JP2000243241A - 電子放出素子の製造方法及び画像形成装置の製造方法 - Google Patents

電子放出素子の製造方法及び画像形成装置の製造方法

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JP2000243241A
JP2000243241A JP4374099A JP4374099A JP2000243241A JP 2000243241 A JP2000243241 A JP 2000243241A JP 4374099 A JP4374099 A JP 4374099A JP 4374099 A JP4374099 A JP 4374099A JP 2000243241 A JP2000243241 A JP 2000243241A
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Japan
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electron
emitting device
thin film
conductive thin
manufacturing
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Kazuhiro Kamishiro
和浩 神代
Toshiichi Onishi
敏一 大西
Keisuke Yamamoto
敬介 山本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子放出部を含む導電性薄膜に炭素又は炭素
化合物を堆積させる工程(活性化工程)における導入ガ
スの濃度分布を均一化することにより、各電子放出素子
の電子放出特性の均一化を実現し、高真空の排気装置を
不要とする。 【解決手段】 電子放出部5を含む導電性薄膜4に炭素
又は炭素化合物を堆積させるための複数の工程(活性化
工程)を複数に分割して行なう。そして、これら各工程
のうち、少なくとも1つの工程は、有機物質を含む粘性
流領域の気体中で前記堆積処理を行ない、前記各工程の
最終工程は、少なくともその前段階の前記工程に比して
全圧の低い雰囲気下で前記堆積処理を行なう。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子の製
造方法及び画像形成装置の製造方法に関し、特に、表面
伝導型の電子放出素子を対象とするものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、電子放出素子としては大別し
て熱電子放出素子と冷陰極電子放出素子を用いた2種類
のものが知られている。冷陰極電子放出素子には電界放
出型(以下「FE型」という)、金属/絶縁層/金属型
(以下、「MIM型」と称する。)や表面伝導型電子放
出素子等がある。
【0003】FE型の例としては、W. P. Dyke & W. W.
Dolan, "Field emission", Advance in Electron Phys
ics, 8, 89 (1956)あるいはC. A. Spindt, "PHYSICAL P
roperties of thin-film field emission cathodes wit
h molybdenium cones", J. Appl. Phys., 47, 5248 (19
76)等に開示されたものが知られている。
【0004】他方、MIM型の例としては、C. A. Mea
d, "Operation of Tunnel-EmissionDevices", J. Appl
y. Phys., 32, 646 (1961)等に開示されたものが知られ
ている。
【0005】表面伝導型電子放出素子型の例としては、
M. I. Elinson, Radio Eng. Electron Pys., 10, 1290
(1965)等に開示されたものがある。表面伝導型電子放出
素子は、基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平
行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利
用するものである。この表面伝導型電子放出素子として
は、前記Elinson等によるSnO2 薄膜を用いたもの、A
u薄膜によるもの〔 G. Dittmer, "Thin Solid Films",
9, 317 (1972)〕、In2 3 /SnO2 薄膜によるも
の〔 M. Hartwell and C. G. Fonstad, "IEEE Trans. E
D Conf. ", 519 (1975) 〕、カーボン薄膜によるもの
〔荒木久他, 真空, 第26巻, 第1号, 22頁 (1983) 〕等
が報告されている。
【0006】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な例として前述のM. Hartwellの素子構成を図9に模式
的に示す。同図において、1は基体である。4は導電性
薄膜で、H型形状のパターンに、スパッタ法で形成され
た金属酸化物薄膜等からなり、後述の通電フォーミング
と呼ばれる通電処理により電子放出部5が形成される。
なお、図中の素子電極間隔Lは、0.5〜1mm、W’
は0.1mmで設定されている。
【0007】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に導電性薄膜4を予め通電
フォーミングと呼ばれる通電処理によって電子放出部5
を形成するのが一般的であった。即ち、通電フォーミン
グとは、前記導電性薄膜4の両端に直流電圧あるいは非
常にゆっくりとした昇電圧例えば1V/分程度を印加通
電し、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質せ
しめ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部5を形成
することである。なお、電子放出部5は導電性薄膜4の
一部に亀裂が発生しその亀裂付近から電子放出が行われ
る。前記通電フォーミング処理をした表面伝導型電子放
出素子は、導電性薄膜4に電圧を印加し、素子に電流を
流すことにより、電子放出部5より電子を放出せしめる
ものである。
【0008】上述の表面伝導型電子放出素子は、構造が
