JP2000256416A - オレフィンオリゴマーの製造方法 - Google Patents

オレフィンオリゴマーの製造方法

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JP2000256416A
JP2000256416A JP11062899A JP6289999A JP2000256416A JP 2000256416 A JP2000256416 A JP 2000256416A JP 11062899 A JP11062899 A JP 11062899A JP 6289999 A JP6289999 A JP 6289999A JP 2000256416 A JP2000256416 A JP 2000256416A
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boron trifluoride
olefin
complex catalyst
reaction mixture
complexing agent
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Tsutomu Takashima
務 高嶋
Yuichi Tokumoto
祐一 徳本
Koji Fujimura
耕治 藤村
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Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 三フッ化ホウ素系錯体触媒を含有する反応混
合物中から、三フッ化ホウ素を環境汚染のない方法によ
り高い効率で除去し、触媒として再利用するオレフィン
オリゴマーの製造に再利用する製造方法を提供する。 【解決手段】 下記(I)〜(III)の工程を含むオレフ
ィンオリゴマーの製造方:(I)三フッ化ホウ素系錯体
触媒の存在下にC以上のオレフィンの液相重合を行
い、(II)錯体触媒の少なくとも一部が分散および/ま
たは溶解した反応混合物に、フッ化金属を接触させて三
フッ化ホウ素を選択的に吸着させ、 (III)錯化剤
を含有する反応混合物を回収する。さらに、三フッ化ホ
ウ素を回収した後、錯体触媒として再使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する利用分野】本発明は、重合触媒としての
三フッ化ホウ素と錯化剤とからなる三フッ化ホウ素系錯
体触媒を用いるオレフィンオリゴマーの製造方法に関す
るものであり、さらに詳しくは、オレフィンを重合した
後に得られるオレフィンオリゴマーを含有する重合生成
物をフッ化金属類と気相または液相で接触させることに
よって、錯体触媒中から高価かつ有毒な三フッ化ホウ素
を除去し、同時に錯化剤を回収する方法、および三フッ
化ホウ素が吸着して得られる四フッ化ホウ素金属塩を加
熱し、フッ化金属類と三フッ化ホウ素ガスとに分離し
て、それぞれ回収される三フッ化ホウ素と錯化剤とから
三フッ化ホウ素系錯体触媒を再調製し、オレフィンオリ
ゴマーの製造に再利用する方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】炭素数6から18のオレフィンを重合して
オレフィンオリゴマーを製造する技術は広く知られてい
る。このオレフィンオリゴマーは、自動車エンジン油、
航空機作動油、電気絶縁油等の潤滑油基材として有用で
あり、特に近年、比較的低粘度のものが自動車エンジン
油の基材として極めて有用とされている。具体的には炭
素数10の直線状α―オレフィンすなわち1−デセンの
オリゴマー、とりわけ1−デセンの3量体を主成分とす
るオリゴマーが注目されている。このようなオレフィン
オリゴマーの製造方法としては、三フッ化ホウ素などの
ルイス酸を触媒とするカチオン重合法が広く使用されて
いるが、制御された製造方法あるいは安価かつ環境汚染
を誘発しない製造方法の開発が広く行われている。
【0003】例えば、特開平6−287211号公報に
明記されているように、三フッ化ホウ素を触媒として用
いる方法によれば、比較的低粘度のオレフィンオリゴマ
ーを製造することができるが、重合反応速度の制御が困
難である点が問題になるため、重合触媒として三フッ化
ホウ素を錯体に形成した三フッ化ホウ素系錯体触媒を用
いてオレフィンオリゴマーを得る重合技術が開示されて
いる。このように、近年のオレフィンオリゴマーの製造
には、一般に三フッ化ホウ素系錯体触媒が好んで使用さ
れており、これらの錯体触媒には、それぞれ特定の錯化
剤が選択されるとともに、錯化剤の配位モル数も特定さ
れている。
【0004】一方、これらオレフィンオリゴマーの重合
反応の終了後には、錯体中の三フッ化ホウ素を反応混合
物中から分離除去する必要がある。このためには通常、
アンモニア、苛性ソーダ、石灰等の塩基性物質の水溶液
で中和した後、水洗する方法が採用されている。しかし
ながら、このような方法では触媒の再使用が不可能であ
り、また中和、水洗工程からは使用したアルカリや三フ
ッ化ホウ素の中和物であるフッ化物を含む廃水が排出さ
れるため、近年は環境汚染の問題を考慮してその除去対
策を講ずることが望まれている。さらに、三フッ化ホウ
素自体は高価であるため、回収して再使用することが経
済的、環境的にも有益であり、オレフィンオリゴマーの
製造法において、これまでに様々な回収手法が提案され
ている。
【0005】例えば、三フッ化ホウ素系錯体触媒を、反
応混合物中から加熱分離する方法が提案されており、Ma
dgavkar等の米国特許4,263,467号には、反応生
成物を不活性金属またはセラミックス床上で徐々に移動
させることによって三フッ化ホウ素を気体として取り出
す方法が開示されている。特開平6−287211号公
報には、三フッ化ホウ素系錯体触媒を用いる系におい
て、反応混合物を加熱することにより三フッ化ホウ素ガ
スを発生させ、発生するガスに対して過剰量の錯化剤を
接触させて新たな錯体を形成させ、反応槽へ循環して再
利用することが開示されている。さらに、特開平8−3
33472号公報には、三フッ化ホウ素およびC〜C
アルカノールの反応促進剤で構成される三フッ化ホウ
素系錯体触媒を使用して、α−オレフィンオリゴマーを
製造する際に、生成物流体からの錯体を熱分解すること
により三フッ化ホウ素ガスを得て、促進剤を含有する低
温α−オレフィンオリゴマー流に接触させ再利用する方
法が開示されている。
【0006】しかし、これらの方法においては、反応活
性の高い三フッ化ホウ素またはその錯体を反応混合物の
共存下で加熱するため、反応混合物の組成に悪影響を及
ぼす可能性がある。特に、前述のα−オレフィン構造を
多く含有するオレフィンオリゴマーは、錯体との共存下
で加熱することによって、オレフィンの異性化あるいは
熱劣化が生じ、結果として製品の品質が低下する。
【0007】次に、別の三フッ化ホウ素系錯体触媒の回
収手段として、Vogelらの米国特許4,454,366号
および4,384,162号には、オリゴマー化反応にお
いて三フッ化ホウ素を取り出すためにポリビニルアルコ
ールを使用する方法が開示されている。Vogelらの米国
特許4,433,197号においては、この反応生成物を
シリカと接触させて三フッ化ホウ素を除去している。Mo
rgensonらの米国特許4,429,177号、ならびに Ma
dgavkarらの米国特許4,213,011号および4,30
8,414号においても、オリゴマー化反応において三
