JP2000248378A - 非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents

非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板及びその製造方法

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JP2000248378A JP37561399A JP37561399A JP2000248378A JP 2000248378 A JP2000248378 A JP 2000248378A JP 37561399 A JP37561399 A JP 37561399A JP 37561399 A JP37561399 A JP 37561399A JP 2000248378 A JP2000248378 A JP 2000248378A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 6価クロムを含まずに、耐食性に優れ且つ下
層への密着性の良好な防錆皮膜を備えた亜鉛系めっき鋼
板とその製造方法を提供する。 【解決手段】 リン酸、硝酸、硫酸、塩酸その他の無機
酸と酢酸等の有機酸並びにこれらの塩から選ばれた物質
の酸性水溶液で処理した表面を有する亜鉛めっき鋼板又
は亜鉛合金めっき鋼板上に、(A)有機樹脂、チオカル
ボニル基含有化合物、及びりん酸化合物を含有する皮
膜、(B)上記(A)に更に微粒シリカを含有する皮
膜、(C)有機樹脂、チオカルボニル基含有化合物、及
び微粒シリカを含有し、りん酸化合物を含まない皮膜、
(D)有機樹脂とバナジウム酸化合物を含み、且つ任意
に、チオカルボニル基含有化合物、りん酸化合物及び微
粒シリカのうち少なくとも1種を含有する皮膜、のうち
の一つを、0.1〜5μmの膜厚で有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家電用、建材用、
自動車用等に用いられる、6価クロムを含有しない、耐
食性に優れた非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板とその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】亜鉛めっき鋼板あるいは亜鉛合金めっき
鋼板は、海水等の塩分を含む雰囲気又は高温多湿の雰囲
気では、表面に白錆が発生して外観を著しく損ねたり、
素地鉄面に対する防錆力が低下したりする。
【0003】白錆の防止には、従来よりクロメート系の
防錆処理剤が利用されており、例えば特開平3−131
370号公報には、オレフィン−α,β−エチレン性不
飽和カルボン酸共重合体樹脂ディスパージョンに水分散
性クロム化合物と水分散性シリカを含有させた樹脂系処
理剤が記載されている。
【0004】このようなクロメート系処理剤による皮膜
は、既知の処理剤の中で耐食性が最も良好なものとして
認識されている。とは言え、クロメート処理による皮膜
は有害元素であることが知られている6価クロムを含有
しており、そのため6価クロムを含有しない表面処理鋼
板への要求が高まっている。
【0005】有害なクロムを含まないノンクロム防錆処
理剤が、特開平8−239776号公報、特開平8−6
7834号公報に記載されており、これらでは硫化物や
イオウを用いている。しかし、イオウはもちろん硫化物
の中には特有な臭気を放つものがあり、これらの処理剤
の取扱いは必ずしも容易でなかった。
【0006】イオウ原子を含むが臭気性も毒性もないト
リアジンチオール化合物を用いた処理剤も提案されてお
り、例えば特開昭53─31737号公報には、ジチオ
ール−S−トリアジン誘導体を添加した水溶性防食塗料
が開示されている。ところが、この水溶性防食塗料は、
軟鋼、銅、真ちゅうなどの防食を目的としており、特に
基材が銅や真ちゅうの場合により密着しやすいように調
製されている。従って、亜鉛等の金属表面に対する防錆
剤としては不十分である。
【0007】特開昭61−223062号公報には、チ
オカルボニル基含有化合物と、水に難溶又は不溶性の有
機化合物を混合して得られる金属との反応性エマルショ
ンが記載されている。しかし、このエマルションも、
銅、ニッケル、スズ、コバルト、アルミニウム等及びそ
れらの合金と反応するものであり、亜鉛等の金属表面に
対する防錆剤としてはやはり不十分である。
【0008】本願の出願人らは、特願平9−2557号
でもって、亜鉛系めっき鋼板の防錆にも有効なトリアジ
ンチオール含有防錆コーティング剤を開示した。しか
し、トリアジンチオールは高価な化合物であり、そのた
めもっと安価な防錆処理剤が利用できることは有益なこ
とである。
【0009】クロムを含有せず、トリアジンチオールも
使用しない、亜鉛又は亜鉛合金の表面処理方法として、
特開昭54−71734号公報及び特開平3−2265
84号公報に記載されているものがある。特開昭54−
71734号公報に記載の処理法は、ミオイノシトール
の2〜6個の結合リン酸エステル又はその塩類を0.5
〜100g/lと、チタン弗化物及びジルコニウム弗化
物のうちの少なくとも一方を金属換算で0.5〜30g
/lと、チオ尿素又はその誘導体1〜50g/lとを含
有する水溶液で、亜鉛又は亜鉛合金を表面処理するもの
である。この方法は、亜鉛表面に保護層としての不動態
皮膜を形成するためにチタン弗化物又はジルコニウム弗
化物を必要としている。特開平3−226584号公報
では、Ni2+とCo2+の一方又は両方を0.02g/l
以上と、アンモニア及び1級アミン基を有する化合物の
うちの少なくとも1種とを含有しているpH5〜10の
水溶液である表面処理剤が使用されている。この処理剤
は、塗装密着性及び塗装後の耐食性をコバルト又はニッ
ケルの析出によって付与するため、Ni2+とCo2+の一
方又は両方を必要としている。これらの金属イオンを含
有する処理剤は、廃水処理時の負荷が大きくなる等の不
都合があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このように、クロムを
含まないこれまでの防錆剤は、耐食性の点でクロム含有
防錆剤に及ばず、そのほかにも上述のように不都合な点
