JP2000254666A - 内分泌撹乱性物質含有水の処理方法 - Google Patents

内分泌撹乱性物質含有水の処理方法

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JP2000254666A
JP2000254666A JP11066904A JP6690499A JP2000254666A JP 2000254666 A JP2000254666 A JP 2000254666A JP 11066904 A JP11066904 A JP 11066904A JP 6690499 A JP6690499 A JP 6690499A JP 2000254666 A JP2000254666 A JP 2000254666A
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water
endocrine disrupting
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hydrophobic porous
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Isao Joko
勲 上甲
Yuichi Muramatsu
勇一 村松
Naoki Matsutani
直樹 松渓
Koji Mori
幸治 森
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水中に微量に含まれる内分泌撹乱性物質を、極
めて高い効率で吸着し、さらに化学的に分解除去して、
低コストで無害化することができる内分泌撹乱性物質含
有水の処理方法を提供する。 【解決手段】内分泌撹乱性物質を含有する水を触媒機能
を有する疎水性多孔体と接触させ、内分泌撹乱性物質を
該多孔体に吸着させるとともに、内分泌撹乱性物質を化
学的に分解することを特徴とする内分泌撹乱性物質含有
水の処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内分泌撹乱性物質
含有水の処理方法に関する。さらに詳しくは、本発明
は、水中に微量に含まれる内分泌撹乱性物質を、極めて
高い効率で吸着し、さらに化学的に分解除去して、低コ
ストで無害化することができる内分泌撹乱性物質含有水
の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、多くの地域で見られる野生生物の
生殖障害には、一般に環境ホルモンと呼ばれる外因性内
分泌撹乱化学物質が関与しているのではないかという疑
念が抱かれ、内分泌撹乱性物質に対する関心が高まって
いる。内分泌撹乱性物質とは、外因性内分泌撹乱化学物
質のほか、生体ホルモンや合成ホルモンなど、生物の体
内に入ると内分泌系を撹乱し、生殖障害など健康や生態
系に悪影響を与える物質である。このうち、外因性内分
泌撹乱化学物質については、環境庁が1997年に外因
性内分泌撹乱化学物質問題に関する研究班中間報告書に
おいて、外因性内分泌撹乱化学物質としての疑いのある
物質として67種の化学物質(群)を挙げている。すなわ
ち、ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニール類(PC
B)、ポリ臭化ビフェニール類(PBB)、ヘキサクロ
ロベンゼン(HCB)、ペンタクロロフェノール(PC
P)、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸、2,4−
ジクロロフェノキシ酢酸、アミトロール、アトラジン、
アラクロール、シマジン、ヘキサクロロシクロヘキサ
ン、エチルパラチオン、カルバリル、クロルデン、オキ
シクロルデン、trans−ノナクロル、1,2−ジブロモ−
3−クロロプロパン、DDT、DDE、DDD、ケルセ
ン、アルドリン、エンドリン、ティルドリン、エンドス
ルファン(ベンゾエピン)、ヘプタクロル、ヘプタクロ
ルエポキサイド、マラチオン、メソミル、メトキシクロ
ル、マイレックス、ニトロフェン、トキサフェン、トリ
ブチルスズ、トリフェニルスズ、トリフルラリン、アル
