JP2000253680A - 超音波モータの駆動方法 - Google Patents

超音波モータの駆動方法

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JP2000253680A
JP2000253680A JP11051511A JP5151199A JP2000253680A JP 2000253680 A JP2000253680 A JP 2000253680A JP 11051511 A JP11051511 A JP 11051511A JP 5151199 A JP5151199 A JP 5151199A JP 2000253680 A JP2000253680 A JP 2000253680A
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frequency
phase
signal
stator
input
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English (en)
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Kosei Wada
好世 和田
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Star Micronics Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な回転角度位置制御を行うことができる
超音波モータの駆動方法を提供する。 【解決手段】 ステータ5及びロータ6に印加される駆
動信号間に周波数差Δfを与えると、振動波の噛合位置
が変化してロータ6が回転するが、これらの間の位相差
θを周波数差可変とは別に可変してロータ6の位置を調
整する。位相差θは外部入力機器17’によって調整す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波モータの駆
動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の超音波モータは、固定子と移動子
とを圧接状態で対向させ、固定子側に複数の圧電振動子
を所定間隔離隔させて貼着し、当該振動子に90度位相
差を有する駆動信号を供給して、移動子を移動させる。
移動子の形状が円環状である場合、超音波モータは移動
子をロータとする回転運動型の超音波モータとして機能
し、移動子の形状が板状である場合、超音波モータは移
動子をスライダとする直線運動型の超音波モータとして
機能する。
【0003】いずれの場合の超音波モータにおいても、
上記位相差を有する駆動信号の圧電振動子への印加によ
って固定子表面に進行波を発生させて移動子を移動させ
る。すなわち、固定子表面に進行波が発生すると、固定
子表面上の微小領域各点は、進行波の進行方向及び固定
子の厚み方向で規定される平面内で楕円運動を行う。固
定子と移動子とは圧接状態にあるため、固定子表面上の
微小領域各点が例えば左回りの楕円運動を行うと、移動
子はその表面と固定子表面との間の摩擦力によって右方
向に移動する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の超音波モータにおいては、固定子表面上の微小領域
各点が楕円運動を行うことによって、当該各点と移動子
の対向微小領域各点との間に摩擦が生じ、その摩擦力に
よって移動子を移動させるため、駆動力が小さく、ま
た、楕円運動時の対向微小領域各点間のすべり状態変化
によって摩擦力が変化するため、移動子の正確な移動制
御を行うことができない。本発明は、このような課題に
鑑みてなされたものであり、従来に比して駆動力が大き
く、良好な回転角度位置制御を行うことが可能な超音波
モータの駆動方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
め、本発明に係る超音波モータの駆動方法は、それぞれ
の表面に振動波が形成される駆動信号を圧接状態で対向
配置された固定子及び移動子のそれぞれに印加し、前記
駆動信号間の周波数差に応じて前記振動波の噛合位置を
変化させて前記移動子を移動させる超音波モータの駆動
方法において、前記駆動信号の一方の周波数を他方に対
して可変する工程と、前記工程とは独立して前記駆動信
号間の位相差を可変する工程とを備えることを特徴とす
る。
【0006】本発明の駆動方法によれば、駆動信号の周
波数差に応じて振動波の噛合位置を変化させて移動子を
移動させる。ここで説明される振動波は、固定子及び移
動子の対向表面の物理的変形によって構成される物理的
変位の波であり、90度位相差を有する上記従来の駆動
信号をそれぞれの振動子に印加する場合には、振動波は
進行波を構成する。この振動波の噛合による駆動方法
は、従来の微小領域各点間の摩擦力による駆動方法と異
なり、従来に比して駆動力が大きく、また、移動制御精
度を向上させることができる。
【0007】この駆動方法においては、駆動信号の一方
の周波数を他方に対して可変することにより、振動波の
噛合位置変化を促して移動子を移動させるが、この工程
とは独立して駆動信号間の位相差を可変する工程を備え
ている。駆動信号間の位相差を可変すると、振動波の噛
合位置が変化して周波数可変による移動子の移動とは別
に移動子を移動させることができるため、例えば超音波
モータ初期状態における回転位置設定等にこれを用いる
ことができ、更に良好な回転角度位置制御を行うことが
できる。
【0008】このような駆動信号の一方は、発振回路か
ら出力された所定周波数の入力信号から生成されること
が望ましく、上記位相差の可変工程は、上記入力信号を
分周する工程と、この分周された信号の位相をシフトさ
せる工程と、この位相のシフトした信号を逓倍する工程
とを備えることが好ましい。
【0009】分周によって入力信号の繰り返し周波数を
低下させると、信号の位相シフト量を分周前の高周波信
号に比較して大きくすることができるので、周波数を低
下させて位相をシフトさせた後、再びこれを逓倍するこ
とによって繰り返し周波数を増加させると、元の入力信
号からみた位相シフト量を大幅に増加させることができ
る。
【0010】上記位相のシフト工程は、上記分周された
