JP2000241437A - 走査型プローブ顕微鏡の探針良否判定装置 - Google Patents

走査型プローブ顕微鏡の探針良否判定装置

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JP2000241437A
JP2000241437A JP11046488A JP4648899A JP2000241437A JP 2000241437 A JP2000241437 A JP 2000241437A JP 11046488 A JP11046488 A JP 11046488A JP 4648899 A JP4648899 A JP 4648899A JP 2000241437 A JP2000241437 A JP 2000241437A
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JP11046488A
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Takashi Morimoto
高史 森本
Takeshi Murayama
健 村山
Hiroshi Kuroda
浩史 黒田
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Hitachi Construction Machinery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 探針良否の判定を測定者の経験・主観に依存
せず、定量的に、客観的に、容易に行える走査型プロー
ブ顕微鏡の探針良否判定装置を提供する。 【解決手段】 探針15を自由端に有するカンチレバー
16と、探針15と試料11の間の距離を変えるZ軸圧
電素子14bを備える走査型プローブ顕微鏡に適用さ
れ、Z軸圧電素子を伸ばして、離れた位置にある探針と
試料を近付け、接触させ、さらに押付け、その後にZ軸
圧電素子を縮めて探針と試料を引き離す制御部31と、
この制御部によって探針と試料の間の距離が変化すると
きにカンチレバーの変位量を表す信号とZ軸圧電素子の
動作を制御する信号を入力してフォーカスカーブを測定
し、フォーカスカーブから得られる探針の試料表面によ
る吸着力を検出して探針の良否を判定する探針良否判定
部32とを備えて成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、微細な対象物を測
定し観察するのに適した走査型プローブ顕微鏡に使用さ
れ、走査型プローブ顕微鏡で使用される探針の先端の良
否を判定して、測定に使用される探針の先端を好ましい
鋭さに保つことにより、常に良好な画像の作成・表示を
可能にする探針良否判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】走査型プローブ顕微鏡には具体的に例え
ば走査型原子間力顕微鏡や走査型トンネル顕微鏡などが
ある。走査型プローブ顕微鏡に関して例えば原子間力顕
微鏡で測定対象物を観察するときには、先端が非常に鋭
い形態を有する探針を測定対象物の表面に原子レベルの
極めて微小な距離にて接近させ、探針と測定対象物の表
面との距離を一定に保って当該表面に沿って探針を移動
させ、探針を表面に沿ってなぞらせるとき探針の位置を
変化させるために用いた制御信号を利用して、表面の凹
凸形状に関する情報を得る。探針の先端と測定対象物の
表面との間に作用する原子間力を利用して測定対象物の
表面の凹凸形状を測定するため、探針の最先端の箇所と
試料の表面との間に原子間力を安定して発生させる必要
があり、それ故に探針の先端は良好な鋭さ(尖鋭度)を
有することが必要である。探針の先端が鋭いほど分解能
の高い測定を行うことができる。また走査型プローブ顕
微鏡による測定を繰返すと、探針の先端が試料表面に接
触する等の原因で摩耗して鋭さが鈍くなり、分解能が低
下する。このような場合には、適宜なタイミングで探針
の良否を判定し、不良な場合には交換することが必要と
なる。以上の理由により、走査型プローブ顕微鏡で探針
の先端の良否の判定することは、走査型プローブ顕微鏡
による測定作業において重要な作業要素である。従来の
走査型プローブ顕微鏡の探針先端の良否判定には、測定