キルフェノール(C5)、ノニルフェノール、4−オク
チルフェノール、ビスフェノールA、フタル酸ジ−2−
エチルヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジ
−n−ブチル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジ
エチル、ベンゾ(a)ピレン、2,4−ジクロロフェノー
ル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、ベンゾフェノ
ン、4−ニトロトルエン、オクタクロロスチレン、アル
ディカーブ、ベノミル、キーポン(クロルデコン)、マ
ンゼブ(マンコゼブ)、マンネブ、メチラム、メトリブ
ジン、ジペルメトリン、エスフェンバレレート、フェン
バレレート、ペルメトリン、ビンクロゾリン、ジネブ、
ジラム、フタル酸ジペンチル、フタル酸ジヘキシル、フ
タル酸ジプロピル、スチレンの2及び3量体、n−ブチ
ルベンゼンの物質又は物質群である。内分泌撹乱性物質
は、樹脂素材、可塑剤、界面活性剤、染料及びその原
料、農薬などの広い領域で工業的に生産、使用されてい
るもの、薬品製造工程やゴミ焼却などの過程で非意図的
に発生するもの、自然界で生産されるものなどがあり、
用水、排水、河川、湖沼、海水、土壌、地下水、底泥な
どの中に広く分布していることが指摘され、大きな社会
問題となっている。これらの物質は、生体内に取り込ま
れたとき、甲状腺ホルモン、性ホルモン、副腎皮質刺激
ホルモンなどのように、人体や他の生物に作用し、水環
境ではppbないしpptレベルでも影響を与えることが報告
されている。内分泌撹乱性物質の作用メカニズムについ
ては、いまだ科学的知見が十分に得られておらず、現時
点では国内外で内分泌撹乱性物質に対しての環境規制は
行われていない。上記の研究班中間報告の中に挙げられ
ている物質(群)も、外因性内分泌撹乱化学物質として特
定されたわけではない。それゆえ、今後の研究結果によ
って、これらの物質(群)以外にも内分泌撹乱性物質とさ
れる物質(群)が特定される可能性がある。従来より、水
中に存在する有害有機化合物の除去技術としては、生物
分解、オゾンや過酸化水素などによる酸化分解などが検
討、提案されている。特定有害物質の分解除去を目的と
した生物処理には、特定の真菌や細菌による分解処理、
活性汚泥などの混合微生物を特定物質で馴養したものに
よる分解処理などが挙げられる。これらの処理は、処理
対象の物質が特定されている場合には優れた方法である
が、水中に多種類の化合物、特に内分泌撹乱性物質が存
在する場合には、それらをすべて効率よく除去すること
は困難である。また、ppmレベルの分解対象化合物を含
む水溶液中で馴養、分離した混合微生物や単離株は、pp
bレベルの極低濃度で含まれる分解対象化合物の処理に
対して必ずしも親和性が強いとはいえない。酸化剤によ
る処理法としては、オゾンや過酸化水素などの強力な酸
化剤を用いる方法が検討されている。これらは酸化力が
強く、多種類の化合物を分解することができるという特
徴を有する。しかし、ppmレベルと比較して、ppbレベル
の極低濃度では、対象化合物量あたり必要とされる酸化
剤の量が多くなり、経済的に好ましくない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、水中に微量
に含まれる内分泌撹乱性物質を、極めて高い効率で吸着
し、さらに化学的に分解除去して、低コストで無害化す
ることができる内分泌撹乱性物質含有水の処理方法を提
供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、内分泌撹乱性物
質を含有する水を触媒機能を有する疎水性多孔体と接触
させ、内分泌撹乱性物質を該多孔体に吸着させるととも
に、吸着された内分泌撹乱性物質を化学的に分解するこ
とにより、水中に含有される内分泌撹乱性物質を効率的
に分解除去し得ることを見いだし、この知見に基づいて
本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
(1)内分泌撹乱性物質を含有する水を触媒機能を有す
る疎水性多孔体と接触させ、内分泌撹乱性物質を該多孔
