JP2000242977A - 光情報記録媒体 - Google Patents

光情報記録媒体

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JP2000242977A
JP2000242977A JP11076486A JP7648699A JP2000242977A JP 2000242977 A JP2000242977 A JP 2000242977A JP 11076486 A JP11076486 A JP 11076486A JP 7648699 A JP7648699 A JP 7648699A JP 2000242977 A JP2000242977 A JP 2000242977A
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Michihiro Shibata
路宏 柴田
Takashi Suda
隆史 須田
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水性インク印字層の表面での貼り付きが抑制
され、かつインクジェットプリンタによる印字適性及び
インクの色再現性が向上し、鮮明な画質で印字が可能な
親水性の水性インク印字層を持つ光情報記録媒体を提供
すること。 【解決手段】 透明な円盤状基板上にレーザ光の照射に
よる情報の記録もしくは再生が可能な記録層と、この上
に水性インク印字層が形成された光情報記録媒体であっ
て、該インク印字層の水とエチレングリコールとの混合
液による濡れ性の試験において、該混合液のインク印字
層への点着後の広がりが特定値以上を示し、かつ二枚の
光情報記録媒体の該インク印字層の表面を互いに重ね合
わせ、80℃、85%RH、48時間の保存条件下で保
存し、保存後に両媒体を引き剥がした場合でも該インク
印字層の破壊、脱落が生じない特性を示す水性インク印
字層が備えられている。該インク印字層の下面に着色隠
蔽層が更に付設されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明な円盤状基板
上にレーザ光を用いて情報の記録もしくは再生を行うこ
とができる記録層を有する光情報記録媒体に関する。特
に、本発明は、光情報記録媒体の表面に文字や図柄を印
字することができる水性インク印字層を有する光情報記
録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザ光により一回限りの情報の記録が
可能な光情報記録媒体(ライトワンス型の光ディスク)
は、追記型CD(所謂CD−R)として知られている。
CD−R型の光ディスクの代表的な構造は、透明な円盤
状基板上に有機色素からなる記録層、金などの金属から
なる反射層、更に樹脂製の保護層をこの順に積層したも
のである。このCD−R型の光ディスクへの情報の書き
込み(記録)は、一般に近赤外域のレーザ光(通常は7
80nm付近の波長のレーザ光)を光ディスクに照射す
ることにより行われ、色素記録層の照射部分がその光を
吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的な
変化(例えば、ピットなどの生成)が生じてその光学的
特性を変えることにより行われる。一方、情報の読み取
り(再生)も通常、記録用のレーザ光と同じ波長のレー
ザ光を光ディスクに照射することにより行われ、色素記
録層の光学的特性が変化した部位(ピットなどの生成に
よる記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反
射率の違いを検出することにより実施される。CD−R
型の光ディスクへの情報の再生は、市販のCDプレーヤ
を利用して行うことができる。
【0003】最近では、より大きな記録容量を有する光
情報記録媒体が求められており、この要望に対応したも
のとして、追記型DVD(ディジタル・ビデオ・ディス
ク)(DVD−R)が提案されている(例えば、「日経
ニューメディア」別冊「DVD」、1995年発行)。
この文献には、上記CD−R型の光ディスクに対応す
る、追記型のDVD−R型の光ディスクとして、照射さ
れるレーザ光のトラッキングのための案内溝(プレグル
ーブ)がCD−R型に比べて半分以下(0.74〜0.
8μm)と狭く形成された透明な円盤状基板上に、有機
色素からなる記録層、そして通常は記録層の上に更に反
射層および保護層を設けてなる二枚の積層体を、該記録
層を内側にして接着剤で貼り合わせた構造のもの、ある
いは二枚で構成される積層体のうち、その一枚を円盤状
保護板に代えて、一方の基板のみに記録層、反射層及び
保護層を順に設けた構成のものが記載されている。上記
のDVD−R型の光ディスクへの情報の書き込み(記
録)及び読み取り(再生)は、上記CD−R型の光ディ
スクで一般的に用いられている780nmより短波長の
レーザ光(通常は600〜700nmの波長の範囲のレ
ーザ光)を照射することにより行なわれる。
【0004】上記CD−R型やDVD−R型の光ディス
クには、そこに記録した情報を表示するために、レーザ
光を照射する側とは反対側のディスク表面(保護層の表
面)にタイトルや各種の図柄を印字することが行われ
る。この印字には、近年、カラー化が容易である、低コ
ストである、操作が簡便であるなどの理由から、インク
ジェットプリンタを利用した印字法が利用されている。
インクジェットプリンタによる印字では、通常水性イン
クが用いられているため、ディスク表面に、水性インク
が定着できるように親水性の層(水性インク印字層)を
設けるなどの改良が必要になり、例えば、下記のような
構成の親水性の表面層を有する種々のCD−R型の光デ
ィスクが提案されている。
【0005】特開平6−60432号公報には、保護層
が設けられている側の表面が印刷インクが定着可能なよ
うに親水性表面とされたCD−R型の光ディスクが開示
されている。この親水性表面は、親水性樹脂膜中に分散
された有機又は無機顔料により、微細な粗面になってい
て水性インクが定着し易い構成となっている。具体的に
は、ポリビニルピロリドンなどの親水性樹脂中に平均粒
子径が約4μmの合成非晶質微粉シリカが含有分散され
た親水性樹脂膜が設けられたCD−R型の光ディスクの
例が記載されている。特開平7−44888号公報に
は、保護層側の面に親水性モノマーを含む重合性樹脂が
硬化されてなる親水性表面を有する光情報記録媒体が開
示されている。そして具体例には、アクリレート系親水
性モノマー、親水性樹脂(ヒドロキシエチルセルロー
ス)、光重合開始剤、増粘剤(無水シリカ)、そして顔
料(表面処理シリカ)からなる組成の親水性樹脂膜を設
けたCD−R型の光ディスクの例が記載されている。特
開平7−169100号公報には、最上層に位置する保
護層が有機フィラー及び無機フィラーを含有するUV硬
化樹脂からなり、この保護層表面が印刷に適した表面と
されたCD−R型の光ディスクが開示されている。そし
てここには、10μm以上の比較的大きな平均粒子径を
持つ有機フィラー(例、プロテイン)や無機フィラー
(例、合成シリカ)をUV硬化樹脂中に含有する保護層
を持つCD−R型の光ディスクの例が記載されている。
【0006】尚、予め情報を記録した円盤状の透明樹脂
基板上に金、アルミニウムなどの金属を蒸着して形成し
た反射層とこの上に紫外線硬化樹脂からなる保護層を設
けてなる情報再生専用の光情報記録媒体は、コンパクト
ディスク(CD)と称され、オーディオ技術などの分野
で従来から利用されている。また最近では、CD型の光
ディスクに比べて情報の記録容量を大幅に増大させた情
報再生専用の光ディスクとして、DVD型の光ディスク
も利用されている。CD型やDVD型の光ディスクは、
同一の複製物を大量に作製する場合に有利に利用されて
いる。このため、タイトルや図柄は、一般に大量の印刷
に適したスクリーン印刷で印刷される場合が多い。しか
し、これらの光ディスクにおいても、新たに文字や記号
などを印字したい場合などには、インクジェットプリン
タによる印字が可能であれば、便利である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、上記公報
に開示されている親水性表面層を持つ光ディスクや現在
市販されているCD−R型の光ディスクのインクジェッ
トプリンタによる印字適正、及びその表面層の特性につ
いて検討を行った。その検討によると、上記のように水
性インクが定着し易いように改良された表面層であって
も、インクの濡れ易さやインクの定着性などにおいては
尚十分ではなく、印字後にインクが滲み易いなどの問題
があることが判明した。またCD−R型の光ディスク
は、一般に該ディスクへの記録内容などを記載した紙葉
(ブックレット)を専用のプラスチックケースに一緒に
収容した形態で販売、流通されている場合が多い。最近
では、セロファン、あるいは不織布などからなる袋の中
に光ディスクを収容した商品形態で雑誌などの付録とし
て販売されているものも多くなってきている。このよう
な場合、光ディスクの親水性表面とブックレット、ある
いはセロファンなどとの間で貼り付きが生じ易いことが
判明した。特にそのような組み合わせで高温度、高湿度
下に長期に保存しておいた場合には、貼り付きが顕著に
なり、また特に印刷した部分で貼り付きが生じやすくな
ることがわかった。このような貼り付きは、商品価値を
低下させるばかりか、この貼り付きを剥がす際には、C
D−R型の光ディスクなどにおいては、記録層と反射層
との界面で剥がれが生じるなど重大な欠陥を招く場合が
あった。また、樹脂保護層は通常透明であるため、金属
反射層の金属光沢(例えば、Au金属層における金色)
