JP2000247948A - ε−カプロラクタムの精製方法及びε−カプロラクタムの製造方法 - Google Patents
ε−カプロラクタムの精製方法及びε−カプロラクタムの製造方法Info
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Abstract
シム、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタハイド
ロフェナジン、3−N−メチル−4,5,6,7−テト
ラヒドロベンズイミダゾール、およびカプレノラクタム
類を含有する粗ε−カプロラクタムより、経済的にこれ
ら不純物を高度に除去し得る、ε−カプロラクタムの製
造方法を提供する。 【解決手段】 粗ε−カプロラクタムを炭化水素系溶媒
を用い晶析し、次いで水素添加触媒の存在下、水素と接
触させることによりε−カプロラクタムを製造する。
Description
ム(以下、ラクタムと略記する)の精製方法及び製造方
法に関する。詳しくは、シクロヘキサノンオキシム(以
下、オキシムと略記する)のベックマン転位で得られた
粗ラクタム、或いはベックマン転位法以外の各種公知の
方法により得られた粗ラクタムを、炭化水素系溶媒を用
い晶析し、次いで水素添加触媒の存在下、水素と接触さ
せることにより高品位のラクタムを得る、ラクタムの精
製方法及び製造方法に関するものである。
製造中間体として重要な化合物であり、各種の製造方法
が知られている。例えば、オキシムを発煙硫酸等の酸性
媒体存在下、ベックマン転位させることにより製造する
方法が知られていすが、この方法は、付加価値の少ない
大量の硫安を副生するという問題を有している。これを
改良する方法として、固体触媒を用いた気相ベックマン
転位反応によるラクタムの製造方法が公知である。気相
ベックマン転位反応に用いる固体触媒としては、ほう酸
系触媒、シリカ・アルミナ触媒、固体リン酸触媒、複合
金属酸化物触媒、ゼオライト系触媒等が提案されてい
る。さらに特開昭62−123167号公報、特開昭6
3−54358号公報には高シリカ型メタロシリケート
触媒を用いた例が示されている。
方法も公知である。例えば特開平2−215767号公
報には6−アミノカプロン酸メチルの環化反応による方
法、米国特許第5495016号には6−アミノカプロ
ニトリルと水との反応でラクタムを製造する方法、特開
平9−3041号公報には6ヒドロキシカプロン酸メチ
ルとアンモニアとを水素および水蒸気の存在下に接触反
応させてラクタムを合成する方法等が知られている。
クタムは種々の不純物を含有している。周知の如くラク
タムはポリアミドの原料として使用されるが、合成繊維
やフィルムとして用いられるポリアミドの製造のための
ラクタムは高純度のものが要求されることより、上記方
法により得られた粗ラクタムは種々の方法により精製さ
れている。
シムを転位して得られた粗ラクタムを精密蒸留により精
製する方法(工業有機化学 第244頁・東京化学同人
1989年発行)、粗ラクタムをトルエンやジメチル
ホルムアミド等の有機溶媒に溶解して晶析する方法(例
えば特開昭53−37687号公報、特開昭49−54
389号公報、特開昭46−5231号公報等)、粗ラ
クタムに炭化水素と水を混合し、次いで分液して水でラ
クタムを抽出する方法(例えば特公昭36−14119
号公報、特開平5−294925号公報等)、粗ラクタ
ムをイオン交換樹脂で処理する方法、粗ラクタムを水素
添加触媒の存在下に100℃〜200℃で水素と接触さ
せる方法(特開平7−109255号公報)等が知られ
ている。
蒸留、水添等の精製方法では、ラクタムと化学的に性質
の類似した不純物や沸点の近似した副生物は、粗ラクタ
ムから十分に除去されず、特に1,3,4,5−テトラ
ヒドロアゼピン−2−オン、1,5,6,7−テトラヒ
ドロアゼピン−2−オン等のラクタムと類似の骨格をも
ち分子内に炭素−炭素二重結合を1つ有する構造の化合
物(以下、これらを総称してカプレノラクタム類とよ
ぶ)は除去されずにラクタム類の品質を害するという問
題があった。
