JPH06204577A - 超電導素子 - Google Patents

超電導素子

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Publication number
JPH06204577A
JPH06204577A JP43A JP36212692A JPH06204577A JP H06204577 A JPH06204577 A JP H06204577A JP 43 A JP43 A JP 43A JP 36212692 A JP36212692 A JP 36212692A JP H06204577 A JPH06204577 A JP H06204577A
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JP
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barrier layer
superconducting
drain region
source region
drain
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Pending
Application number
JP43A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kimura
浩 木村
Toshiyuki Matsui
俊之 松井
Takeshi Suzuki
健 鈴木
Kazuo Koe
和郎 向江
Akihiko Oi
明彦 大井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Publication date
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Priority to US08/151,024 priority patent/US5441926A/en
Publication of JPH06204577A publication Critical patent/JPH06204577A/ja
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    • HELECTRICITY
    • H10SEMICONDUCTOR DEVICES; ELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10NELECTRIC SOLID-STATE DEVICES NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • H10N60/00Superconducting devices
    • H10N60/10Junction-based devices
    • H10N60/128Junction-based devices having three or more electrodes, e.g. transistor-like structures

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  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ゲート電圧から有効にキャリアを引き出し
て、電流出力特性に優れた超電導トランジスタを実現す
ること。 【構成】 STO基板1上に形成されたPBCO膜から
なる障壁層3上には、YBCO膜2によってソース領域
部2aとドレイン領域部2bが形成されている。一方、
STO基板1の裏面側の薄肉部1aには、ゲート電極6
が設置されている。かかる構成の超電導トランジスタに
おいては、ゲート電圧による電界が有効に障壁層3界面
に作用し、印加されるゲート電圧に対してより多くのキ
ャリアが引き出され、大きな超電導電流を流すことがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超電導素子に関し、特
に、酸化物高温超電導体を用いた電圧駆動型の超電導素
子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超電導現象は、電気抵抗がゼロにな
る、反磁性を示すなどの特性があり、電力損失の大幅
な削減が図られることから、長年その実用化が待たれて
いる。従来、超電導現象は極低温環境化において発現す