信号を、位相検出器、積分器、電圧制御発振器を順次接
続し、電圧制御発振器の出力を分周器を介して位相検出
器に帰還してなる位相同期ループに入力し、電圧制御発
振器に入力される電圧レベルを外部から可変することに
よって行われることが好ましい。電圧制御発振器は入力
される電圧レベルに応じて出力信号の周波数が変化する
が、この出力信号は分周器を介することによって周波数
が低下し、上記分周された信号と共に位相検出器に入力
される。
【0011】位相検出器の出力は積分器によって平滑化
され、電圧制御発振器に入力され、これらから構成され
る位相同期ループは所望の位相となるようにロックす
る。電圧制御発振器に入力される電圧レベルを外部から
可変すると、その出力周波数が変動し、位相同期ループ
のロックレンジ内で位相がずれ、電圧制御発振器の出力
周波数が変化し、これを分周器で分周すれば位相がシフ
トする。
【0012】なお、上記分周器は、位相検出器に入力さ
れる2つの信号の繰り返し周波数が同一となるように電
圧制御発振器の出力信号を分周することが好ましい。電
圧制御発振器に入力される電圧レベルは、位相同期ルー
プに入力される上記分周された信号の繰り返し周波数に
応じて僅かに変動し、結果的には電圧制御発振器の出力
周波数は位相同期ループがロックしている場合において
も、上記繰り返し周波数の一周期内では変動している。
【0013】上記分周器が、位相検出器に入力される2
つの信号の繰り返し周波数が同一となるように電圧制御
発振器の出力信号を分周すると、電圧制御発振器の出力
周波数は一周期毎に分周されるので、周期内での小さな
周波数変動は分周器の出力周波数に影響を与えず、安定
した位相シフトを行うことができる。これにより、ジッ
ターが少なく、移動子が滑らかに移動する超音波モータ
を提供することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、実施の形態に係る超音波モ
ータ及びその駆動方法について説明する。同一要素又は
同一機能を有する要素には同一符号を用いるものとし、
重複する説明は省略する。
【0015】図1は、本実施の形態に係る超音波モータ
を示す構成図である。この超音波モータは、機械的駆動
機構からなる超音波モータ本体1及び超音波モータ本体
1の駆動制御を行う電気制御部2から構成される。
【0016】まず、機械的駆動機構からなる超音波モー
タ本体1について説明する。
【0017】超音波モータ本体1は、固定用ベース3中
央部を貫通する回転軸4に互いに対向して設けられた外
縁円形のステータ5及びロータ6を備えている。ロータ
6は、ステータ5及びロータ6それぞれの対向接触面円
周方向に起振した変位波が噛合した状態で、一方の変位
波の位相を他方から変位させることにより回転する。
【0018】ここで説明される変位波は、ステータ5及
びロータ6の対向表面の物理的変形によって構成される
物理的変位の波であり、90度位相差を有する従来の駆
動信号をそれぞれの振動子に印加する場合には、変位波
は進行波を構成する。
【0019】詳説すれば、変位波は、ステータ5及びロ
ータ6双方の対向表面上に形成された超音波による噛面
であり、これらを圧接させることによって当該超音波噛
面が噛合すると、ステータ5及びロータ6変位波間の相
対的移動が規制される。このようにステータ5及びロー
タ6双方の対向表面に変位波が発生し、変位波間の相対
的移動が規制された状態で、超音波噛面としての一方の
変位波を他方に対して移動させると、ロータ6はステー
タ5に対して相対的に回転し、固定子5及び移動子6を
ステータ及びスライダとする場合には、スライダは直線
運動を行う。本願発明者は、このような変位波を噛合さ
せて移動子を移動させる駆動方法を「変位ロックドライ
ブ」として提唱する。なお、変位波としては種々のもの
が考えられるが、以下の説明においては、変位波は進行
波であるものとする。
【0020】固定用べース3は、超音波モータが適用さ
れるカメラ等の本体機器の固定側に当該超音波モータを
固定するためのものである。固定用べース3の中央部に
は、これを上下方向に貫く貫通孔3hが形成されてい
る。
【0021】ステータ5は、セラミック圧電素子からな
る円環状の振動子5vと、振動子5vが裏面外周部に貼
着された金属からなる円環状の弾性体5eとを備えてい
る。弾性体5eの内周部5iは例えばネジ留め等により
固定用ベース3に固定され、外周部5oと内周部5iと
の間の円環状の中間部5mは肉薄であり、この中間部5
mが外周部の振動を容易にさせるとともに、内周部5i
と外周部5oとの間の振動伝達を抑制している。ステー
タ5の中央部にも、これを上下方向に貫く貫通孔5hが
形成されている。
【0022】ロータ6は、ステータ5と同一構造を有
し、セラミック圧電素子からなる円環状の振動子6v
と、振動子6vが上面外周部に貼着された金属からなる
円環状の弾性体6eとを備えている。弾性体6eの内周
部6iは回転軸4に固定され、弾性体6eは外周部6o
と内周部6iとの間に円環状の肉薄中間部6mを備え
る。
【0023】回転軸4は、固定用ベース3及びステータ
5の貫通孔3h及び5h内を貫挿している。回転軸4
は、固定用べース3の貫通孔3hに嵌合固定された軸受
7に回転自在に支持されている。回転軸4の上記軸受7
による支承位置より上方には、回転軸4より大径のボス
8が設けられている。ロータ側弾性体6eの内周部6i
は、ボス8とステータ側弾性体5eとの間に位置し、ボ
ス8に圧入固定されている。なお、回転軸4の下部に
は、例えばCリング等のスナップリング9が取り付けら
れており、このスナップリング9と上記軸受7との間
に、スペーサ10を介して圧縮バネ11が介挿されてい
る。この圧縮バネ11によって、回転軸4及びボス8は
常時下方に付勢されている。
【0024】ステータ側弾性体5eは、外周部5o上面
に幅狭円環状の凸部5pを有し、ロータ側弾性体6e
は、外周部6o裏面に幅狭円環状の凸部6pを有する。
弾性体5e、6eを全面接触させると、励振側の振動が
相手側に大部分伝わって変位波の変位量が減衰してしま
うが、弾性体5e,6eは凸部5p,6pを有してお
り、接触表面が狭小となることから、弾性体5e,6e
に変位波を保持することができる。
【0025】ロータ側凸部6pとステータ側凸部5pと
