JP2000247108A - 空気入りタイヤ - Google Patents
空気入りタイヤInfo
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Abstract
耐久性を低下させることなく生産性を確保し、しかも従
来よりも空気保持性を向上させた空気入りタイヤを提供
する。 【解決手段】 ゴム主成分としてハロゲン化ブチルゴム
を用いたインナーライナー層を有する空気入りタイヤに
おいて、前記インナーライナー層がタイヤ内側表面層
(A)とカーカス側層(B)との2層構造を有し、前記
タイヤ内側表面層(A)と前記カーカス側層(B)との
厚さが共に0.5mm以上であり、前記タイヤ内側表面
層(A)が、ゴム成分100重量部に対し、総充填材4
0〜60重量部と、プロセスオイル15重量部以下とを
含有し、前記カーカス側層(B)が、ゴム成分100重
量部に対し、総充填材70重量部以上と、粘着付与剤2
重量部以上とを含有する。
Description
関し、詳しくは、インナーライナー層の耐クラック性、
低温性等に基づく耐久性を損なうことなく、また良好な
生産性をも確保しつつ、空気保持特性を向上させた空気
入りタイヤに関する。
空気圧を一定に保つためにハロゲン化ブチルゴムなどの
低透過性のゴムをゴム主成分とするインナーライナー層
が設けられている。このインナーライナー層のエア透過
性を下げれば、空気中のO2がタイヤ内に入る量が減
り、結果として、タイヤの耐久性が向上することは知ら
れている。
のゴムを得るためには、それに含まれるカーボンブラッ
ク、シリカ、クレー、炭酸カルシウム等の充填量を増や
す方法がある。しかし、通常、これら充填材の総量がゴ
ム成分100重量部に対して70重量部以上では、耐ク
ラック性、低温性等が悪化し、実用化が困難となる。ま
た、上記ゴム中のプロセスオイル等の軟化剤を少なくす
る方法もあるが、この場合、ゴムの収縮率が高くなり、
生産性を著しく低下させる結果となる。他に、ガラス転
移温度の高い樹脂を入れる方法もあるが、−20℃以下
の低温になるとゴムが硬くなり、クラック等の問題を起
こし、やはり実用化できなくなる。
性とし、耐久性の向上を図る技術として具体的に以下の
ようなものが提案されている。例えば、特表平9−51
2581号公報には、GPF以下の低級グレードカーボ
ンブラックのコロイダルを定め、そのカーボンブラック
を使用したゴム組成物が開示されている。しかし、かか
る低補強性のカーボンブラックを使用しても、その充填
量がゴム成分100重量部に対して75重量部以上の高
充填では、耐クラック性および低温性で問題がある。
は、インナーライナー層を3層以上のラミネート構造と
した空気入りタイヤが開示されている。しかし、かかる
ラミネート構造は多種の異種ゴム層であるため、界面に
おけるゴム接着の面で問題がある。さらに、特開昭57
−186502号公報には、インナーライナー層を2層
構造とし、夫々の層のハロゲン化ブチルゴムの使用量を
規定した空気入りタイヤが開示されている。しかし、こ
れはハロゲン化ブチルゴムの使用量が少ないために、空
気保持性が良好とはいえなかった。
おいては、空気入りタイヤのインナーライナー層の耐ク
ラック性、低温性等に基づく耐久性を損なわずに良好な
生産性をも確保し、その上で更に空気保持特性を向上さ
せることはできなかった。
性等のインナーライナーの耐久性を低下させることなく
生産性を確保し、しかも従来よりも空気保持性を向上さ
せた空気入りタイヤを提供することにある。
決すべく鋭意検討した結果、インナーライナー層を2層
構造とし、タイヤ内側表面層(A)にはインナーライナ
ー層の耐久性確保のためのハロゲン化ブチルゴムを配
し、カーカス側層(B)には低透過性と作業、生産性
(高タッキネスでかつ低収縮性)とを両立し得るハロゲ
ン化ブチルゴムを配することにより前記目的を達成し得
ることを見出し、本発明を完成するに至った。
成分としてハロゲン化ブチルゴムを用いたインナーライ
ナー層を有する空気入りタイヤにおいて、前記インナー
ライナー層がタイヤ内側表面層(A)とカーカス側層
(B)との2層構造を有し、前記タイヤ内側表面層
(A)と前記カーカス側層(B)との厚さが共に0.5
mm以上であり、前記タイヤ内側表面層(A)が、ゴム
成分100重量部に対し、総充填材40〜60重量部
と、プロセスオイル15重量部以下とを含有し、前記カ