る現象と見られていたが、金属間化合物からなる新たな
超電導体の開発に追随して、超電導現象の実用化の指標
となる臨界温度(電気抵抗が大幅にダウンする常電導と
超電導との境界温度)が年々上昇し、近年では常温で超
電導現象が確認されるに至っている。
【0003】このような超電導現象は、半導体デバイス
の分野においても実用化の期待が大きく、低電力損失を
利用した高速かつ低消費電力の超電導トランジスタに関
するいくつかの構造が提案されている。その中で、電圧
駆動型の超電導トランジスタは、入力インピーダンスが
大きいために駆動し易く、また、入力ロスも少ないた
め、その開発が期待されている。
【0004】図5は、従来の電圧駆動型の超電導トラン
ジスタの構造を示す断面図である。
【0005】図において、超電導トランジスタはSiの
単結晶を基板14とし、この単結晶基板14上には砒素
イオンの打ち込みによって形成されたn型の半導体領域
15を有している。この半導体領域15には、超電導電
極であるソース11とドレイン12が接続されており、
また、これらソース11とドレイン12の間にはゲート
酸化膜18によって絶縁されたゲート13が設置され、
このゲート13は、側面絶縁膜17とオーバーハング1
6によって被覆されている。ここで、例えば、上記ソー
ス11とドレイン12はNb(ニオブ)から形成され、
ゲート13は多結晶Siから形成され、オーバーハング
16と側面絶縁膜17はSiから形成され、さら
に、ゲート酸化膜18はSiOから形成される。
【0006】このような構成の超電導トランジスタにお
いては、ソース11とドレイン12からコヒーレンス長
程度クーパー対が染みだし、このコヒーレンス長をゲー
ト13に印加する電圧の大きさによって変調し、ソース
11とドレイン12との間をクーパー対でつなごうとす
るものである。コヒーレンス長は、従来の超電導体で
は、数10nm程度であるため、上記構成の超電導トラ
ンジスタでは、ゲート13とドレイン12との間隔を
0.1μm程度に近接させる必要があった。
【0007】ここで、超電導体を用いた超電導トランジ
スタとしては、上記した電圧駆動型の他に、電流注入型
の超電導トランジスタも提案されているが、電流注入に
よる発熱や電流利得が小さいなどの問題があり、これま
でに良好な特性が得られたという報告はない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の電圧駆動型の超電導トランジスタにおいては、コヒー
レンス長が短いために、ゲート長(ソース−ドレイン間
隔)を0.1μm以下にする必要があった。ここで、電
圧駆動型の超電導トランジスタにおいて、コヒーレンス
長λと超電導ギャップφとの関係は、BCS理論により
概略次式(1)のように表される。
【0009】λ∝(1/φ) ・・・(1) また、上記の超電導ギャップφは超電導体の臨界温度T
に比例するので、結局コヒーレンス長λは超電導体の
臨界温度Tが高い程短いことになる。このため、超電
導体に酸化物を利用する超電導トランジスタにおいて、
臨界温度Tが40K以上の酸化物超電導体のコヒーレ
ンス長λは数nm以下であり、ゲート長をさらに短くす
る必要がある。このような短いゲート長を持つデバイス
を製造することは極めて困難であり、また、ソース−ド
レイン間が更に近接してしまうため、素子耐圧が低下す
るという問題があった。
【0010】そこで、本願出願人は、かかる問題を解決
するために、図6に示す構造の超電導素子を提案してい
る。図6(a)に示す超電導トランジスタは、基板1と
してSrTiO(以下、STOと称す。)を用い、こ
のSTO基板1上にPrBaCu7−X(以下、
PBCOと称す。)からなる障壁層3を成膜してある。
【0011】そして、障壁層3上に、酸化物超電導体で
あるYBaCu7−X(以下、YBCOと称
す。)を成膜した後、サブミクロン程度のギャップ4を
形成し、ソース領域部2aおよびドレイン領域部2bと
している。また、ギャップ4上にはSTO膜からなる絶
縁層5を介してゲート電極6が設置されている。なお、
ソース領域部2aの表面には、Auによってソース電極
7が、そして、ドレイン領域部2bの表面にもAuによ
って構成されるドレイン電極8が設けられている。
【0012】このような構成の超電導トランジスタは、
酸化物超電導体であるYBCO膜の結晶構造に類似する
構造のPBCO膜を、ソース領域部2aとドレイン領域
部2bとを接続する障壁層3として用いることにより、
コヒーレンス長によるゲート長の制限を解消して、ソー
ス−ドレイン間距離の広い、耐圧に優れる超電導トラン