フッ化ホウ素の吸収剤としてシリカを用いている。Madg
avkarらの米国特許4,394,296号には、オリゴマ
ー化プロセスにおいて三フッ化ホウ素とともに助触媒と
して含水シリカを用い、次いでシリカをろ別して再循環
することが開示されている。
【0008】これらのシリやポリビニルアルコール類を
使用して三フッ化ホウ素を除去する先行技術の方法につ
いて、本発明者らが追試を行った結果、これらの吸収剤
に共通する結果として以下の重要な知見が得られた。す
なわち、前者のシリカの場合には、シリカ分子内に存在
するシロキサン、シラノール基等の官能基が、三フッ化
ホウ素を除去する際に三フッ化ホウ素を分解するため、
再利用可能な状態で三フッ化ホウ素を回収することは困
難である。また、後者のポリビニルアルコール類の場合
は、ポリビニルアルコール類自体の熱安定性が乏しいた
めに、三フッ化ホウ素を加熱脱着した後、吸着剤として
の繰り返し使用には耐えられない。
【0009】その他の三フッ化ホウ素を除去する方法と
して、Tycerらの米国特許4,981,578号には、オ
レフィンオリゴマー生成物流を固体または水溶液のK
F、NaFまたはNHFと接触させることによって三
フッ化ホウ素を除去する方法が開示されている。Walker
らの米国特許4,956,513号には、オリゴマー反応
生成物から三フッ化ホウ素を水で抽出することによる除
去方法が開示されている。
【0010】上記の方法はいずれも、三フッ化ホウ素系
錯体触媒を含有する生成物流から三フッ化ホウ素を除去
することのみを目的としており、それらから再使用可能
な状態で三フッ化ホウ素を回収しようとするものではな
い。さらに、前者の方法においては、KF、NaFまた
はNHFを用いて三フッ化ホウ素を除去しても、除去
後に生成する四フッ化ホウ素ナトリウム塩(NaB
)およびカリウム塩(KBF)の熱分解温度が、
それぞれ650℃以上および750℃以上であり、三フ
ッ化ホウ素を回収する際の熱分解に要するエネルギーコ
ストを考考慮すると、工業生産にいては実用に耐えな
い。また、NHFについてはそれ自体が熱に対して非
常に弱く、NHとHFに分解するため現実的でない。
【0011】さらに、三フッ化ホウ素を回収する方法と
して、米国特許2,997,371号には、活性炭上でア
クリロニトリルを重合させ、活性炭に担持されたポリア
クリロニトリルによりガス中の三フッ化ホウ素を分離除
去する方法が開示されている。しかしながら、吸着除去
能力は十分とはいい難く、さらに三フッ化ホウ素の脱着
温度はポリアクリロニトリルの融点以上であり、脱着後
に吸着剤として繰り返して使用することができない。
【0012】以上の先行技術における三フッ化ホウ素系
錯体触媒を使用したオレフィンオリゴマーの製造プロセ
スの開示から、三フッ化ホウ素を除去する方法が種々提
案され、開発のために多大な努力が払われていることが
理解される。しかしながら現状においては、オレフィン
オリゴマーの製造法において、経済的に、かつ環境汚染
を生じない方法により再利用可能な三フッ化ホウ素を回
収する方法は提案されていない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、三フ
ッ化ホウ素系錯体触媒を含有する反応混合物中から、高
価かつ有毒な三フッ化ホウ素を、経済的かつ環境汚染を
生じない方法により、しかも高い効率で除去し、次い
で、三フッ化ホウ素と錯化剤を別々に回収し、回収した
三フッ化ホウ素と錯化剤とから上記錯体を再調整して、
オレフィンオリゴマーの製造に再利用する製造方法を提
供することであ
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、以下に記
載するように、三フッ化ホウ素系錯体触媒を含有するオ
レフィンオリゴマー反応混合物中から三フッ化ホウ素を
除去し、さらに回収された三フッ化ホウ素を錯体化して
再利用する、画期的なオレフィンオリゴマーの製造方法
を見出して、本発明を完成した。すなわち、本発明の第
1は、下記(I)から(III)の工程を含むオレフィンオ
リゴマーの製造方法に関するものである。 (I)三フッ化ホウ素と錯化剤からなる三フッ化ホウ素
系錯体触媒の存在下にC以上のオレフィンを液相重合
する工程、(II)C以上のオレフィンの重合後、三フ
ッ化ホウ素系錯体触媒の少なくとも一部が分散および/
または溶解してなる反応混合物に、下記式(1)に示す
フッ化金属を接触させて、錯体触媒中の三フッ化ホウ素
(BF)を選択的に吸着させる工程、 MF ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式(1) (Mは、リチウム、カルシウム、ストロンチウムあるい
はバリウムの金属原子を示す。n=1あるいは2) (III)三フッ化ホウ素を吸着除去した錯化剤を含有す
る反応混合物を回収する工程。
【0015】本発明の第2は、下記(I)から(V)の工
程を含むオレフィンオリゴマーの製造方法に関する。 (I)三フッ化ホウ素と錯化剤からなる三フッ化ホウ素
系錯体触媒の存在下にC以上のオレフィンを液相重合
する工程、(II)C以上のオレフィンの重合後、三フ
ッ化ホウ素系錯体触媒の少なくとも一部が分散および/
または溶解してなる反応混合物に、下記式(1)に示す
フッ化金属を接触させて、錯体触媒中の三フッ化ホウ素
(BF)を選択的に吸着させる工程、 MF ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式(1) (Mは、リチウム、カルシウム、ストロンチウムあるい
はバリウムの金属原子を示す。n=1あるいは2) (III)三フッ化ホウ素を吸着除去した錯化剤を含有す
る反応混合物を回収する工程、(IV)三フッ化ホウ素を
フッ化金属に吸着させて得られる下記式(2)に示す四
フッ化ホウ素金属塩を、160〜600℃の温度範囲で
加熱することによって三フッ化ホウ素とフッ化金属とを
得る工程、 M(BF) ・・・・・・・・・・・・・・ 式(2) (Mは、リチウム、カルシウム、ストロンチウムあるい
はバリウムの金属原子を示す。n=1あるいは2) (V)回収した三フッ化ホウ素の少なくとも一部を触媒
として、C以上のオレフィンを液相重合する工程。
【0016】本発明の第3は、下記(I)から(VI)の
工程を含むオレフィンオリゴマーの製造方法に関する。 (I)三フッ化ホウ素と錯化剤からなる三フッ化ホウ素
系錯体触媒の存在下にC以上のオレフィンを液相重合
する工程、(II)C以上のオレフィンの重合後、三フ
ッ化ホウ素系錯体触媒の少なくとも一部が分散および/
または溶解してなる反応混合物に、下記式(1)に示す
フッ化金属を接触させて、錯体触媒中の三フッ化ホウ素
(BF)を選択的に吸着させる工程、 MF ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式(1) (Mは、リチウム、カルシウム、ストロンチウムあるい
はバリウムの金属原子を示す。n=1あるいは2) (III)三フッ化ホウ素を吸着除去した錯化剤を含有す
る反応混合物を回収する工程、(IV)三フッ化ホウ素を
フッ化金属に吸着させて得られる下記式(2)に示す四
フッ化ホウ素金属塩を、160〜600℃の温度範囲で
加熱することによって三フッ化ホウ素とフッ化金属とを
得る工程、 M(BF) ・・・・・・・・・・・・・・ 式(2) (Mは、リチウム、カルシウム、ストロンチウムあるい
はバリウムの金属原子を示す。n=1あるいは2) (V)工程(II)における錯体触媒中の三フッ化ホウ素
