JP2000258780A - 液晶表示装置およびその製造方法 - Google Patents

液晶表示装置およびその製造方法

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JP2000258780A
JP2000258780A JP11058348A JP5834899A JP2000258780A JP 2000258780 A JP2000258780 A JP 2000258780A JP 11058348 A JP11058348 A JP 11058348A JP 5834899 A JP5834899 A JP 5834899A JP 2000258780 A JP2000258780 A JP 2000258780A
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liquid crystal
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display device
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JP11058348A
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Kazuyoshi Teramoto
和良 寺本
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Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い接着強度を有し、高湿度環境下において
も接着強度が低下することなく、良好な表示特性を有す
る液晶表示装置およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 紫外線硬化型の樹脂を含むシール材4を
介在させ、一方基板2を他方基板3に固着させる液晶表
示装置の製造方法において、一方基板2と他方基板3と
を20000Pa以上40000Pa以下の圧力で押圧
した状態で、シール材4に紫外線8を照射することを特
徴とする、液晶表示装置の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、液晶表示装置お
よびその製造方法に関し、より特定的には、紫外線硬化
型の樹脂を含むシール材を用いた液晶表示装置およびそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、表示装置の1つとして液晶表示装
置が知られている。この液晶表示装置は、近年、パソコ
ンや自動車などへとその用途が拡大してきている。そし
て、用途の拡大に伴い、その大画面化も強く要求されて
きている。
【0003】図12は、従来の液晶表示装置の液晶表示
セルを示す平面模式図である。そして、図13は、図1
2に示した液晶表示セルの線分300−300における
断面を示す断面模式図である。図12および13を参照
して、従来の液晶表示装置の液晶表示セルを説明する。
【0004】図13を参照して、液晶表示セルは、下ガ
ラス基板102と上ガラス基板103とシール材120
とスペーサ105と液晶110とを備える。下ガラス基
板102上には、シール材120を介して上ガラス基板
103が固定されている。下ガラス基板102と上ガラ
ス基板103との間には、スペーサ105と液晶110
とが封入されている。そして、図12に示すように、液
晶110を注入した注入口109は封止材111により
塞がれている。
【0005】このような液晶表示セルにおいては、液晶
表示装置の大型化に伴って、よりサイズの大きなものが
要求されてきている。そして、このような大画面の液晶
表示装置を実現するためには、液晶表示セルにおける有
効表示面の面積をできるだけ大きくする必要がある。こ
のように有効表示面の面積を大きくするためには、上下
のガラス基板102、103(図13参照)を接着して
いるシール材120の幅を均一に小さくすることが求め
られる。
【0006】一方、液晶表示装置の大型化に伴って、ガ
ラス基板のサイズも大型化してきている。このような大
型サイズのガラス基板を用いた液晶表示装置において
は、熱によるガラス基板の変形や伸びによりシール材1
20と上下のガラス基板102、103との接着部に従
来よりもより大きな応力がかかるようになってきてい
る。このため、シール材120には、高い接着強度が求
められる。
【0007】これまで、シール材120としては、熱硬
化型のエポキシ系樹脂が主に用いられていた。しかし、
液晶表示装置の大型化や製造効率の向上を図るため、熱
硬化型の樹脂に代えて紫外線硬化型の樹脂がシール材と
して用いられるようになってきている。これは、上下の
ガラス基板102、103の貼り合せ工程において、紫
外線硬化型の樹脂は、熱硬化型の樹脂に比べてより短時
間で硬化、接着を行なうことが可能なためである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来、図12および1
3に示した液晶表示装置の液晶表示セルについては、以
下に述べるような製造方法が提案されている。まず、ス
クリーン印刷法またはディスペンサー塗布法を用いて、
下ガラス基板102上に未硬化の紫外線硬化型のシール
材120を塗布する。このシール材120は、図12に
示すように下ガラス基板102の端部に塗布する。そし
て、このようにシール材120が塗布された下ガラス基
板102上に、スペーサ105を適当量散布した上ガラ
ス基板103を配置する。スペーサ105の直径として
は、たとえば6μm程度のものを用いることができる。
【0009】次に、上ガラス基板103と下ガラス基板
102との位置合せを行なう。そして、この位置合せを
行なった上ガラス基板103と下ガラス基板102と
を、これらの上下のガラス基板102、103に圧力を
加えるための加圧装置に設置する。この加圧装置として
は、たとえば石英などからなる下定盤とケブラー布製の
上定盤と真空引き装置とを備える加圧装置を用いること
ができる。そして、上下のガラス基板102、103を
この上定盤と下定盤との間に配置した後、上定盤と下定
盤とにより密封する。次に、この上下のガラス基板10
2、103が配置された空間の空気を真空引き装置によ
り吸引することにより、上下のガラス基板102、10
3に圧力を加える。
【0010】このように、上下のガラス基板102、1
03に圧力を加えることにより、下ガラス基板102と
上ガラス基板103との間隔が所定の値となるよう、ギ
ャップ出しを行なう。このようにギャップ出しを行なっ
た状態で、シール材120に紫外線を照射することによ
り、紫外線硬化型の樹脂からなるシール材120を硬化
させる。この結果、シール材120により下ガラス基板
102と上ガラス基板103とを接着することができ
る。
【0011】次に、シール材120により接着された上
下のガラス基板102、103をセル分割し、その後下
ガラス基板102と上ガラス基板103との間に注入口
109から液晶110を注入する。そして、注入口10
9を封止材111で封止することにより、図12、13
に示すような液晶表示装置の液晶表示セルを得ることが
できる。
【0012】従来、上記のような紫外線硬化型のシール
材を用いた液晶表示装置およびその製造方法は、以下に
述べるように多数提案されている。しかし、従来の提案
された液晶表示装置およびその製造方法においては、以
下に述べるような問題があった。
【0013】すなわち、たとえば、特開平4−4401
3号公報においては、上述したように真空引き装置を用
いて下ガラス基板102(図13参照)と上ガラス基板
103(図13参照)とを押圧する工程が示されてい
る。しかし、この特開平4−44013号公報における
上下のガラス基板102、103の押圧圧力は5000
Pa〜15000Paという比較的低い圧力となってい
る。
【0014】このような低い圧力において上下のガラス
基板102、103を押圧する場合には、発明者らが行
なった実験によれば、紫外線硬化型のシール材のみが存
在している領域においては、紫外線硬化型のシール材が
比較的軟らかいためシール材は十分に加圧されることに
なる。この結果、シール材は所定の厚みになる。しか
し、上下のガラス基板102、103上に形成された電
極を接続するトランスファー部と呼ばれる部分において
は、エポキシ系の銀ペースト樹脂が使用されている。こ
のエポキシ系の銀ペースト樹脂の硬度は、紫外線硬化型
のシール材の硬度よりも高い。このため、上記のような
比較的低い圧力によっては、トランスファー部の銀ペー
スト樹脂を十分に押しつぶすことができず、上下のガラ
ス基板102、103の間隔(セルギャップ)が設計値
よりも大きくなる場合があった。このような場合には、
トランスファー部周辺のシール材に対する加圧が不十分
となる。このため、このトランスファー部周辺において
は、接着時の加圧不足によりシール材の幅が狭くなった
り、シール材が十分な接触面積を確保できないという問
題が発生していた。この結果、液晶表示セルの上下のガ
ラス基板102、103の接着強度が設計値よりも低下
するという問題が発生していた。
【0015】また、このようにトランスファー部周辺の
セルギャップが設計値より大きくなった領域において
は、液晶表示セルの表示が乱れ、液晶表示装置の表示特
性が劣化するという問題が発生していた。
【0016】また、実開平6−76930号公報におい
ては、基板の反りを防止するという目的において、上下
のガラス基板102、103に加える圧力を10000
Pa〜200000Paとする工程が開示されている。
そして、発明者らの実験によっても、確かに上記のよう
な圧力範囲のうちで、適当な圧力範囲を選択すれば、ト
ランスファー部周辺においても、十分シール材が加圧さ
れ、基板全面においてギャップを適正な値に保つことが
できる場合がある。
【0017】しかし、発明者らの実験によれば、上下の
ガラス基板102、103への押圧圧力がたとえば50
000Pa〜100000Paなどの高い圧力になる場
合には、熱硬化樹脂などよりも比較的柔らかい紫外線硬
化型のシール材は、この高い圧力によって潰れ過ぎた状
態になる。そして、このようにシール材が潰れ過ぎの状
態となることにより、上下のガラス基板102、103
が変形する。このような状態で紫外線を照射し、シール
材を硬化させた場合には、紫外線照射後に押圧圧力を除
去した後、上下のガラス基板102、103が弾性的に
元の形状に戻ろうとするため、基板間のギャップ戻り現
象が発生する。このような場合には、上下のガラス基板
102、103とシール材120との接着面において剥
離が発生する場合がある。
【0018】また、上記のようにシール材が潰れ過ぎた
状態となった際に、シール材102の中へ気泡が混入す
る場合や、シール材の幅が局所的に変化するといった現
象が発生する場合もある。このような現象が発生した場
合には、シール材102において所定の接着強度が得ら
れず、上下のガラス基板102、103の接着強度の低
下といった問題が発生する。
【0019】ここで、上記のような問題は、紫外線硬化
型のシール材において得に顕著であり、従来用いられて
いた熱硬化型のシール材においては、上記のような問題
は顕在化していなかった。これは、以下のような理由に
よる。
【0020】従来用いられていた熱硬化型のシール材に
は、粘度調整のため、有機溶剤が含まれている。そし
て、この熱硬化型のシール材をガラス基板上に塗布した
後、シール材を硬化させるための加熱工程(加熱温度1
40℃〜170℃)の前に、この有機溶剤を除去するた
めの前加熱工程(加熱温度80℃〜100℃、加熱時間
10分程度)を行っていた。そして、この前加熱工程に
おいて、シール材の粘度はかなり上昇する。この結果、
硬化のための加熱工程において、ガラス基板を押圧する
圧力がある程度高くなるような場合にも、シール材がつ
ぶれ過ぎるといった現象は発生しにくい。
【0021】一方、紫外線硬化型のシール材において
