JP2000247935A - 両親媒性フラーレン誘導体 - Google Patents

両親媒性フラーレン誘導体

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JP2000247935A
JP2000247935A JP11045704A JP4570499A JP2000247935A JP 2000247935 A JP2000247935 A JP 2000247935A JP 11045704 A JP11045704 A JP 11045704A JP 4570499 A JP4570499 A JP 4570499A JP 2000247935 A JP2000247935 A JP 2000247935A
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fullerene
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fullerene derivative
compound
water
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Kei Oishi
圭 大石
Seiji Shinkai
征治 新海
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Japan Science and Technology Agency
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Japan Science and Technology Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フラーレンに親水性を付与してフラーレンを
水中で分散または溶解させる新しい手段を提供する。 【解決手段】 下記の一般式(1)で表されることを特
徴とするフラーレン誘導体。但し、式(1)中、FLは
フラーレン構造を表し、Xは、(CHまたは
((CHO)−(CHを表し(nは6〜
12の整数、mは2〜4の整数を表す)、Yは下記の
(2)または(3)を表す。 【化1】 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フラーレンから誘
導される新規な化合物に関し、特に、両親媒性を有する
フラーレン誘導体に関する。
【0002】
【従来の技術】フラーレンは、C60によって代表され
る球殻状炭素分子(炭素同素体)であり、1985年にク
ロトーとスモーリーによって発見されて以来、そのユニ
ークな構造に由来するユニークな機能が期待され、多く
の科学者および技術者により基礎および応用の両面から
研究が行われている。この結果、フラーレンから光導電
性材料や触媒、さらには医薬・診断薬(例えば、抗エイ
ズ薬)などが得られる可能性が示唆されている。
【0003】しかしながら、このようなフラーレンに関
する研究や開発における問題の一つは、フラーレンは疎
水性が強くて水などの極性物質に不溶であり、水溶液中
では凝集してしまうことである。例えば、医薬や診断薬
としてのフラーレンの機能を調べるためには、フラーレ
ンを水中で分散させたり溶解させることにより水中での
生理活性を試験することが必要である。また、各種のデ
バイスとしてのフラーレンの特性を検討するための手段
として、水中で薄膜化することが有用であると考えられ
る。しかし、これまで、フラーレンに親水性を付与し
て、水中での分散や溶解を可能にしたり、薄膜化を容易
にするような手段は殆ど見出されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、フラ
ーレンに親水性を付与してフラーレンを水中で分散また
は溶解させる新しい手段を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、フラーレン
を両親媒性にする分子構造の設計および合成に成功する
ことによって、上記の目的を達成したものである。すな
わち、本発明は、下記の一般式(1)で表されることを
特徴とするフラーレン誘導体を提供する。
【0006】
【化4】
【0007】但し、式(1)中、FLはフラーレン構造
を表し、Xは、(CHまたは((CHO)
−(CHを表し(nは6〜12の整数、mは2
〜4の整数を表す)、Yは下記の(2)または(3)を
表す。
【0008】
【化5】
【0009】本発明のフラーレン誘導体の好ましい例
は、フラーレン構造がC60であり下記の構造式(4)
で表されることを特徴とするフラーレン誘導体である。
【0010】
【化6】
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の両親媒性フラーレン誘導
体は、水中で二分子膜を形成して分散することができ、
