JP2000262051A - 絶縁型dcーdcコンバータ - Google Patents

絶縁型dcーdcコンバータ

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JP2000262051A
JP2000262051A JP11057833A JP5783399A JP2000262051A JP 2000262051 A JP2000262051 A JP 2000262051A JP 11057833 A JP11057833 A JP 11057833A JP 5783399 A JP5783399 A JP 5783399A JP 2000262051 A JP2000262051 A JP 2000262051A
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匡彦 松本
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回路効率に優れ低ノイズの絶縁型DCーDC
コンバータを提供する。 【解決手段】 メイントランス4の1次側に主スイッチ
素子2を、2次側には整流側同期整流素子5と転流側同
期整流素子6と駆動スイッチ素子7を設ける。PWM制
御回路12の制御パルスによって主スイッチ素子2をス
イッチング制御する。主スイッチ素子2のオン期間に同
期させて同期整流素子5と駆動スイッチ素子7をオンさ
せ、転流側同期整流素子6をオフさせる。主スイッチ素
子2のオン期間にメイントランス4の1次側の電力を2
次側に伝達し、出力端子10から直流出力を送出する。
PWM制御回路12から主スイッチ素子2に至る経路に
ドライブトランス11の1次側を接続し、PWM制御回
路12からのオン信号出力時に、ドライブトランス11
のリセットパルスを駆動スイッチ素子7に加え、主スイ
ッチ素子2がターンオンする前に転流側同期整流素子6
をターンオフさせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スイッチング電源
等に使用され、定電圧を出力する絶縁型DCーDCコン
バータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】定電圧を出力する回路として絶縁型DC
ーDCコンバータが知られており、図11にはその従来
例のフォワードコンバータタイプの回路が示されてい
る。この回路は特開平3−235668号公報に開示さ
れているものである。
【0003】同図において、1は入力端子で、1aは
(+)入力、1bは(−)入力、2は主スイッチ素子、
3はダイオード、4はメイントランス、5は主スイッチ
素子2がスイッチオン時に導通する同期整流素子(整流
側同期整流素子)、6は主スイッチ素子2がスイッチオ
フ時に導通する同期整流素子(転流側同期整流素子)、
7は転流側同期整流素子6の駆動スイッチ素子、8はチ
ョークコイル、9はコンデンサ、Dはそれぞれの素子の
寄生ダイオードである。また、10は出力端子で、10
aは(+)出力、10bは(−)出力であり、2、5、
6、7、のスイッチ素子はNチャンネルMOS FET
である。
【0004】この回路において、入力端子1から入力さ
れた直流電力は、主スイッチ素子2のスイッチング動作
によって、交流に変換される。主スイッチ素子2のオン
期間にメイントランス4によって交流電力は2次側回路
に伝達される。そして、交流電力は同期整流素子5、6
で整流された後、チョークコイル8、コンデンサ9によ
って再び直流に変換されて出力端子10から出力され
る。
【0005】整流側同期整流素子5および駆動スイッチ
素子7は、主スイッチ素子2のスイッチング動作に起因
して生じるメイントランス4の電圧変化によって、主ス
イッチ素子2がオンの時にオンするように駆動される。
従って、主スイッチ素子2のオン期間では、メイントラ
ンス4の2次側で、電流は図の実線の経路で流れ、チョ
ークコイル8に電磁エネルギーが蓄えられ、出力端子1
0から出力電圧が送出される。
【0006】主スイッチ素子2がオフしてメイントラン
ス4にリセットパルスが発生すると、駆動スイッチ素子
7の寄生ダイオードDを通して転流側同期整流素子6の
入力容量が充電され、転流側同期整流素子6がオンす
る。主スイッチ素子2のオフ期間の途中でメイントラン
ス4のリセットが完了してリセットパルスがなくなって
も、主スイッチ素子2がオンするまで駆動スイッチ素子
7はオフ状態を維持する。従って、駆動スイッチ素子7
のオフ期間は同期整流素子6の入力容量の充電電荷の放
電経路が閉ざされるので、転流側同期整流素子6はオン
状態を維持する。主スイッチ素子2のオフ期間において
はチョークコイル8に蓄積された電磁エネルギによって
電流が図の点線の経路で流れ、出力端子10から出力電
圧が送出される。
【0007】この従来の回路では、整流側同期整流素子
5のオン・オフ動作を主スイッチ素子2のオン・オフ動
作に同期させている。その上で、さらに、駆動スイッチ
素子7を設けることによって、主スイッチ素子2のオフ
期間の全期間にわたって転流側同期整流素子6をオンさ
せることができるので、回路効率が改善されるというも
のである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来例の回路は、主ス
イッチ素子2のターンオンに同期させて整流側同期整流
素子5と駆動スイッチ素子7をオン動作することができ
る。しかしながら、転流側同期整流素子6は駆動スイッ
チ素子7がオンした後、転流側同期整流素子6の入力容
量の電荷が駆動スイッチ素子7を通り放電されてからオ
ンする。そのため、駆動スイッチ素子7がオンしてから
転流側同期整流素子6がオンするまで数十nscの遅れ
が生じる。この遅れのため、主スイッチ素子2がオンし
て整流側同期整流素子5がオンした直後には転流側同期
整流素子6が未だオン状態にあるため、メイントランス
4の2次コイルが短絡状態となる。この短絡現象によっ
て、メイントランス4の2次コイル、転流側同期整流素
子6、整流側同期整流素子5、メイントランス4の2次
コイルを順に通る経路に大量の短絡電流が流れる。
【0009】この短絡電流は整流側同期整流素子5がオ
ンしてから転流側同期整流素子6がオフする期間に流れ
る。この短絡電流の流れによって無視できない大きな導
通損失およびノイズが発生する。このため、本来、主ス
イッチ素子2のオン・オフ動作に整流素子5、6の動作
