JP2000261053A - 超電導接合及びその製造方法 - Google Patents

超電導接合及びその製造方法

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JP2000261053A
JP2000261053A JP11057600A JP5760099A JP2000261053A JP 2000261053 A JP2000261053 A JP 2000261053A JP 11057600 A JP11057600 A JP 11057600A JP 5760099 A JP5760099 A JP 5760099A JP 2000261053 A JP2000261053 A JP 2000261053A
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JP
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superconducting
junction
ybco
capacitance
superconducting junction
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Tsunehiro Namigashira
経裕 波頭
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International Superconductivity Technology Center
Fujitsu Ltd
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International Superconductivity Technology Center
Fujitsu Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、I−V特性に基づく接合特性の評価
と基板面積の縮小化が可能な高温超電導体を用いた超電
導接合及びその製造方法を提供することを課題とする。 【解決手段】ランプエッジ型の超電導接合30は、Mg
O単結晶基板31上に積層された高温超電導体である上
部YBCO32及び下部YBCO33を有する。また、
超電導接合30は、バリアであるITO35を介した上
部YBCO32及び下部YBCO33を両電極とする接
合部36と、接合部36の上側に接合部36と並列に設
けられ、ITO35及びIn2 3 を介した上部YBC
O32及び下部YBCO33を両電極とする静電容量3
7とを有する。この超電導接合30のI−V特性はヒス
テリシスを持ち、IーV特性に基づいた特性評価が可能
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超伝導接合及びそ
の製造方法に係り、特に、高温超電導体を用いた超伝導
接合及びその製造方法に関する。近年、高温超電導体を
用いた超電導接合が配設された超電導回路が注目されて
いる。このような超電導回路において更なる高性能化を
図るには、高いレベルで特性が揃った超電導接合を内部
に配設する必要がある。そこで、特性評価を容易に行い
得る高温超電導体を用いた超電導接合及びその製造方法
が望まれている。
【0002】
【従来の技術】図1は、従来の低温超電導体を用いた超
電導接合における電流−電圧(I−V)特性を示す図で
ある。このI−V特性は、例えば、ニオビウム(Nb)
を用いた低温超電導接合において得られるものである。
なお、I−V特性の測定時の温度は、低温超電導体の臨
界温度Tc以下である。
【0003】図1に示すように、従来の低温超電導体を
用いた超電導接合を流れる電流を増加させていくと、超
電導接合には超電導電流が流れる。この電流値は、臨界
電流Icになるまで増加する。そして、電流値がIcを
超えると超電導接合の両端には、超電導接合を構成する
超電導体のエネルギーギャップ2Δに比例する電圧2Δ
/qが現れる。超電導接合に電圧が現れて常電導状態に
なった後は、電流と電圧は比例関係を示す。この状態か
ら逆に超電導接合を流れる電流を減少させていくと、最
初は抵抗を示しながら、電圧値は減少していく。そし
て、電圧値が2Δ/qに達すると、電圧値は急激に減少
してゼロになる。このように、従来の低温超電導接合の
