JP2000248419A - 多角形断面繊維,それを使用した繊維製品および多角形断面繊維の製造方法 - Google Patents
多角形断面繊維,それを使用した繊維製品および多角形断面繊維の製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】比較的簡単な構造で反射光の輝度を大幅に高め
ることができる光反射繊維を提供する。 【解決手段】テニスボールの弾性を有する球状本体の外
表面に被覆形成された短繊維層を、光反射繊維20によ
り形成する。光反射繊維20は、横断面形状が角の尖っ
た直角二等辺三角形を成し、海島溶融紡糸法により製造
する。海成分30内部に、海成分30のように溶剤,ア
ルカリ,高温処理,熱水等に易溶性でないポリマーまた
は無機物質である島成分32としての光反射繊維20を
複数個軸対称にかつ等角度間隔で配設した海島繊維34
を紡糸した後、海成分30のみを物理的,化学的処理に
より除去することによって、各光反射繊維20を形成す
るものである。
ることができる光反射繊維を提供する。 【解決手段】テニスボールの弾性を有する球状本体の外
表面に被覆形成された短繊維層を、光反射繊維20によ
り形成する。光反射繊維20は、横断面形状が角の尖っ
た直角二等辺三角形を成し、海島溶融紡糸法により製造
する。海成分30内部に、海成分30のように溶剤,ア
ルカリ,高温処理,熱水等に易溶性でないポリマーまた
は無機物質である島成分32としての光反射繊維20を
複数個軸対称にかつ等角度間隔で配設した海島繊維34
を紡糸した後、海成分30のみを物理的,化学的処理に
より除去することによって、各光反射繊維20を形成す
るものである。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、横断面形状が多角
形状をなす繊維に関するものである。
形状をなす繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光沢に優れた繊維として、1)偏
平断面形状の複合繊維(例えば特開平8−60442号
に記載)、2)凸レンズ状の偏平断面の繊維(例えば特
開平10−251945号に記載)、3)異形断面形状
の正三角形型繊維(例えば特公平6−72323号に記
載)、4)各辺に凸部を有する三角形型繊維(例えば特
開平10−72723号に記載)等が知られている。
平断面形状の複合繊維(例えば特開平8−60442号
に記載)、2)凸レンズ状の偏平断面の繊維(例えば特
開平10−251945号に記載)、3)異形断面形状
の正三角形型繊維(例えば特公平6−72323号に記
載)、4)各辺に凸部を有する三角形型繊維(例えば特
開平10−72723号に記載)等が知られている。
【0003】上記従来技術1)は、入射光が反射される
のは偏平表面においてのみであり、繊維内部に進入した
光は内部に散在するチタン系化合物により分散させられ
るか通過してしまう。従来技術2)も、表面における反
射光が凸面により分散させられるし、進入した光はその
まま通過するか、あるいは繊維の内部で散乱する。従来
技術3)は、断面が正三角形状であり、全ての頂角が5
0°〜65°である必要があるため、入射光の内、表面
反射する一部の光の外は、通過または散乱してしまう。
さらに、従来技術4)は、上記従来技術3)と同様な略
三角形の異形断面繊維であるが、断面の各辺に凸部があ
り、入射光は表面でも分散するし、繊維内部では散乱あ
るいは通過してしまう。また、これら従来技術における
繊維の横断面形状は、後に説明する「角の尖った」もの
とは言えず、繊維の特性も異なることとなる。
のは偏平表面においてのみであり、繊維内部に進入した
光は内部に散在するチタン系化合物により分散させられ
るか通過してしまう。従来技術2)も、表面における反
射光が凸面により分散させられるし、進入した光はその
まま通過するか、あるいは繊維の内部で散乱する。従来
技術3)は、断面が正三角形状であり、全ての頂角が5
0°〜65°である必要があるため、入射光の内、表面
反射する一部の光の外は、通過または散乱してしまう。
さらに、従来技術4)は、上記従来技術3)と同様な略
三角形の異形断面繊維であるが、断面の各辺に凸部があ
り、入射光は表面でも分散するし、繊維内部では散乱あ
るいは通過してしまう。また、これら従来技術における
繊維の横断面形状は、後に説明する「角の尖った」もの
とは言えず、繊維の特性も異なることとなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】本発明は、以上の事情を背景とし、反射光による光
沢(輝度)を従来に比較して大幅に高めることができる
光反射繊維を提供することを直接の課題としてなされた
ものであるが、本発明によって、横断面形状が角の尖っ
た多角形である繊維が得られ、これの用途は光反射繊維
としての用途には限定されない。本発明によって、下記
各態様の多角形断面繊維、それを使用した繊維製品およ
び多角形断面繊維の製造方法が得られる。各態様は請求
項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応
じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、
あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明
細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下
の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきでは
ない。 (1)化合繊繊維または無機繊維であって、横断面形状
が角の尖った多角形であることを特徴とする多角形断面
繊維(請求項1)。横断面形状が角の尖った多角形であ
る繊維を使用すれば、例えば、従来のものとは風合いが
著しく異なる無撚糸,撚糸,合糸,編織布,不織布,植
毛品,起毛品等の繊維製品を得ることができる。横断面
形状が角の尖った多角形である繊維は従来製造不可能と
考えられていたが、海島溶融紡糸法によれば製造するこ
とができる。ここにおいて、「角の尖った多角形」と
は、多角形の頂点の丸み部の曲率半径が、両端の丸み部
を含む一辺の長さの5%以下であるという条件と、その
一辺と両端の丸み部との2つの接続点を結ぶ直線に対し
