JP2000251621A - 電子放出素子および該素子を用いた画像形成装置 - Google Patents

電子放出素子および該素子を用いた画像形成装置

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JP2000251621A
JP2000251621A JP4916599A JP4916599A JP2000251621A JP 2000251621 A JP2000251621 A JP 2000251621A JP 4916599 A JP4916599 A JP 4916599A JP 4916599 A JP4916599 A JP 4916599A JP 2000251621 A JP2000251621 A JP 2000251621A
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Takashi Furuse
剛史 古瀬
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 画像形成装置の電子ビーム源として好適な優
れた電子放出特性を有する電子放出素子を提供する。 【解決手段】 基体1上の素子電極2,3に電気的に接
続された導電性薄膜4を有する電子放出素子において、
この導電性薄膜4がPdを主成分とし、さらにAg,A
u,Ptのうち少なくとも1つおよび金属酸化物を含有
することを特徴とす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面伝導型電子放
出素子、該電子放出素子を用いた画像形成装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子放出素子としては大別し
て熱電子放出素子と冷陰極電子放出素の2種類が知られ
ている。冷陰極電子放出素子には電界放出型、金属/絶
縁層/金属型や、表面伝導型電子放出素子等がある。
【0003】表面伝導型電子放出素子は、基体上に形成
された小面積の薄膜に膜面に平行に電流を流すことによ
り、電子放出が生ずる現象を利用するものである。
【0004】本出願人は、例えば特開平10−6440
8号に開示されているように、電子放出素子の耐熱温度
および機械的な強度を高めることが好ましいことを報告
している。このような導電性薄膜の材料としては、Pd
等の白金族の金属またはその酸化物および微量の金属酸
化物(Bi酸化物等)の混合物が好ましく用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のような導電性薄
膜材料を用いることによって、電子放出素子の耐熱温度
は飛躍的に向上したが、添加する金属酸化物の種類・量
によっては導電性薄膜の抵抗値が上昇し、画像表示装置
作成に支障を来たしたり、導電性薄膜で電圧降下が発生
して電子放出素子の実駆動電圧が低下し、電子放出効率
が低下する場合があった。
【0006】本発明は、電子放出素子中の導電性薄膜の
耐熱温度を向上させつつ、さらに抵抗上昇を抑制するこ
とにより、電気的特性が優れた電子放出素子および該素
子を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、特性の良い
電子放出素子を簡便に製造するために必要な導電性薄膜
の物性について詳細に検討した結果、導電性薄膜にB
i,Cr,Zn,Fe,Co,Ni等の金属酸化物を添
加すると共に、貴金属すなわちPt,Au,Agのうち
少なくとも一種を添加することによって、導電性薄膜の
耐熱温度を向上させつつも、該薄膜の電気抵抗値の上昇
を効果的に抑制できることを見出した。
【0008】すなわち本発明の電子放出素子は、基体上
に対向する一対の素子電極と、該一対の素子電極に電気
的に接続された導電性薄膜を有する電子放出素子におい
て、該導電性薄膜が貴金属および金属酸化物を含有する
ことを特徴とする。
【0009】導電性薄膜の主成分は、Pdが好ましい。
導電性薄膜の成分構成としては、PdとPdよりも酸化
しにくいAu,Pt,Agとの合金または混合物を用い
るのが特に好ましく、Pdより化学的に不活性であるP
t,Auとの合金または混合物を用いるのが更に良い。
【0010】これら貴金属はその化学的不活性によって
導電性薄膜の焼成時にも酸化物となりにくく、導電性薄
膜の抵抗上昇を抑える効果を有する。
【0011】また金属酸化物としては、導電性薄膜の主
成分であるPdよりも還元しにくいものであれば特に制
約されないが、Bi,Cr,Zn,Fe,Co,Niの
酸化物が特に好ましい。これらの金属酸化物は絶縁性基
体と導電性薄膜の密着性を向上させたり、導電性薄膜の
機械的強度を向上させることで、素子の耐熱温度を向上
させる作用を持つ。
【0012】これら合金または混合物となる貴金属およ
び金属酸化物の含有量については、電子放出素子作成の
際に通電処理によって電子放出部が形成され、かつ耐熱
温度が400℃程度の導電性薄膜となる組成比であるな
らば特に制約されないが、Pdが50mol%以上、A
g,Au,Ptのうち少なくとも1つが45mol%以
下、金属酸化物が5〜15mol%からなることが好ま
しい。
【0013】また、本出願にかかる画像形成装置は、前
記のいずれかに記載の電子放出素子を具備することを特
徴とするものである。
【0014】前記構成による電子放出素子を具備するこ
とによって、素子を製造する際の安定化工程や画像形成
装置製造の際に、耐熱温度付近まで真空容器を加熱して
容器内の有機物質を排気することが可能となる。また、
導電性薄膜部分での電圧降下が抑えられるので、電子放
出部形成に必要な通電処理の際に電力を節減することが
