JP2000248412A - 装身用パッド及びその製造法 - Google Patents

装身用パッド及びその製造法

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JP2000248412A JP4701499A JP4701499A JP2000248412A JP 2000248412 A JP2000248412 A JP 2000248412A JP 4701499 A JP4701499 A JP 4701499A JP 4701499 A JP4701499 A JP 4701499A JP 2000248412 A JP2000248412 A JP 2000248412A
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Abstract

(57)【要約】 【解決課題】 黄変しにくく、しかも通気性の点でも良
好であるのは勿論のこと、所定の立体的な形状を長期間
維持することができ、弾性、特に表面弾性が高く、嵩高
性及び厚さ方向の弾性が優れた装身用パッド及びその製
造法を提供することを課題とする。 【解決手段】 衣服に装着するために用いる装身用パッ
ドであって、繊維が当該装身用パッドの略厚み方向に配
向した不織布からなるように構成して課題を解決した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、スーツ、ジャケ
ット、ドレス、ブラジャー、ブラスリップ、ボディスー
ツ、オールインワン、ボディシェイパー等の衣服用肩パ
ッドや乳房パッド、女性用水着に使用する水着用パッ
ド、運動用衣服に使用する肩当て、胸当て、肘当て等の
各種運動用パッド等の各種の衣服に取付られて使用され
る装身用パッド及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装身用パッドは、スーツ
やジャケット、あるいはブラジャーやボディスーツ等の
衣服用の肩パッドや乳房パッドなどのように、女性用衣
服などの一部を構成するものとして、広く使用されてい
る。これらの衣服用の各種パッドは、肩や乳房などの形
を整えたり、プロポーションを美しく見せるため、スー
ツやジャケット、あるいはブラジャーやボディスーツ等
の女性用衣服などの肩部や胸部等に、モールド成型など
により成形された肩パッドや乳房パッド等として装着さ
れるように構成されている。
【0003】そして、このような装身用の各種パッドと
しては、例えば、ポリウレタン発泡体、ポリエチレン発
泡体、ポリ塩化ビニル発泡体等の種々の合成樹脂発泡体
をそのまま所定の形状にモールド成型等により成形した
ものや、これらの合成樹脂発泡体で形成した芯体の表面
を適当な不織布や生地等からなる表地で被覆したもの、
あるいは不織布用の繊維であるファイバーフィルのシー
ト体を芯体として所定の形状にモールド成型等により成
形したものなどが使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術の場合には、次のような問題点を有している。す
なわち、上述した従来の装身用パッドのうち、前者のポ
リウレタン等の合成樹脂発泡体を用いた装身用パッドの
場合には、合成樹脂発泡体が黄変しやすいばかりか通気
性の点で劣り、長期間白色性を維持するのが困難であっ
たり、高温高湿環境下等において衣服内気候を快適に維
持するのが困難であるという問題点を有していた。
【0005】また、上述した従来の装身用パッドのう
ち、後者のファイバーフィルのシート体を芯体として用
いた装身用パッドの場合には、黄変しにくく、しかも通
気性の点でも良好であるものの、図19に示すように、
シート体を構成する繊維が横に寝てしまうため、所定の
脹らみ等の立体形状を維持するのが困難であって、弾
性、特に表面弾性が低く、嵩高性及び厚さ方向の弾性の
点で劣り、乳房等の形状を美しく創出するのが困難であ
るという問題点を有していた。
【0006】かかる後者のファイバーフィルのシート体
を芯体として用いた装身用パッドの場合には、現状のフ
ァイバーフィルのシート体を構成する不織布用の繊維
を、細い複数本の針によって立たせるニードルパンチ工
程を介在させ、不織布用の繊維を立たせることも考えら
れるが、このようなニードルパンチ工程を介在させて
も、不織布用の繊維を立たせることは実質的に困難であ
り、装身用パッドの芯体を構成する繊維が横に寝てしま