単純で製造も容易であることから、大面積にわたる多数
素子を配列形成できる利点がある。そこで、この特徴を
生かせるようないろいろな応用が研究されている。例え
ば、荷電ビーム源、表示装置等があげられる。多数の表
面伝導型電子放出素子を配列形成した例としては、後述
するように、梯型配置と呼ぶ並列に表面伝導型電子放出
素子を配列し、個々の素子の両端を配線(共通配線とも
称される。)で、それぞれ結線した行を多数行配列した
電子源があげられる(例えば、特開昭64−31332
号公報、特開平1−283749号公報、特開平1−2
57552公報等)。
【0009】また、特に表示装置等の画像形成装置にお
いては、近年、液晶を用いた平板型表示装置が、CRT
に替わって普及してきたが、自発光型でないため、バッ
クライトを持たなければならない等の問題点があり、自
発光型の表示装置の開発が望まれてきた。自発光型表示
装置としては、表面伝導型電子放出素子を多数配置した
電子源と、電子源より放出された電子によって可視光を
発光せしめる蛍光体とを組合わせた表示装置である画像
形成装置があげられる(例えば、米国特許506688
3号)。
【0010】なお、従来、多数の表面伝導型電子放出素
子より構成された電子源より電子を放出し、蛍光体を発
光させる素子の選択は、上述の多数の表面伝導型電子放
出素子を並列に配置し結線した配線(行方向配線と称す
る)、行方向配線と直交する方向に(列方向と称する)
該電子源と蛍光体間の空間に配置された制御電極(グリ
ッドと呼ぶ)と列方向配線への適当な駆動信号によるも
のである(例えば、特開平1−283749号公報
等)。
【0011】また、表面伝導型電子放出素子の製造方法
において、大面積に有利な製造方法として、真空を用い
たスパッタ法や蒸着法によらず、導電性薄膜を形成する
方法が提案されている。その一例は、有機金属含有溶液
をスピンナーによって基体上に塗布後、所望の形状にパ
ターニングし、有機金属を熱分解し導電性薄膜を得る電
子放出素子の製造方法である。さらに、特開平8−17
1850号公報では、前記導電性薄膜の所望の形状のパ
ターニング工程において、リソグラフィー法を用いずバ
ブルジェット法やピエゾジェット法等のインクジェット
法によって、基体上に有機金属含有溶液の液滴を付与
し、所望の形状の導電性薄膜を形成する製造方法を提案
している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の表面伝導型電子放出素子の作製方法においては、
次のような問題があった。
【0013】表面伝導型電子放出素子に、電子放出を司
らせるためには、活性化工程と呼ばれる工程を施すこと
が行われている。この活性化工程は、電子放出部及びそ
の近傍に、炭素を含む堆積物を堆積させる工程であり、
従来、この活性化工程は、表面伝導型電子放出素子を設
置した空間を充分排気した後、希薄な有機物質ガスを導
入した上、素子に電圧をパルス印加することによってお
こなわれていた(例えば、特開平8−7749号公
報)。
【0014】しかしながら、この方法では、設置空間内
において、有機物質を含むガス濃度分布が生じやすく、
結果的に複数の素子に対して同時に活性化工程を施した
場合、各素子の電子放出特性に差異が生じる場合があっ
た。また、従来の活性化方法では、高真空の排気装置が
必須であり、生産コストを押し上げる原因の一つとなっ
ていた。
【0015】そこで本発明は、電子放出部を含む導電性
薄膜に炭素又は炭素化合物を堆積させる工程(活性化工
程)における導入ガスの濃度分布を均一化することによ
り、各電子放出素子の電子放出特性の均一化を実現し、
しかも高真空の排気装置を不要とすることが可能な電子
放出素子の製造方法及び画像形成装置の製造方法を提供
することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の電子放出素子の
製造方法は、基体上に形成された対向する一対の電極
と、前記各電極の間隙を含む当該各電極上に形成された
導電性薄膜とを有し、前記導電性薄膜の前記間隙上に相
当する部位に電子放出部が形成されてなる電子放出素子
の製造方法であって、前記電子放出部を含む前記導電性
薄膜に、炭素又は炭素化合物を堆積させるための複数の
工程を有し、前記各工程のうち、少なくとも1つの工程
は、有機物質を含む粘性流領域の気体中で前記堆積処理
を行ない、前記各工程の最終工程は、少なくともその前
段階の前記工程に比して全圧の低い雰囲気下で前記堆積
処理を行なう。
【0017】本発明の電子放出素子の製造方法の一態様
において、前記最終工程は、全圧が1000Pa以下と
して行われる。
【0018】本発明の電子放出素子の製造方法の一態様
において、前記各工程は、当該工程が進行するにつれて
徐々に全圧を低下させて行なわれる。
【0019】本発明の画像形成装置は、前記電子放出素
子の製造方法により電子放出素子が形成された前記基体
を含むカソード基板を作製し、前記カソード基板と画像
形成部材を有するアノード基板とを対向するように配置
して画像形成装置を作製する。
【0020】
【作用】本発明の電子放出素子の製造方法においては、
電子放出部を含む導電性薄膜に炭素又は炭素化合物を堆
積させる各工程のうち、最終工程の前段階工程では、電
子放出素子を設置した空間内の有機物質濃度にムラが生
じず、且つ、この有機物質濃度に経時変化がなく、各電
子放出素子に対して、均一に活性化工程を施すことがで
きる。更に、前記最終工程によって、電子放出素子の電
子放出特性の安定性を高めることができる。
【0021】即ち、前記各工程のうちの少なくとも1つ
の工程を粘性流領域として扱える程度の圧力下で行なう
ことで、電子放出素子が設置された空間内に有機物質濃
度のムラや経時変化が生じたとしても、容器の形状や循
環器などの装置等の存在によりにより、個々の電子放出
素子にわたって均一に活性化工程を施すことができる。
【0022】更に、最終工程の全圧をその前段階工程の
全圧よりも低くすることにより、容器内のガス分子の平
均自由工程λが長くなり、電子放出部に堆積した炭素含
有堆積物の表面に耐久性の高い炭素含有堆積物が堆積す
ると考えられる。
【0023】このように、本発明においては、粘性流領
域として扱える程度の圧力下で前記各工程のうちの少な
くとも1つの工程を行なうため、高真空な排気装置が不
要となり、生産コストの低減化が実現する。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した具体的な