でき、さらに工程時間を短縮することができる。さらに
画像出力時の駆動電力を抑えることが出来る。このよう
に良好な特性を備えた画像形成装置を製造することが可
能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明を適用し得る電子放出素子
の好ましい形態、即ち表面伝導型電子放出素子の基本的
構成を、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の表
面伝導型電子放出素子の構成を示す模式図であり、同図
中(a)は平面図、(b)は断面図である。また、1は
基体、2と3は素子電極、4は導電性薄膜、5は電子放
出部である。
【0016】基体1としては、石英ガラス、Na等の不
純物含有量を減少したガラス、青板ガラス、青板ガラス
にスパッタ法等により形成したSiO2 を積層したガラ
ス基体等及びアルミナ等のセラミックス及びSi基体等
を用いることができる。
【0017】対向する素子電極2、3の材料としては、
一般的な導体材料を用いることができる。これは例えば
Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,C
u,Pd等の金属或は合金およびPd,Ag,Au,R
uO2 ,Pd―Ag等の金属或は金属酸化物とガラス等
から構成される印刷導体、In23 −SnO2 等の透
明導電体およびポリシリコン等の半導体材料等より適宜
選択することができる。
【0018】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
薄膜4の形状等は、応用される形態等を考慮して設計さ
れる。素子電極間隔Lは、数千Åから数百μmの範囲と
することができ、素子電極間に印加する電圧等を考慮し
て好ましくは数μmから数十μmの範囲とすることがで
きる。素子電極長さWは、電極の抵抗値、電子放出特性
を考慮して、数μmから数百μmの範囲とすることがで
きる。素子電極2、3の膜厚dは、数百Åから数μmの
範囲とすることができる。尚、図1に示した構成だけで
なく、基体1上に、導電性薄膜4、対向する素子電極
2、3の順に積層した構成とすることもできる。
【0019】導電性薄膜4を構成する材料は前述の通り
である。その膜厚は、素子電極2、3へのステップカバ
レージ、素子電極2、3間の抵抗値及び後述するフォー
ミング条件等を考慮して適宜設定されるが、通常は数Å
から数千Åの範囲とすることが好ましく、より好ましく
は10Åから500Åの範囲とするのが良い。
【0020】電子放出部5は、導電性薄膜4の一部に形
成された高抵抗の亀裂により構成され、導電性薄膜4の
膜厚、膜質、材料及び後述する通電フォーミング等の手
法等に依存したものとなる。電子放出部5の内部には、
数Åから数百Åの範囲の粒径の導電性微粒子が存在する
場合もある。この導電性微粒子は、導電性薄膜4を構成
する材料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有する
ものとなる。電子放出部5及びその近傍の導電性薄膜4
には、炭素化合物を有することもできる。
【0021】上述の表面伝導型電子放出素子の製造方法
としては様々な方法があるが、その一例を図2に模式的
に示す。以下、図1及び図2を参照しながら製造方法の
一例について説明する。図2においても、図1に示した
部位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付
している。
【0022】1)基体1を洗剤、純水および有機溶剤等
を用いて十分に洗浄し、真空蒸着法、スパッタ法等によ
り素子電極材料を堆積後、例えばフォトリソグラフィー
技術を用いて基体1上に素子電極2、3を形成する(図
2(a))。
【0023】2)素子電極2、3を設けた基体1に、金
属化合物溶液を塗布して(図2(b))、金属化合物薄
膜を形成する(図2(c))。
【0024】金属化合物溶液には、前述の導電性薄膜4
の材料と同様な組成の金属化合物の溶液を用いることが
できる。この金属化合物薄膜を乾燥、焼成することによ
り、基体上に電子放出のための導電性薄膜4を形成す
る。乾燥工程は通常用いられる自然乾燥、送風乾燥、熱
乾燥等を用いればよい。焼成工程は通常用いられる加熱
手段を用いれば良い。乾燥工程と焼成工程とは必ずしも
区別された別工程として行う必要はなく、連続して同時
に行ってもかまわない。ここでは、金属化合物溶液の塗
布法を説明したが、導電性薄膜4の形成法はこれに限ら
れるものではなく、真空蒸着法、スパッタ法、化学的気
相堆積法、ディッピング法、スピンナー法等を用いるこ
ともできる。
【0025】3)つづいて、フォーミング工程を施す。
このフォーミング工程の方法の一例として通電処理によ
る方法を説明する。素子電極2、3間に不図示の電源を
用いて通電を行うと、導電性薄膜4の部位に、構造の変
化した電子放出部5が形成される(図2(d))。通電
フォーミングの電圧波形の例を図3に示す。
【0026】図3(a)におけるT1 及びT2 は電圧波
形のパルス幅とパルス間隔である。通常T1 は1μ秒〜
10m秒、T2 は10μ秒〜100m秒の範囲で設定さ
れる。三角波の波高値(通電フォーミング時のピーク電
圧)は、表面伝導型電子放出素子の形態に応じて適宜選
択される。このような条件の下、例えば数秒から数十分
間電圧を印加する。パルス波形は三角波に限定されるも
のではなく、矩形波など所望の波形を採用することがで
きる。
【0027】図3(b)におけるT1 及びT2 は、図3
(a)に示したのと同様とすることができる。三角波の
波高値(通電フォーミング時のピーク電圧)は、例えば
0.1Vステップ程度ずつ、増加させることができる。