がその表面に現れ、親水性の表面層に印字を施した場合
には、この金属光沢に妨げられて印字が不鮮明になった
り、またインク本来の色相で印字ができないとの問題が
あった。
【0008】本発明の目的は、水性インク印字層の表面
での紙葉あるいは包装材料への貼り付きが抑制され、か
つインクジェットプリンタによる印字適性が向上した親
水性の水性インク印字層を持つ光情報記録媒体を提供す
ることである。本発明は、特にインクの滲みが殆どな
く、良好な画質で印字が可能であり、かつブックレッ
ト、セロファンなどを水性インク印字層の表面に接触し
た状態で保存しておいた場合でもこれらとの貼り付きが
生じにくい水性インク印字層を備えた光情報記録媒体を
提供することを目的とするものである。また、本発明の
目的は、インクの色再現性が向上し、鮮明な画質で印字
を行うことができる水性インク印字層を備えた光情報記
録媒体を提供することでもある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者の研究の結果、
光ディスクの親水性表面層(水性インク印字層)でのイ
ンクの滲みや該表面層とブックレットなどとの貼り付き
は、その層の親水性の度合いが大きく関係していること
が判明した。即ち、表面層の親水性を高めると、インク
の濡れ性も高くなり、滲みが生じやすくなるが、反面、
吸湿しやすく、その表面はべたついて貼り付きやすくな
る。本発明者の更なる研究により、インク印字層の表面
特性としては、インクの濡れ性を最大限に高めてインク
の良好な定着性を確保してインクの滲みを生じさせない
ようにすると共に、貼り付きが生じにくく、又、たとえ
貼り付きが生じたとしても実用上問題のない程度の貼り
付き状態に抑えられるように、その印字層の親水性の度
合いを適正に調整することが有効であることが判明し
た。具体的には、本発明で規定する濡れ試験と貼り付き
試験において所定の特性を与えるように、インク印字層
を構成することにより、貼り付きによる故障が生じにく
く、しかも滲みのない良好な印字画質を与えるインクジ
ェットプリンタに適した水性インク印字層が得られるこ
とが判明した。又、水性インク印字層の下面に着色隠蔽
層を設けることで金属反射層による金属光沢が隠蔽され
るため、水性インク印字層上に鮮明な画質で、かつイン
ク本来の色相で印字を行うことができると共に、このよ
うな着色隠蔽層を設けた場合でもインクの滲みは殆ど生
じることなく印字が可能であることが判明した。
【0010】本発明は、透明な円盤状基板の上に一もし
くは二以上のレーザ光の照射による情報の記録もしくは
再生が可能な記録層が形成され、該記録層の上方に水性
インク印字層が形成されてなる光情報記録媒体であっ
て、該水性インク印字層が下記の特性を示すものである
ことを特徴とする光情報記録媒体にある。 (1)当該光情報記録媒体を25℃、50%RHの雰囲
気中に10時間保存したのち、その雰囲気中にて、水性
インク印字層の表面に、水とエチレングリコールとの体
積比1:1の混合液を20μLの量にて、マイクロピペ
ットを用いて点着し、点着時から10分間経過後に水性
インク印字層の表面での該混合液の広がりを測定した場
合、その広がりが、円形近似による直径として8mm以
上となること、そして(2)二枚の同一の光情報記録媒
体を、それぞれの水性インク印字層の表面が互いに接触
するように重ね合わせ、10g/cm2の圧力を付与し
ながら、80℃、85%RHの雰囲気中にて、48時間
保存したのち、一方の光情報記録媒体から他方の光情報
記録媒体を引き剥がした場合に、光情報記録媒体の水性
インク印字層の破壊もしくは脱離が発生しないこと。
【0011】本発明の光情報記録媒体は以下の態様であ
ることが好ましい。 (1)当該光情報記録媒体を25℃、50%RHの雰囲
気中に10時間保存したのち、その雰囲気中にて、水性
インク印字層の表面に、水及びエチレングリコールを別
々に20μLの量にて、マイクロピペットを用いて点着
し、点着時から10分間経過後に水性インク印字層の表
面での水及びエチレングリコールの広がりを測定した場
合、その広がりが、円形近似による直径として、いずれ
も7mm以上となる特性を更に有することを特徴とする
光情報記録媒体。 (2)水性インク印字層が、紫外線硬化樹脂及び顔料を
含む樹脂組成物の硬化層であることを特徴とする光情報
記録媒体。 (3)水性インク印字層に含まれる顔料が、プロテイン
粒子であることを特徴とする光情報記録媒体。 (4)水性インク印字層が、5〜20μmの範囲(更に
好ましくは、8〜15μmの範囲)の層厚を有すること
を特徴とする光情報記録媒体。 (5)記録層が色素記録層であり、水性インク印字層
が、色素記録層の上に金属反射層、及び樹脂保護層を介
在させて設けられていることを特徴とするCD−R型の
光情報記録媒体。
【0012】(6)記録層の上に更に金属反射層が形成
されており、該金属反射層の上方に着色隠蔽層を介在さ
せて水性インク印字層が設けられていることを特徴とす
る光情報記録媒体。 (7)着色隠蔽層が硫化亜鉛粒子を含むことを特徴とす
る光情報記録媒体。 (8)着色隠蔽層の厚みが、8.0〜11.5μm(更
に好ましくは、8〜10μm、特に好ましくは、8.0
〜9.5μm)の範囲にあることを特徴とする光情報記
録媒体。 (9)着色隠蔽層の厚みが、8.0〜11.5μmの範
囲にあり、かつ水性インク印字層の厚みが14.0〜1
8.0μm(特に好ましくは、14.0〜17.0μ
m、最も好ましくは、14.5〜15.5μm)の範囲
あることを特徴とする光情報記録媒体。 (10)水性インク印字層の厚みが、着色隠蔽層の厚み
より厚いことを特徴とする光情報記録媒体。 (11)水性インク印字層の厚みが、着色隠蔽層の厚み
の1.6〜2.5倍(更に好ましくは、1.7〜2.0
倍、特に好ましくは、1.75〜1.9倍)の範囲にあ
ることを特徴とする光情報記録媒体。 (12)記録層が色素記録層であり、該色素記録層の上
に更に金属反射層が形成されており、該金属反射層の上
方に着色隠蔽層を介在させて水性インク印字層が設けら
れていることを特徴とするCD−R型の光情報記録媒
体。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の光情報記録媒体は、透明
な円盤状基板の上に一もしくは二以上のレーザ光の照射
による情報の記録もしくは再生が可能な記録層が形成さ
れ、該記録層の上方に後述するようにインクの濡れ性な
どにおいて優れた特性を有する水性インク印字層が形成
されていることを特徴とするものである。本発明の光情
報記録媒体には、このような水性インク印字層を有する
態様の従来の光ディスクが含まれる。即ち、本発明の光
情報記録媒体には、CD型の再生専用の光ディスク、C
D−R型の光ディスク、書き換え可能なCD−RW型の
光ディスク、DVD型の再生専用の光ディスク、そして
DVD−R型の光ディスクなどの態様が含まれる。但
し、DVD型、及びDVD−R型の光ディスクにおいて
は、片方の面から記録もしくは再生が可能な形態の光デ
ィスクにおいて適用可能である。本発明の光情報記録媒
体は、特にCD−R型の光ディスクに適用することが有
利であるため、本明細書では、CD−R型の光ディスク
を例にとって、本発明の光情報記録媒体を説明する。
【0014】CD−R型の光ディスクは、透明な円盤状
基板上に、レーザ光の照射により情報を記録することが
できる色素記録層、金属反射層、樹脂保護層、そして水
性インク印字層をこの順に積層してなるものである。以
下に、透明基板、色素記録層、金属反射層、樹脂保護
層、そして特徴とする水性インク印字層を含む本発明の
光情報記録媒体を製造する方法を順に説明する。また、
本発明のCD−R型の光ディスには、樹脂保護層と水性
インク印字層との間に更に着色隠蔽層を設けた構成のも
のも好ましい一態様として含まれるため、下記の説明で
は、この態様を含めて説明する。
【0015】透明基板は、従来の光情報記録媒体の基板
として用いられている各種の材料から任意に選択するこ
とができる。基板材料としては、例えばガラス;ポリカ
ーボネート;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹
脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニ
ル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン
およびポリエステルなどを挙げることができる。これら
の材料は所望により併用してもよい。なお、これらの材
料はフィルム状としてまたは剛性のある基板として使う
ことができる。上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性
および価格などの点からポリカーボネートが好ましい。
【0016】色素記録層が設けられる側の基板表面に
は、平面性の改善、接着力の向上および記録層の変質防
止の目的で、下塗層が設けられてもよい。下塗層の材料
としてはたとえば、ポリメチルメタクリレート、アクリ
ル酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン
酸共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールア
クリルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、ク
ロルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ
