JP2000256778A - 衝撃特性に優れた2層組織鋼板 - Google Patents

衝撃特性に優れた2層組織鋼板

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JP2000256778A
JP2000256778A JP11065454A JP6545499A JP2000256778A JP 2000256778 A JP2000256778 A JP 2000256778A JP 11065454 A JP11065454 A JP 11065454A JP 6545499 A JP6545499 A JP 6545499A JP 2000256778 A JP2000256778 A JP 2000256778A
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steel sheet
martensite
ferrite
surface layer
elongation
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JP11065454A
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Narikazu Matsukura
功和 枩倉
Koichi Makii
浩一 槙井
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 衝撃特性に優れた鋼板を得る。 【解決手段】 鋼板の両表層部の板厚の2〜30%の範
囲における組織が50%以上の等軸状フェライト及び5
%以上のマルテンサイトを含み、かつ表層部以外の組織
は50%以上の等軸状フェライト及び5%以下のマルテ
ンサイト及び/又はベイナイトを含む2層組織鋼板。衝
撃時のエネルギーを変形によって吸収し破壊を免れるこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、造船用等に用いら
れる衝撃特性に優れた2層組織鋼板に関し、特に衝撃時
のエネルギーを変形によって吸収し破壊を免れるように
した衝撃特性に優れた2層組織鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】鋼板の衝撃特性の向上については、衝撃
時のエネルギーを変形によって吸収し破壊を免れるとい
う対処方法と、衝撃を受けたとき亀裂の発生及びその伝
播を抑制することで破壊を免れるという対処方法があ
る。前者の場合、鋼板の機械的特性として、低降伏比、
降伏点伸びの抑制、高延性が要求される。すなわち、低
降伏比とし降伏点伸びを抑制することにより、衝撃によ
る変形が鋼板の広い範囲に一気に広がって局所的な破壊
が防止され、高延性、特に一様伸びを確保することによ
りエネルギー吸収量が増大する。しかし、従来鋼の場
合、普通鋼(フェライト+パーライト鋼)では、伸びの
確保は可能だが、降伏点伸びが存在するため、衝撃を受
けたとき変形がスムーズに始まらず、変形の伝播が遅れ
て局所的な破壊が生じやすい。また、マルテンサイト+
フェライト等の2相組織鋼板では、降伏比の低下と降伏
点伸びの抑制が可能であるが、延性を十分に確保できな
い。さらに、ベイナイト鋼及びアシキュラーフェライト
鋼は、強度が高いが降伏比が高く伸びも小さい。つま
り、低降伏比、降伏点伸びの抑制、高延性を同時に満足
する鋼板は存在しない。
【0003】一方、後者の方法として、例えば特開平1
0−96042号公報では表層部を微細なマルテンサイ
トとベイナイトの混合組織とし、表層部を強靭化し、破
壊の起点となる亀裂の発生及びその伝播を抑制する手法
が開示されている。また、特開平5−271863号公
報では表層部を微細なフェライトあるいはベイナイト組
織とし、特開平10−17981号公報では表層部を微
細なフェライト組織とすることで、それぞれ表層部を強
靭化し、破壊の起点となる亀裂の発生及びその伝播を抑
制する手法が開示されている。しかし、強靭化のため組
織を微細化することは、降伏比を大きくし、降伏点伸び
を助長するものであり、さらに、特開平10−9604
2号公報ではフェライトがないことで延性の確保が不十
分となる。従って、例えば大型タンカーの座礁のように
大きい変形を伴う場合は、衝撃エネルギーを吸収しきれ
ず、局所的な破壊を免れ得なくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、衝撃時のエ
ネルギーを変形によって吸収し破壊を免れるという前者
の考え方に立つもので、機械的特性として低降伏比、降