体に吸着させるとともに、内分泌撹乱性物質を化学的に
分解することを特徴とする内分泌撹乱性物質含有水の処
理方法、(2)触媒機能を有する疎水性多孔体の主細孔
径が、8Å以上である第(1)項記載の内分泌撹乱性物質
含有水の処理方法、(3)触媒機能を有する疎水性多孔
体が、Si/Alモル比が5以上のゼオライトである第
(1)又は第(2)項記載の内分泌撹乱性物質含有水の処理
方法、及び、(4)化学的分解を、酸化剤の添加、還元
剤の添加、紫外線の照射又は酸化剤の添加と紫外線の照
射のいずれかにより行う第(1)項記載の内分泌撹乱性物
質含有水の処理方法、を提供するものである。さらに、
本発明の好ましい態様として、(5)疎水性多孔体とし
て、主細孔径が15〜100Åのメソ構造を有する多孔
体を用いる第(1)項記載の内分泌撹乱性物質含有水の処
理方法、を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の内分泌撹乱性物質含有水
の処理方法は、上記の現在外因性内分泌撹乱化学物質と
しての疑いがもたれている物質や、将来外因性内分泌撹
乱化学物質として特定される物質、また、生体ホルモン
や合成ホルモンなど、内分泌系を撹乱するおそれのある
物質を含有する水に対して適用することができる。本発
明方法は、内分泌撹乱性物質を0.1〜10mg/リット
ルの濃度で含有する水の処理に適しており、さらに、内
分泌撹乱性物質のうち疎水性のものを含有する水の処理
に適している。本発明方法を適用する内分泌撹乱性物質
含有水のpHに特に制限はなく、pH1〜13の広い範囲に
おいて適用することができるが、pH5〜9において適用
することが特に好ましい。本発明方法において、粉末状
の疎水性多孔体を用いる場合には、バッチ式の反応槽内
で撹拌して接触させることができる。繊維状の疎水性多
孔体を用いる場合には、固定床又はフィルターとして接
触させることができる。繊維状の疎水性多孔体は、その
径に特に制限なく用いることができる。粒状の疎水性多
孔体を用いる場合には、固定床又は流動床で接触させる
ことができる。固定床の場合には、疎水性多孔体の粒径
は0.3〜10mmであることが好ましく、0.5〜5mmで
あることがより好ましい。流動層の場合には、疎水性多
孔体の粒径は0.05〜0.5mmであることが好ましく、
0.1〜0.3mmであることがより好ましい。本発明方法
において、内分泌撹乱性物質含有水と触媒機能を有する
疎水性多孔体の接触時間に特に制限はないが、疎水性多
孔体と接触させたあとの水を貯槽に受け、該水を疎水性
多孔体が充填された反応槽と貯槽の間で循環させること
により、接触時間を長くし、処理効果を高めることがで
きる。また、疎水性多孔体をカラムに充填して通水する
場合は、SV0.1〜100h-1であることが好まし
く、SV1〜40h-1であることがより好ましい。
【0006】本発明方法に用いる疎水性多孔体に特に制
限はなく、例えば、ゼオライト、アルミナ、マグネシ
ア、シリカなどの無機質多孔体、活性炭などの多孔質の
炭素質材料、イオン交換樹脂、ポリテトラフルオロエチ
レンなどの有機質多孔体などを挙げることができる。本
発明方法において、触媒機能を有する疎水性多孔体の主
細孔径は8〜500Åであることが好ましく、メソ構造
と呼ばれる15〜100Åであることがより好ましい。
メソ構造を有する多孔体としては、石炭、ピート、イオ
ン交換樹脂を原料とする活性炭や、メソポーラスゼオラ
イトのような均一な結晶構造を有するメソ構造体と呼ば
れる金属多孔体などがある。疎水性多孔体の主細孔径
は、ピーク細孔径とも呼ばれるものであり、疎水性多孔
体の細孔径分布曲線の最大値に相当する細孔径である。
疎水性多孔体の細孔径分布曲線は、窒素ガス吸着法、水
銀圧入法などにより求めることができる。疎水性多孔体
の主細孔径が8Å未満であると、内分泌撹乱性物質の多
くは分子径が10Å前後であるために、疎水性多孔体の
細孔に入りにくく、内分泌撹乱性物質含有水の処理が不
十分となるおそれがある。疎水性多孔体の主細孔径が5
00Åを超えると、内分泌撹乱性物質に対する吸着力が
低下して、内分泌撹乱性物質含有水の処理が不十分とな
るおそれがある。
【0007】本発明方法においては、親水性多孔体の組