て、その一辺が多角形の外側へ膨らみ、あるいは内側へ
凹む量である凹凸量が、両端の丸み部を含む一辺の長さ
の5%以下であるという条件とを満たすことを意味する
ものとする。以下の項においても同様とする。また、
「化合繊繊維」は、例えば、(イ)ポリエステルやナイ
ロン等の合成繊維、(ロ)レーヨンやキュプラ等の再生
化学繊維、(ハ)アセテートやプロミックス等の半合成
繊維の全てを含む称呼であり、「無機繊維」は、ガラス
や金属などの無機物から造られたすべての繊維を含むも
のとする。 (2)角の尖った直角二等辺三角形の断面形状を有する
透明な化合繊繊維または無機繊維(請求項2)。繊維断
面が角の尖った直角二等辺三角形を成していれば、繊維
外面に対してほぼ直角に投射された光線は、繊維の中に
進入してから、繊維の内面で全反射して外部へ放射され
る。例えば、繊維断面の直角を挟む二辺の一方に対応す
る面(垂直面と称する)に直角に光線が投射されると、
その光線は繊維の中に進入してから斜辺に対応する面
(斜面と称する)において反射され、直角を挟む他方の
辺に対応する面(垂直面)から外部へ放射される。ま
た、斜面に直角に投射された光線は、2つの垂直面の一
方から他方に向かって全反射され、その反射光が他方の
垂直面によって全反射されて、斜面から入射方向とは逆
向きに放射される。以上のように、断面が直角二等辺三
角形の繊維に、その繊維の外面にほぼ直角に入射する光
は、繊維内部で全反射されて外部へ放射されるので、反
射による輝度が大幅に増大する。このように反射度が高
い繊維は、夜間など暗い場所で光が弱くても非常に見え
易い。したがって、本発明によれば、従来のように化合
繊繊維または無機繊維の原料に蓄光性物質や蛍光塗料を
添加したり、あるいは蛍光染料による染色加工を施す必
要もなく、繊維断面に溝を刻設して輝度を高める等の特
殊加工も必要とせず、簡単に光反射繊維を製造すること
ができる。また、光の全反射を利用するので、従来の光
沢繊維よりも大幅に輝度を向上させることができる。な
お、断面形状が直角二等辺三角形ではなく、直角三角
形,二等辺三角形,正三角形等の三角形である繊維も、
角が尖っていれば、断面形状が不定形や円形である繊維
に比較して反射輝度が大きく、光反射繊維として使用可
能である。 (3)横断面形状が角の尖った多角形である化合繊繊維
または無機繊維を少なくとも一部の繊維として含む繊維
製品(請求項3)。無撚糸,撚糸,合糸,編織布,不織
布,植毛品,起毛品等の繊維製品を構成する繊維の少な
くとも一部を、横断面形状が角の尖った多角形である化
合繊繊維または無機繊維とすれば、従来の繊維製品と非
常に異なった特性(風合い等)の繊維製品を得ることが
でき、通常の繊維と混ぜて使用し、混合比率を適宜調整
すれば、所望の特性の繊維製品を得ることができる。 (4)角の尖った直角二等辺三角形の断面形状を有する
透明な化合繊繊維または無機繊維を少なくとも一部の繊
維として含む繊維製品(請求項4)。繊維製品を構成す
る繊維の少なくとも一部を、横断面形状が角の尖った直
角二等辺三角形である化合繊繊維または無機繊維とすれ
ば、反射輝度の非常に高い繊維製品を得ることができ、
通常の繊維と混ぜて使用し、混合比率を適宜調整すれ
ば、所望の反射輝度の繊維製品を得ることができる。適
度の反射輝度を有する繊維製品は、種々の産業製品に利
用できる。例えば、表示,広告,交通標識や、傘,合
羽,雨傘等の雨具、乳母車、ショッピングカート、リュ
ックサック,カバン,ステッキ等の装身具、スーツ,コ
ート,帽子等の衣裳、さらに、スポーツ用品等である。 (5)テニスボールの弾性を有する球状本体の外表面を
被覆形成する短繊維層が、角の尖った直角二等辺三角形
の断面形状を有する透明な化合繊繊維または無機繊維を
少なくとも一部の繊維として含む光反射型テニスボー
ル。特公昭63−6027号において、弾性を有する球
状本体の外表面を被覆形成する短繊維層に、Y字型,三
つ葉型,十字型,星型等の断面形状を有する化学繊維が
提案されている。しかし、上記のような繊維に入射する
光は、繊維表面や繊維内部において分散されるので、反
射輝度が必ずしも十分とは言えない。また、実開平7−
21069号には、テニスボールの表面に蛍光塗料を塗
布したものが提案されている。しかしながら、テニスボ
ールに蛍光染料や蛍光塗料が使用されると、蛍光により
ボールが尾を引く曳光現象によって打球が見づらくな
る。テニスコートの背後にある壁に広告などがある場合
には一層見づらい。それに対し、本項によれば、光の全
反射を利用するテニスボールが得られるため、従来のY
型断面繊維や蛍光塗料付きのテニスボールよりも大幅に
輝度を上げることができ、日没の暗がり,夜間照明の
中,昼間,テニスコートの背後の壁に模様や広告等があ
る場合など、ボールが見づらい環境でも容易に視認する
ことができる。なお、短繊維の層の代わりに長繊維の層
により外表面が被覆形成されるテニスボールに本発明を
適用することも可能である。 (6)横断面形状が角の尖った多角形状をなす化合繊繊
維または無機繊維を、海島溶融紡糸法により製造する方
法であって、海島繊維の島成分の紡出口が海成分の紡出
口の内側に複数配設され、それら複数の島成分紡出口同
士が前記多角形の少なくとも一辺に対応する辺において
互いに近接させられるとともに、その少なくとも一辺に
対応する辺以外の辺が多角形の内側に凹まされているこ
とを特徴とする多角形断面繊維の製造方法(請求項
5)。海島溶融紡糸法とは、海成分内部に、海成分とは
化学構造を異にするポリマーまたは無機物質で島成分と
しての多角形断面繊維を複数形成して紡糸した後、ある
いは無撚糸,撚糸,合糸,編織布,不織布,植毛品,起
毛品等の繊維製品を製造した後、最終的に海成分のみを
溶剤処理,アルカリ処理,高温処理,熱水処理や高圧流
体処理,ブラシング,擦過等、島成分は耐性を有する化
学的,物理的処理により除去することによって、多角形
断面繊維を露出させるものである。この海島溶融紡糸法
を利用した本項の方法によれば、互いに近接させられた
辺に対応する面同士が押し合うことによってそれらの面
が膨らむことが抑制されることにより、それらの面が平
面あるいは平面に近いものとなるとともに、凹まされた
辺に対応する面が溶融紡糸の際の表面張力によって膨出
することにより、平面あるいは平面に近い面となる。結
局、角の尖った多角形断面繊維を得ることができるので