があった。そこで、クロム含有防錆剤に取って代わり、
しかも上述の不都合のない新しい防錆剤の開発が強く望
まれていた。
【0011】このような要望を満たすための新しい技術
として、本願の出願人らは、水性樹脂、チオカルボニル
基含有化合物及びリン酸イオンを含み、且つ任意に微粒
シリカを含む防錆コーティング(特願平10−3626
4号)を開発した。また、水性樹脂、チオカルボニル基
含有化合物及び微粒シリカを含有し、リン酸イオンを含
まない防錆コーティング(特願平10−36265号)
を開発した。更に、水性樹脂とバナジウム酸化合物とを
含み、且つ任意に、チオカルボニル基含有化合物、リン
酸イオン及び微粒シリカのうちの少なくとも1種を更に
含む防錆コーティングを開発した(特願平10−362
67号)。
【0012】これらの新しい防錆コーティング剤は、ク
ロムを含まず、且つ耐食性に優れているので、従来のク
ロメート系処理剤に代わって亜鉛めっき又は亜鉛合金め
っき鋼板の防錆剤としての利用が期待される。そしてこ
れらの新しい防錆コーティング剤をより一層実用的なも
のとする上で、コーティング剤により形成した皮膜の下
層への密着性を高めることが非常に有益である。
【0013】本発明は、これらに鑑みて、上述の新しい
防錆コーティング剤による皮膜を備え、この皮膜の下層
への密着性が優れた非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板及
びその製造方法を提供しようというものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】発明者らは、クロムを含
まない上述の新しい防錆コーティング剤を使って亜鉛系
めっき鋼板に防錆皮膜を形成する際に、酸又はその塩の
水溶液でめっき鋼板を前処理すると、防錆コーティング
剤から形成したコーティング(皮膜)の下地めっき鋼板
への密着性が向上することを見いだした。
【0015】従って、本発明の非クロム型処理亜鉛系め
っき鋼板は、リン酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸、ケイ
フッ酸、ホウフッ酸、ホウ酸、ケイ酸、及び酢酸、リン
ゴ酸等の有機酸、並びにこれらの塩から選ばれた1種又
は2種以上の物質の酸性水溶液で処理した表面を有する
亜鉛めっき鋼板又は亜鉛合金めっき鋼板を下地とし、こ
の下地鋼板の上に、厚さが0.1〜5μm の、下記の
(A)〜(D)のうちの一つの皮膜を有することを特徴
とする。
【0016】(A)固形分として有機樹脂100重量部
に対し、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50重量
部、及びリン酸化合物0.01〜20重量部(PO4
して)を含有する皮膜。 (B)上記(A)に更に固形分として微粒シリカ1〜5
00重量部を含有する皮膜。 (C)固形分として有機樹脂100重量部に対し、チオ
カルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、及び微粒
シリカ1〜500重量部を含有し、リン酸化合物を含ま
ない皮膜。 (D)固形分として有機樹脂100重量部に対し、少な
くともバナジウム酸化合物0.1〜20重量部を含み、
且つ任意に、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50
重量部、リン酸化合物0.01〜20重量部(PO4
して)及び微粒シリカ1〜500重量部のうち少なくと
も1種を含有する皮膜。
【0017】そして本発明の非クロム型処理亜鉛系めっ
き鋼板は、亜鉛めっき鋼板又は亜鉛合金めっき鋼板であ
る下地鋼板をリン酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸、ケイ
フッ酸、ホウフッ酸、ホウ酸、ケイ酸、及び酢酸、リン
ゴ酸等の有機酸、並びにこれらの塩から選ばれた1種又
は2種以上の物質の酸性水溶液で処理し、その後当該下
地鋼板の上に、(1)水と、固形分として水性樹脂10
0重量部に対し、チオカルボニル基含有化合物0.1〜
50重量部、及びリン酸化合物0.01〜20重量部
(PO4として)を含有するコーティング剤組成物、
(2)上記(A)に更に固形分として微粒シリカ1〜5
00重量部を含有するコーティング剤組成物、(3)水
と、固形分として水性樹脂100重量部に対し、チオカ
ルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、及び微粒シ
リカ1〜500重量部を含有し、リン酸化合物を含まな
いコーティング剤組成物、(4)水と、固形分として水
性樹脂100重量部に対し、バナジウム酸化合物0.1
〜20重量部を含み、且つ任意に、チオカルボニル基含
有化合物0.1〜50重量部、リン酸化合物0.01〜
20重量部(PO4 として)及び微粒シリカ1〜500
重量部のうち少なくとも1種を含有するコーティング剤
組成物、のうちの一つを塗布してコーティング膜を形成
し、次いでこのコーティング膜を加熱、乾燥させて、厚
さ0.1〜5μm の皮膜を形成することを特徴とする、
非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法により製造
することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明で下地として使用するの
は、表面に亜鉛めっき又は亜鉛合金めっきを施した鋼板
である。なお、ここでは、亜鉛めっきと亜鉛合金めっき
を総称して「亜鉛系めっき」と称する。
【0019】本発明では、亜鉛系めっき鋼板に防錆コー
ティング皮膜を形成する前に、亜鉛系めっき鋼板をリン
酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸、ケイフッ酸、ホウフッ
酸、ホウ酸、ケイ酸、及び酢酸、リンゴ酸等の有機酸、
並びにそれらの塩から選ばれた1種又は2種以上の物質
の酸性水溶液で処理する。この処理を受けためっき表面
は粗面化され、そのため後に形成される防錆コーティン
グ皮膜のめっき表面への密着性を向上させる。また、こ
の酸性水溶液での処理には、めっき表面の酸化皮膜を除
去することで防錆コーティング皮膜のめっき表面への密
着性及び耐食性を高める効果もある。
