JP2000248344A - 磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板 - Google Patents

磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板

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JP2000248344A
JP2000248344A JP11054939A JP5493999A JP2000248344A JP 2000248344 A JP2000248344 A JP 2000248344A JP 11054939 A JP11054939 A JP 11054939A JP 5493999 A JP5493999 A JP 5493999A JP 2000248344 A JP2000248344 A JP 2000248344A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高磁束密度と低鉄損を兼備するとともに低コ
ストで製造可能であり、しかも、磁気特性がCr、V、
Ti、Zr等の不純物元素の影響を受けにくい電磁鋼板
を提供する。 【構成】 sol.Alを0.05〜0.20wt%添
加して熱間圧延中にAlNを微量析出させるとともに、
Bを適量添加して仕上圧延時にBNを析出させることに
より低鉄損と高磁束密度を兼備した鋼板が得られること
を見い出しなされたもので、C:0.005wt%以
下、Si:1.8wt%以下、Mn:0.05〜1.5
wt%、sol.Al:0.05〜0.20wt%、
S:0.0010〜0.020wt%、P:0.2wt
%以下、N:0.0010〜0.005wt%、B:2
〜30ppmを含有し、且つsol.AlとBの含有量
の積が、0.3×10−4<[%sol.Al]×[%
B]<2.2×10−4を満足し、残部が実質的にFe
からなる成分組成を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、磁気特性に優れた
無方向性電磁鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気機器の高効率化に対するニー
ズが急速に高まりつつあり、このためモータやトランス
の鉄芯材料である電磁鋼板について、さらなる低鉄損・
高磁束密度化を図る必要が生じている。
【0003】しかし、このように電磁鋼板の高特性化が
指向される一方で、鉄鋼製造においてはコスト低減の観
点から各種の新製錬プロセスが導入され、この結果、近
年、鋼板中の不純物レベルは増加する傾向にある。例え
ば、製銑プロセスでは低品位鉱石の活用、製鋼プロセス
では吹錬時間の短縮化やスクラップの積極利用が進めら
れ、この結果、鋼板中へのCr、V、Nb、Ti等の微
量元素の混入量は増加する傾向にある。これらの不純物
元素は電磁鋼板の粒成長性を阻害するため、磁束密度と
鉄損の双方を劣化させる。
【0004】このような背景の下、特開平9−1950
11号には、VとNの含有量をlogV(%)・N
(%)≦5.29として、VNの微細析出を防止する技
術が開示されている。しかし、Vを低減するためには原
料鉱石の分別や、製鋼での酸素吹き込み量の増加を行う
必要があり、コストアップは避けられない。
【0005】一方、特開昭54−163720号、特開
昭58−117828号等には、B添加による窒化物形
態制御に関する技術が開示されている。この技術は、N
をBで固定して粒成長性を向上させるものであり、Bは
数十ppm、Alは脱酸目的で数百ppm添加される。
しかし、このような従来のB添加鋼では、BをNと等量
添加した際には低鉄損が得られるものの、BやNが過剰
に鋼中に残存すると磁気特性が劣化するため、これらの
含有量を厳密に管理する必要がある。さらに、従来のB
添加鋼は巻取り温度依存性が強いために特性のばらつき
が大きいことや、本質的に磁束密度が低いという欠点を
有している。
【0006】この他に、Alの多量添加により窒化物を
AlNとして固定する方法も古くから知られているが、
NをAlNとして十分固定するためにはsol.Alを
0.2wt%以上添加しなければならず、コストアップ
の問題が生じる。さらに、Alの多量添加は、製鋼段階
でスラグ中に浮上分離しているTi系酸化物や耐火物中
に存在しているZr系酸化物の還元反応を促進するた
め、TiやZr等の不純物の混入量の増加を招く。この
ため、Alの多量添加は粒成長性を向上させる反面、特
性のばらつきを増大させる欠点を有している。