は、接着硬化時間が熱硬化型のシール材より短いという
メリットを最大限に発揮させるため、上記のような有機
溶剤の含有および前加熱工程などは行わない。また、紫
外線硬化型のシール材では、その硬化機構から、前加熱
工程を行っても粘度上昇はほとんど起きない。さらに、
本硬化のための紫外線照射工程の前に、シール材の粘度
を上昇させるためプレ紫外線照射を行う場合には、硬化
反応の制御が難しいため、シール材の粘度を所定の値と
することが困難である。このため、紫外線硬化型のシー
ル材においては、熱硬化型のシール材とは異なり、ガラ
ス基板へシール材を塗布した後、シール材の粘度を事前
に向上させることなく、ガラス基板の押圧工程、紫外線
照射工程を実施する。この結果、紫外線硬化型のシール
材において、上記のような問題が顕在化することにな
る。
【0022】また、特開平6−27474号公報におい
ては、液晶表示セルの上下のガラス基板102、103
に圧力を加える際に、たとえば50000Paの圧力に
まで加圧開始から3秒後に到達するように、急速に加圧
する液晶表示装置の製造方法が開示されている。しか
し、発明者らが行なった実験によれば、このように加圧
開始から所定の圧力にまで急速に昇圧する場合には、た
とえば12インチサイズのような大型サイズのガラス基
板を加圧する際など特に、基板とシール材とにより囲ま
れたセル内部の空間から、液晶の注入口を通じてガラス
基板の外部へと空気を完全に逃がすことが困難になる。
この結果、セル内部に残留した空気によりシール材12
0がセルの内側から圧力を受けることになる。このた
め、シール材の120幅が所定の幅よりも狭くなる、あ
るいは残留した空気の一部がシール材120中に気泡と
して混入するといった現象が発生する場合がある。この
ような現象が発生する場合には、やはりシール材120
と上下のガラス基板102、103との接着部における
接着強度が低下するという問題が発生していた。
【0023】また、特開平5−127174号公報に
は、エポキシ系樹脂もしくはアクリル系樹脂を主体とす
る紫外線硬化型のシール材を用いた液晶表示装置が記載
されている。しかし、発明者らの実験によれば、エポキ
シ系樹脂だけで構成した紫外線硬化型のシール材におい
ては、エポキシ系樹脂とイオン系の光重合開始剤との反
応機構から、アクリル系樹脂を主体とする紫外線硬化型
シール材を用いる場合よりも硬化に必要な紫外線照射量
が増加する。このように必要な紫外線照射量を確保する
ため、アクリル系樹脂のシール材よりも長時間紫外線を
照射する必要があるので、シール材の硬化時間の短縮化
を図ることが困難である。
【0024】また、このように一定量の紫外線を照射す
る必要があるため、紫外線照射によるガラス基板の温度
上昇が発生する。そして、ガラス基板の温度が上昇する
ことにより、ガラス基板において反りやうねりなどの変
形が発生する。このようなガラス基板の反りやうねりな
どの変形に起因して、シール材とガラス基板との接着部
に応力が発生する。この結果、シール材の接着部の接着
強度が低下するという問題が発生していた。
【0025】また、エポキシ系の樹脂だけでシール材を
構成する場合には、硬化処理後のシール材の硬度が必要
以上に高くなるため、液晶表示装置に対する衝撃や振動
などの外力によってシール材の接着部が剥離するなどの
問題が発生していた。
【0026】一方、アクリル系樹脂だけでシール材を構
成した場合には、ラジカル系光重合開始剤を用いるの
で、紫外線による硬化工程に必要な時間を、エポキシ系
樹脂を用いた場合よりも短くすることができる。しか
し、アクリル系樹脂だけで構成されたシール材では、高
湿度環境下における接着強度の低下が著しいという問題
がある。
【0027】また、アクリル系樹脂だけで構成された紫
外線硬化型シール材では、エポキシ系樹脂で構成された
紫外線硬化型シール材や、従来のエポキシ系熱硬化型シ
ール材と比較して耐熱性が劣るという問題もある。この
ように耐熱性が劣るため、液晶表示装置の製造工程にお
いて、表示特性の向上を図る目的で120℃程度の熱処
理を行なう場合に、シール材とガラス基板との接着部に
おいて剥離が発生したり、ギャップむらが発生するとい
う問題があった。
【0028】また、紫外線硬化型のシール材において
は、従来、シール材の硬化時における体積収縮率が、熱
硬化型のシール材における体積収縮率よりも大変大きか
った。このため、シール材硬化処理後におけるシール材
の内部歪は、紫外線硬化型のシール材の方が熱硬化型の
シール材よりも大きくなっていた。この結果、この内部
歪に起因してシール材の接着部の接着強度が低下すると
いう問題が発生していた。なお、発明者らの実験によれ
ば、硬化後の内部応力は、硬化時の体積収縮率とシール
材のヤング率とのバランスが大きく影響することがわか
っている。
【0029】また、特開平5−127174号公報にお
いては、紫外線硬化型のシール材としてエポキシ系樹脂
やアクリル系樹脂を用いる場合の紫外線照射強度につい
て記載されている。具体的には、アクリル系の樹脂に対
しては15mW/cm2以上、エポキシ系の樹脂に対し
ては100〜150mW/cm2とすることが記載され
ている。しかし、上記特開平5−127174号公報に
は、このような紫外線の照射強度とシール材の硬化特性
や接着強度とがどのように関係するのかといった点につ
いては何ら記載されていない。
【0030】また、特開昭55−41488号公報で
は、熱硬化型のエポキシ系樹脂と光硬化型のアクリル系
樹脂との混合物をシール材として用いた液晶表示装置が
記載されている。そして、光硬化型のアクリル系樹脂の
熱硬化型エポキシ系樹脂に対する割合は10〜30%と
記載されている。
【0031】このようにエポキシ系樹脂とアクリル系樹
脂との混合物をシール材として使用すると、エポキシ系
樹脂の硬化物の利点とアクリル系樹脂の硬化物の利点と
をその混合比率によってバランスよく発現させることが
可能である。また、アクリル系樹脂がエポキシ系樹脂の
中において内部応力に対する緩衝材のような役割を果た
す効果もある。この結果、シール材の接着強度が向上す
る。
【0032】しかし、上記特開昭55−41488号公
報において用いているエポキシ系樹脂は熱硬化型の樹脂
であり、シール材の接着強度はほとんどこのエポキシ系
の樹脂の熱硬化によるところが大きい。つまり、上記特
開昭55−41488号公報においては、確かに光硬化
型のアクリル系樹脂に対して紫外線を照射し、このアク
リル系樹脂を硬化させている。しかし、これは上下のガ
ラス基板の位置合わせを行なう場合に、塗布後のシール
材の粘度を増大させ、位置合わせをやりやすくするとい
う目的のためである。また、ここではアクリル系樹脂の
硬化にはラジカル系重合開始剤を用いている。このた
め、このアクリル系樹脂によるシール材の接着強度に対
する貢献度は、エポキシ系の樹脂の貢献度よりも小さく
なっている。
【0033】そして、上記特開昭55−41488号公
報においては、シール材を硬化させるために加熱処理を
行なっているが、その加熱処理の加熱温度は150℃以
上と高温である。このため、熱硬化処理後にガラス基板
を室温にまで冷却した場合に、ガラス基板とシール材と
の接着部において、熱硬化処理時のガラス基板の熱によ
る変形に起因する応力が発生する。この結果、ガラス基
板とシール材との接合界面に応力が集中することにな
る。そして、液晶表示装置の製造工程におけるセル切断
工程などにおいて、液晶表示セルに外力が作用するよう
な場合には、このシール材とガラス基板との接合界面に
おいて剥離などの界面破壊が発生していた。このような
界面破壊は、シール材の内部における破壊(凝集破壊)
よりも破壊に至る臨界応力が小さい。つまり、シール材
の接着部の接着強度が低下するという問題が発生してい
た。
【0034】なお、上記特開昭55−41488号公報
において用いられているエポキシ系の樹脂は熱硬化型の
樹脂であり、上記特開昭55−41488号公報に開示
された技術は、発明者らが検討している紫外線硬化型の
樹脂からなるシール材を用いた液晶表示装置およびその
製造方法とは異なる技術分野に属する技術というべきで
ある。
【0035】また、特開平10−96936号公報にお
いては、液晶の注入口を塞ぐための封止剤として用いら
れる樹脂について、硬化処理後の体積収縮率が3%以下
であると記載されている。しかし、ガラス基板の周囲を
接着するシール材についての体積収縮率については何ら
記載されていない。なお、液晶の注入口を塞ぐ封止剤だ
けについて体積収縮率を規定し、その封止剤の内部応力
を適正な範囲に保ったとしても、ガラス基板の周囲を接
着するシール材の内部応力にはほとんど影響はない。こ
の結果、シール材の接着強度にはほとんど影響がないと
考えられる。
【0036】また、発明者らの実験によれば、ガラス基
板に塗布したシール材の幅や塗布高さがばらついた場合
には、シール材とガラス基板との接着部の接着面積がば
らつくので、この結果、接着部の接着強度がばらつくと
いう問題が発生する。
【0037】また、シール材の塗布時に、たとえばディ
スペンサー塗布法を用いた場合には、ディスペンサーの
ノズル先端からシール材が滑らかに吐出されない場合
や、シール材の塗布後にシール材の幅が経時変化するよ
うな場合にも、シール材の接着強度の低下や、液晶表示
セルの表示面積の変動などの表示特性の劣化といった問
題が発生する。このような現象は、塗布を行なう際のシ
ール材の粘度や、シール材の液切れ、液垂れなどと呼ば
れる現象に関連する、シール材のチキソトロピック性が
関係している。
【0038】ここで、シール材の粘度は、たとえばロー
タ回転式のB型粘度計を用いて、0.5rpmから10
0rpmなどの回転数におけるトルク力から測定でき
る。また、チキソトロピック性は、たとえば上記の粘度
計を用いて回転数1rpmにおける粘度と回転数10r
pmにおける粘度とを測定し、(回転数1rpmにおけ
る粘度)/(回転数10rpmにおける粘度)で定義さ
れる粘度比という指標で評価できる。
【0039】そして、従来用いられていた紫外線硬化型
のシール材では、その主成分であるアクリル系樹脂や微
量添加剤などの影響から、最適なチキソトロピック性を
確保することが困難であった。そのため、シール材を塗
布した後に、ガラス基板上においてシール材が流れて、
塗布幅や塗布高さが変化するなどの問題が発生してい
た。
【0040】以上のように、従来の紫外線硬化型のシー
ル材を用いた液晶表示装置の製造方法では、シール材に
おいて高い接着強度を安定して確保し、また高湿度環境
下においても接着強度の劣化を防止し、かつ、良好な表
示特性を有する液晶表示装置を得ることは困難であっ
た。
【0041】この発明は、上記のような課題を解決手段
するためになされたものであり、この発明の1つの目的
は、紫外線硬化型のシール材を用いた液晶表示装置にお
いて、シール材の接着部の接着強度が高く、かつ、高湿
度環境下においても接着強度の劣化を防止することがで
き、良好な表示特性を有する液晶表示装置を提供するこ
とである。
【0042】この発明のもう1つの目的は、紫外線硬化
型のシール材を用いた液晶表示装置において、シール材
の接着部の接着強度が高く、かつ、高湿度環境下におい
ても接着強度の劣化を防止することができ、良好な表示
特性を有する液晶表示装置を得ることが可能な液晶表示
装置の製造方法を提供することである。
【0043】
【課題を解決するための手段】この発明の一の局面にお
ける液晶表示装置の製造方法は、紫外線硬化型の樹脂を
含むシール材を介在させ、一方基板を他方基板に固着さ
せる液晶表示装置の製造方法において、一方基板と他方
基板とを20000Pa以上40000Pa以下の圧力
で押圧した状態で、シール材に紫外線を照射することを
特徴とする(請求項1)。
【0044】このように、上記のような圧力で一方基板
と他方基板を押圧するため、シール材よりも硬度の高い
構成材が存在するトランスファー部周辺などにおいて
も、シール材を十分潰れた状態とすることができる。こ
の結果、紫外線を照射する際にシール材の幅が所定の幅
