JP2000245480A - 好熱性アミノペプチダーゼ - Google Patents

好熱性アミノペプチダーゼ

Info

Publication number
JP2000245480A
JP2000245480A JP11057836A JP5783699A JP2000245480A JP 2000245480 A JP2000245480 A JP 2000245480A JP 11057836 A JP11057836 A JP 11057836A JP 5783699 A JP5783699 A JP 5783699A JP 2000245480 A JP2000245480 A JP 2000245480A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aminopeptidase
leu
ala
polypeptide
activity
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11057836A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiji Kosugi
佳次 小杉
Kazuhiko Ishikawa
一彦 石川
Hiroyasu Ishida
紘靖 石田
Susumu Ando
進 安藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
Priority to JP11057836A priority Critical patent/JP2000245480A/ja
Publication of JP2000245480A publication Critical patent/JP2000245480A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 N−末端がアシル化などによって遮断されて
いるタンパク質及びポリペプチドを加水分解できるアミ
ノペプチダーゼであって、高温で使用でき、高温下で安
定なものを得る。 【解決手段】 高温で生育する好熱菌から、90℃の高
温下で安定であり、かつ至適温度が95℃であるアミノ
ペプチダーゼを得る。また、その遺伝子から本酵素を多
量に生産する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、好熱性アミノペプ
チダーゼに関し、特にN末端が遮断(ブロック)されて
いる、あるいは遮断されていないタンパク質またはポリ
ペプチドに対して、N−末端よりエキソ分解活性を有
し、その最適温度が90℃以上であって、タンパク質の
N−末端分析及びポリペプチド分解に有効なアミノペプ
チダーゼに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、タンパク質及びポリペプチドのN
−末端分析にはエドマン分解法が利用されてきた。しか
しながら、N−末端がアシル化等によって修飾され、い
わゆる遮断されているタンパク質またはポリペプチドを
エドマン分解してアミノ酸配列を決定することは不可能
であった。そのため、このようなN−末端を遊離できる
ペプチド加水分解酵素であるアミノペプチダーゼが使用
されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
酵素は、種類が限られており、しかも90℃以上の高温
下では不安定であるため、上記の反応は90℃以下で行
わなければならなかった。高温下で反応を行うことによ
り、反応効率の向上、混入微生物の除去等、多くの利点
が考えられることから、高温で使用でき、高温下で安定
な酵素が渇望されている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、以上のよ
うな課題を解決すべく種々検討した結果、90−100
℃で生育する超好熱性細菌に着目し、高温(100℃以
上)で生育する好熱菌であるパイロコッカス・ホリコシ
(JCM9974)のゲノム解析データから、95℃以上
で N−ブロックペプチド及びN−ブロックされていない
ポリペプチドのN−末端から順次に(エキソ的に)アミ
ノ酸を遊離する反応、および遮断基自身を分解する反応
を触媒するアミノペプチダーゼペプチドをコードすると
思われる遺伝子を同定した。本酵素が高温下で安定で、
かつ、活性を保持することが予想されたことから、本発
明者等はさらに、大腸菌を使ってその遺伝子の遺伝子産
物を生産して検討したところ、この遺伝子産物が90℃
の高温下で安定であり、かつ至適温度が95℃であるア
ミノペプチダーゼ活性を示し、しかもN−末端が遮断さ
れたタンパク質及びN−末端が遮断されたポリペプチド
に対しても分解活性を有することを確認し、本発明を完
成するに至った。
【0005】さらに、ここで得られた遺伝子を、他の微
生物に組み込み、本酵素を多量に生産することもできる
ことを見出した。すなわち本発明は、N−末端が遮断さ
れているタンパク質またはペプチドに対して分解活性を
有し、その最適温度が90℃以上である好熱性アミノペ
プチダーゼを提供するものである。本発明において特に
好ましく使用できる好熱性アミノペプチダーゼは、パイ
ロコッカス ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)由来
の好熱性アミノペプチダーゼである。
【0006】また、本発明は、下記の(1)又は(2)
のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを提供す
る。 (1)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチド (2)配列番号2のアミノ酸配列において1若しくは数
個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたポリペプ
チドであって、上記のアミノペプチダーゼ活性を有する
ポリペプチド。
【0007】また、本発明は、下記の(3)又は(4)