塩化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポ
リイミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン
・酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリカーボネート等の高分子物質;およびシランカ
ップリング剤などの表面改質剤を挙げることができる。
【0017】下塗層は、上記物質を適当な溶剤に溶解ま
たは分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピン
コート、ディップコート、エクストルージョンコートな
どの塗布法を利用して基板表面に塗布することにより形
成することができる。下塗層の層厚は一般に0.005
〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μ
mの範囲である。
【0018】基板(または下塗層)上には、トラッキン
グ用溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プレ
グルーブ)が形成されていることが好ましい。このプレ
グルーブは、ポリカーボネートなどの樹脂材料を射出成
形あるいは押出成形する際に直接基板上に形成されるこ
とが好ましい。
【0019】また、プレグルーブの形成を、プレグルー
ブ層を設けることにより行ってもよい。プレグルーブ層
の材料としては、アクリル酸のモノエステル、ジエステ
ル、トリエステルおよびテトラエステルのうちの少なく
とも一種のモノマー(またはオリゴマー)と光重合開始
剤との混合物を用いることができる。プレグルーブ層の
形成は、例えば、まず精密に作られた母型(スタンパ)
上に上記のアクリル酸エステルおよび重合開始剤からな
る混合液を塗布し、更にこの塗布液層上に基板を載せた
のち、基板または母型を介して紫外線を照射することに
より塗布層を硬化させて基板と塗布層とを固着させる。
次いで、基板を母型から剥離することにより得ることが
できる。プレグルーブ層の層厚は一般に、0.05〜1
00μmの範囲にあり、好ましくは0.1〜50μmの
範囲である。
【0020】プレグルーブの深さは0.01〜0.3μ
mの範囲にあることが好ましく、またその半値幅は、
0.2〜0.9μmの範囲にあることが好ましい。また
プレグルーブ層の深さを0.15〜0.2μmの範囲と
することにより反射率を殆ど低下させることなく感度を
向上させることができ、特に好ましい。従って、このよ
うな光ディスク(深いグルーブの基板に色素の記録層お
よび光反射層が形成された光ディスク)は、高い感度を
有することから、低いレーザーパワーでも記録が可能と
なり、これにより安価な半導体レーザの使用が可能とな
る、あるいは半導体レーザの使用寿命を延ばすことがで
きる等の利点を有する。
【0021】基板上には色素記録層が設けられる。記録
層の形成に用いられる色素は特に限定されない。例え
ば、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、イミダゾ
キノキサリン系色素、ピリリウム系・チオピリリウム系
色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、N
i、Crなどの金属錯塩系色素、ナフトキノン系色素、
アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、メロ
シアニン系色素、オキソノール系色素、ナフトアニリン
系色素、トリフェニルメタン系色素、トリアリルメタン
系色素、アミニウム系・ジインモニウム系色素及びニト
ロソ化合物を挙げることができる。これらの色素のうち
では、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、アズレ
ニウム系色素、スクワリリウム系色素、オキソノール系
色素及びイミダゾキノキサリン系色素が好ましい。特に
好ましくは、シアニン系色素である。これらのシアニン
系色素は、例えば、特開平4−175188号公報に記
載されている。
【0022】色素記録層の形成は、色素を溶剤に溶解し
て塗布液を調製し、この塗布液を基板表面に塗布して塗
膜を形成したのち乾燥することにより行なうことができ
る。塗布液の調整に際しては、退色防止剤を加えること
が好ましく、更に所望により結合剤を加えることもでき
る。退色防止剤を併用する場合には、その使用量は、色
素の量に対して、通常0.1〜50重量%の範囲であ
り、好ましくは、0.5〜45重量%の範囲、更に好ま
しくは、3〜40重量%の範囲、特に5〜25重量%の
範囲である。
【0023】色素記録層の塗布液の溶剤の例としては、
酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メ
チルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチ
ルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジク
ロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメ
チルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの
炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオ
キサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノー
ル、イソプロパノール、n−ブタノール、ジアセトンア
ルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフ
ロロプロパノール、2,2,3,3−テトラフロロペン
タノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグ
リコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶
剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独または二種以
上を適宜併用することができる。塗布液中には更に酸化
防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤など各種の添加剤
を目的に応じて添加してもよい。
【0024】退色防止剤の代表的な例としては、ニトロ
ソ化合物、金属錯体、ジインモニウム塩、アミニウム塩
などを挙げることができる。これらの例は、特開平2−
300288号、同3−224793号、あるいは同4
−146189号等の各公報に記載されている。
【0025】結合剤の例としては、例えば、ゼラチン、
セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの
天然有機高分子物質;およびポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系
樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化
ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポ
リアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアク
リル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレ
ン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェ
ノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期
縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。色
素記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤
の使用量は、色素100重量部に対して、上限が20重
量部、好ましくは10重量部、更に好ましくは5重量部
にとどめるべきである。
【0026】このようにして調製される色素記録層の塗
布液中の色素の濃度は一般に0.01〜10重量%の範
囲にあり、好ましくは0.1〜5重量%の範囲にある。
【0027】塗布方法としては、スプレー法、スピンコ
ート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート
法、ドクターロール法、及びスクリーン印刷法などを挙
げることができる。色素記録層は単層でも重層でもよ
い。色素記録層の層厚(乾燥後の厚み)は一般に20〜
500nmの範囲にあり、好ましくは50〜300nm
の範囲にある。
【0028】上記色素記録層の上には、特に情報の再生
時における反射率の向上の目的で、金属反射層が設けら
れる。金属反射層の材料である光反射性物質はレーザ光
に対する反射率が高い物質であり、その例としては、M
g、Se、Y、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、C
r、Mo、W、Mn、Re、Fe、Co、Ni、Ru、
Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、C
d、Al、Ga、In、Si、Ge、Te、Pb、P
o、Sn、Biなどの金属及び半金属あるいはステンレ
ス鋼を挙げることができる。これらの物質は単独で用い