【0020】本発明で下地鋼板の浸漬処理に使用可能な
塩類の例としては、リン酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ
酸、ケイフッ酸、ホウフッ酸、ホウ酸、ケイ酸、及び酢
酸、リンゴ酸等の有機酸のナトリウム、カリウム、リチ
ウム、マグネシウム、カルシウム塩を挙げることができ
る。また、これらの酸性水溶液中に、酸洗性促進や更な
る耐食性向上あるいはめっき表面の黒変性を抑制する目
的等で、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al等
の金属イオンを添加することも有効であり、上記酸の塩
類として加えるのが好ましい。
【0021】酸性水溶液での処理は、浸漬が一般的であ
る。とは言え、このほかの任意の方法を利用しても差し
支えない。
【0022】酸性水溶液での処理条件は、処理の方法や
使用する物質によりいろいろであり、具体的な条件はそ
れらの応じて適宜決定することができる。一例として、
浸漬を利用する場合の一般的な処理条件を例示すると、
次のとおりである。
【0023】処理に使用する酸あるいはその塩の水溶液
は、pHが4以下の範囲内であるのが好ましい。水溶液
のpHが4を超えると密着性向上の効果が薄くなってし
まう。
【0024】水溶液の温度は、特に規定するものではな
いが、5℃未満では処理に要する時間が長くなるので、
5℃以上であることが好ましい。一方、高温の処理液を
使用するのには加熱設備が必要になる等の不都合がある
ので、水溶液は一般に80℃以下の温度であるのが好ま
しい。
【0025】下地鋼板を水溶液に浸漬する時間は、短す
ぎると密着性向上の十分な効果が得られず、長すぎると
めっき層を破壊してかえって腐食の原因になることがあ
る。これらを勘案して、下地鋼板を浸漬する場合には、
浸漬時間を0.1〜20秒の範囲内とするのが好まし
い。また、コーティング剤を塗布する前には、処理した
面をエアーブローで乾燥させるか、もしくは水洗、湯洗
工程を経た後、乾燥させるのが好ましい。特に処理した
鋼板をそのままコーティング剤塗布工程にもっていく
と、コーティング剤中に酸性液が混入し、塗料のゲル化
が発生しやすくなるためである。
【0026】酸性水溶液での前処理を終えた下地鋼板に
は、次に上記(A)〜(D)のうちの一つの皮膜を形成
する。
【0027】このような皮膜を形成するには、水中に所
定の成分を含むコーティング剤組成物を調製し、予め本
発明の酸性水溶液での処理を施した亜鉛めっき鋼板に塗
布し、塗膜を加熱、乾燥する。コーティング剤組成物
は、任意の濃度で調製して差し支えない。一般には、固
形分(水以外の成分)を1〜80重量部、水を99〜2
0重量部含有するコーティング剤組成物が、塗布とその
後の加熱・乾燥の観点から好ましい。塗膜の加熱によ
り、硬化性樹脂の場合は樹脂を硬化させ、架橋性樹脂の
場合は樹脂を架橋させる。塗膜の加熱・乾燥は、コーテ
ィング剤を塗布した亜鉛めっき鋼板を熱風で加熱して乾
燥させるほか、加熱した鋼板にコーティング剤を塗布し
て乾燥させてもよい。加熱温度としては、50〜250
℃がよい。50℃未満では水分の蒸発速度が遅く十分な
成膜性が得られないので、防錆力が不足する。一方25
0℃を超えると、水性樹脂の熱分解などが生じるので、
SST性、耐水性が低下し、また外観も黄変する問題が
ある。70〜200℃がより好ましい。熱風乾燥では1
秒〜5分間の乾燥時間が好ましい。また、加熱・乾燥後
の冷却は、水冷、自然冷却、空冷等の公知の方法、ある
いはこれらを組み合わせた方法で行えばよい。
【0028】皮膜の乾燥膜厚は、0.1μm 以上が好適
である。0.1μm 未満では、防錆力(耐食性)が不足
する。一方膜厚が厚くなると、防錆力(耐食性)にそれ
以上の向上がそれほど認められなくなり、不経済であ
る。そこで、膜厚は5μm を上限とするのが適当であ
る。また、溶接性等の特性を具備させるためには2μm
以下が好ましい。
【0029】コーティング剤組成物の塗布方法は、特に
限定されず、一般に使用されるロールコート、エアース
プレー、エアーレススプレー、浸漬などが採用できる。
【0030】本発明において使用する皮膜(防錆コーテ
ィング)を説明すると、この皮膜は有機樹脂をベースと
している。この有機樹脂は、水中に水性樹脂と皮膜のそ
の他の成分とを含む組成物を塗布後に乾燥して得られる
ものである。ここでの水性樹脂とは、水溶性樹脂のほ
か、本来不水溶性でありながらエマルジョンやサスペン
ジョンのように不溶性樹脂が水中に微分散された状態に
なり得るもの(水分散性樹脂)を含めていう。
【0031】本発明において水性樹脂として使用できる
樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリウ
レタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹
脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキド系
樹脂、フェノール系樹脂、その他の加熱硬化型の樹脂な
どを例示でき、架橋可能な樹脂であることがより好まし
い。特に好ましい樹脂は、ポリオレフィン系樹脂、ポリ
ウレタン系樹脂、及び両者の混合樹脂である。水性樹脂
は2種類以上を混合して使用してもよい。
【0032】皮膜で用いられるチオカルボニル基含有化
合物は、硫化物であって、金属表面に吸着し易く、また
酸化力も優れているので、金属表面を不動態化して、防
錆効果を奏する。特に、チオカルボニル基含有化合物に
おけるチオール基のイオンは、鋼板表面(特に亜鉛又は
亜鉛合金表面)の活性なサイトに吸着されて防錆効果を
発揮すると考えられる。
【0033】また、チオカルボニル基含有化合物は、樹
脂皮膜の架橋促進剤として作用し、樹脂皮膜のミクロポ
アを少なくして、水や塩素イオンなどの有害イオンを効
率よく遮断する効果も有し、これも防錆効果に寄与する
と考えられる。
【0034】本発明においてチオカルボニル基含有化合
物とは、下式で表されるチオカルボニル基
【0035】
【化1】
【0036】を有する化合物をいう。代表的には、
【化2】
【0037】で表されるチオ尿素及びその誘導体、例え
ば、メチルチオ尿素、ジメチルチオ尿素、エチルチオ尿