成変更やアルキル化処理などにより、疎水化処理を行っ
て得られる疎水性多孔体を用いることができる。例え
ば、通常は親水性であるゼオライトは、Si/Alモル
比が5以上になるように組成変更を行うことにより、疎
水性多孔体とすることができる。ゼオライトは、均一な
細孔を有する結晶性アルミノケイ酸塩で、ケイ素原子と
その一部をアルミニウム原子で置換した四面体が、酸素
原子を介して二次元網目構造を形成し、特有の空洞や孔
路を形成した無機質の多孔体である。Si/Alモル比
が5以上であるゼオライトは、それ自体が触媒機能を有
するので、単独で触媒機能を有する疎水性多孔体として
使用することができる。ゼオライト以外にも、チタニア
やジルコニアなどの金属多孔体をアルキル化処理したも
のも、単独で触媒機能を有する疎水性多孔体として使用
することができる。なお、こうした金属多孔体の主細孔
径は、通常は10Å以下で、例えば、ゼオライトの場合
3〜9Å程度で、10Å前後の分子径を有する内分泌撹
乱性物質は吸着されがたい。このため、メソ構造体と呼
ばれる主細孔径が15〜100Åの均一な結晶構造を有
するものが特に好適である。シリカやポーラスゼオライ
トをはじめとするメソ構造体金属多孔体をアルキル化す
ることにより疎水化し、例えば、疎水性のオクタデシル
化シリカなどを得ることができる。アルキル化処理によ
り得られる疎水性多孔体は、使用によりアルキル基が外
れて疎水性が失われる場合があるので、使用条件を考慮
して選択することが好ましい。本発明方法に用いる疎水
性多孔体の触媒機能に特に制限はなく、公知の酸化還元
反応の触媒を担持した疎水性多孔体を用いることができ
る。このような触媒としては、例えば、パラジウム、プ
ラチナ、鉄、マンガン、銅などの金属触媒、チタニア、
アルミナ、ジルコニアなどの金属酸化物触媒、過酸化ニ
ッケル、過酸化銅などの金属過酸化物触媒などを挙げる
ことができる。疎水性多孔体への触媒の担持量に特に制
限はなく、例えば、疎水性多孔体の重量あたり0.05
〜20重量%を担持させることができる。触媒を担持さ
せる方法に特に制限はなく、例えば、疎水性多孔体を触
媒金属を含有する水溶液に浸漬したのち、焼成するなど
の方法により担持させることができる。
【0008】本発明方法において、触媒機能を有する疎
水性多孔体に吸着された内分泌撹乱性物質を化学的に分
解する方法に特に制限はなく、例えば、酸化分解、還元
分解、紫外線照射による光分解などによることができ
る。酸化分解は、過酸化水素、オゾン、酸素、塩素、過
硫酸などの酸化剤を用いて行うことができる。酸化分解
により、カドミウムや鉛などの無機物を除く内分泌撹乱
性物質全般を除去することができる。酸化分解に際して
は、ニッケル、パラジウム、プラチナ、鉄、マンガンな
どの触媒を用いることが好ましい。内分泌撹乱性物質を
酸化分解する場合は、炭素質材料、イオン交換樹脂、オ
クタデシル化シリカなどは酸化分解に伴い劣化するおそ
れがあるので、疎水性多孔体としては、Si/Alモル
比が5以上のゼオライト、ポリテトラフルオロエチレン
などを用いることが好ましい。本発明方法において、疎
水性多孔体に吸着された内分泌撹乱性物質を酸化分解す
る方法に特に制限はなく、例えば、疎水性多孔体を充填
したカラムへ内分泌撹乱性物質含有水を通水したのち、
酸化剤を含有する液体をカラムへ通液する方法、内分泌
撹乱性物質含有水に液状又は気体状の酸化剤を添加し、
触媒機能を有する疎水性多孔体が充填されたカラムへ通
水する方法、反応槽に内分泌撹乱性物質含有水を導入
し、触媒機能を有する疎水性多孔体と液状又は気体状の
酸化剤を添加して撹拌する方法などを挙げることができ
る。内分泌撹乱性物質を酸化分解するための酸化剤の添
加量に特に制限はないが、吸着された内分泌撹乱性物質
を完全に酸化分解又は脱塩素するために必要な化学理論
量の1〜2倍であることが好ましい。また、水中の有機
体炭素(TOC)濃度を基準として添加量を決定する場
合は、その全量を酸化分解するために必要な化学理論量
の1〜3倍であることが好ましい。酸化分解は常温常圧
下で行うことができるが、加温することにより酸化分解
反応を迅速に進めることができる。
【0009】還元分解は、水素、ヒドラジン、ヒドロキ
