JP2000256678A - 重質油の水素化精製方法 - Google Patents

重質油の水素化精製方法

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JP2000256678A
JP2000256678A JP11064915A JP6491599A JP2000256678A JP 2000256678 A JP2000256678 A JP 2000256678A JP 11064915 A JP11064915 A JP 11064915A JP 6491599 A JP6491599 A JP 6491599A JP 2000256678 A JP2000256678 A JP 2000256678A
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Kazuaki Hayasaka
和章 早坂
Yasutsugu Hashimoto
康嗣 橋本
Suguru Iki
英 壱岐
Shigeto Hatanaka
重人 畑中
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Nippon Mitsubishi Oil Corp
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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 硫黄・金属分を含有する種々の炭化水素の重
質油留分を効率よく水素化精製する方法の提供。 【解決手段】 硫黄分・金属分を含有する石油、シェー
ルオイル及び石炭液化油の重質留分を触媒の存在下で、
主に水素化脱金属する第一工程、その水素化脱金属後の
重質油分を主に水素化脱硫する第二工程を含む重質油の
水素化精製工程において、当該水素化精製工程から得ら
れる生成油の一部(リサイクル油)を第二工程へ混合し
て導入(リサイクル)する重質油の水素化精製方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硫黄分を含有する
石油、シェールオイル、及び石炭液化油系の炭化水素重
質油留分の水素化精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原油の蒸留によって得られる常圧残油、
減圧残油、シェールオイルまたは重油接触分解(FC
C)、潤滑油精製工程(プロパン脱れき工程)及び石炭
の液化工程により得られる重質留分は、金属分、硫黄及
び窒素化合物を多く含んでおり、特に硫黄化合物の量は
硫黄として1〜5wt%含まれている。硫黄化合物を含
む重質油を燃料油もしくはFCC原料油として使用する
と、重質油中の硫黄化合物は最終的にSOxとして大気
中に排出され環境を汚染する。このため重質油は通常水
素化精製処理され、硫黄分をある程度除去した後に燃料
用原料油及びFCCのアップグレーディングプロセスの
原料油として使用される。また、最近は、これら重質油
水素化精製プロセスは、上記の脱硫プロセスとしてだけ
ではなく、硫黄分が少ない良質な軽質油を製造する水素
化分解プロセスとしての意味合いも強くなっている。
【0003】これまで重質油の水素化精製にはアルミナ
を主成分とする多孔質担体にコバルトあるいはニッケル
とモリブデンを担持した触媒が使用されてきた。これら
水素化精製触媒を失活させる原因物質としては、重質油
に含まれるニッケル、バナジウムのような重金属や、金
属分同様に触媒へ影響を与えるアスファルテン分(n−
へプタン不溶、トルエン可溶成分)が挙げられる。近年
は原料油がさらに重質化しており、それに伴って触媒寿
命と製品品質の改善が非常に大きな課題となっている一
方で、寿命に関する性能の飛躍的な改善が見られていな
いのが現状である。
【0004】このような重質油を処理するために、触媒
としては組成、物性の異なる幾つかの触媒を組み合わせ
る方法などの新たな触媒システムが考案され、それらの
一部が実用化されている。現在、重質油水素化精製プロ
セスにおいては、その前半部分で原料油中の金属分をあ
る程度除去し、引続き水素化脱硫反応を主目的とした反
応塔へ導入して、目標の硫黄分の生成油を得るプロセス
が主流であり、前述の触媒システムは前後段何れにも採
用されている。
【0005】質油水素化精製プロセスの前段部分におい
て用いられる触媒は、通常後段の水素化脱硫触媒と比較
して活性金属が少なくかつ触媒細孔径が大きい、耐金属
性が高い触媒が採用されている。これにより比較的大き
