JP2000249094A - ねじ溝型真空ポンプ - Google Patents

ねじ溝型真空ポンプ

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JP2000249094A
JP2000249094A JP11054655A JP5465599A JP2000249094A JP 2000249094 A JP2000249094 A JP 2000249094A JP 11054655 A JP11054655 A JP 11054655A JP 5465599 A JP5465599 A JP 5465599A JP 2000249094 A JP2000249094 A JP 2000249094A
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vacuum pump
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cylindrical
passage
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JP11054655A
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Hiromitsu Maki
洋光 牧
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Daikin Industries Ltd
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Daikin Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 同心上に配置された複数の筒状通路(C1,C2,C
3)にねじ溝(T1,T2,T3)を設けたねじ溝型真空ポンプにお
いて、ロータ(3) ないし回転軸(2) に作用するスラスト
荷重を小さくする。 【解決手段】 排気口側端部から吸気口側端部に向かう
方向へ気体が流れる筒状通路(C2)を、該方向に向かって
小径になるテーパ溝に形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ねじ溝型真空ポン
プに関し、特に、ロータから回転軸に作用するスラスト
荷重の低減策に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、ねじ溝型真空ポンプには、そ
の概略構造を図8に示すように、吸気口(11)及び排気口
(12)を有する円筒状ケーシング(1) 内に、モータ(6) に
連結された回転軸(2) と、回転軸(2) の外周に隙間を隔
てて配置された筒状のステータ(4) と、ステータ(4) の
外周に隙間を隔てて配置されると共に回転軸(2) と一体
に回転するように構成されたロータ(3) とを備え、ロー
タ(3) 側の部材(回転軸(2) を含む)とステータ(4) 側
の部材(ケーシング(1) を含む)の間に、複数の筒状通
路(C1,C2,C3)が同心上に配置されたものがある(例えば
特開平5−248386号公報参照)。このポンプで
は、内外に隣り合う筒状通路(C1,C2)(C2,C3)同士が排気
口側端部と吸気口側端部の連通路(C4,C5) で交互に連通
するように構成されて、吸気口(11)と排気口(12)の間に
気体通路(7) が形成されている。
【0003】そして、各筒状通路(C1,C2,C3)の構成面で
あるロータ(3) の外周面と、ステータ(4) の外周面と、
回転軸(2) の外周面とに、それぞれねじ溝(T1,T2,T3)が
形成され、回転軸(2) の回転に伴うねじ溝(T1,T2,T3)の
ポンプ作用により、吸気口(11)から気体を吸い込むと共
に、その気体を大気圧まで昇圧させて排気口(12)から排
出するようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のねじ溝
型真空ポンプでは、特に起動時や停止時の定格回転数未
満の低速回転域において、ロータ(3) の吸気側と排気側
の圧力差が比較的大きくなるために、ロータ(3) から回
転軸(2) に作用するスラスト荷重が大きくなるという問
題があった。このため、従来は、回転軸(2) の軸受け
に、例えばコストの安い気体軸受けを使用できず、コス
トの高い磁気軸受けを使用するのが一般的になってい
た。
【0005】本発明は、このような問題点に鑑みて創案
