると、Zn酸化
物による低温燒結効果が不充分なものとなり好ましくな
い。一方、4.0重量%を超えても、含有量の増加にし
たがって低温燒結性が向上するわけではなく、逆に低温
燒結性が低下するとともに、誘電率の低下、Q特性の低
下等の誘電特性の劣化を引き起こすことになり好ましく
ない。
てB2O3換算にて0.1重量%未満であると、B酸化物
による低温燒結効果が不充分なものとなる。また、3.
0重量%を超えても、含有量の増加にしたがって低温燒
結性が向上するわけではなく、逆に低温燒結性が低下す
るとともに、誘電率の低下、Q特性の低下等の誘電特性
の劣化を引き起こすことになり好ましくない。
法について説明する。まず、主成分であるバリウム,ネ
オジム、チタンの酸化物を用意し、所定量を秤量し混合
して、仮焼を行う。尚、主成分原料としては、酸化物で
ある必要はなく、例えば、炭酸塩、水酸化物、硫化物等
のように熱処理により酸化物となるものを使用しても、
酸化物を使用した場合と同等の誘電体磁器組成物を得る
ことができる。
た湿式混合等により行うことができ、混合時間は4〜2
4時間程度で設定することができる。仮焼は、1100
〜1350℃で1〜24時間程度行うことが望ましい。
物、B酸化物を用意し、所定量を秤量し、上記の仮焼し
た主成分とともに混合粉砕を行う。尚、このような副成
分に関しても、酸化物である必要はなく、例えば、炭酸
塩、水酸化物、硫化物等のように熱処理により酸化物と
なるものを使用することにより、酸化物を使用した場合
と同等の誘電体磁器組成物を得ることができる。
湿式混合等により行うことができる。また、混合粉砕物
に対して後述する焼成温度以下の温度、例えば、650
〜850℃にて1〜10時間程度で再度の仮焼を行い、
その仮焼粉を所定の粒径まで粉砕して用いることが好ま
しい。このような再度の仮焼を行うことにより、主成分
と副成分とを均一に分散させることが可能になるととも
に、粒度分布の狭い粉体を得ることができ、後工程の成
型等の作業性を向上させることができる。
ポリビニルアルコール系、アクリル系、エチルセルロー
ス系のような有機バインダーを混合した後、所望の形状
に成型を行い、この成型物を焼成する。成型はシート法
や印刷法等の湿式成型の他、プレス成型等の乾式成型で
もよく、所望の形状に応じて成型方法を適宜選択するこ
とが可能である。また、焼成は、例えば、空気中のよう
な酸素雰囲気にて行うことが望ましく、焼成温度は85
0〜1100℃の範囲で設定することができ、焼成時間
は0.1〜24時間程度が好ましい。したがって、Ag
もしくはCu、または、AgやCuを主成分とする合金
の融点以下での低温焼成が可能となる。このため、低抵
抗であるAgやCuのような融点の低い金属を内部導体
として電子部品を構成することが可能となり、結果とし
て高周波用デバイスの諸特性の向上、小型化、低コスト
化が可能となる。
成物を含有する必要がないので、誘電特性の向上に加え
て、ガラス製造工程削減による低コスト化と不安定要因
の除去が可能となる。さらに、PbO、Bi2O3等の環
境汚染物質を含有していないので、近年の環境保護の要
請に適応した電子デバイスを提供することが可能になる
とともに、廃液処理等の特殊な設備を必要としないた
め、製造コストの低減が可能となる。また、PbO、B
i2O3は高温において蒸発しやすい物質であるが、本発
明ではこれらの蒸発性物質を含有しないので、製造工程
時の不安定性の除去にも効果のある誘電体磁器組成物が
可能となる。
明する。 (実施例1)まず、主成分原料として、BaCO3、N
d(OH)3およびTiO2を用いて、焼成後のBaO、
Nd2O3およびTiO2の混合比が下記の表1の主成分
組成の欄に示されるものとなるように秤量し、スラリー
濃度30%となるように純水を加え、ボールミルにて1
6時間湿式混合し、その後、乾燥した。この乾燥した粉
末に対して空気中にて仮焼(1250℃、2時間)を行
った。
して、副成分としてのCuO、ZnO、B2O3をそれぞ
れ下記の表1中の副成分組成の欄に示す割合となるよう
に秤量し、スラリー濃度33%となるように純水を加
え、ボールミルにて24時間湿式混合し、その後、乾燥
した。この乾燥した粉末に対して空気中にて再度の仮焼
(750℃、2時間)を行った。このようにして得た粉
末をスラリー濃度33%となるように純水を加えボール
ミルにて24時間湿式粉砕した後、乾燥して誘電体磁器
組成物(試料1〜29)を得た。
体磁器組成物100重量部に対して、バインダーとして
エチルセルロースを6重量部、溶剤としてテルピネオー
ルを90重量部加え、らいかい機にて混合後、3本ロー
ルにて分散し、誘電体ペーストを作製した。この誘電体
ペーストおよびAgペーストをスクリーン印刷法により
交互に積層後、4.5mm×3.2mmのグリーンチッ
プに切断した。このグリーンチップを空気中で2時間焼
成(焼成温度は、試料1のみ1300℃、他の試料2〜
29は920℃とした)した後、端子電極としてAgを