実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】図1は、本発明の表面伝導型電子放出素子
の製造装置の一例を示す模式図である。この製造装置に
は、後述する一対の素子電極2,3及び導電性薄膜4が
形成され、導電性薄膜4に電子放出部5が形成されてな
る表面伝導型電子放出素子が形成された基体1が設置さ
れる。
【0026】図1において、24は素子の電子放出部よ
り放出される放出電流を捕捉するためのアノード電極、
11は真空容器、12は配管、13は排気装置、22は
圧力計、23は四重極質量分析器、16は導入量制御手
段、17は導入物資源、18は循環器、19は活性化工
程において消費される有機物質を補充するための容器、
20は活性化工程において消費される有機物質の量を検
出するための検出装置、21は吸湿装置、14はバル
ブ、15は三方弁である。
【0027】活性化に用いるガスは、導入物資源17か
ら導入量制御手段16を通して、真空容器11へ導入さ
れる。また、不図示であるが、真空容器11内の素子電
極2,3及びアノード電極24には、電源が接続されて
いる。
【0028】活性化工程の際は、全てのバルブを閉じる
ことによって、真空容器内の圧力分布、更には有機物質
の分圧を一定に保ったまま、活性化工程を施すことがで
き、且つ、真空容器内から発生する水分を取り除くこと
もできる。
【0029】図2は、本発明の表面伝導型電子放出素子
の構成を示す模式図であり、同図中(a)は平面図、
(b)は断面図である。基体1としては、石英ガラス、
Na等の不純物含有量を減少したガラス、青板ガラス、
青板ガラスにスパッタ法等により形成したSiO2 を積
層したガラス基体及びアルミナ等のセラミックス及びS
i基体等を用いることができる。
【0030】対向する素子電極2,3の材料としては、
一般的な導体材料を用いることができる。これは例えば
Ni,Cr,Au,Mo,W,Pt,Ti,Al,C
u,Pd等の金属又は合金、及びPd,Ag,Au,R
uO2 ,Pd−Ag等の金属又は金属酸化物とガラス等
から構成される印刷導体、In2 3 −SnO2 等の透
明導電体及びポリシリコン等の半導体導体材料等から適
宜選択することができる。
【0031】素子電極間隔L、素子電極長さW、導電性
薄膜4の形状等は、応用される形態等を考慮して設計さ
れる。素子電極間隔Lは、好ましくは数千Åから数百μ
mの範囲とすることができ、より好ましくは素子電極間
に印加する電圧等を考慮して数μmから数十μmの範囲
とすることができる。素子電極長さWは、電極の抵抗
値、電子放出特性を考慮して、数μmから数百μmの範
囲とすることができる。また、素子電極2,3の膜厚d
は、数百Åから数μmの範囲とすることができる。
【0032】なお、図1に示した構成だけでなく、基体
1上に、導電性薄膜4、対向する素子電極2,3の順に
積層した構成とすることもできる。
【0033】導電性薄膜4には、良好な電子放出特性を
得るために、微粒子で構成された微粒子膜を用いるのが
好ましい。その膜厚は、素子電極2,3へのステップカ
バレージ、素子電極2,3間の抵抗値及び後述するフォ
ーミング条件等を考慮して適宜設定されるが、通常は、
数Åから数千Åの範囲とするのが好ましく、より好まし
くは10Åから500Åの範囲とするのが良い。その抵
抗値は、Rsが102から107Ω/□の値である。な
おRsは、厚さがT、幅がWで長さがLの薄膜の長さ方
向に測定した抵抗Rを、 R=Rs(L/W) とおいたときに現れる値である。本実施形態において、
フォーミング処理については、通電処理を例に挙げて説
明するが、フォーミング処理はこれに限られるものでは
なく、膜に亀裂を生じさせて高抵抗状態を形成する処理
を包含するものである。
【0034】導電性薄膜4を構成する材料は、Pd,P
t,Ru,Ag,Au,Ti,In,Cu,Cr,F
e,Zn,Sn,Ta,W,Pb等の金属の中から適宜
選択される。これらの金属は、導電性薄膜材料有機金属
化合物を形成する。
【0035】ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子
が集合した膜であり、その微細構造は、微粒子が個々に
分散配置した状態あるいは微粒子が互いに隣接、あるい
は重なり合った状態(いくつかの微粒子が集合し、全体
として島状構造を形成している場合も含む。)をとって
いる。微粒子の粒径は、数Åから数千Åの範囲、好まし
くは、10Åから200Åの範囲である。
【0036】電子放出部5は、導電性薄膜4の一部に形
成された高抵抗の亀裂により構成され、導電性薄膜4の
膜厚、膜質、材料及び後述する通電フォーミング、活性
化工程に依存したものとなる。電子放出部5の内部に
は、数Åから数百Åの範囲の粒径の導電性微粒子が存在
する場合もある。この導電性微粒子は、導電性薄膜4を
構成する材料の元素の一部、あるいは全ての元素を含有
するものとなる。亀裂の先端部及びその近傍の導電性薄
膜4には、炭素及び炭素化合物を有する。炭素及び炭素
化合物とは、例えばグラファイト(いわゆるHOPG、
PG、GCを包含する。HOPGはほぼ完全なグラファ
イトの結晶構造であり、PGは結晶粒が200Å程度で
結晶構造がやや乱れたもの、GCは結晶粒が20Å程度
になり結晶構造の乱れが更に大きくなったものを指
す。)、非晶質カーボン(アモルファスカーボン、及び
アモルファスカーボンと前記グラファイトの微結晶の混
合物を指す。)であり、その膜厚は、500Å以下の範
囲とするのが好ましく、300Å以下の範囲とすること
がより好ましい。
【0037】上述の表面伝導型電子放出素子の製造方法
としては様々な方法があるが、本発明の製造方法を図3
に模式的に示す。以下、図1及び図3を参照しながら本
発明の製造方法の一例について説明する。図3において
も、図1に示した部位と同じ部位には図1に付した符号
と同一の符号を付している。
【0038】工程1:基体、素子電極の形成工程 基体1を洗剤、純水および有機溶剤等を用いて充分に洗
浄し、真空蒸着法、スパッタ法等により素子電極材料を
堆積後、例えばフォトリソグラフィー技術を用いて基体
1上に素子電極2,3を形成する(図3(a))。
【0039】工程2:有機金属含有水溶液を基体に付与
する工程 有機金属含有水溶液の液滴をバブルジェット法やピエゾ
ジェット法と呼ばれるインクジェット法によって、各素
子電極及び素子電極間に付与する(図3(b))。な
お、有機金属含有水溶液の基体への付与法は、スピンナ