ある。 (7)前記多角形の前記少なくとも一辺に対応する辺以
外の辺が、その辺の中点において屈曲させられることに
より内側に凹まされる (6)項に記載の多角形断面繊維の
製造方法。円弧,放物線,双曲線等、曲線状に湾曲させ
ることにより凹ませることも可能であるが、本項に記載
の態様とすれば、紡出口の製造が容易となり、また、特
に良好な多角形断面繊維が得られる。 (8)前記多角形の前記少なくとも一辺に対応する辺以
外の辺が、その辺の両端の角部の内角が等しくなるよう
に屈曲させられることにより内側に凹まされる (6)項に
記載の多角形断面繊維の製造方法。 (9)前記複数の島成分紡出口同士が前記多角形の二辺
に対応する辺において互いに近接させられている (6)項
ないし (8)項のいずれか1つに記載の多角形断面繊維の
製造方法。海島溶融紡糸の際に互いに近接させられた二
辺に対応する面同士が押し合えば、これら2つの面が平
面あるいは平面に近いものとなり、断面形状が良好な角
の尖った多角形断面繊維が得られる。 (10)前記複数の島成分紡出口が海島繊維の中心線を
対称軸として軸対称に配置される (6)項ないし (9)項の
いずれか1つに記載の多角形断面繊維の製造方法。島成
分の紡出口を軸対称に配置すれば、紡出口の製造が容易
となり、また、互いに近接させられている面同士の押し
合う力が均一となって、均一な多角形断面繊維を得易
い。 (11)前記多角形が直角二等辺三角形である (6)項な
いし(10)項のいずれか1つに記載の多角形断面繊維の製
造方法(請求項6)。本項の方法によれば、得られる繊
維の断面が角の尖った直角二等辺三角形となり、(2) 項
において説明したように、特に反射輝度の大きい光反射
繊維を得ることができる。 (12)横断面形状が角の尖った直角二等辺三角形状を
なす化合繊繊維または無機繊維を、海島溶融紡糸法によ
り製造する方法であって、海島繊維の島成分の紡出口が
海成分の紡出口の内側に複数配設され、それら複数の島
成分紡出口同士が前記直角二等辺三角形の直角を挟む二
辺において互いに近接させられるとともに、斜辺が直角
二等辺三角形の内側に凹まされていることを特徴とする
多角形断面繊維の製造方法。 (13)前記直角二等辺三角形の斜辺が、その斜辺の中
点において屈曲させられることにより内側に凹まされる
(12) 項に記載の多角形断面繊維の製造方法。 (14)前記海島繊維の海成分の紡出口の横断面形状
が、前記島成分紡出口の凹みに対応して内側に凹まされ
た星形状をなす (6)項ないし(13)項のいずれか1つに記
載の多角形断面繊維の製造方法。 海成分紡出口の横断面形状を規定する各辺の中点におい
て屈曲させられることにより凹まされてもよいし、辺を
円弧,放物線,双曲線等、曲線状に湾曲させることによ
り凹ませてもよい。海成分紡出口の横断面形状は各辺が
直線である多角形や、単純な円形とすることも可能であ
るが、本項におけるように星形状にすれば、海成分を形
成する材料を節減することができ、その分、多角形断面
繊維の製造コストを低減させることができる。
果】本発明は、以上の事情を背景とし、反射光による光
沢(輝度)を従来に比較して大幅に高めることができる
光反射繊維を提供することを直接の課題としてなされた
ものであるが、本発明によって、横断面形状が角の尖っ
た多角形である繊維が得られ、これの用途は光反射繊維
としての用途には限定されない。本発明によって、下記
各態様の多角形断面繊維、それを使用した繊維製品およ
び多角形断面繊維の製造方法が得られる。各態様は請求
項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応
じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、
あくまでも本発明の理解を容易にするためであり、本明
細書に記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下
の各項に記載のものに限定されると解釈されるべきでは
ない。 (1)化合繊繊維または無機繊維であって、横断面形状
が角の尖った多角形であることを特徴とする多角形断面
繊維(請求項1)。横断面形状が角の尖った多角形であ
る繊維を使用すれば、例えば、従来のものとは風合いが
著しく異なる無撚糸,撚糸,合糸,編織布,不織布,植
毛品,起毛品等の繊維製品を得ることができる。横断面
形状が角の尖った多角形である繊維は従来製造不可能と
考えられていたが、海島溶融紡糸法によれば製造するこ
とができる。ここにおいて、「角の尖った多角形」と
は、多角形の頂点の丸み部の曲率半径が、両端の丸み部
を含む一辺の長さの5%以下であるという条件と、その
一辺と両端の丸み部との2つの接続点を結ぶ直線に対し
て、その一辺が多角形の外側へ膨らみ、あるいは内側へ
凹む量である凹凸量が、両端の丸み部を含む一辺の長さ
の5%以下であるという条件とを満たすことを意味する
ものとする。以下の項においても同様とする。また、
「化合繊繊維」は、例えば、(イ)ポリエステルやナイ
ロン等の合成繊維、(ロ)レーヨンやキュプラ等の再生
化学繊維、(ハ)アセテートやプロミックス等の半合成
繊維の全てを含む称呼であり、「無機繊維」は、ガラス
や金属などの無機物から造られたすべての繊維を含むも
のとする。 (2)角の尖った直角二等辺三角形の断面形状を有する
透明な化合繊繊維または無機繊維(請求項2)。繊維断
面が角の尖った直角二等辺三角形を成していれば、繊維
外面に対してほぼ直角に投射された光線は、繊維の中に
進入してから、繊維の内面で全反射して外部へ放射され
る。例えば、繊維断面の直角を挟む二辺の一方に対応す
る面(垂直面と称する)に直角に光線が投射されると、
その光線は繊維の中に進入してから斜辺に対応する面
(斜面と称する)において反射され、直角を挟む他方の
辺に対応する面(垂直面)から外部へ放射される。ま
た、斜面に直角に投射された光線は、2つの垂直面の一
方から他方に向かって全反射され、その反射光が他方の
垂直面によって全反射されて、斜面から入射方向とは逆
向きに放射される。以上のように、断面が直角二等辺三
角形の繊維に、その繊維の外面にほぼ直角に入射する光
は、繊維内部で全反射されて外部へ放射されるので、反
射による輝度が大幅に増大する。このように反射度が高
い繊維は、夜間など暗い場所で光が弱くても非常に見え
易い。したがって、本発明によれば、従来のように化合