な分子である含金属化合物が、触媒細孔内へ容易に拡散
できる構造となっている。このような大きな細孔をもつ
触媒細孔内には、水素化脱金属反応の進行により金属化
合物が堆積して、原料油から脱金属反応が行われる。脱
金属触媒の構造は、金属種の触媒への堆積による細孔閉
塞を細孔径の大きさの制御や活性金属量の調整により防
いでいる。
【0006】また、重質油水素化精製プロセスは、単に
低硫黄重質油製造及びFCCの前処理プロセスとしてだ
けでなく、水素化分解反応により良質な軽質油を製造す
ることが目的の一つとして運転されているため、反応条
件は脱硫・脱金属のみを目的とする場合と比較してより
過酷な条件下での運転、すなわち高反応温度と低液空間
速度とならざるをえない。
【0007】触媒劣化の観点からみると、過酷な反応条
件下における過度の分解、特に水素化脱金属反応塔にお
けるアスファルテンからの過度の脱金属と水素化分解
は、アスファルテンからの脱アルキル反応による芳香族
性の増大や、水素が十分付与されない不安定ラジカル種
等のコーク前駆体が、後段の脱硫反応塔へ流れ込み触媒
へ悪影響を与えると考えられている。触媒劣化が進むと
目的の脱硫率を達成するためには、より高温で運転せざ
るを得ない状況となる。その結果、脱硫触媒のコーク劣
化の助長と生成油中のスラッジ分が増加してくる。この
ため、最近ではプロセス全般を通しての高圧化により不
安定なコーク前駆体の安定化や、水素化脱金属反応塔に
おける触媒活性をほぼ一定に保つことにより当該反応塔
の反応温度ほぼ一定に保つこと、運転後期に問題となる
反応塔差圧上昇を防ぐことを目的として、運転中に装置
を停止することなく連続的に触媒を抜出すことができる
プロセスが実用化されている。
【0008】前述のアップフロープロセスの実例とし
て、沸騰床のH−OIL(IFP社製)及びLC−Fi
ning(ABB Lummus Global and Amoco Oil) 、移動床
のOCR(Chevron社製) 等がある。当該プロセスでは、
反応塔における原料油の滞留時間が長く反応自体の過酷
度がさらに高くなることや原料油と水素の混合状態が不
安定であることからコーク前駆体を生成し易く、第二工
程触媒へダメージを与えやすいといわれている。また、
アップフロープロセスは一般に高温で運転されている例
が多く、この点でも第二工程での触媒劣化原因となるコ
ーク前駆体が生成し易いといえる。
【0009】この問題を解決するために、第一工程原料
油へ軽質油を混合する方法はこれまでも提案されてい
る。即ち、第一工程において生成する不安定ラジカル種
を含むコーク前駆体に軽質油を介して水素を適宜付与す
ることにより安定化して、第二工程触媒劣化の抑制を図
る方法である。
【0010】一方、これら軽質油を第一工程へ導入する
方法の問題点として、添加する軽質油が第一工程から
過酷な条件下にさらされるために、軽質油が過分解反応
を起こして結果的に生成ガス量が増大する。軽質油の
過分解により水素供与に関連できる軽質油自体の分子数
が減少して、コーク劣化の激しい第二工程では十分な効
力を発揮できないこと。全工程を通じての重質油処理
量が減少すること等が挙げられる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
の問題点を解決して硫黄・金属分の少ない、優れた性状
を有する軽質油と重質油を、温度、圧力などの処理条件
を厳しく設定することなく、かつ特殊な触媒、装置を必
要とすることなく、第二工程におけるコーク生成を抑制
して触媒活性の長期化を図ると共に生成油中のスラッジ
分を低減するための、重質油の水素化精製する方法を提
供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記の課題
を解決するため、鋭意研究した結果、第二工程反応塔へ
第二工程生成油の一部をリサイクルすることにより、重
質油を効率的に脱硫、分解を行いながら触媒劣化を抑制
し、かつスラッジ分が少ない生成油を得ることが可能な
方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】本発明は、硫黄分を含有する石油、シェー
ルオイル及び石炭液化油系重質油留分を触媒の存在下
で、主に水素化脱金属(及び水素化脱硫)する第一工
程、その水素化精製後の重質油分を、主に水素化脱硫
(及び脱金属)する第二工程から成る重質油の水素化精
製方法であり、当該水素化精製反応生成物の一部(本発
明に関して、「リサイクル油」と称する。第二工程の処
理を終えた生成油の一部であって、リサイクルされて、
第一工程の処理を終えた第一工程生成油に混合されるも