また、分子構造に応じて水溶性になることもできる。こ
れは、本発明のフラーレン誘導体が、上記の式(1)に
示されるように、Y〔式(2)または(3)〕を介し
て、末端に第4級アンモニウム塩を有する2つの鎖状の
原子団をフラーレン構造(FL)に結合させた特徴的な
構造から成ることによるものである。例えば、本発明者
が見出したところによれば、そのような第4級アンモニ
ウム塩を1つしか有しないフラーレン誘導体、あるいは
末端が第4級アンモニウム塩以下の親水基(例えば、カ
ルボン酸塩)であるようなフラーレン誘導体は、分散や
溶解することなく凝集してしまう。
【0012】これに対して本発明のフラーレン誘導体
は、フラーレン構造の有る方が疎水部であり、第4級ア
ンモニウム塩の存する側が親水部である両親媒性化合物
として、水中に均一分散して二分子膜を形成することが
できる。さらに、本発明のフラーレン誘導体は、Xの分
子構造によっては水溶性になることもできる。すなわ
ち、式(1)のXにおいて、nまたはmが小さいほど、
また、メチレン鎖よりもエトキシ鎖で構成されている方
が水に対する溶解性が増す。例えば、m=2のエトキシ
基から構成されることによって水溶性のフラーレン誘導
体が得られる。
【0013】式(1)においてFLで表されるフラーレ
ン構造は、一般的には、サッカーボール状の球状分子と
して知られたC60であり、したがって、本発明のフラ
ーレン誘導体の好ましい例は、上記の式(4)で表され
るものである。しかしながら本発明の原理は、C70
よびその他の高次フラーレン(C76、C78、C
など)を両親媒性にしたり親水性を高めるのにも適用す
ることもでき、したがって、FLはそのようなフラーレ
ン構造も含むものとする。
【0014】本発明のフラーレン誘導体は、各種の合成
法を工夫することによって調製することができる。略述
すれば、ジメトキシ化したベンゼンまたは臭素化ジフェ
ニルメタンを臭素を介してフラーレンに結合させた後、
該メトキシ基をそれぞれヒドロキシル化する。該ヒドロ
キシル基に臭素化脂肪酸または臭素化メトキシグリコー
ルカルボン酸を反応させた後、その末端を例えばトリメ
チルアンモニウムガスを用いて第4級アンモニウム化す
る。上記の式(4)のフラーレン誘導体について、その
合成スキームを図1に示している。
【0015】本発明のフラーレン誘導体は、水中で分散
したり溶解し得るので、水溶液中でのフラーレン構造の
生理活性を探求するための有効な手段となることがで
き、また、容易に二分子膜を形成するので機能性薄膜と
してのフラーレンの特性を調べるのにも資することがで
きる。
【0016】
【実施例】本発明の特徴を更に明らかにするため、以下
に実施例に沿って本発明を説明する。実施例1:フラーレン誘導体の調製 図1に示す反応スキームに従って、上記の式(1)で表
されるフラーレン誘導体を調製した。
【0017】〔化合物(A)の合成〕1,2−ジメトキ
シベンゼン(10g、72mmol)とパラホルムアルデヒド
(4.3g、144mmol)の酢酸溶液(40ml)に15℃を保ちな
がら、33%臭酸の酢酸溶液(31ml)を加えた。室温で20
時間攪拌した後、65℃に1時間加熱し、室温に放冷した
あと、沈澱物を濾過した。シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーにて化合物を精製した(ジクロロメタン)。
【0018】〔化合物(B)の合成〕窒素雰囲気中で乾
燥トルエン(250ml)に[60]フラーレン(C60)(5
00mg、0.69mmol)とt−ブチルアンモニウムアイオダイ
ド(835g、2.25mmol)を溶解させた。その後に化合物
(A)(335mg、1.05mmol)を加え、遮光下で27時間加
熱還流を行った。その後、室温まで放冷し、水で洗った
あと、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し
た(トルエン/ヘキサン:3/1)。
【0019】〔化合物(C)の合成〕窒素雰囲気中で化
合物(B)(31mg、0.035mmol)の乾燥トルエン溶液に
0℃で三臭化ブロマイド(0.2ml、2.3mmol)を加えた。
その混合溶液を室温で一昼夜、攪拌した。反応後、冷水
にて三反応の三臭化ブロマイドを消失させ、酢酸エチル
で抽出した。有機相を水で洗い、無水硫酸マグネシウム
で乾燥させ、減圧留去した。生成物をTHF/ヘキサン
にて再沈澱させて精製した。
【0020】〔化合物(D)の合成〕窒素雰囲気中で化
合物(C)(60mg、0.058mmol)、4−ジメチルアミノ
ピリジン(2.1mg、0.017mmol)と11−ブロモウンデカ
ン酸(46mg、0.17mmol)の乾燥塩化メチレン溶液にN,
N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(35mg、0.17mmo
l)を0℃で加えた。その混合溶液を室温で20時間反応