素、ジエチルチオ尿素、ジフェニルチオ尿素、チオペン
タール、チオカルバジド、チオカルバゾン類、チオシア
ヌル酸類、チオヒダントイン、2−チオウラミル、3−
チオウラゾールなどや、下式
【0038】
【化3】
【0039】で表されるチオアミド化合物(式中のR
は、例えばH、CH3 、C2 5 、C65 、C
8 5 、C5 3 SOなどを表す)、例えば、チオホル
ムアミド、チオアセトアミド、チオプロピオンアミド、
チオベンズアミド、チオカルボスチリル、チオサッカリ
ンなどや、下式
【0040】
【化4】
【0041】で表されるチオアルデヒド化合物(式中の
Rは、例えばH、CH3 などを表す)、例えば、チオホ
ルムアルデヒド、チオアセトアルデヒドなどや、下式
【0042】
【化5】
【0043】で表されるカルボチオ酸類(式中のRは、
例えばCH3 、C6 5 などを表す)、例えば、チオ酢
酸、チオ安息香酸、ジチオ酢酸などや、下式
【0044】
【化6】
【0045】で表されるチオ炭酸類や、その他の式
(1)の構造を有する化合物、例えば、チオクマゾン、
チオクモチアゾン、チオニンブルーJ、チオピロン、チ
オピリン、チオベンゾフェノンなど、が例示される。
【0046】チオカルボニル基含有化合物の含有量は、
上記(A)〜(C)の皮膜においては、固形分として有
機樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部がよ
い。チオカルボニル基含有化合物の含有量が0.1重量
部より少ないと、上述の効果が目立たなくなり、50重
量部より多いと、それに伴う経費の上昇に見合うだけの
効果が期待できなくなる。
【0047】一方、上記(D)の皮膜にチオカルボニル
基含有化合物が含まれる場合、その含有量は、固形分と
して有機樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量
部がよい。チオカルボニル基含有化合物の含有量が0.
1重量部より少ないと、やはり上述の効果が目立たなく
なり、50重量部より多いと、経費の上昇に見合うだけ
の効果が期待できなくなる。
【0048】本発明における皮膜は、チオカルボニル基
含有化合物とともにリン酸化合物を含むことにより、そ
の防錆効果が著しく向上する。先に述べたように、チオ
カルボニル基含有化合物は鋼板表面(特に亜鉛又は亜鉛
合金表面)の活性なサイトに吸着されて防錆効果を発揮
するが、鋼板表面(特に亜鉛又は亜鉛合金表面)の不活
性なサイトにはリン酸が作用して活性な表面を形成し、
そこにチオカルボニル基含有化合物が吸着されるので、
鋼板表面(特に亜鉛又は亜鉛合金表面)全体に防錆効果
が発揮され、防錆効果が向上するものと考えられる。ま
た、リン酸化合物も樹脂皮膜の架橋促進剤として作用
し、樹脂皮膜のミクロポアを少なくして、水や塩素イオ
ンなどの有害イオンを効率よく遮断する効果を有し、こ
れも防錆効果に寄与すると考えられる。
【0049】リン酸化合物としては、リン酸イオンを含
む化合物であればよいが、例えば、オルトリン酸(リン
酸)、メタリン酸、ピロリン酸、及びこれらの物質の全
ての水素イオンあるいは一部の水素イオンが置き換えら
れた、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、
カリウム塩、マグネシウム塩等の塩類を、単独であるい
は混合して、使用することができる。
【0050】リン酸化合物の含有量は、上記(A)、
(B)、(D)の皮膜において、固形分として有機樹脂
100重量部に対して、リン酸イオンとして0.01〜
20重量部の範囲内である。リン酸化合物が0.01重
量部未満では防錆効果が十分に発揮されず、一方20重
量部を超えるとかえって防錆効果が低下したり、コーテ
ィング溶液の状態で樹脂がゲル化したりして不具合が生
じることがある。
【0051】本発明における皮膜は、微粒シリカを含む
ことができる。皮膜がシリカを含む場合、その防錆作用
(耐食性)は著しく促進される。しかも耐食性に加え
て、皮膜形成時の乾燥性、形成した皮膜の耐擦傷性、密
着性も改良できる。
【0052】本発明において微粒シリカとは、微細な粒
径をもつために水中に分散させた場合に安定に水分散状
態を維持でき、半永久的に沈降が認められないような特
性を有するシリカを総称していうものである。上記微粒
シリカとしては、ナトリウムなどの不純物が少なく、弱
アルカリ系のものであれば、特に限定されない。例え
ば、「スノーテックスN」「スノーテックスNXS」
「スノーテックスNS」「スノーテックスC」(以上、
日産化学工業社製)、「アデライトAT−20N」「ア
デライトAT−20A」(以上、旭電化工業社製)など
の市販のシリカゲル、または市販のアエロジル粉末シリ
カなどを用いることができる。
【0053】皮膜に微粒シリカが含まれる場合、その含
有量は、固形分として有機樹脂100重量部に対して1
〜500重量部であることが好ましい。1重量部未満で
は添加の効果が少なく、500重量部を超えると耐食性
向上の効果が飽和して不経済であるほか、皮膜が硬くな
りすぎ皮膜割れ、剥離などが発生して耐食性が低下する
こともある。
【0054】ところで、上記(C)の皮膜はチオカルボ
ニル基含有化合物のほかにシリカを含み、リン酸化合物
を含まない。リン酸化合物は、上述のようにチオカルボ
ニル基含有化合物と共存することで防錆効果を著しく向
上させる一方で、シリカが共存する場合に上層被覆を形
成するための塗布組成物の可使時間を低下させる傾向が
ある。そのため、(C)の皮膜は、塗布組成物の可使時
間を延ばすためリン酸化合物を排除した組成物から形成
された皮膜に相当するものである。
【0055】上記(D)の皮膜は、先に説明した有機樹
脂を含み、且つ任意に、これまで説明したチオカルボニ
ル基含有化合物、リン酸化合物及び微粒シリカのいずれ
かの組み合わせを含むほかに、必須成分としてバナジウ
ム酸化合物を含む。
【0056】バナジウム酸化合物は、クロム酸化合物と
同様の防錆作用を奏する。すなわち、バナジウム酸化合
物は、皮膜形成用の組成物の塗布時に金属表面に不動態
皮膜を形成して防錆効果を奏する。更に、鋼板表面(特
に亜鉛又は亜鉛合金めっき表面)に腐食部位が発生した
場合にも、皮膜中に存在するバナジウム酸イオンが腐食
部位に作用して腐食反応を抑制する効果もあるものと考