繊繊維または無機繊維の原料に蓄光性物質や蛍光塗料を
添加したり、あるいは蛍光染料による染色加工を施す必
要もなく、繊維断面に溝を刻設して輝度を高める等の特
殊加工も必要とせず、簡単に光反射繊維を製造すること
ができる。また、光の全反射を利用するので、従来の光
沢繊維よりも大幅に輝度を向上させることができる。な
お、断面形状が直角二等辺三角形ではなく、直角三角
形,二等辺三角形,正三角形等の三角形である繊維も、
角が尖っていれば、断面形状が不定形や円形である繊維
に比較して反射輝度が大きく、光反射繊維として使用可
能である。 (3)横断面形状が角の尖った多角形である化合繊繊維
または無機繊維を少なくとも一部の繊維として含む繊維
製品(請求項3)。無撚糸,撚糸,合糸,編織布,不織
布,植毛品,起毛品等の繊維製品を構成する繊維の少な
くとも一部を、横断面形状が角の尖った多角形である化
合繊繊維または無機繊維とすれば、従来の繊維製品と非
常に異なった特性(風合い等)の繊維製品を得ることが
でき、通常の繊維と混ぜて使用し、混合比率を適宜調整
すれば、所望の特性の繊維製品を得ることができる。 (4)角の尖った直角二等辺三角形の断面形状を有する
透明な化合繊繊維または無機繊維を少なくとも一部の繊
維として含む繊維製品(請求項4)。繊維製品を構成す
る繊維の少なくとも一部を、横断面形状が角の尖った直
角二等辺三角形である化合繊繊維または無機繊維とすれ
ば、反射輝度の非常に高い繊維製品を得ることができ、
通常の繊維と混ぜて使用し、混合比率を適宜調整すれ
ば、所望の反射輝度の繊維製品を得ることができる。適
度の反射輝度を有する繊維製品は、種々の産業製品に利
用できる。例えば、表示,広告,交通標識や、傘,合
羽,雨傘等の雨具、乳母車、ショッピングカート、リュ
ックサック,カバン,ステッキ等の装身具、スーツ,コ
ート,帽子等の衣裳、さらに、スポーツ用品等である。 (5)テニスボールの弾性を有する球状本体の外表面を
被覆形成する短繊維層が、角の尖った直角二等辺三角形
の断面形状を有する透明な化合繊繊維または無機繊維を
少なくとも一部の繊維として含む光反射型テニスボー
ル。特公昭63−6027号において、弾性を有する球
状本体の外表面を被覆形成する短繊維層に、Y字型,三
つ葉型,十字型,星型等の断面形状を有する化学繊維が
提案されている。しかし、上記のような繊維に入射する
光は、繊維表面や繊維内部において分散されるので、反
射輝度が必ずしも十分とは言えない。また、実開平7−
21069号には、テニスボールの表面に蛍光塗料を塗
布したものが提案されている。しかしながら、テニスボ
ールに蛍光染料や蛍光塗料が使用されると、蛍光により
ボールが尾を引く曳光現象によって打球が見づらくな
る。テニスコートの背後にある壁に広告などがある場合
には一層見づらい。それに対し、本項によれば、光の全
反射を利用するテニスボールが得られるため、従来のY
型断面繊維や蛍光塗料付きのテニスボールよりも大幅に
輝度を上げることができ、日没の暗がり,夜間照明の
中,昼間,テニスコートの背後の壁に模様や広告等があ
る場合など、ボールが見づらい環境でも容易に視認する
ことができる。なお、短繊維の層の代わりに長繊維の層
により外表面が被覆形成されるテニスボールに本発明を
適用することも可能である。 (6)横断面形状が角の尖った多角形状をなす化合繊繊
維または無機繊維を、海島溶融紡糸法により製造する方
法であって、海島繊維の島成分の紡出口が海成分の紡出
口の内側に複数配設され、それら複数の島成分紡出口同
士が前記多角形の少なくとも一辺に対応する辺において
互いに近接させられるとともに、その少なくとも一辺に
対応する辺以外の辺が多角形の内側に凹まされているこ
とを特徴とする多角形断面繊維の製造方法(請求項
5)。海島溶融紡糸法とは、海成分内部に、海成分とは
化学構造を異にするポリマーまたは無機物質で島成分と
しての多角形断面繊維を複数形成して紡糸した後、ある
いは無撚糸,撚糸,合糸,編織布,不織布,植毛品,起
毛品等の繊維製品を製造した後、最終的に海成分のみを
溶剤処理,アルカリ処理,高温処理,熱水処理や高圧流
体処理,ブラシング,擦過等、島成分は耐性を有する化
学的,物理的処理により除去することによって、多角形
断面繊維を露出させるものである。この海島溶融紡糸法
を利用した本項の方法によれば、互いに近接させられた
辺に対応する面同士が押し合うことによってそれらの面
が膨らむことが抑制されることにより、それらの面が平
面あるいは平面に近いものとなるとともに、凹まされた
辺に対応する面が溶融紡糸の際の表面張力によって膨出
することにより、平面あるいは平面に近い面となる。結
局、角の尖った多角形断面繊維を得ることができるので
ある。 (7)前記多角形の前記少なくとも一辺に対応する辺以
外の辺が、その辺の中点において屈曲させられることに
より内側に凹まされる (6)項に記載の多角形断面繊維の
製造方法。円弧,放物線,双曲線等、曲線状に湾曲させ
ることにより凹ませることも可能であるが、本項に記載
の態様とすれば、紡出口の製造が容易となり、また、特
に良好な多角形断面繊維が得られる。 (8)前記多角形の前記少なくとも一辺に対応する辺以
外の辺が、その辺の両端の角部の内角が等しくなるよう
に屈曲させられることにより内側に凹まされる (6)項に
記載の多角形断面繊維の製造方法。 (9)前記複数の島成分紡出口同士が前記多角形の二辺
に対応する辺において互いに近接させられている (6)項
ないし (8)項のいずれか1つに記載の多角形断面繊維の
製造方法。海島溶融紡糸の際に互いに近接させられた二
辺に対応する面同士が押し合えば、これら2つの面が平
面あるいは平面に近いものとなり、断面形状が良好な角
の尖った多角形断面繊維が得られる。 (10)前記複数の島成分紡出口が海島繊維の中心線を
対称軸として軸対称に配置される (6)項ないし (9)項の
いずれか1つに記載の多角形断面繊維の製造方法。島成
分の紡出口を軸対称に配置すれば、紡出口の製造が容易
となり、また、互いに近接させられている面同士の押し
合う力が均一となって、均一な多角形断面繊維を得易
い。 (11)前記多角形が直角二等辺三角形である (6)項な
いし(10)項のいずれか1つに記載の多角形断面繊維の製
造方法(請求項6)。本項の方法によれば、得られる繊
維の断面が角の尖った直角二等辺三角形となり、(2) 項
において説明したように、特に反射輝度の大きい光反射