のポリヌクレオチドを提供する。 (3)配列番号1のヌクレオチド配列からなるポリヌク
レオチド (4)配列番号1のヌクレオチド配列からなるポリヌク
レオチドにおいて1若しくは数個のヌクレオチドが欠
失、置換若しくは付加されたポリヌクレオチドであっ
て、N−末端が遮断されているタンパク質またはペプチ
ドに対して分解活性を有し、その最適温度が90℃以上
であるアミノペプチダーゼ活性を有するポリペプチドを
コードする該ポリヌクレオチド。
【0008】更に本発明は、下記の(1)又は(2)の
組換えポリペプチドを提供する。 (1)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチド (2)配列番号2のアミノ酸配列において1若しくは数
個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたポリペプ
チドであって、N−末端が遮断されているタンパク質ま
たはペプチドに対して分解活性を有し、その最適温度が
90℃以上であるアミノペプチダーゼ活性を有するポリ
ペプチド。
【0009】更にまた本発明は、上記の本発明に係るポ
リヌクレオチドを含有する組換えベクター、および該組
換えベクターを含む形質転換体を提供する。また、本発
明は、パイロコッカス属に属する好熱性アミノペプチダ
ーゼ生産菌を培地中で培養し、培養物から好熱性アミノ
ペプチダーゼを採取することを特徴とする、本発明の好
熱性アミノペプチダーゼの製造方法を提供する。更に、
本発明は、上記本発明の形質転換体を培地中で培養し、
培養物から好熱性アミノペプチダーゼを採取することを
特徴とする、本発明の好熱性アミノペプチダーゼの製造
方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を具体的に説明す
る。本発明で使用した超好熱性細菌は、最適成長温度が
98℃である硫黄代謝好熱菌 パイロコッカス・ホリコ
シ(Pyrococcus horikoshii, 登録番号JCM9974JCM
微生物株カタログ第7版,1999年1月発行)であ
る。
【0011】パイロコッカス・ホリコシ培養後、BLAST
探索法を使用して、本超好熱性細菌の遺伝子配列からAe
romonas proteolyticaのアミノペプチダーゼ配列に類似
し、本酵素活性を示すと思われる遺伝子(配列番号1)
を、PCR反応で増幅し抽出した後、蛋白質発現プラスミ
ドpET 11aに挿入、そのプラスミドを大腸菌に組み込
み、本酵素の生産をおこなった。生産された酵素は加熱
処理およびカラムクロマトグラムで単離精製した。精製
された本酵素は、ゲル濾過による分子量は、約44万、
SDS電気泳動で36,900のタンパク質で、 N−ブロックペ
プチド及びN−ブロックされていないポリペプチドのN−
末端から順次にアミノ酸を遊離する反応、およびN−遮
断基自身を遊離する反応を触媒するアミノペプチダーゼ
活性が確認された。
【0012】この酵素はpH7.5、20mM N−エチル
モルホリン酢酸緩衝液(0.1MNaCl及び0.5mM塩化コバル
トを含む)中、90℃で数時間処理しても、活性の低下
がほとんど見られなかった。さらに、活性の至適pHは
7.5で、至適温度はpH7.5で約95℃であった。
【0013】上記の如く、パイロコッカス・ホリコシ由
来の遺伝子から本発明に係る好熱性アミノペプチダーゼ
が得られるが、本発明はこれに限定されるものではな
く、(1)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプ
チドをコ−ドするポリヌクレオチド;または(2)配列
番号2のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ
酸が欠失、置換若しくは付加されたポリペプチドであっ
て、N−末端が遮断されているタンパク質またはペプチ
ドに対して分解活性を有し、その最適温度が90℃以上
であるのアミノペプチダーゼ活性を有するポリペプチド
をコードするポリヌクレオチド、(3)配列番号1のヌ
クレオチド配列からなるポリヌクレオチド;または
(4)配列番号1のヌクレオチド配列からなるポリヌク
レオチドにおいて1若しくは数個のヌクレオチドが欠
失、置換若しくは付加されたポリヌクレオチドであっ
て、N−末端が遮断されているタンパク質またはペプチ
ドに対して分解活性を有し、その最適温度が90℃以上
であるアミノペプチダーゼ活性を有するポリペプチドを
コードする該ポリヌクレオチド、および、
【0014】(1)配列番号2のアミノ酸配列からなる
ポリペプチド;または(2)配列番号2のアミノ酸配列
において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しく
は付加されたポリペプチドであって、N−末端が遮断さ
れているタンパク質またはペプチドに対して分解活性を
有し、その最適温度が90℃以上であるアミノペプチダ
ーゼ活性を有するポリペプチドによっても本発明の目的
を達成することができる。このことは当業者であれば容
易に理解できることであり、当分野における通常の手
段、すなわち遺伝子の合成、遺伝子組換えによるタンパ
ク質の合成などの技術を用い、本発明に係るポリヌクレ
オチドおよび/またはポリペプチドを製造することがで
きるが、かかるポリヌクレオチドおよび/またはポリペ
プチドも本発明の範囲に含まれる。
【0015】本発明に係るペプチドは、パイロコッカス
属に属する好熱性アミノペプチダーゼ生産菌を培地中で
培養し、培養物から好熱性アミノペプチダーゼを採取す
ることによって得ることができるが、より好ましくは、
本発明に係るポリヌクレオチドを含有する組換えベクタ
ーを含む形質転換体を培地中で培養し、培養物から好熱
性アミノペプチダーゼを採取する。遺伝子組換えによる
製造方法については、以下の実施例で詳細に説明する
が、当業者にとっては、当分野における通常の技術を使
用して本発明の記載に種々の変更等を加えることが可能
であり、かかる変更等も本発明に含まれる。
【0016】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、