ーを用いた塗布法によっても良いが、この場合は所望の
導電性薄膜の形態を得るため、パターニング工程が必要
となる。
【0040】工程3:有機金属含有水溶液を熱分解し、
導電性薄膜を形成する工程 工程2で基体に付与された有機金属含有水溶液は、基体
を焼成炉やホットプレート状で、大気中等の雰囲気で熱
分解され、金属あるいは金属酸化物となる。こうして、
微粒子形態の導電性薄膜が作製される(図3(c))。
【0041】工程4:通電フォーミング工程 続いて、フォーミング工程を施す。このフォーミング工
程は、パルス状の電圧を素子電極2,3間に印加通電す
ることで、導電性薄膜4に、構造の変化した電子放出部
5が形成される(図3(d))。通電フォーミングによ
れば、導電性薄膜4に局所的に破壊、変形もしくは変質
等の構造の変化した部位で、亀裂が形成される。
【0042】工程5:活性化工程 フォーミングを終えた素子には活性化工程と呼ばれる処
理を施す。活性化工程とは、この工程により、素子電流
If、放出電流Ieを著しく変化させる工程である。
【0043】図1に、この活性化工程に用いる装置の一
例を示した。本実施形態における活性化工程は、図1に
示す製造装置を用い、窒素もしくはアルゴンなどのキャ
リアガスに有機物質のガスを含んだ混合ガス雰囲気下
で、通電フォーミングと同様にパルス電圧の印加を繰り
返すことで行うことができる。
【0044】この活性化工程では、複数の工程を有し、
少なくとも一つ以上の工程の導入圧力は、混合ガスを構
成する気体分子の平均自由工程λが、電子放出素子が設
置された空間内部の代表的寸法値(例えば、真空容器の
内径、もしくは、後述する画像形成装置における基体と
フェースプレートとの距離)に比べて、充分小さくなる
程度の圧力以上とする。これは、いわゆる粘性流領域で
あり、具体的には、構成ガスが窒素で、代表寸法値が5
mmのとき、約1Pa以上であるが、粘性流領域として
扱えれば、この限りではない。一般的には、100Pa
から大気圧程度の範囲で用いることが好ましい。
【0045】更に、最終的な工程は、少なくとも該最終
的な工程の前段階の工程よりも全圧を低くし、好ましく
は1000Pa以下とすることが望ましい。
【0046】この活性化工程において、容器外部に設け
られた循環器18を用いて封入した混合ガスを容器全体
に満遍なく行き渡らせる。更に、この循環器18の吸気
側と排気側を跨ぐ形で有機物質ガスの補充装置19を設
けておき、三方弁15の切替えによって、活性化工程に
おいて消費される有機物質を補充する。この有機物質の
補充は、有機物質ガスの補充装置19と真空容器11と
の間に設けられた有機物質の量を検出する検出器20に
よって制御される。また更に、循環器18の吸気側もし
くは排気側に吸湿装置21を設けておき、容器内部から
発生する水分を除去する。
【0047】この際に用いる循環器は、扇風機状のプロ
ペラ,ルーツポンプ,メンブランポンプなどの機械式ポ
ンプなどを用いることができる。また、有機物質ガスの
補充装置としては、真空容器と循環器とを組合せた装置
などを用いることができ、この真空容器内の混合ガスの
圧力は、素子が在中している真空容器11と同じ圧力に
し、有機物質の混合分圧は、素子が在中している真空容
器11よりも高くする必要がある。また、有機物質の量
を検出する検出器は、赤外分光装置などを用いることが
できる。また、吸湿装置としては、シリカゲル、モレキ
ュラーシーブなどの乾燥剤,P2 5 などの潮解性の物
質,氷点下に冷却されたトラップなどを用いることがで
きる。
【0048】混合ガスの有機物質の混合分圧は、真空容
器の形状や、有機物質の種類などにより異なるため、適
宜設定される。一般には、全導入圧力の1/106 から
1/102 程度の混合比で用いることが好ましい。
【0049】混合する適当な有機物質としては、アルカ
ン,アルケン,アルキンの脂肪族炭化水素類、芳香族炭
化水素類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、ア
ミン類、フェノール類、カルボン酸,スルホン酸などの
有機酸類などを挙げることができ、具体的には、メタ
ン,エタン,プロパンなどCn 2n+2で表わされる飽和
炭化水素、エチレン,プロピレンなどCn 2nなどの組
成式で表わされる不飽和炭化水素、ベンゼン、トルエ
ン、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、アセ
トアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
アミン、エチルアミン、フェノール、蟻酸、酢酸、プロ
ピオン酸など、あるいは、これらの混合物が使用でき
る。
【0050】この活性化工程により、雰囲気中に存在す
る有機物質から、炭素あるいは炭素化合物が素子上に堆
積し、素子電流If及び放出電流Ieが著しく変化する
ようになる。
【0051】活性化工程の終了判定は、素子電流Ifと
放出電流Ieを測定しながら、適宜行う。なお、印加す
る電圧のパルス幅、パルス間隔,パルス波高値などは適
宜設定される。
【0052】工程6:安定化工程 このような工程を経て得られた電子放出素子は、安定化
工程を行うことが好ましい。この工程は、真空容器内の
有機物質排気する工程である。真空容器を排気する真空
排気装置は、装置から発生するオイルが素子の特性に影
響を与えないように、オイルを使用しないものを用いる
のが好ましい。具体的には、ソープションポンプ、イオ
ンポンプ等の真空排気装置を挙げることができる。
【0053】更に、真空容器内を排気するときには、真
空容器全体を加熱して、真空容器内壁や、電子放出素子
に吸着した有機物質分子を排気しやすくするのが好まし
い。このときの加熱条件は、150〜300℃で数時間
以上が望ましいが、特にこの条件に限るものではなく、
真空容器の大きさや形状、電子放出素子の構成などの諸
条件により適宜選ばれる条件により行う。真空容器内の
圧力は極力低くすることが必要であり、1×10-5Pa
以下が好ましく、更には1×10-6Pa以下が特に好ま
しい。
【0054】安定化工程を行った後の、駆動時の雰囲気
は、上記安定化処理終了時の雰囲気を維持するのが好ま
しいが、これに限るものではなく、有機物質が充分除去
されていれば、真空度自体は多少低下しても充分安定な
特性を維持することができる。
【0055】このような真空雰囲気を採用することによ
り、新たな炭素あるいは炭素化合物の堆積を抑制するこ