【0007】窒化物以外の析出物については、REM添
加を基本とする硫化物形態制御に関する技術が、特開昭
51−62115号、特開平8−325678号等に開
示されている。しかし、この技術はREMとSの含有量
を厳密に管理する必要がある、REM添加によりコスト
上昇を招く等の問題を有している。
【0008】また、特開昭61−67753号、特開昭
62−180014号にはSn、Cu等の特殊元素を利
用した磁束密度の改善技術が開示されているが、これら
の技術はいずれも熱延板の自己焼鈍や熱延板焼鈍を施さ
ない状態では特性の改善効果は小さい。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の目
的は、高磁束密度と低鉄損を兼備するとともに低コスト
で製造可能であり、しかも、磁気特性がCr、V、T
i、Zr等の不純物元素の影響を受けにくい電磁鋼板を
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電磁鋼板
の磁気特性に及ぼすB、sol.Al、Sb並びにC
r、V、Ti、Zr等の炭窒化物形成元素の影響につい
て鋭意研究を重ねた結果、適量のsol.AlとBを複
合添加すること、具体的には、sol.Alを0.05
〜0.20wt%添加して熱間圧延中にAlNを微量析
出させるとともに、Bを適量添加して仕上熱延時にBN
を析出させることにより低鉄損と高磁束密度を兼備した
鋼板が得られること、また、Sb及び/又はSnの適量
添加により鉄損と磁束密度のさらなる向上が図られるこ
と、不純物として有害なVは数百ppmまで無害化可能
であることを見い出した。さらに、このような本発明の
成分系では、TiやZrの混入量が大幅に低減できる利
点も享受できる。
【0011】本発明はこのような知見に基づきなされた
ものであり、その特徴とする構成は以下の通りである。 [1] C:0.005wt%以下、Si:1.8wt
%以下、Mn:0.05〜1.5wt%、sol.A
l:0.05〜0.20wt%、S:0.0010〜
0.020wt%、P:0.2wt%以下、N:0.0
010〜0.005wt%、B:2〜30ppmを含有
し、且つsol.AlとBの含有量の積が下記(1)式
を満足し、残部が実質的にFeからなる成分組成を有す
ることを特徴とする磁気特性に優れた無方向性電磁鋼
板。 0.3×10−4<[%sol.Al]×[%B]<2.2×10−4 …( 1)
【0012】[2] 上記[1]の無方向性電磁鋼板に
おいて、sol.AlとBの含有量の積が下記(2)式
を満足することを特徴とする磁気特性に優れた無方向性
電磁鋼板。 0.6×10−4<[%sol.Al]×[%B]<1.4×10−4 …( 2) [3] 上記[1]または[2]の無方向性電磁鋼板に
おいて、Sn及びSbの1種または2種をSb+Sn/
2として0.002〜0.2wt%含有することを特徴
とする磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板。
【0013】[4] 上記[1]〜[3]のいずれかの
無方向性電磁鋼板において、V:0.05wt%以下を
含有することを特徴とする磁気特性に優れた無方向性電
磁鋼板。 [5] 上記[1]〜[4]のいずれかの無方向性電磁
鋼板において、Ti:15ppm以下、Nb:15pp
m以下、Zr:15ppm以下を含有することを特徴と
する磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に至った経由と本発
明の限定理由について詳細に説明する。まず、磁気特性
に及ぼすsol.Al、Bの影響について調査するため
に、成分組成をC:0.002wt%、Si+Al:
0.8wt%、Si:0.55〜0.79wt%、M
n:0.3wt%、P:0.10wt%、S:0.00
3wt%、Cr:0.05wt%、V:20ppm、s
ol.Al:0.01〜0.25wt%、N:0.00
25wt%、B:2〜57ppmに調整した鋼を50k
gの真空溶解炉にて溶製した。得られたインゴットは、
熱間圧延を施した後に680℃×1時間の巻取り相当処
理を施した。続いて0.5mmまで冷間圧延を施し、さ
らに820℃で30秒の仕上焼鈍を施した後に磁気測定
を施した。その後、750℃で2時間の歪取焼鈍を施
し、同様に磁気測定を行った。なお、磁気測定は25c
mエプスタイン試験法により行った。
【0015】まず、sol.Al量を300ppmに固
定して磁気特性に及ぼすBの影響を調査した。その結果
を図1に示す。図1によれば、sol.Alを脱酸目的