されたものであり、その目的とするところは、同心上に
配置された複数の筒状通路(C1,C2,C3)にねじ溝(T1,T2,T
3)を設けた構成のねじ溝型真空ポンプにおいて、ロータ
(3) から回転軸(2) に作用するスラスト荷重を小さくす
ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、筒状通路(C1,
C2,C3)の一部をテーパ状にして、大きな圧力差が作用す
る部分の面積を小さくできるようにし、その面積と圧力
の積から決まるスラスト力を低減するようにしたもので
ある。
【0007】具体的に、本発明が講じた第1の解決手段
は、ケーシング(1) の吸気口(11)と排気口(12)の間に、
同心状で複数の筒状通路(C1,C2,C3)を構成するロータ
(3) とステータ(4) が配置されるとともに、内外に隣合
う筒状通路(C1,C2)(C2,C3)が排気口側端部と吸気口側端
部で交互に連通路(C4,C5) を介して連通するように構成
され、各筒状通路(C1,C2,C3)の構成面にねじ溝(T1,T2,T
3)が設けられたねじ溝型真空ポンプを前提としている。
そして、排気口側端部から吸気口側端部への方向に気体
が流れる筒状通路(C2)が、該方向に向かって小径になる
ようにテーパ状に形成されている。
【0008】また、本発明が講じた第2の解決手段は、
上記第1の解決手段において、筒状通路(C1,C2,C3)を、
ケーシング(1) の内周面とロータ(3) の外周面との間に
形成されて吸気口(11)と連通する第1筒状通路(C1)と、
ロータ(3) の内周面とステータ(4) の外周面との間に形
成されて第1筒状通路(C1)の排気口側端部に連通路(C4)
を介して連通する第2筒状通路(C2)と、回転軸(2) の外
周面とステータ(4) の内周面との間に形成されて第2筒
状通路(C2)の吸気口側端部に連通路(C5)を介して連通す
ると共に排気口(12)に連通する第3筒状通路(C3)とから
構成し、第2筒状通路(C2)を、排気口側端部から吸気口
側端部に向かって小径になるようにテーパ状に形成した
ものである。
【0009】なお、この場合、ステータ(4) は、筒状の
ケーシング(1) に回転可能に支持された回転軸(2) の外
周面に隙間を隔てて対向する内周面と、該内周面と同心
上の外周面とを有する筒状部材に形成して、上記ケーシ
ング(1) に固定するとよく、ロータ(3) は、ステータ
(4) の外周面に隙間を隔てて対向する内周面と、上記ケ
ーシング(1) の内周面に隙間を隔てて対向する外周面と
を有する筒状部材に形成して、上記回転軸(2) に固定す
るとよい。
【0010】また、本発明が講じた第3の解決手段は、
上記第2の解決手段において、回転軸(2) が、ラジアル
気体軸受け(5a,5b) を介してケーシング(1) に支持され
るように構成したものである。
【0011】また、本発明が講じた第4の解決手段は、
上記第2または第3の解決手段において、回転軸(2)
が、スラスト気体軸受け(5d)を介してケーシング(1) に
支持されるように構成したものである。
【0012】−作用−本発明のポンプの概略構造を示す
図3(a)と、従来のポンプの概略構造を示す図3
(b)を参照すると明らかなように、本発明の第1の解
決手段では、排気口側端部から吸気口側端部に向かう方
向へ気体が流れる筒状通路(C2a) (aは本発明のポンプ
であることを示す添字で、添字bを付しているものは従
来のポンプであることを示す)が、その方向(図の上方
向)に向かって小径になるようにテーパ状に形成されて
いるので、これに対応する筒状通路(C2b) が軸方向に真
っ直ぐに形成されている従来のポンプと比べて、連通路
(C5a) の外径が(D3)から(D2)に小さくなり、その面積を
小さくできる。
【0013】ロータ(3a,3b) に作用する大気圧との圧力
差は、ポンプの起動時などの低速回転域において、この
連通路(C5a,C5b) で比較的大きな値となる。このため、
図3(b)のポンプでは、この連通路(C5b) の面積が大
きいことから、ロータ(3b)から回転軸(2b)に作用するス
ラスト荷重が大きくなるのに対して、図3(a)に示し
た第1の解決手段では、連通路(C5a) の面積が小さくな
るので、該連通路(C5a) に作用する圧力差によるスラス
ト荷重は小さくなる。一方、この第1の解決手段では、
テーパ状の筒状通路(C2a) にも圧力差が作用することに
なるが、その圧力差は径の大きな部分になるほど小さく