の間には、例えば樹脂等より成る環状の緩衝摩擦部材1
2が介在し、緩衝摩擦部材12はこれらと圧接状態にあ
る。すなわち、ロータ側凸部6pは、圧縮バネ11の弾
性力よって緩衝摩擦部材12を介してステータ側凸部5
pを押圧している。
【0026】緩衝摩擦部材12は、上記凸部5p又は凸
部6pに生ずる変位波を相手側に伝達しにくくする動作
をする一種の振動のローパスフィルタの作用をさせてい
ることから、ステータ側弾性体5e側の変位波とロータ
側弾性体6e側の変位波の相互干渉を防止して正常な変
位波を両者に発生させる。すなわち、振動子を例えば5
0kHzで振動させて変位波を両者に発生させている場
合、この50kHzの振動は相手側には伝達されにく
く、変位波の回転の周波数である例えば100Hzの振
動は相手側に伝達される。さらに、緩衝摩擦部材12
は、金属同士(凸部5p,6p)の直接接触を回避して
異音の発生を防止し、さらに圧接部の耐久性を向上させ
る。なお、緩衝摩擦部材12は、凸部5p,6pの何れ
にも固定されずに、凸部5p,6p間に介在している構
成でも、一方に固定している構成でも良い。
【0027】回転軸4のさらに上部には、互いの導通を
遮断した3個のリング13a,13b,13cから成る
スリップリング13が固定されている。これらのリング
13a,13b,13cに対しては、固定用ベース1の
上部に設けられたロータ用の通電ブラシ15a,15
b,15cが、それぞれ接触するように配置されてい
る。
【0028】通電ブラシ15a,15bは、それぞれロ
ータ用駆動信号の第1成分供給用のブラシ、ロータ用駆
動信号の第2成分供給用のブラシであり、通電ブラシ1
3cは、グランド用のブラシである。ここで、第1成分
及び第2成分は、90°位相差を有し、正弦波であるこ
とが好ましいが、これらは方形波であってもよい。
【0029】ステータ側振動子5vに電気制御部2から
2つの互いに関連した成分を有するステータ用駆動信号
を印加し、ステータ側弾性体5eにその円周方向に沿っ
て変位波を発生させる。なお、ステータ用駆動信号の上
記2つの成分は、90°位相差を有し、正弦波であるこ
とが好ましいが、これらは方形波であってもよい。
【0030】このようにして発生した変位波は、あたか
も円環上を変位波が回転しているような形態なので、以
降これを「回転変位波」として説明する。すなわち、ス
テータ側振動子5vに電気制御部2から上記2相のステ
ータ用駆動信号を印加すると、ステータ側弾性体5eに
その円周方向に沿って進行する回転変位波が発生する。
また、別の駆動信号を印加すると、ステータ側弾性体5
eに定在波等が発生する。
【0031】一方、ロータ側振動子6vに電気制御部2
からスリップリング13を介して2つの互いに関連した
成分を有するロータ用駆動信号を印加し、ロータ側弾性
体6eにその円周方向に沿って進行する変位波を発生さ
せる。すなわち、ロータ側振動子6vに電気制御部2か
らスリップリング13を介して上記2相の駆動信号を印
加すると、ロータ側弾性体6eにその円周方向に沿って
進行する回転変位波が発生する。また、別の駆動信号を
印加すると、ロータ側弾性体6eに定在波等が発生す
る。
【0032】本実施の形態に係る超音波モータにおいて
は、ステータ側弾性体5e及びロータ側弾性体6eの変
位波としての回転変位波が噛合した状態で、一方の変位
波の位相を他方からシフトすることで、ロータ側弾性体
6e及び回転軸4の噛合回転位置がシフトし、シフト量
の連続が回転となる。したがって、シフト量の連続性が
無くなれば、変位波噛合は行われつつも、ロータ6は回
転しない。以下、詳説する。
【0033】図2は、前述した圧電振動子5v又は6v
の一方面側の平面図である。振動子5v,6vは、円環
状の圧電セラミック板CMと、圧電セラミック板CMの
一方面上に形成されたそれぞれ4個の第1電極部S1〜
S4及び第2電極部C1〜C4とを備えている。第1電
極部S1〜S4及び第2電極部C1〜C4は、振動子が
周方向全体で5波長(5λ)の定在波を発生し得るよう
に機械角36゜で等配されている。第1電極部S1〜S
4、第2電極部C1〜C4は、各々隣り合う領域で厚み
方向の分極方向が互いに逆向き(図示+−参照)となる
ように予め分極処理が施されている。なお、各電極S1
〜S4及びC1〜C4は、円環圧電セラミック板CMの
内縁及び外縁との間に隙間を空けることなく設けられて
いる。
【0034】図3は、振動子5v又は6vの他方面側の
平面図である。円環状の圧電セラミック板CMの他方面
上には、圧電セラミック板CMの一方面上の第1電極部
S1〜S4の形成領域全体に対向する第1側電極部SS
と、第2電極部C1〜C4の形成領域全体に対向する第
2側電極部CCとが設けられている。第1側電極部SS
と第2側電極部CCとの間には、機械角で18゜、電気
角で90゜をなして互いに対向するフィードバック用電
極部FB,FB’が設けられている。
【0035】図1を再び参照すると、ステータ側振動子
5vの上記一方面は、その全面が金属弾性体5eの上面
側に接着剤又は導電性接着剤で接着されている。一般に
は非導電性接着剤を用いても、接着剤厚が薄いため機械
加工面の荒小部分が接触し、電気的には導通する。金属
弾性体5eは、固定用ベース3に電気的に接続されてお
り、ステータ側振動子5vの一方面に形成された電極S
1〜S4,FB,C1〜C4は、グランドに接続されて
いる。一方、ステータ側振動子5vの第1側電極部SS
及び第2側電極部CCは駆動回路16に接続されてい
る。
【0036】駆動回路16は、グランドとステータ側振
動子5vの第1側電極部SSとの間にステータ用駆動信
号の第1成分である正弦波電圧信号(sin波)を印加
し、グランドと第2側電極部CCとの間にこれと90°
の位相差を有する第2成分である正弦波電圧信号(co
s波)を印加し、ステータ側振動子5v及びこれに貼着
された弾性体5eの円周方向に変位波を発生し、回転変
位波を形成する。駆動回路16には、振動子5vの変位
量に応じてフィードバック用電極部FB,FB’間に発
生した変位検出信号としての圧電電圧信号が入力され、
入力された変位検出信号に基づいてステータ側振動子5
vに供給される正弦波電圧信号の周波数及び位相を一定
に維持する。
【0037】ロータ側振動子6vの上記一方面は、その
全面が金属弾性体6eの上面側に接着剤又は導電性の接