てもよいし、あるいは二種以上の組合せで、または合金
として用いてもよい。これらのうちで好ましいものは、
Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、Au、Al及びステン
レス鋼である。特に好ましくは、Au金属、Ag金属、
あるいはこれらの合金である。好ましいAu又はAg合
金としては、それぞれPt、Cu、及びAlからなる群
より選ばれる少なくとも一種の金属を含む合金を挙げる
ことができる。反射層は、例えば、光反射性物質を蒸
着、スパッタリングまたはイオンプレーティングするこ
とにより、色素記録層の上に形成することができる。金
属反射層の層厚は、一般的には10〜800nmの範囲
にあり、好ましくは20〜500nmの範囲、更に好ま
しくは50〜300nmの範囲である。
【0029】金属反射層の上には通常色素記録層などを
物理的および化学的に保護する目的で樹脂保護層を設け
る。この樹脂保護層は、基板の色素記録層が設けられて
いない側にも耐傷性、耐湿性を高める目的で設けること
もできる。保護層に用いられる材料の例としては、Si
O、SiO2 、MgF2 、SnO2 、Si3 4 等の無
機物質、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性樹脂
等の有機物質を挙げることができる。保護層は、例え
ば、プラスチックの押出加工で得られたフィルムを接着
剤を介して金属反射層上及び/または基板上にラミネー
トすることにより形成することができる。あるいは真空
蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により設けられて
いてもよい。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の場合
には、これらを適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した
のち、この塗布液を塗布し、乾燥することによっても形
成することができる。UV硬化性樹脂の場合には、溶剤
を用いることなくそのままもしくは適当な溶剤に溶解し
て塗布液を調製したのちこの塗布液を塗布し、UV光を
照射して硬化させることによっても形成することができ
る。これらの塗布液中には、更に帯電防止剤、酸化防止
剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加して
もよい。保護層は樹脂製であることが好ましく、樹脂保
護層の層厚は一般には0.1〜100μmの範囲にあ
る。
【0030】金属反射層の金属光沢を隠蔽し、鮮明な画
質で印刷を行うためには、水性インク印字層の下面、即
ち、樹脂保護層と水性インク印字層との間に着色隠蔽層
を設けることが好ましい。着色隠蔽層は、紫外線硬化性
樹脂中に顔料を分散させた樹脂組成物の親水性の硬化層
として形成することが好ましい。使用できる顔料として
は、白色、有色の各種の無機顔料、有機顔料を挙げるこ
とができる。無機顔料としては、例えば、二酸化チタ
ン、アルミナ、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、
硫酸バリウム(白色無機顔料);カーボンブラック(黒
色無機顔料);ベンガラ、酸化クロム、カドミウムイエ
ロー、クロムイエロー(有色無機顔料)などを挙げるこ
とができる。又有機顔料の例としては、トリフェニルメ
タン系、キノリン系、アントラキノン系、及びフタロシ
アニン系などの顔料を挙げることができる。上記の顔料
の中では、インクの滲みが少なく、良好な画質で印字が
できる点で白色無機顔料、中でも二酸化チタン、硫化亜
鉛が好ましい。顔料の平均粒子径は、0.05〜5μm
(更に好ましくは、0.1〜1.0μm)の範囲にある
ことが好ましい。紫外線硬化性樹脂としては、後述する
水性インク印字層に記載されているものを利用すること
ができる。又、着色隠蔽層は、後述する水性インク印字
層と同様な方法を利用して形成することができる。即
ち、着色隠蔽層は、必要により有機溶剤などを用いて紫
外線硬化性樹脂と顔料とを混合分散して塗布液を調製し
た後、これを樹脂保護層の上にスクリーン印刷法などを
利用して塗布し、更にこの上から紫外線を照射させるこ
とにより、形成することができる。着色隠蔽層は、顔料
と紫外線硬化樹脂とが10:90〜50:50の重量比
(更に好ましくは、20:80〜50:50)で形成さ
れていることが好ましい。着色隠蔽層の層厚は、8.0
〜11.5μm(更に好ましくは、8.0〜10.0μ
m、特に好ましくは、8.0〜9.5μm)の範囲にあ
ることが好ましい。
【0031】樹脂保護層の上、あるいは、樹脂保護層の
上に着色隠蔽層を設ける場合には、この着色隠蔽層の上
に本発明の特徴的な要件である水性インク印字層が設け
られる。本発明に係る水性インク印字層は、下記の特性
を示す親水性表面を有する層である。 (1)当該光情報記録媒体を25℃、50%RHの雰囲
気中に10時間保存したのち、その雰囲気中にて、水性
インク印字層の表面に、水とエチレングリコールとの体
積比1:1の混合液を20μLの量にて、マイクロピペ
ットを用いて点着し、点着時から10分間経過後に水性
インク印字層の表面での該混合液の広がりを測定した場
合、その広がりが、円形近似による直径として8mm以
上となること、そして(2)二枚の同一の光情報記録媒
体を、それぞれの水性インク印字層の表面が互いに接触
するように重ね合わせ、10g/cm2の圧力を付与し
ながら、80℃、85%RHの雰囲気中にて、48時間
保存したのち、一方の光情報記録媒体から他方の光情報
記録媒体を引き剥がした場合に、光情報記録媒体の水性
インク印字層の破壊もしくは脱離が発生しないこと。
【0032】上記(1)の要件は、水性インクの水性イ
ンク印字層表面への濡れ易さを規定するためのものであ
る。インクジェットプリンタ用の水性インクは、水溶性
染料を、水又は、水と水溶性の有機溶剤からなる溶液中
に溶解したものが利用されている。水溶性の有機溶剤と
しては、グリセリン、エチレングリコールなどの高沸点
有機溶剤が主に用いられている。このため、本発明にお
ける濡れ易さの規定は、実際の水性インクの組成に近
い、水とエチレングリコールとの体積比1:1の混合液
を用いた。水性インク印字層上の水とエチレングリコー
ルとの混合液の点着後の広がりは、水性インクの濡れ性
(親水性)の目安を示し、濡れ性が良好であれば、広が
りやすくなる。従って、水性インクの印字層への定着が
より早く進行するから、滲みは少なくなる。本発明で
は、上記の実験による広がりは、円形近似による直径と
して9mm以上となることが好ましく、10mm以上と
なることが更に好ましい。そして水性インク印字層の厚
さが5〜20μmの範囲内であっては、該混合液の広が
りは20mm以下であることが望ましい。広がりが20
mmを越えるようになると、インク印字層の貼り付き性
に悪影響を及ぼすようになる。従って、本発明の光情報
記録媒体の水性インク印字層における該混合液の広がり
は8mm以上であることが好ましいが余り大きくても問
題である。又、水及びエチレングリコールをそれぞれ単
独で用いて上記と同様な方法で試験した場合に、水性イ
ンク印字層の表面での水及びエチレングリコールの広が
りは、円形近似による直径として、いずれも7mm以上
となることが好ましい。更に好ましくは、いずれも9m
m以上となることである。
【0033】上記(2)の要件は、インク印字層の貼り
付きの目安を規定するためのものである。ここで、二枚
の光情報記録媒体の水性インク印字層同士の重ね合わせ
は、それぞれの光情報記録媒体の水性インク印字層の全
領域が全く一致するように該媒体同士を重ね合わせる方
法で行う。一方の光情報記録媒体から他方の光情報記録
媒体を引き剥がした場合のインク印字層の破壊もしくは
脱離は、目視による判定に従うものである。
【0034】本発明に係る水性インク印字層は、上記の
ような特性を備えているものであるが、該水性インク印
字層は、紫外線硬化樹脂及び顔料を含む樹脂組成物の硬
化層として形成されていることが好ましく、例えば、以
下の方法で形成することができる。顔料は、水性インク
の良好な濡れ性を確保するために、水分を吸収し易い粒
子(吸水性粒子)であることが好ましい。このことか
ら、本発明で用いる顔料は、吸水性の材料を微粉末状に
加工したものであることが好ましい。このような粒子の
材料の例としては、グルコースのような単糖類、ショ糖
や麦芽糖のような二糖類、及びセルロースやデンプンの
ような多糖類;硫酸セルロース及び燐酸セルロースなど
の無機セルロースエステル、蟻酸セルロース及び酢酸セ
ルロースなどの有機セルロースエステル、そしてカルボ
キシメチルセルロースナトリウム及びヒドロキシエチル
セルロースなどのセルロースエーテルなどのセルロース
誘導体;そして天然ポリペプチド及び蛋白質を挙げるこ
とができる。これらの中では、酢酸セルロース又はプロ
テインが好ましい。特に好ましいものは、プロテインで
ある。
【0035】顔料は、水性インク印字層中に含有させた
場合に、その表面に突出しないような大きさであること
が好ましい。このため、顔料の平均粒子径は1〜8μm
(更に好ましくは、3〜8μm)の範囲にあることが好
ましい。また、顔料の平均粒子径と水性インク印字層と
の層厚との比は、水性インク印字層を着色隠蔽層を設け
ることなく樹脂保護層上に設ける場合には、1/5〜1
/1.2(更に好ましくは、1/4〜1/1.5、特に
1/3〜1/1.8)の範囲にあることが好ましく、水
性インク印字層を着色隠蔽層上に設ける場合には、1/
5〜1/1.2(更に好ましくは、1/4〜1/1.