よりも小さくなることを防止できる。また、シール材と
一方基板および他方基板との密着部の面積を十分に確保
することができる。この結果、シール材の接着部の接着
強度を十分高くすることができる。
【0045】また、シール材が押圧されることにより十
分潰れた状態となるので、一方基板と他方基板との間の
距離(セルギャップ)が設定値よりも大きくなるという
ことを防止できる。この結果、セルギャップが設定値よ
りも大きくなることに起因する液晶表示装置の表示品質
の劣化を有効に防止することができる。
【0046】また、一方基板および他方基板を押圧する
圧力が40000Pa以下であるので、押圧圧力が高す
ぎることに起因して、シール材の部分が他の構造部分よ
りもより潰れた状態となることを防止できる。この結
果、一方基板および他方基板が押圧によって変形するこ
とを防止できる。このため、紫外線を照射し、シール材
を硬化した後に、上記のようにガラス基板が変形した状
態から弾性的に元の形状に戻ろうとすることによる、シ
ール材における内部応力の発生を防止できる。この結
果、一方基板および他方基板とシール材との接着面に応
力がかかることを防止できる。その結果、このような接
着面にかかる応力に起因する接着強度の低下を防止でき
る。
【0047】また、上記のような圧力範囲で一方基板お
よび他方基板を押圧するので、シール材の過剰な変形を
防止することができる。この結果、一方基板と他方基板
との間の空隙からの空気がシール材中へ気泡としての混
入することを防止できる。また、シール材が過剰に潰さ
れることに起因するシール材幅の乱れを有効に防止する
ことができる。この結果、シール材中への気泡の混入や
シール材幅の乱れに起因する接着強度の低下を防止する
ことができる。
【0048】また、紫外線硬化型の樹脂を含むシール材
を用いるので、熱硬化型のシール材を用いる場合のよう
に一方基板および他方基板を高温に加熱する必要がな
い。この結果、一方基板および他方基板において、熱に
よる伸びや反りといった変形が発生することを抑制でき
る。このため、シール材の硬化後において、一方基板お
よび他方基板の熱による変形に起因する位置ずれ量を小
さくすることができる。この結果、液晶表示装置の表示
特性がこのような位置ずれに起因して劣化することを防
止できる。
【0049】また、一方基板および他方基板を加熱する
必要がないので、一方基板および他方基板の温度上昇が
熱硬化型のシール材を用いる場合よりも小さい。この結
果、熱硬化型のシール材を用いた場合に比べて、シール
材と一方基板および他方基板との間の接着部における熱
応力の発生を抑制することができる。この結果、接着強
度を高く保つことが可能となる。
【0050】また、熱硬化型のシール材を用いた場合よ
りも、シール材の硬化処理を行なう工程の時間を短くす
ることができるので、液晶表示装置の製造効率を向上さ
せることができる。
【0051】上記一の局面における液晶表示装置の製造
方法では、一方基板と他方基板とを押圧する方法とし
て、一方基板および他方基板を上定盤と下定盤との間に
設置し、この上定盤と下定盤とを空気圧により加圧する
方法を用いてもよい。また、上定盤と下定盤とをシリン
ダなどを用いて機械的に加圧する方法を用いてもよい。
また、一方基板と他方基板とを袋状物の内部に挿入した
後、その袋状物の内部を真空引きすることにより、大気
圧によって一方基板および他方基板を押圧する方法を用
いてもよい。
【0052】上記一の局面における液晶表示装置の製造
方法では、下定盤として紫外線を透過し、平滑な表面を
有する材料を用いることができる。このような材料とし
てアクリル板やガラス板を用いることができる。また、
より好ましくは、下定盤の材料として、石英ガラスを用
いることが好ましい。ここで、この石英ガラスはシール
材の硬化に必要な紫外領域の光の透過率が高い。また、
石英ガラスは、通常のガラスに比べて材料強度が高く割
れにくい、化学変化などに対する耐性が高いといった利
点を有する。このため、石英ガラスは、液晶表示装置の
製造方法において定盤として用いるのに特に適してい
る。
【0053】上記一の局面における液晶表示装置の製造
方法では、上定盤としてはステンレス板や樹脂入りケブ
ラー布などを用いてもよい。これは、上定盤にはある程
度の収縮性およびある程度の硬度、強度を有することが
求められるためである。
【0054】上記一の局面における液晶表示装置の製造
方法では、シール材に紫外線を照射する工程において、
300nm以上400nm以下の波長の光を放出する紫
外線ランプを用いてもよい。このような紫外線ランプと
しては、4KW以上10KW以下の出力を有するメタル
ハライドランプや高圧水銀ランプを用いることが好まし
い。また、紫外線の照射強度としては60mW/cm2
以上200mW/cm2以下という照射強度を確保する
ことが好ましい。
【0055】上記一の局面における液晶表示装置の製造
方法では、一方基板と他方基板とを押圧する工程を開始
してから、20000Pa以上40000Pa以下の範
囲内の所定圧力に到達するまでの昇圧時間が60秒以上
600秒以下であってもよい(請求項2)。
【0056】この場合、昇圧時間を60秒以上とすれ
ば、一方基板と他方基板とシール材とによって囲まれた
空隙から余分な空気を完全に外部に逃がすことができる
ので、空隙の内部に残留した余分な空気がシール材に気
泡として混入するといった問題の発生を防止できる。こ
のため、この気泡の存在によりシール材と一方基板およ
び他方基板との間の接着部における接着強度が低下する
ことを防止できる。
【0057】また、昇圧時間が600秒を超えるような
場合には、上記のような効果の程度はほとんど向上しな
くなる。このため、かえって液晶表示装置の製造に要す
る時間が長引くことになってしまう。このため、昇圧時
間として最大で600秒程度を確保すれば、上記のよう
な効果を確実に得ることができ、かつ、液晶表示装置の
製造効率(生産効率)の低下を抑制することができる。
【0058】上記一の局面における液晶表示装置の製造
方法では、樹脂がエポキシ系樹脂とアクリル系樹脂とを
含んでいてもよく、アクリル系樹脂のエポキシ系樹脂に
対する割合が4/6以下であってもよい(請求項3)。
【0059】この場合、シール材として紫外線硬化型の
エポキシ系樹脂と紫外線硬化型のアクリル系樹脂との混
合樹脂を用いているので、従来の熱硬化型のエポキシ系
樹脂と紫外線硬化型のアクリル系樹脂との混合系を用い
たシール材を用いる場合よりも、シール材の硬化処理に
おける一方基板および他方基板の温度上昇を抑制でき
る。このため、シール材の接着部における熱応力の発生
を防止することができるので、高い接着強度を実現する
ことができる。
【0060】また、エポキシ系樹脂とアクリル系樹脂と
を混合したシール材を用いることにより、エポキシ系樹
脂の硬化物とアクリル系樹脂の硬化物との両方の利点を
備えるシール材を得ることができる。
【0061】また、エポキシ系樹脂だけをシール材とし
て用いた場合より、樹脂の硬化に必要な紫外線の照射量
を低減することができる。このため、紫外線の照射に起
因する一方基板および他方基板の温度上昇を抑制するこ
とができる。この結果、一方基板および他方基板の熱に
よる反りなどの変形を防止することができるので、シー
ル材の接合後における基板の変形に起因する応力の集中
を抑制することができる。
【0062】また、シール材として紫外線硬化型のエポ
キシ系樹脂を含有しているので、アクリル系樹脂のみを
用いた場合よりも高湿度環境下での接着強度の低下を抑
制できる。この結果、シール材の接合部の接着強度を高
湿度環境下においても高く保つことができる。
【0063】また、上記のような混合系のシール材を用
いることで、接着強度を高く保つことができるので、液
晶表示装置の製造工程におけるセル切断工程などにおい
ても、シール材の接合部における剥離の発生を有効に防
止することができる。
【0064】また、上記のような混合系のシール材を用
いることで、アクリル系樹脂のみをシール材として用い
た場合よりも高い耐熱性を確保することができる。
【0065】上記一の局面における液晶表示装置の製造
方法においては、エポキシ系樹脂として、ビスフェノー
ルA又はビスフェノールFのジグリシジルエーテル型エ
ポキシ樹脂や脂環式エポキシ樹脂などを用いてもよい。
また、アクリル系樹脂としては、ジエチレングリコール
などの多価アルコールのジ(メタ)アクリレート樹脂や
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂などを用いてもよ
い。
【0066】また、エポキシ系樹脂の硬化に用いる光重
合開始剤としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、
スルホニウム塩、メタロセン化合物、リン系化合物など
のカチオン重合タイプのものを用いてもよい。また、ア
クリル系樹脂の硬化に用いる光重合開始剤としては、ベ
ンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、フェニルケト
ン類などのラジカル重合タイプのものを用いてもよい。
【0067】また、シール材には、アクリレートモノマ
ーなどの粘度調整用添加物、エポキシ系モノマーなどの
反応希釈剤、アミン類などの光増感剤、硬化物の機械的
性質などを改良するための珪素、チタン、カルシウムな
どの酸化物を添加してもよい。
【0068】なお、上記のようなシール材の類似組成物
は、たとえば株式会社スリーボンド社から商品名TB3
025Gとして入手できる。
【0069】上記一の局面における液晶表示装置の製造
方法では、シール材の25℃における粘度が50000
mPa・s以上80000mPa・s以下であってもよ
い(請求項4)。
【0070】この場合、一方基板もしくは他方基板にシ
ール材を塗布したような場合にも、シール材が上記のよ
うな粘度を有するため、塗布後のシール材の塗布幅や塗
布高さの変動を抑制することができる。この結果、シー
ル材と一方基板および他方基板との接着面における面積
の変動を防止できる。このため、シール材の接着部の接
着強度が変動することを防止できる。
【0071】また、シール材が上記のような粘度を示す
ことにより、シール材を一方基板もしくは他方基板に塗
布する際にディスペンサー塗布法を用いるような場合に
も、シール材のノズル詰まりや液垂れを有効に防止でき
る。
【0072】ここで、シール材の粘度が50000mP
a・s未満の場合には、一方基板もしくは他方基板にシ
ール材を塗布した後、シール材が拡がったり、液垂れが
発生する。この結果、シール材と基板との接着面の面積
が変動することになる。また、一方基板と他方基板とを
押圧する場合にも、シール材が十分な粘度を有していな
いため、押圧によってシール材が潰れて一方基板と他方
基板との間隔が設計値よりも小さくなってしまう。そし
て、このような場合には一方基板もしくは他方基板が変
形した状態で、シール材の硬化処理を行うことになる。
このため、押圧およびシール材の硬化処理後に圧力を除
去した後に、基板が弾性的に元の形状に戻ろうとするた
め、シール材と基板との接着部に応力が発生する。この
結果、シール材の接着部の剥離などの問題が発生する。
また、シール材の粘度が80000mPa・sを超える
ような場合には、シール材の流動性が低下し、ディスペ
ンサー塗布法などを用いて一方基板もしくは他方基板に
シール材を塗布するような場合にも、シール材の塗布幅
および塗布高さを設定値に保つことが困難になる。この
結果、上記と同様にシール材の塗布面積が変動すること
になる。そのため、結果としてシール材と基板との接着
部の面積が変動することになる。この結果、シール材の
接着強度が変動する。
【0073】なお、シール材の粘度は、一般に市販され
ている回転式B型粘度計やコーン型回転粘度計などを用
いて測定することができる。
【0074】上記一の局面における液晶表示装置の製造
方法では、樹脂について、回転数10rpmでの粘度に
対する回転数1rpmでの粘度の比である粘度比が1.