のをいう。)を、第二工程にリサイクルして、第二工程
の水素化脱硫前又水素化脱硫中の重質油(第一工程生成
油)に1〜50vol%の割合で、混合・導入すること
により、第一工程において生成したコーク前駆体に水素
を効率的に付与して安定化すること及び原料重質油を軽
質生成油により希釈・分散することによって重質油の反
応効率を上げて、第二工程における触媒のコーク劣化を
抑制し、かつ生成油の安定性を確保することを特徴とす
る重質油の水素化精製方法である。ここで、第一工程に
おいて、「主に水素化脱金属する」は、水素化脱金属反
応の他に水素化脱硫反応もある程度は生起しているが、
水素化脱金属反応を主として実施していることを意味
し、一方第二工程において、「主に水素化脱硫する」
は、水素化脱硫の他に水素化脱金属反応反応もある程度
は生起しているが、水素化脱硫反応を主として実施して
いることを意味する。
【0014】また、本発明はリサイクル油の沸点が24
0℃以上とする、重質油の水素化精製方法である。ま
た、本発明はリサイクル油が、芳香族炭化水素含有量と
して20〜90wt%含有する重質油の水素化精製方法
である。また、本発明は第一工程における原料油と水素
化精製用水素ガスが共にアップフローである、重質油の
水素化精製方法である。また、本発明は両工程における
水素化精製条件が、温度360〜440℃、圧力10〜
24MPa、LHSV0.1〜3h-1、水素/油比10
00〜5000scfbである、重質油の水素化精製方
法である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態とその作用に
ついて説明する。本発明者は、従来の技術の問題点を詳
細に検討し、様々な方法、構成要素などを試験・研究し
た結果、脱金属反応塔を第一工程に持ち第二工程に脱硫
反応塔を有するプロセスの場合、第一工程で処理された
原料油が後段の第二工程へ導入される直前に、第二工程
生成油の一部(リサイクル油)を第二工程へリサイクル
することにより、第一工程において生成した不安定種
(コーク前駆体)へ、第二工程において充分に水素を付
与できる効果や、第二工程原料油(特に重質留分)を効
果的に分散させる効果が考えられ、第二工程においてコ
ーク分の析出を抑制することにより触媒寿命と生成油の
安定性を確保することが最も重要な点であることを究明
し、本発明を完成するに至った。
【0016】本発明において第一工程に含まれる脱金属
反応塔は、金属分を多く含む重質原料油を処理するため
に、運転中に触媒を任意に抜出し及び補充が可能で触媒
活性を一定に保つことができる移動床アップフロープロ
セスを採用することができる。第一工程としてはダウン
フロータイプのプロセスが主流であったが、最近では前
述の通りアップフロープロセスの採用が広がっており、
本発明においても第一工程としてアップフロープロセス
を使用できる。一般にアップフロープロセスでは反応の
過酷度は同条件下のダウンフロープロセスより高く、第
二工程の触媒はコークによるダメージを受けやすいと考
えられている。
【0017】また、コーク前駆体は脱金属反応塔と比較
してより高温で運転される脱硫反応塔において変質及び
生成して、触媒失活へ大きな影響を与える。本発明で
は、第一工程において生成する不安定種(コーク前駆
体)に軽質留分から直接あるいは軽質留分を介して水素
を付与する、いわゆる水素供与及び水素シャトリング反
応を利用したものである。所定の温度まで加熱されたリ
サイクル油は、第一工程生成油と第二工程に導入される
前に混合される。この第二工程へ添加することが本発明
の元も重要な点である。第一工程からリサイクル油導入
すると、リサイクル油が第一工程から過酷な条件下にさ
らされるため過分解を起こしてプロセスでの生成ガス量
が増大することや、水素シャトラーとして導入する軽質
油自体が減少してしまうこと、重質油処理量が減少する
ことが欠点として挙げられる。
【0018】両工程における反応温度は360〜440
℃であるが、軽質油が添加される第二工程では原料油中
の硫黄分と粘度の低下により、以前より低い運転温度で
目標の生成物を得ることが可能となった。また、この時
得られる生成油中のアスファルテンの芳香族性を表す芳
香族指数(fa)は、軽質油を添加しない場合と比較し
て低いことが確認され両工程を通じてアスファルテンの
芳香族化が抑制されたことが分かった。芳香族指数はこ
の割合を示すものであり、[アスファルテン中の芳香族
炭素原子数]/[アスファルテン中の全炭素原子数]で
定義され、炭素13核核磁気共鳴分光法(13C-NMR) によっ