繊維を得ることができる。 (12)横断面形状が角の尖った直角二等辺三角形状を
なす化合繊繊維または無機繊維を、海島溶融紡糸法によ
り製造する方法であって、海島繊維の島成分の紡出口が
海成分の紡出口の内側に複数配設され、それら複数の島
成分紡出口同士が前記直角二等辺三角形の直角を挟む二
辺において互いに近接させられるとともに、斜辺が直角
二等辺三角形の内側に凹まされていることを特徴とする
多角形断面繊維の製造方法。 (13)前記直角二等辺三角形の斜辺が、その斜辺の中
点において屈曲させられることにより内側に凹まされる
(12) 項に記載の多角形断面繊維の製造方法。 (14)前記海島繊維の海成分の紡出口の横断面形状
が、前記島成分紡出口の凹みに対応して内側に凹まされ
た星形状をなす (6)項ないし(13)項のいずれか1つに記
載の多角形断面繊維の製造方法。 海成分紡出口の横断面形状を規定する各辺の中点におい
て屈曲させられることにより凹まされてもよいし、辺を
円弧,放物線,双曲線等、曲線状に湾曲させることによ
り凹ませてもよい。海成分紡出口の横断面形状は各辺が
直線である多角形や、単純な円形とすることも可能であ
るが、本項におけるように星形状にすれば、海成分を形
成する材料を節減することができ、その分、多角形断面
繊維の製造コストを低減させることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明の多角形断面繊維の
一例である光反射繊維をテニスボール用の繊維に適用し
た場合の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図
1に示すように、テニスボールの弾性を有する球状本体
10の外表面には、短繊維層12が被覆形成されてい
る。この短繊維層12は、複数の光反射繊維20により
形成されている。本実施形態における光反射繊維20
は、透明な化合繊繊維である。あるいは、無機繊維とし
てもよいし、化合繊繊維と無機繊維との混紡,交織や、
化合繊繊維と無機繊維との少なくとも一方とその他通常
の繊維との混紡,交織により短繊維層12を形成しても
よい。
一例である光反射繊維をテニスボール用の繊維に適用し
た場合の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図
1に示すように、テニスボールの弾性を有する球状本体
10の外表面には、短繊維層12が被覆形成されてい
る。この短繊維層12は、複数の光反射繊維20により
形成されている。本実施形態における光反射繊維20
は、透明な化合繊繊維である。あるいは、無機繊維とし
てもよいし、化合繊繊維と無機繊維との混紡,交織や、
化合繊繊維と無機繊維との少なくとも一方とその他通常
の繊維との混紡,交織により短繊維層12を形成しても
よい。
【0006】光反射繊維20は、図2に示すように、横
断面形状が角の尖った直角二等辺三角形を成している。
この「角の尖った直角二等辺三角形」とは、図5に示す
ように、直角二等辺三角形の各頂点の丸み部の曲率半径
r1 ,r2 ,r3 が、両端の丸み部を含む一辺の長さA
1 ,A2 ,A3 の5%以下であるという条件と、その一
辺と両端の丸み部との2つの接続点を結ぶ直線L1 ,L
2 ,L3 に対して、その一辺が直角二等辺三角形の外側
へ膨らみ、あるいは内側へ凹む量である凹凸量d1 ,d
2 ,d3 が、両端の丸み部を含む一辺の長さA1 ,
A2 ,A3 の5%以下であるという条件とを満たすもの
を意味する。なお、前者の条件は、3%以下であること
が望ましく、1%以下であることがさらに望ましい。0
%に近づくほどより角の尖ったものとなる。また、後者
の条件は、3%以下であることが望ましく、1%以下で
あることがさらに望ましい。0%に近づくほどより平面
に近くなる。これら両条件の各上限値は種々の組合わせ
で採用することができ、それらの条件を満たせば、「角
の尖った直角二等辺三角形」であるものとする。
断面形状が角の尖った直角二等辺三角形を成している。
この「角の尖った直角二等辺三角形」とは、図5に示す
ように、直角二等辺三角形の各頂点の丸み部の曲率半径
r1 ,r2 ,r3 が、両端の丸み部を含む一辺の長さA
1 ,A2 ,A3 の5%以下であるという条件と、その一
辺と両端の丸み部との2つの接続点を結ぶ直線L1 ,L
2 ,L3 に対して、その一辺が直角二等辺三角形の外側
へ膨らみ、あるいは内側へ凹む量である凹凸量d1 ,d
2 ,d3 が、両端の丸み部を含む一辺の長さA1 ,
A2 ,A3 の5%以下であるという条件とを満たすもの
を意味する。なお、前者の条件は、3%以下であること
が望ましく、1%以下であることがさらに望ましい。0
%に近づくほどより角の尖ったものとなる。また、後者
の条件は、3%以下であることが望ましく、1%以下で
あることがさらに望ましい。0%に近づくほどより平面
に近くなる。これら両条件の各上限値は種々の組合わせ
で採用することができ、それらの条件を満たせば、「角
の尖った直角二等辺三角形」であるものとする。
【0007】光反射繊維20は海島溶融紡糸法により製
造される。海島溶融紡糸法とは、図3(a),(b),
(c)に例示されるように、海成分30内部に、海成分
30とは化学構造を異にするポリマーまたは無機物質
で、溶剤,アルカリ等の化学的処理や熱水処理等にも溶
解することのない島成分32(光反射繊維20)が配設
された海島繊維34を溶融紡糸した後、あるいは編織
布,不織布,植毛品,起毛品等の繊維製品を製造した
後、最終的に海成分30のみを溶剤処理,アルカリ処
理,高温処理,熱水処理等で溶解させて除去し、あるい
は高圧流体処理,ブラシング,擦過等の物理的処理によ
り除去し、あるいは上記各処理の複数の組合わせにより
除去することによって、光反射繊維20を得るものであ
る。海成分30内部に配設される島成分32の個数は、
適宜の数とすることができ、図3(a)に示すように、
軸対称に等角度間隔で2個設けてもよいし、図3(b)
に示すように、軸対称に等角度間隔で4個、あるいは図
3(c)に示すように、2個ずつが組をなす4組の島成
分32を軸対称に等角度間隔で設けてもよい。
造される。海島溶融紡糸法とは、図3(a),(b),
(c)に例示されるように、海成分30内部に、海成分
30とは化学構造を異にするポリマーまたは無機物質
で、溶剤,アルカリ等の化学的処理や熱水処理等にも溶