えられる。
【0057】バナジウム酸化合物としては、例えば、バ
ナジウム酸、バナジウム酸アンモニウム、バナジウム酸
ナトリウム、バナジウム酸カリウム、バナジウム酸スト
ロンチウム、バナジウム酸水素ナトリウム等のバナジウ
ム酸塩、またリンバナジウム酸、リンバナジウム酸アン
モニウム等のリンバナジウム酸塩などを用いることがで
きる。
【0058】バナジウム酸化合物の量は、固形分として
有機樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部の
範囲内がよい。0.1重量部より少ないと防錆効果が十
分でなく、20重量部より多くても防錆効果は飽和して
不経済になる。
【0059】バナジウム酸化合物を微粒シリカと併用す
ると、バナジウム酸化合物が微粒シリカの表面に吸着し
て、相乗的に防錆効果が奏せられる。この意味で、微粒
シリカがアンモニウム吸着型や酸化アルミニウム被覆型
の場合には、吸着し易いので防錆効果が向上して好適で
ある。
【0060】上記(D)の皮膜にあっては、有機樹脂及
びバナジウム酸化合物以外の成分のいろいろな組み合わ
せが可能であり、これら以外の含有成分の一例として、
(1)チオカルボニル基含有化合物、(2)チオカルボ
ニル基含有化合物と微粒シリカ、(3)チオカルボニル
基含有化合物と微粒シリカとリン酸化合物などを好まし
いものとして挙げることができるが、(D)の皮膜にお
ける成分の組み合わせはこれらに限定されない。
【0061】本発明における皮膜は、上記の成分以外の
成分を含むこともできる。例えば、顔料、界面活性剤な
どを挙げることができる。また、有機樹脂とシリカ粒
子、顔料との親和性を向上させ、更に有機樹脂と亜鉛又
は鉄のリン酸化物層との密着性などを向上させるために
シランカップリング剤もしくはその加水分解縮合物又は
それらの両方を配合してもよい。ここでの「シランカッ
プリング剤の加水分解縮合物」とは、シランカップリン
グ剤を原料とし、加水分解重合させたシランカップリン
グ剤のオリゴマーのことをいう。
【0062】このような顔料としては、例えば、酸化チ
タン(TiO2 )、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニ
ウム(ZrO2 )、炭化カルシウム(CaCO3 )、硫
酸バリウム(BaSO4 )、アルミナ(Al2 3 )、
カオリンクレー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe2
3 、Fe3 4 )などの無機顔料や、有機顔料などの各
種着色顔料などを用いることができる。
【0063】本発明で使用できる上記のシランカップリ
ング剤としては特に制限はないが、好ましいものとして
は、例えば以下のものを挙げることができる:ビニルメ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエト
キシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピル
トリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリ
メトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−
(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N,
N′−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕エ
チレンジアミン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミ
ノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノ
エチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリ
エトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシ
シラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、
N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−ア
ミノプロピルトリメトキシシラン。
【0064】特に好ましいシランカップリング剤は、ビ
ニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、3−
アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ
メトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)
−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、
N,N′−ビス〔3−(トリメトキシシリル)プロピ
ル〕エチレンジアミンである。これらシランカップリン
グ剤は1種類を単独で使用してもよいし、または2種類
以上を併用してもよい。
【0065】本発明では、上記シラン化合物は、固形分
として、有機樹脂100重量部に対して、0.01〜2
0重量部であることが好ましい。シラン化合物の添加量
が0.01重量部未満になると添加効果の低下が認めら
れ、耐食性、上塗り塗装密着性向上効果が不足し、20
重量部を超えるとコーティング溶液の状態で樹脂がゲル
化したりして不具合が生じることがある。
【0066】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に説明する。
下記の例において使用した評価方法は、以下のとおりで
ある。
【0067】a)皮膜密着性 下記の例においての処理した皮膜の密着性は、OT−1
80度折り曲げ加工後セロテープ(商標)にて密着、剥
離し、その剥離の程度を以下の評価方法に従い、評価し
た。 10点:異常なし 9点:剥離した割合が10%以下 8点: 〃 20%以下 7点: 〃 30%以下 6点: 〃 40%以下 5点: 〃 50%以下 4点: 〃 60%以下 3点: 〃 70%以下 2点: 〃 80%以下 1点: 〃 90%以下 0点: 〃 90%より大