5、特に1/3.5〜1/2)の範囲にあることが好ま
しい。
【0036】水性インク印字層に紫外線硬化性樹脂を用
いることで、インク印字層を容易に形成でき、製造上有
利である。紫外線硬化性樹脂は、一般には分子中に一つ
以上の反応性アクリル基を持つ重合性化合物のモノマー
又はオリゴマー、あるいはこれらの混合物、反応開始剤
及び反応触媒からなり、従来から紫外線硬化性樹脂とし
て知られているものから選択して使用することができ
る。なお、製品の変形などが伴わないように硬化収縮率
の小さいものが選ばれる。例えば、単官能モノマーとし
ては、テトラヒドロフルフリルアクリレート、エチルカ
ルビトールアクリレート、ジシクロペンチルオキシアク
リレート、フェニルカルビトールアクリレート、ノニル
フェノキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルアク
リレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルア
クリレート、アクリルアミド、アクロイルモルホリン、
ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、N
−ビニルピロリドンを挙げることができる。多官能アク
リレートとしては、ポリオールポリアクリレート、ポリ
エステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタ
ンアクリレート、ペンタエリスリトールジ(トリ)アク
リレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ヘ
キサメチレンビスアクリルアミドなどを挙げることがで
きる。好ましいものとしては、アクリルアミド基、ビニ
ルアミノ基、又は水酸基などの極性基を有する単官能又
は多官能モノマー又はオリゴマーを挙げることができ
る。
【0037】光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベン
ゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベ
ンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン又はそ
のエーテル、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化
合物、ベンジル、ベンジルメチルケタール、ベンジルエ
チルケタールなどのベンジル系化合物、1−フェニル−
2−ヒドロキシ−2−メチル−2−プロパンなどのヒド
ロキシアルキルフェニルケトン系化合物などを挙げるこ
とができる。
【0038】水性インク印字層は、必要により有機溶剤
などを用いて上記の紫外線硬化性樹脂と顔料とを混合分
散し、水性インク印字層形成用塗布液を調製した後、こ
れを樹脂保護層の上に塗布することにより、形成するこ
とができる。塗布方法は、特に限定されないが、スクリ
ーン印刷による方法が有利である。水性インク印字層
は、顔料と紫外線硬化樹脂とが20:80〜80:20
の重量比で形成されていることが好ましく、25:75
〜50:50の重量比で形成されていることが更に好ま
しい。水性インク印字層を樹脂保護層上に設ける場合に
は、水性インク印字層の層厚は、5〜20μm(更に好
ましくは、8〜15μm)の範囲にあることが好まし
い。又、水性インク印字層を着色隠蔽層上に設ける場合
には、水性インク印字層の層厚は、5〜20μm(更に
好ましくは、14〜18μm、特に好ましくは、14〜
17μm、最も好ましくは、14.5〜15.5μm)
の範囲にあることが好ましい。また、着色隠蔽層を設け
る場合、水性インク印字層の厚みは、着色隠蔽層の厚み
より厚いことが好ましく、水性インク印字層の厚みは、
着色隠蔽層の厚みの1.6〜2.5倍(更に好ましく
は、、1.7〜2.0倍、特に好ましくは、1.75〜
1.9倍)の範囲にあることが好ましい。
【0039】尚、水性インク印字層は、インクジェット
プリンタで印刷が可能なように、樹脂保護層の上に全面
に形成することが一般的であるが、デザインの観点か
ら、全面でなく、文字や絵を浮き出させるように部分的
にスクリーン印刷を施して水性インク印字層を形成する
こともできる。
【0040】上記着色隠蔽層や水性インキ印字層には、
帯電防止剤や防黴剤を含有させることができる。特にこ
れらの層は親水性層であり、黴が発生し易いため、防黴
剤が含有されていることが好ましい。防黴剤は特に限定
されることなく、公知のものを利用することができる。
例えば、特開平3−73429号公報、あるいは前述し
た特開平10−162438号公報に記載のものを使用
することができる。代表的な防黴剤としては、下記の一
般式で示される化合物を挙げることができる。
【0041】下記一般式〔1〕で表されるベンズイミダ
ゾール系化合物
【0042】
【化1】 (R1は、置換基を有していてもよい炭素原子数1乃至
4のアルキル基を表し、、R2は、炭素原子数1乃至4
の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表す。)
【0043】下記一般式〔2〕で表されるチオファーネ
ート系化合物
【0044】
【化2】 (R3及びR4は、それぞれ炭素原子数1乃至4の直鎖状
又は分岐鎖状のアルキル基を表す。)
【0045】下記一般式〔3〕で表されるジオキソイミ
ダゾリジン系化合物
【0046】
【化3】 (R5は、炭素原子数1乃至4の直鎖状又は分岐鎖状の
アルキル基を表す。)
【0047】下記一般式〔4〕で表されるイソチアゾロ
ン系化合物
【0048】
【化4】
【0049】(R6は、水素原子、置換されていてもい
炭素原子数1乃至18のアルキル基、置換されていても
いアルケニル基、置換されていてもいシクロアルキル
基、置換されていてもよいアリール基、置換されていて
もよい多環炭素環、置換されていてもよいヘテロ芳香
環、又は置換されていてもよいスルホニルアミノカルボ
ニル基を表し;R7は、水素原子、ハロゲン原子、シア
ノ基、又は直鎖状あるいは分岐鎖状の炭素原子数1乃至
4のアルキル基を表し;R8は、水素原子、ハロゲン原
子、置換されていてもよいアルキルチオ基、置換されて
いてもよいヘテロ環チオ基、置換されていてもよいアリ
ールチオ基、置換されていてもよいアリールカルボニル
基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、又
は置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基を
表し;但し、R7とR8は連結して5〜7員環の炭素環を
形成してもよく、そしてnは、0〜2の整数を示す。)
【0050】防黴剤の添加方法には、各層の塗布液中に
予め防黴剤を含有させる内添法と、層を形成後にスプレ
ーなどの塗布方法で層の表面に防黴剤含有塗布液を塗布
して含有させる外添法による添加方法があり、いずれの
方法を利用してもよい。防黴剤は、各層1g当たり0.