で300ppm程度添加した鋼では、従来から報告され
ているとおり、仕上焼鈍後及び歪取焼鈍後ともに、B:
25ppm付近、即ち重量比でB/N=1付近で鉄損は
極小となることが判る。一方、磁束密度は、B:10〜
15ppmまではB量の増加によりわずかに増加するも
のの、Bをそれ以上添加すると逆に劣化する。このよう
に、従来のB添加鋼では高磁束密度と低鉄損を同時に得
ることは困難であった。
【0016】そこで本発明者らは、かかる問題を解決す
るために抽出残渣および電子顕微鏡(以下、TEMとい
う)による解析を利用して磁気特性に及ぼすBとso
l.Alの影響について詳細に検討した。その結果、B
は熱間圧延の後段にMnSを核として200〜300n
mの粗大なBNを形成して粒成長性を向上させるが、B
/N<1では微細なAlNが、またB/N>1では固溶
Bが、それぞれ巻取時と歪取焼鈍時の粒成長を阻害する
ために磁束密度と鉄損の劣化が生じることが判明した。
さらに、B添加による磁束密度の低下原因としては、上
記以外に、変態点の低下や固溶Bによる集合組織の劣化
も考えられる。
【0017】いずれにせよ、Bの過剰添加は磁気特性を
劣化させるため、Bの添加量は極力低減することが望ま
しい。そこで、Bの添加量を極力低減しながら粒成長性
を改善することを試みた。すなわち、Bの添加量が5〜
15ppm付近では仕上焼鈍後の磁束密度はむしろ改善
される傾向にあるため、この低B添加領域での粒成長性
の改善を目的に、sol.Alの添加量を増加させるこ
とを試みた。
【0018】sol.Al量を800ppmに固定し
て、磁気特性に及ぼすBの影響について調査した結果を
図2に示す。図2によれば、sol.Al量が300p
pmの従来鋼と比較して、sol.Al量を800pp
m添加した鋼では鉄損が極小となるB量の適正値は低B
側にシフトしており、B:10〜15ppm付近にある
ことが判る。抽出残渣の解析結果から、これは熱間圧延
中にNの一部がAlNとして析出したためであることが
判明した。また、sol.Al量が300ppmの従来
鋼ではB/N=1以外では鉄損が急峻に増加するのに対
して、sol.Al量を800ppmとした鋼では、鉄
損が低減する範囲のピークはブロードになる。さらに特
筆すべきことは、sol.Alを800ppm添加した
鋼の磁束密度はsol.Al量を300ppmとした鋼
に較べて格段に向上し、B:15ppm付近では高磁束
密度と低鉄損を兼備していることである。
【0019】そこで次に、B量をtr.と13ppmに
固定してsol.Al量を0.01wt%から0.25
wt%まで変化させ、B添加鋼の磁気特性に及ぼすso
l.Al量の影響について検討した。その結果を図3
(歪取焼鈍後の磁気特性)に示す。図3によれば、Bを
添加しない鋼ではsol.Al量が0.05wt%から
0.15wt%の範囲内で磁束密度が増加する領域が現
れる。しかし、鉄損を十分に低減(W15/50<4.
2W/kg)するためには0.20wt%を超えるso
l.Alを添加する必要があり、単にAlの単独添加の
みでは低鉄損と高磁束密度を同時に得ることはできない
ことが判る。
【0020】一方、Bを13ppm添加した鋼ではBを
添加しない鋼に較べて磁束密度はやや低下するものの、
鉄損はsol.Al量が0.05wt%から0.17w
t%の範囲でBを添加しない鋼よりも大幅に低減され
る。このように、BとAlの複合添加により従来の材料
を凌ぐ高磁束密度且つ低鉄損材料が得られることが判明
した。そこで、Bとsol.Alの種々の含有量におけ
る仕上焼鈍後と歪取焼鈍後の磁気特性について調査を行
った。歪取焼鈍後の結果を図4にまとめて示す。
【0021】図4より明らかなように、sol.Al量
に拘りなく、B量が30ppmを超えると磁束密度は劣
化し、一方、B量が2ppm未満では十分な鉄損の低減
効果が得られない。このため本発明ではB量は2〜30
ppmとする。また、sol.Al量が0.05wt%
未満では磁束密度と鉄損の双方に優れた特性を得ること
はできない。一方、sol.Al量が0.20wt%を
超えると、Al添加による本質的な磁束密度の劣化を招
くと同時に、Bの添加による粒成長性向上の効果も喪失
する。さらに、コストアップの問題や、上述したように
Ti、Zr混入により磁気特性が不安定になる弊害も生
じる。このため本発明ではsol.Al量は0.05〜
0.20wt%とする。
【0022】さらに、良好な磁気特性を得るためには、
熱間圧延終了時の固溶Bおよび固溶Nの残存量を極力少
なくする必要がある。その範囲は図4中の枠で囲まれた
領域であり、この領域はBとsol.Alの含有量の積