て算出することができる。この測定方法は、例えばASTM
(アメリカ材料試験協会規格)D-5292 に規定されていお
り、値が大きくなると一般に芳香族化が進んでいるとみ
なされ、重質油の構造を予測するためには一般的に用い
られている測定方法である。
【0019】本発明で適用できる原料重質油は常圧残渣
油、減圧残渣油、減圧軽油、重油直接脱硫装置、流動接
触分解装置、プロパン脱歴装置それぞれから得られる重
質油留分、石炭液化油、シェールオイル等の沸点が35
0℃以上の留分である。シェールオイルはオイルサンド
から砂と油分を分離するプロセスから得られる重質油留
分であり、硫黄、窒素、酸素等のヘテロ原子を多く含有
するため何らかの精製工程を経る必要がある留分であ
る。石炭液化油の重質油はシェールオイル同様にヘテロ
原子を多く含むだけでなく重質油留分を多く含むためア
ップグレーディングが必要な留分である。原料油に含有
される硫黄分量は、通常1〜6wt%であり金属量は1
0〜1000wtppmである。生成油の硫黄分、金属
分は任意に定めることができる。その場合、反応温度、
液空間速度、圧力、水素/油比等の反応条件を最適化す
ることにより目的の硫黄・金属量の生成油を得ることが
可能となる。
【0020】本発明において第二工程へリサイクルする
生成油はの混合量は、第一工程原料油に対して1〜50
wt%である。50wt%以上混合すると、重質油自体
の処理量が大幅に減少するため好ましくない。重質油処
理量や水素付与の効果を考慮すると混合量は好ましくは
1〜20wt%である。
【0021】本発明において第二工程へリサイクルする
生成油の沸点は240℃以上である。リサイクル油の沸
点が240℃未満のものは、重質油特にアスファルテン
との親和性が劣りアスファルテンへの水素シャトリング
分子として十分にアスファルテンへ近付くことができ
ず、頭書の目的を達成できない。従って、リサイクル油
としては240℃以上の沸点である必要があるが、望ま
しくは340℃以上である。
【0022】本発明は、第二工程へリサイクルする油が
芳香族炭化水素を20〜90wt%含有することを特徴
とする重質油の水素化精製方法である。芳香族炭化水素
は30〜60wt%含有することが好ましい。芳香族炭
化水素が20wt%未満では水素付与に関与するのに十
分な量の芳香族分が得られない。一方、90wt%以上
では第二工程においてリサイクル油自体がコーキングを
起こして触媒劣化を促進してしまう可能性がある。
【0023】本発明に使用する触媒は第一工程、第二工
程共にアルミナを主成分とする多孔質の球形触媒または
押出し成形触媒である。触媒はアルミナに加えて6族金
属及び8〜10族金属を活性金属として含有する。ま
た、ゼオライト等の固体酸触媒を含有することもある。
重質油に含まれる金属分の多くはアスファルテンに濃縮
されており、一定レベル以下の金属含有量の生成油を得
ようとすると、アスファルテンからの脱金属を行わなけ
ればならない。この場合、脱金属触媒の平均細孔径は2
00Å前後が望ましく、脱硫触媒の平均細孔系、100
Åよりも大きなものとなっていることが望ましい。
【0024】本発明に使用する活性金属量は、一般の重
油水素化脱硫触媒に使用されている量を採用できる。即
ち担体に対して9、10族金属は1〜10wt%、好ま
しくは3〜6wt%であり、6族金属は3〜30wt
%、好ましくは6〜15wt%である。金属として好ま
しくはニッケル、コバルト、モリブデン、タングステン
が用いられる。
【0025】本発明で用いられる反応塔は以前から用い
られている固定床、沸騰床、移動床何れでもよく、原料
油の流れ方式が、アップフロー、ダウンフロー何れでも
よい。但し、第一工程がアップフローである場合、前述
の理由から、コーク分の生成が顕著となるので、本発明
の効果がより明確となる。
【0026】本発明において添加できる軽質留分は当該
第二工程生成油中の軽質留分(沸点240℃以上)だけ
でなく、他の装置、例えば常圧蒸留装置、減圧蒸留装
置、FCC及び潤滑油精製工程から得られる沸点240
℃以上の留分が適用できる。
【0027】
【実施例】本発明の実施形態を実施例によりさらに詳細
に説明する。
【0028】実施例1 第一工程として、内径1インチの反応管にγ―アルミナ
担体100wt%に対してニッケル1.5wt%(Ni
換算)とモリブデン5.0wt%(Mo換算)を担持し
た押出し成形型触媒を200ml充填した。この触媒を
ジブチルジスルフィドを含む直留軽油(硫黄分3wt%)
を用いて300℃、14MPa、LHSV=0.3h -1、水
素/油比2000scfbの条件下で、24時間、予備