I−V特性は、大きなヒステリシスを有する。
【0004】I−V特性におけるヒステリシスの大きさ
は、超電導接合の特性パラメータに強く依存し、このヒ
ステリシスの大きさを検出することで超電導接合の特性
評価を行うことができる。上述の如く、従来の低温超電
導体を用いた超電導接合のI−V特性はヒステリシスを
有するので、複数の低温超電導接合を直列に接続して、
ヒステリシスの大きさに基づいた接合特性の評価を一度
に行うことができた。
【0005】図2は、従来の高温超電導体を用いた超電
導接合におけるI−V特性を示す図である。図2に示す
ように、一般的に高温超電導体を用いた超電導接合のI
−V特性はヒステリシスを持たない。このため、このま
まではI−V特性に基づいた超電導接合の特性評価を行
うことができない。そこで、従来の高温超電導体を用い
た超電導接合には、I−V特性がヒステリシスを持つよ
うに、静電容量が接合部と並列に設けられた構成のもの
がある。
【0006】図3は、静電容量が接合部と並列に設けら
れた従来例の高温超電導接合10の構成を示す平面図で
ある。図3に示すように、超電導接合10は、基板1
1、第1の超電導膜12、及び、第2の超電導膜13等
を有する。第1の超電導膜12及び第2の超電導膜13
は、共に高温酸化物超電導体(例えば、YBCO)で形
成されている。
【0007】超電導接合10は、また、図示しないバリ
アを介して積層された第1の超電導膜12及び第2の超
電導膜13から形成される接合部14と、ギャップ15
を挟んで対向する第1の超電導膜12及び第2の超電導
膜13から形成される静電容量16とを有する。超電導
接合10において、接合部14とギャップ16とは、基
板11上に並設されている。
【0008】超電導接合10は、接合部14と並列に設
けられた静電容量16を有するので、そのI−V特性は
ヒステリシスを持つようになる。このため、複数の超電
導接合10を直列に接続して、I−V特性に現れるヒス
テリシスの大きさに基づいた超電導接合10の特性評価
を一度に行うことができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例の高温超電
導接合では、基板上に接合部と静電容量が並列に設けら
れる構成のため、静電容量の配設用に基板面積を大きく
する必要があった。これは、高温超電導体を用いた超電
導回路の小型化を困難にしていた。また、上記従来例
は、基板上に接合部と静電容量が並列に設けられている
ので、特性評価後に基板上の静電容量を除去して、静電
容量の無い超電導接合を作成することができなかった。
【0010】本発明は、上記点に鑑みてなされたもので
あり、I−V特性に基づく接合特性の評価と、基板面積
の縮小化が可能な高温超電導体を用いた超電導接合及び
その製造方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
基板上に積層された高温超電導体からなる第1及び第2
の超伝導膜を有する超電導接合であって、バリアを介し
た前記第1及び第2の超伝導膜を両電極とする接合部
と、前記第1及び第2の超伝導膜の積層方向に前記接合
部と電気的に並列に設けられ、前記バリア及び層間絶縁
膜を介した前記第1及び第2の超電導膜を両電極とし、
前記接合部の電流・電圧特性がヒステリシスを持つ程度
の容量を有する静電容量とを有することを特徴とするも
のである。
【0012】請求項1記載の発明では、接合部と静電容
量が並列に設けられており、高温超電導体を用いた超電
導接合のI−V特性はヒステリシスを持つ。このため、
従来の低温超電導接合と同様に、複数の超電導接合を直
列に接続することで、超電導電流の分布に基づいた接合
特性の評価を一度に行うことが可能となる。従って、本
発明によれば、超電導接合の特性評価が容易になる。
【0013】また、本発明の超電導接合では、接合部と
静電容量が第1及び第2の超伝導膜の積層方向に上下に
並設されるので、静電容量を設けるためのスペースを基
板上に確保する必要が無くなる。従って、本発明によれ
ば、基板の上部面積の縮小化が可能となる。また、請求
項2記載の発明は、請求項1記載の超電導接合であっ
て、前記接合部は、前記基板の上面に対して所定の角度
を持つように設けられていることを特徴とするものであ
る。
【0014】特に、接合部が基板の上面に対して垂直に
形成されると、基板上における接合部の占有面積がより