ーカス側層(B)が、ゴム成分100重量部に対し、総
充填材70重量部以上と、粘着付与剤2重量部以上とを
含有することを特徴とするものである。
着付与剤は、好ましくはフェノール系樹脂、テルペン系
樹脂、クマロン系樹脂および石油系炭化水素樹脂からな
る群から選ばれるものとする。
カーカス側層(B)の厚さの合計は、好ましくは1.0
〜6.0mmである。
級またはSRF級カーボンブラックである。
の空気透過係数は、好ましくは0.8×10−10cm
3・cm/cm2・sec・cmHg以下であり、また
前記カーカス側層(B)の空気透過係数は、好ましくは
0.5×10−10cm3・cm/cm2・sec・c
mHg以下である。
具体的に説明する。本発明の空気入りタイヤは、インナ
ーライナー層の改良に係るものであり、図1に示すよう
に、該インナーライナー層1をタイヤ内側表面層(A)
と、カーカスプライコード4を被覆するカーカスプライ
コーティングゴム3下のタイゴム2に隣接するカーカス
側層(B)との2層構造とする。ここでタイゴムは、加
硫時の圧力によりプライコード間にゴムが流れコード乱
れ等が生ずるのを防ぐと共に、接着層の確保の役割を有
し、配合系はプライコーティングゴムと略同じで、物性
は未加硫粘度がやや高めで、スチールとの接着性を有す
る。両層ともゴム主成分としてはハロゲン化ブチルゴ
ム、好ましくはブロモブチルゴムが用いられる。本発明
においては、良好な空気保持特性を得るためにインナー
ライナー層にハロゲン化ブチルゴムが使用されるが、空
気保持性が十分に維持される範囲内で他のゴム、例え
ば、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴ
ム等のジエン系ゴムをブレンドすることができる。好適
には、ゴム成分100重量部中、ハロゲン化ブチルゴム
を80重量部以上とする。
層(A)とカーカス側層(B)とも同種のゴム成分が用
いられ、このことから、互いの良好な接着が得られ、剥
離に基づく耐久面では問題となることがない。
る上で、タイヤ内側表面層(A)とカーカス側層(B)
との厚さは共に0.5mm以上であり、好ましくは共に
1.0〜3.0mmの範囲内である。タイヤ内側表面層
(A)の厚さが0.5mm未満となると、カーカス側層
(B)のゴム特性が表れやすくなり、耐クラック性等の
耐久性を低下させてしまう。よって、タイヤ内側表面層
(A)は0.5mm以上とする必要がある。また、カー
カス側層(B)が0.5mm未満では2層化する意味が
薄れ、また生産が困難となる。よって、やはり0.5m
m以上とする必要がある。
分100重量部に対し、総充填材40〜60重量部、好
ましくは40〜55重量部と、プロセスオイル15重量
部以下、好ましくは0〜7重量部とを含有する。総充填
材が60重量部を超えるとゴムが硬くなり、長期使用下
での繰り返し疲労によりクラックが発生し、疲労による
耐クラック性、低温クラック性に劣ることになる。特
に、低温地での使用でも長期間使用を可能とするために
は55重量部以下が好ましい。一方、40重量部未満で
はゴムの収縮率が高くなり、作業性が著しく低下するこ
とになる。ここで、充填材としては、無機充填材および
有機充填材のいずれでもよく、また両者を併用してもよ
い。好ましくは、カーボンブラック、シリカ、クレー等
が挙げられ、より好ましくはGPF級またはSRF級の
カーボンブラックであって、N2SA30m2/g以
下、DBP90ml/100g以下のものが挙げられ
る。
る程度の低透過性は必要なため、上記充填材量の範囲で
低透過性を確保するためには、プロセスオイルの量は1
5重量部以下とすることが必要であり、好ましくは0〜
7重量部とする。ここで、プロセスオイルとしは、パラ
フィン系、ナフテン系、アロマチック系オイルが挙げら
れ、好ましくはアロマオイル、スピンドルオイルが挙げ
られる。
は、好ましくは0.8×10−10cm3・cm/cm
2・sec・cmHg以下、さらに好ましくは0.65
×10−10cm3・cm/cm2・sec・cmHg
以下とする。
00重量部に対し、総充填材70重量部以上と、粘着付
与剤2重量部以上とを含有する。このカーカス側層
(B)を前記タイヤ内側表面層(A)の8割以下の低透
過性のゴムとするためには、総充填材量を70重量部以
上とすることが必要であり、好ましくは75〜90重量