本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。 (i)パイロコッカス・ホリコシの培養 パイロコッカス・ホリコシは公知の好熱菌であり、その
培養条件なども知られているが、ここではその一例を挙
げる。
【0017】13.5gのNaCl、4gのNa2SO4、0.7 gのKCl、
0.2gのNaHCO3、0.1gのKBr、30 mgのH3BO3、10gのMgCl2
・6H2O、1.5gのCaCl2、25mgのSrCl2、1.0mlのレザスリ
ン溶液(0.2g/L)、1.0gの酵母エキス、5gのバクトペプ
トンを蒸留水1Lに溶かし、pHを6.8に調整した後、加圧
殺菌した。ついで、乾熱滅菌した元素硫黄を0.2%とな
るように加え、この培地を炭酸ガスで飽和して嫌気性と
した後、パイロコッカス・ホリコシを植菌した。培地が
嫌気性となったか否かはNa2S溶液を加えて、培養液中で
Na2Sによるレザスリン溶液のピンク色が着色しないこと
により確認した。この培養液を95℃で2〜4日培養し
た。
【0018】(ii)染色体DNAの調製 培養後、5000rpm、10分間の遠心分離により菌体を集菌
した。菌体を10mM Tris(pH 7.5)-1mM EDTA溶液で2回洗
浄後、InCert Agarose(FMC社製)ブロック中に封入し
た。このブロックを1%N−ラウロイルサルコシン−1mg
/mlプロテアーゼK溶液中で処理することにより、染色体
DNAをAgaroseブロック中に分離調製した。
【0019】(iii)遺伝子の同定 上記で決定された各BAC或いはFosmidクローンの塩基配
列の大型計算機による解析を行い、ペプチド加水分解酵
素をコードする遺伝子(配列番号1)を同定した。この
遺伝子は、996塩基対からなり、そのコードするアミノ
酸(332アミノ酸)配列(配列番号2)は、Clostridium
thermocellumのエンドグルカナーゼと42%の相同
性、Aeromonas proteolyticaのアミノペプチダーゼと2
0%の相同性を有していた。
【0020】(iv)発現プラスミド(組換えベクター)
の構築 構造遺伝子領域の前後に制限酵素(NdeIとBamHI)部位
を構築する目的で次の2種のDNAプライマーを合成し
た。 プライマー1: 5'−TTTTGAATTCTTGCATATGATGTCAATGATAGAGAAG−3' (上流用プライマー、下線のNdeI切断部位を有する) プライマー2: 5'−TTTTGGTACCTTTGGATCCTTATCCCTCCTAGAGCTCAAATGCTA
A−3') (下流用プライマー、下線のBamHI切断部位を有する)
【0021】尚、同定した遺伝子配列中にNdeI切断部位
があることから(位置273-278)、遺伝子の増幅前に位
置275のTをCに、overlap−extension PCR法によって置
換し、コードするタンパク質のアミノ酸配列を変えずに
制限部位をなくした。次いで、PCRにより、遺伝子の
前後に制限酵素部位を導入した。PCR反応後、増幅し
た遺伝子を制限酵素(NdeIとBamHI)で完全分解(37℃
で2時間)した後、その構造遺伝子を精製した。
【0022】一方、プラスミドpET- 11a(Novagen社製)
を制限酵素NdeIとBamHIで切断・精製した後、上記の構
造遺伝子とT4リガーゼで16℃、2時間反応させて連
結した。挿入された遺伝子のヌクレオチド配列をLI−CO
RモデルLIC−4200L(S)−2シーケンサー(Aloka社)を
使用して決定し、予想された配列との同一性を確認し
た。プラスミドに連結したDNAの一部をE. coli-XL2-
BlueMRF'の能力細胞(コンピテント細胞)に導入し形質
転換体のコロニーを得、得られたコロニーから発現プラ
スミドをアルカリ法で精製した。
【0023】(v)組換え遺伝子の発現 大腸菌(E. coli BL21(DE3), Novagen社製)の能力細胞
を融解して、ファルコンチューブに0.1mL移す。その
中に発現プラスミド溶液0.005mLを加え、氷中に30分
間放置した後、42℃でヒートショックを30秒間行った。
ここにSOC培地0.9mLを加え、37℃で1時間振とう培養
した。その後アンピシリン100μg/mlを含む2YT寒天
培地(酵母抽出物1%、トリプトン1.6%、NaCl0.5%)
に適量まき、37℃で一晩培養し、形質転換体を得た。こ
の形質転換体をアンピシリンを含む2YT培地で600
nmにおける吸収が1に達するまで培養した後、最終濃
度が1mMになるようにIPTG(イソプロピル−β−
D−チオガラクトピラノシド)を加え、さらに37℃で6
時間培養した。培養後、遠心分離(6,000rpm,20
分)で集菌した。
【0024】(vi)酵素の精製 集菌した菌体に2倍量のアルミナを加え、菌体を粉砕し
た後、5倍量の10mMTris-HCl緩衝液(pH8.0)を加
え懸濁液を得た。得られた懸濁液を85℃で30分間加熱
後、遠心分離(11,000rpm、20分)し、0.5MのNaClを
含む50mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)に対して透析
し、その後HiTrapQ(ファルマシア社製)カラムに吸着
させた。カラムを同緩衝液で洗浄後、NaCl濃度を上昇さ
せて(0.5から1.5M)活性画分を溶出させた。得られた
活性画分溶液をセントリコン10フィルター(アミコン社
製)で濃縮後、ゲル濾過カラムHiLoad Superdex200(フ
ァルマシア社製)に通し、1.0M NaClを含む100mM Tri
s-HCl緩衝液(pH8.0)で溶出させた。
【0025】次いでPhastシステム(ファルマシア社
製)を用いて4%から15%のゲル勾配上でSDS−PAGE
を実施した。溶出した画分はアミノ酸配列から計算され
る適当な分子量(36.9k)に相当する単一のバンドを示
し、これを酵素の性状解析のために使用した。視覚化の
ために、クマシーブリリアントブルーで染色したものを
図1に示す。