解することのない島成分32(光反射繊維20)が配設
された海島繊維34を溶融紡糸した後、あるいは編織
布,不織布,植毛品,起毛品等の繊維製品を製造した
後、最終的に海成分30のみを溶剤処理,アルカリ処
理,高温処理,熱水処理等で溶解させて除去し、あるい
は高圧流体処理,ブラシング,擦過等の物理的処理によ
り除去し、あるいは上記各処理の複数の組合わせにより
除去することによって、光反射繊維20を得るものであ
る。海成分30内部に配設される島成分32の個数は、
適宜の数とすることができ、図3(a)に示すように、
軸対称に等角度間隔で2個設けてもよいし、図3(b)
に示すように、軸対称に等角度間隔で4個、あるいは図
3(c)に示すように、2個ずつが組をなす4組の島成
分32を軸対称に等角度間隔で設けてもよい。
【0008】このように構成される海島繊維34は、図
6(a),(b),(c)に示す紡糸ノズルの紡出口4
0から紡糸される。これら図6(a),(b),(c)
に示す紡出口40は、それぞれ図3(a),(b),
(c)に示す海島繊維34をそれぞれ紡糸するための紡
出口40である。図6(a)に示す紡出口40は、海成
分紡出口50と、海成分紡出口50の内側に軸対称に等
角度間隔で配設された2つの島成分紡出口52とを備え
るものである。2つの島成分紡出口52は、直角二等辺
三角形の斜辺同士が近接させられるとともに、直角二等
辺三角形の直角を挟む二辺が各辺の中点において内側に
屈曲させられることにより、横断面形状が直角二等辺三
角形が変形させられた形状をなしている。海成分紡出口
50は、島成分紡出口52にそれぞれ対応する4辺を有
する正方形が変形させられた形状を有している。正方形
の各辺の中点であり、かつ、島成分紡出口52の上記屈
曲部に対応する部分が内側に屈曲させられることによ
り、横断面形状が星形状をなしている。
6(a),(b),(c)に示す紡糸ノズルの紡出口4
0から紡糸される。これら図6(a),(b),(c)
に示す紡出口40は、それぞれ図3(a),(b),
(c)に示す海島繊維34をそれぞれ紡糸するための紡
出口40である。図6(a)に示す紡出口40は、海成
分紡出口50と、海成分紡出口50の内側に軸対称に等
角度間隔で配設された2つの島成分紡出口52とを備え
るものである。2つの島成分紡出口52は、直角二等辺
三角形の斜辺同士が近接させられるとともに、直角二等
辺三角形の直角を挟む二辺が各辺の中点において内側に
屈曲させられることにより、横断面形状が直角二等辺三
角形が変形させられた形状をなしている。海成分紡出口
50は、島成分紡出口52にそれぞれ対応する4辺を有
する正方形が変形させられた形状を有している。正方形
の各辺の中点であり、かつ、島成分紡出口52の上記屈
曲部に対応する部分が内側に屈曲させられることによ
り、横断面形状が星形状をなしている。
【0009】図6(b)に示す紡出口40は、海成分紡
出口60内部に4つの島成分紡出口62が軸対称に等角
度間隔で配設されている。これら島成分紡出口62は、
直角二等辺三角形の直角を挟む二辺同士が互いに近接さ
せられるとともに、斜辺がその中点において内側に屈曲
させられた形状を有している。また、斜辺は、その斜辺
の両端に形成される角部の内角が等しくなるように屈曲
させられている。海成分紡出口60は、海成分紡出口5
0と同様、上記屈曲部に対応して内側に屈曲させられた
星形状をなしている。図6(c)に示す紡出口40は、
海成分紡出口70内部に2個ずつが組をなす4組の島成
分紡出口72が軸対称に等角度間隔で配設されている。
これら島成分紡出口72は、直角二等辺三角形の直角を
挟む二辺のうちの一方の辺と斜辺とがそれぞれ互いに近
接させられるとともに、直角を挟む二辺のうちの他方の
辺が内側に屈曲させられた形状を有している。この他方
の辺は、その両端の角部の内角が等しくなるように内側
に屈曲させられている。海成分紡出口70は、上記4組
の島成分紡出口72にそれぞれ対応する4辺を有する正
方形が変形させられた形状を有している。正方形の各辺
の、島成分紡出口72の上記屈曲部に対応する部分がそ
れぞれ2回内側に屈曲させられているのであり、それに
よって、海成分紡出口70全体の横断面形状が星形状を
なしている。
出口60内部に4つの島成分紡出口62が軸対称に等角
度間隔で配設されている。これら島成分紡出口62は、
直角二等辺三角形の直角を挟む二辺同士が互いに近接さ
せられるとともに、斜辺がその中点において内側に屈曲
させられた形状を有している。また、斜辺は、その斜辺
の両端に形成される角部の内角が等しくなるように屈曲
させられている。海成分紡出口60は、海成分紡出口5
0と同様、上記屈曲部に対応して内側に屈曲させられた
星形状をなしている。図6(c)に示す紡出口40は、
海成分紡出口70内部に2個ずつが組をなす4組の島成
分紡出口72が軸対称に等角度間隔で配設されている。
これら島成分紡出口72は、直角二等辺三角形の直角を
挟む二辺のうちの一方の辺と斜辺とがそれぞれ互いに近
接させられるとともに、直角を挟む二辺のうちの他方の
辺が内側に屈曲させられた形状を有している。この他方
の辺は、その両端の角部の内角が等しくなるように内側
に屈曲させられている。海成分紡出口70は、上記4組
の島成分紡出口72にそれぞれ対応する4辺を有する正
方形が変形させられた形状を有している。正方形の各辺
の、島成分紡出口72の上記屈曲部に対応する部分がそ
れぞれ2回内側に屈曲させられているのであり、それに
よって、海成分紡出口70全体の横断面形状が星形状を
なしている。
【0010】このような紡糸口40を備える紡糸ノズル
から海島繊維34が溶融紡糸されるのであるが、この
時、島成分紡出口52,62,72から紡糸される島成
分32の上記互いに近接させられた辺に対応する面が互
いに押し合うことにより、外側に膨らむことが抑制さ
れ、この面が平面または平面に近くなる。また、上記屈
曲部の形成された辺に対応する面は表面張力により外側
に膨らみ、この面も平面または平面に近くなる。結局、
図3(a),(b),(c)に示すように、前述の2つ
の条件を満たす角の尖った直角二等辺三角形状をなす島
成分32を有する海島繊維34が成形されるのである。
から海島繊維34が溶融紡糸されるのであるが、この
時、島成分紡出口52,62,72から紡糸される島成
分32の上記互いに近接させられた辺に対応する面が互
いに押し合うことにより、外側に膨らむことが抑制さ