うため、弾性、特に表面弾性が低く、嵩高性及び厚さ方
向の弾性の点で劣り、乳房等の形状を美しく創出するの
が困難であるという問題点を依然として有していた。
【0007】そこで、この発明は、上記従来技術の問題
点を解決するためになされたものであり、その目的とす
るところは、黄変しにくく、しかも通気性の点でも良好
であるのは勿論のこと、所定の立体的な形状を長期間維
持することができ、弾性、特に表面弾性が高く、嵩高性
及び厚さ方向の弾性が優れた装身用パッド及びその製造
法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項1に記載の発明は、衣服に装着するために
用いる装身用パッドであって、繊維が当該装身用パッド
の略厚み方向に配向した不織布からなることを特徴とす
る装身用パッドである。
【0009】また、請求項2に記載の発明は、パッド本
体と、当該パッド本体の表面を被覆する表地とを有し、
衣服に装着するために用いる装身用パッドであって、上
記パッド本体は、繊維が当該装身用パッドの略厚み方向
に配向した不織布を、所定の形状に加熱圧縮成形するこ
とにより形成されたことを特徴とする装身用パッドであ
る。
【0010】請求項3に記載の発明は、前記不織布が、
種類の異なる複数の積層体を互いに接着することにより
形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の
装身用パッドである。ここで、種類の異なる複数の積層
体とは、例えば、積層体を構成する繊維の密度が異なる
ものや、繊維そのものの種類が異なるものなどを意味す
る。
【0011】さらに、請求項4に記載の発明は、繊維が
一定の方向に略配向した不織布のブロック体からパッド
部材を、不織布の繊維が当該パッド部材の略厚み方向を
向くように所定の形状に切出し、このパッド部材を加熱
圧縮成形して形成することを特徴とする装身用パッドの
製造法である。
【0012】また更に、請求項5に記載の発明は、繊維
が一定の方向に略配向した不織布のブロック体からパッ
ド部材を、不織布の繊維が当該パッド部材の略厚み方向
を向くように所定の形状に切出し、また、予め所定の凸
形状に形成された表地の内面に接着層を形成し、この凸
形状の表地と裏地の間には接着層を介してパッド部材を
挟み込み、これら一対の表裏地及びその間に挟み込まれ
たパッド部材を加熱圧縮成形してパッド本体を成形する
と同時に上記一対の表裏地の周縁部をその接着層により
接着するすることを特徴とする装身用パッドの製造法で
ある。
【0013】請求項6に記載の発明は、前記不織布が、
種類の異なる複数の積層体を互いに接着することにより
形成されていることを特徴とする請求項4又は5記載の
装身用パッドの製造法である。
【0014】
【作用】前記請求項1乃至6のように、繊維が当該装身
用パッドの略厚み方向に配向した不織布を、所定の形状
に加熱圧縮成形することにより形成したものであるの
で、合成樹脂発泡体と異なって不織布を使用することに
より、黄変しにくく、通気性も良好であるのは勿論のこ
と、装身用パッドを加熱圧縮成形することによって形成
する際に、当該装身用パッドを構成する不織布の繊維
は、加熱圧縮成形する際の加圧力によって寝てしまうこ
とがなく、ほとんど装身用パッドの厚み方向に配向した
ままの状態となる。そのため、装身用パッドを構成する
不織布の繊維がほとんど装身用パッドの厚み方向に配向
したままの状態となるので、所定の立体的な形状を長期
間維持することができ、弾性、特に表面弾性が高く、嵩
高性及び厚さ方向の弾性が優れた装身用パッドを提供す
ることができる。また、上記装身用パッドは、これを構
成する不織布の繊維がほとんど装身用パッドの厚み方向
に配向したままの状態となるので、通気性にも一層優れ
た装身用パッドを提供することができる。
【0015】また、請求項5に記載された装身用パッド
の製造方法においては、芯体であるパッド部材の表面を
覆う表地として、予め所定の凸形状に形成された表地を
用いているため、弾性、特に表面弾性が高く、嵩高性及
び厚さ方向の弾性が優れた装身用パッドの特性を損なう
ことなく、表裏地によって被覆された装身用パッドを製
造することができる。すなわち、上記装身用パッドを製
造する際、凸形状に形成された表地は、先に成形又は縫
製しておく必要がある。これは、表地を凸形状に膨出さ
せるためには、表地の材質にもよるが、相当の圧力が必
要であり、芯体としてのパッド部材を表裏地と同時に成