を同期させて回路効率を高めようとしたにも拘らず、前
記短絡電流の導通損失のため、回路効率がかえって悪く
なり、かつ、ノイズの発生によって、回路動作の性能も
悪くなるという問題が発生した。
【0010】特に、前記短絡電流による導通損失は、主
スイッチ素子2のスイッチング周波数に比例して大きく
なるため、従来の回路は、DCーDCコンバータの小型
化を目的としたスイッチング周波数の高周波化を図る上
で支障となる。
【0011】本発明は、上記従来の課題を解決するため
に成されたものであり、その第1の目的は、主スイッチ
素子2のオフ期間のほぼ全域で、同期整流素子6をオン
させることで、導通損失を低減することである。また、
本発明の第2の目的は、主スイッチ素子2がターンオン
するときに、同期整流素子6のターンオフの遅れを防止
して、前記短絡電流を無くし、回路の高効率化および低
ノイズ化を達成し、スイッチング周波数の高周波化に伴
う小型化が可能な絶縁型DCーDCコンバータを提供す
ることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、次のような手段を講じたことを特徴とす
る。すなわち、第1の発明は、メイントランスによって
1次側回路と2次側回路が絶縁され、1次側回路には制
御パルスによる入力容量の充放電動作によってオン・オ
フ駆動される主スイッチ素子を備え、2次側回路には少
なくとも前記主スイッチ素子のオン駆動に同期させてオ
フ駆動する同期整流素子が設けられ、前記主スイッチ素
子のオン駆動と前記同期整流素子のオフ駆動を同期さ
せ、主スイッチ素子のオン・オフ駆動によって1次側回
路から2次側回路にエネルギを伝達し、2次側回路で整
流平滑して直流電圧を出力端から出力する絶縁型DCー
DCコンバータにおいて、前記主スイッチ素子の入力容
量の充電経路にドライブトランスの1次コイルが接続さ
れ、ドライブトランスの2次側には、前記制御パルスに
よる主スイッチ素子のオン駆動時に、主スイッチ素子の
入力容量が充電してターンオンする前に前記ドライブト
ランスの2次側出力を用いて前記同期整流素子をターン
オフさせる同期整流素子の早期オフ駆動回路が設けられ
ていることを特徴とする。
【0013】また、第2の発明は、前記第1の発明の構
成を備えたものにおいて、早期オフ駆動回路によってタ
ーンオフ駆動される同期整流素子のターンオン信号はメ
イントランスのリセットパルスによって供給される構成
としたことを特徴とする。
【0014】さらに、第3の発明は、前記第1又は第2
の発明の構成を備えたものにおいて、主スイッチ素子へ
制御パルスを供給する経路にnpnトランジスタとpn
pトランジスタのエミッタ側同士を接続して成るトーテ
ムポール回路をそれぞれのトランジスタのベース側を制
御パルスの供給源側として介設し、ドライブトランスの
1次コイルの一端側には補助電源を接続し、この補助電
源からドライブトランスの1次コイルおよびトーテムポ
ール回路のnpnトランジスタを経由して主スイッチ素
子の入力容量に至る経路を充電経路と成し、制御パルス
のオン出力時に補助電源出力をトーテムポール回路で増
幅してドライブトランスの1次コイルへ供給する構成と
したことを特徴とする。
【0015】さらに、第4の発明は、前記第1又は第2
の発明の構成を備えたものにおいて、同期整流素子は入
力容量の充放電によってオン・オフするスイッチ素子と
成し、早期オフ駆動回路は、該同期整流素子の入力容量
の放電経路に介設されスイッチオンによって同期整流素
子の入力容量を放電させて同期整流素子をオフさせる駆
動スイッチ素子と、主スイッチ素子のオン駆動時に出力
されるドライブトランスの2次コイルのパルス出力をそ
のオン期間を広げて前記駆動スイッチ素子にスイッチオ
ン駆動信号として加えるパルス幅開拡回路とを有して構
成されていることを特徴とする。
【0016】さらに、第5の発明は、前記第1又は第2
の発明の構成を備えたものにおいて、主スイッチ素子の
入力容量の充電経路には、主スイッチ素子のオン駆動時
に該主スイッチ素子がターンオンする前に主スイッチ素
子の入力容量を瞬間的に短絡してドライブトランスの1
次コイルへの供給電圧を高めてドライブトランスの出力
をアップする瞬間短絡動作回路が接続されていることを
特徴とする。。
【0017】さらに、第6の発明は、前記第1又は第2
の発明の構成を備えたものにおいて、早期オフ駆動回路
は主スイッチ素子のオン駆動時にドライブトランスから
出力されるパルス信号を同期整流素子のオフ駆動信号に
変換する論理回路によって構成されていることを特徴と
する。
【0018】さらに、第7の発明は、メイントランスに
よって1次側回路と2次側回路が絶縁され、1次側回路
には制御パルスによる入力容量の充放電動作によってオ
ン・オフ駆動される主スイッチ素子を備え、2次側回路
には少なくとも前記主スイッチ素子のオン駆動に同期さ
せてオフ駆動する同期整流素子が設けられ、前記主スイ
ッチ素子のオン駆動と前記同期整流素子のオフ駆動を同
期させ、主スイッチ素子のオン・オフ駆動によって1次
側回路から2次側回路にエネルギを伝達し、2次側回路
で整流平滑して直流電圧を出力端から出力する絶縁型D
CーDCコンバータにおいて、前記主スイッチ素子の入
力容量の充電経路にドライブトランスの1次コイルとコ
ンデンサとの直列回路が主スイッチ素子の入力容量に並
列に接続され、ドライブトランスの2次側には、前記制
御パルスによる主スイッチ素子のオン駆動時に、主スイ
ッチ素子の入力容量が充電してターンオンする前に前記
ドライブトランスの2次側出力を用いて前記同期整流素
子をターンオフさせる同期整流素子の早期オフ駆動回路
が設けられていることを特徴とする。
【0019】本発明において、主スイッチ素子のオフ期
間の後、制御パルスのオン信号が主スイッチ素子に加え
られ、充電経路を通して供給される電流によって、主ス
イッチ素子の入力容量が充電を開始する。その一方で、
制御パルスのオン期間に充電経路を通して供給される電
流はドライブトランスの1次コイルに供給される。そし
て、ドライブトランスの2次コイルにリセットパルス電
圧が発生する。このパルス電圧を受けて早期オフ駆動回
路は主スイッチ素子が充電完了(入力容量の電位がター
ンオンのスレッシュホールド電位に達するまで充電され
ること)してターンオンする前に同期整流素子をターン
オフさせる。
【0020】したがって、メイントランスの1次側から2
次側に電力が伝達されたときには同期整流素子はオフし