レノラクタム類はラクタムの品質を著しく害することが
見出されており、具体的には、該カプレノラクタム類が
ラクタム中に約30ppm以上存在すると、そのラクタ
ムを例えばポリアミドの原料として使用する場合には要
求される品質規格を満足することが出来ず、工業的に高
品質のラクタムを得るためには、このカプレノラクタム
類を十分に除去する必要があることがわかった。
プレノラクタム類が水添されラクタムに転化でき、粗ラ
クタムが精製できる点のみならずカプレノラクタム類が
有効に利用できる点においても非常に優位な方法である
ことを見出した。しかしながら、水素添加ではカプレノ
ラクタム類以外の副生物も水添反応に関与するため、水
素添加触媒に多くの負荷がかかり、反応効率が低下する
だけでなく触媒の寿命も短くなり長時間、経済的に処理
することが困難であるという問題があった。
オン交換、水素との接触(水素添加)等の精製方法で
は、工業的に要求される品質のラクタムを得るには、操
作の簡便性や経済性を考慮した場合、必ずしも満足し得
るものではなかった。
っても、必ずしも良好な結果は得られなかった。例え
ば、蒸留や抽出を行ってから、又はそれらを組み合わせ
て行ってから水素添加を行うようにしても、1,2,
3,4,6,7,8,9−オクタハイドロフェナジン
(以下、OHPと称する)や3−N−メチル−4,5,
6,7−テトラヒドロベンズイミダゾール(以下、MT
HIと称する)等の副生物が蒸留や抽出の操作では十分
に除去されず、それらが水素添加反応に関与して、水素
添加触媒に多くの負荷をかけるという問題は改善されな
い。
粗ラクタムから効率的にかつ経済性に優れた方法で副生
物を除去し、工業的に要求される高品質のラクタムを得
る製造方法を見出すことを目的として鋭意検討した結
果、特定の精製方法を特定の組み合わせて実施すれば、
それらの目的を達成できることを見出し、本発明を完成
するに至った。
ず第1に、粗ε−カプロラクタムを炭化水素系溶媒を用
いて晶析し、次いで水素添加触媒の存在下、水素と接触
させるε−カプロラクタムの精製方法を提供する。第2
に、粗ε−カプロラクタムを炭化水素系溶媒を用いて晶
析する工程、及び水素添加触媒の存在下、水素と接触さ
せる工程からなるε−カプロラクタムの製造方法を提供
する。
炭化水素系溶媒を用いて晶析し、次いで水素添加触媒の
存在下、水素と接触させることにより、高品質のラクタ
ムを得ることができる。本発明で用いられる粗ラクタム
の製造方法については特に限定されないが、本発明の方
法によれば、オキシム、カプレノラクタム類、OHP,
MTHIが十分に除去されるので、それらを不純物とし
て含む、シリカ・アルミナ、メタロシリケート、シリカ
ライト等のゼオライト系触媒を用いて気相ベックマン転
位反応により得た粗ラクタムを用いる際には、その効果
が有効に発揮される。即ち、ゼオライト系触媒を用いる
該気相ベックマン転位反応に本発明の方法を組み合わせ
てラクタムを製造すると、効率的かつ経済的に高品質の
ラクタムを得ることができる。
ついで水素添加を行うが、ゼオライト系触媒を用いる気
相ベックマン転位反応によって得られた反応液を粗ラク
タムとして用いる場合は、粗ラクタムはラクタム、前記
の各種副生物の他に、アルコール等の溶剤を含有してい
る場合があるので、晶析を行う前に、必要に応じて予備
蒸留を実施することが好ましい。
の低い炭化水素系溶媒を用いることが好ましい。水や極
性の高い有機溶媒が用いられた場合は、それら溶媒にラ
クタムが溶解し、ラクタムの回収率が低くなる傾向にあ
り、その際には溶媒中に溶解するラクタムを回収するの
に困難を伴う。
2の脂肪族直鎖炭化水素、脂肪族側鎖炭化水素、及び脂
環式炭化水素等が挙げられる。より具体的には、ヘキサ
ン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の脂肪族直
鎖炭化水素、メチルヘキサン、イソオクタン、ネオヘキ
サン等の脂肪族側鎖炭化水素、メチルシクロペンタン、
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化