5以上3.0以下であってもよい(請求項5)。
【0075】この場合、上記のような粘度比であれば、
シール材を塗布する際には十分なシール材の流動性を確
保することができる。また、塗布終了後においては、一
方基板もしくは他方基板上においてシール材が流れたり
液垂れを起こすというようなことを防止できる。
【0076】ここで、粘度比が1.5より小さい場合に
は、シール材の塗布時と塗布後の粘度の差が小さいた
め、塗布後にシール材が基板上において流れたり、液垂
れが発生し、塗布後のシール材の塗布幅や塗布高さを所
定の値に保つことが困難となる。
【0077】また、シール材の粘度比が3.0を超える
ような場合には、シール材を基板に塗布する際、シール
材の塗布速度の変動によってシール材の粘度が大きく変
動することになる。結果として、シール材の塗布断面の
形状が変動する、あるいはシール材の液切れが悪いとい
ったような問題が発生する。この結果、シール材の接着
面の形状が変動することにより、接着部の接着強度が変
動する。また、シール材の塗布膜厚が変動することによ
り、一方基板と他方基板との間の間隔(セルギャップ)
が局所的に変動することになる。この結果、液晶表示装
置の表示が乱れることになり、液晶表示装置の表示特性
が劣化する。
【0078】上記一の局面における液晶表示装置の製造
方法では、シール材に紫外線を照射する前におけるシー
ル材の体積に対する、シール材に紫外線を照射した後に
おけるシール材の体積の収縮率が3%以下であってもよ
い(請求項6)。
【0079】この場合、紫外線照射後におけるシール材
の体積の収縮に起因するシール材の内部応力の発生を有
効に抑制することができる。この結果、内部応力の発生
に起因するシール材の接着部における接着強度の低下を
抑制することができる。
【0080】上記一の局面における液晶表示装置の製造
方法では、シール材に紫外線を照射した後において、シ
ール材のヤング率が1000MPa以上3000MPa
以下であってもよい(請求項7)。
【0081】この場合、シール材の硬化後のヤング率が
1000MPa以上であれば、シール材の凝集強度を十
分高くすることができる。
【0082】また、高湿度環境下におけるシール材の接
着強度の低下を有効に防止することができる。
【0083】また、硬化後のシール材のヤング率が30
00MPa以下であれば、シール材が硬くなり過ぎるこ
とを防止できる。この結果、シール材の内部応力の増加
を抑制できる。このため、シール材の接着部の接着強度
が低下することを防止できる。
【0084】また、シール材における硬化処理前後(紫
外線照射後)の体積収縮率が上記のように3%以下であ
る場合、この体積収縮率と硬化後のヤング率とのバラン
スが良好であるため、シール材の内部歪の増大を有効に
抑制することができる。この結果、内部歪に起因するシ
ール材の接着部の接着強度の劣化を防止することができ
る。
【0085】上記一の局面における液晶表示装置の製造
方法では、シール材に紫外線を照射した後において、シ
ール材のガラス転移温度が130℃以上であってもよい
(請求項8)。
【0086】この場合、液晶表示装置の製造工程におい
て、120℃程度の熱処理があるような場合にも、シー
ル材の特性がこの熱処理に起因して変化することを防止
できる。この結果、このシール材の特性の変化に起因し
て接着部の剥離や一方基板および他方基板の間の間隔の
局所的な変動が発生することを防止できる。
【0087】上記一の局面における液晶表示装置の製造
方法では、シール材に紫外線を照射した後において、シ
ール材を加熱する工程を備えていてもよい(請求項
9)。
【0088】ここで、紫外線硬化型の樹脂の硬化(重
合)工程は、化学反応により樹脂の分子量を増大してい
くことにより硬化樹脂の骨格を形成する反応である。そ
して、この反応にはラジカル重合タイプとカチオン(イ
オン系)重合タイプの2種類の反応がある。ここで、本
発明におけるエポキシ系樹脂とアクリル系樹脂との混合
系における、エポキシ系樹脂の紫外線による重合反応に
はカチオン重合タイプを用いることが多い。このカチオ
ン重合タイプの反応においては、紫外線を照射すること
により、光重合開始剤が分解される。そして、これによ
り樹脂の重合反応が進行する。また、この重合反応は紫
外線の照射が終了した後も継続する。
【0089】ここで、この紫外線の照射が終了した後に
おいても重合反応が継続している場合に、熱を加えるこ
とにより、この重合反応をさらに促進させることができ
る。この結果、シール材の硬化反応を促進し、シール材
の硬度をより高くすることができる。つまり、紫外線の
照射工程の後に、さらにシール材を加熱する工程を行な
うことにより、シール材の硬度および接着強度を高くす
ることができる。
【0090】また、液晶表示装置の一方基板および他方
基板上には、100〜200μm以下で数十μm程度ま
での細い配線が形成されている。そして、このような配
線が、シール材が配置された領域にも配置される場合が
ある。このような場合、これらの配線が紫外線を遮り、
この配線下に位置するシール材に十分紫外線が到達しな
い場合がある。なお、この場合にも、周囲の構造物によ
り反射された紫外線や紫外線の回り込み(回折)などに
より、配線下に位置するシール材にもある程度の紫外線
は到達する。しかし、その紫外線の照射量は不十分であ
るため、配線下に位置するシール材の硬化が十分にでき
ていない場合がある。このような場合に、紫外線照射後
にシール材を加熱する工程を行なうことにより、上記の
ように熱を付加することによる硬化反応(重合反応)の
促進を図ることができる。この結果、配線下に位置する
シール材の硬度を十分に確保することが可能である。
【0091】また、熱を加える前に紫外線照射によって
シール材の硬化はある程度進んでいるため、熱を加える
ことにより硬化を促進する場合にも、熱硬化型の樹脂を
用いる場合より、熱によるシール材の内部応力の増大を
抑制することができる。この結果、シール材の接着部の
接着強度を向上させることができる。
【0092】この発明の他の局面における液晶表示装置
は、上記一の局面における液晶表示装置の製造方法を用
いて製造されていてもよい(請求項10)。
【0093】この場合、シール材の接着部における高い
接着強度を有し、高湿度環境下においても接着強度の劣
化を防止することが可能であり、かつ、良好な表示特性
を有する液晶表示装置を容易に得ることができる。
【0094】この発明の別の局面における液晶表示装置
は、紫外線硬化型の樹脂を含むシール材を介在させ、一
方基板を他方基板に固着させた液晶表示装置であって、
シール材は紫外線硬化型のエポキシ系樹脂と紫外線硬化
型のアクリル系樹脂とを含み、アクリル系樹脂のエポキ
シ系樹脂に対する割合が4/6以下であることを特徴と
する(請求項11)。
【0095】このように、紫外線硬化型の樹脂を含むシ
ール材を用いるので、熱硬化型のシール材を用いる場合
のように基板を加熱する必要がない。このため、熱によ
る一方基板および他方基板の伸びや反りといった変形を
抑制することができる。この結果、シール材を硬化した
後における一方基板と他方基板との位置ずれの発生を抑
制することができる。この結果、優れた表示特性を有す
る液晶表示装置を得ることができる。
【0096】また、基板の温度上昇が熱硬化型のシール
材を用いた場合よりも小さいので、熱硬化型のシール材
を用いた場合に比べてシール材の接着部における熱応力
を小さくすることができる。
【0097】また、熱硬化型のシール材を用いた場合よ
りも紫外線硬化型の樹脂を含むシール材を用いる方が、
硬化反応に要する時間を短縮することができる。この結
果、液晶表示装置の生産効率を向上させることができ
る。
【0098】また、紫外線硬化型のエポキシ系樹脂とア
クリル系樹脂との混合系のシール材を用いるので、従来
の熱硬化型のエポキシ系樹脂とアクリル系樹脂との混合
系のシール材よりも、接着部の接着強度を高くすること
ができる。また、エポキシ系樹脂とアクリル系樹脂との
混合系のシール材を用いることにより、エポキシ系樹脂
の利点とアクリル系樹脂の利点との双方を備えるシール
材を得ることができる。
【0099】また、エポキシ系樹脂だけをシール材とし
て用いた場合よりも、シール材の硬化に必要な紫外線の
照射量を低減することができる。この結果、紫外線の照
射に起因する基板の温度上昇を抑制することができる。
この結果、基板の温度上昇に起因する基板の反りや伸び
などの変形を防止することができる。
【0100】また、エポキシ系樹脂を含むシール材を用
いているので、高湿度環境下においてもシール材の接合
部における接着強度が劣化することを防止できる。
【0101】また、エポキシ系樹脂とアクリル系樹脂と
の混合系のシール材を用いることで、高い接着強度を実
現することができるので、液晶表示装置の製造工程にお
けるセル切断工程など、外力が液晶表示セルに付加され
るような場合にも、シール材の接合部における剥離など
の不良の発生を防止できる。
【0102】また、エポキシ系樹脂とアクリル系樹脂と
の混合系のシール材を用いることで、アクリル系樹脂の
みをシール材として用いた場合よりも高い耐熱性を実現
することができる。
【0103】上記別の局面における液晶表示装置では、
シール材のヤング率が1000MPa以上3000MP
a以下であってもよい(請求項12)。
【0104】この場合、シール材のヤング率が1000
MPa以上であれば、シール材の凝集強度を十分高くす
ることができる。また、高湿度環境下におけるシール材
の接着強度が低下することを防止できる。
【0105】また、シール材のヤング率が3000MP
a以下であれば、シール材の硬化後の硬度が高くなり過
ぎることがなく、この結果、シール材の内部応力の増加
を抑制できる。このため、シール材の接着部の接着強度
が、高い内部応力に起因して低下するといった問題の発
生を防止できる。