とができ、素子電流If及び放出電流Ieが安定する。
【0056】本発明は、電子放出素子を基体上に複数個
形成した電子源にも適用できる。複数の電子放出素子の
基体上の配列方法は、実施例で説明する単純マトリクス
以外も配置され、これに限るものではない。
【0057】次に、本発明の画像形成装置の構成、及び
製造方法を図6を用いて説明する。図6は、本発明の画
像形成装置の一例を示す斜視図である。図6において、
67は表面伝導型電子放出素子60を複数配した電子源
基体、61は電子源基体67を固定したリアプレート、
66はガラス基体63の内面に蛍光膜64とメタルバッ
ク65等が形成されたフェースプレートである。62は
支持枠であり、この支持枠62にはリアプレート61、
フェースプレート66がフリットガラス等を用いて接続
されている。これらより外囲器は、例えば大気中あるい
は窒素中で、400〜500℃の温度範囲で10分以上
焼成することで、封着して構成される。68,69は表
面伝導型電子放出素子60の一対の素子電極と接続され
た行方向配線及び列方向配線である。
【0058】外囲器は、上述の如くフェースプレート6
6、支持枠62、リアプレート61で構成される。リア
プレート61は主に電子源基体67の強度を補強する目
的で設けられるため、基体67自体で充分な強度を持つ場
合は別体のリアプレート61は不要とすることができ
る。即ち、電子源基体67に直接支持枠62を封着し、
フェースプレート66、支持枠62及び電子源基体67
で外囲器を構成しても良い。一方、フェースプレート6
6とリアプレート61との間に、スペーサと称される不
図示の支持体を設置することにより、大気圧に対して充
分な強度をもつ外囲器を構成することもできる。
【0059】蛍光膜64は、モノクロームの場合は蛍光
体のみから構成することができる。カラーの蛍光膜の場
合は、蛍光体の配列によりブラックストライプあるいは
ブラックマトリクスなどと呼ばれる黒色導電材と蛍光体
とから構成することができる。フェースプレート66に
は、さらに蛍光膜の導電性を高めるため、蛍光膜64の
外面側に透明電極(不図示)を設けても良い。
【0060】次に、本実施形態の画像形成装置の製造方
法の一例について説明する。
【0061】工程1:基体、素子電極、配線などの形成
工程 素子電極を電子放出素子の製造方法の工程1と同様の方
法で作製する。また、行,列配線はスクリーン印刷法や
公知のフォトリソグラフィーとスパッタ法などの半導体
の製造方法により形成する。
【0062】工程2:有機金属含有水溶液を基体に付与
する工程 電子放出素子の製造方法の工程2と同じである。 工程3:有機金属含有水溶液を熱分解し、導電性薄膜を
形成する工程 電子放出素子の製造方法の工程3と同じである。
【0063】工程4:通電フォーミング工程 工程3を終えた基体を真空チャンバーに配置し、次に真
空チャンバー内を充分に排気する。その後、電子放出素
子の製造方法の工程4と同様の処理を施す。
【0064】工程5:活性化工程 真空チャンバーに前述した有機ガスを導入し、電子放出
素子の製造方法の工程-5と同様の処理を施す。
【0065】工程6:封着工程 フェースプレートと支持枠及びリアプレートをフリット
を介して封着し、外囲器を形成する。
【0066】工程7:安定化工程 外囲器を不図示の排気管より充分に排気し、電子放出素
子の製造方法の工程6と同様の安定化工程を施し、最後
にゲッタをフラッシュする。
【0067】本発明の画像形成装置の製造方法は、以上
説明したような手法に限るわけではなく、後述の実施例
のように、外囲器を形成した後に工程4以降を行っても
良く、工程順及び工程もこれに限るものではない。
【0068】
【実施例】以下、本発明に係る表面伝導型電子放出素
子、電子源及び画像形成装置の製造方法を更に具体的に
示した実施例を、図面を用いて詳細に説明する。
【0069】(実施例1)本実施例は、表面伝導型電子
放出素子を作製した一例である。表面伝導型電子放出素
子の構成は、図2の電子放出素子と同様である。以下、
順を追って製造方法の説明を図1及び図3に基づいて説
明する。
【0070】工程a 清浄化した青板ガラス1上に、素子電極のパターンをフ
ォトレジスト(商品名RD-2000N-41日立化成株式会社
製)形成し、真空蒸着法により厚さ500ÅのPtを堆
積した。ホトレジストパターンを有機溶剤で溶解し、堆
積膜をリフトオフし、素子電極間隔Lは30μmとした
素子電極2,3を形成した。さらに純水で洗浄した。
【0071】工程b ポリビニルアルコールを重量濃度0.05%、2−プロ
パノールを重量濃度15%、エチレングリコールを重量
濃度1%を溶解した水溶液に、テトラモノエタノールア
ミン−パラジウム酢酸(Pd(NH2 CH2 CH2
H)4 (CH3 COO)2 )をパラジウム重量濃度が約
0.15%となるように溶解して黄色の溶液を得た。
【0072】上記の水溶液の液滴をバブルジェット方式
のインクジェット装置(キヤノン株式会社製の商品名バ
ブルジェットプリンタヘッドBC-01を使用)によって、
工程aで形成した素子電極及び素子電極間に4回同箇所
に付与した。
【0073】工程c 工程bで作製した試料を、350℃で大気中焼成した。
こうして形成されたPdOからなる微粒子構造の導電性薄
膜を形成した。以上の工程により電子源基体1上に、素
子電極2,3、導電性薄膜4などを形成した。次に、工
程dを終えた本実施例の基体を図1の真空容器11に設
置した。排気装置13によって1×10-6Paの真空度
まで排気した。
【0074】工程d 続いて、図1の真空容器11でフォーミング工程を施し
た。素子電極2,3間に通電を行うと、導電性薄膜4の
部位に亀裂が形成された。通電フォーミングの電圧波形
はパルス波形で、パルス波高値を0Vから0.1Vステ
ップで増加させる電圧パルスを印加した。電圧波形は、
パルス幅とパルス間隔がそれぞれ1m秒、10m秒の矩
形波とした。通電フォーミング処理の終了は、導電性薄
膜の抵抗値が1MΩ以上とした。
【0075】図4に本実施例で用いたフォーミング波形
を示す。なお、素子電極2,3において、一方の電極を
低電位として他方を高電位側として電圧は印加される。
【0076】工程e フォーミングを終えた素子には2段階の活性化工程を施
した。
【0077】工程e1 1段階目の活性化工程では、窒素ガスにトルニトリルを
分圧にして1×10-2Pa混合した混合ガスを全圧で1
0000Pa導入した雰囲気中(平均自由工程:約0.