【0026】第1列は本発明に係る精製したアミノペプ
チダーゼ、第2列は精製前の粗抽出物を示す。第3列は分
子量の標準のために使用したホスホリラーゼb(94kD
a)、ウシ血清アルブミン(67kDa)、卵アルブミン
(43kDa)、カルボニックアンヒドラーゼ(30kD
a)、ダイズトリプシンインヒビター(20kDa)及びα
−ラクトアルブミン(14.4kDa)を示す。
【0027】(vii)分子量及び金属含量の測定 分子量は、SDS−PAGEと共に、Superdex200カラム(ファ
ルマシア社製)上で高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)を行って決定した。溶出は1.0M NaClを含む100mM
Tris-HCl緩衝液(pH8.0)で、流速1.5ml/分、室温
で行った。溶出したタンパク質を280nmにおけるUV吸収
で検出した。精製した酵素はSDS−PAGEでは、36.9kの分
子量を示したが、ゲルろ過の溶出液からは、分子量44万
に相当する溶出液に活性が溶出した(HPLCで測定)の
で、通常は多量体で存在していることが解った。
【0028】酵素に結合した金属イオンの分析のために
モデルSPS1200VR(セイコー社製)を使用した原子
放射分析(Inductively coupled plasma atomic emissi
on spectrometry;ICP-AES)を実施したところ、本酵素
はモノマー当たりカルシウム分子を1分子含有すること
が解った。しかし、50mM EDTA中で12時間透析して
カルシウムイオンを除いても活性に変化はなく、アミノ
ペプチダーゼ活性にカルシウムイオンは必要でないこと
が明らかになった。一方、原子放射分析ではコバルトイ
オンは検出されなかったが、活性にはコバルトイオンが
関与しており、カルシウムイオンの存在または非存在に
関わらず、0.5mMコバルトイオンの存在下で酵素活性が
およそ6倍に増大した。
【0029】(viii)酵素の諸性質 (1)基質特異性 酵素の活性は、基質としてペプチド、アシルペプチド、
およびアセチルアミノ酸−p−ニトロアニリド(Ac−ア
ミノ酸−1p0NA)を用いて測定した。基質として使用
したAlaオリゴマーはSigma社(St. Louis, MO, USA)か
ら購入した。(Ac−アミノ酸−pNA)はSigma社及びBach
em社(Bubendorf, Switzerland)から、アシルペプチド
Ac−Ala−Ala−Ala及びf−Ala−Ala−AlaはBachem社か
ら購入した。アセチル−L−ロイシル−L−グルタミル−
L−ヒスチジル−L−アスパラギン酸α−(4−メチル−
クマリル−7−アミド)(Ac−Leu−Glu−His−Asp−MC
A)およびAla−Arg−Gly−Ile−Lys−Gly−Ile−Arg−G
ly−Phe−Ser−Glyはペプチド研究所から購入した。
【0030】各種の基質(2mM)を用い、0.1M NaCl及び
0.5mM塩化コバルトを含む50mMエチルモルホリンN-酢酸
緩衝液(pH7.5)中に一定量の酵素を加えて85℃で反
応させ、触媒活性を調べた。活性は、ペプチド、アシル
化ペプチド、アセチルアミノ酸p-ニトロアニリドを基
質として、加水分解後に生じるα-アミノ酸をカドミウ
ムニンヒドリンあるいは、p−ニトロアニリドの吸収か
ら検出した。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1に示すように、本発明のアミノペプチ
ダーゼは、85℃の高温においてAc-Leu-pNA、Ac-Ala-pNA
などのN−末端遮断基に対する分解活性が見られた。他
に遮断されていないAlaオリゴマー(2−6量体)、Ac-
Phe-pNA, Ac-Arg-pNA,Ac-Lys-pNA Leu-pNA, Ala-pNAの
基質の分解活性は検出されたがAla-Pro-Alaは分解され
なかった。すなわち、本発明のアミノペプチダーゼは、
基質のペプチド中にプロリンが存在すると、その前(N
−末端側)のペプチド結合は分解しない性質があること
がわかった。また、Alaオリゴマーに対する分解活性を
検討した結果、長いペプチドの方が短いものよりも分解
を受けやすいことが示された。結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】また、Ac−Leu−Glu−His−Asp−MCA2mM
を基質として3400mMの本発明に係るアミノペプチダー
ゼ酵素液と反応し、その生産物をペーパークロマトグラ
フィーにスポットし、ブタノール−酢酸−水(12:3:5)
の展開溶媒で展開し、ニンヒドリンで発色すると、グル
タミン酸の濃いスポットの他、ヒスチジンのスポット、
ロイシンの薄いスポットが観察された。以上の結果か
ら、本発明のアミノペプチダーゼは基質をN−末端より
順次に分解し、N−末端が遮断されている基も分解して
いることを示している。
【0035】更に、Ala−Arg−Gly−Ile−Lys−Gly−Il
e−Arg−Gly−Phe−Ser−Gly・3AcOH・5H2Oを基質と
して同様に反応させ、分解経過をアミノ酸分析で観察す
ると、図2に示すようにN−末端よりアミノ酸が順次に
分解していることが観察された。GlyがArgより多く出て
いるのは、Glyが1分子中に4個存在すること、およびAl
aの大きなピークがGlyの溶出位置にテイリングしている
ためと考えられる。
【0036】(2)至適pH 酵素活性の至適pHの測定は、0.1M NaCl及び0.5mM塩
化コバルトを含む、50mM酢酸ナトリウム緩衝液、50m
Mリン酸緩衝液および50mMNaH2PO4-Na2B4O7緩衝液で
pH4〜9までの基質(Ala-Ala-Ala ) 2mMを含む反応
液1mlを調製し、85℃で酵素の加水分解活性の初速度
を測定することにより求めた。反応至適pHは、7.5付近
であると認められた。結果を図3に示す。
【0037】(3)至適温度 上記と同じ基質を用いて0.1M NaCl及び0.5mM塩化コバル
トを含む50mMエチルモルホリンN-酢酸緩衝液(pH7.