小さくなり、基板の上部面積の更なる縮小化が可能とな
る。上記超電導接合の製造方法を提供するという観点か
ら、請求項3に記載する如く、基板上に、高温超電導体
からなる第1の超電導膜及び層間絶縁膜を順次積層する
工程と、前記第1の超伝導膜及び前記層間絶縁膜の端部
に所定角度で斜面を形成する工程と、前記基板及び前記
層間絶縁膜上に、バリア及び高温超電導体からなる第2
の超伝導膜を順次積層して、前記バリアを介した前記第
1及び第2の超伝導膜を両電極とする接合部と、前記第
1及び第2の超伝導膜の積層方向に前記接合部と電気的
に並列に設けられ、前記バリア及び前記層間絶縁膜を介
した前記第1及び第2の超電導膜を両電極とし、前記接
合部の電流・電圧特性がヒステリシスを持つ程度の容量
を有する静電容量を設ける工程とを有する構成としても
よい。
【0015】また、請求項4に記載する如く、請求項3
記載の超電導接合の製造方法であって、更に、前記静電
容量を除去する平坦化工程を有する構成にしてもよい。
上記のような方法で製造された超電導接合は、接合部と
電気的に並列に設けられた静電容量を有し、高温超電導
体を用いた超電導接合のI−V特性はヒステリシスを持
つ。従って、超電導接合の製造途中でI−V特性に基づ
いた接合特性の評価を行うことができる。また、静電容
量が接合部に対して第1及び第2の超電導膜の積層方向
に並設されるので、特性評価の実施後に静電容量を平坦
化工程にて除去することで、静電容量が不要な超電導接
合を容易に製造することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】図4は、本発明の原理を説明する
ための超電導接合20の平面図である。また、図5は、
図4のA−A’における超電導接合20の横断面図であ
る。図4及び図5に示すように、超電導接合20は、基
板21、上部超電導膜22、下部超電導膜23、層間絶
縁膜24、及び、バリア25等を有する。上部超電導膜
22及び下部超電導膜23は、共に高温酸化物超電導体
で形成されている。
【0017】超電導接合20は、基板21上に下部超電
導膜23及び層間絶縁膜24が積層された後、下部超電
導膜23及び層間絶縁膜24の2層に所定の角度で斜面
が設けられ、更に、バリア25及び上部超電導膜22が
積層されることによって形成されたものである。超電導
接合20において、バリア25を介して対向する上部超
電導膜22及び下部超伝導膜23の斜面部がランプエッ
ジ型の接合部26を構成し、層間絶縁膜24及びバリア
25を介して対向する上部超伝導膜22及び下部超伝導
膜23が静電容量27を構成する。このように本発明の
超電導接合22では、接合部26と静電容量27が、図
5中、上下に並列に配設される。図6は、超電導接合2
0の等価回路図である。
【0018】図5及び図6に示すように、本発明の超電
導接合20では、接合部26と静電容量27が並列に配
設されているので、高温超電導接合である超電導接合2
0の電流−電圧(I−V)特性がヒステリシスを持つよ
うになる。従って、従来の低温超電導接合と同様に、複
数の超電導接合20を直列に接続することで、超電導電
流の分布に基づいた接合特性の評価を一度に行うことが
可能となる。この結果、超電導接合20の特性評価が容
易になる。
【0019】また、本発明の超電導接合20では、接合
部26と静電容量27が従来例のように基板21上に並
列に配設されるのではなく、上下に並設されるので、静
電容量27を設けるためのスペースを基板21上に確保
する必要が無くなる。従って、本発明によれば、基板2
1の上部面積の縮小化が可能となる。ところで、一般
に、超電導回路の出力レベルは、室温で動作する半導体
回路を駆動するには低過ぎる。このため、単に超電導回
路と半導体回路を接続するだけでは半導体回路が適切
に、或いは、全く動作しない可能性が高い。従って、超
電導回路と半導体回路を接続するインタフェースの部分
では、超電導回路の出力レベルを増幅する必要がある。
一方、上述の如く、本発明の超電導接合20では、接合
部26と静電容量27が並列に配設されている。そこ
で、複数の超電導接合20を直列に接続し、接続された
超電導接合20の数に応じた電圧を取り出して、超電導
接合20を有する超電導回路の出力レベルを増幅する構
成とすることで、超電導回路に接続された室温で動作す
る半導体回路を駆動することも可能となる。
