JP2000246316A - 圧延設備のロール支持用複列ころ軸受 - Google Patents

圧延設備のロール支持用複列ころ軸受

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JP2000246316A JP11051509A JP5150999A JP2000246316A JP 2000246316 A JP2000246316 A JP 2000246316A JP 11051509 A JP11051509 A JP 11051509A JP 5150999 A JP5150999 A JP 5150999A JP 2000246316 A JP2000246316 A JP 2000246316A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造コストが安価で、かつメインテナンス周
期が長い圧延設備のロール支持用複列ころ軸受を提供す
ることである。 【解決手段】 作業ロール2と補強ロール3のネック部
2a、3aを支持する軸受箱6、7に組み込まれた4列
ころ軸受4、5の軌道輪と転動体の素材を、合金元素と
して質量%で、Cを0.2〜0.3%、Niを2.5〜
3.0%、Crを1.0%以下、Moを0.2%〜0.
3%含有する鋼材とし、その表面に浸炭層を形成して、
表面硬さをロックウェル硬さHRC58以上とすること
により、従来の軸受用材料を用いた複列ころ軸受よりも
素材コストと熱処理コストを低減するとともに、転動疲
労特性と耐摩耗性、耐表面損傷性を向上させて、そのメ
インテナンス周期を延ばし、圧延設備のロール交換周期
の延長に寄与できるようにしたのである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、金属板を圧延す
る圧延設備において、作業ロールや補強ロール等を回転
自在に支持するロール支持用複列ころ軸受に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】金属板を圧延する圧延設備の形態として
は、圧延機を交互に正転、逆転させて、複数パスで素材
を圧延するリバース式圧延設備と、直列に近接配置した
複数の圧延機に素材を同時に噛み込んで、一方向へ圧延
するタンデム式圧延設備とが代表的である。鋼板用のホ
ットストリップミルのように、粗圧延工程のリバース式
圧延設備と仕上げ圧延工程のタンデム式圧延設備を組み
合わせたものもある。また、最も簡単な形態として、ス
キンパス圧延設備のように、1基の圧延機で一方向へ圧
延するものもあり、これらは連続焼鈍ラインや連続酸洗
ライン等の途中に組み込まれて使用されることもある。
【0003】圧延設備を構成する圧延機は、一対の作業
ロールのみを備える2段圧延機と、各作業ロールの背面
側に補強ロールが配置された4段圧延機が最も多く、各
作業ロールと補強ロールの間に中間ロールを配置した6
段圧延機やさらに多段の圧延機も一部で採用されてい
る。特殊なロール配置をしたプラネタリミル等の特殊圧
延機も、ごく一部で使用されている。
【0004】また、圧延される素材で区分すると、厚板
圧延設備やホットストリップミルのように熱い素材を圧
延する熱間圧延設備と、コールドストリップミルのよう
に冷やされた素材を圧延する冷間圧延設備とに大別され
る。
【0005】前記作業ロールや補強ロール等のロール
は、両端のネック部に複列ころ軸受が組み込まれた軸受
箱が取り付けられ、これらの軸受箱が圧延機ハウジング
のウインドゥに前後面を固定されて、ハウジングに回転
自在に支持される。各ロールはその軸受箱とともに、圧
下装置でハウジングウインドゥの側面に沿って上下さ
れ、上下作業ロール間のロールギャップが決められる。
【0006】上述した圧延設備では、幅広の素材を減厚
するために、作業ロールに大きな圧延荷重が作用し、大
型の厚板圧延設備やホットストリップミルでは、圧延荷
重が数千トンになることもある。近年、圧延製品の材質
を圧延工程でも造り込む目的や、生産性を高める目的
で、1パス当たりの圧下量を従来よりも大きくすること
も行われ、これに伴って圧延荷重はさらに増加する傾向
がある。圧延荷重は、2段圧延機では作業ロールの軸受
箱を介して、補強ロールを有する圧延機では補強ロール
の軸受箱を介してハウジングで支えられる。
【0007】板圧延では大きな圧延荷重によるモーメン
トでロールが撓み、ロールギャップが幅方向で不均一と
なり、板製品の板クラウン(板幅方向での板厚差)や平
坦度が悪化するため、圧延設備には、ロールの撓みを制
御するロールベンディング装置が設けられている。近
年、圧延製品の板クラウンや平坦度に対する要求精度が
厳しくなり、これらの制御能力を高めるため、近年新設
