JP2000254932A - 繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体の製造方法 - Google Patents

繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体の製造方法

Info

Publication number
JP2000254932A
JP2000254932A JP11061538A JP6153899A JP2000254932A JP 2000254932 A JP2000254932 A JP 2000254932A JP 11061538 A JP11061538 A JP 11061538A JP 6153899 A JP6153899 A JP 6153899A JP 2000254932 A JP2000254932 A JP 2000254932A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
thermoplastic resin
mold
cavity
molten thermoplastic
thickness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11061538A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoru Funakoshi
覚 船越
Shigeyoshi Matsubara
重義 松原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP11061538A priority Critical patent/JP2000254932A/ja
Publication of JP2000254932A publication Critical patent/JP2000254932A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
  • Casting Or Compression Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】高倍率で均一な膨張層を形成し、軽量性、金型
転写性及び寸法安定性に優れた繊維強化熱可塑性樹脂膨
張成形体を製造する。 【解決手段】(a)金型キャビティ容積を膨張前の溶融
状熱可塑性樹脂量よりも小さくなるように型締めする工
程、(b)該溶融状熱可塑性樹脂を金型キャビティ内に
供給する工程、(c)溶融状熱可塑性樹脂の供給を行い
つつ金型キャビティを成形体の厚み方向に開放する工
程、(d)金型の一部もしくは全部を最終成形体の厚み
にならないように成形体の厚み方向に開放し、溶融状熱
可塑性樹脂の未固化部分を膨張させる工程、(e)膨張
体内部にガスを導入する工程、(f)開放した金型の一
部もしくは全部について更に開放して、キャビティクリ
アランスを最終成形体厚みに一致させる工程、及び
(g)キャビティクリアランスを最終成形体厚みに保持
しつつ成形体を冷却させる工程からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維強化熱可塑性
樹脂膨張成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、繊維強化熱可塑性樹脂膨張成
形体はよく知られており、その製造方法としては、例え
ば特開平9-220730号公報や特開平10-138276 号公報に示
される長繊維強化熱可塑性樹脂ペレットを用いた膨張成
形方法や特開平7-247679号公報に示される発泡剤を用い
た射出成形法による方法がよく知られている。又、特開
平10-305462 号公報に示されるような長繊維強化熱可塑
性樹脂ペレットの膨張性形方法にガス注入を組み合わせ
による方法などが知られている。
【0003】しかし、特開平9-220730号公報や特開平10
-138276 号公報に示される方法においては、溶融状熱可
塑性樹脂が膨張する際、膨張成形体を金型成形面に押し
付ける力が弱いため金型転写性に劣っていたり、成形体
内での成形収縮に差が生じ、寸法安定性にかけるという
問題点があった。また、特開平7-247679号公報に示され
る方法では高膨張倍率を得るにはかなりの発泡剤を必要
とするという問題があり、表面にガス抜け跡が生じ、外
観に劣っているという問題があった。
【0004】さらには特開平10-305462 号公報に示され
る方法では成形体の金型転写性は改善できるがガスを注
入する際に、溶融状熱可塑性樹脂がガス圧により吹き飛
ばされたり、あるいは、膨張層が不均一となったり割れ
を生じ易いという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このようなことから、
本発明者らは、発泡剤を使用することなく、膨張成形の
利点を活かしながら高倍率で均一な膨張層を形成し、軽
量性、金型転写性及び寸法安定性に優れた繊維強化熱可
塑性樹脂膨張成形体を製造すべく検討の結果、本発明に