形した場合には、この成形圧力を表地に伝達させるた
め、パッド部材本来の弾性や嵩高性を圧迫して減少させ
てしまうからである。
【0016】
【発明の実施の形態】以下にこの発明を図示の実施の形
態に基づいて説明する。
【0017】実施の形態1 図2はこの発明の実施の形態1に係る装身用パッドを適
用したブラジャーを示すものである。
【0018】図2において、1は女性用下着としてのブ
ラジャーを示すものであり、このブラジャー1は、女性
のバストをそれぞれ覆う左右のカップ部2、3を備えて
いる。これらの左右のカップ部2、3は、当該左右のカ
ップ部2、3の下側に縫着された下辺連結布4によっ
て、一体的に連結されており、この下辺連結布4の左右
両側には、女性の体の背面側で互いに係止される図示し
ない左右の側布がそれぞれ縫着されている。これら左右
の側布の先端部には、フックやアイ等からなる図示しな
い係止具が、縫着等の手段によって取り付けられてい
る。また、上記左右のカップ部2、3の三角形状に形成
された上端部には、女性の肩に掛けるストラップ5、6
がそれぞれ装着されている。
【0019】上記左右のカップ部2、3は、図3に示す
ように、装身用パッドとしての乳房パッド7と、この乳
房パッド7の表面を覆う表地8と、乳房パッド7の裏面
を覆う裏地9とからそれぞれ構成されている。
【0020】上記乳房パッド7は、図4に示すように、
繊維10が当該乳房パッド7の厚み方向に配向された不
織布からなるパッド本体11と、このパッド本体11の
表面を被覆する表地12a、12bとから構成されてい
る。上記パッド本体11は、例えば、図5(a)に示す
ように、1枚で20cm前後の厚みを有する繊維10の
積層体である不織布13を用いて構成される。しかし、
上記のように1枚で20cm前後の厚みを有する不織布
13を製造するのが困難である場合には、図5(b)に
示すように、1枚で3cm〜10cm前後の厚みを有す
る不織布の積層体13aを、複数枚接着剤14をコーテ
イングして積層することにより製造すればよい。この不
織布13は、例えば、繊維10が当該不織布13の厚み
方向に沿って配向するように、接着剤を分散させつつ積
層することによって製造される。上記不織布13の繊維
10としては、例えば、ポリエステル系ファイバー等の
繊維が用いられる。また、上記不織布13としては、例
えば、密度が0.005〜0.1g/cm3 のものが用
いられ、好ましくは0.01〜0.05g/cm3のも
のが用いられる。
【0021】しかしながら、不織布からなる装身用パッ
ドの成形を不要とする場合、つまり、不織布を所定の形
状にカットする等のみで、加圧成形等を行なわない場合
には、ポリエステル系ファイバー等の繊維でなくとも良
い。また、上記不織布13の密度も、装身用パッドの使
用目的によって、より強い弾性が求められる場合と、よ
りソフト性を求める場合とでは、当該密度の値が大幅に
異なってくる。但し、不織布からの切り出し等の加工上
の点からは、ナイフでの切断が容易な硬さが求められ
る。そのため、上記不織布13の密度は例示であり、こ
の範囲に限定されるものではないことは勿論である。
【0022】また、パッド本体11の表面を被覆する表
地12a、12bとしては、綿、ナイロン、ポリエステ
ル、アセテート又はこれらの混紡等の織編物や不織布等
如何なるものでもよいが、それが人体に直接的あるいは
間接的に触れるものであるから好ましくは肌触りのよい
ものであることが望ましい。
【0023】そして、上記パッド本体11と表地12
a、12bとの間には、必要に応じてフィルム層15が
介装される。このフィルム層15としては、パッド本体
11を密封することができ、かつ、耐洗濯性及び耐溶剤
性を有するものであればよく、例えば、アクリル系樹脂
フィルム層、ニトリルゴム系樹脂フィルム層、ホットメ
ルトナイロン系樹脂フィルム層、その他ポリエチレンや
ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂フィルム層、
無変色ウレタン樹脂フィルム層、さらには四弗素化エチ
レン樹脂繊維製布地(W.L.ゴア&アソシエイツ社製
品名:ゴアテックス(GORE−TEX))等を挙げる
ことができる。
【0024】なお、本装身用パッド7を例えば水着用と
して使用する場合には、上記フィルム層15として、非
含水性のものを使用し、パッド本体11等が水分を完全
に含むのを防止するように構成しても良い。
【0025】また、上記フィルム層15としてネット状