着剤を用いて接着されている。金属弾性体6eは、これ
に電気的に順次接続された内部配線14c、リング13
c、通電ブラシ15cを介して固定用ベース3に電気的
に接続されており、ロータ側振動子6vの一方面に形成
された電極S1〜S4、FB、C1〜C4は、グランド
に接続されている。
【0038】一方、ロータ側振動子6vの第1側電極部
SSは、これに電気的に順次接続された内部配線14
a、リング13a、通電ブラシ15aを介して駆動回路
16に接続されている。ロータ側振動子6vの第2側電
極部CCは、これに電気的に順次接続された内部配線1
4b、リング13b、通電ブラシ15bを介して駆動回
路16に接続されている。
【0039】駆動回路16は、グランドとロータ側振動
子6vの第1側電極部SSとの間にロータ用駆動信号の
第1成分としての正弦波電圧信号(sin波)を印加
し、グランドと第2側電極部CCとの間にこれと90°
の位相差を有するロータ用駆動信号の第2成分としての
正弦波電圧信号(cos波)を印加し、ロータ側振動子
6v及びこれに貼着された弾性体6e円周方向に変位波
を発生し、回転変位波を形成する。なお、本形態では、
ステータ側振動子5vからのフィードバック変位検出信
号を用いて、ステータ側振動子5vへ供給される駆動信
号の周波数をステータ5が適性な変位波を起振しうるよ
うに自動制御している。なお、説明において、パルス或
いは矩形波の周波数は、その繰り返し周波数を意味する
ものとする。
【0040】図4は、駆動信号と振動子の変位の関係を
説明するためのグラフである。なお、振動子厚み方向の
物理的変位Vは駆動信号の電圧Vに比例するものとし、
グラフ中の直交座標系を示す3軸は、それぞれ時間
(t)、振動子の周方向長(L)、及び変位又は電圧V
を示す。ステータ又はロータ側振動子5v,6vにおい
て、近接する電極S1(SS)及びC1(CC)には、
それぞれVs=V0sinωt、Vc=V0cosωtの
駆動電圧が与えられる。なお、V0は駆動信号の電圧振
幅、ωは角周波数、Tは周期を示す。それぞれの電極位
置における変位は、その中心において表わされるものと
すると、図示の如く、2相の駆動信号Vs,Vcの印加
によって、物理的変位の極小値を与える点Pは、時間の
経過に伴って−L方向に進行し、駆動信号の印加によっ
て進行波としての回転変位波が形成され、駆動信号の電
気的位相と進行波の物理的位相(位相:共にθとする)
は比例して変化することが分かる。
【0041】詳説すれば、本例では、振動子の全周方向
長が個別の電極(例えばS1)の周方向長(λ/2)の
偶数倍(10倍)となるように設定されており、個別電
極(S1)への単相電圧Vsの印加によって5波長(5
λ)の定在波が発生し、個別電極(C1)への単相電圧
Vcの印加によって上記位相差(λ/4又は−3λ/
4)を有する5波長(5λ)の定在波が発生するように
設定されており、ステータ及びロータ側振動子5v,6
vのそれぞれの上記駆動信号を同時に供給すると、ステ
ータ及びロータ側弾性体5e,6eのそれぞれの表面に
合成波による回転変位波が形成される。
【0042】変位ロックドライブを行うためには、ステ
ータ5及びロータ6の円周方向に進む変位波の進行方向
を回転軸4から見て同一方向となるように整える。この
ためには、ステータ5又はロータ6の一方の電極SS、
CCに入力される駆動電源の極性を互いに逆にするか、
又は片方の入力位相を180°反転すればよい。
【0043】図5は、このような変位波が噛合している
際のステータ/ロータ接触部分を円周方向に沿って切っ
た断面図であり、ステータ用駆動信号(Vsとする)の
位相がロータ用駆動信号(Vsとする)よりもθだけ異
なる場合に、θに相当する分だけロータが回転するよう
すを示す。上述のように、駆動信号Vsの電気的位相と
進行波の物理的位相は比例して変化する。
【0044】図5(a)に示すように、駆動回路16か
らステータ側振動子5vに供給される2つの互いに関連
した駆動信号としての2相のステータ用駆動信号の周波
数がf、ロータ側振動子6vに供給する2つの互いに関
連したロータ用駆動信号としての2相の駆動信号の周波
数が同様にfとなるように、制御回路17が駆動回路1
6を制御すると(すなわち、Δf=0(相対的位相変化
=0))、ステータ側弾性体5eの凸部5pに生じる回
転変位波Aとロータ側弾性体6eの凸部6pに生じる回
転変位波Bが、同相で回転変位し、恰も歯車が噛み合っ
た如く合致してロック作用し、変位を生じる位置も円周
方向に進んで常に位置が変わっているが、A,Bは同期
しているため回転軸4は回転せず、ロータ6は静止状態
となる。
【0045】図5(b)に示すように、駆動回路16か
らステータ側振動子5vに供給される2つの互いに関連
した駆動信号としての2相のステータ用駆動信号の周波
数をf、ロータ側振動子6vに供給されるロータ用駆動
信号の周波数を(f+Δf)とするように制御回路17
が駆動回路16を制御すると、微小周波数差Δfは位相
差θの連続的な変化と同等であるため、噛み合っていた
回転変位波A,Bのうちの、回転変位波Aが回転変位波
Bに対して、連続変化するθに相当する分だけ相対的に
進む関係が生じる。
【0046】図5(c)に示すように、ステータ5及び
ロータ6は、噛み合い状態を保持するよう加圧力がステ
ータ5及びロータ6間に加えられており、噛み合いを保
持するため、この時、ステータ5不動の状態で回転変位
波A,Bが噛み合い、双方の相対位置関係がロックする
ように、位相の変化分だけロータ6の回転軸が回転す
る。また、駆動信号間に特定の位相差θを与えると、ロ
ータ6がθに相当する分だけ回転した後、停止する。
【0047】本実施の形態に係わる変位ロックドライブ
型の超音波モータにおいては、変位波の進行方向を一方
向に固定しても、変位波A,B相互の位相関係によって
回転方向が定まる。回転方向は変位波の進行方向と位相
差の関係から定まり、変位波の進行方向のみで決定され
るものではない。この点が、従来の進行波型の超音波モ
ータとは大きく異なる。
【0048】なお、ロータ6に(f+Δf)を印加した
時の回転軸4の回転方向は、回転変位波の回転方向と同
方向となり、(f−Δf)を印加した時は回転変位波の
回転方向と逆方向となる。すなわち、駆動回路16から
ステータ側振動子5vに供給される2相のステータ用駆