【0068】b)耐食性(塩水噴霧試験) JIS Z 2371に準拠し、噴霧時間168時間後
の白錆の程度を10点満点で評価した。評価は、平面部
と4mmφ180度曲げ加工部について、116時間後で
評価を行った。また、評価基準は下記のものとした。 10点:異常なし 9点:白錆発生面積が10%以下 8点: 〃 20%以下 7点: 〃 30%以下 6点: 〃 40%以下 5点: 〃 50%以下 4点: 〃 60%以下 3点: 〃 70%以下 2点: 〃 80%以下 1点: 〃 80%を超えるあるいは赤錆発生
【0069】c)上塗り塗装密着性 処理鋼板にスーパーラック100(日本ペイント社製、
アクリルメラミン塗料)を乾燥膜厚20μm となるよう
にバーコートで塗布した後に、板温度150℃で20分
間焼き付けを行い、上塗り塗装密着試験板を作製した。
これらの試験板について、以下の試験を実施した。
【0070】c1)一次密着性試験 エリクセン7mm:エリクセンで7mmまで押し出し加工し
た部分にテープを貼り、テープ剥離性を評価した。評価
基準は下記のものとした。 10点:異常なし 9点:剥離した割合が10%以下 8点: 〃 20%以下 7点: 〃 30%以下 6点: 〃 40%以下 5点: 〃 50%以下 4点: 〃 60%以下 3点: 〃 70%以下 2点: 〃 80%以下 1点: 〃 90%以下 0点: 〃 90%より大
【0071】c2)二次密着性試験 上記上塗り塗装した試験板を沸水中に30分浸漬後に取
り出し、一昼夜放置後、一次密着性試験と同様の試験及
び評価を実施した。
【0072】〔実施例1〜14、比較例1〕ゼンジマー
法にて製造した溶融亜鉛めっき鋼板(めっき付着量10
0g/m2、めっき浴中アルミニウム含有率0.2%)を
表1に示す酸性水溶液に5秒間浸漬後、流水にて水洗
し、エアーブローにて乾燥させた後に、クロムを含まな
い防錆コーティング剤を乾燥皮膜1μm になるように塗
布した後、400℃の熱風循環焼き付け炉で板温150
℃となるように焼き付け、その後空冷にて室温まで冷却
した。
【0073】クロムを含まない防錆コーティング剤は、
固形分として東邦化学社製オレフィン樹脂(商品名:ハ
イテックS−7024)50重量部と旭電化社製ウレタ
ン樹脂(商品名:ボンタイターHUX−320)50重
量部の合計樹脂固形分100重量部に対し、チオカルボ
ニル基含有化合物としてチオ尿素を固形分として2.5
重量部、微粒シリカとして日産化学社製シリカ(商品
名:スノーテックス−N)を固形分として30重量部、
及びリン酸アンモニウムをPO4 として1.0重量部に
なるように純水に薄め、全固形分濃度が20%になるよ
うに調整し、更にpHを8.0に調整したものを用い
た。表1に示した結果から明らかなように、本発明のク
ロムを含まない防錆コーティング剤で処理した場合は、
いずれも優れた性能を示した。一方、比較例1は酸性水
溶液による酸洗処理を防錆コーティング前に行わなかっ
た比較例であるが、実施例に比較し、皮膜の密着性が低
下していた。
【0074】
【表1】
【0075】〔実施例15〜45、比較例2〜8〕実施
例15〜45は、ゼンジマー法にて製造した溶融亜鉛め
っき鋼板(めっき付着量100g/m2、めっき浴中アル
ミニウム含有率0.15%、Pb0.08%)をフッ酸
5g/l溶液に3秒間浸漬後、流水にて水洗し、エアー
ブローにて乾燥させた後に、クロムを含まない防錆コー
ティング剤を乾燥皮膜1.5μm になるように塗布した
後、400℃の熱風循環焼き付け炉で板温150℃とな
るように焼き付け、その後空冷にて室温まで冷却した。
【0076】クロムを含まない防錆コーティング剤とし
ては、固形分として東邦化学社製オレフィン樹脂(商品
名:ハイテックS−7024)100重量部に対し、チ
オカルボニル基含有化合物としてチオ尿素を固形分とし
て2.5重量部添加し、微粒シリカとリン酸化合物の添
加量を変化させ、純水に薄めて全固形分濃度が5%にな
るように調整し、更にpHを8.5に調整したものを用
いた。
【0077】なお、表2中のリン酸化合物の薬剤名は以
下のとおりである。 記号A リン酸一水素アンモニウム 記号B リン酸二水素アンモニウム 記号C リン酸 記号D リン酸ナトリウム+リン酸一水素アンモニウム
(混合比1:1) 記号E ピロリン酸アンモニウム
【0078】また、表2中のシリカ薬剤は以下のとおり
である。 記号A 日産化学社製スノーテックス−N 記号B 日産化学社製スノーテックス−NS 記号C 日産化学社製スノーテックス−C 記号D 日産化学社製スノーテックス−NXS 記号E 旭電化社製アデライトAT−20N 記号F 旭電化社製アデライトAT−20A
【0079】リン酸化合物濃度が高いほど二次の上塗り
塗装密着性が低下する傾向であった。また、シリカ濃度
が高いほど皮膜の密着性も上塗り塗装密着性も低下する
傾向があった。更に、いずれの成分も耐食性に寄与して
おり、添加により耐食性は向上するが、添加量が増大す
ると、かえって皮膜の溶解性を高めてしまい、耐食性が
低下する傾向も伺えた。
【0080】一方、比較例2はリン酸が30重量部で本
発明の実施例よりも濃度が高く、シリカを含まないもの
であるが、耐食性も、上塗り塗装密着性も低いものであ
った。また、比較例3、4は本発明の実施例よりもリン
酸濃度が高く、かつシリカを含むものであるが、特にシ
リカ濃度が本発明の実施例よりも高い比較例3は全ての
性能が劣化している。また、これらの2例のコーティン
グ剤は1ケ月の放置により、いずれもゲル化現象を生じ
たが、他はそのような現象は認められなかった。比較例
5はシリカ、リン酸化合物ともに含み、シリカ濃度の範
囲が本発明の実施例よりも高いものであるが、皮膜の密
着性が低下している。また、比較例6はシリカもリン酸
化合物も含まれない比較例であるが、耐食性が非常に劣
位のものであった。比較例7はリン酸化合物を含むが、
本発明の範囲以下の濃度で且つシリカが含まれない比較
例であり、比較例8はシリカを含むが、本発明の範囲以
下の濃度で且つリン酸化合物が含まれない比較例である
が、ともに耐食性が劣位であった。
【0081】
【表2】
【0082】〔実施例46〜63、比較例9、10〕ゼ
ンジマー法にて製造した溶融亜鉛めっき鋼板(めっき付
着量100g/m2、めっき浴中アルミニウム含有率0.