伏点伸びの抑制、高延性を実現し、衝撃特性に優れた鋼
板を得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明では、このような
機械的特性を、鋼板の表層部と板厚中央部を異なる組織
の2層にすることで得ることができた。すなわち、本発
明に係る衝撃特性に優れた2層組織鋼板は、鋼板の両表
層部の板厚の2〜30%の範囲における組織が50%以
上の等軸状フェライト及び5%以上のマルテンサイトを
含み、かつ表層部以外の組織は50%以上の等軸状フェ
ライト及び5%以下のマルテンサイト及び/又はベイナ
イトを含むことを特徴とする。
【0006】本発明では、表層部を主にフェライトとマ
ルテンサイトの2相組織とすることで降伏点をなくし
(降伏点伸びの抑制)、かつ低降伏比とすることができ
る。ここで、表層部において50%以上(望ましくは7
0%以上)のフェライト分率とするのは延性を確保する
ため、5%以上のマルテンサイト分率とするのは降伏点
伸びをなくし、低降伏比とするためである。残部の組織
は主としてパーライトであり、残留オーステナイトが含
まれていてもかまわない。また、両表層部の厚みをそれ
ぞれ板厚の2〜30%の範囲としたのは、2%未満では
降伏伸びが出るのを防止できず、30%を越えると延性
が低下するためである。このようなフェライト+マルテ
ンサイトの2相組織で降伏伸びがなくなる(降伏点がな
くなる)理由は後述する。一方、板厚中央部を50%以
上(望ましくは70%以上)のフェライト、5%以下
(望ましくは0%)のマルテンサイト及び/又はベイナ
イトとしたのは、十分な延性を確保するためである。残
部の組織は主としてパーライトであり、残留オーステナ
イトが含まれていてもかまわない。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に係る2層組織鋼板は、熱
間圧延後の冷却中、ArとArの間の2相域(フェ
ライト+オーステナイト域)から急冷することで容易に
製造できる。これは、厚鋼板の場合に表層部と中心部で
は冷却速度が異なることを利用したもので、表層部にお
いては冷却速度が大きく、オーステナイトがマルテンサ
イトに変態して主としてフェライト+マルテンサイトの
2相組織となり、中央部においては冷却速度が小さく、
オーステナイトはパーライトに変態して主にフェライト
+パーライト組織となる。なお、従来の全厚2相組織鋼
は、熱間圧延後に一度急冷し、2相域に再加熱し再び急
冷するという煩雑な製造工程を必要とするが、本発明の
2層組織鋼板は圧延後の冷却中に2相域から急冷するだ
けで得られるので、製造が容易である。
【0008】本発明では、2相域からの急冷により、表
層部においてオーステナイト粒がマルテンサイトに変態
し、その際の膨張によりフェライト粒が歪み、フェライ
ト粒とマルテンサイト粒の境界に多数の転位が蓄積され
る。つまり、フェライト+マルテンサイトの2相組織の
場合には、まだ外力がかかっていない初期状態において
フェライト粒とマルテンサイト粒の境界に多数の転位が
すでに存在し、この転位が外力がかかったとき容易に動
くため降伏点が出なくなる。(従って、マルテンサイト
変態を起こしていない例えばフェライト+パーライト組
織鋼の場合は、初期状態において上記のような転位の蓄
積がないため降伏点及び降伏点伸びが出る。)
【0009】本発明に係る2層組織鋼板を得るうえで望
ましい組成は、C:0.04〜0.25%、Si:1.
0%以下、Mn:0.7〜2.5%、Al:0.01〜
0.5%を基本組成として含む鋼である。この組成が望
ましい理由は次の通りである。Cは濃度が低すぎると、
基本的な強度が低くなる。また焼入れ性が悪くなり、表
層にマルテンサイト組織が生成しなくなる。このためC
の下限は0.04%とする。一方、Cが0.25%を越
えると溶接性が悪くなる。従って、C濃度は重量%で
0.04〜0.25%とする。Siは1%を越えると赤
色のスケールが生成しやすくなるため1%以下とする。
Mnは濃度が低すぎると焼入れ性が悪くなり、表層にマ
ルテンサイト組織が生成しなくなるため下限は0.7%
とする。一方Mnが2.5%を越えると逆に焼入れ性が
高くなり過ぎて過度にマルテンサイト組織が生成し、フ
ェライトが生成しにくくなる。従って、Mn濃度は重量
%で0.7〜2.5%とする。Alは濃度が低すぎると
不純物窒素を無害化しきれず靭性が悪くなるため、下限
は0.01%とする。一方Alが0.5%を越えると介
在物が多量に析出するため靭性を悪くする。従ってAl
濃度は重量%で0.01〜0.5%とする。そのほか、