水素が挙げられる。中でも、シクロヘキサン、ヘプタ
ン、イソオクタン等の使用が推奨される。これらは単独
で用いても二種以上を混合して用いてもよい。又、不純
物の除去に支障のない範囲において、これらの溶媒と共
に、少量のベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素を混合して用いることもできる。
り、約0.5〜約5重量倍とすることができ、好ましく
は約1〜約4重量倍である。上記範囲を越えて多量の溶
媒を用いても、使用量に見合う晶析効果は得られず、溶
媒回収に要する費用が増大する。他方、少ない場合には
不純物を十分に除去できない場合がある。
ラクタムを上記溶媒に溶解し、これを冷却してラクタム
の結晶を析出させる方法、溶媒を減圧蒸発させ、その蒸
発潜熱で冷却して結晶を析出させる方法、溶融状態にあ
る粗ラクタムあるいは上記溶媒と粗ラクタムの混合液と
冷却された溶媒とを混合することによりラクタム結晶を
析出させる方法等を挙げることができる。この晶析の操
作により、粗ラクタムに含有されていた不純物の殆どが
溶媒中に排出される。次いで、濾過、沈降等の手段によ
り結晶を溶媒から分離し、得られた結晶を必要に応じて
上記溶媒等で洗浄する。
ラクタムの融点未満程度でよい。好ましくは約30℃〜
約60℃、より好ましくは約40℃〜約60℃である。
後、水素添加を行うが、ラクタムは晶析を終えた時点で
シクロヘキサノンオキシム、MTHI、OHP等の不純
物の含量が特定量以下である程度にまで精製されている
ことが好ましい。この含量の目安としては、シクロヘキ
サノンオキシム、MTHI、OHP等が塩基性化合物で
あることを利用し、晶析後の粗ラクタムの遊離塩基度で
規定することができ、該遊離塩基度が約1meq/kg
以下となる程度まで精製することが好ましく、より好ま
しくは約0.25meq/kg以下とする。又、晶析後
の粗ラクタムのpH値でも規定することができ、例え
ば、pH5.7に調整した水1mlに粗ラクタム0.2
5gを加えた後の溶液のpHが6.5以下となる程度に
まで晶析により精製を行った場合では、次工程である水
素添加において、残存する不純物を容易に効率よく除去
し、高品位のラクタムをえることができる。
程で使用した少量の溶媒が残存しているが、この溶媒の
同伴量はラクタムに対して約10重量%以下であること
が好ましい。晶析により不純物の除去程度を上記程度に
するためには、使用する溶媒の種類、溶媒の量、晶析温
度等の晶析条件を適時設定すればよく、それら条件は予
備実験等により設定できる。晶析は、通常1回でよい
が、複数回行ってもよく、特に不純物の多い粗ラクタム
を用いる場合においては、晶析を複数回行うことが推奨
される。
用いられる。水素添加に供されるラクタムは、遊離塩基
度が好ましくは1meq/kg以下、より好ましくは
0.25meq/kg以下のもの、又は上記の評価方法
によるpH値が好ましくは6.5以下のものである。こ
れを水素添加することにより、ラクタム中の不純物含量
は、オキシムが10ppm未満、OHPが10ppm未
満、MTHIが25ppm未満、カプレノラクタム類が
30ppm未満にまで低下させることができる。
ず、公知の方法で実施することができる。例えば、水素
添加触媒としては、活性炭、アルミナ、シリカ、チタニ
ア等を担体として用い、パラジウム、白金、ルテニウ
ム、ロジウムなどのVIII族の遷移金属を担持させた担持
触媒(触媒層)を用いることができる。触媒活性、寿命
の点からは、 パラジウムを担持したEggshell typeの担
持触媒やパラジウムと共に白金、ルテニウムを共担持し
たEggshell typeの担持触媒を用いることが好ましい。
担持触媒を用いる場合、金属の担持量は、担持触媒重量
に対して金属が約0.1〜約20重量%、より好ましく
は約0.5〜約5重量%、担持触媒を用いる場合は共担
持させる白金やルテニウム等の金属を担持触媒重量に対
して約0〜約2重量%担持させることが好適である。
ール等の有機溶媒を用いることができるが、用いなくて
もよい。晶析工程から得られるラクタム結晶には、晶析