【0028】通電フォーミング処理の終了は、パルス間
隔T2 中に導電性薄膜4に電圧を印加し、電流を測定し
て検知することができる。例えば0.1V程度の電圧印
加により流れる素子電流を測定し、抵抗値を求めて1M
Ω以上の抵抗を示した時、通電フォーミングを終了させ
る。
【0029】4)フォーミングを終えた素子には活性化
工程と呼ばれる処理を施す。活性化工程は、例えば、有
機物質のガスを含有する雰囲気下で、通電フォーミング
と同様に、パルスの印加を繰り返すことで行うことがで
きる。この雰囲気は例えば油拡散ポンプやロータリーポ
ンプなどを用いて真空容器内を排気した場合に雰囲気内
に残留する有機ガスを利用して形成することができる
他、イオンポンプなどにより一旦十分に排気した真空中
に適当な有機物質のガスを導入することによっても得ら
れる。
【0030】このときの好ましい有機物質のガス圧は、
前述の応用の形態、真空容器の形状や、有機物質の種類
などにより異なるため場合に応じ適宜設定される。この
処理により、雰囲気中に存在する有機物質から炭素化合
物が素子上に堆積し、素子電流If及び放出電流Ieが
著しく変化するようになる。活性化工程の終了判定は、
素子電流Ifと放出電流Ieを測定しながら適宜行う。
なお、パルス幅、パルス間隔、パルス波高値などは適宜
設定される。
【0031】5)このような工程を経て得られた電子放
出素子は、安定化工程を行うことが好ましい。この工程
は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。真空
容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイ
ルが素子の特性に影響を与えないように、オイルを使用
しないものを用いるのが好ましい。具体的には、ソープ
ションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を挙げる
ことが出来る。
【0032】前記活性化の工程で、排気装置として油拡
散ポンプやロータリーポンプを用い、これから発生する
オイル成分に由来する有機ガスを用いた場合には、この
成分の分圧を極力低く抑える必要がある。真空容器内の
有機成分の分圧は、上記炭素あるいは炭素化合物がほぼ
新たに堆積しない分圧で1.3×10-6Pa以下が好ま
しく、さらには1.3×10-8Pa以下が特に好まし
い。さらに真空容器内を排気するときには、真空容器全
体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子に吸着し
た有機物質分子を排気しやすくするのが好ましい。この
とき、できるだけ高温で長時間処理するのが望ましい
が、真空容器の大きさや形状、電子放出素子の構成など
の諸条件により適宜選ばれる条件により行う。真空容器
内の圧力は極力低くすることが必要で、1.3×10-5
Pa以下が好ましく、さらには1.3×10-6Pa以下
が特に好ましい。
【0033】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が十分除去
されていれば、圧力自体は多少上昇しても十分安定な特
性を維持することが出来る。このような真空雰囲気を採
用することにより、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆
積を抑制でき、結果として素子電流If,放出電流Ie
が、安定する。
【0034】上述した工程を経て得られた本発明の電子
放出素子の基本特性について、図4及び図5を参照しな
がら説明する。
【0035】図4は、真空処理装置の一例を示す模式図
である。この真空処理装置は測定評価装置としての機能
をも兼ね備えている。図4においても、図1に示した部
位と同じ部位には図1に付した符号と同一の符号を付し
ている。
【0036】図4において、55は真空容器であり、5
6は排気ポンプである。真空容器55内には電子放出素
子が配されている。また、51は電子放出素子に素子電
圧Vfを印加するための電源、50は素子電極2,3間
を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、54は
素子の電子放出部5より放出される放出電流Ieを捕捉
するためのアノード電極、53はアノード電極54に電
圧を印加するための高圧電源、52は電子放出部5より
放出される放出電流Ieを測定するための電流計であ
る。一例として、アノード電極54の電圧を1kV〜1
0kVの範囲とし、アノード電極54と電子放出素子と
の距離Hを2mm〜8mmの範囲として測定を行うこと
ができる。
【0037】真空容器55内には、不図示の真空計等の
真空雰囲気下での測定に必要な機器が設けられていて、
所望の真空雰囲気下での測定評価を行えるようになって
いる。
【0038】排気ポンプ56は、ターボポンプ、ロータ
リーポンプ等からなる通常の高真空装置系と、イオンポ
ンプ等からなる超高真空装置系とにより構成されてい
る。ここに示した電子放出素子基板を配した真空処理装
置の全体は、不図示のヒーターにより加熱できる。
【0039】図5は、図4に示した真空処理装置を用い
て測定された放出電流Ie及び素子電流Ifと、素子電
圧Vfとの関係を模式的に示した図である。図5におい
ては、放出電流Ieが素子電流Ifに比べて著しく小さ
いので、任意単位で示している。尚、縦・横軸ともリニ
アスケールである。
【0040】図5からも明らかなように、本発明の電子
放出素子は、放出電流Ieに関して次の3つの特徴的性
質を有する。
【0041】即ち、第1に、本素子はある電圧(閾値電
圧と呼ぶ;図11中のVth)以上の素子電圧を印加す