させた。反応後、反応溶液を濾過し、ジシクロヘキシル
尿素を取り除いた。混合溶液はシリカゲルカラムクロマ
トグラフィーにて精製した(トルエン/ヘキサン=3/
1)。
【0021】〔フラーレン誘導体(4)の合成〕化合物
(D)の乾燥トルエン溶液に0℃にてトリメチルアンモ
ニウムガスを大過剰に吹き込んだ。混合溶液は室温で7
日間反応させた。沈澱物を濾過により取り集め、トルエ
ンにて洗浄した。
【0022】〔フラーレン誘導体(4)の同定〕 茶色の固体;融点400℃以上; IR(KBr):νmax 2923, 2851, 1763(νco), 11
00, 572; H NMR(300MHz, DMSO-d8, 130℃)δ7.67(s, 2H, ArH),
4.77(s, 4H, CH2), 3.36-3.30(m, 4H, CH2N+), 2.91
(s, 18H, N+(CH3)3), 2.63(t, J=7.3Hz, 4H, COCH2),
1.79-1.67(m, 8H, CH2), 1.48-1.32(m, 24H, CH2);13 C NMR(300MHz, DMSO-d6, 130℃)δ169.89(CO), 156.3
6, 146.60, 145.42, 145.16, 144.78, 144.37, 144.28,
143.68, 142.05, 141.53, 141.18, 141.01, 140.84, 1
40.53, 138.96, 135.85, 134.65(C), 122.20(CH), 121.
61(C), 65.52(CH2N+), 65.16(フラーレンsp3C), 52.12
(N+CH3), 52.08(ArCH2), 32.85(COCH2), 28.1-27.5(C
H2); MS(ポジティブSIMS、NBA)m/z 1308〔(M-2Br)+〕、654
〔(M-2Br)2+〕 元素分析(C95H54Br2N2O4)、計算値:C, 78.47 ; H, 4.3
9 ; N, 1.91、測定値:C, 78.28 ; H, 4.31 ; N, 1.89
【0023】実施例2:水中におけるフラーレン誘導体
二分子膜の形成 実施例1で調製したフラーレン誘導体〔式(4)〕を水
中に超音波照射により均一分散させた溶液のキャスト膜
を作成した。そのキャスト膜のX線回折測定を行った。
その回折チャートを図2に示す。図2に示されるよう
に、2θ=2.21にブロードなピークが検出された。その
角度より、39.3Åの格子間隔を持つ会合体が形成されて
いることがわかる。式(4)のフラーレン誘導体の分子
長が32Åであることより、二分子膜が形成されているこ
とが確認された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフラーレン誘導体の合成スキームを示
す。
【図2】本発明のフラーレン誘導体から形成されたキャ
スト膜のX線回折チャートである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の一般式(1)で表されることを特徴
    とするフラーレン誘導体。 【化1】 但し、式(1)中、FLはフラーレン構造を表し、X
    は、(CHまたは((CHO)−(CH
    を表し(nは6〜12の整数、mは2〜4の整数
    を表す)、Yは下記の(2)または(3)を表す。 【化2】
  2. 【請求項2】 フラーレン構造がC60であり下記の構
    造式(4)で表されることを特徴とする請求項1のフラ
    ーレン誘導体。 【化3】
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006512448A (ja) * 2002-12-31 2006-04-13 スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー 表面改質有機分子を含む発泡体
US7632788B2 (en) 2005-12-12 2009-12-15 Afton Chemical Corporation Nanosphere additives and lubricant formulations containing the nanosphere additives
US7867958B2 (en) 2006-04-28 2011-01-11 Afton Chemical Corporation Diblock monopolymers as lubricant additives and lubricant formulations containing same
JP2014070042A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Mitsubishi Corp フラーレン誘導体及びその製造方法

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