シルアミン、アンモニア、メタノールなどの還元剤を用
いて行うことができる。還元分解により、内分泌撹乱性
物質のうち、有機塩素系化合物を脱塩素して除去するこ
とができる。還元分解に際しては、プラチナ、パラジウ
ム、ルテニウム、ロジウム、鉄、銅、イリジウム、ニッ
ケルなどの触媒を用いることが好ましい。内分泌撹乱性
物質を還元分解する場合は、疎水性多孔体として、炭素
質材料、イオン交換樹脂、オクタデシル化シリカ、ゼオ
ライト、ポリテトラフルオロエチレンなどを制限なく用
いることができる。本発明方法において、疎水性多孔体
に吸着された内分泌撹乱性物質を還元分解する方法に特
に制限はなく、例えば、疎水性多孔体を充填したカラム
へ内分泌撹乱性物質含有水を通水したのち、還元剤を含
有する液体をカラムへ通液する方法、内分泌撹乱性物質
含有水に液状又は気体状の還元剤を添加し、触媒機能を
有する疎水性多孔体が充填されたカラムへ通水する方
法、反応槽に内分泌撹乱性物質含有水を導入し、触媒機
能を有する疎水性多孔体と液状又は気体状の還元剤を添
加して撹拌する方法などを挙げることができる。内分泌
撹乱性物質を還元分解するための還元剤の添加量に特に
制限はないが、吸着された内分泌撹乱性物質を完全に還
元分解又は脱塩素するために必要な化学理論量の1〜2
倍であることが好ましい。還元分解は常温常圧下で行う
ことができるが、加温することにより還元分解反応を迅
速に進めることができる。
【0010】紫外線照射による光分解は、低圧水銀ラン
プ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、キセノンラン
プ、重水素ランプ、メタルハライドランプなどを用いて
行うことができる。光分解により、カドミウムや鉛など
の無機物を除く内分泌撹乱性物質全般を酸化して除去す
ることができる。光分解に際しては、チタニア、ジルコ
ニアなどの紫外線を受けて分解活性を示す光触媒を用い
ることが好ましい。これらの中で、疎水性ゼオライトに
担持させたチタニア粒子を特に好適に用いることができ
る。紫外線照射による光分解を行う方法に特に制限はな
く、例えば、反応槽に内分泌撹乱性物質含有水を導入
し、触媒機能を有する疎水性多孔体を添加して撹拌しつ
つ紫外線を照射する方法などを挙げることができる。内
分泌撹乱性物質は、紫外線照射のみによっても分解する
ことができるが、酸化剤を併用することにより分解反応
を迅速に進めることができる。本発明の内分泌撹乱性物
質含有水の処理方法によれば、水中に含有される内分泌
撹乱性物質を疎水性多孔体に吸着させた状態で分解を行
うために、酸化剤、還元剤、紫外線などの無駄な消費が
抑えられ、水中に含有される低濃度の内分泌撹乱性物質
も効率よく分解除去することができる。触媒機能を有し
ない吸着剤を用いた場合には、再生廃液中に含まれる内
分泌撹乱性物質を別途処理する必要があるが、本発明方
法によれば、再生処理水中には内分泌撹乱性物質は含ま
れないので、別途に処理する必要がない。
【0011】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 実施例1 平均粒径1.5mm、主細孔径8Å、SiO2/Al23
15(モル比)の疎水性ゼオライト100mlを、内径3
0mm、長さ300mmのガラスカラムに充填し、ビスフェ
ノールA5mg/リットルを含有する水を、常温条件でS
V5h-1となるように、14日間連続通水処理し、処理
水中のビスフェノールA濃度を分析して経時変化を調べ
た。通水開始後5日目までは検出限界の0.1μg/リ
ットル以下であったが、7日後に1μg/リットル、1
0日後に3μg/リットル、14日後に7μg/リット
ルとなった。14日後に通水を停止し、過酸化水素水を
純水に添加して過酸化水素濃度7.0g/リットルとし
た水を、ビスフェノールAを吸着した疎水性ゼオライト
充填カラムに、80℃の温度条件で、SV2h-1の通液
速度で5h通液し、ビスフェノールAを分解した。再生
処理水中のビスフェノールAの濃度を測定したところ、
0.1μg/リットル以下であった。再度ビスフェノー
ルA5mg/リットルを含有する水を、常温条件でSV5
-1の流速で通水処理した。通水再開後5日目まで、処