5)中に一定量の酵素を加えて種々の温度で反応させ、
相対活性を調べた。至適温度は95℃であった。結果を図
4に示す。
【0038】(4)耐熱性 0.1M NaCl及び0.5mM塩化コバルトを含む50mMエチルモ
ルホリンN-酢酸緩衝液(pH7.5)中に一定量の当該酵素
溶液を加え、90℃で、30分、50分および120分
加熱後、残存活性を調べたが、活性の低下は0、3、2
1%であり、90℃の高温において非常に安定であっ
た。結果を図5に示す。
【0039】
【発明の効果】本発明により、反応の至適温度が95℃で
ある N−ブロックペプチド及びN−ブロックされていな
いポリペプチド双方に対し、そのN−末端からアミノ酸
を遊離する反応を触媒する新規な好熱性アミノペプチダ
ーゼが提供できる。さらに、酵素分子が安定であるとい
う事から耐有機溶媒性の向上も期待できる。本発明の酵
素により、高温下での、N−末端が遮断されたタンパク
質やポリペプチドのアミノ末端分析が可能になる。
【0040】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Director-General of Agency of Industrial Science and Technology Kosugi, Yoshitsugu Ishikawa, Kazuhiko <120> Thermophilic Aminopeptidase <130> 11900249 <160> 4 <170> PatentIn Ver. 2.0 <210> 1 <211> 999 <212> DNA <213> Pyrococcus horikoshii <220> <221> CDS <222> (1)..(996) <400> 1 gtg atg tca atg ata gag aag ctt aag aag ttc act caa att cca gga 48 Val Met Ser Met Ile Glu Lys Leu Lys Lys Phe Thr Gln Ile Pro Gly 1 5 10 15 att tcg ggt tac gag gaa aga att agg gaa gag ata att agg gag att 96 Ile Ser Gly Tyr Glu Glu Arg Ile Arg Glu Glu Ile Ile Arg Glu Ile 20 25 30 aaa gat ttc gca gat tac aag gtc gac gcg atc ggg aac tta ata gta 144 Lys Asp Phe Ala Asp Tyr Lys Val Asp Ala Ile Gly Asn Leu Ile Val 35 40 45 gag cta ggc gag gga gag gaa agg ata ctc ttc atg gcc cat atg gat 192 Glu Leu Gly Glu Gly Glu Glu Arg Ile Leu Phe Met Ala His Met Asp 50 55 60 gag ata ggg tta ctc ata act ggg ata acc gat gag ggt aag tta agg 240 Glu Ile Gly Leu Leu Ile Thr Gly Ile Thr Asp Glu Gly Lys Leu Arg 65 70 75 80 ttc agg aag gta ggg ggc ata gat gat aga cta ctc tac gga agg cac 288 Phe Arg Lys Val Gly Gly Ile Asp Asp Arg Leu Leu Tyr Gly Arg His 85 90 95 gta aac gta gtt acc gag aag gga ata ttg gat ggc gtt ata ggg gca 336 Val Asn Val Val Thr Glu Lys Gly Ile Leu Asp Gly Val Ile Gly Ala 100 105 110 act cct ccc cat tta agt ctg gaa agg gat aaa agc gtg atc cca tgg 384 Thr Pro Pro His Leu Ser Leu Glu Arg Asp Lys Ser Val Ile Pro Trp 115 120 125 tac gat tta gtt ata gac ata ggt gct gag agc aag gaa gag gcc ctt 432 Tyr Asp Leu Val Ile Asp Ile Gly Ala Glu Ser Lys Glu Glu Ala Leu 130 135 140 gag ctt gtg aag ccc cta gac ttc gcg gtc ttt aaa aag cac ttc tca 480 Glu Leu Val Lys Pro Leu Asp Phe Ala Val Phe Lys Lys His Phe Ser 145 150 155 160 gta ctt aat gga aag tac gtg agt acg agg ggt cta gac gat cgc ttt 528 Val Leu Asn Gly Lys Tyr Val Ser Thr Arg Gly Leu Asp Asp Arg Phe 165 170 175 ggc gtt gta gca tta ata gag gcc ata aag gat cta gtg gat cac gaa 576 Gly Val Val Ala Leu Ile Glu Ala Ile Lys Asp Leu Val Asp His Glu 180 185 190 ctt gaa ggg aag gta atc ttt gca ttt aca gtc caa gag gag gta ggg 624 Leu Glu Gly Lys Val Ile Phe Ala Phe Thr Val Gln Glu Glu Val Gly 195 200 205 ctt aag gga gct aaa ttc ctg gcg aat cat tat tac ccc caa tac gcc 672 Leu Lys Gly Ala Lys Phe Leu Ala Asn His Tyr Tyr Pro Gln Tyr Ala 210 215 220 ttt gca ata gac tcc ttc gcc tgc tgt agt ccc ctt acc gga gac gtc 720 Phe Ala Ile Asp Ser Phe Ala Cys Cys Ser Pro Leu Thr Gly Asp Val 225 230 235 240 aag cta ggg aag ggg ccc gtg ata agg gcc gtt gat aat tct gct ata 768 Lys Leu Gly Lys Gly Pro Val Ile Arg Ala Val Asp Asn Ser Ala Ile 245 250 255 tat tcc agg gat cta gct agg aag gtc tgg agc ata gca gaa aag aat 816 Tyr Ser Arg Asp