至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、雌雄
一対の開閉可能な金型を用い、平均繊維長が1mm以上に
保持された強化繊維を含む溶融状熱可塑性樹脂を金型キ
ャビティ内に充填し、該金型の一部もしくは全部を成形
体の厚み方向に開放し、溶融樹脂の未固化部分を膨張さ
せる繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体の製造方法におい
て(a)金型キャビティ容積を膨張前の溶融状熱可塑性
樹脂量よりも小さくなるように型締めする工程、(b)
該溶融状熱可塑性樹脂を金型キャビティ内に供給する工
程、(c)溶融状熱可塑性樹脂の供給を行いつつ金型キ
ャビティを成形体の厚み方向に開放する工程、(d)金
型の一部もしくは全部を最終成形体の厚みにならないよ
うに成形体の厚み方向に開放し、溶融状熱可塑性樹脂の
未固化部分を膨張させる工程、(c)膨張体内部にガス
を導入する工程、(f)開放した金型の一部もしくは全
部について更に開放して、キャビティクリアランスを最
終成形体厚みに一致させる工程、及び(g)キャビティ
クリアランスを最終成形体厚みに保持しつつ成形体を冷
却させる工程、からなる事を特徴とする繊維強化熱可塑
性樹脂成形体の製造方法及びこの製造方法により得られ
た膨張成形体を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を説明する。尚、以
下の説明は本発明の一例であって、本発明がこれに限定
されるものではない。
【0008】
【実施例】本発明の目的とする繊維強化熱可塑性樹脂膨
張成形体は、図12にその断面を拡大して示すような、
金型成形面が綺麗に転写され、空隙もほとんど有しない
スキン層(1)と膨張層(2)とから形成されている。
膨張層(2)においては強化繊維(3)同士が複雑に絡
み合い、その接点付近で熱可塑性樹脂(4)により固定
された梁構造となっていることが軽量性と優れた強度を
得るうえで重要であり、このような強化繊維同士を複雑
に絡ませるには、成形体中の強化繊維の平均長が1mm以
上であることが重要であって、強化繊維の平均繊維長が
1mmに満たない場合には満足すべき性能が得られない。
【0009】このような観点から、本発明の方法におい
ては、平均繊維長が1mm以上に保持された強化繊維を含
む溶融状熱可塑性樹脂を金型キャビティ内へ供給するこ
とが重要である。ここで平均繊維長は一般的な指標であ
る重量平均繊維長が用いられる。
【0010】かかる平均繊維長が1mm以上に保持された
強化繊維を含む溶融状熱可塑性樹脂を金型キャビティ内
へ供給する方法としては、平均繊維長が3mm以上の強化
繊維と粒状やペレット状の熱可塑性樹脂とを例えばイン
ライン式のスクリューを持った射出機内で溶融混練させ
て得られる強化繊維含有の溶融樹脂をキャビティ内に供
給する方法や、予め形成された平均繊維長が3mm以上の
強化繊維を含む熱可塑性樹脂材料、例えば長繊維強化熱
可塑性樹脂ペレットを溶融混練してなる強化繊維含有の
溶融樹脂をキャビティ内に供給する方法等が挙げられ
る。
【0011】後者の方法において、長繊維強化樹脂ペレ
ットとしては、例えば、ガラスロービングに溶融した熱
可塑性樹脂を含浸させ、冷却固化させたものを適当な長
さ例えば3〜25mm程度に切断しペレット化したものが
好適に用いられる。このような長繊維強化熱可塑性樹脂
ペレットはそれ単独で用いてもよいし、強化繊維含有量
調整のために長繊維強化熱可塑性樹脂ペレットのマトリ
ックス樹脂からなる樹脂ペレットと混合して用いてもよ
く、場合によっては他の熱可塑性樹脂ペレットと混合し
てもよい。
【0012】ここで、強化繊維としてはガラス繊維、炭
素繊維、アルミナ繊維等の従来より強化繊維として知ら
れている各種の強化繊維が適用されるが、ガラス繊維が
最も一般的なものとして多く使用される。
【0013】このような強化繊維(3)は、マトリック
スである熱可塑性樹脂(4)との密着性に優れるほど、
マトリックス樹脂を介しての繊維同士の結合も強固にな
り、膨張成形体の強度も向上するため、例えばポリプロ
ピレン系樹脂とガラス繊維の組み合わせのような場合に
は、ガラス繊維に表面処理を行ったり、熱可塑性樹脂に
変性剤を配合してその密着性を向上させることは有効で
ある。
【0014】熱可塑性樹脂としては、押し出し成形、射
出成形、プレス成形に用いられている熱可塑性樹脂であ
ればいずれも使用可能であり、例えば、ポリエチレン、
ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ス
チレン・ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリア
ミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート
等の一般的な熱可塑性樹脂、これらの混合物、あるいは
これらの熱可塑性樹脂を用いたポリマーアロイ等があげ
られ、本発明でいう熱可塑性樹脂とはこれらを全て包含
するものである。このような熱可塑性樹脂は、必要に応
じタルク等の充填剤を含んでいてもよく、通常使用され
