JP2000255241A - ホイール式クレーンの油圧サスペンション装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 既存のバネ作用、車体上昇作用、車体下降作
用に加えて、車輪持ち上げ作用を得る。 【解決手段】 サスペンションシリンダ１の伸長側油室
１ａとアキュムレータ４を接続する伸長側ライン２に第
１切換弁５、第１切換弁５とアキュムレータ４を結ぶ管
路２ａとポンプ６との間にポンプライン７、第１切換弁
５とサスペンションシリンダ１を結ぶ管路２ｂとタンク
８との間にタンクライン９、ポンプライン７に第２切換
弁１０、タンクライン９に第３切換弁１１をそれぞれ設
け、これら各切換弁５，１０，１１により、第１〜第４
の状態の間で切換え得るように構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はホイール式クレーン
においてサスペンションシリンダによって車体を支持す
る油圧サスペンション装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のサスペンション装置にお
いては、特開平５−３８９２３号公報（特許第２５７７
８３５号）に示されているように、各車輪ごとに車軸と
車体との間にサスペンションシリンダ（油圧シリンダ）
を設け、（Ｉ）通常走行時には、サスペンションシリン
ダの伸長側、縮小側両油室をアキュムレータに連通させ
て、両油室とアキュムレータとの間での油の出入り作用
を行わせることによって振動を吸収し（バネ作用）、
（II）アプローチアングルやデパーチャアングルを大き
くしたい場合にはサスペンションシリンダを伸長させて
車体を上昇させ（車体上昇作用）、（III）クレーン作
業時等に重心を低くしたい場合にはサスペンションシリ
ンダを縮小させて車体を下降させる（車体下降作用）よ
うにしている。

【０００３】ここで、車体下降（シリンダ縮小）作用
は、サスペンションシリンダの伸長側油室をタンクに連
通させた状態で、車体重量により伸長側油室の油をタン
クに排出することによって行われる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、公知技術に
よると、上記のように車体重量によってサスペンション
シリンダを縮小させる構成をとっているため、車体下降
作用は行えても、自力で車輪を持ち上げる車輪持ち上げ
作用は行えない。

【０００５】このため、大型クレーンの新規かつ有利な
輸送法として、図２に示すように、クレーンＣを水平に
保ったままその車体前部をトレーラＴに連結するととも
に、前輪Ｈ１を地面から浮かせ、後輪Ｈ２は接地させた
セミトレーラ状態で牽引する方法（この輸送方法による
と車両制限令に適合する長い軸間距離を確保して橋梁走
行が可能となる）をとることができなかった。

【０００６】そこで本発明は、既存のバネ作用、車体上
昇作用、車体下降作用に加えて、車輪持ち上げ作用を行
うことができるホイール式クレーンのサスペンション装
置を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、車体
を支持するサスペンションシリンダの伸長側および縮小
側両油室がそれぞれ伸長側および縮小側ラインを介して
アキュムレータに接続されるとともに、上記伸長側およ
び縮小側両ラインとポンプとを接続するポンプライン、
伸長側ラインをタンクに接続するタンクラインがそれぞ
れ設けられ、かつ、次の各状態の間で切換える切換弁装
置が設けられたものである。

【０００８】請求項２の発明は、請求項１の構成におい
て、伸長側ラインに第１切換弁が設けられるとともに、
この伸長側ラインにおける第１切換弁とアキュムレータ
を結ぶ管路とポンプとの間にポンプライン、第１切換弁
とサスペンションシリンダを結ぶ管路とタンクとの間に
タンクラインがそれぞれ設けられ、ポンプラインに第２
切換弁、タンクラインに第３切換弁がそれぞれ設けら
れ、上記第１乃至第３各切換弁によって切換弁装置が構
成されたものである。