ると急激に放出電流Ieが増加し、一方閾値電圧Vth
以下では放出電流Ieが殆ど検出されない。つまり、放
出電流Ieに対する明確な閾値電圧Vthを持った非線
形素子である。
【0042】第2に、放出電流Ieが素子電圧Vfに単
調増加依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制
御できる。
【0043】第3に、アノード電極54(図4参照)に
捕捉される放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に
依存する。つまり、アノード電極54に捕捉される電荷
量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0044】以上の説明より理解されるように、本発明
の電子放出素子は、入力信号に応じて、電子放出特性を
容易に制御できることになる。この性質を利用すると複
数の電子放出素子を配して構成した電子源、画像形成装
置等、多方面への応用が可能となる。
【0045】図5においては、素子電流Ifが素子電圧
Vfに対して単調増加する(MI特性)例を示したが、
素子電流Ifが素子電圧Vfに対して電圧制御型負性抵
抗特性(VCNR特性)を示す場合もある(不図示)。
これらの特性は、前述の工程を制御することで制御でき
る。
【0046】次に、本発明の電子放出素子の応用例につ
いて以下に述べる。本発明の表面伝導型電子放出素子の
複数個を基体上に配列すると、例えば画像形成装置が構
成できる。
【0047】電子放出素子の配列については、種々のも
のが採用できる。一例として、並列に配置した多数の電
子放出素子の個々を両端で接続し、電子放出素子の行を
多数個配し(行方向と呼ぶ)、この配線と直行する方向
(列方向と呼ぶ)で、該電子放出素子の上方に配した制
御電極(グリッド電極とも呼ぶ)により、電子放出素子
からの電子を制御駆動するはしご状配置のものがある。
これとは別に、電子放出素子をX方向及びY方向に行列
状に複数配し、同じ行に配された複数の電子放出素子の
電極の一方を、X方向の配線に共通に接続し、同じ列に
配された複数の電子放出素子の電極の他方を、Y方向の
配線に共通に接続するものが挙げられる。このようなも
のはいわゆる単純マトリクス配置である。ここでは単純
マトリクス配置について以下に詳述する。
【0048】以下本発明の電子放出素子を複数配して得
られる電子源について、図6を用いて説明する。図6に
おいて、71は電子源基体、72はX方向配線、73は
Y方向配線である。74は表面伝導型電子放出素子、7
5は結線である。
【0049】m本のX方向配線72はDx1,Dx2,
・・・Dxmからなり、真空蒸着法、印刷法、スパッタ
法等を用いて形成された導電性金属等で構成することが
できる。配線の材料、膜厚、巾は、適宜設定される。Y
方向配線73はDy1,Dy2,・・・Dynのn本の
配線よりなり、X方向配線72と同様に形成される。こ
れらm本のX方向配線72とn本のY方向配線73との
間には、不図示の層間絶縁層が設けられており、両者を
電気的に分離している(m,nは、共に正の整数)。
【0050】不図示の層間絶縁層は、真空蒸着法、印刷
法、スパッタ法等を用いて形成されたSiO2 等で構成
される。例えば、X方向配線72を形成した基体71の
全面或は一部に所望の形状で形成され、特に、X方向配
線72とY方向配線73の交差部の電位差に耐え得るよ
うに、膜厚、材料、製法が適宜設定される。X方向配線
72とY方向配線73は、それぞれ外部端子として引き
出されている。
【0051】表面伝導型放出素子74を構成する一対の
素子電極(不図示)は、m本のX方向配線72とn本の
Y方向配線73と、導電性金属等からなる結線75によ
って電気的に接続されている。
【0052】配線72と配線73を構成する材料、結線
75を構成する材料、結線75を構成する材料、及び一
対の素子電極を構成する材料はその構成元素の一部ある
いは全部が同一であっても、またそれぞれ異なってもよ
い。これら材料は、例えば前述の素子電極の材料より適
宜選択される。素子電極を構成する材料と配線材料が同
一である場合には、素子電極に接続した配線は素子電極
ということもできる。
【0053】X方向配線72には、X方向に配列した表
面伝導型放出素子74の行を選択するための走査信号を
印加する不図示の走査信号印加手段が接続される。一
方、Y方向配線73には、Y方向に配列した表面伝導型
放出素子74の各列を入力信号に応じて変調するため
の、不図示の変調信号発生手段が接続される。各電子放
出素子に印加される駆動電圧は、当該素子に印加される
走査信号と変調信号の差電圧として供給される。
【0054】上記構成においては、単純なマトリクス配
線を用いて、個別の素子を選択し、独立に駆動可能とす
ることができる。
【0055】このような単純マトリクス配置の電子源を
用いて構成した画像形成装置について、図7〜9を用い
て説明する。図7は、画像形成装置の表示パネルの一例
を示す模式図であり、図8は、図7の画像形成装置に使
用される蛍光膜の模式図である。図9はNTSC方式の
テレビ信号に応じて表示を行うための駆動回路の一例を
示すブロック図である。
【0056】図7において、71は電子放出素子を複数
配した電子源基体、81は電子源基体71を固定したリ
アプレート、86はガラス基体83の内面に蛍光膜84
とメタルバック85等が形成されたフェースプレートで
ある。82は支持枠であり、該支持枠82には、リアプ
レート81、フェースプレート86がフリットガラス等
を用いて接続されている。88は外囲器であり、例えば
大気中あるいは、窒素中で、400〜500度の温度範