を行って画像を作成・表示し、表示された画像を見て、
その画像状況、例えば画像の鮮明度の程度に基づいて、
測定者が経験に基づいて判断するのが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の探針先端の良否
判定の方法は、測定者の経験に基づいて判断する方法で
あり、測定者の主観に依存する判定方法であった。また
主観的な判定であるために、熟練を必要とし、判定の定
量化が難しく、客観的に判定を行うことができないとい
う問題があった。
【0004】本発明の目的は、上記問題を解決すること
にあり、測定者の経験・主観に依存せず、探針良否の判
定を定量的にかつ客観的に、さらに容易に行える走査型
プローブ顕微鏡の探針良否判定装置を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段および作用】本発明に係る
走査型プローブ顕微鏡の探針良否判定装置は、上記目的
を達成するために次のように構成される。本発明に係る
探針良否判定装置は、少なくとも、探針を自由端に有す
るカンチレバーと、探針と試料の間の距離を変える微動
素子を備える走査型プローブ顕微鏡に適用される。先端
の自由端に探針を備えたカンチレバーは、試料の上側に
探針が試料の表面に臨むように配置され、残りの端部は
固定されている。探針を備えた端部は、試料表面との相
互作用に基づいて変位が生じる状態にあり、例えば原子
間力顕微鏡では探針と試料の間で作用する原子間力を受
けて変位が生じる。そのとき、カンチレバーではたわみ
変形が生じる。かかるカンチレバーに対しては、よく知
られるごとく、カンチレバーに生じる微小なたわみ量
(変位量)を検出することが可能な検出装置が設けられ
ている。この検出装置には、光てこ式位置検出装置のご
とき種々の方式がのものがある。探針と試料の間の距離
は、装置構成上、自由に変更できるようになっている。
そのため、例えば試料の位置を変化させるための微動素
子が設けられている。試料側にトライポッドのごとき微
動機構が設けられているときには、当該微動素子はZ軸
圧電素子である。かかる微動素子は、試料側に設けても
よいし、カンチレバー側に設けてもよい。次に本発明に
係る探針良否判定装置は、走査型プローブ顕微鏡に設け
られた探針の良否、すなわち探針の先端の鋭さ(尖鋭
度)の良否を判定装置であり、本発明では、探針が試料
に接触して離れるとき、試料の表面に形成されている表
面吸着層が原因で生じるフォーカスカーブ特性を利用し
て探針の先端の鋭さの良否判定を行うようにする。フォ
ーカスカーブは、試料表面に対して探針を近付け、接触
させ、押付け、その後に引き離す時に、探針に当該動作
を行わせる制御信号と、探針の当該動作に伴って上記検
出装置から出力される変位信号との関係に関連して測定
される。探針が試料の表面吸着層から離れるときには、
探針の先端の鋭さに依存する吸着力が作用する。上記フ
ォーカスカーブから当該吸着力の値を取り出すことがで
きるので、この吸着力の値を得ることによって反対に探
針の先端の鋭さの良否、すなわち、探針の良否を判断す
ることができる。そこで、良否探針良否判定装置は、微
動素子を伸ばして、離れた位置にある探針と試料を近付
け、接触させ、さらに押付け、その後に微動素子を縮め
て探針と試料を引き離す制御手段と、この制御手段によ
って探針と試料の間の距離が変化するときにカンチレバ
ーの変位量を表す信号と微動素子の動作を制御する信号
を入力してフォーカスカーブを測定し、このフォーカス
カーブから得られる探針の試料表面による吸着力を検出
して記探針の良否を判定する探針良否判定手段とから構
成される。
【0006】上記の構成において、上記探針良否判定手
段は、より具体的に、カンチレバーの変位量を表す信号
と微動素子の動作を制御する信号を入力してフォーカス
カーブを測定するフォーカスカーブ測定手段と、このフ
ォーカスカーブ測定手段で得られたフォーカスカーブか
ら吸着力を検出する吸着力検出手段と、基準値設定手段
と、吸着力検出手段で検出された吸着力と基準値設定手
段で設定された基準値とを比較して探針の良否を判定す
る比較手段とから構成される。
【0007】また上記の構成において、好ましくは、未
使用の探針のフォーカスカーブを測定し検出された未使
用のときの吸着力のデータを記憶する記憶部を備え、使