のものを使用する場合には、パッドそのものの弾性を高
めるために、弾性のあるものを使用するのも効果的であ
る。さらに、一般的には、フィルム層15をコーテイン
グする場合でも、樹脂を目荒なパッド本体11側に塗布
するが、接着を促す樹脂は、粒子状のものをバインダー
を介して点接着となるように対応することも可能であ
る。特に、代表的なものは、ホットメルト方式と呼ば
れ、生地に樹脂を点接着又は粒子を仮止めするように構
成される。
【0026】上記フィルム層15については、それ自体
は接着性がなくて適当な接着剤と共に使用されてパッド
本体11と表地12a、12bとの間に介装され、パッ
ド本体11を密封するものであってもよく、また、それ
自体が接着性を有してパッド本体11を被覆する表地周
縁部間あるいはこの表地周縁部間及びパッド本体11と
表地12a、12bとの間を接着する接着層を兼ねるも
のであってもよい。後者のような目的で使用し得るフィ
ルム層15としては、例えばアクリルエマルジョン、ニ
トリルゴムラテックス、ナイロン系ホットメルト系樹脂
層等を挙げることができる。
【0027】さらに、この発明の装身用パッド7を製造
する方法としては、例えば、不織布の塊から、所定の製
品としてのパッド形状に切り出した(スライスした)も
のを、そのまま当該工程で完成された形状の装身用パッ
ド7として使用する方法が挙げられる。
【0028】また、上記装身用パッド7を製造する方法
としては、例えば、不織布の塊から、所定の形状に切り
出した(スライスした)ものを、モールド成形により所
定の装身用パッド7の形状に成形する方法が挙げられ
る。
【0029】さらに、上記装身用パッド7を製造する方
法としては、例えば、不織布の塊から、所定の形状に切
り出した(スライスした)ものを、モールド成形により
所定のパッド部材の形状に成形し、この成形されたパッ
ド部材の表面又は裏面の少なくとも一方を、表地又は裏
地によって被覆する方法が挙げられる。この場合、例え
ば、パッド本体11、フィルム層15を構成する樹脂フ
ィルム及び表地12a、12bをそれぞれ別個に用意し
てこれらを適当な接着剤で貼り合わせてもよいが、好ま
しくは表地12a、12bにラミネート加工を施してそ
の片面側に耐洗濯性及び耐溶剤性を有すると共に加熱圧
縮することにより接着性を発揮するフィルム層15を形
成し、このフィルム層15を利用してパッド本体11を
表地12a、12bで被覆する方法である。
【0030】すなわち、先ず、図7に示すように、1枚
で3cm〜10cm前後の厚みを有する積層体13aを
複数枚積層した不織布13の大きなブロック16から所
定の大きさの棒状体17を切出し、この棒状体17から
図8に示すようにパッド本体11の大きさ及び形状に近
い形状を有するパッド部材18をスライス加工によって
切出す。上記パッド部材18を切出す形状としては、図
8の上部に図示したように、中央部が厚く、両端部に行
くにしたがって除々薄く形成しても、図8の下部に図示
したように、中央部及び両端部ともに厚くなるように形
成してもよい。なお、上記図8の上部に示した形状は、
例えば、スライス方式によって形成されるが、図8の下
部に示した形状は、例えば、一定の形状(円錐体)にく
り抜く方式によって形成される。但し、図8に示すよう
に、円錐形状に近い形状であっても、図9に示すよう
に、ナイフの角度を変える等の工夫を凝らすことによ
り、肉厚を変えて円錐形状等に形成することも可能であ
る。
【0031】そして、上記のごとく、棒状体17から図
10(a)に示すようにパッド本体11の大きさ及び形
状そのままにカット及びスライス加工により切り出した
ものを、そのまま当該工程で完成された形状の装身用パ
ッド7として使用しても良い。その際、図10(a)に
示すように、棒状体17から内面を円錐形状にくり抜い
た後に、片面乃至両面をスライスして、所定の装身用パ
ッド7の形状に形成しても良い。
【0032】また、上記のごとく、棒状体17から図1
0(b)及び図11に示すようにシート状乃至円錐形状
等にバンドーナイフによって切断したものを、モールド
成形により成形して完成された形状の装身用パッド7を
製造しても良い。なお、製品によっては、図10(b)
に示す部材の二辺を切り落として、図11(b)に示す
ように、四角錐又は三角錐形状に形成したものを、熱成
形しても良い。
【0033】その際、図10(a)に示すように、製品
形状に近い準製品形状にカット及びスライスされたもの
を、モールド成形することによって完成された形状の装