を吸着させる際に反応混合物中に遊離した錯化剤を回収
する工程、(VI)前記工程(IV)から回収される三フッ
化ホウ素と前記工程(V)から回収される錯化剤のそれ
ぞれ少なくとも一部を用いて、新たに三フッ化ホウ素系
錯体触媒を形成させ、重合触媒としてC以上のオレフ
ィンを液相重合する工程。
【0017】本発明の第4は、本発明の第1から第3の
いずれかにおいて、液相重合における供給原料中のC
以上のオレフィン濃度が、少なくとも5重量%であるオ
レフィンオリゴマーの製造方法に関する。本発明の第5
は、本発明の第1から第3のいずれかにおいて、フッ化
金属に接触させる反応混合物の温度を、−100℃から
+160℃、好ましくは−30℃から+50℃の範囲と
することを特徴とするオレフィンオリゴマーの製造方法
に関する。本発明の第6は、本発明の第2または第3に
おいて、三フッ化ホウ素の吸着により形成する四フッ化
ホウ素金属塩(M(BF))を、100〜600℃、
好ましくは160〜500℃の温度範囲で加熱すること
によって、三フッ化ホウ素とフッ化金属とに分解するこ
とを特徴とするオレフィンオリゴマーの製造方法に関す
る。本発明の第7は、本発明の第1から第3のいずれか
において、三フッ化ホウ素系錯体触媒を形成する錯化剤
が、水、アルコール類、エーテル類、フェノール類、ケ
トン類、アルデヒド類、エステル類、有機酸類、酸無水
物等の含酸素化合物、含窒素化合物、含硫黄化合物、含
リン化合物または無機酸等の、有機または無機極性化合
物からなる群から選ばれるものであることを特徴とする
オレフィンオリゴマーの製造方法に関する。本発明の第
8は、本発明の第1から第3のいずれかにおいて、三フ
ッ化ホウ素系錯体触媒における三フッ化ホウ素と錯化剤
のモル比が0.01:1から2:1の範囲にあることを
特徴とするオレフィンオリゴマーの製造方法に関する。
本発明の第9は、本発明の第1から第3のいずれかにお
いて、ポリブチレンの分子量が100〜10万の範囲に
あることを特徴とするオレフィンオリゴマーの製造方法
に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
オレフィンオリゴマーの製造はオレフィンのカチオン重
合によって行われるが、重合触媒としては三フッ化ホウ
素系錯体触媒が好んで使用される。このような反応の終
了後には、三フッ化ホウ素系錯体触媒は反応混合物中
に、少なくとも一部が溶解および/あるいは分散した形
態で安定に存在しており、そのままで反応混合物中から
錯体触媒を分離し、再利用することは困難である。
【0019】本発明によれば、上記反応混合物中に存在
する溶解および/あるいは分散した錯体触媒中から三フ
ッ化ホウ素と錯化剤を別々に回収し、この両者から三フ
ッ化ホウ素系錯体触媒を再調整して再使用することによ
り、触媒コストおよび後続の後処理工程の負荷を大幅に
低減する技術を提案することができる。すなわち、本発
明は、触媒として使用した三フッ化ホウ素系錯体触媒の
少なくとも一部が溶解および/あるいは分散している反
応混合物に、下記式(1)に示すフッ化金属を接触させ
ることにより、高価な三フッ化ホウ素を、経済的かつ環
境汚染を生じない方法により、しかも高い効率で化学吸
着を用いて除去し、さらに、形成した下記式(2)に示
す四フッ化ホウ素金属塩を加熱することによって回収さ
れた三フッ化ホウ素を再度利用することを特徴とするオ
レフィンオリゴマーの製造方法を提供するものである。 MF ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式(1) M(BF) ・・・・・・・・・・・・・ 式(2) (Mは、リチウム、カルシウム、ストロンチウムあるい
はバリウムの金属原子を示す。n=1あるいは2)
【0020】重合原料として用いるC以上のオレフィ
ンについて特に制限はなく、三フッ化ホウ素系錯体触媒
によりカチオン重合が可能なオレフィンであればいずれ
も使用することができる。C以上のオレフィンのう
ち、望ましいものは炭素数6から18のオレフィンであ
り、より望ましくは炭素数8から14のオレフィンであ
り、具体的にはオクテン、ノネン、デセン、ウンデセ
ン、ドデセン、トリデセン、テトラデセンなどが挙げら
れる。これらのオレフィンは単独で、または混合して重
合に供することができる。また、これらは、炭素鎖末端
に二重結合を有するもの、あるいは炭素鎖内部に二重結
合を有する内部オレフィンのいずれでもよいが、α−オ
レフィンであることが好ましく、特に炭素数10の1−
デセンが好ましい。
【0021】また、重合に際し、供給原料中に存在させ
るオレフィン濃度は5〜100重量%の範囲であること
が好ましい。5重量%未満のオレフィン濃度では、実用
上、経済的に損失が大きいために好ましくない。希釈溶
媒は特に必要ではないが、要望によりオレフィンのほか
に反応に不活性な溶媒、例えば、n−ブタン、 n−ヘ
キサン等のn−パラフィンあるいはイソブタン、イソオ
クタン等のイソパラフィンなどの鎖状飽和炭化水素、シ
クロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン等の脂
環式炭化水素、あるいは、四塩化炭素、クロロホルム、
塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素などを適宜に用い
ることができる。
【0022】本発明において用いる錯化剤は、物理的あ
るいは化学的な結合力によって三フッ化ホウ素と錯体を
形成するものである。このような錯化剤の具体例として
は、アルコール類、エーテル類、フェノール類、ケトン
類、アルデヒド類、エステル類、有機酸類、酸無水物等
の含酸素化合物、含窒素化合物、含硫黄化合物、含リン
化合物または無機酸類などの有機または無機極性化合物
が挙げられる。
【0023】すなわち、アルコール類としては、芳香族
またはC〜C20の脂肪族のアルコールが用いられ、
このC〜C20の炭素骨格は、直鎖アルキル基でも分
岐アルキル基でもよく、n−、sec−、tert−アルキル基
または脂環式アルキル基、あるいは脂環式の環を含むア
ルキル基でも差し支えない。具体的には、メタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノー
ル、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナ
ノール、デカノールあるいはベンジルアルコール、シク
ロヘキサノール等が挙げられるが、これに限定されるも
のではない。またジオール、トリオール等の多価アルコ
ールでもよい。
【0024】エーテル類としては、芳香族あるいはC
〜C20の脂肪族の炭化水素基を有するエーテルが用い
られ、このC〜C20の炭素骨格は、直鎖アルキル基
でも分岐アルキル基でもよく、n−、sec−、tert−アル
キル基または脂環式アルキル基、あるいは脂環式の環を
含むアルキル基でも差し支えない。具体的には、ジメチ
ルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテ
ル、ジプロピルエーテル、メチルプロピルエーテル、エ
チルプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチルブチ
ルエーテル、エチルブチルエーテル、プロピルブチルエ
ーテル、ジペンチルエーテル、あるいはフェニルメチル
エーテル、フェニルエチルエーテル、ジフェニルエーテ
ル、シクロヘキシルメチルエーテル、シクロヘキシルエ
チルエーテル等が挙げられる。