ジスタを実現したものである。すなわち、YBCO膜と
類似の結晶構造を持ちながらキャリア濃度が低いために
半導体となっているPBCO膜に対し、YBCO膜から
キャリアを注入し、これらのキャリアをソース領域部2
aとドレイン領域部2bとのギャップ4に対応する障壁
層3の界面に蓄積させることにより、ソース領域部2a
とドレイン領域部2bとが接続され、超電導電流が流れ
る。
【0013】しかしながら、上記の超電導トランジスタ
においては、図6(b)に示すように、ゲート電圧によ
る電気力線gの内、YBCO膜(ソース領域部2a,ド
レイン領域部2b)の近傍の電気力線gは、ゲート電極
6から垂直に照射されず、等電位面となるYBCO膜の
側に引きつけられてしまう。このため、ソース領域部2
aとドレイン領域部2bとのギャップ4に対応する障壁
層3の界面において、ソース領域部2a側およびドレイ
ン領域部2b側の電界が減少し、この部分に引き寄せら
れるキャリアもこれに伴って減少するので、ソース領域
部2aとドレイン領域部2bとがスムーズに結合され難
い。それ故、ソース−ドレイン間に超電導電流を流すた
めには、YBCO膜に吸収される電気力線gの損失分を
考慮した大きなゲート電圧を印加する必要があり、ソー
ス−ドレイン間電圧、およびゲート電圧に対する電流利
得が小さい等の問題がある。
【0014】そこで、本発明においては、以上の問題点
に鑑みて、ゲート電圧による電気力線(電界)を損なう
ことなく、障壁層の界面に、ゲート電圧に応じて均一に
キャリアを引き出すことのできる、電流出力特性に優れ
た超電導トランジスタ(超電導素子)を提供することを
目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明において講じた第1の手段は、酸化物超電導
体からなるソース領域およびドレイン領域と、酸化物超
電導体と類似の結晶構造を有する障壁層と、ソース領域
およびドレイン領域に跨がって形成され、障壁層に対し
て電界を印加可能なゲート電極とを有する超電導素子で
あって、ソース領域およびドレイン領域を障壁層の上層
側に形成する一方、ゲート電極を絶縁層を介して障壁層
の下層側に形成することである。ここで、ゲート電極
は、絶縁層としての絶縁性基板の裏面側に形成されてい
ることが好ましく、この基板の薄肉部に形成されている
場合には更に好ましい。また、絶縁層とゲート電極との
間には、半導体基板が介在している構成であっても良
い。
【0016】一方、前述の課題を解決するために、本発
明において講じた第2の手段は、酸化物超電導体からな
るソース領域およびドレイン領域と、酸化物超電導体と
類似の結晶構造を有する障壁層と、ソース領域およびド
レイン領域に跨がって形成され、障壁層に対して電界を
印加可能なゲート電極とを有する超電導素子であって、
ソース領域とドレイン領域とが障壁層を挟んだ積層構造
を有しており、ゲート電極は、これらのソース領域,障
壁層およびドレイン領域に亘る一側面に対して絶縁層を
介して面していることを特徴としている。
【0017】
【作用】上記第1の手段を講じた本発明に係る超電導素
子においては、ソース領域およびドレイン領域を障壁層
の上層側に形成する一方、ゲート電極を障壁層の下層側
に形成することを特徴としている。このため、本発明に
係る超電導素子においては、障壁層およびゲート電極に
よって平行平板コンデンサが構成され、ゲート電極から
の電気力線はソース領域およびドレイン領域の側に直接
的に印加されることなく、障壁層の界面に均一且つ有効
に印加されるので、障壁層の界面にゲート電圧に応じた
電界をかけることが可能となる。
【0018】ここで、平行平板コンデンサに蓄えられる
電荷Qは、次式(2)で与えられる。
【0019】 Q=C×V ・ ・ ・ ・ ・(2) 但し、Cはコンデンサの容量、Vは電位差である。
【0020】また、コンデンサの容量Cは、次式(3)
で表すことができる。
【0021】 C=ε×S/d ・ ・ ・ ・ ・(3) 但し、εは誘電率、Sはコンデンサ平板の面積、dは平
板の距離である。
【0022】上記、式(2)および式(3)より、 Q=ε×S×V/d ・ ・ ・ ・ ・(4) 従って、式(4)より、単位面積当たりに蓄えられる電
荷量qは、次式(5)で表すことができる。
【0023】 q=Q/S=ε×V/d=ε×E ・・・(5) 但し、Eは電界の大きさである。
【0024】このように、単位面積当たりに蓄えられる
電荷量qは、かけられる電界の大きさEに比例すること
になる。
【0025】本発明においては、上述したように、障壁