Leu Ala Arg Lys Val Trp Ser Ile Ala Glu Lys Asn 260 265 270 ggg ata gag ata caa atc gga gtt acg ggt gga ggg acg gat gcc tct 864 Gly Ile Glu Ile Gln Ile Gly Val Thr Gly Gly Gly Thr Asp Ala Ser 275 280 285 gcc ttt caa gat agg agt aaa acc cta gca ttg agc gtt ccg ata aag 912 Ala Phe Gln Asp Arg Ser Lys Thr Leu Ala Leu Ser Val Pro Ile Lys 290 295 300 tat tta cat agc gaa gtt gag acg cta cac tta aat gac ctg gag aag 960 Tyr Leu His Ser Glu Val Glu Thr Leu His Leu Asn Asp Leu Glu Lys 305 310 315 320 tta gtg aag ctt att gaa gct tta gca ttt gag ctc tag 999 Leu Val Lys Leu Ile Glu Ala Leu Ala Phe Glu Leu 325 330 <210> 2 <211> 332 <212> PRT <213> Pyrococcus horikoshii <400> 2 Val Met Ser Met Ile Glu Lys Leu Lys Lys Phe Thr Gln Ile Pro Gly 1 5 10 15 Ile Ser Gly Tyr Glu Glu Arg Ile Arg Glu Glu Ile Ile Arg Glu Ile 20 25 30 Lys Asp Phe Ala Asp Tyr Lys Val Asp Ala Ile Gly Asn Leu Ile Val 35 40 45 Glu Leu Gly Glu Gly Glu Glu Arg Ile Leu Phe Met Ala His Met Asp 50 55 60 Glu Ile Gly Leu Leu Ile Thr Gly Ile Thr Asp Glu Gly Lys Leu Arg 65 70 75 80 Phe Arg Lys Val Gly Gly Ile Asp Asp Arg Leu Leu Tyr Gly Arg His 85 90 95 Val Asn Val Val Thr Glu Lys Gly Ile Leu Asp Gly Val Ile Gly Ala 100 105 110 Thr Pro Pro His Leu Ser Leu Glu Arg Asp Lys Ser Val Ile Pro Trp 115 120 125 Tyr Asp Leu Val Ile Asp Ile Gly Ala Glu Ser Lys Glu Glu Ala Leu 130 135 140 Glu Leu Val Lys Pro Leu Asp Phe Ala Val Phe Lys Lys His Phe Ser 145 150 155 160 Val Leu Asn Gly Lys Tyr Val Ser Thr Arg Gly Leu Asp Asp Arg Phe 165 170 175 Gly Val Val Ala Leu Ile Glu Ala Ile Lys Asp Leu Val Asp His Glu 180 185 190 Leu Glu Gly Lys Val Ile Phe Ala Phe Thr Val Gln Glu Glu Val Gly 195 200 205 Leu Lys Gly Ala Lys Phe Leu Ala Asn His Tyr Tyr Pro Gln Tyr Ala 210 215 220 Phe Ala Ile Asp Ser Phe Ala Cys Cys Ser Pro Leu Thr Gly Asp Val 225 230 235 240 Lys Leu Gly Lys Gly Pro Val Ile Arg Ala Val Asp Asn Ser Ala Ile 245 250 255 Tyr Ser Arg Asp Leu Ala Arg Lys Val Trp Ser Ile Ala Glu Lys Asn 260 265 270 Gly Ile Glu Ile Gln Ile Gly Val Thr Gly Gly Gly Thr Asp Ala Ser 275 280 285 Ala Phe Gln Asp Arg Ser Lys Thr Leu Ala Leu Ser Val Pro Ile Lys 290 295 300 Tyr Leu His Ser Glu Val Glu Thr Leu His Leu Asn Asp Leu Glu Lys 305 310 315 320 Leu Val Lys Leu Ile Glu Ala Leu Ala Phe Glu Leu 325 330 <210> 3 <211> 37 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: PCR primer to introduce a res triction site <400> 3 ttttgaattc ttgcatatga tgtcaatgat agagaag 37 <210> 4 <211> 46 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: PCR primer to introduce a res triction site <400> 4 ttttggtacc tttggatcct tatccctcct agagctcaaa tgctaa 46
【0041】
【配列表フリーテキスト】
配列番号3:制限部位を構築するためのPCRプライマー 配列番号4:制限部位を構築するためのPCRプライマー
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明に係るアミノペプチダーゼをSD
S−PAGEにかけた結果であり、精製度および分子量を示
すものである。
【図2】図2は本発明に係るアミノペプチダーゼ酵素活
性のpH依存性を示すものである。
【図3】図3は本発明に係るアミノペプチダーゼ酵素活
性の温度依存性を示すものである。
【図4】図4は本発明に係るアミノペプチダーゼ酵素の
耐熱性を示すものである。
【図5】図5はオリゴペプチドを分解した時に放出され
る生成アミノ酸の累積量を経時的に示すものである。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年1月28日(2000.1.2
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】さらに、ここで得られた遺伝子を、他の微
生物に組み込み、本酵素を多量に生産することもできる
ことを見出した。すなわち本発明は、N−末端がアシル
基、アセチル基、ホルミル基、またはピログルタミル基