として、 0.3×10−4<[%sol.Al]×[%B]<
2.2×10−4 で表される。このためBとsol.Alの含有量はこの
範囲に限定する。
【0023】また、図中斜線を施した領域内ではさらに
優れた磁気特性が得られ、この領域はBとsol.Al
の含有量の積として、 0.6×10−4<[%sol.Al]×[%B]<
1.4×10−4 で表される。したがって、特に優れた磁気特性を得る場
合には、Bとsol.Alの含有量はこの範囲とするこ
とが望ましい。
【0024】一方、Si添加量が0.5wt%以下の比
較的低グレード鋼種に上記の成分を適用した場合は、仕
上焼鈍後および歪取焼鈍後の鋼板の表層に細粒組織が発
生するため、磁気特性の改善効果が少ない。細粒組織が
発生した鋼板の表層を約20μm研磨して、抽出レプリ
カにてTEM観察を行うと、約100nm程度のAlN
が極めて緻密に析出しているのが観察された。これは、
Nとの親和力の強いAlとBを複合添加することにより
表層窒化が生じて細粒組織が形成されたものと考えられ
る。
【0025】そこで、このような表層窒化を防止する観
点から、C:0.002wt%、Si:0.7wt%及
び0.1wt%、Mn:0.3wt%、P:0.10w
t%、S:0.003wt%、Cr:0.05wt%、
V:0.002wt%、sol.Al:0.08wt
%、N:0.0025wt%、B:12ppmを含有す
る鋼を溶製し、歪取焼鈍後の鉄損に及ぼすSi、Sb、
Snの影響を調査した。なお、熱延条件、仕上焼鈍条件
等は先に述べた試験と同様とした。その結果を図5に示
す。
【0026】図5によれば、Si添加量によって効果の
程度は異なるものの、Siを0.7wt%添加した鋼及
びSiを0.1wt%添加した鋼ともに、Sbを0.0
02wt%以上添加することにより歪取焼鈍後の鉄損は
改善される。このとき、表層の細粒組織も鉄損の低下に
対応して消滅していくことが確認された。一方、Sbを
0.2wt%を超えて添加すると、いずれの鋼において
も過剰のSbにより鉄損は劣化する。また、同様の効果
がSnの添加によっても得られるが、Sbと同等の効果
を得るためには2倍の添加量が必要となることが確認さ
れた。このため、より優れた磁気特性を得るためにはS
b及びSnの1種または2種をSb+Sn/2として
0.002〜0.2wt%添加することが好ましい。
【0027】次に、磁気特性に及ぼすVの影響について
調査した。Vが鋼の粒成長性を劣化させる元素であるこ
とは古くから知られており、従来では特開平9−195
011号に示されるようなVの低減化や、Alの多量添
加によるVの無害化が図られてきた。しかし、上述した
ようにVの低減化やAlの多量添加には、コストアッ
プ、製造上の制約、不純物の増加等の種々の問題が伴う
ため、安価にVを無害化する方法の開発が切望されてい
た。この点、本発明の成分系ではNを基本的にAlとB
で固定するため、Vは十分無害化できる可能性がある。
【0028】そこで、C:0.002wt%、Si:
0.6wt%、Mn:0.3wt%、P:0.10wt
%、S:0.003wt%、Cr:0.07wt%、
V:tr.〜0.06wt%、sol.Al:0.1w
t%、N:0.0025wt%、B:10ppmを含有
する鋼を溶製し、仕上焼鈍後および歪取焼鈍後の磁気特
性に及ぼすVの影響を調査した。
【0029】その結果を図6に示す。通常、Si脱酸鋼
では30〜100ppmのVの混入により鉄損と磁束密
度はともに著しく劣化するが、図6に示されるように適
量のsol.AlとBが複合添加された本発明の成分系
では、Vが数百ppm混入しても磁気特性の劣化は生じ
ないことが判明した。抽出残渣により析出物の分析を行
ったが、Vが0.05wt%以下であればV系の析出物
は検出されなかった。しかし、Vが0.06wt%以上
になるとわずかにV系の析出物が検出され、磁気特性は
劣化する。このためVは0.05wt%以下(但し、0
wt%の場合を含む)とすることが好ましい。
【0030】Cr、V以外の不純物としてTi、Nb、
Zrが磁気特性を劣化させることが知られている。これ
らの元素は窒化物のみならず炭窒化物を形成するため、
無害化が困難な元素である。そのため、これらの元素の
混入を防止するために特殊耐火物の使用や製鋼段階での
特別な運用形態を強いられている。
【0031】B添加電磁鋼板の磁気特性に及ぼすTi、
Nb、Zrの影響を明らかにするために、C:0.00
2wt%、Si:0.8wt%、Mn:0.3wt%、
P:0.10wt%、S:0.003wt%、Cr:
0.03wt%、V:20ppm、sol.Al:0.