5μm)で、素子電極2,3間に、パルス波高値を15
Vで固定、パルスを1m秒、パルス間隔を10m秒とし
た矩形波のパルスの印加を1分間繰返した。
【0078】工程e2 2段階目の活性化工程では、窒素ガスにトルニトリルを
分圧にして1×10-4Pa混合した混合ガスを全圧で2
00Pa導入した雰囲気中(平均自由工程:約20μ
m)で、素子電極2,3間に、パルス波高値を15Vで
固定,パルスを1m秒、パルス間隔を10m秒とした矩
形波のパルスの印加を30分間繰返した。
【0079】図5に活性化工程で用いたパルス波形を示
す。本実施例では、素子電極2,3に対して交互に低,
高電位がパルス間隔毎に入れ替わるように印加した。
【0080】工程f 続いて、安定化工程を行った。安定化工程は、真空容器
内の雰囲気などに存在する有機ガスを排気し、炭素ある
いは炭素化合物の堆積を抑制し、素子電流If、放出電
流Ieを安定させる工程である。真空容器全体を250
℃加熱して、真空容器内壁や電子放出素子に吸着した有
機物質分子を排気した。このとき、真空度は1×10-6
Paであった。
【0081】その後、この真空度で電子放出素子の特性
を測定した結果、18Vの印加電圧、アノード印加電圧
1kVに対し、素子電流If=1.5mA、放出電流I
e=2μA、電子放出効率η=0.13%であった。
【0082】(実施例2)本実施例は、電子源を作製し
た一例である。電子源の一部の平面図を図7(a)に、
表面伝導型電子放出素子の断面図を図7(b)に示す。
ここで、91は基体、98はDxnに対応する行方向配
線、99はDynに対応する列方向配線、94は導電性薄
膜、92,93は素子電極、97は層間絶縁層である。
本実施例の画像形成装置は図6と同様であるが、リアプ
レートとして基体を用いた。図8は、NTSC方式のテ
レビ信号に基づいたテレビジョン表示を行うための駆動
回路の構成例である。
【0083】次に、画像形成装置の製造方法を工程順に
従って具体的に説明する。
【0084】工程1 清浄化した青板ガラス基体1上に素子電極92,93を
オフセット印刷法によって作製した。素子電極間隔Lは
20μm、素子電極の幅Wを125μmとした。
【0085】工程2 列配線をスクリーン印刷法で作製した。次に、厚さ1.
0μmの層間絶縁層51をスクリーン印刷法により作製
した。更に、行配線を印刷した。
【0086】工程3 ポリビニルアルコールを重量濃度0.05%、2−プロ
パノールを重量濃度15%、エチレングリコールを重量
濃度1%を溶解した水溶液に、テトラモノエタノールア
ミン−パラジウム酢酸(Pd(NH2 CH2 CH2
H)4 (CH3 COO)2 )をパラジウム重量濃度が約
0.15%となるように溶解して黄色の溶液を得た。
【0087】上記の水溶液の液滴をピエゾジェット法と
呼ばれるインクジェット法によって、各素子電極及び素
子電極間に4回同箇所に付与した。
【0088】工程4 次にフェースプレートを形成した。フェースプレート
は、ガラス基体の内面に蛍光体が配置された蛍光膜とメ
タルバックが形成されて構成とした。蛍光体の配列は、
三原色蛍光体の各蛍光体間ブラックストライプを設け
た。ブラックストライプの材料としては、通常用いられ
ている黒鉛を主成分とする材料を用いた。これらは、い
ずれもスクリーン印刷法によって形成した。
【0089】工程5 工程1〜3で形成した基体をリアプレートとして、支持
枠を介してフェースプレートを封着した。支持枠には予
め通排気に使用される排気管を接着した。
【0090】図1における真空容器11の替わりに、前
記リアプレートと支持枠を介してフェースプレートを封
着したものを前記排気管を通じて接続した装置を用い
て、以下の工程の処理を施した。
【0091】工程6 1×10-5Paまで排気後、各配線DXn,Dymより各素子
に電圧を供給できる製造装置で、ライン毎にフォーミン
グを行った。フォーミングの条件は、実施例1と同様で
ある。
【0092】工程e1 1段階目の活性化工程では、窒素ガスにトルニトリルを
分圧にして1×10-2Pa混合した混合ガスを全圧で1
0000Pa導入した雰囲気中(平均自由工程:約0.