【０００９】上記構成によると、第１の状態で、サスペ
ンションシリンダの両側油室とアキュムレータとの間で
の油の出入りによって振動を吸収するバネ作用が行われ
る。

【００１０】第２の状態では、車体重量によって伸長側
油室の油がタンクに排出されてサスペンションシリンダ
が縮小し、車体下降作用が行われる。

【００１１】また、第３の状態では、シリンダ伸長側油
室にポンプ吐出油が供給されることによってサスペンシ
ョンシリンダが伸長し、車体上昇作用が行われる。

【００１２】そして、第４の状態で、ポンプからシリン
ダ縮小側油室に油が供給され、伸長側油室の油がタンク
に排出される。すなわち、車体重量を用いないで自力で
シリンダが縮小する車輪持ち上げ作用が行われ、この車
輪持ち上げ作用を用いて、クレーンのトラクタ牽引輸送
を行うことが可能となる。

【００１３】

【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図１によって
説明する。

【００１４】サスペンションシリンダ１の伸長側油室１
ａが伸長側ライン２によって、また縮小側油室１ｂが縮
小側ライン３によってそれぞれアキュムレータ４に接続
され、伸長側ライン２に第１切換弁５が設けられてい
る。

【００１５】一方、伸長側ライン２における第１切換弁
５とアキュムレータ４を結ぶ管路２ａとポンプ６とがポ
ンプライン７によって、また第１切換弁５とサスペンシ
ョンシリンダ１を結ぶ管路２ｂとタンク８とがタンクラ
イン９によってそれぞれ接続され、ポンプライン７に第
２切換弁１０、タンクライン９に第３切換弁１１がそれ
ぞれ設けられて切換弁装置１２が構成されている。

【００１６】この切換弁装置１２を構成する第１〜第３
各切換弁５，１０，１１は、いずれも電磁切換弁が用い
られ、図示しないスイッチの操作によって図の遮断位置
イから開通位置ロに切換わり作動する。この切換わり作
動によって次のような作用が行われる。

【００１７】（ｉ） 通常走行時 通常走行時には、第１の状態として第１切換弁５のみが
開通位置ロに切換えられる。

【００１８】この第１の状態では、サスペンションシリ
ンダ１の伸長側および縮小側両油室１ａ，１ｂがアキュ
ムレータ４に接続されるため、これらの間で油の出入り
が行われることによって走行時の振動が吸収される（バ
ネ作用）。

【００１９】(ii) 車体下降時 車体下降時には、第２の状態として第３切換弁１１のみ
が開通位置ロに切換えられる。

【００２０】この第２の状態では、サスペンションシリ
ンダ１の伸長側油室１ａがタンク８に連通するため、車
体重量によってサスペンションシリンダ１に作用する縮
小方向の力により、伸長側油室１ａの油が第３切換弁１
１を通ってタンク８に排出される。これにより、サスペ
ンションシリンダ１が縮小して車体が下降する。

【００２１】(iii) 車体上昇時 車体上昇時には、第３の状態として第１および第２両切
換弁５，１０がそれぞれ開通位置ロにセットされる。

【００２２】この第３の状態では、サスペンションシリ
ンダ１の伸長側油室１ａは第１および第２両切換弁５，
１０を介して、また縮小側油室１ｂは第２切換弁１０の
みを介してそれぞれポンプ６に接続され、受圧面積の差
（伸長側＞縮小側）によってサスペンションシリンダ１
が伸長作動する。

【００２３】(iv) 車輪持ち上げ時 車輪を自力で持ち上げたいときは、第４の状態として第
２および第３両切換弁１０，１１を開通位置ロにセット
する。

【００２４】この第４の状態では、サスペンションシリ
ンダ１の縮小側油室１ｂが第２切換弁１０を介してポン
プ６に、また伸長側油室１ａが第３切換弁１１を介して
タンク８にそれぞれ連通する。

【００２５】これにより、縮小側油室１ｂにポンプ吐出
油が供給される一方、伸長側油室１ａの油がタンク８に
排出されるため、シリンダ１が縮小作動して車輪（車
軸）が持ち上げられる。

【００２６】従って、この状態とすることにより、図２
に示すようにクレーン後輪Ｈ２は接地させたまま前輪Ｈ
１のみを地面から浮かせてクレーンＣを水平状態のまま
トラクタＴに連結し、軸間距離を拡大した状態で牽引輸
送することができる。

【００２７】ところで、上記実施形態では複数のサスペ
ンションシリンダのうちの一つのみについて説明した
が、他のサスペンションシリンダについても上記同様に
構成され、同様の作用が行われる。