【0020】続いて、上記原理が適用された本発明の第
1実施例について説明する。図7は、本発明の第1実施
例である超電導接合30の横断面図である。図7に示す
ように、超電導接合30は、MgO単結晶基板31、上
部YBCO(YBa2Cu3O7-x )32、下部YBCO33、
酸化インジウム(In2O3 )34、及び、ITO(Indium
Tin Oxide =酸化インジウムスズ)35等を有するラ
ンプエッジ型接合である。
【0021】本第1実施例の超電導接合30が有するM
gO単結晶基板31、上部YBCO32、下部YBCO
33、In2 3 34、及び、ITO35は、それぞれ
図5に示す超電導接合20の基板21、上部超電導膜2
2、下部超電導膜23、層間絶縁膜24、及び、バリア
25に相当する。MgO単結晶基板31は、高温超電導
体であるYBCOと格子定数が一致し、結晶構造もYB
COと同じペロブスカイト構造を有する。層間絶縁膜に
は、ピンホール欠陥密度が低く絶縁耐圧を有すること、
加工が容易であること等の条件を満たすことが要求され
る。そこで、超電導接合30では、層間絶縁膜としてI
2 3 34が使用されている。In2 3 34は、酸
素欠損が無く、かつ、単結晶の状態で作られたものであ
り、超電導接合30では絶縁体として機能する。また、
超電導接合30では、バリアとして0.01wt%のS
nO2 を含むITO35が使用されている。このITO
35の比誘電率は約20であり、酸化物絶縁材料の多く
の比誘電率が40前後であるのに対して比較的小さい。
これは、接合動作の高速化に有利であることを意味す
る。また、ITO35は、スズ(Sn)のドープ量によ
って様々なキャリア密度の薄膜を形成することが可能で
あり、かつ、YBCOとの結晶整合性も良いという特徴
を有する。
【0022】超電導接合30において、ITO35を介
して対向する上部YBCO32及び下部YBCO33の
斜面部がランプエッジ型の接合部36を構成し、In2
334とITO35を介して対向する上部YBCO3
2及び下部YBCO33が静電容量37を構成する。静
電容量37の容量値は、接合幅及び上部YBCO32と
下部YBCO33との重なり長x等に応じて決定され
る。
【0023】上述の如く、本実施例の超電導接合30で
は、接合部36と静電容量37が、図7中、上下に並列
に配設されている。このため、高温超電導接合である超
電導接合30のI−V特性がヒステリシスを持つように
なる。従って、従来の低温超電導接合と同様に、複数の
超電導接合30を直列に接続することで、超電導電流の
分布に基づいた接合特性の評価を一度に行うことが可能
となる。この結果、超電導接合30の特性評価が容易に
なる。
【0024】また、本実施例の超電導接合30では、接
合部36と静電容量37が従来例のようにMgO単結晶
基板31上に並列に配設されるのではなく、図7中、上
下に並設されるので、静電容量37を設けるためのスペ
ースをMgO単結晶基板31上に確保する必要が無くな
る。従って、本発明によれば、MgO単結晶基板31の
上部面積の縮小化が可能となる。
【0025】更に、複数の超電導接合30を直列に接続
し、接続された超電導接合30の数に応じた電圧を取り
出して、超電導接合30を有する超電導回路の出力レベ
ルを増幅する構成とすることで、超電導回路に接続され
た室温で動作する半導体回路を駆動することも可能とな
る。続いて、超電導接合30の製造方法について説明す
る。
【0026】超電導接合30を製造するには、先ず、M
gO単結晶基板31の(100)面上に下部YBCO3
3と絶縁膜であるIn2 3 (酸化インジウム)34を
積層する。そして、積層された下部YBCO33及びI
2 3 34に対してフォトレジストとイオンミリング
を施して角度θの斜面を形成する。この斜面は、例え
ば、MgO単結晶基板31の上面に対しての角度θ=5
0°となるように形成される。そして、MgO単結晶基
板31及びIn2 3 34上にバリアであるITO35
と上部YBCO32を積層する。この時、ITO35の
方位に係わらず上部YBCO32はc軸配向する。上部
YBCO32、下部YBCO33、In23 34、及
び、ITO35の薄膜積層は、例えば、スパッタリング
やレーザーアブレーションを用いて行うことができる。
【0027】超電導接合30における超電導電流Ic
と、ノーマル抵抗Rnの積IcRnは、接合特性を規定