【0025】フェノール類としては、1〜3価フェノー
ルが適当であり、具体的には、フェノール、クレゾール
等が好ましい。
【0026】ケトン類としては、芳香族またはC〜C
の炭化水素基を有するケトンが用いられ、このC
の炭素骨格は、直鎖アルキル基でも分岐アルキル基
でもよく、n−、sec−、tert−アルキル基もしくは脂環
式アルキル基、または脂環式の環を含むアルキル基でも
差し支えない。具体的には、メチルエチルケトン、ジエ
チルケトン、メチルブチルケトン、あるいはシクロヘキ
サノン等が挙げられる。
【0027】エステル類としては、芳香族もしくはC
〜Cの脂肪族のアルコール成分と、芳香族もしくはC
〜Cの脂肪族カルボン酸またはリン酸成分によって
エステル結合を形成したものが用いられ、このC〜C
の炭素骨格は、直鎖アルキル基でも分岐アルキル基で
もよく、n−、sec−、tert−アルキル基もしくは脂環式
アルキル基、または脂環式の環を含むアルキル基でも差
し支えない。具体的には、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢
酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢
酸ペンチル、酢酸ヘキシル、ヘキサン酸エチル、安息香
酸エチル等、およびリン酸トリブチル等のリン酸の完全
エステル等が挙げられる。
【0028】有機酸類としては、芳香族もしくはC
の脂肪族のカルボン酸、これらのハロゲン置換体、
リン酸、またはリン酸と芳香族もしくはC〜Cの脂
肪族のアルコール成分との部分エステルが用いられ、こ
のC〜Cの炭素骨格は、直鎖アルキル基でも分岐ア
ルキル基でもよく、n−、sec−、tert−アルキル基もし
くは脂環式アルキル基、または脂環式の環を含むアルキ
ル基でも差し支えない。具体的には、ギ酸、酢酸、プロ
ピオン酸、しゅう酸、マロン酸、安息香酸、リン酸ジエ
チル等が挙げられる。また、無機酸類としては、リン
酸、塩酸等が用いられる。
【0029】これら錯化剤は、それぞれの錯体系におい
て1種類のみを用いてもよく、また、2種類以上を適宜
の割合で混合して用いてもよい。錯体自体は従来公知の
方法に従って製造することができる。例えば、あらかじ
め錯体を調製して用いてもよく、また反応系内へ三フッ
化ホウ素と1種以上の錯化剤とを所定の割合で別々にま
たは同時に投入し、反応器内において三フッ化ホウ素錯
体を形成させることもできる。
【0030】三フッ化ホウ素と錯化剤とのモル比は、
0.01:1以上であり、好ましくは0.01:1から
2:1の範囲である。錯化剤に対する三フッ化ホウ素の
モル比が0.01未満では触媒活性が低すぎて、目的と
するオレフィンの重合を行うことができない。また、上
記モル比が2を超えると三フッ化ホウ素が錯化剤に比べ
て過剰になりすぎ、安定な配位を保つことが困難にな
り、回収触媒において三フッ化ホウ素と錯化剤とのモル
比を維持することができない。また、回収した三フッ化
ホウ素系錯体触媒を再使用する際には上述のモル比調整
などの操作が必要であるが、回収の際に配位モル比が変
化しないように制御することも重合技術として重要であ
る。
【0031】オレフィンオリゴマーの製造における三フ
ッ化ホウ素の使用量は、通常、重合可能なオレフィン成
分1モルに対して0.0001〜0.5モルの割合であ
る。オレフィン中の三フッ化ホウ素の使用量は、オレフ
ィンの種類、重合系内温度などによって変動するが、例
えばオレフィンが1−デセンであり、重合温度が25℃
の場合には、約0.20g/100g-オレフィンであ
る。重合温度は、通常−20℃〜+90℃、好ましくは
0〜50℃である。また、重合圧力は通常0〜35kg/c
m2G、好ましくは0.01〜5kg/cm2Gの範囲である。重
合時間は通常10分〜24時間、好ましくは1〜16時
間である。重合方式は、回分式、連続式のいずれも採用
することができる。
【0032】上述の方法に従って三フッ化ホウ素系錯体
触媒によりオレフィンオリゴマーを製造させることがで
きる。反応終了後には、触媒の少なくとも一部が反応混
合物中に溶解あるいは分散している状態が観察される。
この状態の反応混合物中に、フッ化金属(MF)を接
触させると、下記式(3)または(4)に示す反応が容
易に進行して、反応混合物に存在していた触媒中の三フ
ッ化ホウ素が難溶性の四フッ化ホウ素金属塩(M(BF
))の形態になる。一方、触媒中の錯化剤は三フッ
化ホウ素の吸着時に反応混合物中に放出されることが見
出された。 nBF+MF→ M(BF) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式(3) nBF-(錯化剤)+MF → M(BF)+n(錯化剤)・・・・ 式(4) (式(3)または(4)中のMは、リチウム、カルシウ
ム、ストロンチウムあるいはバリウムの金属原子を表
し、リチウム原子の場合はn=1であり、それ以外の金
属の場合はn=2である。)
【0033】錯体触媒の少なくとも一部が溶解および/
または分散している反応混合物から三フッ化ホウ素を吸
着除去するには、反応混合物とフッ化金属類とを−10
0℃から+160℃の範囲で接触させる必要がある。こ
の温度範囲であれば三フッ化ホウ素の化学吸着効率が高
く、反応液が気相および/または液相で接触する限り、
160℃以下の任意の温度を採用することができる。
【0034】しかしながら、反応活性の高い錯体触媒を
反応混合物の共存下で加熱すると、前述の通り、オレフ
ィンオリゴマーの組成および化学構造等の変化により製
品品質の低下が引き起こされる懸念がある。そのため、
より好ましい吸着温度は、−30℃から+50℃の範囲
である。
【0035】反応混合物中に含有される三フッ化ホウ素
が上述のように錯体である場合には、三フッ化ホウ素と
しての濃度がかなり高いこともある。しかしながら、除
去効率を高くするためには、通常三フッ化ホウ素の希薄
液体を用いることが好ましい。具体的には、三フッ化ホ
ウ素として10重量%以下、さらに好ましくは5重量%
以下である。濃度は薄いほど除去効率が高く、濃度の下
限は特に制限されない。
【0036】本発明において得られるオレフィンオリゴ
マーの平均分子量は製造条件によって異なるが、錯体触
媒中の三フッ化ホウ素の除去効果は、反応液の粘度にも
大きく依存する。すなわち、重合度の小さいオレフィン
オリゴマーを製造した場合は、重合度の大きい生成物を
製造した場合と比較すると、反応液の粘度が小さいため
にフッ化金属類の分散効率が向上する。対象とする反応
混合液の粘度が著しく高い場合には、フッ化金属類の分
散、および錯体触媒中の三フッ化ホウ素の吸着除去が不
十分になる。このような観点から、対象とする反応混合
物の粘度は、フッ化金属類との接触時の温度において、
10,000cP(センチポイズ)以下であることが好
ましい。また、前述のように、反応混合物に不活性な溶
媒を加えることにより、系の粘度を上記範囲内に調整し
て錯体触媒中の三フッ化ホウ素の除去に供することがで
きる。
【0037】次に、本発明に使用されるフッ化金属類
は、鉄鋼、ニッケル精錬、ガラス、ほうろう、セメント
等の多岐の産業にわたって大量に使用される化学物質で
あるが、本発明においては、天然品、合成品あるいは産
業廃棄物等からで得られるものなどのいずれを使用して
も差し支えない。以下、フッ化金属として用いるフッ化
カルシウム(CaF)について詳細に説明する。
【0038】フッ化カルシウムの天然品は、別名蛍石と
して広く知られており、メキシコ、ロシア、フランス、