これらの基本成分に加え、耐食性、靭性の向上のためC
r≦2%、Cu≦3%、Ni≦3%のいずれか1種又は
2種以上を、高強度下のためMo≦1.0%、Ti≦
0.1%、Nb≦0.2%、V≦0.2%のいずれか1
種又は2種以上を、介在物形態を制御することにより靭
性を向上させるためZr≦0.1%、Ca≦0.01%
の1種又は2種を必要に応じて添加することができる。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と比較して具
体的に説明する。表1に実施例に用いた鋼板の化学組成
を示す。これらの鋼は真空溶解炉で溶製し、圧延によっ
て板厚15〜30mmの鋼板とした。圧延後の冷却工程
において695〜750℃の温度で30〜300s保持
した後、水冷した。この板厚、保持温度(冷却開始温
度)、冷却速度を表2、3に示す。
【0011】
【表1】
【0012】これらの鋼板の組織観察、引張試験を下記
要領で行った。その結果を表2、3にあわせて示す。組
織観察は、光学顕微鏡にて組織写真をとり、その組織写
真を組織別に色分けし、これをパソコンに読み込んで画
像解析し、5%以上のマルテンサイトを含む組織の部位
を表層部とし、片側の表層部厚みの全厚に対する割合を
表層部占有率として求めた。また、鋼板の板厚表層及び
板厚中心での組織分率を同様にして求めた。引張試験
は、JIS1号試験片にてJISB7721に適合した
引張試験機を用い、JISZ2241の引張試験方法に
準じて試験を行った。
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】表2に示すように、本発明例No.1〜1
3ではいずれも降伏点伸びが存在せず、引張強さが50
0〜600MPa級の鋼板で、60〜70%の低降伏比
が実現されている。また、伸びも30%以上で衝撃エネ
ルギーを吸収するのに十分耐えられる伸びが確保されて
いる。一方表3に示すように、本発明の規定を満たさな
いNo.14〜24では、降伏点伸びが存在するか、強
度、降伏比、伸びのいずれか又は複数の特性が本発明例
より劣る。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、機械的特性として低降
伏比、降伏点伸びの抑制、高延性を実現し、衝撃時のエ
ネルギーを変形によって吸収し破壊を免れるという衝撃
特性に優れた鋼板を得ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板の両表層部の板厚の2〜30%の範
    囲における組織が50%以上の等軸状フェライト及び5
    %以上のマルテンサイトを含み、かつ表層部以外の組織
    は50%以上の等軸状フェライト及び5%以下のマルテ
    ンサイト及び/又はベイナイトを含むことを特徴とする
    衝撃特性に優れた2層組織鋼板。
  2. 【請求項2】 C:0.04〜0.25%、Si:1.
    0%以下、Mn:0.7〜2.5%、Al:0.01〜
    0.5%を含む鋼組成を有する請求項1に記載された衝
    撃特性に優れた2層組織鋼板。
JP11065454A 1999-03-11 1999-03-11 衝撃特性に優れた2層組織鋼板 Pending JP2000256778A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006088162A (ja) * 2004-09-21 2006-04-06 Nippon Steel Corp 鋼板の線状加熱変形方法
US11268163B2 (en) 2016-06-21 2022-03-08 Baoshan Iron & Steel Co., Ltd. 980 MPa-grade hot-rolled dual-phase steel and manufacturing method therefor

Cited By (3)

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JP4733950B2 (ja) * 2004-09-21 2011-07-27 新日本製鐵株式会社 鋼板の線状加熱変形方法
US11268163B2 (en) 2016-06-21 2022-03-08 Baoshan Iron & Steel Co., Ltd. 980 MPa-grade hot-rolled dual-phase steel and manufacturing method therefor

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