するパラメータの一つである。一般に、積IcRnの値
が大きいほど、接合性能が良いとされる。超電導接合3
0において、上部YBCO32、下部YBCO33、及
び、In2 3 34をそれぞれ200nm積層し、IT
O35を15nmした場合、測定の結果、超電導接合3
0の接合特性は、温度20KにおいてIcRn=1.5
mV、Rn=5Ωという非常に高い値となることが分か
った。
【0028】一般に、超電導接合のI−V特性は、マッ
カンバーパラメータβcが1以上で明確なヒステリシス
を持つようになる。超電導接合30のI−V特性が大き
なヒステリシスを持つようにするには、マッカンバーパ
ラメータβcを十分に大きくする必要がある。ここで、
超電導接合30におけるマッカンバーパラメータβc
は、上部YBCO32と下部YBCO33との重なり面
積に応じて変化する。例えば、超電導接合30におい
て、上部YBCO32、下部YBCO33、及び、In
2 3 34の積層厚をそれぞれ200nmとし、ITO
25の積層厚を15nmとした場合、測定の結果、マッ
カンバーパラメータβc=4を得るためには、5μmの
接合幅で上部YBCO32の重なり長xをx=40μm
とすればよいことが分かった。
【0029】マッカンバーパラメータβcは、重なり長
x及び層間絶縁膜の比誘電率に比例する。従って、超電
導接合30の層間絶縁膜に比誘電率がIn2 3 34の
約2倍である酸化セリウム(CeO2 )を用いる場合、
マッカンバーパラメータβc=4を得るために、5μm
の接合幅で上部YBCO32の重なり長xをx=20μ
mとすればよい。
【0030】図8は、測定の結果明らかになった超電導
接合30における上部YBCO32及び下部YBCO3
3の重なり長x(μm)と、超電導電流Ic及びノーマ
ル抵抗Rnの積IcRn(mV)との関係を示すグラフ
である。図8は、接合幅、層間絶縁膜(In2 3 及び
チタン酸ストロンチウム(STO))の膜厚、マッカン
バーパラメータβcがそれぞれ6μm、200nm、3
0である場合の重なり長xと積IcRnとの関係を示
す。
【0031】また、図9は、測定の結果明らかになった
上部YBCO32及び下部YBCO33の重なり長x
(μm)と、マッカンバーパラメータβcとの関係を示
すグラフである。図9は、接合幅、層間絶縁膜(In2
3 及びSTO)の膜厚、ノーマル抵抗Rn、超電導電
流Icとノーマル抵抗Rnの積IcRnがそれぞれ6μ
m、200nm、4Ω、1mVである場合の重なり長x
とマッカンバーパラメータβcとの関係を示す。
【0032】図8及び図9に示すように、In2 3
層間絶縁膜を形成するよりも、In 2 3 や酸化セリウ
ムに比して比誘電率が大きいチタン酸ストロンチウム
(STO)で層間絶縁膜を形成した方が、上部YBCO
32と下部YBCO33の重なり長xを短くすることが
できる。具体的には、酸化セリウムに比して更に比誘電
率が大きいチタン酸ストロンチウム(STO)を層間絶
縁膜としてIn2 3 の代わりに用いれば、上部YBC
O32の重なり長xを約1/15にすることができる。
【0033】上記のように、比誘電率のより大きい層間
絶縁膜を使用することで超電導接合30の上部面積を縮
小することができる。ここで、上述の如く、室温で動作
する半導体回路を駆動するためには、超電導回路の出力
電圧を増幅する必要があるが、この増幅動作はマッカン
バーパラメータβcが10≦βc≦50の範囲で安定化
する。実験の結果、安定した電圧増幅が可能であり、か
つ、小型の超電導接合30を実現するには、層間絶縁膜
としてチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)を使用
するのが効果的であることが分かった。
【0034】続いて、本発明の第2実施例について説明
する。図10は、本発明の第2実施例である超電導接合
40の横断面図である。超電導接合40は、超電導接合
30と同様に、MgO単結晶基板31、上部YBCO3
2、下部YBCO33、In2 3 34、及び、ITO
35等を有する。なお、超電導接合40は、超電導接合
30と同様の方法で作成されたものとする。
【0035】超電導接合40が有するITO35には、
MgO単結晶基板31の上面に対して垂直に設けられた
部分がある。超電導接合40において、MgO単結晶基
板31に対して垂直なITO35を介して対向する上部