【0106】また、このようなヤング率の数値範囲であ
れば、シール材の内部歪の増大を有効に抑制することが
できる。
【0107】上記別の局面における液晶表示装置では、
シール材のガラス転移温度が130℃以上であってもよ
い(請求項13)。
【0108】この場合、液晶表示装置の製造工程におい
て、120℃程度の熱処理があるような場合にも、シー
ル材の特性がこの熱処理に起因して変化することを防止
できる。この結果、シール材の特性の変化に起因して接
着部の剥離や基板間の間隔が変動するというような不良
の発生を防止できる。
【0109】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づいて本発明の実
施の形態を説明する。
【0110】(実施の形態1)図1は、本発明による液
晶表示装置の液晶表示セルの実施の形態1を示す平面模
式図である。そして、図2は、図1に示した液晶表示セ
ルの線分100−100における断面模式図である。図
1および2を参照して、液晶表示セルを説明する。
【0111】図1および2を参照して、液晶表示セル1
2は、下ガラス基板2と上ガラス基板3と、この下ガラ
ス基板2と上ガラス基板3とを接合する紫外線硬化型の
シール材4とスペーサ5と液晶10と封止剤11とを備
える。下ガラス基板2上には、下ガラス基板2の周辺部
に位置するように紫外線硬化型の樹脂を含むシール材4
が配置されている。シール材4上には、上ガラス基板3
が配置されている。下ガラス基板2と上ガラス基板3と
は、シール材4によって固着されている。下ガラス基板
2と上ガラス基板3との間の空隙には、スペーサ5が下
ガラス基板2と上ガラス基板3との間の間隔を保つため
に封入されている。そして、下ガラス基板2と上ガラス
基板3との間には液晶10が注入口9より注入され、注
入口9は封止剤11により封止されている。
【0112】ここで、紫外線硬化型のシール材4は紫外
線硬化型のエポキシ系樹脂と紫外線硬化型のアクリル系
樹脂との混合系により構成されている。また、アクリル
系樹脂のエポキシ系樹脂に対する割合は4/6以下とな
っている。そして、シール材4の硬化を行なうために、
紫外線の照射を主に用いる。
【0113】このように、シール材4として紫外線硬化
型の樹脂を用いるので、熱硬化型の樹脂からなるシール
材を用いる場合のようにシール材4を加熱する必要がな
い。この結果、このシール材4の加熱工程に伴って下ガ
ラス基板2と上ガラス基板6との温度が上昇するといっ
たことを防止できる。このため、この加熱によって下ガ
ラス基板2および上ガラス基板3が熱により反りや伸び
を起こすといった変形が起こることを防止できる。その
ため、この下ガラス基板2および上ガラス基板3の熱膨
張に起因して上下のガラス基板2、3の相対位置がずれ
ることを防止できる。この結果、シール材4の硬化処理
後においても基板2、3の位置がずれることがないの
で、液晶表示装置の表示特性が劣化することを有効に防
止できる。
【0114】また、下ガラス基板2および上ガラス基板
3の温度上昇を、熱硬化型シール材を用いる場合よりも
小さくできる。このため、シール材4と下ガラス基板
2、上ガラス基板3の接着部の熱応力が大きくなること
を防止できる。
【0115】また、熱硬化型のシール材を用いる場合よ
りも、シール材4の硬化処理に必要な時間を短縮できる
ので、液晶表示装置の製造工程に要する時間を短縮する
ことができる。この結果、液晶表示装置の生産効率を向
上させることができる。
【0116】また、紫外線硬化型のエポキシ系樹脂と紫
外線硬化型のアクリル系樹脂との混合系からなるシール
材4を用いているので、熱硬化型のエポキシ系樹脂を用
いるような従来の混合系からなるシール材を用いた場合
よりも、より高い接着強度を実現することができる。
【0117】また、このように混合系のシール材4を用
いるので、エポキシ系樹脂の利点とアクリル系樹脂の利
点とを兼ね備えたシール材を実現することができる。
【0118】また、エポキシ系樹脂だけをシール材4と
して用いた場合よりも、後述する製造工程において、シ
ール材4の硬化に必要な紫外線の照射量を低減すること
ができる。この結果、紫外線の照射に起因して発生する
熱により下ガラス基板2、上ガラス基板3の温度が上昇
することを防止できる。この結果、この熱により上下の
ガラス基板2、3において反りなどの変形が発生するこ
とを防止できる。
【0119】また、アクリル系樹脂よりも高湿度環境下
において高い耐性を有するエポキシ系樹脂をシール材4
に含有しているので、高湿度環境下においても、シール
材4と上下のガラス基板2、3との接合部における接着
強度を高く保つことができる。
【0120】また、このようにシール材4において高い
接着強度を実現することができるので、後述する液晶表
示装置の製造工程におけるセル切断工程など、液晶表示
セル12に大きな外力がかかるような場合にも、シール
材4の接合部における剥離などの不良が発生することを
防止できる。
【0121】また、エポキシ系樹脂とアクリル系樹脂と
の混合系からなるシール材4を用いることで、アクリル
系樹脂のみをシール材として用いた場合よりもより高い
耐熱性を実現することができる。
【0122】また、後述する液晶表示装置の製造工程に
おいて示すように、シール材4の硬化の際の体積収縮率
は3%以下である。また、シール材4の硬化後のヤング
率は1000MPa以上3000MPa以下となってお
り、硬化後のシール材4のガラス転移温度は130℃以
上となっている。
【0123】ここで、シール材4の硬化後のヤング率が
1000MPa以上であるので、シール材4の強度を十
分高くすることができる。また、高湿度環境下における
接着強度の低下を有効に防止することも可能となる。
【0124】また、シール材4の硬化後のヤング率が3
000MPa以下となっているので、シール材4の硬化
後の硬度が必要以上に高くなることもない。このため、
シール材4の内部応力の増加を抑制することが可能とな
る。この結果、シール材4の接着部における接着強度の
低下を防止することができる。
【0125】また、シール材4の硬化時の体積収縮率と
硬化後のヤング率とのバランスが良好であるので、シー
ル材4の硬化後における内部歪みの増大を抑制すること
が可能である。この結果、シール材4の接着部において
高い接着強度を実現することができる。
【0126】また、シール材4の硬化後のガラス転移温
度が130℃以上であるので、後述する液晶表示装置の
製造工程において、120℃程度の熱処理があるような
場合にも、シール材4の特性がこの熱処理に起因して変
化するといったことを防止できる。この結果、シール材
4の特性の変化に起因してシール材4の接着部において
剥離が起こるといった問題の発生を防止できる。また、
シール材4の特性の変化に伴って、上下のガラス基板
2、3の間の間隔が局所的に変動すること(ギャップむ
ら)が発生することを防止できる。
【0127】図3は、図1および2に示した液晶表示装
置の製造方法を説明するためのプロセスフロー図であ
る。図3を参照して、液晶表示装置の製造方法を説明す
る。
【0128】図3を参照して、まず、基板作製工程(S
1)を行なうことにより、上下のガラス基板2、3(図
2参照)を準備する。
【0129】次に、下ガラス基板2の周囲端部に紫外線
硬化型のシール材4(図1参照)を、ディスペンサー塗
布法を用いて塗布する。このようにして、紫外線硬化型
シール材の塗布工程(S2)を実施する。
【0130】次に、基板重ね合わせ工程(S3)を実施
する。具体的には、下ガラス基板2上に上ガラス基板3
を所定の位置になるように重ね合わせて配置する。な
お、上ガラス基板3を重ね合わせる際には、上ガラス基
板3の下ガラス基板2に対向する面にはスペーサ5が適
当量散布されている。
【0131】次に、加圧・ギャップ出し工程(S4)を
実施する。具体的には、図4を参照して、上下のガラス
基板2、3を下定盤1の上に配置する。ここで、図4
は、図3に示した加圧・ギャップ出し工程を説明するた
めの断面模式図である。
【0132】次に、上下のガラス基板2、3上に上定盤
6を重ねて配置する。この上定盤6は袋状になってい
る。この上定盤6に連結する真空引き装置7を用いて、
上定盤6と下定盤1との間の袋状の部分を減圧すること
により、大気圧によって上定盤を介して上下のガラス基
板2、3を押圧する。この押圧の際の圧力は20000
Pa以上40000Pa以下とする。また、押圧の開始
から所定の圧力に到達するまでの昇圧時間を60秒以上
600秒以下となるように調節する。
【0133】ここで、上定盤6は樹脂入りのケブラー布
からなる。また、ここで、下ガラス基板2上に塗布され
ているシール材4の25℃における粘度は5000mP
a・s以上80000mPa・sである。このため、下
ガラス基板2上に塗布したシール材4の線幅や塗布高さ
が変動することを防止できる。このため、シール材4の
接着面の面積が塗布した状態から大きく変動しないの
で、シール材4の接着部の接着強度が変動することを防
止できる。
【0134】また、ディスペンサー塗布法を行なう際
に、シール材4がノズルに詰まるといった問題や、シー
ル材の液垂れの発生といった問題を防止できる。
【0135】ここで、シール材4の25℃における粘度
が5000mPa・s未満の場合には、塗布後にシール
材4の線幅や塗布高さが変動したり、シール材4の液垂
れが発生する場合がある。この結果、シール材4と上下
のガラス基板2、3との接着面の面積が変動する場合が
ある。また、図4に示すような加圧工程において、シー
ル材4が潰れて所定の幅よりも拡がった状態となり、上
下のガラス基板2、3が変形した状態でシール材4の硬
化が行なわれる場合がある。このような場合には、圧力
を除去した後に上下のガラス基板2、3が弾性的に元の
形状に戻ろうとすることに起因して、シール材4と上下