囲で10分以上焼成することで、封着して構成される。
【0057】74は電子放出素子に相当する。72、7
3は、表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極と接続
されたX方向配線及びY方向配線である。
【0058】外囲器88は上述の如く、フェースプレー
ト86、支持枠82、リアプレート81で構成される。
リアプレート81は主に基体71の強度を補強する目的
で設けられるため、基体71自体で十分な強度を持つ場
合は別体のリアプレート81は不要とすることができ
る。即ち、基体71に直接支持枠82を封着し、フェー
スプレート86、支持枠82及び基体71で外囲器88
を構成しても良い。一方、フェースプレート86、リア
プレート81間に、スペーサーとよばれる不図示の支持
体を設置することにより、大気圧に対して十分な強度を
もつ外囲器88を構成することもできる。
【0059】図8は、蛍光膜を示す模式図である。蛍光
膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみで構成する
ことができる。カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列
により、ブラックストライプ(図8(a))あるいはブ
ラックマトリクス(図8(b))等と呼ばれる黒色導電
材91と蛍光体92とから構成することができる。ブラ
ックストライプ、ブラックマトリクスを設ける目的は、
カラー表示の場合、必要となる三原色蛍光体の各蛍光体
92間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たな
くすることと、蛍光膜84における外光反射によるコン
トラストの低下を抑制することにある。黒色導電材91
の材料としては、通常用いられている黒鉛を主成分とす
る材料の他、導電性があり、光の透過及び反射が少ない
材料を用いることができる。
【0060】ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法
は、モノクローム、カラーによらず、沈澱法や印刷法等
が採用できる。蛍光膜84の内面側には、通常メタルバ
ック85が設けられる。メタルバックを設ける目的は、
蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート8
6側へ鏡面反射することにより輝度を向上させること、
電子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用さ
せること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダ
メージから蛍光体を保護すること等である。メタルバッ
クは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理
(通常、「フィルミング」と呼ばれる。)を行い、その
後Alを真空蒸着等を用いて堆積させることで作製でき
る。
【0061】フェースプレート86には、更に蛍光膜8
4の導電性を高めるため、蛍光膜84の外面側に透明電
極(不図示)を設けてもよい。
【0062】前述の封着を行う際、カラーの場合は各色
蛍光体と電子放出素子とを対応させる必要があり、十分
な位置合わせが不可欠となる。
【0063】図7に示した画像形成装置は、例えば以下
のようにして製造される。
【0064】外囲器88は、前述の安定化工程と同様
に、適宜加熱しながら、イオンポンプ、ソープションポ
ンプなどのオイルを使用しない排気装置により不図示の
排気管を通じて排気し、1.3×10-5Pa程度の真空
度の有機物質の十分少ない雰囲気にした後、封止が成さ
れる。外囲器88の封止後の真空度を維持するために、
ゲッター処理を行う。これは、外囲器88の封止を行う
直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等
を用いた加熱により、外囲器88内の所定の位置(不図
示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する
処理である。
【0065】次に、単純マトリクス配置の電子源を用い
て構成した表示パネルに、NTSC方式のテレビ信号に
基づいたテレビジョン表示を行う為の駆動回路の構成例
について、図9を用いて説明する。図9において、10
1は画像表示パネル、102は走査回路、103は制御
回路、104はシフトレジスタ、105はラインメモ
リ、106は同期信号分離回路、107は変調信号発生
器、Vx及びVaは直流電圧源である。
【0066】表示パネル101は、端子Dox1乃至D
oxm、端子Doy1乃至Doyn及び高圧端子87を
介して外部の電気回路と接続している。端子Dox1乃
至Doxmには、表示パネル101内に設けられている
電子源、即ち、m行n列の行列状にマトリクス配線され
た電子放出素子群を1行(n素子)づつ順次駆動する為
の走査信号が印加される。端子Doy1乃至Doynに
は、前記走査信号により選択された1行の電子放出素子
の各素子の出力電子ビームを制御する為の変調信号が印
加される。高圧端子87には、直流電圧源Vaより、例
えば10kVの直流電圧が供給されるが、これは電子放
出素子から放出される電子ビームに、蛍光体を励起する
のに十分なエネルギーを付与する為の加速電圧である。
【0067】走査回路102について説明する。同回路
は、内部にm個のスイッチング素子(図中、S1乃至S
mで模式的に示している)を備えたものである。各スイ
ッチング素子は、直流電圧電源Vxの出力電圧もしくは
0[V](グランドレベル)のいずれか一方を選択し、