工程で使用した少量の溶媒が残存しているが、この溶媒
は水素添加前に分離しても良いし、しなくても良い。水
素添加において溶媒を用いた場合においては、ラクタム
を回収するにあたって溶媒を分離する必要がある。
で、水素ガスと共に水素添加を行う触媒層に供給され
る。反応方式はバッチ形式でも流通形式でもよい。流通
形式の場合、供給方式はアップフローでも良いし、ダウ
ンフローでも良く、又、向流でも良い。工業的な実施形
態としては、流通形式が操作性、経済性の点から好まし
い。
用しない場合は、ラクタムを溶融する都合上、ラクタム
の融点以上、好ましくは約70℃〜約150℃程度とす
る。溶媒を使用する場合は、反応温度はラクタムが溶解
する程度以上の温度であればよい。
媒活性が反応の時間経過につれて次第に低下する傾向に
ある。したがって製品品質を安定させるために、活性低
下に伴って反応温度を上昇させ活性を一定のレベルに維
持することが好ましく、反応初期の温度は約70〜約8
0℃の比較的低温とし、徐々に反応温度を上昇させなが
ら連続的に運転することが好ましい。
のではないが、通常約0.5〜約100kg/cm2
(約0.05〜約10MPa)、好ましくは約2〜約1
0kg/cm2 (約0.2〜約1MPa)の範囲で実
施される。
タムに溶解する程度の水素ガス量では十分でなく、含有
するカプレノラクタム類と当モル量以上であることが好
ましく、通常はラクタム1モル当たり約0.001モル
量以上、好ましくは約0.01〜約0.25モル量の範
囲とすることが適当である。利用されなかった水素は循
環使用することができる。
HSVは、好ましくは約0.5〜約30h-1、より好ま
しくは約1〜約10h-1である。触媒寿命は、使用原
料、反応条件等によって異なるが、本発明の方法では、
通常、1年以上の触媒寿命を発揮させることもできる。
は、必要に応じて簡単な蒸留を実施してもよい。この蒸
留の操作によりラクタムに残存した晶析溶媒等を除去す
ることができる。
て、オキシムが10ppm未満、OHPが10ppm未
満、MTHIが25ppm未満、カプレノラクタム類が
30ppm未満、好適には25ppm未満であるラクタ
ムを得ることができる。ラクタムに残存する不純物含量
の多少を示す指標として過マンガン酸カリウム価(PM
価)を用いると、該ラクタムのPM価は約10未満、好
適には約7未満である高品質のラクタムを製造し得る。
晶析、水素添加という簡単な工程の組合せて行うことに
より、粗ラクタムから効率的かつ経済的に副生物を除去
し、ポリアミドの原料として工業的に十分使用し得る高
品質のラクタム、具体的には、PM価で約10未満、オ
キシム含量10ppm未満、OHP含量10ppm未
満、MTHI含量25ppm未満、カプレノラクタム類
含量30ppm未満、好適には25ppm未満である高
品質のラクタムを得ることができる。本発明の方法は、
蒸留や晶析等を繰り返し行う従来の方法に比較し、製品
収率に優れており、又、水素添加においても触媒にかか
る負荷が小さく、触媒の使用寿命を向上させる等の効果
を与えるものである。
明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定を受
けるものではない。
の純度及び不純物含量は、ガスクロマトグラフィーによ
り求めた。不純物の検出限界は約3ppmである。
えて10mlとし、波長290nm及び315nmにお
ける水を基準にした紫外線透過率を測定して求めた。
タム1gを蒸留水に溶解し100mlとした溶液に0.
01N過マンガン酸カリウム水溶液を2ml添加した
後、十分攪拌し、過マンガン酸カリウム水溶液を添加し
てから250秒経過後に波長420nmの光の吸光度を
25℃(溶液温度)で測定した。一方、ラクタムを添加
することなく蒸留水及び過マンガン酸カリウム水溶液の
みを用いて同様にして波長420nmの光の吸光度を測
定した。前者のラクタムの吸光度から後者の蒸留水の吸
光度を差引き、その値を100倍して、用いたラクタム
の過マンガン酸カリウム価(PM価)とした。
の硫酸または水酸化ナトリウム水溶液を加え、pH5.