ているので、この同期整流素子によって回路が短絡され
ることは無い。したがって、同期整流素子のターンオフ
遅れによって、短絡電流が同期整流素子を通って流れる
という従来の問題が解消され、短絡電流に起因した導通
損失やノイズの発生が無く、高効率高性能の絶縁型DC
ーDCコンバータの提供が可能となるものである。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例を図面
に基づき説明する。なお、以下の各実施形態例の説明に
おいて、従来例を含め、共通の回路構成要素には共通の
符号を付し、その重複説明は省略又は簡略化する。図1
には本発明に係る絶縁型DCーDCコンバータの第1実
施形態例の回路構成が示され、図2にはその主要な動作
波形が示されている。この絶縁型DCーDCコンバータ
は共振リセットフォワードコンバータタイプのもので、
入力端子1に直流電力が加えられている。この入力端子
1のうちの1aは(+)側の入力端子であり、1bは
(−)側の入力端子である。
【0022】入力端子1aにはメイントランス4の1次
コイル4aの巻き始め端が接続されている。1次コイル
4aの巻き終わり端はMOS FETからなる主スイッ
チ素子2のドレインに接続されている。主スイッチ素子
2のソースは入力端子1b側に接続されている。主スイ
ッチ素子2のゲートにはドライブトランス11の1次コ
イル11aの巻き始め端が接続されている。1次コイル
11aの巻き終わり端と入力端子1bとの間にはPWM
制御回路(パルス幅制御回路)12が介設されている。
等価回路的には、1次コイル11aの励磁インダクタン
スLと主スイッチ素子2の入力容量Cとは直列LC共振
回路を構成する。なお、図1には図示されていないが、
このPWM制御回路12を駆動する直流の補助電源がメ
イントランス4の1次側に設けられている。
【0023】前記PWM制御回路12は主スイッチ素子
2に矩形の制御パルスを出力する回路であり、PWM制
御回路12の出力端からドライブトランス11の1次コ
イル11aを経由して主スイッチ素子2のゲートに至る
経路は主スイッチ素子2の入力容量の充電経路を構成し
ている。1次コイル11aの両端間にはアノード側を1
次コイル11aの巻き始め端側(主スイッチ素子2のゲ
ート側)にしたダイオード13が接続されている。
【0024】前記メイントランス4はコアを共通にして
1次コイル4aと、2次コイル2bと、3次コイル4c
とが券装されてなるもので、2次コイル4bの巻き始め
端はMOS FETのスイッチ素子からなる同期整流素
子(整流側同期整流素子)5のゲート側に接続されてい
る。同期整流素子5のドレインは2次コイル4bの巻き
終わり端に接続されている。
【0025】また、2次コイル4bの巻き始め端側には
MOS FETのスイッチ素子からなる同期整流素子
(転流側同期整流素子)6のドレイン側が接続されてい
る。転流側同期整流素子6のゲートは前記3次コイル4
cの巻き終わり端に接続されている。3次コイル4cの
巻き始め端はMOS FETからなる駆動スイッチ素子
7のドレインに接続されている。駆動スイッチ素子7の
ゲートはドライブトランス11の2次コイル11bの巻
き終わり端に接続されている。2次コイル11bの巻き
始め端と駆動スイッチ素子7のソース端と転流側同期整
流素子6のソース端と前記整流側同期整流素子5のソー
ス端は共通の導通ラインに接続されている。
【0026】整流側同期整流素子5と転流側同期整流素
子6と駆動スイッチ素子7のそれぞれの共通ソース端側
にはチョークコイル8の一端側が接続されている。チョ
ークコイル8の他端側にはコンデンサ9の一端が接続さ
れ、コンデンサ9の他端は2次コイル4bの巻き始め端
と、整流側同期整流素子5のゲートと、転流側同期整流
素子6のドレインとの共通接続導通ラインに接続されて
いる。コンデンサ9の両端は出力端子10となってお
り、そのうち、10aは(+)側出力端子であり、10
bは(−)側出力端子である。なお、図から明らかなよ
うに、各スイッチ素子2、5、6、7はNチャンネルM
OS FETである。
【0027】第1実施形態例の絶縁型DCーDCコンバ
ータは上記のように構成され、前記従来例と同様に、入
力端子1から入力する直流電力は、主スイッチ素子2の
スイッチング動作によって交流電力に変換され、メイン
トランス4の1次側からメイントランス4の2次側に伝
達される。そして、この伝達された交流電力は、メイン
トランス4の2次側で、同期整流素子5、6で整流され
た後、チョークコイル8およびコンデンサ9によって直
流に変換されて出力端子10から負荷へ送出される。
【0028】この実施形態例において特徴的なことは、
PWM制御回路12から主スイッチ素子2に制御パルス
のオン信号が加えられたときに、主スイッチ素子2がタ
ーンオンする前に転流側の同期整流素子6をターンオフ
させる特有な回路を付加したことである。本実施形態例
において、この特有な回路は、ドライブトランス11と
早期オフ駆動回路30とによって構成され、この第1実
施形態例では、駆動スイッチ素子7が早期オフ駆動回路
30として機能している。
【0029】次にこのドライブトランス11と早期オフ
駆動回路30の特有な動作を説明する。先ず、PWM制
御回路12から図2の(a)に示すような制御パルスの
オン信号が出力されると、このオン信号は充電経路を通
ってドライブトランス11の1次コイル11aと主スイ
ッチ素子2の入力容量に加えられる。この制御パルスの
オン信号を受けて主スイッチ素子2の入力容量は充電を
開始する。一方ドライブトランス11は1次コイル11
aにオン信号を受けて図2の(c)に示すごとく瞬間的
に駆動スイッチ素子7の入力容量を充電するに十分なパ
ルス電圧を2次コイル11bに誘起する。このリセット
パルスは1次コイル11aの励磁インダクタンスLと主
スイッチ素子2の入力容量Cとの直列LC共振によって
作成され、例えば800Hzという如く周波数の低い制
御パルスのオン信号が高周波のリセットパルスに信号変
換される。
【0030】この2次コイル11bのパルス電圧を受け
て駆動スイッチ素子7の入力容量は瞬間的に充電を終了
し、駆動スイッチ素子7をターンオンさせる。駆動スイ
ッチ素子7がターンオンすると、転流側同期整流素子6
の入力容量の電荷が3次コイルおよび駆動スイッチ素子
7を通る放電経路を通って引き抜き放電される。この電
荷の放電により、転流側同期整流素子6は未だ主スイッ
チ素子2がターンオン(図2の(b)のA点がターンオ