る各種添加剤、例えば、顔料、滑剤、帯電防止剤、安定
剤等が配合されていてもよい。
【0015】強化繊維の含有量は、目的とする膨張成形
体の膨張度、所望の性質等によって変わるが、一般的に
は10〜80重量%の範囲である。
【0016】以下、工程を追って本発明の膨張成形体の
製造方法を説明する。図1は本発明の方法で使用する金
型例の概略をその断面で示したものである。この例にお
いては、金型は雄型(7)及び雌型(6)の雌雄一対か
らなり、両金型は通常そのいずれか一方がプレス装置に
接続され、他方は固定されて縦方向または横方向に開閉
可能となっている。
【0017】金型キャビティ内への溶融状熱可塑性樹脂
の供給方法は任意であるが、一般的には、金型に設けた
樹脂供給路(9)を介して樹脂供給装置(8)と結ばれ
ている樹脂供給口(10)を雌雄いずれかもしくは両方の
金型の成形面に設け、該樹脂供給口(10)からキャビテ
ィ内に溶融樹脂を供給する方法が好ましい。この場合、
樹脂供給口近傍の樹脂供給路(9)には任意に制御可能
な開閉弁を設け、射出機等の樹脂供給装置に貯えられた
溶融樹脂の供給、停止が任意に制御できるようになって
いてもよい。
【0018】また、雌雄いずれか又は両方の金型にはキ
ャビティ内に開口するガス導入口(11)が設けられ、こ
のガス導入口より膨張成形体内にガスが導入される。こ
のガス導入口には任意にガスの導入、停止を制御しうる
開閉弁が設けられていてもよく、また、必要に応じてガ
ス導入口や導入ガスの温度を調整するための温度制御機
構設けていてもよい。
【0019】かかるガス導入口(11)は金型の成形面に
開口するようになっていてもよいし、ガス流路管を成形
面からキャビティ内に突き出してキャビティ内で開口す
るようにしてもよいが、膨張体内へのガス導入をスムー
ズに行うためには後者の方法が好ましく図では後者の例
を示している。このような金型を用い、両金型により形
成されるキャビティ内に、溶融状熱可塑性樹脂(12)を
供給する(図2)。
【0020】このとき、両金型により構成されるキャビ
ティ容積は、供給する溶融状熱可塑性樹脂(12)の容量
によって決定され、膨張前の溶融状熱可塑性樹脂の量よ
りも小さな容積となっている。キャビティ容積の制御
は、成形体の板厚方向のキャビティクリアランスを任意
に設定することにより行われるが、キャビティクリアラ
ンスを狭くするほど表面外観の優れた成形体を得ること
が可能となるが、狭すぎると、溶融状熱可塑性樹脂中に
含有する強化繊維の破損が大きくなるため、キャビティ
クリアランスは成形体の大きさや、厚み等により適宜決
定される。通常、膨張前の溶融状熱可塑性樹脂量の5〜
95容量%程度である。
【0021】供給する溶融状熱可塑性樹脂の温度は、使
用する熱可塑性樹脂の種類や成形条件によっても変わ
り、適宜最適の温度が設定される。例えば、ポリプロピ
レン系樹脂をマトリックスとするガラス繊維強化熱可塑
性樹脂を用いる場合には、200〜300℃程度、好ま
しくは230〜280℃程度である。
【0022】金型キャビティクリアランスは、溶融状熱
可塑性樹脂(12)を供給しつつ拡大され、溶融状熱可塑
性樹脂の供給を完了した時点で、ほぼ、溶融状熱可塑性
樹脂量と同等のキャビティ容積となる。この際、キャビ
ティクリアランスの拡大は、金型を取り付けたプレス等
の装置により積極的にその拡大速度を制御してもよい
し、あるいは供給される樹脂の圧力を利用して拡大して
もよいが、このときに樹脂にかかる圧力が1〜50MP
a程度となるように拡大速度を制御することが望まし
い。また、溶融状熱可塑性樹脂供給中に、金型キャビテ
ィ容積が供給する溶融状熱可塑性樹脂量よりも瞬間的に
大きくなる場合もあるが、本方法においては特に問題と
はならない。
【0023】溶融状熱可塑性樹脂(12)の供給が完了す
るのとほぼ同時に、金型キャビティ内には供給された熱
可塑性樹脂が充填されている。この時、金型キャビティ
内の溶融熱可塑性樹脂は、ほとんど空隙を形成していな
いか、あるいは若干の空隙を有する状態にある。
【0024】このように、溶融状熱可塑性樹脂を供給し
つつ金型キャビティを拡大することにより、表面外観を
良くするとともに、溶融状熱可塑性樹脂中に含有される
強化繊維を自然膨張させ、空隙を形成しやすい向きに配
向させることができる。この状態で、好ましくは溶融樹
脂表面にスキン層(1)を形成せしめるが、一般的に金
型温度は用いる熱可塑性樹脂の融点よりも低い温度に設
定されているため、適宜の冷却時間を設けることによ
り、溶融樹脂は金型成形面に接した表面部分より固化し
始め、やがて空隙のほとんどないスキン層(1)が形成
される。この時の冷却時間は、スキン層の形成に大きく
影響し、この時間が長くなるほどスキン層が厚く形成さ
れる。
【0025】スキン層(1)が厚くなり過ぎるとその後
の金型開放に伴う膨張倍率が低下し、また、スキン層が
薄すぎると強度が低くなる傾向にあり、スキン層をどの
程度の厚みにするかは所望とする膨張成形体の膨張倍率
や強度により適宜選択されるが、一般的にはスキン層の
両面合計の厚みが成形体厚みの5〜40%になる程度で
あり、スキン層を形成させるための溶融樹脂をキャビテ
ィ内に充填してから次工程の金型を開放するまでの冷却