されたり、改造されたりした圧延設備では、非常に大き
なベンディング力を有するロールベンディング装置が採
用されている。ロールベンディング装置のベンディング
力は、作業ロールや中間ロールの軸受箱に負荷される。
【0008】熱間圧延設備では、ロール冷却水やスケー
ルブレーカ用のノズル配管も付設されるので、その周囲
にはスケールや冷却水、およびその水蒸気が飛散する。
冷間圧延設備では、水を主成分とするエマルションタイ
プの圧延油が多く使用されるので、その水分や蒸気が周
囲に飛散する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、圧延
設備のロール軸受箱には、非常に大きな圧延荷重やロー
ルベンディング力が負荷されるので、軸受箱に組み込ま
れた複列ころ軸受の軌道輪や転動体には、優れた転動疲
労特性が要求される。また、周囲に飛散する水やスケー
ル等が軸受箱の中に侵入するので、潤滑グリースが水等
で洗い流されて軸受軌道面での油膜が不足したり、軌道
面にスケール等の異物が噛み込まれたりして、軌道面が
摩耗しやすく、かつ、スミアリングや異物の噛み込み圧
痕等の表面損傷が問題になることもある。
【0010】このため、従来、ロール軸受箱の複列ころ
軸受の軸受材料には、SNCM815等の高価な肌焼き
鋼を2回焼入れしたものを用い、2回焼入れ後の硬度を
確保するため中間焼鈍も行っており、素材コストと熱処
理コストが非常に高いものとなっている。
【0011】また、作業ロールは、圧延の進行に伴って
胴部が摩耗したり、肌荒れしたりするので、適宜の周期
で交換される。補強ロールや中間ロールは、通常、作業
ロールよりも長い周期で交換され、作業ロールの何回目
かの交換周期に合わせて交換される。ロール軸受箱は、
これらの交換周期毎にロールと一緒にハウジングから取
り出され、必要に応じて、軸受部のメインテナンスが行
われる。近年、ホットストリップミル等の作業ロールに
は、優れた耐摩耗性と耐肌荒れ性を有するハイスロール
が使用され始め、作業ロールの交換周期が非常に長くな
る傾向があり、ロールを支持する複列ころ軸受に対して
も、さらに長いメインテナンス周期を確保できるものが
望まれている。
【0012】そこで、この発明の課題は、製造コストが
安価で、かつメインテナンス周期が長い圧延設備のロー
ル支持用複列ころ軸受を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明は、ロールをハウジングに対して回転自
在に支持する圧延設備のロール支持用複列ころ軸受にお
いて、前記ころ軸受の軌道輪と転動体の素材を、合金元
素として質量%で、Cを0.2%以上で0.3%以下、
Niを2.5%以上で3.0%以下、Crを1.0%以
下含有する鋼材とし、その表面に浸炭層または浸炭窒化
層を形成し、表面硬さをロックウェル硬さHRC58以
上とした構成を採用したのである。
【0014】すなわち、従来のSNCM815に対し
て、高価なNiの含有量を少なくして、C量を多くする
ことにより、素材コストを低減して、内部の強度と靱性
を確保するとともに、浸炭処理または浸炭窒化処理を行
うことにより、表面硬さをロックウェル硬さHRC58
以上として、耐摩耗性と耐表面損傷性を確保できるよう
にしたのである。また、後の表1に示すように、本発明
による鋼材は、SNCM815よりもベースC量が多い
ため、見かけの拡散係数k(必要な硬化深さdを得るの
に要する浸炭時間tの平方根に逆比例する値、k=d/
√t)が大きく、同一の浸炭条件で浸炭処理時間を短縮
でき、熱処理コストも低減することができる。
【0015】Cを0.2%以上で0.3%以下含有させ
たのは、0.2%未満では内部の強度を確保できないか
らである。上限を0.3%としたのは、0.3%を越え
ると浸炭鋼特有の内部の靱性を確保できず、鍛造性も低
下するからである。
【0016】Niを2.5%以上で3.0%以下含有さ
せたのは、2.5%未満では内部の靱性を確保できず、
焼入れ性も低下するからである。上限を3.0%とした
のは、Niはオーステナイト安定化元素のため、3.0
%を越えると2回焼入れを行っただけではまだ残留オー
ステナイト量が局部的に多くなり、表層の必要硬さ(H
RC58以上)が得られないので、中間焼鈍による組織
の均一化と炭化物の析出処理が必要になること、および
素材コスト低減効果も少なくなることからである。
【0017】Crを1.0%以下含有させたのは、Cr
は炭化物を形成して鋼を強化するとともに、Niと共存
して焼入れ性を高めるからである。上限を1.0%に限
定したのは、素材コストを低減するためである。
【0018】前記鋼材にMoを質量%で、0.2%以上
で0.3%以下含有させることにより、焼入れ性をさら