硫化した後、中東系の常圧残渣油(沸点400℃以上、
硫黄分=4.1wt%、バナジウム分=60wtpp
m)を原料油とし温度=380℃、圧力=14MPa、
LHSV=0.5h -1、水素/油比=2000scfbの条
件でアップフローで通油して水素化処理した。
【0029】生成油の硫黄分は2.5wt%であった。
第二工程として、内径1インチの反応管にγ―アルミ
ナ担体100重量%に対してニッケル2.0wt%(N
i換算)とモリブデン8.0wt%(Mo換算)を担持
した押出し成形型触媒を200ml充填した。この触媒
をジブチルジスルフィドを含む直留軽油(硫黄分3wt
%)を用いて温度=300℃、圧力=14MPa、LHSV
=0.3h -1、水素/油比=2000scfbの条件下
で、24時間、予備硫化した後、第一工程の生成油(硫
黄分2.5wt%)を温度=380℃、圧力=14MP
a、LHSV=0.5h -1、水素/油比=2000scfb
の条件で通油して水素化処理した。第二工程からの生成
油の硫黄分は0.8wt%であった。この生成油から芳
香族分を40vol%含有する380℃〜440℃の沸
点範囲の留分を蒸留により採取した。この留分を前出の
第一工程生成油(硫黄分2.5wt%、バナジウム分=
20wtppm)に10wt%混合した。
【0030】この混合原料油を、第二工程として温度=
380℃、圧力=14MPa、LHSV=0.5h -1、水素
/油比=2000scfbの条件でダウンフローで通油
して水素化処理した。第二工程生成油からアスファルテ
ン分(ヘプタン可溶分・トルエン不溶分)を抽出し、燃
焼式元素分析測定を実施した。アスファルテン分量は
2.5wt%であった。 アスファルテン分の水素/炭
素の原子比は1.20であった。また13C-NMR から得ら
れた芳香族指数faは0.57であった。生成油中のスラ
ッジ量(トルエン不溶分)は0.1wt%であった。第
二工程において同一硫黄分の生成油を得る運転を指向し
た場合、触媒劣化速度は0.4℃/dayであった。
【0031】実施例2 実施例1において第二工程へ混合する留分を接触分解装
置から得られる芳香族分を75vol%含有する沸点範
囲が240〜360℃留分を混合した場合、第二工程生
成油から得られたアスファルテン分(ヘプタン不溶・ト
ルエン可溶)を抽出し、燃焼式元素分析測定を実施し
た。アスファルテン分量は2.5wt%であった。アス
ファルテン分の水素/炭素の原子比は1.20であっ
た。また13C-NMR から得られた芳香族指数faは0.5
7であった。生成油中のスラッジ量(トルエン不溶分)
は0.2wt%であった。第二工程における触媒劣化速
度は0.5℃/dayであった。
【0032】比較例1 第一工程として、内径1インチの反応管にγ―アルミナ
担体100wt %に対してニッケル1.5wt%(Ni換
算)とモリブデン5.0wt%(Mo換算)を担持した
押出し成形型触媒を200ml充填した。この触媒を、
ジブチルジスルフィドを含む直留軽油(硫黄分3wt
%)を用いて300℃、14MPa、LHSV=0.3h
-1、水素/油比2000cfbの条件下で、24時
間、予備硫化した後、中東系の常圧残渣油(沸点400
℃以上、硫黄分=4.1wt%、バナジウム分=60w
tppmを原料油とし温度=380℃、圧力=14MP
a、LHSV=0.5h -1、水素/油比=2000 scfbの条件下
アップフローで通油して水素化処理した。
【0033】生成油の硫黄分は2.5 wt%であった。
第二工程として、内径1インチの反応管にγ―アルミナ
担体100 wt%に対してニッケル2.0 wt%(Ni換算)
とモリブデン8.0 wt%(Mo換算)を担持した押出し成
形型触媒を200 ml充填した。この触媒をジブチルジス
ルフィドを含む直留軽油(硫黄分3wt%)を用いて温
度=300℃、圧力=14 MPa、LHSV=0.3h -1、水素/油比
=2000 scfbの条件下で、24時間、予備硫化した後、
第一工程の生成油(硫黄分2.5 wt%)を温度=380℃、
圧力=14 MPa、LHSV=0.5h -1、水素/油比=2000 sc
fbの条件で通油して水素化処理した。第二工程からの
生成油の硫黄分は0.8 wt%であった。第二工程生成油
からアスファルテン分(ヘプタン可溶分・トルエン不溶
分)を抽出し、燃焼式元素分析測定を実施した。 アスフ
ァルテン分量は2.8wt%であった。アスファルテン
分の水素/炭素のモル比は1.15であった。また13C-
NMR から得られた芳香族指数faは0.60であった。
生成油中のスラッジ量(トルエン不溶分)は0.2wt%