7に調製した水10mlに、ラクタム約10gを加えて
攪拌した後、得られた溶液のpHを測定し、pH値が
5.7より大であれば該溶液中に0.01N硫酸をpH
が5.7になるまで添加した。添加した0.01N硫酸
の使用量v(ml)、ファクター(f)、用いたラクタ
ム重量w(g)から次式により算出した値を遊離塩基度
FB(meq/kg)とした。 FB(meq/kg)=0.01×v(ml)× f ×
1000 ÷ w(g)
ナトリウム水溶液を加え、pH5.7に調製した水1m
lに、ラクタム0.25gを加えて攪拌した後、得られ
た溶液のpHを測定した。
クタム5gと20% 水酸化ナトリウム水溶液8mlを入
れ、このものを水蒸気蒸留し、流出液を5mlの0.0
1N硫酸水溶液中に導入した。留出液量が150mlの
時点で蒸留を終了した。得られた溶液を、メチルレッ
ド、メチレンブルー混合指示薬を用いて0.01N水酸
化ナトリウム水溶液で滴定した。滴定量B(ml)、ラ
クタムを使用しないブランクテストにおける滴定量A
(ml)、0.01N水酸化ナトリウム水溶液のファク
ター(f’)、用いたラクタム重量w’(g)から、次
式により揮発性塩基度VB(ppm)を求めた。 VB(ppm)=[ 0.17×(B−A)× f’×1
000] ÷ w’(g)
クロヘキサノンオキシム/メタノール/水の重量比が1
/1.8/0.052の混合液を気化器を経由して窒素
ガスとともに導入し、反応温度380℃、滞留時間8秒
でベックマン転位反応を行った。反応ガスを冷却補集し
て反応液を得た。次いでこの反応液を蒸留し、メタノー
ル、低沸不純物、高沸不純物を分離し、純度98.97
%の粗ラクタム(GC分析:オキシム含量584pp
m、MTHI含量604ppm、OHP含量355pp
m)を得た。200リットルの反応器に、上記蒸留処理
後の粗ラクタム31.28kgと重量比が1/3のシク
ロヘキサン/n−ヘプタン混合溶媒46.92kgとを
加えた。70℃まで昇温させてラクタムを溶解させた
後、攪拌しながら60℃まで冷却した。次いでこれに種
晶として微量のラクタム結晶を加え、30分攪拌した
後、50℃まで1時間かけて冷却し、更に30分間攪拌
した後、析出したラクタム結晶を濾過して回収した。こ
のようにして得られたラクタム結晶を、上記混合溶媒3
1.28kgを用いて、約40℃で洗浄し、ラクタム結
晶29.65kg(収率94.8%)を得た。得られた
ラクタム結晶を分析したところ、ラクタム純度は99.
98%、不純物含量は、オキシム、MTHI及びOHP
がいずれも検出限界以下、カプレノラクタム類が133
ppm、UV透過率(290/315nm)は85.2
%/88.3%、PM価は36、VBは6.7ppm、
pH値6.0であった。次いで、内径6mmφのステン
レス管に水素添加触媒(粒状の2%パラジウム/活性炭
触媒)0.9gを充填し(触媒層高70mm)、水素圧
力5kg/cm 2 (0.5MPa)、3cc/minで
水素ガスを流しながら、得られたラクタム結晶を80℃
に加熱、溶融し、約4.8g/hの割合で合計約23k
gをフィードした。この間、水素添加触媒層の温度を8
0℃から95℃に昇温しながら運転した。その結果、得
られたラクタムのPM価は0.3〜2.5であった。上
記方法により粗ラクタム約6kgを処理したところで、
得られた水素添加後のラクタムのうちの1.5kgと水
酸化ナトリウム0.42gを、クライゼン管を取り付け
た3リットルの蒸留装置に入れ、約1mmHg下で減圧
蒸留し、ラクタム1.485kg(収率99%)を得
た。得られたラクタムを分析したところ、ラクタム純度
は99.997%、不純物含量は、オキシム、MTHI
及びOHPがいずれも検出限界以下、カプレノラクタム
類が6ppm、UV透過率(290/315nm)は9
9.5%/99.8%、PM価は0.8、VBは1.7
ppm、FBは0.02meq/kg、pH値は5.9
であった。また、上記方法により粗ラクタム約22kg
〜23kgを処理したところで、得られた水素添加後の
ラクタムのうちの500.2gと水酸化ナトリウム0.
14gを、クライゼン管を取り付けた1リットルの蒸留
装置に入れ、約1mmHg下で減圧蒸留し、ラクタム4
96.7g(収率99.3%)を得た。得られたラクタ
ムを分析したところ、ラクタム純度は99.998%、
不純物含量は、オキシム、MTHI、OHP及びカプレ
ノラクタム類がいずれも検出限界以下、UV透過率(2
90/315nm)は99.0/99.4%、PM価が
1.5、FBが0.025meq/kg、pH値が5.