理水中のビスフェノールAの濃度は0.1μg/リット
ル以下であった。 実施例2 実施例1と同じ疎水性ゼオライトを充填したガラスカラ
ム2本を作製し、ビスフェノールA5mg/リットルを含
有する水に、ガラスカラムの入り口部で過酸化水素濃度
40mg/リットルとなるように過酸化水素水溶液を連続
的に添加し、80℃の温度条件で、一方のカラムには通
水速度SV5h-1で、他方のカラムには通水速度SV1
0h-1で、それぞれ14日間連続通水処理した。14日
経過後の処理水中のビスフェノールA濃度は、SV5h
-1のカラムは0.1μg/リットル以下であり、SV1
0h-1のカラムは17.2μg/リットルであった。 実施例3 実施例2で用いた疎水性ゼオライトの代わりに、平均粒
径が1.5mmであり、主細孔径8Å、SiO2/Al23
=15(モル比)の疎水性ゼオライトをアルカリ条件下
でコバルトイオンと次亜塩素酸塩を反応させて得た、過
酸化コバルト3重量%を担持した疎水性ゼオライトをガ
ラスカラム2本にそれぞれ充填した以外は、実施例2と
同様にして、ビスフェノールA5mg/リットルを含有す
る水に過酸化水素を添加して、通水速度SV5h-1及び
SV10h-1で、14日間連続通水処理した。14日経
過後の処理水中のビスフェノールA濃度は、SV5h-1
のカラムは0.1μg/リットル以下であり、SV10
-1のカラムは5.0μg/リットルであった。 比較例1 実施例2で用いた疎水性ゼオライトの代わりに、平均粒
径1.5mm、主細孔径9Å、SiO2/Al23=2(モ
ル比)の親水性Y型ゼオライトをガラスカラムに充填し
た以外は、実施例2と同じ条件で、ビスフェノールA5
mg/リットルを含有する水に過酸化水素を添加して、1
4日間連続通水処理した。処理水中のビスフェノールA
濃度は、14日間の通水期間中200〜300μg/リ
ットルであった。実施例1〜3及び比較例1の結果を、
第1表に示す。
【0012】
【表1】
【0013】第1表に見られるように、ビスフェノール
Aを含有する水を、主細孔径が8Åの疎水性ゼオライト
と接触させることにより、水中のビスフェノールAは分
解除去され、特に、過酸化水素の添加、反応温度の上昇
及び通水速度の低下が、ビスフェノールAの分解に対し
て効果的に作用することが分かる。これに対して、ビス
フェノールAを含有する水を、親水性ゼオライトと接触
させた比較例1においては、ビスフェノールAの除去効
果は著しく低い。 実施例4 平均粒径が40〜50μm、主細孔径160Åの球状多
孔質シリカの表面をオクタデシル化処理したのち、過酸
化ニッケル0.8重量%担持させたものを、内径20mm
のガラスカラムに5ml充填し、ビスフェノールA0.0
8mg/リットルを含有する水に、ガラスカラム入口で次
亜塩素酸ナトリウム水溶液を次亜塩素酸ナトリウムの濃
度が20mg/リットルとなるように添加し、常温条件で
SV10h-1の流速で14日間連続通水処理した。処理
水中のビスフェノールAの濃度は、14日経過後も0.
1μg/リットル以下であった。 実施例5 平均粒径1.5mm、主細孔径8Å、SiO2/Al23
15(モル比)で、パラジウム5重量%を担持した疎水
性ゼオライト100mlを、内径30mm、長さ300mmの
ガラスカラムに充填し、2,4−ジクロロフェノール1
0mg/リットルを含有する水に、ガラスカラム入り口部
で水素ガスを150ml/h添加し、80℃の温度条件
で、SV5h-1の通水速度で14日間連続通水処理し
た。処理水中の2,4−ジクロロフェノール濃度は、1
4日経過後も0.1μg/リットル以下であった。 実施例6 実施例1で用いた主細孔径8Å、SiO2/Al23
15(モル比)の疎水性ゼオライトを乳鉢で粉砕し、2
00〜400メッシュ(粒径0.037〜0.074mm)
分を篩い分けたのち、ゾル−ゲル法で調製したアモルフ
ァス酸化チタン微粒子を含有する溶液中に含浸して担持
処理し、400℃で焼成することにより酸化チタン担持
疎水性ゼオライト粒子を調製した。16ワットの低圧水
銀灯を内蔵する内径150mmの反応容器に、ノニルフェ
ノール5mg/リットルを含有する水5リットルを入れ、
さらに上記の酸化チタン担持疎水性ゼオライト粒子0.