身用パッド7を製造しても良い。
【0034】さらに、上記のごとくカット及びスライス
加工により切り出したものの表面又は裏面を、図10
(c)に示すように、縫製若しくは成形によって形成し
た表地又は裏地によって被覆することによって完成され
た形状の装身用パッド7を製造しても良い。その際、必
要に応じて装身用パッド7の外周に縫止又はコーテイン
グを施すようにしても良い。また、パッド本体11の裏
面を覆う裏地を、パッド部材18の成形時にコーテイン
グして一体成形し、表地は、上述した方法によって形成
しても良い。さらに、表地を所定の凸形状に予め成形
し、パッド部材18の成形時に裏地と同時に成形、コー
テイングすることによりパッド本体11の表裏両面を覆
うようにしても良い。また更に、裏地のみをパッド部材
18の成形時に同時に一体成形し、表面は被覆せずに、
ブラジャー等の製品に表面を縫着又は接着等することに
より、製品と一体的にデザインするようにしても良い。
さらに、パッド本体11の表裏両面ともに被覆せずに、
ブラジャー等の製品の表裏の素材によって覆うことによ
り、製品と一体的にデザインするようにしても良い。
【0035】なお、上記表地又は裏地に順応する素材と
しては、例えば、張力が弱く、より拡張率の高い素材が
用いられる。
【0036】次に、上記装身用パッドの更に具体的な製
造方法について説明する、すなわち、先ず、図7に示す
ように、1枚で3cm〜10cm前後の厚みを有する積
層体13aを複数枚積層した不織布13の大きなブロッ
ク16から所定の大きさの棒状体17を切出し、この棒
状体17から図8に示すようにパッド本体11の大きさ
及び形状に近い形状を有するパッド部材18をスライス
加工によって切出す。この切出されたパッド部材18の
断面形状は、後述するモールド成型時等の圧縮率にもよ
るが、パッド本体11を厚く形成し、圧縮率を高く設定
した場合には、パッド本体11の弾性を高く設定するこ
とができ、パッド部材18を薄く形成し、圧縮率を低く
設定した場合には、パッド本体11をソフトに形成する
ことができる。なお、このパッド部材18そのものによ
って装身用パッドである乳房パッド7を構成してもよ
い。その際、このパッド部材18は、不織布13の繊維
10が、当該パッド部材18を後述するようにモールド
成型する際の加圧方向と同一方向を向くように切り出さ
れる。その結果、上記パッド部材18をモールド成型す
ることによってパッド本体11を製造する際に、当該パ
ッド本体11を構成する不織布13の繊維10は、モー
ルド成型する際の加圧力によって寝てしまうことがな
く、ほとんどパッド本体11の厚み方向に配向したまま
の状態となる。
【0037】次に、表地12a、12bに接着剤を塗布
するか、表地12a、12bにラミネート加工を施して
その片面側に耐洗濯性及び耐溶剤性を有すると共に加熱
圧縮することにより接着性を発揮するフィルム層15を
形成し、このフィルム層15が形成された表地から上記
パッド部材18の片面より若干大きめの一対の表地片1
2a、12bを形成し、これら一対の表地片12a、1
2bの間には、接着剤層又はフィルム層15を内側にし
て上記パッド部材18を挟み込み、これら一対の表地片
12a、12b及びその間に挟み込まれたパッド部材1
8を、図12に示すようにプレス成形機19にセット
し、温度200℃及び圧力15Kg/cm 2 ・Gの条件
で1分間加熱圧縮成形してパッド本体11を成形すると
同時に上記一対の表地片12a、12bの周縁部を接着
剤層又はフィルム層15により接着するのがよい。そし
て、この加熱圧縮成形の際の成形条件については、使用
するパッド部材18の材質や厚さ、さらには必要に応じ
て使用する接着剤の種類等によって異なるが、通常、温
度が50〜250℃、好ましくは100〜220℃であ
って、圧力が0.5〜10Kg/cm2 ・G、好ましく
は1〜7Kg/cm2・Gであり、加圧時間が3分程度
又は5分程度である。
【0038】このように、上記実施の形態に係る装身用
パッド7は、繊維10が当該装身用パッド7の略厚み方
向に配向した不織布13を、所定の形状に加熱圧縮成形
することにより形成したものであるので、合成樹脂発泡
体と異なって不織布を使用することにより、黄変しにく
く、通気性も良好であるのは勿論のこと、装身用パッド
7を加熱圧縮成形することによって形成する際に、当該
装身用パッド7を構成する不織布13の繊維10は、加
熱圧縮成形する際の加圧力によって寝てしまうことがな