時間は、金型温度や溶融状熱可塑性樹脂温度、樹脂の種
類等の諸条件によって変わるが、通常0.1〜20秒程度
である。
【0026】所定の厚みのスキン層が形成された後、金
型のキヤビティクリアランスが目的とする最終成形体厚
みにならないように僅かに開放し、未固化状態にある熱
可塑性樹脂の圧力を除圧する。(図3)。この除圧によ
り、溶融樹脂中の絡まりあった強化繊維は圧縮力に反発
して起き上がり、成形体は僅かに自然膨張して成形体内
に連通した空隙を形成する。この自然膨張層が形成され
る工程を設けることでより均一な膨張層を有する最終成
形体を得ることができる。
【0027】この時の自然膨張は除圧された後の圧力な
どによってもさまざまであるが、一般的に除圧後の圧力
は0.01〜1MPa程度であり、その時の自然膨張倍率
は1.01〜2倍程度である。従って、金型を開放したと
きのキャビティクリアランスは、溶融状熱可塑性樹脂を
金型キャビティ内に充填したときのキャビティクリアラ
ンスの1.01〜2倍程度にすることが好ましい。
【0028】金型の僅かな開放により自然膨張層(13)
が形成された後、ガス導入口(11)よりガス体を自然膨
張層内に導入する(図4)。この際、ガス導入口付近の
溶融状熱可塑性樹脂は溶融状態であるか、半溶融状態で
あることが必要であり、ガス体は自然膨張層内に形成さ
れた空隙(5)を通じて該膨張層内に導入される。
【0029】このとき、成形体表面に形成されたスキン
層(1)を金型の成形面に押し付けるためには、導入す
るガス体の供給圧は大気圧以上であることが必要であ
る。導入するガス体の圧力が高いほど成形体と金型成形
面との密着力は増加し、金型の転写性をよくすることが
可能となるとともに、成形体内の収縮差を防止し、寸法
安定性を改善することができるが、ガス圧が高すぎると
ガス導入口付近の溶融状熱可塑性樹脂がガス圧によって
吹き飛ばされて局部的な中空構造となり、強度の低下を
もたらしたりする。
【0030】そのため、導入するガス圧は1MPa以
下、望ましくは0.2〜0.6MPa程度である。このガス
圧は一定である必要はなく工程を通じて圧力を変化させ
ることも可能である。例えば、ガス導入開始直後は圧力
を0.1〜0.3MPa程度と低くし、空隙の拡大とともに
圧力を高め、スキン層の金型表面への密着力を高めるこ
ともできる。
【0031】かかるガスとしては空気又は不活性ガス、
例えば、炭酸ガスや窒素ガス等が挙げられるが実用的に
は空気が有利である。
【0032】ガス体の導入は一点に限られることはなく
複数の場所から行ってもよく、その位置は成形体の大き
さや形状等により適宜決定される。例えば、ガス導入口
(11)をキャビティ内に突き出るように設けた場合に
は、最終成形体表面に該ガス導入口のピン跡が残ること
があるが、これが問題になるような場合には成形体の裏
面側など目立たない位置にガス導入口を配置すればよ
い。
【0033】自然膨張層(13)の空隙内にガスを導入す
ることにより、自然膨張層内の絡まりあった強化繊維同
士が更に起き上がり、繊維間の空隙(5)を成長させつ
つ成形体は更に膨張する。そこで、ガス体の導入と合わ
せて、キャビティクリアランスが最終膨張成形体厚みに
一致するまで金型を開放すると、全体として金型の開き
方向、すなわち膨張成形体の厚み方向に向かって強化繊
維(3)が配向した梁構造が形成された膨張体を得るこ
とができる。
【0034】このとき、金型の開放は、キャビティ内の
溶融状熱可塑性樹脂のスキン層(1)を金型成形面に密
着させた状態で行うことが特に望ましい。金型の開放は
金型が取り付けられたプレスなどの装置により積極的に
開放動作を制御してもよいし、あるいは導入されるガス
体の圧力により行ってもよいが、より装置を簡略化でき
る点で導入するガス体の圧力により開放動作を行うこと
が望ましい。
【0035】ここで、ガス体の導入と金型の開放動作は
必ずしもそれぞれ独立した動作である必要はなく、例え
ば、キャビティ内に溶融状熱可塑性樹脂が充填された金
型を最終成形体厚みにならないように開放する工程にお
いて、溶融状熱可塑性樹脂にかかる圧力が除圧され、自
然膨張して連通した空隙が形成された時点でガス導入を
開始することができるし、金型を最終膨張成形体厚みに
ならないように開放した後、ガス体を導入しながら最終
膨張成形体厚みに一致するまで金型を開放するように、
ガス体の導入と金型の開放動作を平行的に行ってもよ
い。
【0036】また、金型を最終膨張成形体厚みにならな
いように開放する工程と最終膨張成形体厚みになるまで
金型を開放する工程を連続的に行ってもよく、この場
合、最初の金型開放により溶融状熱可塑性樹脂が自然膨
張して連通する空隙が形成された時点から最終膨張成形
体を得るまでの金型開放までの間、ガス体の導入は金型
の開放と平行して連続的に行ってもよい。
【0037】金型キャビティクリアランスが最終膨張成
形体厚みになった時点で、金型の開放動作を停止し、キ
ャビティクリアランスを最終成形体厚みに保持しつつ成
形体を冷却する。ガス導入は冷却が完了するまで継続し
て行うことが望ましい。冷却が完了した後、金型を完全
に開放し、最終成形体である繊維強化熱可塑性樹脂膨張