5μm)で、素子電極2,3間に、パルス波高値を15
Vで固定、パルスを1m秒、パルス間隔を10m秒とし
た矩形波のパルスの印加を1分間繰返した。
【0093】工程e2 2段階目の活性化工程では、窒素ガスにトルニトリルを
分圧にして1×10-4Pa混合した混合ガスを全圧で2
00Pa導入した雰囲気中(平均自由工程:約20μ
m)で、素子電極2,3間に、パルス波高値を15Vで
固定,パルスを1m秒、パルス間隔を10m秒とした矩
形波のパルスの印加を30分間繰返した。
【0094】図5に活性化工程で用いたパルス波形を示
す。本実施例では、素子電極2,3に対して交互に低,
高電位がパルス間隔毎に入れ替わるように印加した。
【0095】工程7:1×10-5Paまで排気後、1段
階目の活性化工程として、窒素ガスにトルニトリルを分
圧にして1×10-2Paだけ混合した混合ガスを100
00Paまで導入し、全てのバルブを閉じた。その後、
循環器18を用いて真空容器11内の混合ガスを循環さ
せた。この際、三方弁15は、有機物質ガスの補充装置
19への流路を閉じた状態にしておく。
【0096】次に、有機物質ガスの補充装置19と排気
装置13との間のバルブのみを開け、排気装置13によ
って1×10-5Paの真空度まで排気した。その後、有
機物質ガスの補充装置19と導入量制御手段16との間
のバルブを開け、導入物資源17から導入量制御手段1
6を通して、窒素ガスにトルニトリルを分圧にして2×
10-2Paだけ混合した混合ガスを10000Paまで
導入し、全てのバルブを閉じた。
【0097】各配線DXn,Dymより各素子に電圧を供給で
きる製造装置で、線順走査を実施例1と同様のパルス電
圧が各素子に印加されるように電圧を印加し、活性化工
程を行った。各ライン1分間の電圧印加を行った。
【0098】この際、本実施例では、有機物質の量を検
出する検出器20として赤外分光装置を用い、有機物質
の混合分圧の変動を±1%以内になるように三方弁15
を調整した。この三方弁15の調整とは、有機物質の混
合分圧が低下した場合、有機物質の混合分圧が設定値に
復帰するまで、三方弁15の有機物質ガスの補充装置1
9への流路のみを開ける操作を施すことを意味する。ま
た、循環器18としてはルーツポンプを用い、吸湿装置
21としては冷媒で−10℃に冷やされたコールドトラ
ップを用いた。
【0099】次に2段階目の活性化工程として、窒素ガ
スにトルニトリルを分圧にして1×1×10-4Paだけ
混合した混合ガスを200Paまで導入し、全てのバル
ブを閉じた。その後、循環器18を用いて真空容器11
内の混合ガスを循環させた。この際、三方弁15は、有
機物質ガスの補充装置19への流路を閉じた状態にして
おく。
【0100】次に、有機物質ガスの補充装置19と排気
装置13との間のバルブのみを開け、排気装置13によ
って1×10-5Paの真空度まで排気した。その後、有
機物質ガスの補充装置19と導入量制御手段16との間
のバルブを開け、導入物資源17から導入量制御手段1
6を通して、窒素ガスにトルニトリルを分圧にして2×
10-4Paだけ混合した混合ガスを200Paまで導入
し、全てのバルブを閉じた。
【0101】1段階目の活性化工程と同様に各ライン3
0分間程度の電圧印加を行い、各ラインとも素子電流が
平均で1.5mAになったとき、活性化工程を終了し
た。
【0102】工程8 続いて、排気管より排気を充分に行った後、250℃で
3時間容器全体を加熱しながら排気した。最後にゲッタ
をフラッシュし、排気管を封止した。
【0103】以上のようにして作製した単純マトリクス
配列の電子源を用いて構成した画像形成装置に、NTS
C方式のテレビ信号に基づいたテレビジョン表示を行う
ための駆動回路の構成例について、図8を用いて説明す
る。図8において、101は画像表示表示パネル、10
2は走査回路、103は制御回路、104はシフトレジ
スタである。105はラインメモリ、106は同期信号
分離回路、107は変調信号発生器、Vx及びVaは直
流電圧源である。なお、本実施例では、m=150,n
=450とした。
【0104】表示パネル101は、端子Dox1〜Doxm、端
子Doy1〜Doyn、及び高圧端子Hvを介して外部の電気回
路と接続している。端子Dox1〜Doxmには、表示パネル内
に設けられている電子源、即ち、M行N列の行列状にマ
トリクス配線された電子放出素子群を一行(n素子)ず
つ順次駆動する為の走査信号が印加される。
【0105】端子Dy1〜Dynには、前記走査信号により選
択された一行の電子放出素子の各素子の出力電子ビーム
を制御する為の変調信号が印加される。高圧端子Hvに
は、直流電圧源Vaより、例えば10kVの直流電圧が
供給されるが、これは電子放出素子から放出される電子
ビームに蛍光体を励起するのに充分なエネルギーを付与
するための加速電圧である。
【0106】走査回路102について説明する。同回路
は、内部にM個のスイッチング素子を備えたもので(図
中、S1〜Smで模式的に示している)ある。各スイッチン
グ素子は、直流電圧源Vxの出力電圧もしくは0V(グ
ランドレベル)のいずれか一方を選択し、表示パネル1
01の端子Dox1〜Doxmと電気的に接続される。S1〜Smの
各スイッチング素子は、制御回路103が出力する制御
信号Tscanに基づいて動作するものであり、例えばFE
Tのようなスイッチング素子を組み合わせることにより
構成することができる。
【0107】直流電圧源Vxは、本例の場合には電子放
出素子の特性(電子放出しきい値電圧)に基づき、走査
されていない素子に印加される駆動電圧が電子放出しき
い値電圧以下となるような一定電圧を出力するよう設定
されている。
【0108】制御回路103は、外部より入力する画像
信号に基づいて適切な表示が行われるように各部の動作
を整合させる機能を有する。制御回路103は、同期信
号分離回路106より送られる同期信号Tsyncに基づい
て、各部に対してTscan、Tsft及びTmryの各制御信号を
発生する。
【0109】同期信号分離回路106は、外部から入力
されるNTSC方式のテレビ信号から同期信号成分と輝
度信号成分とを分離する為の回路で、一般的な周波数分
離(フィルター)回路等を用いて構成できる。同期信号
分離回路106により分離された同期信号は、垂直同期
信号と水平同期信号より成るが、ここでは説明の便宜上
Tsync信号として図示した。前記テレビ信号から分離さ
れた画像の輝度信号成分を便宜上DATA信号と表した。該
DATA信号はシフトレジスタ104に入力される。
【0110】シフトレジスタ104は、時系列的にシリ
アルに入力される前記DATA信号を、画像の1ライン毎に
シリアル/パラレル変換するためのもので、前記制御回
路103より送られる制御信号Tsftに基づいて動作する