ン位置)の充電電位に達する前にターンオフする(図2
の(f)のB点がターンオフ位置)。
【0031】したがって、主スイッチ素子2がターンオ
ンして整流側同期整流素子5がターンオンする前にすで
に転流側同期整流素子6がターンオフしているので、整
流側同期整流素子5がターンオンしたときにメイントラ
ンス4の2次コイル4bが転流側同期整流素子6によっ
て短絡されるということが無い。この結果、転流側同期
整流素子6のターンオフの遅れによってメイントランス
4の2次側に短絡電流が流れて、導通損失が増大し、か
つ、ノイズが発生するという従来回路の問題点を完璧に
解消解決することが可能となる。
【0032】なお、主スイッチ素子2のオン期間におい
ては、2次コイル4b、コンデンサ9、チョークコイル
8、整流側同期整流素子5、2次コイル4bを順に通る
経路で、電流が流れ、出力端子10から直流出力が負荷
(図示せず)へ送出される。
【0033】また、PWM制御回路12から制御パルス
のオフ信号が充電経路を通って主スイッチ素子2に加え
られると、主スイッチ素子2の入力容量の電荷がPWM
制御回路12を通して入力端子1b側(アース側)に引
き抜かれるので、主スイッチ素子2はターンオフする。
そうすると、メイントランス4およびドライブトランス
11の極性が反転し、メイントランス4から発するリセ
ットパルスによって(このリセットパルスに同期し
て)、整流側同期整流素子5がターンオフし、転流側同
期整流素子6がターンオンする。転流側同期整流素子6
は3次コイル4cから供給されるリセットパルスによっ
てターンオンするが、そのリセットパルスが主スイッチ
素子2のオフ期間の途中で無くなっても、駆動スイッチ
素子7がオフされているので、転流側同期整流素子6の
入力容量の電荷の放電経路が閉ざされた状態となる。そ
の結果、転流側同期整流素子6は主スイッチ素子2のオ
フ期間のほぼ全領域にわたってオン状態を維持すること
となるので、主スイッチ素子2のオフ期間での回路効率
を高めることも可能である。
【0034】また、転流側同期整流素子6のターンオン
信号を3次コイル4cから加える構成としているので、
3次コイル4cの巻数の最適設計により、転流側同期整
流素子6のターンオン駆動電圧を最適電圧に設定できる
という効果が得られる。
【0035】なお、主スイッチ素子2のオフ期間におい
ては、チョークコイル8の電磁エネルギの電流がチョー
クコイル8、転流側同期整流素子6、コンデンサ9、チ
ョークコイル8を順に通る経路で流れ、出力端子10か
ら負荷に直流電圧が加えられる。また、この実施形態例
においても、従来例と同様に、メイントランス4の出力
(電圧)が検出され、この出力が一定となるようにPW
M制御回路12により、制御パルスのパルス幅制御が行
われる。
【0036】図3は、本発明に係る絶縁型DCーDCコ
ンバータの第2実施形態例の回路構成が示されている。
この第2実施形態例が前記第1実施形態例と異なる点
は、主スイッチ素子2の充電経路にトーテムポール回路
を接続し、ダイオード13を省略したことである。それ
以外の構成は前記第1実施形態例と同様である。
【0037】図3において、補助電源14の負極は入力
端子1b側に接続され、補助電源14の正極はドライブ
トランス11の1次コイル11aの巻き始め端に接続さ
れている。トーテムポール回路はnpnトランジスタ1
5のエミッタとpnpトランジスタ16のエミッタを接
続することによって形成されている。トランジスタ1
5、16のエミッタ相互の接続点は主スイッチ素子2の
ゲートに接続され、トランジスタ15、16のベースは
それぞれPWM制御回路12の出力端に接続されてい
る。そして、npnトランジスタ15のコレクタは1次
コイル11aの巻き終わり端に、pnpトランジスタ1
6のコレクタは入力端子1bにそれぞれ接続されてい
る。
【0038】補助電源14の正極から1次コイル11
a、npnトランジスタ15を順に経て主スイッチ素子
2のゲートに至る経路は主スイッチ素子2の入力容量の
充電経路と成している。また、主スイッチ素子2のゲー
トからpnpトランジスタ16を経て入力端子1bに至
る経路は主スイッチ素子2の入力容量の放電経路と成し
ている。
【0039】この第2実施形態例では、PWM制御回路
12から制御パルスのオン信号がnpnトランジスタ1
5とpnpトランジスタ16のベースに加えられると、
npnトランジスタ15はターンオンし、pnpトラン
ジスタ16はターンオフする。この結果、補助電源14
の直流電力は充電経路を通ってドライブトランス11の
1次コイル11aと主スイッチ素子2の入力容量に加え
られ、前記第1実施形態例と同様に、主スイッチ素子2
がターンオンする前に転流側同期整流素子6をターンオ
フすることができ、第1実施形態例と同様な効果を奏す
る。なお、トーテムポール回路は電流増幅作用があるの
で、メイントランス4の1次コイル11aへより大きな
電流を加えることができるという利点が得られる。
【0040】図4は本発明の第3実施形態例の回路構成
を示す。この第3実施形態例が前記図1に示す第1実施
形態例と異なることは、早期オフ駆動回路30を駆動ス
イッチ素子7とパルス幅開拡回路とによって構成したこ
とである。それ以外の構成は第1実施形態例と同様であ
る。駆動スイッチ素子7は第1実施形態例の場合と同様
に転流側同期整流素子6の放電経路に介設されている。
パルス幅開拡回路はダイオード17と抵抗体18、19
によって構成されている。このパルス幅開拡回路はドラ
イブトランス11の2次コイル11bの巻き終わり端と
駆動スイッチ素子7のゲート間に接続されている。
【0041】すなわち、ダイオード17のアノードが2
次コイル11bの巻き終わり端に接続され、ダイオード
17のカソードが駆動スイッチ素子7のゲートに接続さ
れている。そして、ダイオード17に抵抗体18が並列
接続され、ダイオード17のカソードと駆動スイッチ素
子7のゲートとの接続部に抵抗体19の一端側が接続さ
れ、抵抗体19の他端側はメイントランス4の2次コイ
ル4bの巻き始め端と出力端子10aを結ぶプラス側出
力ラインLに接続されている。
【0042】この第3の実施形態例はドライブトランス
11の2次コイル11bから発せられるリセットパルス
(PWM制御回路12から制御パルスのオン信号が出力
されたときに2次コイル11bから出力されるパルス)
のパルス幅を開拡して駆動スイッチ素子7のゲートに加
える構成としたことを特徴としている。
【0043】図5はこのリセットパルスの開拡状況を示