層とゲート電極によって平行平板コンデンサが構成さ
れ、ソース領域およびドレイン領域に亘る障壁層の界面
に、ゲート電圧に応じた電界を均一にかけることができ
る。従って、障壁層の界面の電荷量は、ソース領域から
ドレイン領域に亘って均一に、且つ、ゲート電圧に応じ
て増加するので、この部分に多くのキャリア(準粒子)
が蓄積してソース領域とドレイン領域が接続され、ソー
ス−ドレイン間に超電導電流が流れる。このように、本
発明に係る超電導素子においては、ゲート電圧による電
界が障壁層の界面に均一に印加されるので、障壁層の界
面に、有効にキャリアを引き出すことができる。すなわ
ち、ソース領域からドレイン領域に亘る障壁層の界面に
おいて、電界のバラツキからキャリアが偏って蓄積する
ことなく、均一に蓄積するので、小さなゲート電圧でソ
ース−ドレイン間を接続することが可能となり、ゲート
電圧を省力化でき、電圧ロスの少ない、良好な電流出力
を得ることが可能となる。従って、従来装置に比して、
同等のゲート電圧で大きなソース−ドレイン間電流(超
電導電流)を得ることができる。
【0026】ここで、ゲート電極を絶縁性基板の裏面側
に形成した場合には、この基板を絶縁層として代替する
ことができる。さらに、ゲート電極が基板の裏面側に形
成された薄肉部に形成されている場合には、ゲート電極
と障壁層(障壁層の界面)との距離が短縮されるため、
障壁層の界面における電荷量が大きく、キャリアをより
有効に引き出すことができるので、電流の出力特性の向
上を図ることができる。
【0027】一方、第2の手段を講じた本発明に係る超
電導素子においては、ソース領域とドレイン領域とが障
壁層を挟んだ積層構造を有しており、ゲート電極が絶縁
層を介して、これらソース領域,障壁層およびドレイン
領域に亘る一側面に対して設けられていることを特徴と
している。このため、ゲート電圧による電界が、ソース
領域,障壁層およびドレイン領域に亘る側面に印加さ
れ、この部分にはゲート電圧の上昇に応じて多くのキャ
リアが均一に蓄積する。従って、ソース領域とドレイン
領域とが接続され、ソース−ドレイン間にゲート電圧に
応じた超電導電流を得ることができる。
【0028】
【実施例】以下に、添付図面を参照して本発明の実施例
を説明する。
【0029】〔実施例1〕図1は、本発明の実施例1に
係る超電導トランジスタ(超電導素子)の構造を示す断
面図である。なお、図1に示す超電導トランジスタにお
いて、先に図6を用いて説明した超電導トランジスタに
対応する部分には、同一参照符号を付してある。
【0030】図において、本例の超電導トランジスタ
は、面方位(100)のSrTiO{以下、STO
(100)と称す。}を基板1として、この基板1上
に、PrBaCu7−X(以下、PBCOと称
す。)からなる障壁層3を成膜してある。障壁層3の表
面側には、酸化物高温超電導体であるYBaCu
7−X(以下、YBCOと称す。)の薄膜2が成膜され
ており、このYBCO膜2は、表面側から障壁層3にま
で達するギャップ4によってソース電極7が導電接続す
るソース領域部2aと、ドレイン電極8が導電接続する
ドレイン領域部2bとに分離されている。一方、基板1
の裏面側には、障壁層3およびYBCO膜2の成膜前
に、ディンプルグラインダによって形成された薄肉部1
aを有しており、この薄肉部1aにゲート電極6が設置
されている。
【0031】ここで、障壁層3を構成するPBCO膜
は、その結晶構造が酸化物超電導体であるYBCO膜2
に類似している。すなわち、PrBaCu7−X
(PBCO)は、YBaCu7−X(YBCO)
のY(イットリウム)をPr(プラセオジム)に置換し
た化合物であるため、PBCO膜の結晶構造は、YBC
O膜2と同じくCuO面を有し、ペロブスカイト型の
構造をとっている。但し、PBCO膜はキャリア濃度
(ホール濃度、またはエレクトロン濃度)が不足してい
るために、超電導現象を発現することがなく、半導体と
なっている。なお、本例の超電導トランジスタにおいて
は、PBCO膜およびYBCO膜2のいずれも、c軸配
向されている。
【0032】上記構成の本例の超電導トランジスタにお
いて着目すべき点は、ゲート電極6が基板1の裏面側に
設置されている点にある。このため、ゲート電極6と、
このゲート電極6に対応する障壁層3のYBCO膜2側
の界面とによって平行平板コンデンサが構成され、この
コンデンサにはソース−ドレイン間電圧およびゲート電
圧に応じた電荷が蓄えられる。よって、ギャップ4に対
応するソース領域部2aからドレイン領域部2bに亘る