YBCO32及び下部YBCO33が垂直エッジ型の接
合部46を構成し、In2 3 34及びITO35を介
して対向する上部YBCO32及び下部YBCO33が
静電容量47を構成する。
【0036】図10に示すように、超電導接合40で
は、接合部46と静電容量47が上下に並列に配設され
る。このため、高温超電導接合である超電導接合40の
I−V特性がヒステリシスを持つようになる。従って、
従来の低温超電導接合と同様に、複数の超電導接合40
を直列に接続することで、超電導電流の分布に基づいた
接合特性の評価を一度に行うことが可能となる。この結
果、超電導接合40の特性評価が容易になる。
【0037】また、本実施例の超電導接合40では、接
合部46と静電容量47が従来例のようにMgO単結晶
基板31上に並設されるのではなく、図10中、上下に
並設されるので、静電容量47を設けるためのスペース
をMgO単結晶基板31上に確保する必要が無くなる。
また、超電導接合40では、接合部46がMgO単結晶
基板31の上面に対して垂直に形成されることにより、
MgO単結晶基板31の上面における接合部46の占有
面積が超電導接合30が有する接合部36の占有面積に
比して小さくなる。従って、超電導接合40では、Mg
O単結晶基板31の上部面積の更なる縮小化が可能とな
る。
【0038】また、複数の超電導接合40を直列に接続
し、接続された超電導接合40の数に応じた電圧を取り
出して、超電導接合40を有する超電導回路の出力レベ
ルを増幅する構成とすることで、超電導回路に接続され
た室温で動作する半導体回路を駆動することも可能とな
る。ところで、超電導接合には、静電容量47を必要と
しない種類のものもある。
【0039】図11は、静電容量47が除去された超電
導接合40aの横断面図である。図11に示すように、
超電導接合40aは、特性評価後の平坦化工程におい
て、超電導接合40上の静電容量47が除去されて製造
されたものである。静電容量47を除去する平坦化工程
では、例えば、ミリングを用いたバックエッチングが施
される。
【0040】上記のように、本発明が適用された超電導
接合30、40は、接合部36、46と並列に設けられ
た静電容量37、47を有するので、プロセス途中でI
−V特性に基づいた接合特性の評価を行うことができ
る。また、超電導接合30、40では、静電容量37、
47が接合部36、46の上側に設けられているので、
特性評価の実施後に静電容量37、47を除去すること
で、静電容量37、47が不要な超電導接合40aを容
易に製造することができる。
【0041】上記実施例において、下部超電導膜23及
び下部YBCO33が特許請求の範囲に記載の第1の超
電導膜に相当し、上部超電導膜22及び上部YBCO3
2が特許請求の範囲に記載の第2の超伝導膜に相当す
る。
【0042】
【発明の効果】上述の如く、請求項1、2記載の発明で
は、接合部と静電容量が並列に設けられており、高温超
電導体を用いた超電導接合のI−V特性がヒステリシス
を持つ。このため、請求項1、2記載の発明によれば、
従来の低温超電導接合と同様に、複数の超電導接合を直
列に接続することで、超電導電流の分布に基づいた接合
特性の評価を一度に行うことが可能となる。従って、超
電導接合の特性評価が容易になる。
【0043】また、請求項1、2記載の発明では、接合
部と静電容量が第1及び第2の超伝導膜の積層方向に上
下に並設されているので、静電容量を設けるためのスペ
ースを基板上に確保する必要が無くなる。従って、請求
項1、2記載の発明によれば、基板の上部面積を縮小化
することができる。更に、請求項3、4記載の発明によ
れば、接合部と電気的に並列に設けられた静電容量を有
し、高温超電導体を用いた超電導接合のI−V特性はヒ
ステリシスを持つ。従って、製造途中でI−V特性に基
づいた接合特性の評価を行うことができる。また、静電
容量が接合部に対して第1及び第2の超電導膜の積層方
向に上下に並設されるので、特性評価の実施後に静電容
量を平坦化工程にて除去することで、静電容量が不要な
超電導接合を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の低温超電導体を用いた超電導接合におけ
るI−V特性を示す図である。
【図2】従来の高温超伝導体を用いた超伝導接合におけ
るI−V特性を示す図である。