したもので、図5の(a)はPWM制御回路12から出
力される制御パルスを示し、同図の(b)はドライブト
ランス11の2次コイル11bから出力されるリセット
パルスを示している。また、同図の(c)は抵抗体18
のみによって開拡されたリセットパルスの波形を示し、
同図の(d)は抵抗体18と19の共同によって開拡さ
れたリセットパルスの波形を示す。
【0044】このように、パルス幅開拡回路によって、
リセットパルスの幅が開拡されて駆動スイッチ素子7の
ゲートに加えられるので、この広いパルス幅の期間にわ
たって駆動スイッチ素子7がオン状態を維持できる。し
たがって、転流側同期整流素子6の入力容量電荷の引き
抜き放電時間が長くなるので、その入力容量電荷の放電
が確実に行われ、転流側同期整流素子6のターンオフを
確実に行わせることができるという効果が得られる。
【0045】パルス幅開拡回路を設けないと、リセット
パルスのパルス幅が狭い場合には、駆動スイッチ素子7
のオン時間が短くなる。そのため、転流側同期整流素子
6の入力容量の電荷が抜けきらないうちに駆動スイッチ
素子7がオフして放電経路が断たれ、転流側同期整流素
子6のターンオフ動作が正常に行われなくなるという虞
が生じる。第3実施形態例では、パルス幅開拡回路を設
けているので、このような虞は生ぜず、転流側同期整流
素子6のターンオフ動作を信頼性をもって確実に行わせ
ることができる。
【0046】本発明者の実験によれば、リセットパルス
の開拡は抵抗体18と19のうち抵抗体18のみで充分
であり、抵抗体19は省略してもよい。
【0047】この第3実施形態例のそれ以外の動作は前
記第1実施形態例と同様であり、第1実施形態例によっ
て得られる効果を当然に奏するものである。
【0048】図6は本発明の第4実施形態例を示す。こ
の第4実施形態例が前記第1実施形態例と異なること
は、メイントランス4の構造を簡易にするために、転流
側同期整流素子6をターンオンする3次コイル4cを省
略し、メイントランス4の2次コイル4bを用いて転流
側同期整流素子6をターンオンする構成としたことであ
る。そのため、駆動スイッチ素子7のドレインが転流側
同期整流素子6のゲートに接続されている。
【0049】それ以外の構成は前記第1実施形態例と同
様であり、第1実施形態例と同様な動作により、第1実
施形態例と同様な短絡電流防止による効果が得られるも
のである。
【0050】図7は本発明に係る絶縁型DCーDCコン
バータの第5実施形態例を示す。この第5実施形態例が
前記第1実施形態例と異なることは、メイントランス4
の1次側に、ドライブトランス11のリセットパルスの
出力電圧をアップする瞬間短絡動作回路が設けられてい
ることである。それ以外の構成は前記第1実施形態例と
同様である。この特徴的な瞬間短絡動作回路はnpnト
ランジスタ20と、コンデンサ21と、抵抗体22とに
よって構成されている。
【0051】コンデンサ21の一端側はPWM制御回路
12の出力端側に接続され、コンデンサ21の他端側は
npnトランジスタ20のベースに接続されている。n
pnトランジスタ20のエミッタは主スイッチ素子2の
ソースと入力端子1bを結ぶ導通ライン28に接続され
ている。また、npnトランジスタ20のコレクタはド
ライブトランス11の1次コイル11aと主スイッチ素
子2のゲートを結ぶ区間の充電経路に接続されている。
そして、抵抗体22の一端はコンデンサ21とnpnト
ランジスタ20のゲートを結ぶ導通経路に接続され、抵
抗体22の他端は前記導通ライン28に接続されてい
る。
【0052】この瞬間短絡動作回路40は、PWM制御
回路12から制御パルスのオン信号が出力されたとき
に、主スイッチ素子2の入力容量が小さい等の理由で、
ドライブトランス11に駆動スイッチ素子7をターンオ
ンする十分な電圧を発生できなくなる虞を解消する回路
構成と成している。
【0053】すなわち、コンデンサ21と抵抗体22の
部分は微分回路となっている。この微分回路はPWM制
御回路12から制御パルスのオン信号が出力されたと
き、主スイッチ素子2の入力容量が充電されて主スイッ
チ素子2がターンオンする前の数十nsecの間だけ、
npnトランジスタ20をオンさせて、主スイッチ素子
2の入力容量(ゲート・ソース間)を短絡する。この短
絡により、ドライブトランス11の1次コイル11aに
瞬間的に大きな電圧(電流)を供給し、ドライブトラン
ス11の2次コイル11bから駆動スイッチ素子7をオ
ンさせる充分大きなパルス電圧を出力して、主スイッチ
素子2がターンオンする前に転流側同期整流素子6を確
実にターンオフさせることが可能となる。また、この回
路では、主スイッチ素子2の入力容量(ゲート・ソース
間)が短絡されているときには入力容量の充電が行われ
ないので、PWM制御回路12から制御パルスのオン信
号が出力されてから主スイッチ素子2の入力容量がター
ンオン電位まで充電される時間を遅らせることができる
という効果が得られる。
【0054】図8は本発明の第6実施形態例を示す。こ
の第6実施形態例が前記第1実施形態例と異なること
は、早期オフ駆動回路30を論理回路を用いて構成した
ことであり、それ以外の構成は前記第1実施形態例と同
様である。この第6実施形態例における早期オフ駆動回
路30は、論理素子のNORゲート23と、ダイオード
24と、抵抗体25と、コンデンサ26とを有して構成
されている。
【0055】NORゲート23の出力端は転流側同期整
流素子6のゲートに接続され、NORゲート23の一方
の入力端は整流側同期整流素子5のゲートとメイントラ
ンス4の2次コイル4bの巻き始め端とを結ぶ導通路に
接続されている。また、NORゲート23の他方側の入
力端は、ダイオード24と抵抗体25との並列回路を介
してドライブトランス11の2次コイル11bの巻き終
わり端に接続されている。なお、ダイオード24はカソ
ード側をNORゲート23側の向きとしている。コンデ
ンサ26はその一端側が同期整流素子5、6のソース側
に接続され、他端側がダイオード24と抵抗体25の並
列回路が接続されている側のNORゲート23の入力端
子に接続されている。
【0056】この第6実施形態例においては、PWM制
御回路12から制御パルスのオン信号が出力されてドラ
イブトランス11の2次コイル11bにリセットパルス
が発生したときに、NORゲート23はこのリセットパ
ルスをうけて、主スイッチ素子2がターンオンする前に
転流側同期整流素子6をターンオフさせる。この結果、