障壁層3の界面(YBCO膜2側の界面)には、ゲート
電圧に応じた電界が均一に加わり、ソース領域部2aお
よびドレイン領域部2bから注入されたキャリア(準粒
子)が、ソース領域部2aからドレイン領域部2bへか
けて一様に蓄積する。この結果、障壁層3のキャリア蓄
積領域が局部的に超電導体(超電導電流の経路)とな
り、ソース領域部2aとドレイン領域部2bとが接続さ
れ、ソース−ドレイン間に超電導電流が流れる。
【0033】図2に、上記構成の超電導トランジスタに
おいて、ゲート電圧Vの変化に伴うソース−ドレイン
間電圧VDSと、ソース−ドレイン間電流IDSとの関
係を示してある。図において、実線A(A〜A)は
本例の超電導トランジスタの電流出力特性を示し、破線
B(B〜B)は比較例として示す従来の超電導トラ
ンジスタ(図6に示す超電導トランジスタ)の電流出力
特性を示している。
【0034】ゲート電極6に電圧が印加されていない状
態(V=0)のとき、およびソース−ドレイン間電圧
DSがゼロのとき、線A,Bで示すように、超電
導トランジスタのソース−ドレイン間に電流は流れな
い。ソース電極7およびドレイン電極8に所定の電位を
印加した状態で、ゲート電圧Vを上昇させると、障壁
層3の界面に、ソース領域部2aおよびドレイン領域部
2bから注入されたキャリアが蓄積し、ソース−ドレイ
ン間が結合されるので、ソース−ドレイン間電流
DS、すなわち、超電導電流が流れる。このソース−
ドレイン間電流IDSは、ゲ−ト電極6に印加されるゲ
ート電圧Vの上昇に倣って増加し、ソース−ドレイン
間電圧VDSが同一であれば、実線A(V=V
と、実線A(V=V)との差で示されるように、
より大きなゲート電圧Vを印加した場合に、高出力を
得ることができる。また、ゲート電圧Vが同一である
場合には、ソース−ドレイン間電圧VDSが大きい程高
出力を得ることができる。そして、実線Aで示される本
例の超電導トランジスタの特性と、破線Bで示される従
来の超電導トランジスタの特性とを比較した場合、図に
明らかなように、ゲート電圧Vの大きさに拘らず本例
の超電導トランジスタに多くのソース−ドレイン間電流
DSが流れており、超電導電流密度が大きく、電流出
力特性に優れた超電導トランジスタを実現していること
が判る。
【0035】このように、本例の超電導トランジスタに
おいては、ゲート電極6をSTO基板1の裏面側に設置
することにより、ゲート電圧による電界を有効に障壁層
3の界面にかけることができ、印加されるゲート電圧に
対してより多くのキャリアを引き出すことができる。そ
れ故、ソース−ドレイン間が障壁層3の界面に蓄積した
キャリアによってスムーズに結合されるので、同じゲー
ト電圧を印加した場合にも、従来の超電導トランジスタ
に比して大きな超電導電流を得ることができ、出力特性
の向上が可能となる。また、ソース領域部2aとドレイ
ン領域部2bとのギャップ4部分が、絶縁層などで充填
されることがないので、ギャップ4(ソース領域部2a
およびドレイン領域部2bの端面)と充填部材(絶縁
層)との接合性を配慮する必要がなく、ギャップ4の形
成等の加工が容易となる。そして、本例の超電導トラン
ジスタにおいては、ソース領域部2aとドレイン領域部
2bとの中間領域である障壁層3に、ソース領域部2a
およびドレイン領域部2bを構成するYBCO(超電導
体)と類似の結晶構造を持つ物質、すなわち、PBCO
を用いたことにより、ソース−ドレイン間距離に材料固
有の物性に起因する制限がなくなるため、ソース−ドレ
イン間距離を大きくすることが可能となる。従って、従
来の超電導トランジスタに比して、はるかに大きい耐電
圧とすることができる。
【0036】〔実施例2〕図3は、本発明の実施例2に
係る超電導トランジスタの構造を示す断面図である。な
お、本例の超電導トランジスタにおいて、図1に示す実
施例1の超電導トランジスタに対応する部分には同一参
照符号を付して、その説明を省略する。
【0037】本例の超電導トランジスタにおいて、実施
例1の超電導トランジスタと異なる点は、基板10とし
て、NbをドープしたSTO(100)を用いている点
にある。STO(100)は、Nbのドープによりn型
の半導体となり、導電性を有するようになるため、本例
の超電導トランジスタにおいては、基板10上に、ST
O膜をスパッタリング法により成膜し、ゲート電極6と
障壁層3との間の絶縁層9としている。
【0038】このような構成の超電導トランジスタにお
いては、ゲート電極6に印加されるゲート電圧が半導体
基板10を通じて絶縁層9にかかる。これにより、障壁