に改善するとともに、焼戻し脆性を防止することができ
る。この効果を得るために下限を0.2%とした。Mo
を0.3%を越えて含有させると、被削性が低下し、か
つ素材コストも上昇するので、上限を0.3%に限定し
た。
【0019】前記複列ころ軸受を4列ころ軸受とするこ
とにより、軸受部の負荷容量を大きくすることができ
る。
【0020】前記複列ころ軸受としては、円錐ころ軸
受、円筒ころ軸受または自動調心ころ軸受を採用するこ
とができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図1乃至図3に基づき、こ
の発明の実施形態を説明する。図1は、ホットストリッ
プミルの仕上げ圧延設備を構成する4段圧延機の一つを
示す。この4段圧延機は、ハウジング1に各上下一対の
作業ロール2と補強ロール3が組み込まれており、各ロ
ール2、3のネック部2a、3aは、それぞれ4列ころ
軸受4、5が組み込まれた軸受箱6、7で、ハウジング
1のウインドゥ8に回転自在に支持されている。各作業
ロール2は、その一端をスピンドルとユニバーサルジョ
イントを介して主機モータ(図示省略)に接続され、回
転駆動される。
【0022】前記ウインドゥ8の底面には油圧圧下装置
9が組み込まれて、この油圧圧下装置9の上に下補強ロ
ール3の軸受箱7が載置され、上補強ロール3の軸受箱
7の上面には、球面座10を介して圧下スクリュ11が
押圧されている。圧下スクリュ11は圧下モータ(図示
省略)で回転駆動され、上作業ロール2と上補強ロール
3が一体で上下して、被圧延材12を通すロールギャッ
プが所定の位置に初期設定される。油圧圧下装置9は、
被圧延材12の硬さむら等による圧延中の圧延荷重の変
動に応じて作動され、被圧延材12の長手方向の板厚変
動を防止する。したがって、圧延荷重は上下補強ロール
3の軸受箱7を介して、油圧圧下装置9と球面座10で
受けられる。
【0023】前記上下作業ロール2の軸受箱6の間に
は、油圧式のロールベンディング装置13が組み込まれ
ており、各作業ロール2に、圧延荷重による曲げモーメ
ントと逆向きの曲げモーメントを与えてその撓みを抑制
し、被圧延材12の板クラウンを制御するようになって
いる。
【0024】前記作業ロール2の軸受箱6に組み込まれ
た4列ころ軸受4には、図2(a)に拡大して示すよう
に、円錐ころ軸受が採用されている。この4列ころ軸受
4は、2列の軌道面14を有する一対の内輪15と、単
列の軌道面16を有する一対の外輪17、および2列の
軌道面18を有する一つの外輪19と、各内輪15の軌
道面14と外輪17、19の軌道面16、18との間に
転動自在に配された4列の円錐ころ20と、円錐ころ2
0を円周方向で所定間隔に保持する保持器21とを備え
ている。各内輪15の中央部には大鍔22が設けられ、
軸受使用時に円錐ころ20は、大鍔22に案内されなが
ら各軌道面14上を転動する。なお、外輪17と外輪1
9の間には、給脂用の間座23が介装されている。
【0025】前記内輪15、外輪17、19および円錐
ころ20は、それぞれC量0.2〜0.3%、Ni量
2.5〜3.0%、Cr量1.0%以下、Mo量0.2
〜0.3%を含有する鋼材を素材とし、図2(b)に示
すように、その表面には浸炭層15a、17a、19
a、20aが形成され、表面硬さがロックウェル硬さH
RC58以上となっている。
【0026】前記補強ロール3の軸受箱7に組み込まれ
た4列ころ軸受5には、図3(a)に拡大して示すよう
に、円筒ころ軸受が採用されている。この4列ころ軸受
5は、4列の軌道面24を有する内輪25と、4列の軌
道面26を有する外輪27と、内外輪25、27の各軌
道面24、26の間に転動自在に配された4列の円筒こ
ろ28と、円筒ころ28を円周方向で所定間隔に保持す
る保持器29とを備えている。
【0027】前記内輪25、外輪27および円筒ころ2
8は、図2に示した円錐ころ軸受と同様に、それぞれC
量0.2〜0.3%、Ni量2.5〜3.0%、Cr量
1.0%以下、Mo量0.2〜0.3%を含有する鋼材
を素材とし、図3(b)に示すように、その表面には浸
炭層25a、27a、28aが形成され、表面硬さがロ
ックウェル硬さHRC58以上となっている。
【0028】上述した実施形態では、各軸受箱に4列こ
ろ軸受を一つずつ組み込んだが、2列ころ軸受または4
列ころ軸受を複数個組み込むこともできる。また、内
輪、外輪、ころの各部品の素材とした鋼材にMoを含有
させたが、Moを無添加とした鋼材も採用でき、各部品
表面の浸炭層を浸炭窒化層とすることもできる。これら
の浸炭層や浸炭窒化層は、各部品が互いに接触し合う面
のみに形成してもよい。
【0029】以下に実施例および比較例を挙げる。
【0030】