2〜2.0ミリグラムの量を含有させることが好まし
い。防黴剤の含有量が余り多くなると、経時変化により
防黴剤が層の表面に析出したり、層の膜強度を低下させ
るなどの問題が生じやすくなり、一方、防黴剤の含有量
が余り少ないと、黴の発生を十分防止することができな
いなどの問題が生じやすくなる。
【0051】以上の記載は、本発明の光情報記録媒体と
して、CD−R型の光ディスクを例にして説明したもの
であるが、CD型の光ディスク、CD−RW型の光ディ
スク、DVD型の光ディスク、そしてDVD−R型の光
ディスクにおいても本発明に係る水性インク印字層を同
様に形成することができる。本発明の光情報記録媒体に
おける水性インク印字層は、インクジェットプリンタを
用いて印刷するのに有利であるが、用いるプリンタは特
に限定されない。例えば、以下のものを挙げることがで
きる。CP−1000X(エキスパートマグネティック
ス(株)製)、マイプリントLAB(モデルMMC−0
06−3、(株)マスターマインド製)、CD−Rカラ
ープリンターシグネチャー(CDーR color printer S
ignature、FARGO社製)
【0052】本発明の光情報記録媒体における水性イン
ク印字層には、インクジェットプリンタ以外の方法で印
刷することも可能である。例えば、熱転写型のプリンタ
を用いることによっても良好な画質で印刷が可能であ
る。CD用の熱転写型プリンタとしては、例えば、CD
プリンター(モデル CDprinterPR11、REMA
GE社製)を挙げることができる。
【0053】CD−R型の光ディスクを用いた光情報の
記録再生は、例えば、次のように行われる。CD−R型
の光ディスクの場合には、通常のCDフォーマットの場
合の1倍速(1.2〜1.4m/秒)で記録再生が可能
である共に、2倍速、4倍速、6倍速、もしくはそれ以
上の高速での記録再生も可能である。光ディスクを所定
の定線速度(CDフォーマットの場合は1.2〜1.4
m/秒)または所定の定角速度にて回転させながら、基
板側から半導体レーザ光などの記録用の光を照射する。
この光の照射により、記録層の照射部分がその光を吸収
して局所的に温度上昇し、ピットが生成してその光学特
性を変えることにより情報が記録される。記録光として
は500nm〜850nmの範囲の発振波長を有する半
導体レーザービームが用いられる。用いられるレーザー
ビームの波長は好ましくは500nm以上、800nm
以下である。CRーD型の光ディスクにおいては、77
0〜790nmの範囲の波長が適している。上記のよう
に記録された情報の再生は、光ディスクを所定の定線速
度で回転させながら半導体レーザ光を基板側から照射し
て、その反射光を検出することにより行うことができ
る。
【0054】
【実施例】以下に本発明の実施例と比較例とを記載す
る。 [実施例1]
【0055】
【化5】
【0056】上記のインドレニン系シアニン色素A2.
65gと退色防止剤B0.265gとを2,2’,3,
3’−テトラフロロー1−プロパノール100mLに溶
解し、記録層形成用塗布液を調製した。この塗布液を、
表面にスパイラル状のプレグルーブ(トラックピッチ:
1.6μm、プレグルーブ幅:520nm、プレグルー
ブの深さ:175nm)が射出成形により形成されたポ
リカーボネート基板(直径:120mm、厚さ:1.2
mm)のそのプレグルーブ側の表面に、スピンコートに
より塗布、乾燥して色素記録層(厚さ(プレグルーブ
内):100nm)を形成した。
【0057】次に、色素記録層上に、銀をスパッタし
て、膜厚約150nmの金属反射層を形成した。更に該
金属反射層上に、UV硬化性樹脂(商品名:ダイキュア
クリアSD−318、大日本インキ化学工業(株)製)
をスピンコートにより塗布した後、メタルハライドラン
プにて紫外線を照射し、硬化させ、層厚約7μmの樹脂
保護層を形成した。
【0058】このようにして得られた樹脂保護層上に、
下記の組成からなる水性インク印字層形成材料をスクリ
ーン印刷法により印刷した後、メタルハライドランプに
て紫外線を照射し、硬化させ、層厚約10μmの水性イ
ンク印字層を形成した。 (水性インク印字層形成材料の組成) アクリレートポリマー 33重量% エーテル系アクリレート 17重量% 脂環式モノマー 12重量% 光重合開始剤 4重量% 顔料(主成分:プロテイン粒子) 28重量% 補助剤 6重量%
【0059】以上の工程により、基板、色素記録層、金
属反射層、樹脂保護層及び水性インク印字層がこの順で
積層されてなる本発明に従うCD−R型の光情報記録媒
体(以下、単にCD−R)を製造した。
【0060】[比較例1]実施例1において、水性イン
ク印字層を下記の組成のものに変更した以外は同様にし
て水性インク印字層を形成し、比較用のCD−Rを製造
した。 (水性インク印字層形成材料の組成) ポリビニル系特殊アクリレート 33重量% ウレタン系オリゴマー 3重量% 脂環式モノマー 5重量% 脂肪族(鎖式)モノマー 20重量% 光重合開始剤 3重量% 補助剤 1重量% タンパク質パウダー 35重量%
【0061】[光情報記録媒体としての評価] (水性インキ印字層の特性の評価) 1。貼り付きの評価 実施例及び比較例で得られた光ディスクをそれぞれ二枚
用いて下記のような貼り付き試験を行い、貼り付きの評
価を行った。二枚の光ディスクの水性インク印字層同士
が互いに接触するように二枚の光ディスクを重ね合わ
せ、10g/cm2の圧力を付与した。そしてその状態
で、60℃、85%RH、及び80℃、85%RHの雰
囲気下にて48時間保存した。保存終了後、光ディスク
同士の間で貼り付きが生じているか否かを目視により観
察した。そして、以下の基準で貼り付きの評価を行っ
た。 「BB」:一方の光ディスクの水性インク印字層の一部が
脱離して他方の光ディスクの水性インク印字層にその付
着が見られた(貼り付きあり) 「AA」:上記のような付着が見られなかった(貼り付き
なし) 尚、高湿下で保存する場合には、結露が生じるため、所
定の温度、湿度への調節は、以下の手順で行った。
( )内の時間は、各ステップの温度、湿度に達するま
での時間を表す。
【0062】(1)60℃、85%RH 20℃、50%RH→(1時間)→25℃、40%RH
→(1時間)→60℃、40%RH→(1時間)→60
℃、85%RH→(48時間)→60℃、85%RH→
(1時間)→60℃、40%RH→(1時間)→40
℃、40%RH→(1時間)→25℃、40%RH→
(1時間)→20℃、50%RH
【0063】(2)80℃、85%RH 20℃、50%RH→(1時間)→25℃ 40%RH
→(1時間)→60℃、40%RH→(1時間)→80
℃、85%RH→(48時間)→80℃、85%RH→
(1時間)→80℃、40%RH→(1時間)→40
℃、40%RH→(1時間)→25℃、40%RH→
(1時間)→20℃、50%RH
【0064】貼り付きの評価結果を下記の表1に示す。
尚、表1には、市販されている光ディスク(市販品A、
B)についても同様に貼り付きの評価を行った。
【0065】
【表1】 表1 ───────────────────────────── 保 存 条 件 光ディス 60℃,85%RH,48時間 80℃,85%RH,48時間 ───────────────────────────── 実施例1 AA AA ───────────────────────────── 比較例1 BB(貼り付きが BB(記録層と金属反射層 見られた) との界面で剥がれた) 市販品A AA AA 市販品B AA BB (記録層と金属反射層 との界面で剥がれた) ─────────────────────────────
【0066】2。濡れ性の評価 実施例及び比較例で得られた光ディスクを用いて下記の
ような方法で水性インク印字層の濡れ性の試験を行っ
た。まず、光ディスクを25℃、50%RHの雰囲気中
に10時間保存した。そしてその雰囲気中で濡れ性の試