れ、この面が平面または平面に近くなる。また、上記屈
曲部の形成された辺に対応する面は表面張力により外側
に膨らみ、この面も平面または平面に近くなる。結局、
図3(a),(b),(c)に示すように、前述の2つ
の条件を満たす角の尖った直角二等辺三角形状をなす島
成分32を有する海島繊維34が成形されるのである。
【0011】本実施形態における光反射繊維20に、例
えば、図4(a)に示すように角の尖った直角二等辺三
角形の断面において直角を挟む二辺に対応する面80,
82の一方の面80に向かって直角に光線が放射される
と、光線は繊維内に進入して、上記二辺をつなぐ斜辺に
対応する面86により反射され、他方の面82から外部
に放射される。
えば、図4(a)に示すように角の尖った直角二等辺三
角形の断面において直角を挟む二辺に対応する面80,
82の一方の面80に向かって直角に光線が放射される
と、光線は繊維内に進入して、上記二辺をつなぐ斜辺に
対応する面86により反射され、他方の面82から外部
に放射される。
【0012】また、図4(b)に示すように、面86側
から光線が直角に入射した場合には、面80(または面
82)により面82(面80)に向かって光が全反射さ
れ、そして、面82(面80)から面86に向かって光
が反射されて、入射方向とは逆方向に光が放射される。
から光線が直角に入射した場合には、面80(または面
82)により面82(面80)に向かって光が全反射さ
れ、そして、面82(面80)から面86に向かって光
が反射されて、入射方向とは逆方向に光が放射される。
【0013】本実施形態の光反射繊維を備えるテニスボ
ールは、テニスボールに入射した光線を上述のように全
反射し易いため、従来のY型断面等の繊維が被覆された
テニスボールや蛍光塗料付きのテニスボールよりも大幅
に輝度を向上させることができるので、昼夜を問わず、
また、その他ボールを視認しづらい環境においても容易
に打球を視認することができる。
ールは、テニスボールに入射した光線を上述のように全
反射し易いため、従来のY型断面等の繊維が被覆された
テニスボールや蛍光塗料付きのテニスボールよりも大幅
に輝度を向上させることができるので、昼夜を問わず、
また、その他ボールを視認しづらい環境においても容易
に打球を視認することができる。
【0014】本実施形態によれば、島成分紡出口52,
62,72を前述の横断面形状とすることにより、角の
尖った直角二等辺三角形の光反射繊維が容易に得られ、
また、紡出口の製造も容易となる。さらに、海成分紡出
口50,60,70の横断面形状を星形とすることによ
り、海成分を形成する材料を節減することができ、製造
コストを低減できる。さらにまた、複数の光反射繊維2
0を一度に製造することができ、このことによっても製
造コストを低減させることができる。
62,72を前述の横断面形状とすることにより、角の
尖った直角二等辺三角形の光反射繊維が容易に得られ、
また、紡出口の製造も容易となる。さらに、海成分紡出
口50,60,70の横断面形状を星形とすることによ
り、海成分を形成する材料を節減することができ、製造
コストを低減できる。さらにまた、複数の光反射繊維2
0を一度に製造することができ、このことによっても製
造コストを低減させることができる。
【0015】光反射繊維の横断面形状は、直角二等辺三
角形以外の角の尖った多角形でもよく、例えば、角の尖
った正三角形状としてもよい。その一例を図7および図
8に基づいて説明する。本実施形態における光反射繊維
も、前記「角の尖った直角二等辺三角形」について説明
した2つの条件を満たす角の尖った正三角形である。角
の尖った正三角形状の光反射繊維を海島溶融紡糸法によ
り製造するにあたって、例えば図7に示す紡出口100
を有する紡糸ノズルが使用される。紡出口100は、海
成分紡出口102内部に複数(本実施形態の場合6個)
の島成分紡出口104を軸対称に等角度間隔で備えるも
のである。島成分紡出口104の横断面形状は、正三角
形の二辺同士が互いに近接させられるとともに、それら
二辺以外の一辺がその中点において内側に屈曲させられ
ることにより、正三角形が変形させられた形状をなして
いる。海成分紡出口102は、島成分紡出口104にそ
れぞれ対応する6つの辺を有する六角形が変形させられ
た形状を有している。六角形の各辺の中点であり、島成
分紡出口104の上記屈曲部に対応する部分がそれぞれ
内側に屈曲させられているのであり、それによって、海
成分紡出口102全体の横断面形状が星形状をなしてい
る。このように構成される紡出口100から溶融紡糸さ
れて図8に示す海成分110および島成分112を有す
る海島繊維118が成形される。この時、島成分112
の互いに近接させられた辺に対応する面は互いに押し合
うことにより平面または平面に近くなる。また、島成分
112の上記屈曲部に対応する面は表面張力により外側
に膨らまされ、平面または平面に近くなる。その後、前
記実施形態の海島溶融紡糸法と同様にして海成分110
のみを除去することにより、角の尖った正三角形状の光
反射繊維を得ることができるのである。本実施形態にお
ける島成分の配設個数は、6個以外にも種々の個数とす
ることができる。
角形以外の角の尖った多角形でもよく、例えば、角の尖
った正三角形状としてもよい。その一例を図7および図
8に基づいて説明する。本実施形態における光反射繊維
も、前記「角の尖った直角二等辺三角形」について説明
した2つの条件を満たす角の尖った正三角形である。角
の尖った正三角形状の光反射繊維を海島溶融紡糸法によ
り製造するにあたって、例えば図7に示す紡出口100
を有する紡糸ノズルが使用される。紡出口100は、海
成分紡出口102内部に複数(本実施形態の場合6個)
の島成分紡出口104を軸対称に等角度間隔で備えるも
のである。島成分紡出口104の横断面形状は、正三角
形の二辺同士が互いに近接させられるとともに、それら
二辺以外の一辺がその中点において内側に屈曲させられ
ることにより、正三角形が変形させられた形状をなして
いる。海成分紡出口102は、島成分紡出口104にそ
れぞれ対応する6つの辺を有する六角形が変形させられ
た形状を有している。六角形の各辺の中点であり、島成
分紡出口104の上記屈曲部に対応する部分がそれぞれ
内側に屈曲させられているのであり、それによって、海
成分紡出口102全体の横断面形状が星形状をなしてい