【００２８】この場合、通常行われているように、二個
のサスペンションシリンダを一組として、アキュムレー
タ４を共用する状態で同時作動させるように構成しても
よい。 また、上記実施形態では、三個の切換弁５，１
０，１１によって切換弁装置１２を構成した場合を例示
したが、この切換弁装置１２の構成は本発明の実施に当
たり種々変更可能である。

【００２９】また、切換弁として電磁切換弁に代えて油
圧パイロット式の切換弁、または手動切換弁を用いるこ
ともできる。

【００３０】

【発明の効果】上記のように本発明によるときは、切換
弁装置（請求項２では三個の切換弁で構成）によって、
（Ｉ） サスペンションシリンダの両側油室とアキュム
レータとの間での油の出入りによって振動を吸収するバ
ネ作用が行われる第１の状態、（II） 車体重量によっ
て伸長側油室の油がタンクに排出されてサスペンション
シリンダが縮小し、車体下降作用が行われる第２の状
態、(III) シリンダ伸長側油室に油が供給されてサスペ
ンションシリンダが伸長し、車体上昇作用が行われる第
３の状態に加えて、(IV) ポンプからシリンダ縮小側油
室に油が供給され、伸長側油室の油がタンクに排出され
ることにより、車体重量を用いないで自力でシリンダが
縮小する車輪持ち上げ作用が行われる第４の状態を得る
ことができる。このため、この車輪持ち上げ作用を用い
て、クレーンのトラクタ牽引輸送を行うことが可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態にかかる油圧サスペンション
装置の油圧回路図である。

【図２】このサスペンション装置によって得られる車輪
持ち上げ作用を用いてクレーンをトラクタで牽引して輸
送する状態を示す側面図である。

【符号の説明】

１ サスペンションシリンダ １ａ サスペンションシリンダの伸長側油室 １ｂ 同縮小側油室 ２ 伸長側ライン ２ａ 伸長側ラインにおける第１切換弁とアキュムレー
タを結ぶ管路 ２ｂ 伸長側ラインにおける第１切換弁とサスペンショ
ンシリンダを結ぶ管路 ３ 縮小側ライン ４ アキュムレータ ６ 油圧ポンプ ８ タンク ７ ポンプライン ９ タンクライン １２ 切換弁装置 ５ 第１切換弁 １０ 第２切換弁 １１ 第３切換弁

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体を支持するサスペンションシリンダ
   の伸長側および縮小側両油室がそれぞれ伸長側および縮
   小側ラインを介してアキュムレータに接続されるととも
   に、上記伸長側および縮小側両ラインとポンプとを接続
   するポンプライン、伸長側ラインをタンクに接続するタ
   ンクラインがそれぞれ設けられ、かつ、次の各状態の間
   で切換える切換弁装置が設けられたことを特徴とするホ
   イール式クレーンの油圧サスペンション装置。 （ｉ） 上記サスペンションシリンダの両側油室を、上
   記ポンプおよびタンクに対しては遮断しながら上記アキ
   ュムレータに連通させる第１の状態。 （ii） 上記サスペンションシリンダの伸長側油室を、
   アキュムレータおよびポンプに対しては遮断しながらタ
   ンクに連通させる第２の状態。 （iii） 上記サスペンションシリンダの伸長側油室
   を、タンクに対しては遮断しながらポンプに連通させる
   第３の状態。 （iv） 上記サスペンションシリンダの縮小側油室をポ
   ンプに、伸長側油室をタンクにそれぞれ連通させる第４
   の状態。
2. 【請求項２】 伸長側ラインに第１切換弁が設けられる
   とともに、この伸長側ラインにおける第１切換弁とアキ
   ュムレータを結ぶ管路とポンプとの間にポンプライン、
   第１切換弁とサスペンションシリンダを結ぶ管路とタン
   クとの間にタンクラインがそれぞれ設けられ、ポンプラ
   インに第２切換弁、タンクラインに第３切換弁がそれぞ
   れ設けられ、上記第１乃至第３各切換弁によって切換弁
   装置が構成されたことを特徴とする請求項１記載のホイ
   ール式クレーンの油圧サスペンション装置。