動信号の周波数をf、ロータ側振動子6vに供給される
ロータ用駆動信号の周波数を(f−Δf)とするように
制御回路17が駆動回路16を制御すると、噛み合って
いた回転変位波A,Bのうちの、回転変位波Aが回転変
位波Bに対して相対的に遅れる位置関係となるため、ス
テータ5は不動の状態で進行波A,Bの噛み合い、双方
の相対位置関係がロックする。この場合、噛み合い状態
を保持するため、ロータ6は位相の遅れに対応し、(f
+Δf)とは逆の方向に回転し、ロータ6は逆転する。
【0049】更に、上記周波数の可変量±Δfを増減さ
せると、ロータ6の回転速度が増減する。±Δf値によ
る回転速度(rpm)は、60×Δf/波数で定まるシ
ンクロナス回転速度を示し、例えば図2の5波タイプで
は、Δfが1Hzの時、60×1/5=12rpmとな
る。
【0050】次に、上記実施の形態に係る電気制御部2
について更に詳しく説明する。
【0051】図6は、ステータ5及びロータ6に接続さ
れた駆動回路16及び駆動回路16を制御する制御回路
17からなる電気制御部2のシステム構成図である。
【0052】駆動回路16は、第1周波数fの第1駆動
電圧信号(Vs,Vc)をステータ側振動子5vに印加
して上記変位波Aをステータ側弾性体5eの対向表面上
に発生させ、第2周波数f+△f又はf−△fの第2駆
動電圧信号(Vs,Vc)をロータ側振動子6vに印加
して上記変位波Bをロータ側弾性体6eの対向表面上に
発生させる。
【0053】駆動回路16は、第1周波数fの信号を生
成する発振器部16Aと、発振器部16Aから出力された
第1周波数fの信号をステータ側振動子5vに印加して
ステータ5を振動させるステータ側駆動信号生成部16
Bと、ステータ側振動子5vで発生したフィードバック
変位検出信号と印加される第1周波数fの駆動信号との
間の位相差を検出する位相差検出部16Cとを備えてい
る。
【0054】また、駆動回路16は、制御回路17から
ロータ回転速度指示情報が入力され、入力された情報に
応じて第1周波数fから第2周波数f+△f又はf−△
fの信号を生成する周波数変換部16Dと、周波数変換
部16Dから出力された第2周波数f+△f又はf−△
fの信号をロータ側振動子6vに印加してロータ6を振
動させるロータ側駆動信号生成部16Eとを備えてい
る。なお、Δfは零とすることも可能である。
【0055】発振器部16Aは、周波数fの信号を出力
する電圧制御発振器(VCO)16A 1を有する。ここ
で、周波数fは発振器部16Aの出力周波数というより
は、むしろステータ5の円周方向の固有振動数であり、
ステータ5自身が最も共振する周波数である。発振器部
16Aから出力された周波数fの信号は駆動信号生成部
16Bに入力される。本実施の形態における分周器16
A2から出力された周波数fの信号は方形波信号である
が、この信号は基本波が周波数fであれば正弦波であっ
てもよい。
【0056】駆動信号生成部16Bは、入力される第1
成分の方形波電圧信号の高周波成分を除去し、これによ
って生成される正弦波電圧信号(sin波)を増幅して
ステータ側振動子5vの第1側電極部SSとグランド間
に印加する増幅器16B1と、第1駆動信号の第1成分の
位相を90°ずらして第2成分(cos波)を生成する
移相回路16B2と、移相回路16B2から出力された第2
成分の方形波電圧信号の高周波成分を除去し、これによ
って生成される正弦波電圧信号を増幅してステータ側振
動子5vの第2側電極部CCとグランド間に印加する増
幅器B3とからなる。これらの位相差を有する電圧信号を
振動子5vに印加すると、振動子5vは略その固有振動
数で振動し、振動子5vに一体的に貼着された弾性体5
eに上記変位波Aが発生する。この際、フィードバック
用電極部FB’とグランド間には、圧電効果に基づき変
位検出信号が発生する。この変位検出信号の周波数をf
θ’とする。フィードバック用電極部FB’から出力さ
れた変位検出信号は、位相差検出部16Cに入力され
る。
【0057】位相差検出部16Cは、正弦波の変位検出
信号を方形波に変換するリミッタ16C3と、リミッタ1
C3に縦続された位相差検出器(PD)16C1と、位相
差検出器16C1に縦続されたローパスフィルタ16C2
を有している。位相検出器16C1には振動子5vへの印
加電圧である周波数fの駆動信号の増幅前段の方形波信
号及び振動子5vからのフィードバック信号としての変
位検出信号である周波数fθ’の方形波信号が入力さ
れ、これらの位相差に応じた検出信号が出力される。こ
の検出信号は、ローパスフィルタ16C2によって平滑直
流化されるため、位相差検出部16Cはこれらの入力信
号の位相差に応じたコントロール信号を出力する。この
コントロール信号は、電圧制御発振器16A1に帰還され
る。なお、入力周波数f,fθ’に微小差がある場合に
は位相差が発生するので、コントロール信号は微小周波
数差にも応じて変化する。
【0058】電圧制御発振器16A1は、入力電圧に応じ
て出力周波数を可変する。電圧制御発振器16A1は、フ
ィードバック信号の周波数fθ’が、基準周波数である
駆動信号の周波数fに対して大きい場合、その出力信号
周波数foutを低下させて駆動信号の周波数fを低下さ
せ、これと逆の場合には出力信号周波数fを上昇させて
駆動信号の周波数fを上昇させる。なお、ここでは前者
の場合にローパスフィルタ16C2から出力されるコント
ロール信号のレベルが基準値よりも低くなり、後者の場
合に高くなるように設定されているとする。
【0059】このように、回路16A〜16Cは位相同期
ループ(PLL)を構成し、入力周波数f,fθ’が一
致するように出力周波数fを制御し、駆動信号の周波数
f及び位相をロックする。
【0060】周波数変換部16Dは、制御回路17から
ロータ回転速度指示情報が端子Sを介して入力され、入
力された情報に応じて第1周波数fから第2周波数f+
△f又はf−△fの信号を生成してロータ6を連続回転
させ、或いは外部入力機器17’から回転位置指示情報
が端子S’を介して入力され、入力された情報に応じて
第1周波数fの駆動信号の位相を特定量だけ可変し、位
相の可変量θだけロータ6を回転させて所望の位置で停
止させる。
【0061】なお、f±Δfの生成は、周波数変換部1
D内のf±Δf生成部で行われ、位相の可変は周波数
変換部16D内の位相変調器で行われるが、本例では、