層3とソース領域部2aとの界面、および障壁層3とド
レイン領域部2bとの界面に広く電界がかかるので、ソ
ース領域部2aとドレイン領域部2bとの結合がスムー
ズに行なわれる。従って、実施例1の超電導トランジス
タと同様な効果を得ることができる。また、上記の超電
導トランジスタは、図1に示す実施例1の超電導トラン
ジスタと異なり、基板を加工して、薄肉部を形成する必
要がないので、素子の作製が容易となり、生産性を向上
させることができる。また、基板10自体をゲート電極
として用いることも可能である。
【0039】〔実施例3〕図4は、本発明の実施例3に
係る超電導トランジスタの構造を示す断面図である。な
お、本例の超電導トランジスタにおいて、図1に示す実
施例1の超電導トランジスタに対応する部分には同一参
照符号を付して、その説明を省略する。
【0040】本例の超電導トランジスタにおいて、実施
例1の超電導トランジスタと異なる点は、STO基板1
上に、ソース領域部2aとドレイン領域部2bとが障壁
層3を挟んで積層される積層構造を有している点にあ
る。すなわち、本例の超電導トランジスタは、STO基
板1上に、ソース領域部2aとなるYBCO膜、障壁層
3となるPBCO膜、およびドレイン領域部2bとなる
YBCO膜を、この順にスパッタリング法にて成膜す
る。そして、パタニーング後、イオンミリング装置を用
いて各膜の所定領域を除去し、素子断面が凸型を呈する
ように加工してある。この後、ソース領域部2a,障壁
層3およびドレイン領域部2bの各層の側面が露出して
いる部分(凸型の段差部分)に、STOをスパッタリン
グ法によって成膜して絶縁層9とし、この絶縁層9上
に、Auを蒸着してゲート電極6を形成してある。
【0041】このような構成の超電導トランジスタにお
いては、ゲート電圧による電界がソース領域部2a,障
壁層3およびドレイン領域部2bに亘る側面に略均一に
印加される。このため、ソース領域部2aおよびドレイ
ン領域部2bから障壁層3に染み出したキャリアは、ゲ
ート電圧による電界がかかる界面に引き出され、ソース
領域部2aとドレイン領域部2bとが結合される。この
ように、本例の超電導トランジスタにおいても、上述し
た実施例1および実施例2の超電導トランジスタと同様
に、印加されるゲート電圧に応じて有効にキャリアを引
き出すことができるので、ソース−ドレイン間の超電導
電流密度を大きくすることができる。また、本例の超電
導トランジスタにおいては、ソース領域部2aとドレイ
ン領域部2bとが、障壁層3を挟んだ積層構造を有して
いるため、ソース領域部2aとドレイン領域部2bとの
ギャップ幅、すなわち、障壁層3の厚みを厳密に管理す
ることが可能となる。また、ソース領域部2aと障壁層
3との接合、および障壁層3とドレイン領域部2bとの
接合が良好に行なわれるため、かかる高性能な超電導ト
ランジスタの再現性を向上させることができる。
【0042】なお、実施例1ないし実施例3において
は、酸化物超電導体としてYBaCu7−Xを用
いたが、これに限定されるものではなく、La−Sr−
Cu−O系,Ln−Ba−Cu−O(Ln=La,N
d,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,T
m,Yb,Lu)系,Bi−Sr−Ca−Cu−O系,
Tl−Ba−Cu−O系およびSr−Ca−Cu−O系
にも同様に適用することができる。また、障壁層に用い
られる酸化物超電導体と類似の結晶構造を有する化合物
においても、PrBaCu7−Xに限定されるも
のではない。例えば、YBaCu7−Xを含むL
n−Ba−Cu−O(Ln=La,Nd,Sm,Eu,
Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu)系
の超電導体に対しては、PrBaCu7−X
他、ScBaCu7−Xを適用することができ
る。また、超電導体YBaCu(y>6.5)
に対する障壁層としてはY1−XPrBaCu
(x=0.6〜1.0)、Bi−Sr−Ca−Cu−
O系のBiSrCaCuに対する障壁層とし
てはBiSrCu、またはBiSrCa
1−y,YCu(y=0.5〜1.0)を適用
することができる。さらに、Tl−Ba−Cu−O系の
超電導体に対する障壁層としてはCaBaCu
La−Ba−Cu−O系のLa2−XBaCuO
よびLa−Sr−Cu−O系のLa2−XSrCuO
に対する障壁層としてはLaCuOを適用するこ
とが可能である。
【0043】
【発明の効果】以上に説明したとおり、本発明に係る超
電導素子においては、ソース領域およびドレイン領域を