のガラス基板2、3との接着面において応力が発生す
る。この結果、この応力によってシール材4の接着面に
おいて剥離が起こるなどの問題が発生していた。
【0136】また、シール材の25℃における粘度が8
0000mPa・sを超えるような場合には、塗布工程
におけるシール材4の流動性が不足する。このため、や
はりシール材4を塗布する際に所定の形状にシール材4
を塗布することが困難になる。この結果、シール材4と
上下のガラス基板2、3との接着面の面積が所定の幅よ
りも小さくなる場合があった。
【0137】また、シール材4の粘度比は1.5以上
3.0以下となっている。ここで、粘度比とは、回転数
10rpmでのシール材4の粘度に対する、回転数1r
pmでのシール材4の粘度の比として定義される。
【0138】このように、シール材4の粘度比が1.5
以上3.0以下という範囲である場合には、シール材4
の塗布時にはシール材4の粘度は十分小さく、流動性を
確保することができる。このため、所定の形状に正確に
シール材4を塗布することができる。また、塗布後にお
いては、適度な粘度をシール材4が有することになるの
で、シール材4が液垂れしたり、シール材4の形状が崩
れるといった問題の発生を防止できる。
【0139】なお、粘度比が1.5より小さい場合に
は、シール材4の塗布時と塗布後との粘度の差が小さい
ことにより、塗布後にシール材4が流れたり、シール材
4の形状の保持が困難となる。また、粘度比が3.0を
超えるような場合には、シール材4の塗布速度の変動に
よって、シール材4の粘度が変動する。そして、結果と
してシール材4の塗布形状が所定の形状から変動するこ
とになる。また、ノズルから吐出するシール材の液切れ
が悪いといった問題も発生する。この結果、シール材4
と上下のガラス基板2、3との接着面の形状が変動し、
接着部の接着強度にばらつきが発生する。また、シール
材4の膜厚においても局所的な変動が発生するため、上
下のガラス基板2、3の間の間隔にも局所的な変動が発
生する。この結果、液晶表示装置の表示特性が劣化する
という問題が発生する。
【0140】次に、図3を参照して、加圧・ギャップ出
し工程(S4)の後、紫外線照射工程(S5)を実施す
る。この紫外線照射工程(S5)は、図5に示すよう
に、下定盤1の下方から紫外線ランプにより発生させた
紫外線8を照射する。そして、この紫外線8の照射によ
り、紫外線硬化型のシール材4を硬化する。ここで、図
5は、図3に示した紫外線照射工程を説明するための断
面模式図である。
【0141】このように、上下のガラス基板2、3を2
0000Pa以上40000Pa以下の圧力で押圧した
状態で、シール材4に紫外線8を照射するので、液晶表
示セルにおいてシール材4よりも硬度の高い部材が存在
するトランスファー部周辺のような領域においても、シ
ール材4を十分に押圧することができる。このため、こ
のトランスファー部周辺のような領域において、シール
材4の接着面の幅が小さくなるといったことを防止でき
る。この結果、シール材4の接着部の接着強度を十分高
くすることができる。
【0142】また、シール材4を十分に所定の厚さにな
るまで押圧することができるので、液晶表示装置のセル
ギャップ(上下のガラス基板2、3の間の間隔)が局所
的に大きくなるといった問題の発生を防止できる。この
結果、液晶表示装置の表示特性が、セルギャップが変動
することによって劣化するといった問題の発生を防止で
きる。
【0143】また、押圧圧力が40000Pa以下とい
う値であるので、シール材4に過大な圧力がかかって潰
れすぎるといった問題の発生を防止できる。この結果、
シール材4の硬化後にシール材4において内部応力が残
存するといったことを防止できる。また、このようなシ
ール材4の内部応力の残存を防止できるので、シール材
4が上下のガラス基板2、3から剥離することやシール
材4中への気泡の混入を防止できる。この結果、シール
材4の接着部の接着強度を高く保つことができる。
【0144】また、紫外線硬化型の樹脂からなるシール
材4を用いているので、熱硬化型の樹脂をシール材4と
して用いる場合のようにシール材4を高温に加熱する必
要がない。この結果、上下のガラス基板2、3が高温に
なることを防止できる。このため、上下のガラス基板
2、3が、この熱により伸びや反りといった変形を起こ
すことを防止することができる。そのため、シール材4
の硬化工程の後において、その熱変形に起因して上下の
ガラス基板2、3の相対位置がずれるといった問題の発
生を防止できる。つまり、上下のガラス基板2、3の位
置精度を高く保つことができるので、良好な表示特性を
有する液晶表示装置を提供することができる。
【0145】また、熱硬化型のシール材を用いる場合よ
りも、上下のガラス基板2、3の温度上昇を小さくでき
るので、シール材4と上下のガラス基板2、3との接着
部における熱応力の発生を抑制することができる。
【0146】また、熱硬化型の樹脂からなるシール材を
用いる場合より、紫外線8の照射による硬化工程(紫外
線照射工程(S5))に要する時間を短くできるので、
液晶表示装置の生産効率を向上させることができる。こ
こで、下定盤1は石英ガラス製であることが好ましい。
このように石英ガラス製の下定盤1を用いることによっ
て、紫外線8の下定盤1における吸収を小さくし、より
シール材4の硬化工程に要する時間を短縮することがで
きる。この結果、液晶表示装置の生産効率をより向上さ
せることができる。
【0147】また、ここで、紫外線8の光源としては、
300nm〜400nmの波長の紫外線を放出する紫外
線ランプが用いることができる。また、4KW以上10
KW以下という出力のメタルハライドランプや高圧水銀
ランプを用いることができる。また、紫外線8の照射強
度としては60mW/cm2以上200mW/cm2程度
の値を用いることができる。
【0148】また、昇圧時間を60秒以上600秒以下
としているので、確実に上下のガラス基板2、3の間か
ら余分な空気を外部に逃がすことができる。この結果、
液晶表示セルの内部に余分な空気が残留することを防止
できる。このため、この余分な空気によるシール材4の
変形、あるいはシール材4の中への気泡の混入を防止で
きる。
【0149】ここで、昇圧時間を600秒以上に長くし
た場合には、昇圧時間を600秒程度とした場合とほと
んど効果に差がなく、かえって液晶表示装置の生産効率
が低下することになる。
【0150】また、シール材4としてエポキシ系の樹脂
とアクリル系の樹脂との混合系を用いることにより、熱
硬化型のエポキシ系樹脂を用いるような従来の混合系の
シール材よりも、より接着強度を高くすることができ
る。また、紫外線硬化型のエポキシ系樹脂と紫外線硬化
型のアクリル系樹脂との双方の利点を兼ね備えたシール
材4を得ることが可能である。
【0151】また、シール材4としてエポキシ系樹脂だ
けを用いた場合より、硬化に必要な紫外線8の照射量を
低減することができる。このため、紫外線8の照射によ
って発生する熱に起因して、上下のガラス基板2、3の
温度が上昇することを防止できる。この結果、この熱に
より上下のガラス基板2、3において反りなどの変形が
発生することを防止できる。
【0152】また、シール材4がエポキシ系の樹脂を含
有するので、高湿度環境下においても、シール材4の接
合部の接着強度を高く保つことができる。
【0153】また、このようにシール材4の接着強度を
高くすることができるので、後述する製造工程において
セル分割工程(S6)(図3参照)などのように液晶表
示セルに大きな外力がかかるような場合においても、シ
ール材4と上下のガラス基板2、3との剥離といった問
題の発生を防止できる。
【0154】また、このような混合系のシール材4を用
いることで、アクリル系樹脂のみを用いた場合よりも高
い耐熱性を実現することができる。
【0155】また、紫外線8の照射によるシール材4の
硬化工程における、シール材4の体積収縮率は3%以下
となっている。
【0156】このため、硬化後のシール材4と上下のガ
ラス基板2、3との接着部において、シール材4の体積
収縮に伴なって過大な応力が発生することを抑制でき
る。この結果、シール材4の接着部における接着強度が
低下することを防止できる。
【0157】そして、図3を参照して、図5に示したよ
うな紫外線照射工程(S5)後、シール材4の硬化が完
了した後に、セル分割工程(S6)を実施する。このセ
ル分割工程(S6)においては、上下のガラス基板2、
3を単位ごとに切断する。
【0158】次に、液晶注入工程(S7)を実施する。
この液晶注入工程(S7)においては、注入口9(図1
参照)から液晶10(図2参照)を注入する。その後、
封止剤11(図1参照)により注入口9を封止する。こ
のようにして、図1および2に示したような液晶表示セ
ル12を得ることができる。
【0159】このようにして、高い接着強度を有し、高
湿度環境下においても接着強度の劣化を防止することが
可能であり、良好な表示特性を有する液晶表示装置を得
ることができる。
【0160】(実施の形態2)図6は、本発明による液
晶表示装置の製造方法の実施の形態2を説明するための
断面模式図である。図6を参照して、液晶表示装置の製
造方法を説明する。
【0161】液晶表示装置の製造方法は、基本的には図
3〜5に示した本発明の実施の形態1による液晶表示装
置の製造方法と同様である。ただし、加圧・ギャップ出
し工程(S4)および紫外線照射工程(S5)(図3参
照)における上下のガラス基板2、3を押圧する方法が
異なる。具体的には、図6を参照して、上定盤6の上に
エアーシリンダなどを備える加圧装置13を配置し、こ
の加圧装置13を用いて上下のガラス基板2、3を押圧
する。そして、所定の圧力に到達した後、図6に示すよ
うに紫外線8を照射することにより、シール材4を硬化
させる。
【0162】このように、図6に示したような工程によ