96であった。
い、純度99.20%の粗ラクタム(不純物含量は、オ
キシムが1736ppm、MTHIが330ppm、O
HPが248ppm)を得た。この粗ラクタム50gを
重量比が1/3のシクロヘキサン/n−ヘプタン混合溶
媒75gに溶解させた後、攪拌しながら62℃から37
℃へ冷却して晶析を行った。析出したラクタム結晶を遠
心分離器で回収し、得られたラクタム結晶を、上記シク
ロヘキサン/n−ヘプタン混合溶媒25gを用いて洗浄
し、ラクタム結晶46.32g(収率92.63%)を
得た。得られたラクタム結晶を分析したところ、不純物
含量は、オキシム、MTHI及びOHPがいずれも検出
限界以下、カプレノラクタム類が91ppm、 pH値
が6.27であった。次いで洗浄後のラクタム結晶20
gを水素添加触媒(0.6mmφの2%パラジウム/炭
素ビーズ触媒)0.10gと共に、容量100ccのオ
ートクレーブに仕込み、水素圧力5kg/cm2(0.
5MPa)加圧下、120℃、1時間攪拌した。冷却
後、得られたラクタム結晶をメタノールに溶解させ、触
媒を濾過して除去した。得られたラクタムのVBは4.8
ppm、PM価は1.5であった。クライゼン管を取り
付けた蒸留装置を用い、得られたラクタム溶液を減圧蒸
留した。得られたラクタムを分析したところ、不純物含
量は、オキシム、MTHI及びOHPがいずれも検出限
界以下、カプレノラクタム類が12ppm、UV透過率
(290/315nm)は98.8/98.6%、PM
価が0.5、pH値が6.45、VB 2.7であっ
た。
い、純度99.08%の粗ラクタム(不純物含量は、オ
キシムが188ppm、MTHIが469ppm、OH
Pが205ppm)を得た。この粗ラクタム55gにヘ
プタン82.5gを加え、70℃に加熱保持した。別
途、82.5gのヘプタンを氷冷した。58℃に保温し
たフラスコ中へ、70℃に加熱保持した粗ラクタムとヘ
プタンの混合液と氷冷したヘプタンとを10分間で併注
滴下し、ラクタム結晶を析出させた。30分後、析出し
たラクタム結晶を遠心分離機で回収し、得られた結晶を
27.5gのヘプタンを用いて洗浄し、ラクタム結晶3
4.76g(収率63.2%)を得た。得られたラクタ
ム結晶を分析したところ、ラクタム純度は99.98
%、不純物含量は、オキシム、MTHI及びOHPがい
ずれも検出限界以下、カプレノラクタム類が173pp
mであった。次いでこの結晶ラクタム28gを窒素ガス
雰囲気下で溶融し、水素圧力5kg/cm2(約0.5
MPa)で3cc/minの水素ガスと共に水素添加触
媒(粒状の2%Pd/活性炭触媒)0.9gを充填した
触媒層にWHSV5.3〜6.6/hで供給した。流出
物を減圧蒸留してラクタム25.5gを得た。得られた
ラクタムを分析したところ、ラクタム純度は99.99
%、不純物含量は、オキシム、MTHI及びOHPがい
ずれも検出限界以下、カプレノラクタム類が14pp
m、UV透過率(290/315nm)は98.2%/
99.0%、PM価は4.4、FBは0.065meq
/kg、pH値は5.99であった。
い、純度98.32%の粗ラクタム(不純物含量は、オ
キシムが1542ppm、MTHIが775ppm、O
HPが423ppm)を得た。この粗ラクタム66gを
トルエン:イソオクタン=9.7:90.3(重量比)
の混合溶媒101.3gに65℃で溶解させた。別途、
同混合溶媒41.25gを滴下ロートに入れ氷冷した。
さらに52℃に保温したフラスコ中へ、41.25gの
混合溶媒を入れ、そこへ65℃の温度に保持した粗ラク
タムと混合溶媒の混合液と氷冷した混合溶媒とを10分
間で併注滴下し、ラクタム結晶を析出させた。30分
後、析出したラクタム結晶を52℃に保温した遠心分離
機で回収し、27.5gの上記トルエン/イソオクタン
混合溶媒を用いて洗浄した。得られた結晶を減圧乾燥
し、ラクタム結晶42.18gを得た。得られたラクタ
ム結晶を分析したところ、ラクタム純度は99.97
%、不純物含量は、オキシムが4.7ppm、MTHI
及びOHPがいずれも検出限界以下、カプレノラクタム
類が184ppmであった。PM価は50.9、FBは
0.03meq/kg、pH値は5.95であった。次