障壁層の上層側に形成する一方、ゲート電極を障壁層の
下層側に形成することを特徴としている。このため、ゲ
ート電圧による電界は障壁層の界面に均一且つ有効に印
加されるので、障壁層の界面にゲート電圧に応じた電界
をかけることが可能となり、ソース領域からドレイン領
域に亘る障壁層の界面に均一にキャリアを蓄積させるこ
とができる。従って、小さなゲート電圧でソース−ドレ
イン間を接続することが可能となり、電圧ロスの少な
い、良好な電流出力を得ることが可能となる。
【0044】また、本発明においては、ソース領域とド
レイン領域とが障壁層を挟んだ積層構造を有しており、
ゲート電極が絶縁層を介して、これらソース領域,障壁
層およびドレイン領域に亘る一側面に対して設けられて
いることを特徴としている。
【0045】このため、ソース領域,障壁層およびドレ
イン領域に亘る側面の電界をゲート電圧に応じて大きく
することができ、より多くのキャリアを引き出し、蓄積
させることができるので、従来装置に比して、同等のゲ
ート電圧で大きなソース−ドレイン間電流を得ることが
でき、電流出力特性の向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係る超電導トランジスタの
構造を示す断面図である。
【図2】図1に示す超電導トランジスタにおける電流出
力特性を示すグラフ図である。
【図3】本発明の実施例2に係る超電導トランジスタの
構造を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例3に係る超電導トランジスタの
構造を示す断面図である。
【図5】従来の超電導トランジスタの構造を示す断面図
である。
【図6】(a)は従来の超電導トランジスタの構造を示
す断面図、(b)はその一部分を拡大して示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1・・・STO基板 2・・・YBCO膜 2a・・・ソース領域部 2b・・・ドレイン領域部 3・・・障壁層(PBCO膜) 4・・・ギャップ 5・・・絶縁層(STO膜) 6・・・ゲート電極 7・・・ソース電極 8・・・ドレイン電極 9・・・絶縁層(STO膜) 10・・・半導体基板 g・・・電気力線
フロントページの続き (72)発明者 向江 和郎 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 大井 明彦 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物超電導体からなるソース領域およ
    びドレイン領域と、前記酸化物超電導体と類似の結晶構
    造を有する障壁層と、前記ソース領域および前記ドレイ
    ン領域に跨がって形成され、前記障壁層に対して電界を
    印加可能なゲート電極と、を有する超電導素子であっ
    て、 前記ソース領域および前記ドレイン領域は前記障壁層の
    上層側に形成されており、前記ゲート電極は絶縁層を介
    して前記障壁層の下層側に形成されていることを特徴と
    する超電導素子。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記絶縁層は絶縁性
    基板であり、前記ゲート電極は、前記基板の薄肉部に形
    成されていることを特徴とする超電導素子。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記絶縁層と前記ゲ
    ート電極との間には、半導体基板が介在していることを
    特徴とする超電導素子。
  4. 【請求項4】 酸化物超電導体からなるソース領域およ
    びドレイン領域と、前記酸化物超電導体と類似の結晶構
    造を有する障壁層と、前記ソース領域および前記ドレイ
    ン領域に跨がって形成され、前記障壁層に対して電界を
    印加可能なゲート電極と、を有する超電導素子であっ
    て、 前記ソース領域と前記ドレイン領域とが前記障壁層を挟
    んだ積層構造を有しており、前記ゲート電極は、前記ソ
    ース領域,前記障壁層および前記ドレイン領域に亘る一
    側面に対して絶縁層を介して面していることを特徴とす
    る超電導素子。
JP43A 1992-12-29 1992-12-29 超電導素子 Pending JPH06204577A (ja)

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