なるため、このテーパ部分で発生するスラスト荷重は小
さく、トータルとしてのスラスト荷重は従来よりも小さ
くなる。
【0014】また、上記第2の解決手段では、気体は、
吸気口(11a) から吸引されると、第1筒状通路(C1a) を
排気口側端部の方向へ向かい、その端部で反転して第2
筒状通路(C2a) を今度は吸気口側端部の方向へ向かい、
さらにその端部で反転して第3筒状通路(C3a) を排気口
側端部の方向へ向かって、排気口(12a) から排出され
る。この構成において、第2筒状通路(C2a) が吸気口側
端部に向かって小径に形成されているので、上記第1解
決手段と同じように、特に低速回転域においてロータ(3
a)から回転軸(2a)に作用するスラスト荷重が低減される
ことになる。
【0015】また、上記第3の解決手段では、回転軸
(2) が、その回転時に気体軸受け(5a,5b,5d)で支持さ
れ、特に第4の解決手段では、回転軸(2) の吸気口(11)
方向へのスラスト荷重が、スラスト気体軸受け(5d)によ
って支持される。
【0016】
【発明の効果】上記第1、第2の解決手段によれば、回
転軸(2) からロータ(3) に作用する吸気口方向へのスラ
スト荷重を、特に起動時などの低速回転域において低減
できるので、第3または第4の解決手段に記載している
ように、気体軸受け(5a,5b,5d)、特にスラスト気体軸受
け(5d)を使用できるようになり、ねじ溝型真空ポンプの
低コスト化を実現できる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態に係るね
じ溝型真空ポンプを図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】図1は、このねじ溝型真空ポンプの全体構
成を示す縦断面図である。このねじ溝型真空ポンプは、
吸気口(11)及び排気口(12)を有する大略円筒状のケーシ
ング(1) と、このケーシング(1) 内に回転可能に設けら
れた回転軸(2) と、回転軸(2) に回転一体に設けられた
ロータ(3) と、ケーシング(1) に固定されるとともに該
ケーシング(1) の一部を構成する部材でもあるステータ
(4) とを備えている。回転軸(2) は、ケーシング(1) の
中心線上を回転中心として回転するように軸受け(5a,5
b,5c,5d) を介して支持されている。また、ケーシング
(1) には、回転軸(2) を回転駆動するモータ(6) が固定
されている。
【0019】ケーシング(1) は、上部ケーシング(13)
と、この上部ケーシング(13)にステータ(4) のベース部
(14)を介して固定される下部ケーシング(15)と、下部ケ
ーシング(15)の底面にボルト(B1)で固定されて該下部ケ
ーシング(15)の下端開口を閉塞する底部ケーシング(16)
とから構成されている。
【0020】上部ケーシング(13)は、上端部が絞られた
円筒状の本体部(13a) と、この本体部(13a) の上端に固
定された吸気口フランジ(13b) と、本体部(13a) の下端
に設けられた固定用フランジ(13c) とを備えている。そ
して、吸気口フランジ(13b)に、上記吸気口(11)が形成
されていて、該吸気口フランジ(13b) は、図示しない真
空容器等に取り付けられるように構成されている。
【0021】また、下部ケーシング(15)は、回転軸(2)
やモータ(6) を支持することから上部ケーシング(13)よ
りも肉厚に形成された本体部(15a) と、この本体部(15
a) の上端に一体に設けられた固定用フランジ(15b) と
を有している。そして、この下部ケーシング(15)の固定
用フランジ(15b) から、ステータ(4) のベース部(14)を
通して、ボルト(B2)を上部ケーシング(13)の固定用フラ
ンジ(13c) に締め付けることによって、上部ケーシング
(13)、ステータ(4) 、及び下部ケーシング(15)が一体化
する構造になっている。
【0022】回転軸(2) は、2箇所に配置されたラジア
ル軸受け(5a,5b) と、2箇所に配置されたスラスト軸受
け(5c,5d) とを介して下部ケーシング(15)に支持されて
いる。ラジアル軸受け(5a,5b) は、それぞれ、動圧型ラ
ジアル気体軸受けであって、回転軸(2) の外周面(軸受
け面)に僅かな隙間(8〜10ミクロン程度)を隔てて
対向する内周面を備えた第1,第2軸受け部材(51,52)
と、該回転軸(2) の軸受け面に形成されたヘリンボーン
溝(53,54) とから構成されている。