験を行った。濡れ性の試験は、試験液体として、水、エ
チレングリコール、及び水とエチレングリコールとの
1:1(体積比)の混合液を用いた。そして、マイクロ
ピペットを用いて各液体20μLを計量し、光ディスク
の水性インク印字層の表面に各試験液体を点着した。そ
して試験液体を点着してから10分経過後に、これらの
液体の広がりを円形近似による直径(mm)として測定
し、濡れ性の評価を行った。濡れ性の評価結果を下記の
表2に示す。尚、表2には、上記市販品A、Bについて
も同様に濡れ性の評価を行った。広がりが大きいほど
(即ち、測定した直径が大きいほど)良好な濡れ性を示
す。
【0067】
【表2】 表2 ───────────────────────────── エチレン エチレングリコール 光ディスク グリコール +水(1:1混合液) 水 ───────────────────────────── 実施例1 10mm 12mm 10mm ───────────────────────────── 比較例1 4mm 5mm 4mm 市販品A 5mm 6mm 5mm 市販品B 4mm 5mm 4mm ─────────────────────────────
【0068】表1及び表2の結果から、本発明に従う光
ディスクの場合には、高温高湿下に保存した場合でも水
性インク印字層での貼り付きが生じることはなく、ま
た、水性液を用いた濡れ性の試験においても良好な濡れ
性を示していることがわかる。一方、比較例1や市販品
Bの光ディスクの場合には、特に過酷な保存条件(80
℃、85%RHで48時間)での保存後には、色素記録
層と金属反射層との界面で剥がれが生じるほど顕著な貼
り付きが起こることがわかる。又、市販品Aの光ディス
クの場合には、高温高湿下に保存した場合でも水性イン
ク印字層での貼り付きは見られないが、濡れ性の試験で
は、十分な濡れ性が得られないことがわかる。
【0069】次に、ブックレット、セロファン、そして
不織布を用いて、貼り付き試験を上記の方法に倣って行
い、これらの対象物に対する水性インク印字層での貼り
付きの評価を行った。又、得られた光ディスクに対し
て、その水性インク印字層にインクジェットプリンタを
用いて、印字を施し、該水性インク印字層の実際のイン
クの濡れ性(滲み状態)を評価した。
【0070】1。貼り付きの評価 (1)ブックレット ブックレットは、市販のCD−ROMのプラスチックケ
ースに一般に挿まれているアート紙を用いた。又、光デ
ィスクとして、実際にインクジェットプリンタ(CP1
000X、エキスパートマグネティックス社製)を用い
て高品位モード(スーパーファイン専用紙モード)で印
字を水性インク印字層表面に施したものと、印字を施さ
なかったものとの二つを用いた。尚、印字を施した光デ
ィスクについては、インクが十分乾燥した状態で保存試
験を行う必要から、印字終了後、約12時間経過したも
のを用いた(この時点から保存を開始した)。
【0071】試験方法 上記ブックレットを光ディスクの水性インク印字層表面
に接触させた。そしてこの状態で上から10g/cm2
の圧力で加圧した。更にこの加圧状態で、60℃、85
%RHの雰囲気下にて48時間保存した。保存終了後、
光ディスクの水性インク印字層の表面に大きさ1mm以
上の紙片が貼り付いているか否かを目視で観察した。そ
して、光ディスクの水性インク印字層の表面に大きさ1
mm以上の紙片が貼り付いていた場合を「BB」とし、こ
のような貼り付きが見られなかった場合を「AA」として
貼り付きの評価を行った。尚、所定の温度、湿度への調
節は、前述の方法に従い、行った。評価結果を下記の表
3に示す。
【0072】(2)セロファン及び不織布 セロファン及び不織布は、市販のCD−ROMを収容す
るために用いられているものを利用した。又、光ディス
クも上記と同様に、印字を施したものと、施さないもの
の二つのものを用いた。 試験方法 セロファン及び不織布製の袋を用いた以外は、前述のブ
ックレットを用いて行った試験方法と同様な条件で試験
を行い、セロファン及び不織布と光ディスクの水性イン
ク印字層表面との間で貼り付きが生じているか否かを評
価した。但し、セロファン及び不織布製の袋と光ディス
クの水性インク印字層表面との間の貼り付き状態を確認
するために、これらの袋の取り出し口側が下になるよう
に袋の端を手で摘み、収容された光ディスクが落下する
か否かで判断した。袋の中の光ディスクが落下すること
なくそこに止まっていた場合には、貼り付きが生じてい
るものとして「BB」で表し、一方、袋の中の光ディスク
が落下した場合は、貼り付きが生じていないものとして
「AA」で表すことにより、貼り付き評価を行った。評価
結果を下記の表3に示す。
【0073】
【表3】 表3 ───────────────────────────── 印字の 保存条件(60℃,85%RH,48時間) 光ディスク 有無 ブックレット セロファン 不織布 ───────────────────────────── 実施例1 有り AA AA AA 無し AA AA AA ───────────────────────────── 比較例1 有り BB BB BB 無し BB BB BB 市販品A 有り AA AA AA 無し AA AA AA ─────────────────────────────
【0074】2。インクの濡れ性の評価 光ディスクの水性インク印字層に下記の三機種のインク
ジェットプリンタを用いて印字を施し、そのときのイン
クの濡れ性(滲み状態)を評価した。滲みの評価は、下
記の基準で行った。 「BB」:二色のインク(黒色と黄色)が混じり合い、色
が濁っている 「AA」:二色のインクの色の濁りが殆ど生じていない 以上の評価結果を表4に示す。 (a)CP1000X(エキスパートマグネティックス
社製) (b)マイプリントLAB(モデルMMC−006−
3、(株)マスターマインド製) (c)CD−Rカラープリンターシグネチャー(CD−
R color printer Signature、FARGO社製) スーパーファイン専用紙モード 普通紙モード
【0075】
【表4】 表4 ───────────────────────────── 印 刷 条 件 光ディスク(a)−(a)−(b)−(c)− ───────────────────────────── 実施例1 AA AA AA AA ───────────────────────────── 比較例1 AA BB AA AA 市販品A AA AA BB BB ─────────────────────────────
【0076】表3及び4の結果から、本発明で規定され
るような表面特性を持つ水性インク印字層を備えた光デ
ィスク(実施例1)の場合には、ブックレットなどとの
貼り付きが生じることがなく、またインクジェットプリ
ンタによる印字を行った場合にもインクの滲みが殆ど生
じることなく、良好な画質で印字を行うことができるこ
とがわかる。一方、比較例1の光ディスクの場合には、
ブックレットなどとの貼り付きが生じ、又市販品Aの光
ディスクの場合には、特にインクジェットプリンタによ
る印字で滲みが生じやすいことがわかる。
【0077】[実施例2]上記実施例1で用いたインド
レニン系シアニン色素A2.65gを2,2,3,3−
テトラフロロペンタノール100mLに溶解し、記録層
形成用塗布液を調製した。この塗布液を、表面にスパイ
ラル状のプレグルーブ(トラックピッチ:1.6μm、
プレグルーブ幅:520nm、プレグルーブの深さ:1
75nm)が射出成形により形成されたポリカーボネー
ト基板(直径:120mm、厚さ:1.2mm)のその
プレグルーブ側の表面に、スピンコートにより塗布、乾
燥して色素記録層(厚さ(プレグルーブ内):100n
m)を形成した。
【0078】次に、色素記録層上に、銀をスパッタし
て、膜厚約150nmの金属反射層を形成した。更に該
金属反射層上に、UV硬化性樹脂(商品名:ダイキュア
クリアSD−318、大日本インキ化学工業(株)製)