いでこの結晶ラクタム35gを窒素ガス雰囲気下80℃
で溶融し、水素圧力5kg/cm2(約0.5MPa)
で3cc/minの水素ガスと共に水素添加触媒(粒状
の2%Pd/活性炭触媒)0.9gを充填した触媒層に
WHSV5/hで供給し、ラクタムを得た。得られたラ
クタムを分析したところ、ラクタム純度は99.997
%、不純物含量は、オキシム、MTHI及びOHPがい
ずれも検出限界以下、カプレノラクタム類が9ppm、
UV透過率(290/315nm)は97.6%/9
8.2%、PM価は1.3、FBは0.02meq/k
g、pH値が5.85であった。
除いたラクタム純度94.30%)を蒸留し、ラクタム
純度99.48%の粗ラクタム(オキシム;125pp
m、MTHI;134ppm、OHP;427ppm)
を得た。これを重量比が1/3のシクロヘキサン/n−
ヘプタン混合溶媒をラクタムの1.5倍重量用いて、6
5℃から53℃まで冷却して晶析し、同温度で遠心濾過
器を用いて濾過し、同温度で同重量比のシクロヘキサン
/n−ヘプタン混合溶媒をラクタム重量の0.5倍重量
用いてリンスし、結晶回収率83.1%でラクタム純度
99.98%(オキシム;4ppm、MTHI,OHP
不検出、カプレノラクタム類;201ppm)の結晶ラ
クタムを得た。内径6mmφのステンレス管に約3ヶ月
水添反応に使用した2%Pd/活性炭触媒4.0gを充
填し、水素圧力5kg/cm2(約0.5MPa)、6
cc/min、80℃で、上記ラクタムをWHSVを5
〜50h-1で流通し、留出したラクタムをクライゼン管
を用いて、約1mmHgで減圧蒸留し、得られたラクタ
ムのGC分析、PM価を測定し、表1に示した。
47%、オキシム含量314 ppm、MTHI 213
ppm、OHP 176ppm)を得た。この粗ラクタ
ム55.05gにシクロヘキサン:n−ヘプタン=1:
3(重量比)の混合溶媒165gを加え、60℃で溶解
し、350rpmで攪拌しながら10分かけて50℃に
冷却し、種晶を加え、30分間攪拌した後、50℃に保
温した遠心分離機で濾過した。濾過により得られた結晶
を上記で用いたと同じ混合溶媒27.5gを用いて結晶
を洗浄し、次いで減圧乾燥し、42.81gの結晶を得
た。このようにして得られた結晶はラクタム純度99.
981%(GC分析)でオキシム;3ppm、カプレノ
ラクタム類140ppmで、MTHI、OHPは検出限
界以下、PM価 39、FB 0.048meq/kgで
あった。上記、結晶35.00gをシクロヘキサン:n
−ヘプタン=1/3の混合溶媒105gに60℃で溶解
し、350rpmで攪拌しながら10分かけて50℃に
冷却し、種晶として結晶ラクタムを少量加え、30分間
攪拌した後、50℃に保温した遠心分離機で濾過した。
濾過により得られた結晶を上記で用いたと同じ混合溶媒
27.5gを用いて結晶を洗浄し、次いで減圧乾燥し、
28.58gの結晶を得た。このようにして得られた結
晶はラクタム純度99.994%(GC分析)でオキシ
ム;検出限界以下、カプレノラクタム類 51ppm
で、MTHI、OHPは検出限界以下、PM価 12、
FB 0.042meq/kgであった。
い、純度99.33%の粗ラクタム(不純物含量は、オ
キシムが451ppm、MTHが240ppm、OHP
が476ppm、カプレノラクタム類1524ppm)
を得た。得られた粗ラクタムを、同重量の水に溶解し、
2.33重量倍のシクロヘキサンを用いて30分間振
盪、15分間静置後、分液した。得られた水層を同量の
シクロヘキサンで8回抽出操作を繰り返した。水層を濃
縮し抽出ラクタムを得た(回収率81.6%)。得られ
たラクタムを分析したところ、ラクタム純度は99.7
6%、不純物含量は、オキシムが133ppm、MTH
Iが211ppm、OHPは検出限界以下、カプレノラ
クタム類が532ppmであった。UV透過率(290
/315nm)は32.4%/52.9%、PM価は1
98、FBは2.54meq/kg、pH値は8.42
であった。次いでこの抽出ラクタム110gを、6cc
/minの水素ガスと共に、80℃、5kg/cm
2(0.5MPa)加圧下、水素添加触媒(2%Pd/