【0023】上側の第1軸受け部材(51)は、下部ケーシ
ング(15)の上端面に固定され、下側の第2軸受け部材(5
2)は、下部ケーシング(15)の内周面下端部に固定されて
いる。また、回転軸(2) は、回転軸本体(21)と、該回転
軸本体(21)の下端にボルト(B3)で固定されたスリーブ(2
2)とから構成されている。そして、回転軸本体(21)の中
間部の外周面と、スリーブ(22)の外周面とが上記ヘリン
ボーン溝(53,54) の形成された軸受け面として構成さ
れ、両軸受け面は、互いに同一の外径に形成されてい
る。
【0024】以上の構成により、回転軸(2) の回転時に
は、回転軸(2) の外周面と第1,第2軸受け部材(51,5
2) の内周面との間に生成される気体圧力による気体膜
を介して、回転軸(2) が軸受け部材(51,52) に非接触で
回転自在に支持される。
【0025】スラスト軸受け(5c,5d) は、モータ(6) の
停止時における回転軸(2) の重量を支持する第1スラス
ト軸受け(5c)と、モータ(6) の回転に伴って回転軸(2)
に上向きに作用するスラスト荷重を受ける第2スラスト
軸受け(5d)とから構成されている。第1スラスト軸受け
(5c)は、セラミックボール(55)と、このセラミックボー
ルが点接触する低摩擦係数の支持板(56)とで構成されて
いる。
【0026】また、第2スラスト軸受け(5d)は、動圧型
スラスト気体軸受けであって、上記第2軸受け部材(52)
と、上記スリーブ(22)に一体に形成されたスラスト円板
(57)とから構成されている。具体的には、スラスト円板
(57)の上面が、第2軸受け部材(52)の下面に対して僅か
な隙間(8〜10ミクロン程度)を隔てて対向するよう
に配置されると共に、該スラスト円板(57)の上面に、図
1のII−II線断面図である図2に示すようにスパイラル
溝(58)が形成されている。
【0027】以上の構成により、回転軸(2) の静止時等
には、回転軸(2) の下向きの荷重が第1スラスト軸受け
(5c)で支持されると共に、回転軸(2) の回転時には、回
転軸(2) に作用する上向きのスラスト力に抗して、スラ
スト円板(57)の上面と軸受け部材(52)の下面との間に生
成される気体圧力による気体膜を介して、回転軸(2)が
軸受け部材(52)に非接触で支持される。
【0028】上記モータ(6) は、動圧型ラジアル気体軸
受け(5a),(5b) の間に配置されている。該モータ(6)
は、回転軸(2) に回転一体に外嵌合したモータロータ(6
1)と、このモータロータ(61)の外周側に配置され、下部
ケーシング(15)に固定されたモータステータ(62)とから
構成されている。モータロータ(61)の外径は、上記ヘリ
ンボーン溝(53,54) が形成された回転軸(2) の外周面と
実質的に同一の外径に形成されている。なお、下部ケー
シング(15)には、モータ(6) を冷却するための水冷管(1
5c) が内蔵されている。
【0029】上記ロータ(3) は、円板状のベース部(3a)
と、該ベース部(3a)の外周縁に形成された回転筒(3b)と
から、下端が開口した有底筒状の部材として構成されて
いる。そして、このロータ(3) は、ベース部(3a)が、上
記回転軸(2) の上端部に対してボルト(B4)により回転一
体に連結されている。
【0030】ロータ(3) の回転筒(3b)の外周面と、上部
ケーシング(13)の内周面との間には、第1筒状通路(C1)
が形成されている。この第1筒状通路(C1)は、ロータ
(3) の回転筒(3b)の外周面に形成された第1ねじ溝(T1)
により構成されている。この第1ねじ溝(T1)は、回転筒
(3b)の上端側から下端側へ向かうほど、ねじ深さが浅く
なるように形成されている。また、回転筒(3b)の内周面
は、上端側から下端側にかけて大径になるように径変化
するテーパ面に形成されている。
【0031】ステータ(4) は、このロータ(3) の回転筒
(3b)の内周面に対して僅かな隙間を隔てて対向するテー
パ状の外周面と、回転軸(2) の外周面に対して僅かな隙
間を隔てて対向する内周面とを有する固定筒(41)が、上
記ベース部(14)と一体に形成されたものである。そし
て、このロータ(3) の回転筒(3b)の内周面と、ステータ
(4) の固定筒(41)の外周面に、下方(排気口側端部)か
ら上方(吸気口側端部)に向かって径が小さくなるテー
パ状の第2筒状通路(C2)が形成され、固定筒(41)の外周
面には、第2ねじ溝(T2)が形成されている。また、ステ