位相変調器によって位相を可変している時にはf±Δf
生成部による周波数可変量Δfは零であるものとする。
なお、外部入力機器17’は制御回路17内に取り込む
こともできる。周波数変換部16Dとしては種々の構成
が考えられるが、以下、好適な構成について説明する。
【0062】図7は、周波数変換部16Dの一例を示す
ブロック図である。周波数変換部16Dは、入力される
周波数fの信号の位相を可変する位相変調器100と、
位相変調器100を介して出力される被位相変調信号か
らf±Δfを生成するf±Δf生成部200とからな
る。f±Δf生成部200は、PLLを用いた周波数シ
ンセサイザを用いて構成される。このような周波数シン
セサイザは従来から知られるものを適宜選択することが
できるので、以下では、位相変調器100について詳説
する。
【0063】外部入力機器17’から位相変調用の外部
入力、すなわち回転位置指示情報を端子S’を介して位
相変調器100に入力し、位相θを±180°可変すれ
ば、駆動信号の電気的位相と進行波の物理的位相は比例
して変化するため、ロータ6は振動波の1波長(λ)だ
け回転して停止する。これは上記f±Δf生成部による
連続した持続回転とは異なり、任意の位置角までロータ
6を回転移動させ、その角度位置でロータ6を静止させ
るものである。
【0064】しかしながら、1回転内には5波の回転変
位波が形成されていることから、駆動信号の位相θを±
180°変化させただけでは、回転変位波の周方向移動
量は角度換算で360°×(1/5)=72°しか変化
せず、ロータ6の回転角初期値の設定の際等には、更に
広角度の回転が望まれる(例えば360°)。すなわ
ち、ロータ6を1回転させるためには、回転角度θの拡
大が必要である。
【0065】図8は、図7の位相変調器100の詳細構
成を示すブロック図である。周波数fの入力信号103
をそのまま位相変調して、周波数fのまま出力すれば位
相変調量は360°未満しか得られない。360°以上
の位相変調量を得るためには、位相変調部101によっ
て、入力信号周波数fを一旦1/n倍に変換したのち変
換された低域周波数f/nを位相変調し、これに縦続し
た周波数変換部102によって再び元の周波数fに戻せ
ばよい。この場合、位相変調量は、周波数fの位相変調
量のn倍となる。以下、詳説する。
【0066】まず、位相変調部101について説明す
る。5λの波が発生する振動子によってロータ6を1回
転させるためには、入力される周波数fを1/5倍にし
た後、これを360°位相変調し、再び元の周波数fに
戻せば、周波数fで換算すると360°×5=1800
°の位相変化が行われることになる。すなわち、n=5
とすればよいが、電子回路で360°の位相変調をfの
まま行うことは困難なので、fで構成できる実用的な位
相変調量を定め、これを1800°で割ったものが実用
上のnとなる。本例ではn=32とした。これは位相変
調器100内の位相比較器をEXOR型のもので構成し
た時に、位相検出の範囲が狭く、VCOとの組み合わせ
時に位相変調量の直線性が高くなるからである。
【0067】周波数fの入力信号103は、分周器(1
/n周波数変換部:n=32)105に入力され、その
周波数が1/32に低下した後、位相同期ループ(PL
L)のEXOR型位相比較器110に入力される。EX
OR型位相比較器110には、デューティ比50%の矩
形波を入力する必要があるため、分周器105は、分周
器(2/n周波数変換部)106とフリップフロップ1
07を縦続して構成することとし、分周器105からは
周波数f/32、デューティ比50%の矩形波が被分周
信号109として出力される。なお、分周器106から
は周波数f/16の信号108が出力されている。
【0068】被分周信号109はPLLに入力される
が、PLLは位相比較器110、積分器(LPF)11
1、VCO117を縦続し、VCO117の出力を分周
器(1/n周波数変換部:n=32)119を介して位
相比較器110に帰還してなる。
【0069】分周器119は、上記被分周信号109と
同一周波数になるように、VCO出力118の周波数を
1/32に低下させ、比較信号123として被分周信号
109と共に位相比較器110に入力する。比較信号1
23もデューティ比50%の矩形波である必要があるた
め、分周器119は分周器(2/n周波数変換部:n=
32)120とフリップフロップ122とを縦続して構
成されることとし、分周器119からは結果的に周波数
f/32、デューティ比50%の矩形波が比較信号12
3として出力される。なお、分周器120からは周波数
f/16の信号121が出力されている。
【0070】EXOR型位相比較器110は、入力信号
109,123のうち一方のみがハイレベル(H)の場
合に、Hを検出信号110’として出力し、検出出力1
10’の幅はこれらの立ち上がり位相に関連して異なる
(図9(a)〜図9(c)参照)。
【0071】積分器111は、検出信号110’を積分
して積分出力116を出力する。その積分レベルは、位
相比較器110のパルス幅に対応して異なる。検出出力
110’がHの場合(位相比較器のオン期間)において
は積分レベルが上昇し、(ローレベル)Lの場合(位相
比較器のオフ期間)においては積分レベルが下降する
(図9(d)参照)。したがって、検出出力110’の
1周期毎に1山の三角波が積分出力116として形成さ
れる。
【0072】積分器111とVCO117との間には信
号混合加算器112が介在しており、積分出力116に
所望の直流レベル115を加算し、加算信号112’と
してVCO117に入力する(図9(e)参照)。直流
レベル115は、外部入力機器17’の指示によって可
変抵抗114を調整することによって可変することがで
きる。直流レベル115は位相シフト量に対応し、可変
抵抗114を調整することで、任意の位相シフト量を得
ることができる。
【0073】VCO117は、入力される加算信号11
2’の電圧に応じて、VCO出力信号118の周波数を
可変するものであるが、分周器105及び119の分周
比を同一としたことから、VCO出力信号118の周波
数は入力信号103の周波数fと等しく設定してある。
なお、VCO出力信号118の周波数は、位相比較器1
10に入力される信号119,123の周波数が等しく