スペイン、中国、タイ、アメリカ、イタリア、南アフリ
カ等の世界各国から大量に産出される一般的な鉱石であ
る。好ましくは、フッ化カルシウムが98%以上含まれ
る無色の良質鉱石を選ぶことが望ましい。
【0039】また、フッ化水素(HF)と、消石灰(C
a(OH)2)あるいは塩化カルシウム(CaCl2)等か
ら、下記式(5)または(6)に示す反応に従ってフッ
化カルシウムが合成されることが知られているが、この
ような合成品も使用することができる。これらの反応で
合成されるフッ化カルシウムは、自然沈降あるいはろ過
等の操作によって分別されたものをそのまま用いてもよ
いが、フッ化カルシウムが水にほとんど溶解しない性質
を利用して、水あるいはアルカリで洗浄した後、加熱乾
燥したものを使用することがさらに好ましい。 2HF+Ca(OH) → CaF2+2HO ・・・・・・・・・・・・・・・ 式(5) 2HF+CaCl → CaF+2HCl ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式(6)
【0040】さらに、アルキルベンゼン等の製造に触媒
としてフッ化水素(HF)等を使用する場合があるが、
反応終了後に触媒を失活させるために、通常上記式
(5)または(6)に示すようにフッ化水素の中和処理
を行っており、その際にフッ化カルシウムが産業廃棄物
として副生する。その副生フッ化カルシウムを本発明に
おいて、使用しても一向に差し支えない。
【0041】一方、三フッ化ホウ素の吸着後に生成する
四フッ化ホウ素金属塩 (M(BF4))の結晶
構造については、例えば、Jordan, T. H.らによる Acta
Crystallogr., Sect. B (1975), B 31(3), p. 669-67
2 の論文によれば、無色の斜方晶系結晶であることが知
られている。すなわち、フッ化金属および四フッ化ホウ
素金属塩の双方ともに無機結晶として非常に安定な物質
である。
【0042】錯体触媒の少なくとも一部が溶解および/
または分散している反応混合物とフッ化金属との接触の
方法は特に限定されない。例えば、フッ化金属単独、あ
るいはフッ化金属を含有する不活性な無機フィラー等を
充填した固定床に、三フッ化ホウ素または錯体を含有す
る流体を通過接触させることができる。不活性な無機フ
ィラーとしては、活性炭あるいはステンレス鋼製パッキ
ング等が挙げられるが、材質あるいは形状はこれらに限
定されるものではない。また、フッ化金属は完全焼成さ
れたものである必要はないが、オレフィンオリゴマーの
製造においては水分をなるべく除外することが望まれる
ため、フッ化金属を焼成することによって水分を除去し
て用いる方が好ましい。
【0043】フッ化金属の粒径は特に限定されない。例
えば、市販試薬のフッ化金属の粒径分布を詳細に調査す
ると1〜10μmの範囲の微細粒状であるが、それを成
型して粒径分布を揃えたものでもよい。三フッ化ホウ素
の吸着効率をより高くするためには、吸着剤であるフッ
化金属の表面積を大きくすることが好ましい。
【0044】また、フッ化金属の形状も特に限定され
ず、例えば、フッ化金属の断面形状は通常の円形のほ
か、中空に成形されたもの、または多孔性の特殊形状で
あっても好ましく使用することができ、目的に応じて適
宜、選択することが好ましい。
【0045】接触操作は、流通式およびバッチ式のいず
れの形式でも実施することができる。接触時間も特に限
定されず、適宜に決定される。通常、流通式では、空間
速度として0.01〜10hr−1の範囲から選択するこ
とができる。バッチ式で三フッ化ホウ素を完全に除去す
るために用いるフッ化金属の量は、対象とする反応混合
物に含まれる三フッ化ホウ素量の0.5倍モル以上(リ
チウム原子の場合は1.0倍モル以上)であることが必
要であり、除去効率を高めるためにはフッ化金属の量を
さらに多く用いることが好ましいが、使用量は適宜に選
択することができる。以上記載した方法によって、三フ
ッ化ホウ素系錯体触媒中の三フッ化ホウ素は、フッ化金
属との接触により化学吸着されて反応混合物中から分離
除去される。
【0046】次に、吸着した三フッ化ホウ素をフッ化金
属から脱着させて再利用可能な状態で回収するために、
吸着により生成した四フッ化ホウ素金属塩(M(BF4)
)の加熱を行う。すなわち、下記式(7)に示す反応
が進行して、純粋な三フッ化ホウ素ガスと、元の吸着物
質であるフッ化金属の形態に戻すことができる。 M(BF) → nBF+ MF ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式(7) (式(7)中のMは、リチウム、カルシウム、ストロン
チウムあるいはバリウムの金属原子を表し、リチウム原
子の場合はn=1であり、それ以外の金属の場合はn=
2である。)
【0047】加熱は、適宜の不活性ガス、例えば窒素な
どの存在下で行うことができる。不活性なものであれ
ば、適宜の有機溶媒中で加熱することも可能である。三
フッ化ホウ素ガスを脱着させるための加熱温度は100
℃以上であり、脱着速度を十分大きくするために160
℃以上の温度範囲であることが望ましい。しかし、次に
示すように、選択するフッ化金属によって、三フッ化ホ
ウ素の十分な脱着には必要な温度が異なるため、脱着温
度は適宜選択することが望ましい。各金属における脱着所要温度 リチウム: 160℃以上 カルシウム: 210℃以上 ストロンチウム:260℃以上 バリウム: 240℃以上
【0048】また、脱着に必要な加熱温度の上限は、本
発明において用いるフッ化金属のすべてが約1,000
℃まで融解が起こらない安定な結晶であることから特に
限定されず、高温であるほど脱着が速やかに進行するた
め好ましい。しかしながら、600℃を越える著しく高
い温度は、本質的に必要でなく、しかもエネルギーコス
トの増大、生成物や反応溶媒等の分解、あるいは高温に
おける三フッ化ホウ素ガスによる装置腐食などが問題と
なるので好ましくない。三フッ化ホウ素の脱着は、上記
の加熱温度条件に保持することにより完全に達成できる
が、吸着剤であるフッ化金属を繰り返し使用する場合
は、三フッ化ホウ素の脱着率を適宜な段階に留める方が
経済的な面から好ましい。
【0049】本発明において三フッ化ホウ素または錯体
を含有する流体としては、オレフィンオリゴマーの製造
時における反応混合物が挙げられる。その組成は、生成
物のオレフィンオリゴマー、あるいは未反応オレフィン
モノマー等で構成されているが、成分比は特に限定され
ない。なお、三フッ化ホウ素の吸着除去工程の条件下に
おいて、上記の化合物群はフッ化金属または四フッ化ホ
ウ素金属塩(M(BF4))をほとんど溶解しないが、
アンモニウム塩やフッ化水素酸を含有する混合物は溶解
現象を引き起こすため好ましくない。
【0050】さらに、本発明の方法により三フッ化ホウ
素の吸着および脱着を行ったフッ化金属は、繰り返し使
用することができる。なお、回収される三フッ化ホウ素
は、脱着する際に通常は気体状であり、しかも高純度で
ある。従って、脱着した三フッ化ホウ素を適宜の手段で
回収して再使用することもできる。
【0051】さらに、三フッ化ホウ素の脱着による分離
回収と同時に、三フッ化ホウ素系錯体触媒中の錯化剤も
反応混合物中から全量回収することが可能である。すな
わち、三フッ化ホウ素系錯体触媒中から三フッ化ホウ素
がフッ化金属に吸着する際に、錯体は分解し、錯化剤は
錯体中から反応混合物中に遊離する。ここで遊離した錯
化剤は、蒸留等によって反応混合物から回収することが