【実施例】表1に示す化学成分を有する鋼を素材とし
て、表面にロックウェル硬さHRC58以上の浸炭層を
形成したリング状試験片ところ状試験片を製造した。
【0031】
【比較例】表1に示す化学成分を有するSNCM815
を素材として、実施例と同じ深さの浸炭層を形成したリ
ング状試験片ところ状試験片を製造した。各試験片の寸
法形状は実施例と同じである。
【0032】
【表1】
【0033】上記実施例および比較例について、試験片
を熱処理する過程での拡散係数と熱処理変形の調査と、
前記リング状試験片ところ状試験片のいずれかを用いた
表面硬さ試験、転動寿命試験およびスミアリング試験を
行った。
【0034】(1)拡散係数の調査 外径600mm、内径540mm、幅90mmのリング
状試験片を浸炭処理する際に要した浸炭時間tと、製造
された各試験片の断面硬さを測定して求めた浸炭深さd
から、次式を用いて拡散係数kを算出した。なお、浸炭
深さdは、ビッカース硬さHV550以上としたもの
と、ロックウェル硬さHRC58以上としたものとの平
均値を採用した。
【0035】d = k√t 調査結果を表1に併せて示す。拡散係数kは、比較例の
ものを1.0として、比の形で表した。実施例の拡散係
数kは、比較例の1.5倍であり、同一の浸炭深さdを
得るための浸炭時間tが非常に短くなり、熱処理コスト
を低減できることがわかる。
【0036】(2)熱処理変形の調査 前記拡散係数を調査したリング状試験片について、浸
炭、2回焼入れ処理を行ったときの熱処理変形量を測定
した。比較例のリング状試験片については、表面硬さを
確保するため、中間焼鈍も行った。浸炭深さ(HV55
0以上)はいずれも3mmとし、測定部位は5箇所とし
た。
【0037】調査結果を表1に併せて示す。実施例は変
形量が小さく、かつ測定部位間のばらつきも少ない。比
較例は、浸炭時間が長く、かつ中間焼鈍も行ったため、
測定部位間のばらつきも含めて変形量が大きい。したが
って、実施例のものは、熱処理変形のための余裕代と熱
処理後の研削代を少なくして、製造コストを低減するこ
とができる。
【0038】(3)表面硬さ試験 直径25mm、長さ25mmのころ状試験片と、直径6
0mm、長さ60mmのころ状試験片について、ビッカ
ース硬さ試験機を用いて表面硬さHVを測定した。実施
例および比較例のいずれのころ状試験片についても、中
間焼鈍有りのものと無しのものを用意した。
【0039】試験結果を表2に示す。表中には換算ロッ
クウェル硬さHRCも併記する。実施例の試験片は中間
焼鈍の有無に係わらず、HRC58以上の表面硬さが余
裕代を持って得られている。比較例の試験片は、中間焼
鈍無しのものは表面硬さがHRC58よりもかなり低
く、中間焼鈍有りのものはHRC58以上となっている
が、その余裕代は少ない。
【0040】
【表2】
【0041】(4)転動寿命試験 直径60mm、長さ60mmのころ状試験片を用いて、
粗面鋼球を転動相手とした転動寿命試験を以下の試験条
件で行った。なお、実施例は中間焼鈍無しの試験片、比
較例は中間焼鈍有りの試験片を用いた。サンプル数Nは
10とし、耐久寿命はL10寿命(サンプルの90%が
破損しないで使える負荷回数)で評価した。
【0042】 ・相手鋼球 :5/8インチ(表面粗度Ra=0.08μm) ・接触圧力PMAX :5.88GPa ・負荷速度 :6610cpm(cycle per minute) ・潤滑油 :タービン油VG68 試験結果を表2に併せて示す。実施例のものは中間焼鈍
無しでも、比較例よりも長い耐久寿命を示す。
【0043】(5)スミアリング試験 スミアリング試験は、円筒部に緩やかな曲率を有するリ
ング状の試験片を定速回転軸と、この定速回転軸に平行
な増速回転軸に取り付け、両試験片の円筒面を互いに押
し当てて転動させるものである。各試験片の寸法は、直
径40mm、高さ12mm、円筒部の曲率半径60mm
であり、スミアリング強度は、試験片の円筒面にスミア
リングが発生した時点の増速回転軸と定速回転軸の速度
比で評価される。この試験においても、実施例は中間焼
鈍無しの試験片、比較例は中間焼鈍有りの試験片を用
い、以下の試験条件で試験を行った。
【0044】 ・試験片の最大表面粗さ:3.0μm ・接触面圧Pmax :2.1GPa ・潤滑油 :タービン油VG46 ・定速回転軸 :200rpm一定 ・増速回転軸 :200rpmから100rpmずつ
増速 試験結果を表2に併せて示す。比較例に較べて、実施例
のものは優れたスミアリング強度を示す。
【0045】
【発明の効果】以上のように、この発明の圧延設備のロ
ール支持用複列ころ軸受は、軌道輪と転動体の素材を、
合金元素として質量%で、Cを0.2%以上で0.3%
以下、Niを2.5%以上で3.0%以下、Crを1.