前記各実施形態例と同様に転流側同期整流素子6のター
ンオフ遅れに起因する短絡電流の発生を防止し、回路動
作の高効率化とノイズ低減を図ることができるものであ
る。この実施形態例の回路においては、主スイッチ素子
2のターンオン時にメイントランス4の2次コイル4b
に発生するHレベル出力によっても転流側同期整流素子
6をターンオフさせることが可能である。しかし、実際
の回路動作では、メイントランス4の2次コイル4bに
Hレベル出力が現われるよりもドライブトランス11の
2次コイル11bにリセットパルスが現われるのが早い
ので、2次コイル11bのリセットパルスによって転流
側同期整流素子6のターンオフ動作が行われる。
【0057】この実施形態例の早期オフ駆動回路30に
組み込まれているダイオード24と抵抗体25とコンデ
ンサ26の回路部分はドライブトランス11に発生して
NORゲート23に加えられるリセットパルスのパルス
幅を広げる機能を持っている。なお、図8に示す例で
は、論理素子をNORゲート23で構成したが、インバ
ータ、NANDゲート等の適宜の論理素子を用いて転流
側同期整流素子6のターンオフを駆動する回路を早期オ
フ駆動回路30の回路として構成することが可能であ
る。
【0058】図9は本発明に係る絶縁型DCーDCコン
バータの第7実施形態例を示す。前述した第1〜第6の
各実施形態例では、等価回路的には主スイッチ素子2の
入力容量(寄生容量)をドライブトランス11の1次コ
イル11aに直列に接続し、その入力容量を利用してド
ライブトランス11にパルスの電圧を発生させたが、第
7実施形態例ではドライブトランス11にパルスの電圧
を発生させるコンデンサを外付けのコンデンサによって
構成したことを特徴としている。
【0059】そのため、第7実施形態例では、ドライブ
トランス11の1次コイル11aと外付けのコンデンサ
31との直列回路が主スイッチ素子2の入力容量と並列
に接続されている。そして、ドライブトランス11の1
次コイル11aと外付けのコンデンサ31との直列回路
がLC共振回路を構成している。また、ダイオード13
のカソード側が1次コイル11aの巻き始め端側に接続
され、ダイオード13のアノード側は、1次コイル11
aの巻き終わり端側に接続されている。それ以外の構成
は前記第1実施形態例と同様であり、第1実施形態例と
同様な回路動作により、第1実施形態例と同様な効果を
得ることができる。なお、この第7実施形態例の回路
で、メイントランス4の2次側の回路は図4、図6、図
8の2次側の回路と同様に構成することも可能である。
【0060】以上説明した各実施形態例の回路は、いず
れもメイントランス4とドライブトランス11の2つの
トランスを備えている。この2つのトランスは、それぞ
れ別個のコアを用いてそれぞれ独立した別個のトランス
構成としてもよいが、1個の共通のコアを用いてメイン
トランス4とドライブトランス11を構成してもよい。
【0061】1個のコアを用い巻線を巻いて2つのトラ
ンス4、11を構成する場合、装置の小型化のためには
ドライブトランス11の巻線の巻回数を少なくすること
が望ましい。また、基板上にコアとコイルのパターンを
印刷して、共通の1個のコアを用いて2つのトランスを
基板上に形成する場合も、コイルパターンの幅とパター
ン間隔に規格上の制約があるため、コイルのパターン数
が多くなるとトランスが大型化してしまうという問題が
ある。そのため、基板上に2個のトランス4、11を形
成する場合もドライブトランス11のコイルのパターン
巻回数は少なくすることが望ましい。
【0062】しかし、ドライブトランス11の巻線や、
パターンの巻回数を少なくすると、ドライブトランスの
励磁インダクタンスが小さくなり、主スイッチ素子2の
スイッチング周波数が例えば数百Khzという如く1M
hz未満の周波数の場合には、その低周波数の信号をド
ライブトランス11の1次側から2次側に伝送するのが
困難になるという事情がある。
【0063】この点、上記第1〜第6実施形態例では、
主スイッチ素子2の入力容量を利用して、また、第7実
施形態例ではコンデンサ31を利用してドライブトラン
ス11の1次コイル11aとで直列LC共振回路を形成
し、狭幅のパルスの形態で、つまり、高周波のパルスの
形態に変換してドライブトランス11の1次側から2次
側へ信号を伝達するようにしている。そのため、主スイ
ッチ素子2のスイッチング周波数を1MHz未満の例え
ば500kHzという如く低周波数で動作させた場合に
おいても、ドライブトランス11の1次側から2次側へ
リセットパルスを支障無く信頼性をもって伝達すること
が可能である。
【0064】そのため、上記各実施形態例の回路構成と
することで、メイントランス4とドライブトランス11
を1個の共通のコアを用いて形成し、ドライブトランス
11のコイル数を少なくして装置の小型化、低コスト
化、トランス設置の省スペース化を図り、かつ、低周波
数でスイッチング動作を行わせるにも拘らず、ドライブ
トランス11のパルスを早期オフ駆動回路30へ確実に
伝達して転流側同期整流素子6のターンオフ動作のタイ
ミングを正確にコントロールできるという画期的な効果
を奏することが可能である。
【0065】なお、本発明は上記実施形態例に限定され
ることなく様々な実施の形態を採り得る。例えば、上記
各実施形態例で示したメイントランス4の1字側と2次
側の回路の組み合わせを変える(その場合、必要に応じ
回路変更を加える)ことで、様々な組み合わせパターン
の回路構成とすることができる。
【0066】また、上記各実施形態例では、転流側同期
整流素子6のターンオフのタイミングを主スイッチ素子
2のターンオン前としたが、転流側同期整流素子6にド
レイン電圧が発生する以前であればよい(転流側同期整
流素子6のドレイン電圧は、主スイッチ素子2がターン
オンしてから数十nsec遅れて正の電圧が現れる)。
【0067】この点をさらに説明すれば次の如くであ
る。PWM制御回路12から制御パルスのオン信号が出
力されてからドライブトランス11が励磁されてリセッ
トパルスが出力されるまでに例えば、20nsecの遅
れがあり、リセットパルスを受けて駆動スイッチ素子7
がオンするまで(駆動スイッチ素子7の入力容量が充電
されるまで)に例えば20nsecの遅れがあり、さら
に、駆動スイッチ素子7がターンオンしてから転流側同
期整流素子6の入力容量電荷が引き抜かれて同期整流素
子6がターンオフするまでに例えば20nsecの遅れ
がある。
【0068】その一方で、PWM制御回路12から制御