活性炭触媒4.0gを内径6mmΦのステンレス管中に
充填した触媒層)に0.34ml/minの速度でアッ
プフローで流通させて、ラクタムを得た。得られたラク
タムを分析したところ、ラクタム純度は99.77%、
不純物含量は、オキシム157ppm、MTHIが15
6ppm、OHP及びカプレノラクタム類が検出限界以
下、UV透過率(290/315nm)は57.5%/
67.4%、PM価は17であった。クライゼン管を取
り付けた200mlの蒸留装置に、得られたラクタム7
9.3gを仕込み、約1mmHg下に減圧蒸留し、ラク
タム78.3g(収率99%)を得た。得られたラクタ
ムを分析したところ、ラクタム純度は99.85%、不
純物含量は、オキシムが123ppm、MTHIが12
7ppm、OHPおよびカプレノラクタム類が検出限界
以下、UV透過率(290/315nm)は85.5/
91.5%、PM価が6.3、 FBは2.03meq
/kg、pH値が9.6であった。
Claims (10)
- 【請求項1】粗ε−カプロラクタムを炭化水素系溶媒を
用いて晶析し、次いで水素添加触媒の存在下、水素と接
触させることを特徴とするε−カプロラクタムの精製方
法。 - 【請求項2】粗ε−カプロラクタムを炭化水素系溶媒を
用いて晶析する工程、及び水素添加触媒の存在下、水素
と接触させる工程からなるε−カプロラクタムの製造方
法。 - 【請求項3】晶析で用いる炭化水素系溶媒が、炭素数6
〜12の、脂肪族直鎖炭化水素、脂肪族側鎖炭化水素、
及び脂環族炭化水素の少なくとも1種である請求項1又
は2に記載の方法。 - 【請求項4】水素添加工程においてラクタムの水素添加
触媒との接触時間を0.033〜2時間または空間速度
をWHSVで0.5〜30h-1の範囲で実施することを
特徴とする請求項1〜3記載の方法。 - 【請求項5】気相でシクロヘキサノンオキシムをゼオラ
イト系固体触媒に接触させて粗ε−カプロラクタムを得
る工程からなる請求項2〜4に記載のε−カプロラクタ
ムの製造方法。 - 【請求項6】得られたε−カプロラクタムが、シクロヘ
キサノンオキシムを10ppm未満、1,2,3,4,
6,7,8,9−オクタハイドロフェナジンを10pp
m未満、3−N−メチル−4,5,6,7−テトラヒド
ロベンズイミダゾールが25ppm未満、及びカプレノ
ラクタム類が30ppm未満である請求項1〜5に記載
の方法。 - 【請求項7】粗ε−カプロラクタムが、シクロヘキサノ
ンオキシム10ppm、1,2,3,4,6,7,8,
9−オクタハイドロフェナジン10ppm、3−N−メ
チル−4,5,6,7−テトラヒドロベンズイミダゾー
ル25ppmの少なくとも1種を上記記載量以上含有
し、且つカプレノラクタム類を30ppm以上含有する
請求項1〜6に記載の方法。 - 【請求項8】晶析後のε−カプロラクタムが、遊離塩基
が1meq/kg以下、またはpH値が6.5以下であ
る請求項1〜7に記載の方法。 - 【請求項9】水素と接触させた後のε−カプロラクタム
が、PM価10未満である請求項1〜8に記載の方法。 - 【請求項10】粗ε−カプロラクタムが、シクロヘキサ
ノンオキシムを気相でゼオライト系固体触媒を用いたベ
ックマン転位で得られたものであることを特徴とする請
求項1〜9に記載の方法。
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JP37184298 | 1998-12-28 | ||
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JP2014139152A (ja) * | 2012-12-19 | 2014-07-31 | Toray Ind Inc | ラクタムの精製方法 |
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-
1999
- 1999-12-27 JP JP37067599A patent/JP4239339B2/ja not_active Expired - Fee Related
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