であった。第二工程における触媒劣化速度は1.0 ℃/day
であった。
【0034】比較例2 第一工程として、内径1インチの反応管にγ―アルミナ
担体100 wt%に対してニッケル1.5 wt%(Ni換
算)とモリブデン5.0 wt%(Mo換算)を担持した押
出し成形型触媒を200 ml充填した。この触媒をジブチ
ルジスルフィドを含む直留軽油(硫黄分3wt%)を用
いて300 ℃、14MPa、LHSV=0.3h -1、水素/油比2000
scfbの条件下で、24時間、予備硫化した後、中東系の常
圧残渣油(沸点400 ℃以上、硫黄分=4.1wt%、バ
ナジウム分=60 wtppm)に第二工程生成油の一部
(沸点範囲が380〜440℃、芳香族分35vol%
と目分)を10wt%混合したものを原料油とし、温度
=380℃、圧力=14MPa、LHSV=0.5h -1、水
素/油比=2000scfbの条件でアップフローで通
油して水素化処理した。
【0035】生成油の硫黄分は2.5 wt%であった。
第二工程として、内径1インチの反応管にγ―アルミナ
担体100wt%に対してニッケル2.0 wt%(Ni換
算)とモリブデン8.0 wt%(Mo換算)を担持した押
出し成形型触媒を200ml充填した。この触媒を、ジ
ブチルジスルフィドを含む直留軽油(硫黄分3wt%)
を用いて温度=300℃、圧力=14MPa、LHSV=
0.3h -1、水素/油比=2000scfbの条件下
で、24時間、予備硫化した後、第一工程の生成油(硫
黄分2.5wt%)を温度=380℃、圧力=14MP
a、LHSV=0.5h -1、水素/油比=2000scfb
の条件で通油して水素化処理した。第二工程からの生成
油の硫黄分は0.8wt%であった。第二工程生成油か
らアスファルテン分(ヘプタン可溶分・トルエン不溶
分)を抽出し、燃焼式元素分析測定を実施した。 アスフ
ァルテン分量は2.8wt%であった。アスファルテン
分の水素/炭素のモル比は1.15であった。また13C-
NMR から得られた芳香族指数faは0.60であった。生
成油中のスラッジ量(トルエン不溶分)は0.2wt%で
あった。第二工程における触媒劣化速度は1.0℃/day
であった。
【0036】
【発明の効果】重質油水素化精製プロセスにおいて、第
二工程へ本プロセスの生成油の一部をリサイクルする本
発明を採用することにより、第一工程及び第二工程にお
いて特殊な触媒、装置、機器を必要とすることなく効率
良く脱金属、脱硫を行うことができ、第二工程における
脱硫触媒のコーク劣化の影響を緩和することにより長期
間の安定な運転を可能にし、かつ生成油中におけるスラ
ッジ分生成過程を抑制することを可能にする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 壱岐 英 神奈川県横浜市鶴見区北寺尾6−6−B 306 (72)発明者 畑中 重人 神奈川県横浜市旭区今宿町832−1 サニ ーヒル今宿26−102 Fターム(参考) 4H029 CA00 DA00 DA09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硫黄分・金属分を含有する石油、シェー
    ルオイル及び石炭液化油の重質留分を触媒の存在下で、
    主に水素化脱金属する第一工程及びその水素化脱金属後
    の重質油分を主に水素化脱硫する第二工程を含む重質油
    の水素化精製工程において、当該水素化精製工程から得
    られる生成油の一部(リサイクル油)を第二工程にリサ
    イクルして、第一工程生成油に対して1〜50vol%
    の割合で混合することを特徴とする重質油の水素化精製
    方法。
  2. 【請求項2】 リサイクル油の沸点が240℃以上とす
    る、請求項1に記載の重質油の水素化精製方法。
  3. 【請求項3】 リサイクル油が、芳香族炭化水素を20
    〜90wt%含有することを特徴とする請求項1〜2に
    記載の重質油の水素化精製方法。
  4. 【請求項4】 第一工程における反応器中の原料油と水
    素ガスの流れ方式が共にアップフローであることを特徴
    とする請求項1〜3に記載の重質油の水素化精製方法。
  5. 【請求項5】 前記の両工程における水素化精製条件
    が、温度360〜440℃、圧力12〜24MPa、LH
    SV0.1〜3h-1、水素/油比1000〜5000sc
    fbである、請求項1〜4に記載の重質油の水素化精製
    方法。
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