表示パネル101の端子Dox1乃至Doxmと電気的
に接続される。各スイッチング素子S1乃至Smは、制
御回路103が出力する制御信号Tscanに基づいて
動作するものであり、例えばFETのようなスイッチン
グ素子を組み合わせることにより構成することができ
る。
【0068】直流電圧源Vxは、本例の場合には電子放
出素子の特性(電子放出閾値電圧)に基づき、走査され
ていない素子に印加される駆動電圧が電子放出閾値電圧
以下となるような一定電圧を出力するよう設定されてい
る。
【0069】制御回路103は、外部より入力される画
像信号に基づいて適切な表示が行われるように、各部の
動作を整合させる機能を有する。制御回路103は、同
期信号分離回路106より送られる同期信号Tsync
に基づいて、各部に対してTscan,Tsft及びT
mryの各制御信号を発生する。
【0070】同期信号分離回路106は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と
輝度信号成分とを分離するための回路で、一般的な周波
数分離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期
信号分離回路106により分離された同期信号は、垂直
同期信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便
宜上Tsync信号として図示した。前記テレビ信号か
ら分離された画像の輝度信号成分は、便宜上DATA信
号と表した。このDATA信号は、シフトレジスタ10
4に入力される。
【0071】シフトレジスタ104は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン
毎にシリアル/パラレル変換するためのもので、前記制
御回路103より送られる制御信号Tsftに基づいて
動作する(即ち、制御信号Tsftは、シフトレジスタ
104のシフトクロックであると言い換えてもよ
い。)。
【0072】シリアル/パラレル変換された画像1ライ
ン分のデータ(電子放出素子n素子分の駆動データに相
当)は、Id1乃至Idnのn固の並列信号として前記
シフトレジスタ104より出力される。
【0073】ラインメモリ105は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路103より送られる制御信号Tmryに従
って適宜Id1乃至Idnの内容を記憶する。記憶され
た内容は、Id’1乃至Id’nとして出力され、変調
信号発生器107に入力される。
【0074】変調信号発生器107は、画像データI
d’1乃至Id’nの各々に応じて、電子放出素子の各
々を適切に駆動変調する為の信号源であり、その出力信
号は、端子Doy1乃至Doynを通じて表示パネル1
01内の電子放出素子に印加される。
【0075】前述したように、本発明の電子放出素子は
放出電流Ieに関して以下の基本特性を有している。即
ち、電子放出には明確な閾値電圧Vthがあり、Vth
以上の電圧が印加された時のみ電子放出が生じる。電子
放出閾値以上の電圧に対しては、素子への印加電圧の変
化に応じて放出電流も変化する。このことから、本素子
にパルス状の電圧を印加する場合、例えば電子放出閾値
電圧以下の電圧を印加しても電子放出は生じないが、電
子放出閾値電圧以上の電圧を印加する場合には電子ビー
ムが出力される。その際、パルスの波高値Vmを変化さ
せることにより、出力電子ビームの強度を制御すること
が可能である。また、パルスの幅Pwを変化させること
により、出力される電子ビームの電荷の総量を制御する
ことが可能である。
【0076】従って、入力信号に応じて電子放出素子を
変調する方式としては、電圧変調方式とパルス幅変調方
式等が採用できる。電圧変調方式を実施するに際して
は、変調信号発生器107としては、一定長さの電圧パ
ルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パル
スの波高値を変調できるような電圧変調方式の回路を用
いることができる。パルス幅変調方式を実施するに際し
ては、変調信号発生器107として、一定の波高値の電
圧パルスを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧
パルスの幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を
用いることができる。
【0077】シフトレジスタ104やラインメモリ10
5は、デジタル信号式のものでもアナログ信号式のもの
でも採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や
記憶が所定の速度で行なわれれば良いからである。
【0078】デジタル信号式を用いる場合には、同期信
号分離回路106の出力信号DATAをデジタル信号化
する必要かあるが、これには同期信号分離回路106の
出力部にA/D変換器を設ければ良い。これに関連して
ラインメモリ105の出力信号がデジタル信号かアナロ
グ信号かにより、変調信号発生器107に用いられる回
路が若干異なったものとなる。即ち、デジタル信号を用
いた電圧変調方式の場合、変調信号発生器107には、
例えばD/A変換回路を用い、必要に応じて増幅回路等
を付加する。パルス幅変調方式の場合、変調信号発生器
107には、例えば高速の発振器及び発振器の出力する
波数を計数する計数器(カウンタ)及び計数器の出力値
と前記メモリの出力値を比較する比較器(コンパレー
タ)を組み合わせた回路を用いる。必要に応じて、比較
器の出力するパルス幅変調された変調信号を電子放出素