0%以下含有する鋼材とし、その表面に浸炭層または浸
炭窒化層を形成し、表面硬さをロックウェル硬さHRC
58以上としたので、従来の軸受用材料を用いた複列こ
ろ軸受よりも素材コストと熱処理コストを低減でき、か
つ転動疲労特性と耐摩耗性、耐表面損傷性も向上させ
て、そのメインテナンス周期を延ばし、圧延設備のロー
ル交換周期の延長に寄与することができる。また、前記
鋼材に、Moを質量%で、0.2%以上で0.3%以下
含有させることにより、複列ころ軸受の耐久寿命をさら
に延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の複列ころ軸受を採用した4段圧延機
を示す一部断面正面図
【図2】aは図1の複列ころ軸受を示す一部省略縦断面
図、bはaの要部拡大断面図
【図3】aは図1の他の複列ころ軸受を示す一部省略縦
断面図、bはaの要部拡大断面図
【符号の説明】
1 ハウジング 2 作業ロール 3 補強ロール 2a、3a ネック部 4、5 4列ころ軸受 6、7 軸受箱 8 ウインドゥ 9 油圧圧下装置 10 球面座 11 圧下スクリュ 12 被圧延材 13 ロールベンディング装置 14 軌道面 15 内輪 16 軌道面 17 外輪 18 軌道面 19 外輪 20 円錐ころ 21 保持器 22 大鍔 23 間座 24 軌道面 25 内輪 26 軌道面 27 外輪 28 円筒ころ 29 保持器 15a、17a、19a、20a、25a、27a、2
8a 浸炭層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16C 33/62 F16C 33/62 (72)発明者 那須 忍 三重県桑名市大字東方字尾弓田3066 エヌ ティエヌ株式会社内 Fターム(参考) 3J101 AA13 AA15 AA16 AA24 AA25 AA32 AA44 AA52 AA54 AA62 BA10 BA70 DA02 EA02 EA78 FA31 FA44 FA48 GA36

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロールをハウジングに対して回転自在に
    支持する圧延設備のロール支持用複列ころ軸受におい
    て、前記ころ軸受の軌道輪と転動体の素材を、合金元素
    として質量%で、Cを0.2%以上で0.3%以下、N
    iを2.5%以上で3.0%以下、Crを1.0%以下
    含有する鋼材とし、その表面に浸炭層または浸炭窒化層
    を形成し、表面硬さをロックウェル硬さHRC58以上
    としたことを特徴とする圧延設備のロール支持用複列こ
    ろ軸受。
  2. 【請求項2】 前記鋼材にMoを質量%で、0.2%以
    上で0.3%以下含有させた請求項1に記載の圧延設備
    のロール支持用複列ころ軸受。
  3. 【請求項3】 前記複列ころ軸受が4列ころ軸受である
    請求項1または2に記載の圧延設備のロール支持用複列
    ころ軸受。
  4. 【請求項4】 前記複列ころ軸受が円錐ころ軸受である
    請求項1乃至3のいずれかに記載の圧延設備のロール支
    持用複列ころ軸受。
  5. 【請求項5】 前記複列ころ軸受が円筒ころ軸受である
    請求項1乃至3のいずれかに記載の圧延設備のロール支
    持用複列ころ軸受。
  6. 【請求項6】 前記複列ころ軸受が自動調心ころ軸受で
    ある請求項1乃至3のいずれかに記載の圧延設備のロー
    ル支持用複列ころ軸受。
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