5gを添加し、撹拌しつつ紫外線照射処理を行った。3
時間後に紫外線照射と撹拌を停止し、懸濁している酸化
チタン担持疎水性ゼオライト粒子を分離した水中のノニ
ルフェノール濃度を測定したところ、0.1μg/リッ
トル以下であった。 比較例2 実施例1で用いた疎水性ゼオライトの代わりに、主細孔
径9Å、SiO2/Al23=2(モル比)の親水性Y
型ゼオライトを乳鉢で粉砕し、200〜400メッシュ
(粒径0.037〜0.074mm)分を篩い分けたのち、
ゾル−ゲル法で調製したアモルファス酸化チタン微粒子
を含有する溶液中に含浸して担持処理し、400℃で焼
成することにより酸化チタン担持親水性Y型ゼオライト
粒子を調製した。実施例6と同じ低圧水銀灯を内蔵する
反応容器に、ノニルフェノール5mg/リットルを含有す
る水5リットルを入れ、さらに上記の酸化チタン担持親
水性ゼオライト粒子0.5gを添加し、撹拌しつつ紫外
線照射処理を行った。3時間後に紫外線照射と撹拌を停
止し、懸濁している酸化チタン担持親水性ゼオライト粒
子を分離した水中のノニルフェノール濃度を測定したと
ころ、730μg/リットルであった。実施例6及び比
較例2の結果を、第2表に示す。
【0014】
【表2】
【0015】第2表に見られるように、酸化チタンを担
持した疎水性ゼオライトを用いた吸着と、紫外線照射に
よる分解を行った実施例6においては、水中のノニルフ
ェノールは完全に分解除去されている。これに対して、
酸化チタンを担持した親水性Y型ゼオライトを用いて同
様に処理した比較例2においては、ノニルフェノールの
除去率は約85%にとどまっている。
【0016】
【発明の効果】本発明の内分泌撹乱性物質含有水の処理
方法によれば、水中に微量に含まれる内分泌撹乱性物質
を疎水性多孔体に吸着させ、さらに疎水性多孔体が有す
る触媒機能を利用して、内分泌撹乱性物質を化学的に分
解するので、水中の内分泌撹乱性物質を効率的に除去す
ることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/70 C02F 1/70 Z (72)発明者 松渓 直樹 東京都新宿区西新宿三丁目4番7号 栗田 工業株式会社内 (72)発明者 森 幸治 東京都新宿区西新宿三丁目4番7号 栗田 工業株式会社内 Fターム(参考) 4D024 AA01 AA04 AA05 AA10 AB04 AB11 BA02 BA05 BA07 BA17 BA18 BB07 BB08 BC02 DB10 DB22 DB23 DB24 4D037 AA01 AA05 AA11 AB11 AB14 AB16 AB18 BA18 CA01 CA09 CA11 CA12 4D038 AA01 AA08 AA10 AB07 AB10 AB11 AB14 BA02 BB06 BB07 BB15 BB16 4D050 AA01 AA12 AB11 AB15 AB16 AB19 BA08 BA09 BA12 BA14 BB01 BB02 BB05 BB06 BB09 BB13 BC04 BC05 BC06 BC09 BD02 CA06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内分泌撹乱性物質を含有する水を触媒機能
    を有する疎水性多孔体と接触させ、内分泌撹乱性物質を
    該多孔体に吸着させるとともに、内分泌撹乱性物質を化
    学的に分解することを特徴とする内分泌撹乱性物質含有
    水の処理方法。
  2. 【請求項2】触媒機能を有する疎水性多孔体の主細孔径
    が、8Å以上である請求項1記載の内分泌撹乱性物質含
    有水の処理方法。
  3. 【請求項3】触媒機能を有する疎水性多孔体が、Si/
    Alモル比が5以上のゼオライトである請求項1又は請
    求項2記載の内分泌撹乱性物質含有水の処理方法。
  4. 【請求項4】化学的分解を、酸化剤の添加、還元剤の添
    加、紫外線の照射又は酸化剤の添加と紫外線の照射のい
    ずれかにより行う請求項1記載の内分泌撹乱性物質含有
    水の処理方法。
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