用後の当該探針の良否を判定するとき、基準値として記
憶部に記憶された未使用のときの吸着力のデータが使用
されることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施形態
を添付図面に基づいて説明する。
【0009】図1と図2は本発明の代表的な実施形態を
示し、図1は本発明に係る探針良否判定装置を備えた走
査型プローブ顕微鏡の要部構成を示すブロック図であ
り、図2は探針の良否判定を行うための原理を説明する
図である。この実施形態では、走査型プローブ顕微鏡の
代表例として原子間力顕微鏡について説明する。
【0010】本実施形態による原子間力顕微鏡(AF
M)は一例としてカンチレバーを備えたものであり、例
えばコンタクトモードの原子間力顕微鏡の例である。ま
たカンチレバーのたわみ変形によって生じるカンチレバ
ーあるいは探針の図1中の垂直方向あるいは高さ方向の
変位量は、一般的にいわゆる光てこ式光学検出装置を利
用して検出される。
【0011】図1で、試料11は、トライポッド12を
利用して構成された試料台13の上に載置されている。
トライポッド12は、試料台13を、図1中水平面(X
Y平面とする)に含まれる方向および当該水平面に垂直
な方向(Z方向または高さ方向)に微小な距離だけ移動
させる微動機構としての機能を有している。従って試料
台13の上の試料11も、トライポッド12によって3
次元の方向に微動させられる。トライポッド12は、試
料台13を支持する直交するXYZの3軸方向の圧電素
子、すなわちX軸圧電素子14aとY軸圧電素子(図中
紙面に垂直であり、図示しづらいので、図示を省略す
る)とZ軸圧電素子14bを備えて構成される。トライ
ポッド12は、XY方向の走査動作と、探針・試料間
(またはカンチレバー・試料間)の距離を制御するZ軸
方向の動作とを行うための3次元アクチュエータであ
る。上記のX軸圧電素子とY軸圧電素子を走査移動用ア
クチュエータといい、Z軸圧電素子を高さ調整用アクチ
ュエータという。この実施形態では微動機構であるトラ
イポッド12は試料側に設けられているが、この種の微
動機構は探針側に設けることもできる。
【0012】試料11の上側にはカンチレバー16が配
置され、カンチレバー16の先端には、試料11の表面
に対向するように配置される探針15が備えられる。カ
ンチレバー16は、その基端を固定されているが、カン
チレバー16を固定するための機構は、本発明の要旨と
の関係で重要ではないので、その図示が省略されてい
る。カンチレバー16の上方にはレーザ光源17と光検
出器18からなる光てこ式光学検出装置が配置される。
レーザ光源17から出射されたレーザ光17aはカンチ
レバー16の背面で反射され、光検出器18に入射す
る。光てこ式光学検出装置は、カンチレバー16のたわ
み状態を量的に検出することにより、探針15の変位を
検出する作用を有している。探針と試料表面の間に生じ
る物理的作用に基づいて探針15が変位すると、カンチ
レバー16がたわみ、そのたわみ量に依存して光検出器
18の受光面におけるレーザ光17aの入射スポットの
位置が変化し、これにより最終的にもともとの原因であ
る探針の変位を電気信号的に取り出すことができる。す
なわち光検出器18の出力信号をモニタすることによ
り、探針15の変位量を求めることが可能となる。試料
11の表面と探針15との間で作用する物理量としては
原子間力顕微鏡では原子間力であり、当該原子間力に応
じて探針15の位置が変化し、さらにカンチレバー16
がたわみ変形することにより、カンチレバー16で生じ
る変形量は前述の通り光てこ式光学検出装置により計測
され、取り出される。
【0013】次に測定用の制御系の構成と測定に関する
動作を説明する。図1において、試料11の表面の凹凸
等の形状を測定するときには、まず最初、探針15を、
周知の接近・退避機構(図示せず)により試料11に対
し原子間力が作用する領域まで接近させる。通常、接近
・退避機構はカンチレバー16の側に設けられ、カンチ
レバー16は接近・退避機構に固定されている。探針1
5と試料16が原子のレベルの距離で接近したとき、探
針15が試料の表面から原子間力を受け、カンチレバー
16にたわみ変形が生じる。カンチレバー16はかかる
微弱な原子間力でたわむ程度の非常に柔らかい材料を利