子の駆動電圧にまで電圧増幅するための増幅器を付加す
ることもできる。
【0079】アナログ信号を用いた電圧変調方式の場
合、変調信号発生器107には、例えばオペアンプ等を
用いた増幅回路を採用でき、必要に応じてレベルシフト
回路等を付加することもできる。パルス幅変調方式の場
合には、例えば電圧制御型発振回路(VCO)を採用で
き、必要に応じて電子放出素子の駆動電圧にまで電圧増
幅するための増幅器を付加することもできる。
【0080】このような構成をとり得る本発明の画像形
成装置においては、各電子放出素子に、容器外端子Do
x1乃至Doxm、Doy1乃至Doynを介して電圧
を印加することにより、電子放出が生じる。高圧端子8
7を介してメタルバック85あるいは透明電極(不図
示)に高圧を印加し、電子ビームを加速する。加速され
た電子は、蛍光膜84に衝突し、発光が生じて画像が形
成される。
【0081】ここで述べた画像形成装置の構成は、本発
明の画像形成装置の一例であり、本発明の技術思想に基
づいて種々の変形が可能である。入力信号についてはN
TSC方式を挙げたが、入力信号はこれに限られるもの
ではなく、PAL、SECAM方式等の他、これらより
も多数の走査線からなるTV信号(例えば、MUSE方
式をはじめとする高品位TV)方式をも採用できる。
【0082】本発明の画像形成装置は、テレビジョン放
送の表示装置、テレビ会議システムやコンピューター等
の表示装置の他、感光性ドラム等を用いて構成された光
プリンターとしての画像形成装置等としても用いること
もできる。
【0083】
【実施例】以下に実施例および比較例に基づいて本発明
を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもの
ではない。
【0084】実施例1 電子放出素子として図1に示すタイプの電子放出素子を
作成した。図1(a)は本素子の平面図を、図1(b)
は断面図を示している。また、図1(a)、(b)中の
符号1は基体、2および3は素子に電圧を印加するため
の1対の素子電極、4は導電性薄膜、5は電子放出部を
示す。なお、図中のLは素子電極2と3の素子電極間
隔、Wは素子電極長さを表している。
【0085】図2を用いて、本実施例の電子放出素子の
作成方法を述べる。基体1として石英ガラス基体を用
い、これを有機溶剤により充分に洗浄後、基体面上にP
tからなる素子電極2、3を形成した(図2(a))。
素子電極間隔Lは20μmとし、素子電極長さWを50
0μm、その厚さdを1000Åとした。
【0086】エチレンジアミン四酢酸(EDTA)−パ
ラジウム錯体72mmol(57.3g)、EDTA一
白金錯体4mmol(1.9g)、EDTA一ビスマス
錯体4mmol(2.1g)を1リットルの25%IP
A水溶液に溶解させ、金属化合物溶液Aとした。この溶
液中に含まれる金属のモル比は、Pd:Pt:Bi=8
0:15:5となる。
【0087】得られた溶液Aを、スピンコート装置によ
って素子電極2、3を形成した石英基体の上に素子電極
2、3にまたがるように塗布した(図2(b))。次に
350℃で15分間焼成して導電性薄膜4を形成した
(図2(c))。
【0088】導電性薄膜4の幅(径)を300μmにな
るように整形し、形成した素子の電気抵抗値を測定する
と、520Ωであった。
【0089】この素子の一部について耐熱温度測定を行
った。測定は、2%H2 /98%N2 ガス中の大気圧還
元雰囲気下で、素子を加熱しながら電気抵抗値を測定す
ることによって行った。耐熱温度は、素子の電気抵抗値
が急激に上昇し、初期値の10倍となる温度を薄膜凝集
温度Tmとすると、Tm=500℃であった。
【0090】次に、真空容器中で残りの素子の素子電極
2および3の間に電圧を印加し、導電性薄膜4を通電処
理(フォーミング処理)することにより、電子放出部5
を作成した(図2(d))。フォーミング処理は約1.
3×10-4Paの真空雰囲気下で行った。
【0091】本電子放出素子の素子電極2および3の間
に素子電圧を印加し、その時に流れる素子電流Ifおよ
び放出電流Ieを測定したところ、素子電圧12Vでは
素子電流Ifが0.9mA、放出電流Ieが0.45μ
Aとなり、電子放出効率η=Ie/If(%)は0.5
%であった。
【0092】実施例2〜6 実施例1に用いたEDTA―ビスマス錯体のかわりに、
表1に示す金属錯体を用いた以外は実施例1と同様の方
法で電子放出素子を作成し、それぞれの素子の電気抵抗
値および耐熱温度を測定した。表1に測定結果を併せて
示す。いずれの場合も実施例1と同様に電子放出が確認
された。
【0093】
【表1】
【0094】実施例7〜12 実施例1で用いた溶液A中に含まれる金属およびそのモ
ル比を、表2に示す量および比率に変更した以外は実施
例1と同様の方法で電子放出素子を作成し、それぞれの
素子の電気抵抗値および耐熱温度を測定した。表2に測
定結果を併せて示す。実施例1と同様にこれらの素子も
電子放出が確認された。
【0095】
【表2】
【0096】実施例13 実施例1におけるEDTA―白金錯体のかわりに、ジシ
アノ金(I)酸アンモニウムを用いた以外は実施例1と
同様の方法で電子放出素子を作成し、素子の電気抵抗値
および耐熱温度を測定したところ、電気抵抗値は480
Ω、耐熱温度は470℃であった。実施例1と同様に電
子放出が確認された。
【0097】実施例14 実施例1におけるEDTA―白金錯体のかわりに、ジシ
アノ銀(I)酸アンモニウムを用いた以外は実施例1と
同様の方法で電子放出素子を作成し、素子の電気抵抗値
および耐熱温度を測定したところ、電気抵抗値は440
Ω、耐熱温度は460℃であった。実施例1と同様に電
子放出が確認された。