く、ほとんど装身用パッド7の厚み方向に配向したまま
の状態となる。そのため、装身用パッド7を構成する不
織布13の繊維10がほとんど装身用パッド7の厚み方
向に配向したままの状態となるので、所定の立体的な形
状を長期間維持することができ、弾性、特に表面弾性が
高く、嵩高性及び厚さ方向の弾性が優れた装身用パッド
を提供することができる。また、上記装身用パッド7
は、これを構成する不織布13の繊維10がほとんど装
身用パッド7の厚み方向に配向したままの状態となるの
で、通気性にも一層優れた装身用パッド7を提供するこ
とができる。
【0039】実施の形態2 図13はこの発明の実施の形態2を示すものであり、前
記実施の形態1と同一の部分には同一の符号を付して説
明すると、この実施の形態2では、不織布のブロック体
からパッド部材を切出す際の当該パッド部材の形状が、
前記実施の形態1と異なるように構成されている。
【0040】この実施の形態2では、先ず、図14に示
すように、1枚で3cm〜10cm前後の厚みを有する
積層体13aを複数枚積層した不織布13の大きなブロ
ック16から所定の大きさの棒状体17を切出す。次
に、図15に示すように、この棒状体17から底面18
a及び上面18bが円錐形状に形成されたパッド部材1
8をくり抜き及びスライス加工によって切出す。その
際、このパッド部材18は、不織布13の繊維10が、
当該パッド部材18を後述するようにモールド成型する
際の加圧方向と同一方向を向くように切り出される。そ
の結果、上記パッド部材18をモールド成型することに
よってパッド本体11を製造する際に、当該パッド本体
11を構成する不織布13の繊維10は、モールド成型
する際の加圧力によって寝てしまうことがなく、ほとん
どパッド本体11の厚み方向に配向したままの状態とな
る。
【0041】次に、上記パッド部材18を、図15
(b)に示すように、その上面18b側を押さえ型41
と、底面18a側を受型42とで加圧する。その際、上
部より押さえ型41により押さえた場合、受型42がパ
ッド部材18を圧縮するまでの厚味(間隙)を持った時
点で、加熱加圧することによってモールド成形を行な
う。また、このとき、パッド部材18の形状は、図15
中の斜線で示す形状で作成することが望ましいが、押さ
え型41と受型42とによってパッド部材18がフラッ
ト形状となる形成しても良い。その後、上記押さえ型4
1と受型42とによって圧縮されたパッド部材18その
もの、又は図15に示すように、ナイフ43によってス
ライスすることによって、パッド部材40が形成され
る。
【0042】実施の形態3 図16及び図17はこの発明の実施の形態3を示すもの
であり、前記実施の形態1と同一の部分には同一の符号
を付して説明すると、この実施の形態3では、不織布の
ブロック体が同じ材質のものを複数枚積層したものでは
なく、異なる材質又は層の構成を積層した不織布のブロ
ック体を使用するように構成されている。
【0043】すなわち、この実施の形態3では、図16
に示すように、不織布のブロック体17として、密度の
異なる複数枚の積層体13aを積層した不織布13の大
きなブロック16からなるものを使用している。上記密
度の異なる複数枚の積層体13aとしては、例えば、互
いに密度の異なるソフトな積層体13a’と、セミソフ
トな積層体13”と、ハードな積層体13a’”とを使
用するように構成されている。なお、上記積層体13a
の数は、3つに限定されるものではなく、又、密度以外
にも、不織布の繊維の材質や太さ、あるいは弾性率を異
ならせたものなどを使用しても勿論よい。その際、上記
積層体13aとしては、図16(b)に示すように、不
織布の繊維を縦方向に配向したものが用いられる。そし
て、上記の如く形成されたブロック16からブロック体
17を切り出して、例えば、ブラジャー用の装身用パッ
ドであれば、図17に示すように、下方に行くに従っ
て、順にハードな積層体となるようにスライス又はくり
抜いてデザインし、成形配置される。
【0044】その他の構成及び作用は、前記実施の形態
1と同様であるので、その説明を省略する。
【0045】なお、上記不織布13の棒状体17からパ
ッド部材18を切出す形状は、図18に示すように直角
三角形状等に設定してもよい。
【0046】その他の構成及び作用は、前記実施の形態
1と同様であるので、その説明を省略する。
【0047】
【発明の効果】この発明は、以上説明したように、黄変
しにくく、しかも通気性の点でも良好であるのは勿論の