可能である。従って、製造コストをより安価にする目的
で、反応混合物中から錯化剤を適宜の分離手段により回
収し、回収した錯化剤と、別途の工程から回収した三フ
ッ化ホウ素とを用い、再び三フッ化ホウ素系錯体触媒を
調製することも可能である。錯化剤は必ずしも全量を回
収される必要はなく、新鮮な錯化剤の必要量を適宜に補
充することができる。
【0052】さらに、錯体触媒として回収し、オレフィ
ンオリゴマーの製造触媒として再使用する場合には、錯
体触媒中の錯化剤の配位数を変化させることがないよう
に注意を払わなければならない。錯体に配位する錯化剤
は、その配位数も含めて特定することにより所望の触媒
機能を発揮するものであるが、錯化剤の配位数は温度そ
の他の環境条件により変化し易い。配位数が変化すれば
触媒機能が相違するため、別の工程でそれぞれ回収され
る三フッ化ホウ素および錯化剤を用いて、所望の触媒性
能が発揮される配位数になるように、再度錯体を調製す
る必要がある。以上の操作により、配位数が特定された
三フッ化ホウ素系錯体触媒をオレフィンオリゴマーの重
合工程に再度使用することが可能になる。
【0053】このように吸着により三フッ化ホウ素を除
去した後、適宜の分離手段、例えば蒸留操作などによ
り、反応混合物中から目的のオレフィンオリゴマーを得
ることができる。また、必要に応じ、製造したオレフィ
ンオリゴマーに含まれる錯体触媒を、従来公知の方法、
例えば適宜の中和工程により除去することができる。こ
のようなオレフィンオリゴマー中の錯体触媒は、すでに
大部分の触媒が除去されているので簡単な中和により除
去することができる。
【0054】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明す
る。本発明の方法により脱着される三フッ化ホウ素ガス
の特定は、従来公知の以下の分析手法に準拠して行う。
三フッ化ホウ素またはその錯体を塩化カルシウム水溶液
と反応させると、下記式(8)に示す反応に従って、1
モルの三フッ化ホウ素から3モルの塩酸と1モルのホウ
酸が生成し、生成した塩酸を水酸化ナトリウムあるいは
水酸化カリウム等の規定度既知のアルカリ水溶液で中和
滴定することにより、存在するフッ素濃度を知ることが
できる。さらに、式(8)に従って生成するホウ酸を、
日本工業標準規格(JIS)K8863−1991のホ
ウ酸含有量の試験法に準拠して測定することにより、存
在するホウ素の濃度を知ることができる。すなわち、ホ
ウ酸とマンニトールとが水溶性の強酸性錯体を形成する
性質を利用する手法であり、生成する強酸性錯体を規定
度既知のアルカリ水溶液で中和滴定することによってホ
ウ酸含有量を知ることができ、その値から存在するホウ
素の濃度を求める。 2BF+3CaCl+6HO → 2HBO+6HCl+3CaF ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・式(8)
【0055】本発明において三フッ化ホウ素の特定に用
いた実際の手法は以下の通りである。まず、三フッ化ホ
ウ素系錯体触媒を含有する反応混合物中の三フッ化ホウ
素をフッ化金属に吸着させて四フッ化ホウ素金属塩(M
(BF))の形態にした後、その吸着塩を加熱して、
遊離した三フッ化ホウ素を水、低級アルコールあるいは
ジエチルエーテル等の溶液中に吸収させる。次いで、そ
の吸収液を塩化カルシウム水溶液と反応させ、上述の2
段の中和滴定を行い、フッ素とホウ素の含有量を調べ
て、各原子組成比と三フッ化ホウ素濃度を求める。本発
明において得られた遊離ガスは、いずれの場合において
もフッ素とホウ素の原子モル比が3:1であり、三フッ
化ホウ素(BF)の形態が保持されていることが確認
された。
【0056】<三フッ化ホウ素系錯体触媒の製造>0℃
以下に保持した錯化剤に、温度上昇を抑制しながら所定
の配位モル比に達するまで三フッ化ホウ素(純度99.
7%)を吹き込み、錯体触媒を調製した。また、特に示
していないが、分解が懸念される錯体は、分解温度以下
で調整および保存を行い反応に供した。
【0057】<実験装置の仕様>重合装置としては、窒
素ガス導入管、撹拌装置、三フッ化ホウ素ガス貯蔵用ボ
ンベ、ガス吹込み管、温度計および恒温槽を備えた内容
積1リットルの耐圧容器を使用した。添加するフッ化金
属はすべて市販の試薬を用いた。
【0058】<実施例1> (オレフィンオリゴマーの重合反応)窒素気流下で、上
記容器内に特級試薬1−デセン150gおよび三フッ化
ホウ素・n−ブタノール錯体(1:1モル付加物)2.
51g(錯体中の三フッ化ホウ素量:1.20g)を仕
込み、容器内を撹拌して+25℃に保ち、その中へ三フ
ッ化ホウ素ガス0.30gを吹き込みながら重合反応を
開始した。重合は25℃に保つように冷却しながら、4
時間継続した。結局反応に要した錯体中の三フッ化ホウ
素量は1.50gとなった。
【0059】(三フッ化ホウ素の吸着除去)4時間の重
合が終了した後、三フッ化ホウ素・n−ブタノール錯体
が分散された反応混合物に、温度25℃の恒温で撹拌を
維持した状態で、フッ化カルシウム8.63g(三フッ
化ホウ素の5倍モル相当量)を添加して、30分間撹拌
を行った。撹拌を停止して分散液を静置分離すると、吸
着剤と反応混合物とが比重差によって2相に分離し、反
応混合物相を別容器に分取して、前式(8)について説
明した分析法により、反応混合物内に残留する三フッ化
ホウ素濃度を測定した。残留する三フッ化ホウ素濃度は
零であり、三フッ化ホウ素が完全に吸着除去されている
ことが確認された。さらに、反応混合物について、ガス
クロマトグラフィー分析を実施したところ、三フッ化ホ
ウ素・n−ブタノール錯体の投入量に相当するn−ブタ
ノールが全量検出された。吸着前後のオリゴマー反応液
中の組成をガスクロマトグラフィーにより求めた。ま
た、反応混合物について、蒸留により未反応オレフィン
および炭素数20以下の低分子量オリゴマーを留去し、
重合反応に関与した1−デセンの転化率、生成したオレ
フィンオリゴマーの収率および生成物組成を求めた。次
に、吸着剤をろ別し、減圧下で乾燥して重量変化を確認
した。フッ化カルシウムへの吸着前の重量との差を求め
た結果、添加したフッ化カルシウム中に吸着保持された
三フッ化ホウ素の量は17.3g/100g-フッ化カルシウム
であることが判明した。また、乾燥した三フッ化ホウ素
が吸着保持されたフッ化カルシウム吸着剤について、X
線回折分析を実施したところ、フッ化カルシウム(CaF
)および四フッ化ホウ素カルシウム塩(Ca(B
))の二種類の結晶構造が確認された。
【0060】(加熱脱着)三フッ化ホウ素が吸着保持さ
れたフッ化カルシウム吸着剤を別に用意したステンレス
鋼製管型容器に充填し、1ml/分(標準状態)の流量で
窒素を供給し、供給窒素の加熱を開始して温度を270
℃に維持した。出口から流出する窒素は、三フッ化ホウ
素の吸着後に蒸留によって回収されたn−ブタノール溶
液中に導入した。この状態で、出口からの窒素を観察
し、三フッ化ホウ素による白煙が認められなくなるま
で、加熱した窒素の導入を続けた。その後、冷却して残
存粉体の重量を秤量したところ、三フッ化ホウ素の残存
量は零であり、吸着した三フッ化ホウ素の100%が脱
着したことが確認された。さらに、残存粉体について吸
着時と同様にX線回折分析を実施したところ、フッ化カ
ルシウム(CaF)の結晶構造のみが観察され、元の形
態に回復していることが確認された。また、加熱による
脱着ガスを吸収したn−ブタノール溶液について、前記
2段の中和滴定を行い、フッ素とホウ素の含有量を調べ