用している。通常、半導体の薄膜作製技術を利用して作
られる。
【0014】光てこ式光学検出装置により検出されたカ
ンチレバー16の変位量(すなわち探針15の変位量)
は、光検出器18から変位信号s1として取り出され
る。次に減算器19では、予め基準値として設定された
設定値s0と上記変位信号s1の差が偏差信号Δsとし
て演算され、当該偏差信号Δsは制御回路20に供給さ
れる。制御回路20はトライポッド12のZ軸方向の動
作すなわちZ軸圧電素子14bを制御するコントローラ
であり、減算器19から出力される上記偏差信号Δsが
0になるように、制御信号s2を生成し出力する。制御
回路20から出力される制御信号s2は、カンチレバー
16のたわみ変形による変位量を常に設定値s0に一致
するように制御するためのものであり、探針15を試料
11の表面に対し一定の力で押付けられた状態に保つた
めZ軸圧電素子14bの伸び動作すなわち探針15の変
位を制御する駆動制御信号である。制御信号s2は、直
接的にZ軸圧電素子14bに与えられる。
【0015】上記実施形態に関する構成は、既に述べた
通りコンタクトモードの原子間力顕微鏡であるので、探
針15が試料表面に押付けられるように設定されたが、
コンタクトモード以外の場合には、探針は試料表面から
一定距離あけて位置決めされる。以上のように試料の測
定を行う際のZ軸圧電素子14bの動作に関して、探針
と試料の間の位置関係を最初に設定した一定の位置関係
に保持するためのフィードバック制御系が構成される。
【0016】上記のようにコンタクトモードの原子間力
顕微鏡による試料11の表面の測定/観察によれば、試
料表面に対する探針15の押付け力を一定にする制御を
行いながら、XY走査回路21によりトライポッド12
のX軸圧電素子およびY軸圧電素子を駆動して試料11
をXY方向へ移動させ試料11の表面を探針15で走査
する。この結果、Z軸方向の制御信号は試料11の表面
の凹凸形状に応じて変化する。
【0017】Z軸圧電素子14bに与えられる制御信号
s2は信号処理装置22に与えられる。信号処理装置2
2では、当該差信号s2とXY走査回路21の出力信号
とに基づいて画像信号を生成し、この画像信号に基づい
て試料11の表面の凹凸情報を表示装置23に表示す
る。
【0018】上記の実施形態はコンタクトモードの原子
間力顕微鏡に関するものであったが、ノンコンタクトモ
ードやタッピングモードの原子間力顕微鏡であっても同
様に構成される。
【0019】上記の構成において、本実施形態による原
子間力顕微鏡では、さらに探針の良否を判定するための
装置が付設される。当該探針良否判定装置は、探針と試
料の間で所定の相対的動作を行わせるための制御部31
と、その動作に伴って得られるデータから探針の良否を
判定する探針良否判定部32から構成される。制御部3
1は、Z軸圧電素子14bに対して所定の動作を行わせ
る制御信号s2を出力する。この所定の動作は、フォー
カスカーブ測定を行うための動作であり、相対的な位置
関係として、試料の表面に探針を接近させ、接触させ、
押付け、その後に、試料の表面から探針を引き離すとい
う動作である。また探針良否判定部32は、フォーカス
カーブ測定部33と吸着力検出部34と比較部35と基
準値設定部36から構成されている。フォーカスカーブ
測定部33は、制御部31によって前述の所定の動作が
行われたとき、そのときの変位信号s1と制御信号s2
を入力し、これらの信号s1,s2に基づきフォーカス
カーブを作成し、フォーカスカーブの測定を行う。吸着
力検出部34は、得られたフォーカスカーブから試料1
1の表面における表面吸着層による探針への吸着力を検
出する。ファーカスカーブの測定と吸着力の検出につい
ては後で詳細に説明される。吸着力検出部34で検出さ
れた吸着力のデータは比較部35に供給され、比較部3
5では、検出された吸着力と基準値設定部36から与え
られる基準値と比較する。探針の先端が鋭いほど生じる
吸着力は小さくなり、従って上記吸着力を検出し、吸着
力の大小を判断することによって逆に探針の鋭さを判定
することができる。そこで、試料測定の使用に許容でき
る探針の先端の鋭さの基準として上記基準値を設定して
おき、この基準値をしきい値として用い、検出された吸
着力と比較することで、使用された探針の良否を判定す
ることが可能となる。