なるように設定されていれば、入力信号103の周波数
fと等しく設定する必要はない。
【0074】図10は、VCO117に入力される加算
信号112’(図10(a))とVCO117から出力
される出力信号118(図10(b))との関係を説明
するためのタイミングチャートである。
【0075】加算信号112’の入力レベルが低い場合
にはVCO出力信号118の周波数は低く、入力レベル
が高い場合には周波数は高くなる。したがって、加算信
号112’の入力レベルX、Y、Zに対応して、出力信
号118の1サイクルの時間X’、Y’、Z’が異な
る。すなわち、期間X’は長く、期間Z’は短く、出力
信号118はジッターを有する。
【0076】なお、本例では、入力信号103は50k
Hz、nは32であるので、被分周信号109は1.5
625kHzである。超音波モータの駆動において、ス
テータ5に安定な入力信号を、ロータ6にジッターを有
する信号を印加すると、ジッターは上記±Δfの変動と
同様に機能し、Δfに併せてロータ6の回転速度が変調
され、上記周波数帯域を考慮するとロータ6が滑らかに
は回転しない。
【0077】しかしながら、VCO117の後段にある
分周器119によって、その周波数が1/n倍にされた
比較信号123は、ジッター変動の1サイクルを1単位
として分周を行っているので、ジッターを含有しなくな
る。
【0078】このようにジッターを含有しない位相変調
された比較信号123は、後段の周波数変換部102に
入力される。以下、周波数変換部102について詳説す
る。
【0079】周波数変換部102はPLLを用いて構成
され、PLLは位相比較器124、積分器部(LPF)
125、VCO126を縦続し、VCO126の出力を
分周器(1/n周波数変換部:n=32)127を介し
て位相比較器124に帰還してなり、入力信号123と
比較信号127の周波数が一致するように、出力信号1
04の周波数が調整される。すなわち、分周器の分周比
が1/nである場合には、出力信号104の周波数は入
力信号124の周波数f/nのn倍、すなわち、fとな
る。なお、位相比較器124は、エッジ識別タイプの位
相比較検出器である。
【0080】図11は、位相比較器124の動作を説明
するためのタイミングチャートである。位相比較器12
4から出力される検出信号124’は、そのパルス幅が
入力信号123と比較信号128の立ち上がり時間差に
対応する(図11(a)〜図11(c))。検出信号1
24’は、時間差の正負に対応して基準電圧に対して正
負に突出する検出パルスを有する。エッジ識別タイプの
位相比較器124においては、次のエッジ入力が印加さ
れるまでの期間は、出力は高インピーダンスのOFF期
間となる。
【0081】積分器部125は、チャージポンプ及び積
分器から構成されており、検出信号124’がこれらに
入力されると、積分信号125’が得られる。この積分
信号125’は、VCO126に入力される。積分信号
125’は、検出出力として次の検出パルスが入力され
るまでの期間、VCO126への入力信号を一定レベル
に保持する。したがって、位相変調部101によって、
入力信号123の位相が徐々にずらされた場合において
も、その出力信号104はこれにスムーズに追従する。
【0082】なお、分周器127の分周比を1/nでは
なく、1/mに設定すれば、出力信号104の周波数は
入力信号の周波数fとは異なる。分周器127の分周比
を1/nにするか1/mにするかは、これに後続する回
路系統によって設計を行う。
【0083】上記超音波モータを実際に製作した。入力
信号103の周波数fは50kHzとし、分周器のnは
すべて32とした。信号混合加算器112はオペアンプ
にてよって構成し、VCO出力信号118の周波数は、
入力信号103と同じ50kHzとなるように設定し
た。したがって、比較信号123の周波数は、1.56
25kHzを得た。なお、分周器127の分周比は32
であるので、出力信号104の出力周波数は入力信号1
03と同じ50kHzとなる。
【0084】外部入力S’を可変抵抗114によってコ
ントロールすると、50kHzの出力信号104は、約
2000°の位相変化を行い、この位相変化は可変抵抗
114の抵抗値変化に対して直線性が高かった。また、
VCO117から出力される50kHzの出力信号11
8は、約200nsのジッターを有するのに対し、最終
の出力信号104は約50nsのジッターしか有してお
らず、上記構成によれば、高性能の超音波モータ駆動を
行うことができる。
【0085】なお、本発明は、上述の実施の形態に限定
されるものではなく、種々の変形が可能である。例え
ば、移動子として、ロータの代わりに直線運動を行うス
ライダを用いることができる。
【0086】以上、説明したように、上記実施の形態に
係る超音波モータの駆動方法によれば、それぞれの表面
に振動波が形成される駆動信号を圧接状態で対向配置さ
れた固定子5及び移動子6のそれぞれに印加し、駆動信
号間の周波数差Δfに応じて振動波の噛合位置を変化さ
せて移動子6を移動させる超音波モータの駆動方法にお
いて、駆動信号の一方の周波数を他方に対して可変しf
±Δfを生成する工程と、前記工程とは独立して駆動信
号間の位相差θを可変する工程とを備える。駆動信号間
の位相差を可変すると、振動波の噛合位置が変化して周
波数可変による移動子6の移動とは別に移動子6を移動
させることができる。このため、外部入力機器17’と
してロータリエンコーダなどを用いれば、操作者の所望
する角度だけロータ6を回転させ、停止することが容易
にできる。
【0087】上記実施の形態に係る超音波モータの駆動
方法によれば、このような駆動信号の一方は、発振回路
16Aから出力された所定周波数fの入力信号から生成
されることが望ましく、上記位相差の可変工程は、上記
入力信号fを分周器105によって分周する工程と、こ
の分周された信号の位相をPLLを用いてシフトさせる
工程と、この位相のシフトした信号を周波数変換部10
2によって逓倍する工程とを備える。すなわち、分周に
よって入力信号の繰り返し周波数を低下させると、信号
の位相シフト量を分周前の高周波信号に比較して大きく
することができるので、周波数を低下させて位相をシフ
トさせた後、再びこれを逓倍することによって繰り返し
周波数を増加させると、元の入力信号からみた位相シフ