パルスのオン信号が出力されてから主スイッチ素子2の
入力容量が充電されて主スイッチ素子2がターンオンす
るまでに数十nsecの遅れがあり、主スイッチ素子2
がターンオンしてからメイントランス4が励磁されて2
次コイル4bに転流側同期整流素子6のドレイン電圧が
現れるまでに、トランスのリーケージインダクタンスを
原因とする数十nsecの遅れがある。
【0069】したがって、PWM制御回路12からオン
信号が出力されてから転流側同期整流素子6がターンオ
フするまでの遅れ時間を、PWM制御回路12からオン
信号が出力されてから転流側同期整流素子6に2次コイ
ル4bのドレイン電圧が現われるまでの遅れ時間よりも
小さくなるように設計することにより、整流側同期整流
素子5がターンオンする前に転流側同期整流素子6をタ
ーンオフさせることができる。このことにより、転流側
同期整流素子6のターンオフ遅れに起因した短絡電流の
発生を確実に防止することができることとなる。
【0070】さらに、上記各実施形態例では、主スイッ
チ素子2、同期整流素子5、6、駆動スイッチ素子7の
各スイッチ素子をNチャンネルMOS FETとした
が、例えば、PチャンネルMOS FET、バイポーラ
トランジスタ、IGBT等の他の種類のスイッチ素子を
用いて構成してもよい。
【0071】さらに、上記各実施形態例の整流側の同期
整流素子5はダイオードを用いてもよい。
【0072】さらに、上記実施形態例では、単出力のD
CーDCコンバータの回路例で説明したが、本発明の絶
縁型DCーDCコンバータは多出力(2以上の出力)の
絶縁型DCーDCコンバータとしてもよい。
【0073】さらに、上記各実施形態例では、共振リセ
ットフォワードコンバータタイプの絶縁型DCーDCコ
ンバータを例にして説明したが、本発明はフライバック
コンバータタイプの絶縁型DCーDCコンバータに適用
することが可能である。図10はその一例を示す。この
図10に示す回路は電流連続モードのフライバックコン
バータタイプの絶縁型DCーDCコンバータである。こ
の図10の回路は、上記図8に示した第6実施形態例の
共振リセットフォワードコンバータタイプの早期オフ駆
動回路30の回路をフライバックコンバータタイプの絶
縁型DCーDCコンバータに組み込んだ回路構成となっ
ており、上記各実施形態例の回路と共通する回路素子に
は同一符号が付されている。
【0074】図10の回路は、主スイッチ素子2がオン
期間のときにメイントランス4の1次コイル4aに電磁
エネルギを蓄え、主スイッチ素子2がターンオフしたと
きにその蓄えたエネルギをメイントランス4の2次側に
伝達するように回路動作を行うものである。
【0075】この図10に示す回路も、主スイッチ素子
2がターンオンする前に同期整流素子6をターンオフし
て同期整流素子6のターンオフの遅れに起因する回路効
率の低下およびノイズの発生を防止することが可能であ
る。
【0076】
【発明の効果】本発明は、メイントランスの1次側に主
スイッチ素子を備え、メイントランスの2次側に主スイ
ッチ素子のターンオン時に同期させてターンオフし、主
スイッチ素子のターンオフ時に同期させてターンオンす
る同期整流素子を設けた絶縁型DCーDCコンバータに
おいて、前記主スイッチ素子の充電回路に接続されて前
記主スイッチ素子を駆動する制御パルスのオン信号が出
力されたときにパルスを出力するドライブトランスと、
このドライブトランスのパルスを受けて前記同期整流素
子を主スイッチ素子がターンオンする前にターンオフさ
せる早期オフ駆動回路を設けた構成としたので、主スイ
ッチ素子がターンオンしたときには既に同期整流素子は
ターンオフしているので、メイントランスの2次側に同
期整流素子のターンオフの遅れに起因して、同期整流素
子を通る短絡通路が形成されるのを防止できる。
【0077】このことにより、前記同期整流素子のター
ンオフの遅れに起因して同期整流素子を通る通路に大量
の短絡電流が流れるのを防止できるので、この短絡電流
の流れにより、大きな導通損失が生じるのを防止できる
とともに、短絡電流がノイズ源となる弊害も防止でき
る。このことにより、回路効率に優れ、ノイズの無い高
性能の絶縁型DCーDCコンバータを提供することが可
能である。
【0078】また、回路動作の損失が小さいため、低損
失の高周波駆動が可能であり、将来の目標とされる、小
型軽量、低コスト、低損失、高性能および高信頼性の高
周波タイプ絶縁型DCーDCコンバータの市場要求に充
分応えることができる。
【0079】さらに、前記早期オフ駆動回路によってタ
ーンオフされる同期整流素子のターンオン動作をメイン
トランスのリセットパルスによって行う構成としたこと
で、主スイッチ素子のオフ期間のほぼ全領域にわたって
同期整流素子をオン状態に維持できるので、主スイッチ
素子のオフ期間における回路動作の効率化を図ることが
できる。
【0080】さらに、主スイッチ素子のオン・オフを制
御する制御パルスのオン出力時(オン信号の出力時)に
補助電源出力を増幅してドライブトランスの1次コイル
に加えるトーテムポール回路をメイントランスの1次側
に設ける構成としたものや、主スイッチ素子のオン駆動
時(制御パルスのオン信号出力時)に該主スイッチ素子
がターンオンする前に主スイッチ素子の入力容量を瞬間
的に短絡してドライブトランスの出力をアップする瞬間
短絡動作回路をメイントランスの1次側に設けた構成と
することにより、同期整流素子をターンオフ駆動させる
充分大きな出力をドライブトランスから早期オフ駆動回
路へ供給できる。このことで、主スイッチ素子がターン
オンする前に同期整流素子を確実にターンオフさせるこ
とが可能であり、同期整流素子のターンオフ遅れ防止の
回路動作の信頼性を高めることができる。
【0081】さらに、同期整流素子の入力容量の電荷を
ターンオン状態にある駆動スイッチ素子を通し引き抜く
ことで同期整流素子がターンオフされる構成とし、駆動
スイッチ素子をターンオン駆動するドライブトランスの
パルスを広げて駆動スイッチ素子に加えるパルス幅開拡
回路を早期オフ駆動回路に設けることにより、ドライブ
トランスから出力されるパルスのパルス幅が狭い場合に
おいても、確実に駆動スイッチ素子をターンオンさせ、
同期整流素子の入力容量の電荷を迅速に引き抜いて、主
スイッチ素子がターンオンする前に同期整流素子を確実
にターンオフさせることができ、同期整流素子のターン