る。このように構成される紡出口100から溶融紡糸さ
れて図8に示す海成分110および島成分112を有す
る海島繊維118が成形される。この時、島成分112
の互いに近接させられた辺に対応する面は互いに押し合
うことにより平面または平面に近くなる。また、島成分
112の上記屈曲部に対応する面は表面張力により外側
に膨らまされ、平面または平面に近くなる。その後、前
記実施形態の海島溶融紡糸法と同様にして海成分110
のみを除去することにより、角の尖った正三角形状の光
反射繊維を得ることができるのである。本実施形態にお
ける島成分の配設個数は、6個以外にも種々の個数とす
ることができる。
【0016】以上、本発明のいくつかの実施形態を詳細
に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、前記
〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識
に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施するこ
とができる。
に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、前記
〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識
に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施するこ
とができる。
【図1】本発明の一実施形態である光反射繊維を使用し
たテニスボールを示す正面断面図である。
たテニスボールを示す正面断面図である。
【図2】上記光反射繊維を示す斜視図である。
【図3】上記光反射繊維を製造するための海島繊維を示
す正面断面図である。
す正面断面図である。
【図4】上記光反射繊維による光の反射を説明するため
の図である。
の図である。
【図5】上記光反射繊維が角の尖った直角二等辺三角形
であるための条件を説明するための図である。
であるための条件を説明するための図である。
【図6】上記海島繊維を製造するための紡出口を示す正
面図である。
面図である。
【図7】本発明の別の実施形態である光反射繊維を製造
するための海島繊維製造用紡出口を示す正面図である。
するための海島繊維製造用紡出口を示す正面図である。
【図8】上記海島繊維を示す正面断面図である。
10:球状本体 12:短繊維層 20:光反射繊
維 30:海成分 32:島成分 34:海島繊維 40:紡出口
50,60,70:海成分紡出口 52,62,7
2:島成分紡出口 80,82,86:面 10
0:紡出口 102:海成分紡出口 104:島成
分紡出口
維 30:海成分 32:島成分 34:海島繊維 40:紡出口
50,60,70:海成分紡出口 52,62,7
2:島成分紡出口 80,82,86:面 10
0:紡出口 102:海成分紡出口 104:島成
分紡出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // D06M 11/38 D06M 5/02 B
Claims (6)
- 【請求項1】化合繊繊維または無機繊維であって、横断
面形状が角の尖った多角形であることを特徴とする多角
形断面繊維。 - 【請求項2】角の尖った直角二等辺三角形の断面形状を
有する透明な化合繊繊維または無機繊維。 - 【請求項3】横断面形状が角の尖った多角形である化合
繊繊維または無機繊維を少なくとも一部の繊維として含
む繊維製品。 - 【請求項4】角の尖った直角二等辺三角形の断面形状を
有する透明な化合繊繊維または無機繊維を少なくとも一
部の繊維として含む繊維製品。 - 【請求項5】横断面形状が角の尖った多角形状をなす化
合繊繊維または無機繊維を、海島溶融紡糸法により製造
する方法であって、 海島繊維の島成分の紡出口が海成分の紡出口の内側に複
数配設され、それら複数の島成分紡出口同士が前記多角
形の少なくとも一辺に対応する辺において互いに近接さ
せられるとともに、その少なくとも一辺に対応する辺以
外の辺が多角形の内側に凹まされていることを特徴とす
る多角形断面繊維の製造方法。 - 【請求項6】前記多角形が直角二等辺三角形である請求
項5に記載の多角形断面繊維の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11370534A JP2000248419A (ja) | 1998-12-28 | 1999-12-27 | 多角形断面繊維,それを使用した繊維製品および多角形断面繊維の製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10-372971 | 1998-12-28 | ||
JP37297198 | 1998-12-28 | ||
JP11370534A JP2000248419A (ja) | 1998-12-28 | 1999-12-27 | 多角形断面繊維,それを使用した繊維製品および多角形断面繊維の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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ID=26582230
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN103233284A (zh) * | 2013-05-23 | 2013-08-07 | 海安县恒业制丝有限公司 | 一种新型功能纤维三角异型丝的生产方法 |
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CN108527964A (zh) * | 2018-03-20 | 2018-09-14 | 杨雷 | 一种安全面料及其制备方法 |
CN113062010A (zh) * | 2020-01-02 | 2021-07-02 | 东丽纤维研究所(中国)有限公司 | 一种海岛复合纤维、极细纤维及海岛复合纤维的应用 |
-
1999
- 1999-12-27 JP JP11370534A patent/JP2000248419A/ja not_active Abandoned
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