ト量を大幅に増加させることができる。
【0088】また、上記実施の形態に係る超音波モータ
の駆動方法によれば、上記位相のシフト工程は、上記分
周された信号を、位相検出器110、積分器111、電
圧制御発振器117を順次接続し、電圧制御発振器11
7の出力を分周器119を介して位相検出器110に帰
還してなる位相同期ループに入力し、電圧制御発振器1
17に入力される電圧レベルを外部から可変することに
よって行われる。位相検出器110の出力は、積分器1
11によって平滑化され、電圧制御発振器117に入力
され、これらから構成される位相同期ループは所望の位
相となるようにロックする。電圧制御発振器117に入
力される電圧レベルを外部17’から可変すると、その
出力周波数が変動し、位相同期ループのロックレンジ内
で位相がずれ、電圧制御発振器117の出力周波数が変
化し、これを分周器119で分周すれば位相がシフトす
る。
【0089】なお、上記実施の形態に係る超音波モータ
の駆動方法によれば、上記分周器119は、位相検出器
110に入力される2つの信号の繰り返し周波数が同一
となるように電圧制御発振器117の出力信号を分周す
る。電圧制御発振器117に入力される電圧レベルは、
位相同期ループに入力される上記分周された信号109
の繰り返し周波数に応じて僅かに変動し、結果的には電
圧制御発振器117の出力周波数は位相同期ループがロ
ックしている場合においても、上記繰り返し周波数の一
周期内では変動している。分周器119が、位相検出器
に入力される2つの信号の繰り返し周波数が同一となる
ように電圧制御発振器117の出力信号を分周すると、
電圧制御発振器117の出力周波数は一周期毎に分周さ
れるので、周期内での小さな周波数変動は分周器119
の出力周波数に影響を与えず、安定した位相シフトを行
うことができる。これにより、ジッターが少なく、移動
子6が滑らかに移動する超音波モータを提供することが
できる。
【0090】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の駆動方
法によれば、駆動信号の一方の周波数を他方に対して可
変する工程とは独立して駆動信号間の位相差を可変する
工程を備えるので、ジッターが少なく良好な回転角度位
置制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る超音波モータを示す構成図。
【図2】圧電振動子5v又は6vの一方面側の平面図。
【図3】圧電振動子5v又は6vの他方面側の平面図。
【図4】駆動信号と振動子の変位の関係を説明するため
のグラフ。
【図5】進行波が発生している際のステータ/ロータ接
触部分を円周方向に沿って切った断面図。
【図6】電気制御部2のシステム構成図。
【図7】周波数変換部16Dのブロック図。
【図8】位相変調器100のブロック図。
【図9】回路動作を説明するためのタイミングチャー
ト。
【図10】回路動作を説明するためのタイミングチャー
ト。
【図11】回路動作を説明するためのタイミングチャー
ト。
【符号の説明】
5…固定子、6…移動子。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5H680 AA00 AA01 BB03 BB13 BB16 BB20 BC01 CC02 CC06 CC07 DD01 DD02 DD15 DD23 DD35 DD53 DD66 DD74 DD87 DD92 EE03 EE10 EE21 EE24 FF04 FF08 FF21 FF24 FF25 FF27 FF30 FF33 FF36 FF38 GG20

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれの表面に振動波が形成される駆
    動信号を圧接状態で対向配置された固定子及び移動子の
    それぞれに印加し、前記駆動信号間の周波数差に応じて
    前記振動波の噛合位置を変化させて前記移動子を移動さ
    せる超音波モータの駆動方法において、前記駆動信号の
    一方の周波数を他方に対して可変する工程と、前記工程
    とは独立して前記駆動信号間の位相差を可変する工程と
    を備えることを特徴とする超音波モータの駆動方法。
  2. 【請求項2】 前記駆動信号の一方は、発振回路から出
    力された所定周波数の入力信号から生成されることを特
    徴とする請求項1に記載の超音波モータの駆動方法。
  3. 【請求項3】 前記位相差の可変工程は、前記入力信号
    を分周する工程と、この分周された信号の位相をシフト
    させる工程と、この位相のシフトした信号を逓倍する工
    程とを備える請求項2に記載の超音波モータの駆動方
    法。
  4. 【請求項4】 前記位相のシフト工程は、前記分周され
    た信号を、位相検出器、積分器、電圧制御発振器を順次
    接続し、前記電圧制御発振器の出力を分周器を介して前
    記位相検出器に帰還してなる位相同期ループに入力し、
    前記電圧制御発振器に入力される電圧レベルを外部から
    可変することによって行われることを特徴とする請求項
    3に記載の超音波モータの駆動方法。
  5. 【請求項5】 前記分周器は、前記位相検出器に入力さ
    れる2つの信号の繰り返し周波数が同一となるように前
    記電圧制御発振器の出力信号を分周することを特徴とす
    る請求項4に記載の超音波モータの駆動方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002369557A (ja) * 2001-06-01 2002-12-20 Canon Inc 振動型アクチュエータの制御装置
JP2004208314A (ja) * 2002-12-23 2004-07-22 Agilent Technol Inc フィードフォーワード型位相変調を用いて位相ロックループのトラッキング誤差を補正するためのシステム及び方法
JP2015192469A (ja) * 2014-03-27 2015-11-02 株式会社フコク 振動アクチュエータの制御装置および制御方法

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