成形体を金型より取り出す(図5)。
【0038】このような方法において、金型の一部が部
分的に移動できるような金型構造とすることにより、部
分的に膨張部を有する繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体
を製造することもできる。
【0039】例えば図6に示されるような、金型の一部
をスライドコア(14)方式とし、該スライドコアを油圧
シリンダー等(15)によって移動させることにより金型
成形面を部分的に移動しうる金型を用い、予めスライド
コアの成形面を金型成形面と一致させて金型キャビティ
を形成させ、先に述べたような方法により溶融状熱可塑
性樹脂を供給して金型キャビティ内に充填させ(図7)
に、その後図9〜図10に示されるように、スライドコ
アを厚みを広げる方向に移動させて当該部分について自
然膨張層を形成させ、以下、先に述べたと同様の手法で
ガス導入及び冷却を行うことにより、スライドコアを設
けた部分について部分的に膨張部を有する繊維強化熱可
塑性樹脂膨張成形体を容易に製造することができる。
【0040】また、かかる繊維強化熱可塑性樹脂膨張成
形体において、その表面の一部又は全部に表皮材(16)
が貼合された表皮材一体の膨張成形体を所望の場合に
は、前記した方法において金型成形面の一部又は全部を
覆うように予め表皮材(16)を成形面に配置しておき、
前記方法に従って、表皮材と表皮材を配置していない他
の金型の成形面との間に溶融樹脂を供給、充填し、その
後、金型の開放、ガスの導入を行えばよい。
【0041】この場合、貼り合わせる表皮材の金型の成
形面に密着する力が弱いと、表皮材の収縮や表皮材と反
表皮材側の繊維強化熱可塑性樹脂の収縮量の差による変
形が生じるため、ガス体の圧力は0.3〜1MPaである
ことが望ましい。
【0042】また、ガス導入口を非表皮材側の金型に設
けたり、表皮材と接しない部分に設ければ、表皮材がガ
ス導入を妨げることにもならず、得られた成形体の表皮
材側にはガス導入口跡も残らない。例えば、成形体の上
面(雌型側)の全面に表皮材を設ける場合(図11)に
は、雄型側の適宜の位置にガス導入口を設ければ良い。
【0043】以上述べた本発明の方法において、用いる
熱可塑性樹脂や強化繊維の種類あるいは強化繊維の充填
率などによっては、金型を開放した時の自然膨張倍率が
低く、連通する空隙を得にくい場合もあるが、このよう
な場合には、原料の強化繊維を含む熱可塑性樹脂材料中
に予め発泡剤を僅かに混合しておくことにより自然膨張
を補助、促進することもできるが、このような場合であ
っても発泡剤の使用量は、原料の強化繊維を含む熱可塑
性樹脂中にしめる樹脂分に対して0.01〜1%程度の僅
かな量で十分である。
【0044】
【発明の効果】本発明の方法によれば、高い膨張倍率で
軽量性、強度、表面転写性及び寸法安定性に優れた繊維
強化熱可塑性樹脂膨張成形体を容易に製造することがで
き、かくして得られた膨張成形体は軽量高強度の成形体
として、構造部材、表皮層を有する成形体として各種用
途に幅広く使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に使用される金型例をその概略断
面図で示したものである。
【図2】本発明の方法における製造工程を金型の概略断
面図で示すものである。
【図3】本発明の方法における製造工程を金型の概略断
面図で示すものである。
【図4】本発明の方法における製造工程を金型の概略断
面図で示すものである。
【図5】本発明の方法における製造工程を金型の概略断
面図で示すものである。
【図6】本発明の方法における製造工程を金型の概略断
面図で示すものである。
【図7】本発明の方法における製造工程を金型の概略断
面図で示すものである。
【図8】本発明の方法における製造工程を金型の概略断
面図で示すものである。
【図9】本発明の方法における製造工程を金型の概略断
面図で示すものである。
【図10】本発明の方法における製造工程を金型の概略
断面図で示すものである。
【図11】本発明の方法により得られる膨張成形体の例
を断面図で示すものである。
【図12】本発明の方法により得られる膨張成形体の膨
張層の断面拡大図である。
【符号の説明】
(1)スキン層 (2)コア層(膨張層) (3)強化繊維 (4)熱可塑性樹脂 (5)空隙 (6)可動型 (7)固定型 (8)樹脂供給装置 (9)樹脂供給路 (10)樹脂供給口 (11)ガス導入口 (12)溶融熱可塑性樹脂 (13)自然膨張層 (14)スライドコア(移動式成形面構成部材) (15)油圧シリンダー(成形面移動装置) (16)表皮材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F202 AB25 AD16 AD19 AR02 CA11 CB01 CK19 CK41 CK52 CL02 4F204 AB25 AD16 AD19 AR02 FA01 FB01 FF23 FN30 FQ01 FQ15 4F205 AB25 AD16 AD19 AR02 HA12 HA22 HA34 HA35 HB01 HK14 HK19 HK23 HK32