1wt%、N:0.0025wt%、B:12ppm、
Ti:0〜50ppm、Nb:0〜50ppm、Zr:
0〜50ppmを含有する鋼を溶製し、先に述べた試験
と同じ熱延条件及び仕上焼鈍条件によりサンプルを作製
した。Ti、Nb、Zrの各含有量と仕上焼鈍後および
歪取焼鈍後の磁気特性との関係を図7〜図9に示す。
【0032】図7〜図9によればTi、Nb、Zrはい
ずれも15ppmを超えると磁気特性は著しく劣化する
ことが判る。このためこれら各元素の含有量は15pp
m以下(但し、0ppmの場合を含む)とすることが好
ましい。しかしながら、本発明の成分系ではsol.A
lの含有量が0.20wt%以下であるため、TiとZ
rの混入量は自ずと15ppm程度以下に低減される利
点がある。
【0033】以下、その他の成分の限定理由について説
明する。 C:Cは磁気時効を回避するために0.005wt%以
下(但し、0wt%の場合を含む)とする。 Si:Siは鋼板の固有抵抗を上げて鉄損を低減するの
に有効な元素であるが、1.8wt%を超えて添加され
るとリジングの問題が生じる。このためSiは1.8w
t%以下(但し、0wt%の場合を含む)とする。
【0034】Mn:Mnは通常、熱間圧延時の赤熱脆性
の防止、粒成長性向上の目的で添加されるが、B添加鋼
ではBNの析出サイトとして不可欠なMnSを鋼板中に
析出させる元素として不可欠である。MnSの析出には
0.05wt%以上のMnが必要であるが、1.5wt
%を超えると磁束密度を低下させるので、Mnは0.0
5〜1.5wt%とする。 S:SはMnと同様にMnS形成のための必須元素であ
る。MnSの析出には0.0010wt%以上のSが必
要であるが、0.020wt%を超えると粒成長性が低
下するため、Sは0.0010〜0.020wt%とす
る。
【0035】P:Pは鋼板の打ち抜き性を改善するため
に必要な元素であるが、0.2wt%を超えて添加する
と鋼板が脆化するため0.2wt%以下(但し、0wt
%の場合を含む)とする。 N:Nは熱間圧延時にAlNを析出させるために必須な
元素である。NはAlNの析出に0.0010wt%以
上必要であるが、0.005wt%を超えるとAlNの
析出量が増加して粒成長性が低下するので、0.001
0〜0.005wt%とする。
【0036】本発明の無方向性電磁鋼板は、その成分組
成が上述した範囲内であればその製造方法に特別な制約
はなく、以下に示すような通常の製造方法で製造するこ
とができる。すなわち、転炉で吹錬した溶鋼を脱ガス処
理して所定の成分に調整し、引き続き鋳造、熱間圧延を
行う。熱間圧延時の仕上焼鈍温度、巻取り温度は特に規
定する必要はなく、通常の方法に従ってよい。また、熱
間圧延後の熱延板焼鈍は行ってもよいが必須ではない。
次いで、酸洗した後、一回の冷間圧延若しくは中間焼鈍
を挟む2回以上の冷間圧延により所定の板厚とし、しか
る後、仕上焼鈍を行い、さらに必要に応じて歪取焼鈍を
行う。通常、この歪取焼鈍は鋼板のユーザ側で行われ
る。
【0037】
【実施例】転炉で吹錬した後に脱ガス処理を行うことに
より所定の成分に調整した表1及び表2に示す鋼をスラ
ブに鋳造し、このスラブを1200℃で加熱した後、板
厚2.0mmまで熱間圧延した。この際、熱延仕上げ温
度は800℃、巻取り温度は690℃とした。酸洗後、
板厚0.5mmまで冷間圧延し、表3及び表4に示す仕
上焼鈍条件で焼鈍を施し、その後、DXガス雰囲気にて
750℃×2時間の歪取焼鈍を施した。
【0038】磁気測定は25cmエプスタイン試験片を
用いて行った。各鋼板の磁気特性を表3及び表4に併せ
て示す。表1〜表4によれば、本発明の成分条件を満足
する鋼板のみが、仕上焼鈍後及び歪取焼鈍後のいずれに