をスピンコートにより塗布した後、メタルハライドラン
プにて紫外線を照射し、硬化させ、層厚約9μmの樹脂
保護層を形成した。
【0079】得られた樹脂保護層上に、アクリレートモ
ノマー、プレポリマー、光重合開始剤、及び顔料(主成
分:硫化亜鉛)からなる着色隠蔽層形成材料をスクリー
ン印刷法(350メッシュ)により印刷した後、メタル
ハライドランプにて紫外線を照射し、硬化させ、層厚約
8.5μmの着色隠蔽層を形成した。
【0080】更に得られた着色隠蔽層上に、下記の組成
からなる水性インク印字層形成材料をスクリーン印刷法
(200メッシュ)により印刷した後、メタルハライド
ランプにて紫外線を照射し、硬化させ、層厚約15μm
の水性インク印字層を形成した。 (水性インク印字層形成材料の組成) アクリレートポリマー 33重量% エーテル系アクリレート 17重量% 脂環式モノマー 12重量% 光重合開始剤 4重量% 顔料(主成分:プロテイン粒子) 28重量% 補助剤 6重量%
【0081】以上の工程により、基板、色素記録層、金
属反射層、樹脂保護層、着色隠蔽層及び水性インク印字
層がこの順で積層されてなる本発明に従うCD−Rを製
造した。
【0082】[実施例3]実施例2において、着色隠蔽
層を、アクリレートモノマー、プレポリマー、光重合開
始剤、及び顔料(主成分:二酸化チタン及びタルク)か
らなる組成の着色隠蔽層に変更した以外は同様にして、
本発明に従うCD−Rを製造した。
【0083】[インクジェットプリンタによる水性イン
クの滲みの評価]実施例2及び3の光ディスクの水性イ
ンク印字層に下記のインクジェットプリンタを用いて印
字し、水性インクの滲みの評価を行った。インクの滲み
の評価は、25℃、50%RHの雰囲気下にて黒色イン
クを用いて幅1cmの直線を印刷し、印刷直後の直線の
幅方向へのインクの滲み(インクの広がり)を測定(m
m)することにより、行った。その評価結果を表5に示
す。
【0084】(a)CP1000X(エキスパートマグ
ネティックス社製) (b)マイプリントLAB(モデルMMC−006−
3、(株)マスターマインド製) (c)CD−Rカラープリンターシグネチャー(CD−
R color printer Signature、FARGO社製) スーパーファイン専用紙モード 普通紙モード
【0085】
【表5】 表5 ──────────────────────────── 印 刷 条 件 (a)−(a)− (b)− (c)− ───────────────────────────── 実施例2 0 0 0 0 実施例3 0 0 0 0.1 ─────────────────────────────
【0086】表5の結果から、水性インク印字層の下面
に着色隠蔽層を設けた場合でもインクの滲みが余り生じ
ることがなく、特に、硫化亜鉛含有着色隠蔽層を設けた
場合には、滲みが殆ど確認されない程良好な画質でイン
クジェットプリンタによる印字を行うことができること
がわかる。
【0087】
【発明の効果】本発明の光情報記録媒体は、特にインク
ジェットプリンタに適した表面特性を有する水性インク
印字層が設けられているため、インクの滲みが殆ど生じ
ることなく良好な画質で印字が可能であり、かつ該水性
インク印字層は、このような比較的親水性の高い表面特
性を備えているにも拘わらず、ブックレットなどとの貼
り付きも殆ど生じることがない。従って、貼り付きに伴
う故障を防ぐことができ、良好な取扱い性を確保でき
る。また、水性インク印字層の下面に着色隠蔽層を設け
た場合でもインクの滲みの変化は殆ど見られず、良好な
画質で印字を行うことができる。そして、この着色隠蔽
層によって金属光沢が隠蔽されるために、インクの色再
現性が確保されやすく、インク本来の色相で印字が可能
になる。更に、水性インク印字層に水滴などが付着して
シミ(痕跡)が生じた場合にも着色隠蔽層によってその
シミを目立ちにくくすることができるため、品質の低下
も回避することができる。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な円盤状基板の上に一もしくは二以
    上のレーザ光の照射による情報の記録もしくは再生が可
    能な記録層が形成され、該記録層の上方に水性インク印
    字層が形成されてなる光情報記録媒体であって、該水性
    インク印字層が下記の特性を示すものであることを特徴
    とする光情報記録媒体: (1)当該光情報記録媒体を25℃、50%RHの雰囲
    気中に10時間保存したのち、その雰囲気中にて、水性
    インク印字層の表面に、水とエチレングリコールとの体
    積比1:1の混合液を20μLの量にて、マイクロピペ
    ットを用いて点着し、点着時から10分間経過後に水性
    インク印字層の表面での該混合液の広がりを測定した場
    合、その広がりが、円形近似による直径として8mm以
    上となること、そして(2)二枚の同一の光情報記録媒
    体を、それぞれの水性インク印字層の表面が互いに接触
    するように重ね合わせ、10g/cm2の圧力を付与し
    ながら、80℃、85%RHの雰囲気中にて、48時間
    保存したのち、一方の光情報記録媒体から他方の光情報
    記録媒体を引き剥がした場合に、光情報記録媒体の水性
    インク印字層の破壊もしくは脱離が発生しないこと。
  2. 【請求項2】 当該光情報記録媒体を25℃、50%R
    Hの雰囲気中に10時間保存したのち、その雰囲気中に
    て、水性インク印字層の表面に、水及びエチレングリコ
    ールを別々に20μLの量にて、マイクロピペットを用
    いて点着し、点着時から10分間経過後に水性インク印
    字層の表面での水及びエチレングリコールの広がりを測
    定した場合、その広がりが、円形近似による直径とし
    て、いずれも7mm以上となる特性を更に有することを
    特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 水性インク印字層が、紫外線硬化樹脂及
    び顔料を含む樹脂組成物の硬化層であることを特徴とす
    る請求項1又は2に記載の光情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 水性インク印字層が、5〜20μmの範
    囲の層厚を有することを特徴とする請求項1乃至3の内
    のいずれかの項に記載の光情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 記録層が色素記録層であり、水性インク
    印字層が、色素記録層の上に金属反射層、及び樹脂保護
    層を介在させて設けられていることを特徴とする請求項
    1乃至4の内のいずれかの項に記載のCD−R型の光情
    報記録媒体。
  6. 【請求項6】 記録層の上に更に金属反射層が形成され
    ており、該金属反射層の上方に着色隠蔽層を介在させて
    水性インク印字層が設けられていることを特徴とする請
    求項1乃至4の内のいずれかの項に記載の光情報記録媒
    体。
  7. 【請求項7】 着色隠蔽層が硫化亜鉛粒子を含むことを
    特徴とする請求項6に記載の光情報記録媒体。
  8. 【請求項8】 着色隠蔽層の厚みが、8.0〜11.5
    μmの範囲にあることを特徴とする請求項6又は7に記
    載の光情報記録媒体。
  9. 【請求項9】 水性インク印字層の厚みが、着色隠蔽層
    の厚みより厚いことを特徴とする請求項6乃至8の内の
    いずれかの項に記載の光情報記録媒体。
  10. 【請求項10】 記録層が色素記録層であることを特徴
    とする請求項6乃至9の内のいずれかの項に記載のCD
    −R型の光情報記録媒体。
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