た。得られた値からフッ素とホウ素の原子モル比を算出
し、同時に残留する三フッ化ホウ素量を決定したとこ
ろ、フッ素とホウ素の原子モル比が3:1である三フッ
化ホウ素(BF3)の形態が確認され、n−ブタノール
溶液中に三フッ化ホウ素が1.49g含有されているこ
とが判明した。結局、三フッ化ホウ素・n−ブタノール
錯体触媒が3.12g再調製されたことになり、吸着時
に仕込んだ三フッ化ホウ素・n−ブタノール錯体触媒
が、三フッ化ホウ素の吸脱着処理を経た後も、再利用可
能な錯体の形態において98%以上の高率で回収し得る
ことを確認した。
【0061】さらに、三フッ化ホウ素・n−ブタノール
錯体触媒について、13C−NMRによる分析を行っ
た。すなわち、三フッ化ホウ・n−ブタノール錯体触媒
の反応に使用する前、および使用後回収した後における
13C−NMRスペクトルの測定結果を比較した。その
結果、使用後再調製した三フッ化ホウ素・n−ブタノー
ル錯体触媒においては、未使用の錯体触媒の検出ピーク
と同じ位置にピークが認められ、反応前と同一のモル比
を保持していることが確認された。
【0062】(錯体触媒の再利用性)重合容器内に、再
び特級試薬1−デセン150gと1回目の反応で回収、
再調製した三フッ化ホウ素・n−ブタノール錯体2.5
1g(錯体中の三フッ化ホウ素量:1.20g)を仕込
み、容器内を撹拌して+25℃に保ち、その中へ三フッ
化ホウ素ガス0.30gを吹き込みながら重合反応を開
始した。重合は25℃に保つように冷却しながら、4時
間継続した。反応終了後、1回目と同様にフッ化カルシ
ウム8.63g(三フッ化ホウ素の5倍モル相当量)を
添加して、撹拌を30分間行った。その吸着後に1回目
と同様の処理を施し、転化率、生成したオレフィンオリ
ゴマーの収率および生成物組成を求めた。反応混合物の
蒸留処理および吸着剤の加熱脱着処理等は1回目と同様
の条件で行った。上記の三フッ化ホウ素の回収操作を3
回繰り返して、連続4回の重合反応を行い、第1回目と
第4回目の反応における1−デセンの転化率、オレフィ
ンオリゴマーの収率、および回収された錯体触媒の仕込
み量に対する割合(回収率)を表1に示す。また、第1
回目の反応後における吸着前後のオリゴマー生成物の組
成割合を表2に示す。 表 1 反応回数 1−デセンの転化率 オリゴマーの収率 錯体触媒の回収率 1 98.9モル% 93.7重量% 98.5% 4 98.7モル% 93.8重量% 98.2%
【0063】<実施例2>実施例1と同様の条件で重合
反応を行い、反応終了後に添加する吸着剤をフッ化カル
シウムからフッ化ストロンチウムに変更した。すなわ
ち、反応終了後にフッ化ストロンチウム13.89g
(三フッ化ホウ素の5倍モル相当量)を添加して、実施
例1と同様に吸着を行った。吸着後に実施例1と同様の
処理を施し、1−デセンの転化率および生成したオレフ
ィンオリゴマーの収率を求めた。その後の反応混合物の
蒸留処理は実施例1と同様の条件で行い、吸着剤から三
フッ化ホウ素を加熱脱着する際の処理温度は270℃か
ら320℃に変更して行った。上記の三フッ化ホウ素の
回収操作を3回繰り返して、連続4回の重合反応を行
い、第1回目と第4回目の反応における1−デセンの転
化率、オリゴマーの収率および錯体触媒の回収率を表3
に示す。 表 3 反応回数 1−デセンの転化率 オリゴマーの収率 錯体触媒の回収率 1 98.5モル% 94.1重量% 65.3% 4 98.8モル% 94.8重量% 63.9%
【0064】<実施例3>実施例1と同様に重合反応を
行い、反応終了後に添加するフッ化ストロンチウムの添
加量を変更した。すなわち、反応終了後にフッ化ストロ
ンチウム27.79g(三フッ化ホウ素の10倍モル相
当量)を添加して、実施例1と同様に吸着を行った。そ
の後の反応混合物の蒸留処理および吸着剤からの三フッ
化ホウ素の加熱脱着は実施例2と同様に行った。上記の
三フッ化ホウ素の回収操作を3回繰り返して、連続4回
の重合反応を行い、第1回目と第4回目の反応における
1−デセンの転化率、オリゴマーの収率および錯体触媒
の回収率を表4に示す。 表 4 反応回数 1−デセンの転化率 オリゴマーの収率 錯体触媒の回収率 1 98.9モル% 94.1重量% 98.3% 4 98.0モル% 94.0重量% 98.1%
【0065】<実施例4>錯体触媒として三フッ化ホウ
素・n−ブタノール錯体の代わりに、三フッ化ホウ素・
メタノール錯体(1:1モル付加物)1.77g(錯体
中の三フッ化ホウ素量は1.20g)に変更した以外は
実施例1と同様に重合反応を行った。反応終了後に、実
施例1と同様にフッ化カルシウム5.53g(三フッ化
ホウ素の4倍モル相当量)を添加して、撹拌を30分間
行い、吸着を行った。吸着後の反応混合物の蒸留処理お
よび吸着剤からの三フッ化ホウ素の加熱脱着を実施例1
と同様に行い、回収されるメタノールと三フッ化ホウ素
の間で、再度、三フッ化ホウ素メタノール錯体を調製し
た。上記の三フッ化ホウ素の回収操作を3回繰り返し
て、連続4回の重合反応を行い、第1回目と第4回目の
反応における1−デセンの転化率、オリゴマーの収率お
よび錯体触媒の回収率を表5に示す。 表 5 反応回数 1−デセンの転化率 オリゴマーの収率 錯体触媒の回収率 1 99.2モル% 95.1重量% 98.5% 4 99.1モル% 95.0重量% 98.4%
【0066】<比較例1〜4>比較例1〜4は、それぞ
れ実施例1〜4における1回目の重合反応と同一の条件
で重合を行ったが、反応混合物にフッ化金属類の添加を
行わなかった。その結果、反応後に温度を保持した状態
で静置すると、いずれの場合も三フッ化ホウ素系錯体触
媒はオレフィンオリゴマーを含む反応液中に分散された
状態に保持され、そのままでは錯体触媒あるいは三フッ
化ホウ素の分離が生じなかった。
【0067】<比較例5>アクリロニトリルの5重量%
トルエン溶液に、重合開始剤としてアクリロニトリルに
対し1重量%の tert−ブチルパーオキシドおよび0.5
重量%のチオウレアを溶解し、得られた溶液を、あらか
じめ150℃で乾燥した60〜80メッシュの活性炭に
含浸させ、窒素気流中において100℃で2時間加熱し
て重合を行った。加熱終了後、沸点まで加熱したトルエ
ンにより洗浄し、アクリロニトリルの未反応物および低
重合物を除去した。実施例1において、フッ化カルシウ
ムの代わりに、上記で得られたアクリロニトリル重合物
を担持した活性の同重量を充填したほかは、同様にして
三フッ化ホウ素の吸着を行った。三フッ化ホウ素の吸着
効率を求めたところ、2.6g/100g-活性炭であり、吸着
効率の低いことが確認された。
【0068】<比較例6> (三フッ化ホウ素の吸着除去)実施例1において、フッ
化カルシウムの代わりに、同モル量の粉末状フッ化カリ
ウム6.43g(投入した三フッ化ホウ素の5倍モル相
当量)を添加したほかは、同様にして三フッ化ホウ素の
吸着を行った。その結果、3.8g/100g-フッ化カリウム
の効率で吸着され、吸着効率の低いことが確認された。 (加熱脱着)実施例1と同様に、三フッ化ホウ素が一部
吸着保持されたフッ化カリウム吸着剤について加熱脱着
を行った。加熱温度を当初270℃に維持したが、出口
から三フッ化ホウ素による白煙がほとんど認められなか
った。そこで、加熱温度を徐々に上昇させたところ、約
700℃付近の高温に達したときから出口に煙が検出さ
れた。
【0069】<比較例7> (三フッ化ホウ素の吸着除去)実施例1におけるいて、
フッ化カルシウムの代わりに、同容量のシリカゲル1.