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】雌雄一対の開閉可能な金型を用い、平均繊
    維長が1mm以上に保持された強化繊維を含む溶融状熱可
    塑性樹脂を金型キャビティ内に充填し、該金型の一部も
    しくは全部を成形体の厚み方向に開放し、溶融樹脂の未
    固化部分を膨張させる繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体
    の製造方法において(a)金型キャビティ容積を膨張前
    の溶融状熱可塑性樹脂量よりも小さくなるように型締め
    する工程、(b)該溶融状熱可塑性樹脂を金型キャビテ
    ィ内に供給する工程、(c)溶融状熱可塑性樹脂の供給
    を行いつつ金型キャビティを成形体の厚み方向に開放す
    る工程、(d)金型の一部もしくは全部を最終成形体の
    厚みにならないように成形体の厚み方向に開放し、溶融
    状熱可塑性樹脂の未固化部分を膨張させる工程、(e)
    膨張体内部にガスを導入する工程、(f)開放した金型
    の一部もしくは全部について更に開放して、キャビティ
    クリアランスを最終成形体厚みに一致させる工程、及び
    (g)キャビティクリアランスを最終成形体厚みに保持
    しつつ成形体を冷却させる工程、からなる事を特徴とす
    る繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】(c)工程において、供給する溶融状熱可
    塑性樹脂の圧力が1MPa〜50MPaとなるように金
    型キャビティを成形体の厚み方向に開放する事を特徴と
    する請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体
    の製造方法。
  3. 【請求項3】(d)工程の少なくとも一部と(c)工程
    とを平行して行い、膨張させながら膨張体内部にガスを
    導入する工程を含む請求項1に記載の繊維強化熱可塑性
    樹脂膨張成形体の製造方法。
  4. 【請求項4】(c)工程において、金型成形面に接する
    溶融状熱可塑性樹脂の表面に、空隙のほとんど無いスキ
    ン層が形成された後に、金型を開放する請求項1に記載
    の繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体の製造方法。
  5. 【請求項5】(e)工程の少なくとも一部と(f)工程
    とを平行して行い、膨張体内部にガスを導入しながらキ
    ャビティクリアランスを最終成形体厚みに一致させる工
    程を含む請求項1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂膨張成
    形体の製造方法。
  6. 【請求項6】(c)工程〜(f)工程を平行して行い、
    溶融状熱可塑性樹脂が金型キャビティ内に充填された
    後、キャビティクリアランスが最終成形体厚みになるま
    で金型の一部もしくは全部を開放しつつ、開放に伴って
    形成される膨張体内部にガスを連続的に導入する請求項
    1に記載の繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体の製造方
    法。
  7. 【請求項7】請求項1に記載の方法により製造された繊
    維強化熱可塑性樹脂膨張成形体。
JP11061538A 1999-03-09 1999-03-09 繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体の製造方法 Pending JP2000254932A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11061538A JP2000254932A (ja) 1999-03-09 1999-03-09 繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11061538A JP2000254932A (ja) 1999-03-09 1999-03-09 繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000254932A true JP2000254932A (ja) 2000-09-19