で遮断されているか、または遮断されていないタンパク
質またはペプチドに対して分解活性を有し、その最適温
度が90℃以上である、パイロコッカス ホリコシ(Py
rococcus horikoshii)由来の好熱性アミノペプチダー
ゼを提供するものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】更にまた本発明は、上記の本発明に係るポ
リヌクレオチドを含有する組換えベクター、および該組
換えベクターを含む形質転換体を提供する。また、本発
明は、パイロコッカス ホリコシを培地中で培養し、培
養物から好熱性アミノペプチダーゼを採取することを特
徴とする、本発明の好熱性アミノペプチダーゼの製造方
法を提供する。更に、本発明は、上記本発明の形質転換
体を培地中で培養し、培養物から好熱性アミノペプチダ
ーゼを採取することを特徴とする、本発明の好熱性アミ
ノペプチダーゼの製造方法を提供する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】本発明に係るペプチドは、パイロコッカス
ホリコシを培地中で培養し、培養物から好熱性アミノ
ペプチダーゼを採取することによって得ることができる
が、より好ましくは、本発明に係るポリヌクレオチドを
含有する組換えベクターを含む形質転換体を培地中で培
養し、培養物から好熱性アミノペプチダーゼを採取す
る。遺伝子組換えによる製造方法については、以下の実
施例で詳細に説明するが、当業者にとっては、当分野に
おける通常の技術を使用して本発明の記載に種々の変更
等を加えることが可能であり、かかる変更等も本発明に
含まれる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】表1に示すように、本発明のアミノペプチ
ダーゼは、85℃の高温において、Ac-Leu-pNA、Ac-Ala
-pNAなど、すなわち、アシル基、アセチル基、ホルミル
基、またはピログルタミル基でN−末端が遮断されてい
る基質に対する分解活性が見られた。他に遮断されてい
ないAlaオリゴマー(2−6量体)、Ac-Phe-pNA、Ac-Ar
g-pNA、Ac-Lys-pNA、Leu-pNA、Ala-pNAの基質の分解活
性は検出されたがAla-Pro-Alaは分解されなかった。す
なわち、本発明のアミノペプチダーゼは、基質のペプチ
ド中にプロリンが存在すると、その前(N−末端側)の
ペプチド結合は分解しない性質があることがわかった。
また、Alaオリゴマーに対する分解活性を検討した結
果、長いペプチドの方が短いものよりも分解を受けやす
いことが示された。結果を表2に示す。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年5月2日(2000.5.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】さらに、ここで得られた遺伝子を、他の微
生物に組み込み、本酵素を多量に生産することもできる
ことを見出した。すなわち本発明は、N−末端がホルミ
ル基、アシル基、アセチル基、またはピログルタミル基
で遮断されているか、または遮断されていないタンパク
質またはペプチドに対して分解活性を有し、遮断されて
いる場合には遮断基がホルミル基の場合に分解活性が最
も高く、かつアミノ酸5個までのペプチドに対してアミ
ノ酸残基数が多い程活性が高く、最適温度が90℃以上
である、パイロコッカスホリコシ(Pyrococcus horikos
hii)由来の好熱性アミノペプチダーゼを提供するもの
である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正内容】
【0032】表1に示すように、本発明のアミノペプチ
ダーゼは、85℃の高温において、Ac-Leu-pNA、Ac-Ala
-pNAなど、すなわち、ホルミル基、アシル基、アセチル
基、またはピログルタミル基でN−末端が遮断されてい
る基質に対する分解活性が見られ、特に遮断基がホルミ
ル基の場合に最も分解活性が高かった。他に、遮断され
ていないAlaオリゴマー(2−6量体)、Ac-Phe-pNA、A
c-Arg-pNA、Ac-Lys-pNA、Leu-pNA、Ala-pNAの基質の分
解活性は検出されたがAla-Pro-Alaは分解されなかっ
た。すなわち、本発明のアミノペプチダーゼは、基質の
ペプチド中にプロリンが存在すると、その前(N−末端
側)のペプチド結合は分解しない性質があることがわか
った。また、アミノ酸5個までのAlaオリゴマーに対す
る分解活性を検討した結果、長いペプチドの方が短いも
のよりも分解を受けやすく、アミノ酸残基数が多い程活
性が高いことが示された。結果を表2に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/52 C12P 21/02 C C12P 21/02 A C12N 5/00 A (72)発明者 小杉 佳次 茨城県つくば市東1丁目1番3 工業技術 院 生命工学工業技術研究所内 (72)発明者 石川 一彦 茨城県つくば市東1丁目1番3 工業技術 院 生命工学工業技術研究所内 (72)発明者 石田 紘靖 茨城県つくば市東1丁目1番3 工業技術 院 生命工学工業技術研究所内 (72)発明者 安藤 進 茨城県つくば市東1丁目1番3 工業技術 院 生命工学工業技術研究所内 Fターム(参考) 4B024 AA03 AA11 BA11 CA02 DA06 EA04 4B050 CC01 CC03 DD02 FF05E FF09E FF12E FF13E HH01 LL03 LL05 4B064 AG01 CA19 CC24 DA13 DA16 4B065 AA01Y AA26X AB01 AC14 CA31 CA46

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−末端が遮断されているタンパク質ま
    たはペプチドに対して分解活性を有し、その最適温度が
    90℃以上である好熱性アミノペプチダーゼ。
  2. 【請求項2】 パイロコッカス ホリコシ(Pyrococcus
    horikoshii)由来のものである、請求項1に記載の好
    熱性アミノペプチダーゼ。
  3. 【請求項3】 下記の(1)又は(2)のポリペプチド
    をコードするポリヌクレオチド。 (1)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチド (2)配列番号2のアミノ酸配列において1若しくは数
    個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたポリペプ
    チドであって、請求項1のアミノペプチダーゼ活性を有
    するポリペプチド。
  4. 【請求項4】下記の(3)又は(4)のポリヌクレオチ
    ド。 (3)配列番号1のヌクレオチド配列からなるポリヌク
    レオチド (4)配列番号1のヌクレオチド配列からなるポリヌク
    レオチドにおいて1若しくは数個のヌクレオチドが欠