(即ち、制御信号Tsftは、シフトレジスタ104のシフ
トクロックであると言うこともできる。)。シリアル/
パラレル変換された画像1ライン分(電子放出素子n素
子分の駆動データに相当)のデータは、Id1〜IdnのN個
の並列信号として前記シフトレジスタ104より出力さ
れる。
【0111】ラインメモリ105は、画像1ライン分の
データを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であ
り、制御回路103より送られる制御信号Tmryに従って
適宜Id1〜Idnの内容を記憶する。記憶された内容は、I'
d1〜I'dnとして出力され、変調信号発生器107に入力
される。
【0112】変調信号発生器107は、画像データI'd1
〜I'dnの各々に応じて電子放出素子の各々を適切に駆動
変調するための信号源であり、その出力信号は、端子Do
y1〜Doynを通じて表示パネル101内の電子放出素子に
印加される。
【0113】ここでは、パルス幅変調方式によって変調
を行った。パルス幅変調方式を実施するに際しては、変
調信号発生装置107として、一定の波高値の電圧パル
スを発生し、入力されるデータに応じて適宜電圧パルス
の幅を変調するようなパルス幅変調方式の回路を用いる
ことができる。
【0114】シフトレジスタ104やラインメモリ10
5は、デジタル信号式のものもアナログ信号式のものも
採用できる。画像信号のシリアル/パラレル変換や記憶
が所定の速度で行われれば良いからである。
【0115】このような駆動回路により、表示パネルの
各電子放出素子に、容器外端子Dox1〜Doxm,Doy1〜Doyn
を介して電圧を印加することにより、電子放出が生ず
る。高圧端子Hvを介してメタルバック55に高圧を印
加し、電子ビームを加速する。加速された電子は蛍光膜
54に衝突し、発光が生じて画像が形成される。以上の
ような工程によって、輝度のバラツキが少なく安定な画
像形成装置を再現性良く製造することができる。
【0116】
【発明の効果】本発明の電子放出素子の製造方法によれ
ば、複数の電子放出素子を同時に作製する際の複数の活
性化工程において、粘性流領域のガス雰囲気で処理する
工程を有することによって、均一な処理が可能となり、
さらに最終的な活性化工程では、この最終的な活性化工
程の前段階の活性化工程よりも全圧を低くすることによ
って、安定性の高い特性を有する素子が得られ、ロット
内及びロット間での各素子の特性を均一で安定性の高い
ものとすることができる。
【0117】従って、これらにより、輝度ムラの少ない
高品位で安定性の高い画像形成装置を再現性良く提供で
きる。更に、活性化工程を粘性流領域の圧力で行うた
め、従来のような高真空の排気系を必要としない。この
ため、従来より生産コストを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子放出素子作製装置の一例を示す模
式図である。
【図2】本発明の電子放出素子の概略の構成を示す模式
図である。
【図3】本発明の製造方法を示す断面図である。
【図4】実施例1における通電フォーミング波形を示す
特性図である。
【図5】実施例1の活性化工程におけるパルス波形を示
す特性図である。
【図6】本発明の画像形成装置の一例を示す斜視図であ
る。
【図7】実施例3の電子源の一部を示す平面図である。
【図8】実施例3のテレビジョン表示を行うための駆動
回路を示す模式図である。
【図9】従来の電子放出素子を説明するための平面図で
ある。
【符号の説明】
1 基体 2,3 素子電極 4 導電性薄膜 5:電子放出部 11 真空容器 12 配管 13 排気装置 14 バルブ 15 三方弁 16 導入量制御手段 17 導入物資源 18 循環器 19 有機物質を補充するための容器 20 検出装置 21 吸湿装置 22 圧力計 23 四重極質量分析器 24 アノード電極 60 電子放出素子 61 リアプレート 62 支持枠 63 ガラス基体 64 蛍光膜 65 メタルバック 66 フェースプレート 67 電子源基体 68 行方向配線 69 列方向配線 91 基体 92,93 素子電極 94 導電性薄膜 97 層間絶縁層 98 Dxnに対応する行方向配線 99 Dynに対応する列方向配線 101 表示パネル 102 走査回路 103 制御回路 104 シフトレジスタ 105 ラインメモリ 106 同期信号分離回路 107 変調信号発生器 Vx,Va 直流電圧源

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体上に形成された対向する一対の電極
    と、前記各電極の間隙を含む当該各電極上に形成された
    導電性薄膜とを有し、前記導電性薄膜の前記間隙上に相
    当する部位に電子放出部が形成されてなる電子放出素子
    の製造方法であって、 前記電子放出部を含む前記導電性薄膜に、炭素又は炭素
    化合物を堆積させるための複数の工程を有し、 前記各工程のうち、少なくとも1つの工程は、有機物質
    を含む粘性流領域の気体中で前記堆積処理を行ない、前
    記各工程の最終工程は、少なくともその前段階の前記工
    程に比して全圧の低い雰囲気下で前記堆積処理を行なう
    ことを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記最終工程は、全圧が1000Pa以
    下として行われることを特徴とする請求項1に記載の電
    子放出素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記各工程は、当該工程が進行するにつ
    れて徐々に全圧を低下させて行なわれることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の電子放出素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電
    子放出素子の製造方法により電子放出素子が形成された
    前記基体を含むカソード基板を作製し、 前記カソード基板と画像形成部材を有するアノード基板
    とを対向するように配置して画像形成装置を作製するこ
    とを特徴とする画像形成装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7008285B2 (en) * 2000-09-29 2006-03-07 Canon Kabushiki Kaisha Method and apparatus for manufacturing image display device

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