おいても、高磁束密度と低鉄損を兼備した優れた磁気特
性を有していることが判る。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の無方向性電
磁鋼板は高磁束密度と低鉄損を兼ね備た優れた磁気特性
を有し、しかも不純物元素の影響を受けにくいため、従
来技術に較べて低コストで製造可能であるという利点を
有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】sol.Alを300ppm含有する鋼板のB
含有量と仕上焼鈍後及び歪取焼鈍後の鉄損並びに磁束密
度との関係を示すグラフ
【図2】sol.Alを800ppm含有する鋼板のB
含有量と仕上焼鈍後及び歪取焼鈍後の鉄損並びに磁束密
度との関係を示すグラフ
【図3】Bを含有しない鋼板とBを13ppm含有する
鋼板のsol.Al含有量と歪取焼鈍後の鉄損及び磁束
密度との関係を示すグラフ
【図4】本発明が規定するB量とsol.Al量の範囲
を示すグラフ
【図5】Siを0.1wt%及び0.7wt%含有する
鋼板のSb含有量と歪取焼鈍後の鉄損との関係を示すグ
ラフ
【図6】本発明鋼板のV含有量と仕上焼鈍後及び歪取焼
鈍後の鉄損並びに磁束密度との関係を示すグラフ
【図7】本発明鋼板のTi含有量と仕上焼鈍後及び歪取
焼鈍後の鉄損との関係を示すグラフ
【図8】本発明鋼板のNb含有量と仕上焼鈍後及び歪取
焼鈍後の鉄損との関係を示すグラフ
【図9】本発明鋼板のZr含有量と仕上焼鈍後及び歪取
焼鈍後の鉄損との関係を示すグラフ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 靖 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 5E041 AA02 AA11 AA19 CA02 CA04 NN01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.005wt%以下、Si:1.
    8wt%以下、Mn:0.05〜1.5wt%、so
    l.Al:0.05〜0.20wt%、S:0.001
    0〜0.020wt%、P:0.2wt%以下、N:
    0.0010〜0.005wt%、B:2〜30ppm
    を含有し、且つsol.AlとBの含有量の積が下記
    (1)式を満足し、残部が実質的にFeからなる成分組
    成を有することを特徴とする磁気特性に優れた無方向性
    電磁鋼板。 0.3×10−4<[%sol.Al]×[%B]<2.2×10−4 …( 1)
  2. 【請求項2】 sol.AlとBの含有量の積が下記
    (2)式を満足することを特徴とする請求項1に記載の
    磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板。 0.6×10−4<[%sol.Al]×[%B]<1.4×10−4 …( 2)
  3. 【請求項3】 Sn及びSbの1種または2種をSb+
    Sn/2として0.002〜0.2wt%含有すること
    を特徴とする請求項1または2に記載の磁気特性に優れ
    た無方向性電磁鋼板。
  4. 【請求項4】 V:0.05wt%以下を含有すること
    を特徴とする請求項1、2または3に記載の磁気特性に
    優れた無方向性電磁鋼板。
  5. 【請求項5】 Ti:15ppm以下、Nb:15pp
    m以下、Zr:15ppm以下を含有することを特徴と
    する請求項1、2、3または4に記載の磁気特性に優れ
    た無方向性電磁鋼板。
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