オフ遅れ防止の回路動作の信頼性を高めることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る絶縁型DCーDCコンバータの第
1実施形態例の回路図である。
【図2】第1実施形態例の主要回路要素部分の波形説明
図である。
【図3】絶縁型DCーDCコンバータの第2実施形態例
の回路図である。
【図4】絶縁型DCーDCコンバータの第3実施形態例
の回路図である。
【図5】図4の回路中のパルス幅開拡回路の動作波形の
説明図である。
【図6】絶縁型DCーDCコンバータの第4実施形態例
の回路図である。
【図7】絶縁型DCーDCコンバータの第5実施形態例
の回路図である。
【図8】絶縁型DCーDCコンバータの第6実施形態例
の回路図である。
【図9】絶縁型DCーDCコンバータの第7実施形態例
の回路図である。
【図10】フライバックコンバータタイプの絶縁型DC
ーDCコンバータの実施形態例を示す回路図である。
【図11】従来例の絶縁型DCーDCコンバータの回路
図である。
【符号の説明】
1(1a、1b) 入力端子 2 主スイッチ素子 4 メイントランス 5 同期整流素子 6 同期整流素子 7 駆動スイッチ素子 10(10a、10b) 出力端子 11 ドライブトランス 30 早期オフ駆動回路 40 瞬間短絡動作回路

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メイントランスによって1次側回路と2
    次側回路が絶縁され、1次側回路には制御パルスによる
    入力容量の充放電動作によってオン・オフ駆動される主
    スイッチ素子を備え、2次側回路には少なくとも前記主
    スイッチ素子のオン駆動に同期させてオフ駆動する同期
    整流素子が設けられ、前記主スイッチ素子のオン駆動と
    前記同期整流素子のオフ駆動を同期させ、主スイッチ素
    子のオン・オフ駆動によって1次側回路から2次側回路
    にエネルギを伝達し、2次側回路で整流平滑して直流電
    圧を出力端から出力する絶縁型DCーDCコンバータに
    おいて、前記主スイッチ素子の入力容量の充電経路にド
    ライブトランスの1次コイルが接続され、ドライブトラ
    ンスの2次側には、前記制御パルスによる主スイッチ素
    子のオン駆動時に、主スイッチ素子の入力容量が充電し
    てターンオンする前に前記ドライブトランスの2次側出
    力を用いて前記同期整流素子をターンオフさせる同期整
    流素子の早期オフ駆動回路が設けられていることを特徴
    とする絶縁型DCーDCコンバータ。
  2. 【請求項2】 早期オフ駆動回路によってターンオフ駆
    動される同期整流素子のターンオン信号はメイントラン
    スのリセットパルスによって供給される構成とした請求
    項1記載の絶縁型DCーDCコンバータ。
  3. 【請求項3】 主スイッチ素子へ制御パルスを供給する
    経路にnpnトランジスタとpnpトランジスタのエミ
    ッタ側同士を接続して成るトーテムポール回路をそれぞ
    れのトランジスタのベース側を制御パルスの供給源側と
    して介設し、ドライブトランスの1次コイルの一端側に
    は補助電源を接続し、この補助電源からドライブトラン
    スの1次コイルおよびトーテムポール回路のnpnトラ
    ンジスタを経由して主スイッチ素子の入力容量に至る経
    路を充電経路と成し、制御パルスのオン出力時に補助電
    源出力をトーテムポール回路で増幅してドライブトラン
    スの1次コイルへ供給する構成とした請求項1又は請求
    項2記載の絶縁型DCーDCコンバータ。
  4. 【請求項4】 同期整流素子は入力容量の充放電によっ
    てオン・オフするスイッチ素子と成し、早期オフ駆動回
    路は、該同期整流素子の入力容量の放電経路に介設され
    スイッチオンによって同期整流素子の入力容量を放電さ
    せて同期整流素子をオフさせる駆動スイッチ素子と、主
    スイッチ素子のオン駆動時に出力されるドライブトラン
    スの2次コイルのパルス出力をそのオン期間を広げて前
    記駆動スイッチ素子にスイッチオン駆動信号として加え
    るパルス幅開拡回路とを有して構成されている請求項1
    又は請求項2記載の絶縁型DCーDCコンバータ。
  5. 【請求項5】 主スイッチ素子の入力容量の充電経路に
    は、主スイッチ素子のオン駆動時に該主スイッチ素子が
    ターンオンする前に主スイッチ素子の入力容量を瞬間的
    に短絡してドライブトランスの1次コイルへの供給電圧
    を高めてドライブトランスの出力をアップする瞬間短絡
    動作回路が接続されている請求項1又は請求項2記載の
    絶縁型DCーDCコンバータ。
  6. 【請求項6】 早期オフ駆動回路は主スイッチ素子のオ
    ン駆動時にドライブトランスから出力されるパルス信号
    を同期整流素子のオフ駆動信号に変換する論理回路によ
    って構成されている請求項1又は請求項2記載の絶縁型
    DCーDCコンバータ。
  7. 【請求項7】 メイントランスによって1次側回路と2
    次側回路が絶縁され、1次側回路には制御パルスによる
    入力容量の充放電動作によってオン・オフ駆動される主
    スイッチ素子を備え、2次側回路には少なくとも前記主
    スイッチ素子のオン駆動に同期させてオフ駆動する同期
    整流素子が設けられ、前記主スイッチ素子のオン駆動と
    前記同期整流素子のオフ駆動を同期させ、主スイッチ素
    子のオン・オフ駆動によって1次側回路から2次側回路
    にエネルギを伝達し、2次側回路で整流平滑して直流電
    圧を出力端から出力する絶縁型DCーDCコンバータに
    おいて、前記主スイッチ素子の入力容量の充電経路にド
    ライブトランスの1次コイルとコンデンサとの直列回路
    が主スイッチ素子の入力容量に並列に接続され、ドライ
    ブトランスの2次側には、前記制御パルスによる主スイ
    ッチ素子のオン駆動時に、主スイッチ素子の入力容量が
    充電してターンオンする前に前記ドライブトランスの2
    次側出力を用いて前記同期整流素子をターンオフさせる
    同期整流素子の早期オフ駆動回路が設けられていること
    を特徴とする絶縁型DCーDCコンバータ。
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