部とする。かかる充填材の種類としては、A層に用いた
ものと同種のものを用いることができる。特には、カー
ボンも併用してクレーを10〜30重量部含むものが好
ましい。また、タイゴムとの未加硫での粘着性を上げ、
タイゴムとインナーライナー層との間にエアが入らない
ようにするために、粘着付与剤を、2重量部以上、好ま
しくは2〜4重量部配合する。
は、好ましくは0.5×10−10cm3・cm/cm
2・sec・cmHg以下とする。
対する上述の配合剤の他、老化防止剤、加硫促進剤、加
硫促進助剤、加硫剤等、通常使用される薬剤を適宜配合
することができる。また、インナーライナー層以外のタ
イヤ構造、構成材料等は慣用に従い採用することがで
き、特に従来のものと変更を要するものではない。かか
る粘着付与剤は、配合物の粘着性を増大させる目的で天
然・合成ゴム、ゴム系接着剤、ラテックス等に配合する
薬品として慣用されているものを用いることができ、特
に制限されるべきものではないが、好ましくはフェノー
ル系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン系樹脂および石油
系炭化水素樹脂からなる群から選ばれるものを挙げるこ
とができる。
記の表1に示す配合内容(重量部)に従い、各種インナ
ーライナー用ゴム組成物(1)〜(10)を調製した。
〜100℃ 3)高融点クマロン含量50% 4)テルペン・フェノール樹脂、軟化点100℃ 5)合成ポリテルペン樹脂、軟化点100℃
および(2)は本発明のタイヤ内側表面層(A)の要件
を、また(3)および(4)は本発明のカーカス側層
(B)の要件を、夫々満たすものである。
使用し、サイズ11R22.5 14PRのトラックバ
ス(TBR)用タイヤを下記の表2に示す条件に従い試
作した。また、試作したタイヤについて表2に示す性能
試験を実施した。
60℃の恒温庫に3ケ月間放置し、3ケ月後の空気圧を
測定し、空気漏れ量を比較例1を100として逆数を取
り、指数で表示した。表値が大なるほど結果が良好であ
る。 *2 各試作タイヤを空気圧350Kpaで30000
km走行(ドラム上)させ、しかる後リムを外し、内面
を目視でクラック、しわの状況について観察した。目視
できるクラック、しわがあるものは×とし、ないものを
○とした。 *3 試作タイヤのグリーンタイヤの内面を目視し、5
mmφ以上のエア入りがあったものを×とし、ないもの
を○とした。
入りタイヤにおいては、クラック性、低温性等のインナ
ーライナーの耐久性を低下させることなく生産性を確保
でき、しかも従来よりも空気保持性を向上させることが
できる。
である。
Claims (6)
- 【請求項1】 ゴム主成分としてハロゲン化ブチルゴム
を用いたインナーライナー層を有する空気入りタイヤに
おいて、 前記インナーライナー層がタイヤ内側表面層(A)とカ
ーカス側層(B)との2層構造を有し、 前記タイヤ内側表面層(A)と前記カーカス側層(B)
との厚さが共に0.5mm以上であり、 前記タイヤ内側表面層(A)が、ゴム成分100重量部
に対し、総充填材40〜60重量部と、プロセスオイル
15重量部以下とを含有し、 前記カーカス側層(B)が、ゴム成分100重量部に対
し、総充填材70重量部以上と、粘着付与剤2重量部以
上とを含有することを特徴とする空気入りタイヤ。 - 【請求項2】 前記粘着付与剤がフェノール系樹脂、テ
ルペン系樹脂、クマロン系樹脂および石油系炭化水素樹
脂からなる群から選ばれる請求項1記載の空気入りタイ
ヤ。 - 【請求項3】 前記タイヤ内側表面層(A)と前記カー
カス側層(B)の厚さの合計が1.0〜6.0mmであ
る請求項1または2記載の空気入りタイヤ。 - 【請求項4】 前記充填材がGPF級またはSRF級カ
ーボンブラックである請求項1〜3のうちいずれか一項
記載の空気入りタイヤ。 - 【請求項5】 前記タイヤ内側表面層(A)の空気透過
係数が0.8×10−10cm3・cm/cm2・se
c・cmHg以下である請求項1〜4のうちいずれか一
項記載の空気入りタイヤ。 - 【請求項6】 前記カーカス側層(B)の空気透過係数
が0.5×10−10cm3・cm/cm2・sec・
cmHg以下である請求項1〜5のうちいずれか一項記
載の空気入りタイヤ。
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