こと、所定の立体的な形状を長期間維持することがで
き、弾性、特に表面弾性が高く、嵩高性及び厚さ方向の
弾性が優れた装身用パッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はこの発明の実施の形態1に係る装身用
パッドを構成する不織布のブロックを示す構成図であ
る。
【図2】 図2はこの発明の実施の形態1に係る装身用
パッドを適用したブラジャーを示す構成図である。
【図3】 図3はブラジャーのカップ部を示す断面構成
図である。
【図4】 図4は乳房パッドを示す構成図である。
【図5】 図5(a)(b)は不織布をそれぞれ示す断
面構成図である。
【図6】 図6は乳房パッドを示す部分断面図である。
【図7】 図7は不織布のブロック体を示す斜視説明図
である。
【図8】 図8はこの発明の実施の形態1に係る装身用
パッドを構成する不織布のブロックを示す構成図であ
る。
【図9】 図9はパッド部材を切り出す状態を示す説明
図である。
【図10】 図10(a)〜(c)はパッド部材及び装
身用パッドの製造工程をそれぞれ示す構成図である。
【図11】 図11(a)(b)はパッド部材及び装身
用パッドの製造工程をそれぞれ示す構成図である。
【図12】 図12は装身用パッドの製造工程を断面図
である。
【図13】 図13はこの発明の実施の形態2に係る装
身用パッドを構成する不織布のブロックを示す構成図で
ある。
【図14】 図14は不織布のブロック体を示す斜視説
明図である。
【図15】 図15(a)(b)はパッド部材及び装身
用パッドの製造工程をそれぞれ示す構成図である。
【図16】 図16(a)(b)はこの発明の実施の形
態3に係る装身用パッドを構成する不織布のブロックを
それぞれ示す構成図である。
【図17】 図17(a)(b)はこの発明の実施の形
態3に係る装身用パッドを構成する不織布のブロックを
それぞれ示す構成図である。
【図18】 図18はこの発明の実施の形態3に係る不
織布のブロック体を示す説明図である。
【図19】 図19は従来の装身用パッドに使用される
シート体を示す説明図である。
【符号の説明】
7:乳房パッド、8:表地、9:裏地、10:繊維、1
1:パッド本体、12a、12b:表地、13:不織
布、18:パッド部材。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 衣服に装着するために用いる装身用パッ
    ドであって、繊維が当該装身用パッドの略厚み方向に配
    向した不織布からなることを特徴とする装身用パッド。
  2. 【請求項2】 パッド本体と、当該パッド本体の表面を
    被覆する表地とを有し、衣服に装着するために用いる装
    身用パッドであって、上記パッド本体は、繊維が当該装
    身用パッドの略厚み方向に配向した不織布を、所定の形
    状に加熱圧縮成形することにより形成されたことを特徴
    とする装身用パッド。
  3. 【請求項3】 前記不織布は、種類の異なる複数の積層
    体を互いに接着することにより形成されていることを特
    徴とする請求項1又は2記載の装身用パッド。
  4. 【請求項4】 繊維が一定の方向に略配向した不織布の
    ブロック体からパッド部材を、不織布の繊維が当該パッ
    ド部材の略厚み方向を向くように所定の形状に切出し、
    このパッド部材を加熱圧縮成形して形成することを特徴
    とする装身用パッドの製造法。
  5. 【請求項5】 繊維が一定の方向に略配向した不織布の
    ブロック体からパッド部材を、不織布の繊維が当該パッ
    ド部材の略厚み方向を向くように所定の形状に切出し、
    また、予め所定の凸形状に形成された表地の内面に接着
    層を形成し、この凸形状の表地と裏地の間には接着層を
    介してパッド部材を挟み込み、これら一対の表裏地及び
    その間に挟み込まれたパッド部材を加熱圧縮成形してパ
    ッド本体を成形すると同時に上記一対の表裏地の周縁部
    をその接着層により接着するすることを特徴とする装身
    用パッドの製造法。
  6. 【請求項6】 前記不織布は、種類の異なる複数の積層
    体を互いに接着することにより形成されていることを特
    徴とする請求項4又は5記載の装身用パッドの製造法。
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