18%、鉛0.05%)を硫酸30g/l+硫酸コバル
ト20g/l水溶液に2秒間浸漬後、流水にて水洗し、
エアーブローにて乾燥させた後に、クロムを含まない防
錆コーティング剤を乾燥皮膜1μm になるように塗布し
た後、400℃の熱風循環焼き付け炉で板温150℃と
なるように焼き付け、その後水冷し、エアーブローにて
乾燥した。
【0083】クロムを含まない防錆コーティング剤とし
ては、固形分として東邦化学社製オレフィン樹脂(商品
名:ハイテックS−7024)50重量部と旭電化社製
ウレタン樹脂(商品名:ボンタイターHUX−320)
50重量部の合計樹脂固形分100重量部に対し、チオ
カルボニル基含有化合物を種々変化させ、微粒シリカと
して日産化学社製シリカ(商品名:スノーテックス−
N)を固形分として30重量部、リン酸アンモニウムを
PO4 として1.5重量部になるように純水に薄め、全
固形分濃度が20%になるように調整し、更にpHを
9.0に調整したものを用いた。
【0084】なお、表3中のチオカルボニル基含有化合
物は以下のとおりである。 記号A チオ尿素 記号B 1,3−ジエチル−2−チオ尿素 記号C 1,3−ジフェニル−2−チオ尿素 記号D ジブチルチオ尿素 記号E テトラメチルチウラムモノスルフィド 記号F テトラメチルチウラムジスルフィド 記号G チオアセトアミド 記号H チオアセトアルデヒド
【0085】これらの性能評価結果を表3に示す。実施
例46〜63に対し、比較例9は、チオカルボニル基含
有化合物濃度が本発明の範囲以下の比較例であり、比較
例10はチオカルボニル基含有化合物を含まない比較例
であるが、いずれも耐食性が劣っていた。
【0086】
【表3】
【0087】〔実施例64〜81、比較例11、12〕
ゼンジマー法にて製造した溶融亜鉛めっき鋼板(めっき
付着量80g/m2、めっき浴中アルミニウム含有率0.
25%)を塩酸3g/l水溶液に10秒間浸漬後、流水
にて水洗し、エアーブローにて乾燥させた後に、クロム
を含まない防錆コーティング剤を乾燥皮膜0.7μm に
なるように塗布した後、400℃の熱風循環焼き付け炉
で板温120℃となるように焼き付け、エアーブローに
て室温まで冷却した。
【0088】クロムを含まない防錆コーティング剤とし
ては、固形分として東邦化学社製オレフィン樹脂(商品
名:ハイテックS−7024)50重量部と旭電化社製
ウレタン樹脂(商品名:ボンタイターHUX−320)
50重量部の合計樹脂固形分100重量部に対し、シラ
ン化合物として信越化学社製γ−グリシドプロピルトリ
エトキシシラン(商品名:KBE−403)を固形分と
して1重量部、バナジウム酸化合物を種々変化させ、微
粒シリカ、リン酸化合物、チオカルボニル基含有化合物
は表1〜3の記号に従い、表4のように調製し、純水に
薄め、全固形分濃度が25%になるように調整し、更に
pHを9.0に調整したものを用いた。
【0089】表4中のバナジウム酸化合物は以下のとお
りである。 記号A バナジウム酸アンモニウム 記号B バナジウム酸 記号C バナジウム酸ストロンチウム 記号D リンバナジウム酸アンモニウム 記号E バナジウム酸カリウム
【0090】これらの性能評価結果を表4に示す。実施
例64〜81に対し、比較例11はバナジウム酸化合物
濃度が本発明の範囲未満で、シリカを含む比較例であ
り、比較例12はバナジウム酸化合物濃度が本発明の範
囲未満で、シリカを含まない比較例であるが、いずれも
耐食性が劣っていた。
【0091】
【表4】
【0092】〔実施例82〜105、比較例13、1
4〕以下の例では、鋼板の種類として次に掲げるものを
用いた。 記号A 溶融亜鉛めっき鋼板(浴中アルミニウム:0.