ータ(4) のベース部(14)には、上記排気口(12)が形成さ
れている。
【0032】回転軸(2) は、ステータ(4) の固定筒(41)
の内周面と対向する外周面に第3ねじ溝(T3)を有し、こ
の回転軸(2) の外周面とステータ(4) の内周面との間
に、第3筒状通路(C3)が形成されている。なお、第1ね
じ溝(T1)と第3ねじ溝(T3)は互いにねじれ方向が同じで
あるが、第2ねじ溝(T2)は、ねじれ方向が第1及び第3
ねじ溝(T1,T3) とは逆向きに形成されている。
【0033】また、第1筒状通路(C1)と第2筒状通路(C
2)は、ロータ(3) の下端部(排気口側端部)の連通路(C
4)を介して互いに連通し、第2筒状通路(C2)と第3筒状
通路(C3)は、ステータ(4) の上端部(吸気口側端部)の
連通路(C5)を介して互いに連通している。そして、この
ように互いに連通した筒状通路(C1,C2,C3)と連通路(C4,
C5) とによって、吸気口(11)と排気口(12)の間の気体通
路(7) が構成されている。
【0034】気体通路(7) は、第1筒状通路(C1)から第
3筒状通路(C3)にかけて、流路面積が徐々に小さくなる
ように形成されている。具体的に、第1筒状通路(C1)
は、上述したように第1ねじ溝(T1)の深さを下端側へ向
かって浅くしていることで流路面積が下流側ほど小さ
く、第2筒状通路(C2)は、全体がテーパ溝に形成されて
いることで流路面積が下流側ほど小さく、第3筒状通路
(C3)は、第1ねじ溝(T1)と同じように第3ねじ溝(T3)の
深さを下端側ほど浅くすることで流路面積が下流側ほど
小さくなっている。
【0035】次に、このねじ溝型真空ポンプの運転中の
作用について説明する。
【0036】モータ(6) により回転軸(2) が回転駆動さ
れると、各ねじ溝(T1,T2,T3)のポンプ作用により、吸気
口(11)からケーシング(1) 内に気体が吸い込まれると共
に、該気体は、気体通路(7) を通る際に大気圧まで昇圧
して、排気口(12)から外部へ排気される。このとき、気
体は、第1筒状通路(C1)を通過する際は下向きに進行
し、第2筒状通路(C2)を通過する際は上向きに進行し、
第3筒状通路(C3)を通過する際は再度下向きに進行す
る。
【0037】吸気口(11)側と排気口(12)側とで圧力差の
ある気体の流れ方向が、このように途中で変化すること
から、回転軸(2) にスラスト荷重が作用するが、本実施
形態では、第2筒状通路(C2)をテーパ状にしたことによ
って、このスラスト荷重が、特に低速回転域において従
来よりも低減される。そこで、本実施形態のポンプと従
来のポンプとを比較しながら、そのスラスト荷重の違い
について、図3から図7を参照して説明する。なお、以
下の説明では、符号や記号に添字a(本実施形態に対
応)とb(比較例に対応)を付けて、両ポンプを区別す
ることとする。
【0038】図3は、上述したように本実施形態のポン
プと比較例のポンプをそれぞれ(a)図及び(b)図に
模式的に表した図であり、図4は、回転軸(2) の回転数
が変化するのに伴って、第3ねじ溝(T3)の到達圧(連通
路(C5a,C5b) の圧力)P2と、第2ねじ溝(T2a,T2b) の
到達圧(連通路(C4a,C4b) の圧力)P3a,P3bと、
吸気口(11a,11b) の圧力P4a,P4bとが変化する様
子を示している。
【0039】図示するように、吸気口(11a,11b) におい
ては、圧力P4a,P4bは、いずれも回転数が約200r
psになるまでほぼ直線的に低下した後、回転数が約300r
psになるまで緩やかに低下して、10-4Torr以下の圧力に
達するが、到達圧P2は、圧力P4a,P4bに比べて
変化が遅く、約400rpsになるまでほぼ直線的に緩やかに
低下した後、回転数が約500rpsになるまでさらに緩やか
に低下する。このため、両ポンプとも、モータ(6) の起
動開始から約200rpsまでは、圧力P4a,P4bと、圧
力P2との差が大きくなり、その後、定格回転数(この
例では700rps)まで圧力差が徐々に小さくなる。なお、
到達圧P3a,P3bは、P4a,P4bと近似した値
で推移しており、P4a,P4bに対する圧力差は小さ
い。また、排気口(12a,12b) に示したP1は、大気圧を
示している。
【0040】図5(a)及び図5(b)は、図3(a)
及び図3(b)の横断面図であり、各部の面積を概略的
に表している。比較例のポンプでは、面積S1に(P1
−P4b)の圧力差が作用し、面積S5に(P2−P4