っても、本発明の実施の形態1における液晶表示装置の
製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0163】また、実施の形態1および実施の形態2に
おける液晶表示装置の製造方法では、下定盤1を石英ガ
ラスにより構成しているが、下定盤1としてアクリル板
を用いてもよく、上定盤6としてステンレス製の薄板を
用いてもよい。また、シール材4を下ガラス基板2に塗
布する際にディスペンサー塗布法を用いたが、スクリー
ン印刷法を用いてシール材4を下ガラス基板2に塗布し
てもよい。このような場合にも、本発明の実施の形態1
による液晶表示装置の製造方法と同様の効果を得ること
ができる。
【0164】(実施の形態3)図7は、本発明による液
晶表示装置の製造方法の実施の形態3を説明するための
プロセスフロー図である。図7を参照して、液晶表示装
置の製造方法を説明する。
【0165】図7を参照して、液晶表示装置の製造方法
は、基本的には図3に示した本発明の実施の形態1によ
る液晶表示装置の製造方法と同様である。ただし、図7
に示した液晶表示装置の製造方法においては、紫外線照
射工程(S5)の後に、後加熱処理工程(S8)を行な
っている。この後加熱処理(S8)においては、たとえ
ば、100℃以上120℃以下という温度条件による加
熱処理を行なってもよい。
【0166】このように後加熱処理(S8)を行なうこ
とにより、シール材4(図2参照)の硬化を促進するこ
とができる。この結果、シール材4の接着強度を向上さ
せることができる。このように、本発明による紫外線硬
化型のシール材においては、紫外線照射工程(S5)に
おいて紫外線の照射がされた後に、後加熱処理(S8)
を行なうことによって、シール材4の接着特性がより向
上する。これは、以下のような理由による。
【0167】紫外線を照射することによりシール材4の
硬化反応(重合反応)は進行する。そして、紫外線の照
射が終了した後においても、この重合反応は継続する。
ここで、この際に後加熱処理(S8)として熱をシール
材に加えれば、この重合反応はさらに進行し、シール材
4の硬化の程度が高くなる。この結果、シール材4の接
着強度をより高くすることができる。
【0168】また、シール材4の上に配線が形成されて
いるような場合には、この配線により紫外線が遮られ、
配線下に位置するシール材4に十分な紫外線が到達でき
ないような場合もある。この場合も、上記のように後加
熱処理(S8)を行なうことにより、重合反応を促進す
ることができる。この結果、紫外線の照射の程度が低か
ったような領域においても、シール材4の接着強度を十
分高くすることが可能となる。
【0169】また、紫外線の照射によってシール材4の
硬化がある程度進んでいるため、後加熱処理(S8)を
行なう場合には、シール材4における熱応力の増大を抑
制しつつ、接着強度を向上させるといったことも可能と
なる。
【0170】(実施の形態4)図8は、本発明による液
晶表示装置の液晶表示セルの実施の形態4を説明するた
めの断面模式図である。図8を参照して、液晶表示セル
を説明する。
【0171】図8を参照して、液晶表示セルは、基本的
には図2に示した液晶表示セルと同様の構造を備える。
ただし、図8に示した液晶表示セルにおいては、下ガラ
ス基板2とシール材4との間にクロム層15が形成さ
れ、また、下ガラス基板2上の液晶10下に位置する領
域においてはカラーフィルタ層14が形成されている。
【0172】このような構造の液晶表示セルにおいて
も、本発明におけるシール材4および本発明の実施の形
態1〜3に示した液晶表示装置の製造方法を適用するこ
とにより、本発明の実施の形態1〜3において得られる
効果と同様の効果を得ることができる。
【0173】図9は、図8に示した本発明による液晶表
示装置の液晶表示セルの実施の形態4の変形例を説明す
るための断面模式図である。図9を参照して、液晶表示
セルは、基本的には図8に示した液晶表示セルと同様の
構造を備える。ただし、図9に示した液晶表示セルにお
いては、クロム層15とカラーフィルタ層14との上に
有機膜層16が形成されている。このような構造を備え
る液晶表示セルにおいても、本発明によるシール材4お
よび本発明の実施の形態1〜3に示した液晶表示装置の
製造方法を適用すれば、シール材4と有機膜層16との
界面における剥離などの発生を有効に防止でき、本発明
の実施の形態1〜3に示した効果と同様の効果を得るこ
とができる。
【0174】(実施の形態5)発明者らは、本発明の効
果を確認すべく、本発明の実施例に該当するサンプルと
比較例としてのサンプルを作製し、シール材の外観、接
着強度、液晶表示装置の表示特性などについて調査し
た。この実施例および比較例の具体的なサンプルの製造
条件を表1に示す。
【0175】
【表1】
【0176】ここで、本発明の実施例に該当するサンプ
ルは実施例1〜7と7種類作製した。そして、比較例に
該当するサンプルは比較例1〜8と8種類のサンプルを
作製した。
【0177】具体的には、実施例1については、紫外線
硬化型のエポキシ系樹脂と紫外線硬化型のアクリル系樹
脂との割合を8.5:1.5という割合で混合した樹脂
に、リン系化合物のイオン系光重合開始剤と、アセトフ
ェノン系化合物のラジカル光重合開始剤と、粘度調整用
として無機系充填材とを適量添加した。このようにし
て、紫外線硬化型のシール材を用意した。このシール材
を、図10に示すように、12.1インチサイズの下ガ
ラス基板2の周囲端部上にディスペンサー塗布法を用い
て塗布した。そして、対向基板となる上ガラス基板3を
所定の位置に重ね合わせた。
【0178】重ねた上下のガラス基板2、3を石英ガラ
ス製の下定盤上に配置した。そして、上下のガラス基板
2、3上に樹脂入りケブラー布からなる上定盤を重ねて
袋状とした。この袋状の上定盤に連結された真空引き装
置を用いて、上定盤と下定盤とからなる袋状体の内部を
減圧することにより、上定盤を介して上下のガラス基板
2、3を押圧した。この上下のガラス基板2、3に対す
る押圧圧力は表1に示すように20000Paとした。
そして、加圧開始から所定の圧力にまで到達する到達時
間(昇圧時間)を600秒とした。
【0179】この加圧により上下のガラス基板2、3の
間の間隔(セルギャップ)が一定となったところで、メ
タルハライドランプを用いて発生させた紫外線を下定盤
の下方から照射した。この紫外線の照射強度は100m
W/cm2であり、照射時間は90秒とした。この紫外
線の照射により、シール材4を硬化させた。
【0180】シール材4の硬化が完了した後、セル分割
を行ない、注入口から液晶10を注入した。その後、封
止剤11により注入口を封止することにより、液晶表示
セルを得た。
【0181】なお、表1に示すように、シール材4の硬
化時の体積収縮率は3%、硬化後のヤング率は3000
MPa、ガラス転移温度(Tg)は140℃、シール材
の粘度は70000mPa・s、粘度比は2.0であっ
た。
【0182】上記のようにして製造した液晶表示セルを
用いて、シール材4における接着部分の外観、気泡の発
生状況、剥離の有無などといった項目について観察し
た。
【0183】その結果を表2に示す。
【0184】
【表2】
【0185】次に、図10に示すように、液晶表示セル
から高さH、幅Wの試験片17a〜17eを切出した。
この試験片17a〜17eの高さHは100mm、幅W
は25mmとした。そして、それぞれの試験片17a〜
17eにおいては、一方の端部にシール材4による接着
部が位置するように切出しを行なった。ここで、図10
は、本発明の実施の形態5における試験片の切出し状況
を説明するための平面模式図である。
【0186】次に、図11に示すように、切出した試験
片17a〜17eのそれぞれについて、上下のガラス基
板部分2a、3aにそれぞれアルミブロック18a、1
8bを貼り付けた。ここで、図11は、本発明の実施の
形態5における試験に用いた試験片を説明するための模
式図である。
【0187】このようにアルミブロック18a、18b
を貼り付けた試験片17a〜17eについて、シール材
4が位置する側と反対側から矢印200方向に応力を加
えて接着強度を測定するDCB試験(Double Cantileve
r Beam)を行なった。このDCB試験における接着強度
の測定条件としては、温度条件は室温、引張り速度は1
mm/分という条件を用いた。この接着強度の測定にお
けるサンプル数nは5とし、それぞれのサンプルについ
て上記室温における初期値と、60℃、湿度90%とい
う雰囲気に500時間さらした高湿度暴露後のサンプル
についても、DCB試験法を用いて接着強度の測定を行
なった。この結果も表2に示す。
【0188】また、サンプルを切出した以外のセルを用
いて、液晶表示セルの表示特性についても調査した。そ
の結果も表2に示す。
【0189】そして、上記のような試験を実施例2〜7
および比較例1〜8についても同様に行なった。それら
の結果についても表2に示している。
【0190】なお、実施例2〜7および比較例1〜8に
ついて、それぞれのサンプルの製造条件について以下に
簡単に説明する。
【0191】実施例2については、表1を参照して、実
施例1に用いたシール材と同様のシール材および同様の
製造方法を用いた。ただし、表1に示すように、上下の
ガラス基板を押圧する圧力(加圧力)を40000Pa
とし、加圧開始からの到達時間を60秒とした。
【0192】実施例3については、実施例1と同様の製
造方法を用いた。ただし、シール材におけるエポキシ系
樹脂とアクリル系樹脂との成分割合を6:4としてい
る。また、加圧力を20000Paとし、加圧開始から
の到達時間を600秒とした。なお、シール材の硬化時
の体積収縮率は3%、シール材の硬化後のヤング率は1
500MPa、シール材のガラス転移温度は135℃、
シール材の粘度は60000mPa・s、粘度比は2.