【図3】従来例の高温超伝導体を用いた超伝導接合の構
成図である。
【図4】本発明の原理を説明するための超電導接合の平
面図である。
【図5】本発明の原理が適用された超電導接合の横断面
図である。
【図6】本発明の超電導接合の等価回路図である。
【図7】本発明の第1実施例である超電導接合の横断面
図である。
【図8】上部YBCO及び下部YBCOの重なり長x
と、超電導電流Ic及びノーマル抵抗Rnの積IcRn
との関係を示すグラフである。
【図9】上部YBCO及び下部YBCOの重なり長と、
マッカンバーパラメータβcとの関係を示すグラフであ
る。
【図10】本発明の第2実施例である超電導接合の横断
面図である。
【図11】静電容量が除去された超電導接合の横断面図
である。
【符号の説明】
10、20、30、40、40a 超電導接合 11、21 基板 12 第1の超電導膜 13 第2の超電導膜 14、26、36、46 接合部 15 ギャップ 16、27、37、47 静電容量 22 上部超電導膜 23 下部超電導膜 24 層間絶縁膜 25 バリア 31 MgO単結晶基板 32 上部YBCO 33 下部YBCO 34 In2 3 35 ITO
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4M113 AA06 AA16 AA25 AA27 AA37 AD37 AD67 AD68 BA04 BC04 CA34

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に積層された高温超電導体からな
    る第1及び第2の超伝導膜を有する超電導接合であっ
    て、 バリアを介した前記第1及び第2の超伝導膜を両電極と
    する接合部と、 前記第1及び第2の超伝導膜の積層方向に前記接合部と
    電気的に並列に設けられ、前記バリア及び層間絶縁膜を
    介した前記第1及び第2の超電導膜を両電極とし、前記
    接合部の電流・電圧特性がヒステリシスを持つ程度の容
    量を有する静電容量とを有することを特徴とする超電導
    接合。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の超電導接合であって、 前記接合部は、前記基板の上面に対して所定の角度を持
    つように設けられていることを特徴とする超電導接合。
  3. 【請求項3】 基板上に、高温超電導体からなる第1の
    超電導膜及び層間絶縁膜を順次積層する工程と、 前記第1の超伝導膜及び前記層間絶縁膜の端部に所定角
    度で斜面を形成する工程と、 前記基板及び前記層間絶縁膜上に、バリア及び高温超電
    導体からなる第2の超伝導膜を順次積層して、前記バリ
    アを介した前記第1及び第2の超伝導膜を両電極とする
    接合部と、前記第1及び第2の超伝導膜の積層方向に前
    記接合部と電気的に並列に設けられ、前記バリア及び前
    記層間絶縁膜を介した前記第1及び第2の超電導膜を両
    電極とし、前記接合部の電流・電圧特性がヒステリシス
    を持つ程度の容量を有する静電容量とを設ける工程とを
    有することを特徴とする超電導接合の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の超電導接合の製造方法で
    あって、 更に、前記静電容量を除去する平坦化工程を有すること
    を特徴とする超電導接合の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7365271B2 (en) 2003-12-31 2008-04-29 Superpower, Inc. Superconducting articles, and methods for forming and using same
US7417192B2 (en) 2004-09-22 2008-08-26 Superpower, Inc. Superconductor components
US7972744B2 (en) 2004-09-28 2011-07-05 GM Global Technology Operations LLC Fuel cell assembly

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