b)の圧力差が作用し、面積S4に(P3b−P4b)
の圧力差が作用して、上向きのスラスト力が発生する。
そして、この場合、図4のグラフに示しているように低
速回転域でのP2とP4bとの圧力差が比較的大きく、
しかも連通路(C5b) の面積S5が比較的大きいことか
ら、図6のグラフに示すように、約200rpsのときにピー
クとなる大きなスラスト荷重Fbが回転軸(2) に作用す
る。なお、面積S5が大きくなるのは、ポンプ性能を確
保するためにD3をある程度大きくしなければならない
ことに起因している。
【0041】一方、本実施形態の構成では、直径D1,
D3,D4が同じであれば、面積S1に対して(P1−
P4a)の圧力差が作用し、面積S4に対して(P3−
P4a)の圧力差が作用することは比較例と同じである
が、各圧力差自体が比較例よりも小さいことと、第2筒
状通路(C2a) をテーパ状に形成しているために圧力差
(P2−P4a)の作用する連通路(C5a) の面積S2が
S5よりも小さくなることと、筒状通路(C2a) の軸方向
投影面積S3に作用する圧力差が、そのテーパ面の下端
側の大径部分ほど小さくなることから、比較例と比べ
て、トータルのスラスト荷重Faが低速回転域において
大幅に低減される。本実施形態のポンプにおいて回転数
の変化に伴うスラスト荷重Faの変動は、図6に示すよ
うに緩やかで、定格回転に至るまで大きなピークは発生
していない。
【0042】一方、図4のグラフに示しているように、
起動時等に回転軸の回転数が0〜約200rps の範囲で変化
しているときは、吸気口(11a,11b) の圧力P4aはP4
bに比較して僅かに高くなっているが、300rpsを越える
と圧力P4aとP4bはほぼ同じ(10-4Torr以下)と
なり、それ以降はポンプの能力についての実用上の差は
ほとんど生じていない。また、回転軸(2a,2b) が定格回
転に達すると、P2及びP3a,P3bもほぼ同じ程度
の小さな値になるので、回転軸(2a,2b) に作用するスラ
スト荷重Fa,Fbは図6に示すように両ポンプともほ
ぼ同じ値となる。
【0043】なお、ポンプは、(a)回転数を増やす、
(b)ロータ長さを長くする、(c)ロータ径を大きくす
る、(d)ロータ・ステータ間の隙間を小さくする、ある
いは(e)ねじ溝型状を最適化することなどで真空性能を
高めることができるので、図4に示した程度の低速回転
域での到達圧の低下は、必要に応じて、設計事項の範囲
内で容易に調整することができる。
【0044】ところで、真空ポンプにおいて、ねじ溝(T
1,T2,T3)のポンプ作用は、低圧域ほど効率が良くなる。
したがって、上述したように比較例の方が低速回転でも
低圧になりやすいことから、ねじ溝(T1,T2,T3)の作用効
率が高くなり、さらに圧力差が生じやすい傾向がある。
このことは、逆に言えば、本実施形態のポンプの方が低
速域ではねじのポンプ作用が少ない(ただし、定格回転
では上述したようにポンプ作用にほとんど差はない)と
いうことであって、このようなことも、本実施形態にお
いてスラスト荷重の大きなピークが生じないことに寄与
している。
【0045】図6のグラフには、クリアランスを8ミク
ロン及び10ミクロンに設定した場合のスラスト気体軸
受けの許容荷重W1,W2も示している。図示するよう
に、スラスト気体軸受けは、回転数が高くなるほど許容
荷重が大きくなり、また、クリアランスが小さいほど大
きな荷重を受けることができる。比較例では低速回転時
にスラスト荷重Fbに大きなピークがあることからいず
れのスラスト気体軸受けも使用できないことが明らかで
あるが、本実施形態によれば、クリアランスが10ミク
ロンのスラスト気体軸受けであっても使用可能となる。
このようにクリアランスをより小さくしなくても気体軸
受けの使用が可能となることで、低コスト化を実現でき
る上に、クリアランスの狭いものに比べて焼き付きなど
の不具合が生じにくい利点もある。
【0046】図7には、本実施形態のポンプと比較例の
ポンプについて、排気速度を比較したグラフを示してい
る。V1a,V1bは第2ねじ溝(T2)での排気速度を示
し、V2a,V2bは第3ねじ溝(T3)での排気速度を示
している。図示するように、第2ねじ溝(T2)をテーパ状
にすると、この第2ねじ溝(T2)での排気速度がV1bか
らV1aまで低下することとなり、第3ねじ溝(T3)での
排気速度もV2bからV2aまで低下する。しかし、そ
の低下の割合はグラフに表しているように僅かであり、
上述したのと同様に回転速度を上げたり、ロータ(3) の