22%)(めっき付着量140g/m2) 記号B 5%アルミニウム−亜鉛合金溶融亜鉛めっき鋼
板(めっき付着量80g/m2) 記号C 55%5%アルミニウム−亜鉛合金溶融亜鉛め
っき鋼板(めっき付着量60g/m2) 記号D 蒸着亜鉛めっき鋼板(めっき付着量10g/
m2) 記号E 電気11%ニッケル−亜鉛合金めっき鋼板(め
っき付着量20g/m2) 記号F 電気亜鉛めっき鋼板(めっき付着量20g/
m2) 記号G 合金化溶融亜鉛−10%鉄合金めっき鋼板(め
っき付着量45g/m2
【0093】これらの鋼板を、硫酸20g/l+硫酸コ
バルト10g/l水溶液をスプレー圧1.0kg/cm2
10秒間スプレー後、流水にて水洗し40℃のホットエ
アーブローにて乾燥させた後に、クロムを含まない防錆
コーティング剤を表5に示す付着量になる様に塗布した
後、850℃の直火焼き付け炉で板温160℃となるよ
うに焼き付け、エアーブローにて室温まで冷却した。
【0094】クロムを含まない防錆コーティング剤とし
ては、下記の記号で表される樹脂、すなわち、 記号A 東邦化学社製オレフィン樹脂(商品名:ハイテ
ックS−7024)50重量部と旭電化社製ウレタン樹
脂(商品名:ボンタイターHUX−320)50重量部
との混合樹脂 記号B 東邦化学社製オレフィン樹脂(商品名:ハイテ
ックS−7024)100重量部 記号C 東亜合成社製アクリル樹脂(商品名:AP−1
058(12))100重量部 記号D 昭和高分子社製エポキシ樹脂(商品名:ポリゾ
ール8500)100重量部 記号E 高松油脂社製ポリエステル樹脂(商品名:ペス
レジンA−124G)100重量部 に対し、下記の記号で表わせるシラン化合物を表5に示
す量を添加し、 A:γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン「K
BE−403」(信越化学社製) B:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン「K
BM−403」(信越化学社製) C:ビニルトリメトキシシラン「KBM−1003」
(信越化学社製) D:N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエ
トキシシラン「KBE−603」(信越化学社製) E:γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン「KB
M−803」(信越化学社製) チオカルボニル基含有化合物としてチオ尿素を固形分と
して2.5重量部、微粒シリカとして日産化学社製シリ
カ(商品名:スノーテックス−N)を固形分として30
重量部、リン酸アンモニウムをPO4 として1.0重量
部になる様に純水に薄め、全固形分濃度が20%になる
ように調整し、更にpHを8.0に調整したものを用い
た。
【0095】合金化溶融亜鉛−10%鉄合金めっき鋼板
を下地に用いたものは皮膜付着量が少いと白錆や赤錆が
出やすく、耐食性が劣る傾向であったが、他のめっき材
では良好な特性を示した。また、皮膜付着量が本発明の
範囲以下の比較例13や本発明の皮膜が全くない比較例
14は耐食性や上塗り塗装密着性に劣っていた。
【0096】
【表5】
【0097】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
6価クロムを含有しない、耐食性に優れた、しかも下層
への密着性が優れた非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板の
利用が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森下 敦司 千葉県君津市君津1番地 新日本製鐵株式 会社君津製鐵所内 (72)発明者 島倉 俊明 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社内 (72)発明者 山添 勝芳 東京都品川区南品川4丁目1番15号 日本 ペイント株式会社内 Fターム(参考) 4K044 AA02 AB02 BA10 BA12 BA14 BA17 BA21 BB11 BC04 CA04 CA11 CA18 CA53 CA62

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸、ケ
    イフッ酸、ホウフッ酸、ホウ酸、ケイ酸、及び酢酸、リ
    ンゴ酸等の有機酸、並びにこれらの塩から選ばれた1種
    又は2種以上の物質の酸性水溶液で処理した表面を有す
    る亜鉛めっき鋼板又は亜鉛合金めっき鋼板を下地とし、
    この下地鋼板の上に、厚さが0.1〜5μm の、下記の
    (A)〜(D)のうちの一つの皮膜を有することを特徴
    とする非クロム型処理亜鉛系めっき鋼板。 (A)固形分として有機樹脂100重量部に対し、チオ
    カルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、及びリン
    酸化合物0.01〜20重量部(PO4 として)を含有
    する皮膜 (B)上記(A)に更に固形分として微粒シリカ1〜5
    00重量部を含有する皮膜 (C)固形分として有機樹脂100重量部に対し、チオ
    カルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、及び微粒
    シリカ1〜500重量部を含有し、リン酸化合物を含ま
    ない皮膜 (D)固形分として有機樹脂100重量部に対し、少な
    くともバナジウム酸化合物0.1〜20重量部を含み、
    且つ任意に、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50
    重量部、リン酸化合物0.01〜20重量部(PO4
    して)及び微粒シリカ1〜500重量部のうち少なくと
    も1種を含有する皮膜
  2. 【請求項2】 亜鉛めっき鋼板又は亜鉛合金めっき鋼板
    である下地鋼板をリン酸、硝酸、硫酸、塩酸、フッ酸、
    ケイフッ酸、ホウフッ酸、ホウ酸、ケイ酸、及び酢酸、
    リンゴ酸等の有機酸、並びにこれらの塩から選ばれた1
    種又は2種以上の物質の酸性水溶液で処理し、その後当
    該下地鋼板の上に、 (1)水と、固形分として水性樹脂100重量部に対
    し、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、
    及びリン酸化合物0.01〜20重量部(PO4とし
    て)を含有するコーティング剤組成物、 (2)上記(A)に更に固形分として微粒シリカ1〜5
    00重量部を含有するコーティング剤組成物、 (3)水と、固形分として水性樹脂100重量部に対
    し、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50重量部、
    及び微粒シリカ1〜500重量部を含有し、リン酸化合
    物を含まないコーティング剤組成物、 (4)水と、固形分として水性樹脂100重量部に対
    し、バナジウム酸化合物0.1〜20重量部を含み、且
    つ任意に、チオカルボニル基含有化合物0.1〜50重
    量部、リン酸化合物0.01〜20重量部(PO4 とし
    て)及び微粒シリカ1〜500重量部のうち少なくとも
    1種を含有するコーティング剤組成物、のうちの一つを
    塗布してコーティング膜を形成し、次いでこのコーティ
    ング膜を加熱、乾燥させて、厚さ0.1〜5μm の皮膜
    を形成することを特徴とする、非クロム型処理亜鉛系め
    っき鋼板の製造方法。
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WO2011028125A1 (en) * 2009-09-03 2011-03-10 Elkem As Coating compositions comprising micro silica

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