焼き付けて、図1に示されるような断面構造をもつチッ
プコンデンサーを作製した。図1において、チップコン
デンサーは、内部電極1と誘電体2とが交互に積層さ
れ、最外層の内部電極1は、それぞれ端子電極3に接続
されたものである。
て、低温燒結性(誘電体2の燒結密度が5.0g/cm
3以上を実用レベルとする)、誘電率ε、Q(=1/t
anδ)、および、TCC(−25℃から85℃の誘電
率の温度係数)を測定し、結果を下記の表1に示した。
尚、表1中の燒結密度の単位は(g/cm3)、誘電率
εおよびQは無次元、TCCの単位は(ppm/℃)で
ある。
もののZnOを含有しない場合(試料2〜6)、920
℃での燒結密度が5.0g/cm3未満となってしま
い、所望の低温燒結性が確保できない。また、従来の公
知技術によれば、B2O3の含有が最も低温燒結性の向上
に効果があると考えられている。しかし、試料2〜6の
結果から明らかなように、B2O3の含有量を増大させて
も、含有量が1.5重量%までは低温燒結性の向上が確
認されるが、その低温燒結性の向上には限界がある。さ
らにB2O3の含有量を増大させていった場合、逆に低温
燒結性が低下する。以上のことから、CuOおよびB2
O3を含有するのみでは、所望の低温燒結性が確保でき
ないことが確認された。一方、CuO、ZnOおよびB
2O3を含有しても、B2O3の含有量が3重量%を超える
場合(試料22)、920℃での燒結密度が5.0g/
cm3未満となってしまい、所望の低温燒結性が確保で
きない。
ZnOおよびB2O3を含有する場合(試料7〜11、1
3〜21)、920℃の焼成温度であっても、燒結密度
が目標とする5.0g/cm3以上となる。また、この
ときの誘電特性をみると、Q特性も高く(1000以
上)実用上充分な誘電体磁器を得られることが確認され
た。さらに、誘電率εおよびTCCに着目すると、これ
らはZnOあるいはB2O3の含有量変化の影響をほとん
ど受けていないので、本発明では主成分組成の有する誘
電特性を維持したままでZnOおよびB2O3含有による
低温燒結性の向上効果が得られることが確認された。
向上は、ZnO含有量の増大につれて大きくなるもので
はなく、例えば、CuOを1重量%、B2O3を1重量%
含有する場合には、ZnO含有量が2重量%(試料9)
程度のときに最も低温燒結性が良好(燒結密度が最大)
である。そして、さらにZnO含有量が増大すると、低
温燒結性が徐々に低下し、ZnO含有量が4重量%を超
えると(試料12)、920℃での燒結密度が5.0g
/cm3未満となってしまい、所望の低温燒結性が確保
できない。
上は、B2O3含有量の増大につれて大きくなるものでは
なく、例えば、CuOを1重量%、ZnOを2重量%含
有する場合(試料13,15、18,20〜22)に
は、B2O3含有量が1.5〜2重量%(試料18,2
0)程度のときに最も低温燒結性が良好(燒結密度が最
大)である。そして、さらにB2O3含有量が増大する
と、低温燒結性が徐々に低下し、上述のようにB2O3含
有量が3重量%を超えると(試料22)、920℃での
燒結密度が5.0g/cm3未満となってしまい、所望
の低温燒結性が確保できない。
ののCuOを含有しない場合(試料23)、920℃で
の燒結密度が5.0g/cm3未満となってしまい、所
望の低温燒結性が確保できない。しかし、B2O3および
ZnOに加えてCuOを本発明の範囲内で含有する場合
(試料24〜28)、920℃の焼成温度であっても、
燒結密度が目標とする5.0g/cm3以上となる。こ
のようなCuOによる低温燒結性の向上効果は、CuO
の含有量増大にともなって大きくなっている(燒結密度
が増大している)。また、このときの誘電特性をみる
と、Q特性も目標とする1000以上であることから、
実用上充分な誘電体磁器を得られることが確認された。
一方、誘電率εおよびTCCがCuOの含有量変化の影
響をほとんど受けていないので、本発明では主成分組成
の有する誘電特性を維持したままでCuO含有による低
温燒結性の向上効果が得られることが確認された。
る3重量%を超えると(試料29)、Q特性が急激に低
下してしまい、所望の誘電体磁器を得ることができな
い。
nO、B2O3を本発明の範囲内(CuO含有量0.1〜
3.0重量%、ZnO含有量0.1〜4.0重量%、B
2O3含有量0.1〜3.0重量%)で含有せしめること
により、Agの融点以下での低温燒結性を備えた誘電体
磁器組成物を得ることができ、これを用いることによ
り、実用上充分な誘電特性を備える誘電体磁器を作製で
きることが明らかとなった。
3、Nd(OH)3およびTiO2を用いて、焼成後のB
aO、Nd2O3およびTiO2の混合比が下記の表2中
の主成分組成の欄に示されるものとなるように秤量し、
スラリー濃度30%となるように純水を加え、ボールミ
ルにて16時間湿式混合し、その後、乾燥した。この乾
燥した粉末に対して空気中にて仮焼(1250℃、2時
間)を行った。