設計寸法を変えたりすることで容易に補うことができ、
実用上はほとんど問題とならない。
【0047】−実施形態の効果−本実施形態によれば、
上述したように、第2ねじ溝(T2)をテーパ状の第2筒状
通路(C2)の構成面に形成したことによって、低速回転域
で回転軸(2) に作用するスラスト荷重を大幅に低減する
ことができる。このため、軸受け、特にラジアル軸受け
(5a,5b) だけでなくスラスト軸受け(5d)にも気体軸受け
を使用することが可能となり、ねじ溝型真空ポンプの低
コスト化を実現できる。
【0048】
【発明のその他の実施の形態】なお、上記実施形態で
は、回転軸の軸受けに気体軸受け(5a,5b,5d)を使用して
いるが、本発明のポンプは、気体体軸受けでなく、他の
種類の軸受けを使用してもスラスト力を低減できる点で
効果的である。
【0049】また、上記実施形態では、ねじ溝(T1,T2,T
3)を設けた筒状通路(C1,C2,C3)を3段に形成している
が、例えば5段にするなど、他の段数に構成することも
可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るねじ溝型真空ポンプの
全体構成を示す縦断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】従来のポンプと図1のポンプとの比較対照図で
あり、(a)が図1のポンプ、(b)が従来のポンプを
示している。
【図4】図3(a),(b)に示したポンプの圧力特性
を示すグラフである。
【図5】図3(a),(b)の横断面図である。
【図6】図3(a),(b)に示したポンプにおいて回
転軸に作用するスラスト荷重を示すグラフである。
【図7】図3(a),(b)に示したポンプの排気速度
を示すグラフである。
【図8】従来のねじ溝型真空ポンプの概略構成を示す縦
断面図である。
【符号の説明】
(1) ケーシング (2) 回転軸 (3) ロータ (4) ステータ (5a,5b) ラジアル気体軸受け (5d) スラスト気体軸受け (7) 気体通路 (11) 吸気口 (12) 排気口 (C1) 第1筒状通路 (C2) 第2筒状通路 (C3) 第3筒状通路 (C4,C5) 連通路 (T1) 第1ねじ溝 (T2) 第2ねじ溝 (T3) 第3ねじ溝

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ケーシング(1) の吸気口(11)と排気口(1
    2)の間に、同心状で複数の筒状通路(C1,C2,C3)を構成す
    るロータ(3) とステータ(4) が配置されるとともに、内
    外に隣合う筒状通路(C1,C2)(C2,C3)が排気口側端部と吸
    気口側端部で交互に連通路(C4,C5) を介して連通するよ
    うに構成され、各筒状通路(C1,C2,C3)の構成面にねじ溝
    (T1,T2,T3)が設けられたねじ溝型真空ポンプであって、 排気口側端部から吸気口側端部への方向に気体が流れる
    筒状通路(C2)が、該方向に向かって小径になるようにテ
    ーパ状に形成されているねじ溝型真空ポンプ。
  2. 【請求項2】 筒状通路(C1,C2,C3)は、ケーシング(1)
    の内周面とロータ(3) の外周面との間に形成されて吸気
    口(11)と連通する第1筒状通路(C1)と、ロータ(3) の内
    周面とステータ(4) の外周面との間に形成されて第1筒
    状通路(C1)の排気口側端部に連通路(C4)を介して連通す
    る第2筒状通路(C2)と、回転軸(2) の外周面とステータ
    (4) の内周面との間に形成されて第2筒状通路(C2)の吸
    気口側端部に連通路(C5)を介して連通すると共に排気口
    (12)に連通する第3筒状通路(C3)とから構成され、 上記第2筒状通路(C2)が、排気口側端部から吸気口側端
    部に向かって小径になるようにテーパ状に形成されてい
    る請求項1記載のねじ溝型真空ポンプ。
  3. 【請求項3】 回転軸(2) が、ラジアル気体軸受け(5a,
    5b) を介してケーシング(1) に支持されている請求項2
    記載のねじ溝型真空ポンプ。
  4. 【請求項4】 回転軸(2) が、スラスト気体軸受け(5d)
    を介してケーシング(1) に支持されている請求項2また
    は3記載のねじ溝型真空ポンプ。
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