Family

ID=13173999

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11061538A Pending JP2000254932A (ja) 1999-03-09 1999-03-09 繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000254932A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CA2618845C (en) Method for foam injection molding of thermoplastic resin
JP3174962B2 (ja) プラスチック成形において表面性向上のためのガス利用方法
JPH1058573A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂発泡成形体およびその製造方法
CN110142911B (zh) 一种聚合物微孔发泡材料的注塑成型装置和工艺及其应用
JP3695202B2 (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体の製造方法
JP3371315B2 (ja) 中空部を有する熱可塑性樹脂成形体の製造法
JP4529250B2 (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体の製造方法
JP2002307482A (ja) 表皮材積層熱可塑性樹脂発泡成形体の製造方法
JP2002160224A (ja) 熱可塑性樹脂軽量成形体製造用金型およびこれを用いた熱可塑性樹脂軽量成形体の製造方法
JP2001105447A (ja) 発泡成形体の製造方法
JP2006281698A (ja) 発泡成形品の成形方法及び発泡成形品の成形装置
JP2000025057A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体の製造方法
JP2000254932A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体の製造方法
JP2000043077A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂膨張成形体の製造方法
JP2003231148A (ja) 熱可塑性樹脂発泡体の成形方法
JP2002011797A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形体
JP2002018916A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂軽量成形体
EP1013390A1 (en) Method of injection molding expandable plastic composition
JP4442002B2 (ja) 熱可塑性樹脂軽量成形体の製造方法
JPH10119078A (ja) 発泡体の製造方法、樹脂組成物及び発泡体
JP2002052547A (ja) 繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法
JP4113026B2 (ja) 熱可塑性樹脂組成物発泡成形体の成形方法
JPH1142667A (ja) 熱可塑性樹脂中空成形体の製造方法
JP2000033628A (ja) 軽量樹脂成形品およびその製造方法
JP3249769B2 (ja) 射出成形機のノズル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051109

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070606

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070828

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071026

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20080125

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20080220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090203

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090630