43gを添加したほかは、実施1と同様にして三フッ化
ホウ素の吸着を行った。その結果、6.8g/100g-シリカ
ゲルの効率で吸着したが、反応混合物中に遊離する三フ
ッ化ホウ素錯体が検出され、吸着効率の低いことが確認
された。さらに、吸着時に、反応混合物の気相部におい
てHFガスが遊離していることが確認された。また、三
フッ化ホウ素が吸着保持されたと思われるシリカゲル吸
着剤について、光電子分光(ESCA)分析を実施した
ところ、吸着剤中にはフッ素とホウ素が原子モル比2:
1で存在しており、三フッ化ホウ素(BF)の形態が
保持されていないことが確認された。すなわち、吸着時
にシリカゲル中のシラノール基(−SiOH基)が三フ
ッ化ホウ素と反応して、−SiOBF基と遊離のHF
ガスに分解したためと考えられ、再利用可能な三フッ化
ホウ素は回収できないことが判明した。
【0070】
【発明の効果】本発明のオレフィンオリゴマーの製造法
によれば、フッ化金属類を吸着剤として使用することに
より、炭素数5以上のオレフィン、望ましくは1−デセ
ンを含有する炭化水素混合物を重合して得た重合生成物
から、重合触媒として使用した三フッ化ホウ素と錯化剤
からなる三フッ化ホウ素系錯体触媒を、高効率で吸着回
収することが可能であり、活性を損なわずに多数回繰り
返して利用することができるため、オレフィンオリゴマ
ーの製造における触媒コストの低減に寄与することがで
きる。また、従来のプロセスでは、使用触媒を分離除去
する際に、アンモニア、苛性ソーダ等の塩基性物質の水
溶液で中和して水洗除去する方法が採用されており、こ
の洗浄工程から、使用したアルカリや三フッ化ホウ素の
中和物であるフッ化物を含む廃水が多量に排出されてい
たが、本発明の方法によれば、触媒を高率で回収するこ
とによって、産業廃棄物の処理等に付随する環境汚染の
問題を大幅に軽減することができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(I)から(III)の工程を含むオレ
    フィンオリゴマーの製造方法、(I)三フッ化ホウ素と
    錯化剤からなる三フッ化ホウ素系錯体触媒の存在下に炭
    素数5以上のオレフィン(以下「C以上のオレフィ
    ン」という)を液相重合する工程、(II)C以上のオ
    レフィンの重合後、三フッ化ホウ素系錯体触媒の少なく
    とも一部が分散および/または溶解してなる反応混合物
    に、下記式(1)に示すフッ化金属に接触させて、該錯
    体触媒中の三フッ化ホウ素(BF)を選択的に吸着さ
    せる工程、 MF ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式(1) (Mは、リチウム、カルシウム、ストロンチウムあるい
    はバリウムの金属原子を示す。n=1あるいは2) (III)三フッ化ホウ素を吸着除去した錯化剤を含有す
    る反応混合物を回収する工程。
  2. 【請求項2】 下記(I)から(V)の工程を含むオレフ
    ィンオリゴマーの製造方法、(I)三フッ化ホウ素と錯
    化剤からなる三フッ化ホウ素系錯体触媒の存在下にC
    以上のオレフィンを液相重合する工程、(II)C以上
    のオレフィンの重合後、三フッ化ホウ素系錯体触媒の少
    なくとも一部が分散および/または溶解してなる反応混
    合物に、下記式(1)に示すフッ化金属を接触させて、
    該錯体触媒中の三フッ化ホウ素(BF)を選択的に吸
    着させる工程、 MF ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式(1) (Mは、リチウム、カルシウム、ストロンチウムあるい
    はバリウムの金属原子を示す。n=1あるいは2) (III)三フッ化ホウ素を吸着除去した錯化剤を含有す
    る反応混合物を回収する工、(IV)三フッ化ホウ素をフ
    ッ化金属に吸着させて得られる下記式(2)に示す四フ
    ッ化ホウ素金属塩を、160〜600℃の温度範囲で加
    熱することによって三フッ化ホウ素とフッ化金属とを得
    る工程、 M(BF) ・・・・・・・・・・・・・・ 式(2) (Mは、リチウム、カルシウム、ストロンチウムあるい
    はバリウムの金属原子を示す。n=1あるいは2) (V)回収した三フッ化ホウ素の少なくとも一部を触媒
    として、C以上のオレフィンを液相重合する工程。
  3. 【請求項3】 下記(I)から(VI)の工程を含むオレ
    フィンオリゴマーの製造方法、(I)三フッ化ホウ素と
    錯化剤からなる三フッ化ホウ素系錯体触媒の存在下にC
    以上のオレフィンを液相重合する工程、(II)C
    上のオレフィンの重合後、三フッ化ホウ素系錯体触媒の
    少なくとも一部が分散および/または溶解してなる反応
    混合物に、下記式(1)に示すフッ化金属を接触させ
    て、該錯体触媒中の三フッ化ホウ素(BF)を選択的
    に吸着させる工程、 MF ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式(1) (Mは、リチウム、カルシウム、ストロンチウムあるい
    はバリウムの金属原子を示す。n=1あるいは2) (III)三フッ化ホウ素を吸着除去した錯化剤を含有す
    る反応混合物を回収する工、(IV)三フッ化ホウ素をフ
    ッ化金属に吸着させて得られる下記式(2)に示す四フ
    ッ化ホウ素金属塩を、160〜600℃の温度範囲で加
    熱することによって三フッ化ホウ素とフッ化金属とを得
    る工程、 M(BF) ・・・・・・・・・・・・・・ 式(2) (Mは、リチウム、カルシウム、ストロンチウムあるい
    はバリウムの金属原子を示す。n=1あるいは2) (V)工程(II)において錯体触媒中の三フッ化ホウ素
    を吸着させる際に反応混合物中に遊離した錯化剤を回収
    する工程、(VI)前記工程(IV)から回収される三フッ
    化ホウ素と前記工程(V)から回収される錯化剤のそれ
    ぞれ少なくとも一部を用いて、新たに三フッ化ホウ素系
    錯体触媒を形成させ、重合触媒としてC以上のオレフ
    ィンを液相重合する工程。
  4. 【請求項4】 前記液相重合における供給原料中のC
    以上のオレフィン濃度が、少なくとも5重量%である請
    求項1から3のいずれかに記載のオレフィンオリゴマー
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記フッ化金属に接触させる反応混合物
    の温度を、−100℃から+160℃、好ましくは−3
    0℃から+50℃の範囲とすることを特徴とする請求項
    1から3のいずれかに記載のオレフィンオリゴマーの製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記三フッ化ホウ素の除去後に形成する
    四フッ化ホウ素金属塩(M(BF))を、100〜6
    00℃、好ましくは160〜500℃の温度範囲で加熱
    することによって、三フッ化ホウ素とフッ化金属とに分
    解することを特徴とする請求項2または3に記載のオレ
    フィンオリゴマーの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記三フッ化ホウ素系錯体触媒を形成す
    る錯化剤が、水、アルコール類、エーテル類、フェノー
    ル類、ケトン類、アルデヒド類、エステル類、有機酸
    類、酸無水物等の含酸素化合物、含窒素化合物、含硫黄
    化合物、含リン化合物または無機酸等の、有機または無
    機極性化合物からなる群から選ばれるものであることを
    特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のオレフィ
    ンオリゴマーの製造方法。
  8. 【請求項8】 前記三フッ化ホウ素系錯体触媒におい
    て、三フッ化ホウ素と錯化剤のモル比が0.01:1か
    ら2:1の範囲にあることを特徴とする請求項1から3
    のいずれかに記載のオレフィンオリゴマーの製造方法。
  9. 【請求項9】 前記ポリブチレンの分子量が100〜1
    0万の範囲にあることを特徴とする請求項1から3のい
    ずれかに記載のオレフィンオリゴマーの製造方法。
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