    失、置換若しくは付加されたポリヌクレオチドであっ
    て、請求項1のアミノペプチダーゼ活性を有するポリペ
    プチドをコードする該ポリヌクレオチド。
  5. 【請求項5】 下記の(1)又は(2)の組換えポリペ
    プチド。 (1)配列番号2のアミノ酸配列からなるポリペプチド (2)配列番号2のアミノ酸配列において1若しくは数
    個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたポリペプ
    チドであって、請求項1のアミノペプチダーゼ活性を有
    するポリペプチド。
  6. 【請求項6】 請求項3または4に記載のポリヌクレオ
    チドを含有する組換えベクター。
  7. 【請求項7】 請求項6の組換えベクターを含む形質転
    換体。
  8. 【請求項8】 パイロコッカス属に属する好熱性アミノ
    ペプチダーゼ生産菌を培地中で培養し、培養物から好熱
    性アミノペプチダーゼを採取することを特徴とする、請
    求項1に記載の好熱性アミノペプチダーゼの製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7の形質転換体を培地中で培養
    し、培養物から好熱性アミノペプチダーゼを採取するこ
    とを特徴とする、請求項1に記載の好熱性アミノペプチ
    ダーゼの製造方法。
JP11057836A 1999-03-05 1999-03-05 好熱性アミノペプチダーゼ Pending JP2000245480A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11057836A JP2000245480A (ja) 1999-03-05 1999-03-05 好熱性アミノペプチダーゼ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11057836A JP2000245480A (ja) 1999-03-05 1999-03-05 好熱性アミノペプチダーゼ

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000256962A Division JP4022611B2 (ja) 2000-08-28 2000-08-28 好熱性アミノペプチダーゼ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000245480A true JP2000245480A (ja) 2000-09-12

Family

ID=13067051

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11057836A Pending JP2000245480A (ja) 1999-03-05 1999-03-05 好熱性アミノペプチダーゼ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000245480A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100545010B1 (ko) 트리펩티딜 아미노펩티다제 생산의 감소 또는 제거 방법
NZ225798A (en) Procaryotic xylose isomerase muteins and methods of increasing their stability
Schlatter et al. The primary structure of the psychrophilic lactate dehydrogenase from Bacillus psychrosaccharolyticus
US6469145B1 (en) One-step purification process for organophosphorus hydrolase enzyme
JP3486942B2 (ja) 耐熱性エステラーゼ
JP5283154B2 (ja) トリプシン様酵素
CN110951711B (zh) 一种具有降解手性酯活性的酯酶及其编码基因和应用
JP2000245480A (ja) 好熱性アミノペプチダーゼ
JP2001078791A (ja) 好熱性アミノペプチダーゼ
JP3463951B2 (ja) 耐熱性ピログルタミルペプチダーゼ及びその遺伝子
JP4815568B2 (ja) 好熱性プロリルエンドペプチダーゼ
JPH09505989A (ja) 菌類からのα‐1,4‐グルカンリアーゼ、その精製、遺伝子クローニングおよび微生物での発現
CN114807102B (zh) 一种耐乙醇酰胺酶、基因、表达载体、工程菌及制备方法和应用
JPH07222587A (ja) 新規セファロスポリンcアシラーゼ及びその製造方法
JP3478410B2 (ja) 超耐熱性プロテアソーム
CA2451528C (en) Novel aminopeptidase derived from bacillus licheniformis, gene encoding the aminopeptidase, expression vector containing the gene, transformant and method for preparation thereof
US5304471A (en) Process for producing foreign protein in Escherichia coli
EP0975742A1 (en) Aminopeptidase derived from bacillus licheniformis and process for preparation of natural type proteins
JPH0898686A (ja) 変異型セファロスポリンcアシラーゼ及びその製造方法
EP0303997B1 (en) Acyl-peptide hydrolase and methods of production and use
JP2923771B1 (ja) アミノトランスフェラーゼ活性を有する耐熱性酵素及びそれをコードする遺伝子
SCHLATTER et al. Structure and function of L-lactate dehydrogenase from thermophilic, mesophilic and psychrophilic bacteria, VIII. The primary structure of the psychrophilic lactate dehydrogenase from Bacillus psychrosaccharolyticus
JPH08205864A (ja) 新規セファロスポリンcアシラーゼおよびその製造方法
Kim et al. Cloning and expression of a collagenase gene from the marine bacterium Vibrio vulnificus CYK279H
JPH089979A (ja) 耐熱性メチオニンアミノペプチダーゼ及びその遺伝子