0であった。
【0193】実施例4については、実施例1と同様の製
造方法を用いた。ただし、シール材のエポキシ系樹脂と
アクリル系樹脂との割合を表1に示すように6:4とし
てあり、加圧力を40000Pa、加圧開始からの到達
時間を60秒とした。
【0194】実施例5については、実施例1と同様の製
造方法を用いた。ただし、表1に示すように、ガラス基
板上にクロム膜と有機膜とが形成された基板を用いた。
また、シール材中のエポキシ系樹脂とアクリル系樹脂と
の割合は6:4であり、加圧力を25000Pa、加圧
開始からの到達時間を120秒とした。なお、シール材
の硬化時の体積収縮率は3%、硬化後のシール材のヤン
グ率は1500MPa、シール材のガラス転移温度は1
35℃、シール材の粘度は60000mPa・s、粘度
比は2.0であった。
【0195】実施例6については、基本的には実施例5
と同じシール材、基板および製造方法を用いた。ただ
し、紫外線照射によるシール材の硬化工程の後に、10
0℃で60分の追加加熱工程を実施した。
【0196】実施例7については、基本的には実施例1
と同様の製造方法を用いた。しかし、シール材のエポキ
シ系樹脂とアクリル系樹脂との割合を9:1とし、ガラ
ス基板を用いて、加圧力を25000Pa、加圧開始か
らの到達時間を120秒とした。なお、シール材の硬化
時の体積収縮率は3%、硬化後のシール材のヤング率は
3000MPa、ガラス転移温度は142℃、シール材
の粘度は80000mPa・s、粘度比は2.0であっ
た。
【0197】比較例1については、実施例1と同様の製
造方法を用いた。しかし、表1に示すように、シール材
のエポキシ系樹脂とアクリル系樹脂との比率を6:4と
し、加圧力を15000Pa、加圧開始からの到達時間
を600秒とした。
【0198】比較例2については、比較例1と同じシー
ル材および製造方法を用いている。しかし、表1に示す
ように、加圧力を50000Paとし、加圧開始からの
到達時間を120秒とした。
【0199】比較例3については、比較例1と同様のシ
ール材および製造方法を用いているが、表1に示すよう
に、加圧力を25000Paとし、加圧開始からの到達
時間を20秒とした。
【0200】比較例4については、比較例1と同様の製
造方法を用いた。しかし、表1に示すように、シール材
におけるエポキシ系樹脂とアクリル系樹脂との比率を
5:5とし、加圧力を25000Pa、加圧開始からの
到達時間を120秒とした。なお、シール材の硬化後の
体積収縮率は3.5%、シール材の硬化後のヤング率は
1000MPa、シール材のガラス転移温度は125
℃、シール材の粘度は50000mPa・s、粘度比は
2.0であった。
【0201】比較例5については、比較例1と同様の製
造方法を用いた。しかし、表1に示すように、シール材
中のエポキシ系樹脂とアクリル系樹脂との比率が10:
0であり、加圧力を25000Pa、加圧開始からの到
達時間を120秒とした。なお、シール材の硬化時の体
積収縮率は3%、シール材の硬化後のヤング率は350
0MPa、シール材のガラス転移温度は142℃、シー
ル材の粘度は80000mPa・s、粘度比は2.0で
あった。
【0202】比較例6については、比較例1と同様の製
造方法を用いた。ただし、シール材中のエポキシ系樹脂
を硬化させるためのイオン系光重合開始剤に代えて、熱
硬化させるためのイミダゾール系硬化剤をシール材に適
量添加した。また、基板としては、ガラス基板上にクロ
ム膜と有機膜とが形成された基板を用いた。加圧力とし
ては、25000Pa、加圧開始からの到達時間は12
0秒とした。そして、シール材の硬化工程においては、
紫外線照射を20秒間行なって、アクリル系の樹脂成分
のみをまず硬化させた後、150℃という温度条件で6
0分間加熱処理を行ない、エポキシ系樹脂を熱硬化させ
た。なお、シール材の硬化時の体積収縮率は3%、シー
ル材の硬化後のヤング率は3500MPa、シール材の
ガラス転移温度は140℃、シール材の粘度は6000
0mPa・s、粘度比は1.5であった。
【0203】比較例7については、比較例1と同様のシ
ール材および製造方法を用いた。ただし、シール材にお
ける無機系充填材の添加量を調節し、シール材の粘度を
40000mPa・sとしたものを用いた。加圧力は2
5000Pa、加圧開始からの到達時間は120秒とし
た。なお、シール材の硬化時の体積収縮率は3%、シー
ル材の硬化後のヤング率は1500MPa、シール材の
ガラス転移温度は135℃、シール材の粘度比は2.0
であった。
【0204】比較例8については、比較例1と同様のシ
ール材および製造方法を用いた。ただし、シール材にお
ける無機系充填材の添加量を調節し、シール材の粘度比
を3.5とした。加圧力を25000Pa、加圧開始か
らの到達時間を120秒とした。なお、シール材の硬化
時の体積収縮率は3%、シール材の硬化後のヤング率は
1500MPa、シール材のガラス転移温度は135
℃、シール材の粘度は80000mPa・sとした。
【0205】表1に示した実施例1〜7および比較例1
〜8のサンプルについて、シール材部の外観、接着強
度、表示特性を調査した結果を表2に示している。表2
を参照して、実施例1〜7においては、シール材の接着
部の接着性は良好であり、そのシール材部の外観も良好
であった。また、DCB試験法による接着強度測定の結
果についても、初期値および高湿度暴露後の接着強度と
もに高い値を示している。つまり、高湿度環境による接
着強度の低下が比較例と比較しても少ないことがわか
る。
【0206】また、クロム膜および有機膜が形成された
ガラス基板を用いた場合(実施例5、6)についても、
接着強度測定を行なった後のシール材の破断部を観察し
た結果、実施例5、6ともにシール材と有機膜との界面
における界面破壊ではなく、シール材の内部において亀
裂等が発生している凝集破壊を起こしていた。このた
め、クロム膜あるいは有機膜とシール材との界面におけ
る界面破壊が発生していないので、高い接着強度を示し
ていたことがわかる。
【0207】また、実施例1〜7では、いずれもシール
材の幅は一定であり、また、シール材の内部に気泡やシ
ール材の剥離といった現象は発生しておらず、良好な外
観を示していた。このことからも、本発明の実施例1〜
7は良好な接着性を示していることがわかる。
【0208】また、表示特性においても、本発明の実施
例1〜7においては表示不良は発生しておらず、良好な
表示特性を示していた。
【0209】また、シール材を紫外線硬化処理した後
に、後加熱処理を行なった場合にも、実施例6のデータ
からもわかるように、十分な接着強度を示し、クロム膜
または有機膜とシール材との界面における界面破壊は発
生していなかった。
【0210】一方、比較例1〜8においては、基板への
加圧力、加圧開始からの到達時間等が本発明による液晶
表示装置の製造方法の条件範囲から外れているため、シ
ール材の幅のばらつきが発生したり、シール材の内部に
おける気泡の発生やシール材の剥離が発生するといった
現象が起きている。このため、比較例1〜8はいずれ
も、接着強度が本発明の実施例1〜7に比較して相対的
に低く、また、表示特性についても表示不良が発生して
いる。
【0211】また、比較例4〜7の結果からもわかるよ
うに、シール材の体積収縮率、ヤング率、ガラス転移温
度、粘度などのデータを本発明の条件範囲外とした場合
には、接着強度が低く、基板の反りやシール材の幅のば
らつきなどが発生していることがわかる。
【0212】なお、液晶表示セルにおいて実用上要求さ
れる接着強度としては、上記のDCB試験において少な
くとも2.5N以上であることが要求されており、3.
0N以上の接着強度を有することが望ましい。
【0213】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特
許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の
意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意
図される。
【0214】
【発明の効果】以上のように、請求項1〜13に記載の
発明によれば、紫外線硬化型の樹脂を含むシール材を用
いた液晶表示装置において、高い接着強度を有し、高湿
度環境下においても接着強度の劣化を防止することが可
能であり、かつ、良好な表示特性を示す液晶表示装置お
よび液晶表示装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による液晶表示装置の液晶表示セルの
実施の形態1を示す平面模式図である。
【図2】 図1に示した液晶表示セルの線分100−1
00における断面模式図である。
【図3】 図1および2に示した液晶表示装置の製造方
法を説明するためのプロセスフロー図である。
【図4】 図3に示した加圧・ギャップ出し工程を説明
するための断面模式図である。
【図5】 図3に示した紫外線照射工程を説明するため
の断面模式図である。
【図6】 本発明による液晶表示装置の製造方法の実施
の形態2を説明するための断面模式図である。
【図7】 本発明による液晶表示装置の製造方法の実施
の形態3を説明するためのプロセスフロー図である。
【図8】 本発明による液晶表示装置の液晶表示セルの
実施の形態4を説明するための断面模式図である。
【図9】 本発明による液晶表示装置の液晶表示セルの
実施の形態4の変形例を説明するための断面模式図であ
る。
【図10】 本発明の実施の形態5における試験片の切
出し状況を説明するための平面模式図である。
【図11】 本発明の実施の形態5における試験に用い
た試験片を説明するための模式図である。
【図12】 従来の液晶表示装置の液晶表示セルを示す
平面模式図である。
【図13】 図12に示した液晶表示セルの線分300
−300における断面模式図である。
【符号の説明】
1 下定盤、2 下ガラス基板、2a 下ガラス基板部
分、3 上ガラス基板、3a 上ガラス基板部分、4
紫外線硬化型シール材、5a〜5c スペーサ、6 上
定盤、7 真空引き装置、8 紫外線、9 注入口、1
0 液晶、11封止剤、12 液晶表示セル、13 加
圧装置、14 カラーフィルタ層、15 クロム層、1
6 有機膜層、17a〜17e 試験片、18a,18
b アルミブロック。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C09J 133/00 C09J 133/00 163/00 163/00 Fターム(参考) 2H089 MA04Y NA24 NA42 NA44 NA45 NA48 NA53 NA60 PA16 PA19 QA12 QA13 QA14 SA18 TA04 TA06 4F073 AA01 BA18 BA22 BB02 CA45 HA02 HA05 HA13 HA14 4J040 DF042 EC061 EC261 FA232 FA262 JB08 LA01 LA02 LA06 LA07 LA08 MB05 NA17 PA32 PA33

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紫外線硬化型の樹脂を含むシール材を介
    在させ、一方基板を他方基板に固着させる液晶表示装置
    の製造方法において、 前記一方基板と前記他方基板とを20000Pa以上4
    0000Pa以下の圧力で押圧した状態で、前記シール
    材に紫外線を照射することを特徴とする、液晶表示装置
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記一方基板と前記他方基板とを押圧す
    る工程を開始してから、20000Pa以上40000
    Pa以下の範囲内の所定圧力に到達するまでの昇圧時間
    が60秒以上600秒以下である、請求項1に記載の液
    晶表示装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記樹脂は、エポキシ系樹脂とアクリル
    系樹脂とを含み、 前記アクリル系樹脂の前記エポキシ系樹脂に対する割合
    は4/6以下である、請求項1または2に記載の液晶表
    示装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記シール材の25℃における粘度は、
    50000mPa・s以上80000mPa・s以下で
    ある、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示装
    置の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記樹脂について、回転数10rpmで
    の粘度に対する回転数1rpmでの粘度の比である粘度
    比が1.5以上3.0以下である、請求項1〜4のいず
    れか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記シール材に紫外線を照射する前にお
    ける前記シール材の体積に対する、前記シール材に紫外
    線を照射した後における前記シール材の体積の収縮率が
    3%以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    液晶表示装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記シール材に紫外線を照射した後にお
    いて、前記シール材のヤング率が1000MPa以上3
    000MPa以下である、請求項1〜6のいずれか1項
    に記載の液晶表示装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記シール材に紫外線を照射した後にお
    いて、前記シール材のガラス転移温度が130℃以上で
    ある、請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装
    置の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記シール材に紫外線を照射した後にお
    いて、前記シール材を加熱する工程を備える、請求項1
    〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    液晶表示装置の製造方法を用いて製造された液晶表示装
    置。
  11. 【請求項11】 紫外線硬化型の樹脂を含むシール材を
    介在させ、一方基板を他方基板に固着させた液晶表示装
    置において、 前記シール材は、紫外線硬化型のエポキシ系樹脂と、紫
    外線硬化型のアクリル系樹脂とを含み、 前記アクリル系樹脂の前記エポキシ系樹脂に対する割合
    が4/6以下であることを特徴とする、液晶表示装置。
  12. 【請求項12】 前記シール材のヤング率が、1000
    MPa以上3000MPa以下である、請求項11に記
    載の液晶表示装置。
  13. 【請求項13】 前記シール材のガラス転移温度が13
    0℃以上である、請求項11または12に記載の液晶表
    示装置。
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