して、副成分としてのCuO、ZnO、B2O3をそれぞ
れ下記の表2の副成分組成の欄に示す割合となるように
秤量し、スラリー濃度33%となるように純水を加え、
ボールミルにて24時間湿式混合し、その後、乾燥し
た。この乾燥した粉末に対して空気中にて再度の仮焼
(750℃、2時間)を行った。このようにして得た粉
末をスラリー濃度33%となるように純水を加えボール
ミルにて24時間湿式粉砕した後、乾燥して誘電体磁器
組成物(試料30〜57)を得た。
体磁器組成物100重量部に対して、バインダーとして
エチルセルロースを6重量部、溶剤としてテルピネオー
ルを90重量部加え、らいかい機にて混合後、3本ロー
ルにて分散し、誘電体ペーストを作製した。この誘電体
ペーストおよびAgペーストをスクリーン印刷法により
交互に積層後、4.5mm×3.2mmのグリーンチッ
プに切断した。このグリーンチップを空気中で2時間焼
成(焼成温度920℃)した後、端子電極としてAgを
焼き付けて、図1に示されるような断面構造をもつチッ
プコンデンサーを作製した。
て、実施例1と同様に、低温燒結性(誘電体2の密度が
5.0g/cm3以上を実用レベルとする)、誘電率
ε、Q(=1/tanδ)、および、TCC(−25℃
から85℃の誘電率の温度係数)を測定し、結果を下記
の表2に示した。尚、表2中の燒結密度の単位は(g/
cm3)、誘電率εおよびQは無次元、TCCの単位は
(ppm/℃)である。
およびTiO2の組成が本発明の範囲内にある場合、誘
電体磁器組成物は低温燒結性を備え(920℃での焼成
後の燒結密度が5.0g/cm3以上)、得られた誘電
体磁器の誘電特性は実用上充分であることが確認され
た。そして、Nd2O3の割合が減りBaOの割合が増す
にしたがって、誘電率εが大きくなるとともに、Qが減
少する傾向がある。また、TCCはTiO2の割合が増
すにしたがって、正方向にシフトする傾向がみとめられ
た。
合(試料53,54)、低温燒結性を確保することがで
きず、誘電率も低下する。BaO含有量が23モル%を
超える場合(試料55〜57)、Q特性が低下(100
0未満)することが確認された。
の場合(試料55〜57)、Q特性が低下(1000未
満)し、Nd2O3含有量が30モル%を超える場合(試
料53)、低温燒結性を確保することができないことが
確認された。
満の場合(試料35、36、55)、Q特性が低下(1
000未満)し、TiO2含有量が68モル%を超える
場合(試料32、33)、低温燒結性を確保することが
できないことが確認された。
2O3およびTiO2の組成を本発明の範囲内とすること
により、小さな温度係数を保ったまま、40から80以
上という広範な誘電率を選択することができ、その所定
の誘電率を維持したままAgの融点以下での焼成が可能
な誘電体磁器組成物を得られることが明らかとなった。
定の組成範囲にあるBaO−Nd2O3−TiO2系主成
分とともに、Cu酸化物、Zn酸化物およびB酸化物が
含有されるので、誘電特性を低下させることなく、Ag
もしくはCu、または、AgやCuを主成分とする合金
の融点以下で焼成することができる誘電体磁器組成物が
得られる。これにより、低抵抗であるAgやCuのよう
な融点の低い金属を内部導体として電子部品を構成する
ことが可能となり、結果として高周波用デバイスの諸特
性の向上、小型化、低コスト化が可能となる。さらに、
本発明では、副成分としてガラス組成物を含有する必要
がないので、誘電特性等の特性劣化を防止することがで
き、かつ、ガラス製造の工程が不要となるので、低コス
ト化と不安定要因の除去が可能となる。また、本発明で
は、PbO、Bi2O3等の環境汚染物質を含有していな
いので、近年の環境保護の要請に適応した電子デバイス
を提供することが可能になるとともに、その製造工程に
おいて廃液処理等の特殊な設備を必要としないため、製
造コストの低減が可能となる。さらに、PbO、Bi 2
O3は高温において蒸発しやすい物質であるが、本発明
ではこれらの蒸発性物質を含有しないので、製造工程時
の不安定性の除去も可能となる。
ある。
Claims (1)
- 【請求項1】 主成分が一般式xBaO・yNd2O3・
zTiO2(ただし、6≦x≦23、13≦y≦30、
64≦z≦68、x+y+z=100の関係を有する)
で表され、該主成分に対して副成分としてCu酸化物を
CuO換算で0.1〜3.0重量%、Zn酸化物をZn
O換算で0.1〜4.0重量%、B酸化物をB2O3換算
で0.1〜3.0重量%の範囲で含有することを特徴と
する誘電体磁器組成物。
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1999
- 1999-03-16 JP JP07000599A patent/JP4203176B2/ja not_active Expired - Lifetime
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