【0098】実施例15 16行×16列の256個の素子電極とマトリクス状配
線とを形成した電子源基体(図6参照)の各対向電極に
対して、実施例1と同様にして溶液Aを塗布し、焼成・
整形したのち、フォーミング処理を行い電子源を作成し
た。この電子源に、リアプレート、支持枠、フェースプ
レートを接続し、真空封止して、画像形成装置を作成し
た。各素子に時分割で所定電圧を印加し、メタルバック
に高電圧を印加することによって、任意のマトリクス画
像パターンを表示することができた。
【0099】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電子放出
素子の電子放出部が形成される導電性薄膜に金属酸化物
および貴金属を添加することによって、導電性薄膜の耐
熱温度を高めつつも素子抵抗の増加を抑制させることが
できるので、電気的特性が優れた電子放出素子および該
素子を用いた画像形成装置を提供することが可能とな
る。具体的には、素子を製造する際の安定化工程や画像
形成装置製造の際に、耐熱温度付近まで真空容器を加熱
して容器内の有機物質を排気することが可能となる。ま
た、導電性薄膜部分での電圧降下が抑えられるので、電
子放出部形成に必要な通電処理の際の電力を節減するこ
とができ、さらに工程時間を短縮することができる。
【0100】したがって、素子の耐熱温度によって制限
されるような温度制御や工程を省くことによる製造コス
トの低減が図られたり、ベーキング(加熱)温度の高温
化による素子特性の安定化や長寿命化などの効果も奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面伝導型電子放出素子の一例を示す
模式図である。
【図2】本発明の表面伝導型電子放出素子の製造方法の
一例を説明するための図である。
【図3】本発明の表面伝導型電子放出素子の製造に際し
て採用できる通電フォーミング処理における電圧波形の
一例を示す模式図である。
【図4】本発明の表面伝導型電子放出素子の電子放出特
性を評価するための測定評価系の一例を示す概略構成図
である。
【図5】本発明の表面伝導型電子放出素子の電子放出特
性を示す図である。
【図6】本発明の表面伝導型電子放出素子を用いて構成
した単純マトリクス配置の電子源の一例を示す模式図で
ある。
【図7】本発明の画像形成装置の表示パネルの一例を示
す模式図である。
【図8】表示パネルにおける蛍光膜の一例を示す模式図
である。
【図9】本発明の画像形成装置にNTSC方式のテレビ
信号に応じて表示を行うための駆動回路の一例を示すブ
ロック図である。
【符号の説明】
1 基板 2,3 素子電極 4 導電性薄膜 5 電子放出部 50 素子電流Ifを測定するための電流計 51 電子放出素子に素子電圧Vfを印加するための電
源 52 電子放出部5より放出される放出電流Ieを測定
するための電流計 53 アノード電極54に電圧を印加するための高圧電
源 54 電子放出部5より放出される電子を捕捉するため
のアノード電極 55 真空容器 56 排気ポンプ 71 電子源基板 72 X方向配線 73 Y方向配線 74 電子放出素子 75 結線 81 リアプレート 82 支持枠 83 ガラス基板 84 蛍光膜 85 メタルバック 86 フェースプレート 87 高圧端子 88 外囲器 91 黒色導電材 92 蛍光体 101 表示パネル 102 走査回路 103 制御回路 104 シフトレジスタ 105 ラインメモリ 106 同期信号分離回路 107 変調信号発生器 Vx,Va 直流電圧源

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に対向する一対の素子電極と、該
    素子電極に電気的に接続された導電性薄膜を有する電子
    放出素子において、該導電性薄膜がPdを主成分とし、
    さらにAg,Au,Ptのうち少なくとも1つおよび金
    属酸化物を含有することを特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】 前記金属酸化物が、Bi,Cr,Zn,
    Fe,Co,Ni酸化物のうち少なくとも1つを含有す
    ることを特徴とする請求項1に記載の電子放出素子。
  3. 【請求項3】 前記導電性薄膜を構成する材料が、Pd
    が50mol%以上、Ag,Au,Ptのうち少なくと
    も1つが45mol%以下、金属酸化物が5〜15mo
    l%からなることを特徴とする請求項2に記載の電子放
    出素子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の電子放
    出素子を具備することを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7271529B2 (en) 2004-04-13 2007-09-18 Canon Kabushiki Kaisha Electron emitting devices having metal-based film formed over an electro-conductive film element
KR100849567B1 (ko) * 2005-12-13 2008-07-31 캐논 가부시끼가이샤 전자방출소자의 제조방법 및 그것을 이용한, 전자원 및화상표시장치의 제조방법
KR100934167B1 (ko) * 2007-08-09 2009-12-29 캐논 가부시끼가이샤 전자방출소자 및 화상표시장치

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