【0020】上記の制御部31と探針良否判定部32を
有する原子間力顕微鏡において、試料11の表面の凹凸
形状を測定する探針15の先端の鋭さの良否を判定する
ための原理について詳述する。
【0021】最初に、探針15を試料11の表面に両者
の間で原子間力が生じる程度の距離に接近させる。探針
15と試料11とが上記のような接近した位置関係に保
持された状態において、制御部31から与えられる制御
信号s2に基づいてトライポッド12のZ軸圧電素子1
4bを伸縮動作させて探針15と試料11の間の距離
(相対的な位置関係)を変化させる。探針15と試料1
1の間の距離が変化すると、探針15に加わる力が変化
し、カンチレバー16のたわみ量が変化する。カンチレ
バー16のたわみ量の変化は変位信号s1として検出さ
れる。Z軸圧電素子14bを伸縮動作させるための上記
制御信号s2と、Z軸圧電素子14bの伸縮動作に基づ
くカンチレバー16のたわみ量を表す上記変位信号s1
との関係を示すと、図2に示すごとくなる。図2におい
て、横軸は制御信号s2を示し、換言すれば探針・試料
間の距離を意味しており、縦軸は変位信号s1を示し、
換言すればカンチレバー16の変位量(たわみ量)すな
わち探針・試料間の力を意味している。従って、横軸の
制御信号s2と縦軸の変位信号s1の関係は、探針・試
料間の距離と探針・試料間の力との関係を示している。
【0022】図2における探針・試料間の距離を表す横
軸において、正側(右側)が探針と試料が離れている状
態、縦軸と交わる原点位置がちょうど探針の先端と試料
とが接触した状態、負側(左側)が探針の先端を試料に
対して押し込んだ状態をそれぞれ示している。探針の先
端を試料に対して押し込んだ状態は、図1において、カ
ンチレバー16が上向きに反った状態を示している。カ
ンチレバー16の変位量に対してカンチレバーのバネ定
数を掛けると、カンチレバーに加わる力を算出できるの
で、縦軸は前述のごとく探針・試料間に作用する力を表
す。縦軸において、正側が斥力、負側が引力を意味して
いる。
【0023】ここで、試料11の表面に探針15を接近
させ、離れるときに生じる探針15の吸着力を説明す
る。通常、試料11の表面には水などによる薄い表面吸
着層が存在しており、探針15が微小な距離で試料表面
に接近すると、探針15はこの表面吸着層に突然に引き
込まれ、吸着される。また探針15を試料11の表面か
ら引き離すとき、探針15は表面吸着層に引っ張られて
直ぐには離れず、カンチレバー16にたわみ変形が生じ
る。たわみ変形が所定量まで変形すると、その後、表面
吸着層から解放され、探針15は試料11から離れるこ
とになる。探針15が試料11から離れるときに生じる
上記の現象、すなわち探針に加わる吸着力は、探針の先
端の形状に依存し、探針の先端が鋭いほど探針にかかる
吸着力は小さくなる。従って、以上の吸着力の特性を検
出することによって探針15の先端の鋭さを推定するこ
とができる。
【0024】一方、図2に示された特性41は、探針1
5を試料11に接近させた後に、試料から離すときに探
針・試料間の距離(横軸)と探針・試料間の力(縦軸)
の関係を示す特性であるので、上記吸着力に関して測定
された特性である。図2に示した特性41について説明
する。最初、探針15の先端は試料11の表面から離れ
た状態(の状態)にあり、この状態からトライポッド
12のZ軸圧電素子14bを伸ばすように動作させる。
探針15と試料11の間の距離は0になるように小さく
なっていく。の状態では探針15に作用する力は0で
あり、探針15に作用する力は、の位置まで0の状態
に保持され、変化しない。の位置からさらに探針15
と試料11の距離を近づけると、すなわち、Z軸圧電素
子14bの伸ばすように動作させると、探針15は試料
11から斥力を受け、カンチレバー16がたわむ。その
結果、の状態になる。次に、その状態からZ軸圧電素
子14bを縮めるように動作させると、探針と試料の間
の力は次第に小さくなり、の位置に戻した段階で探針
・試料間の力は0になる。さらにこの状態からZ軸圧電
素子14bを縮めると、探針15と試料11の間の距離
は徐々に大きくなるが、探針15の先端が表面吸着層に
吸着されているため、探針は試料から即座に離れること
ができず、カンチレバー16に引力がかかる。カンチレ
バー16は引力によって下方にたわみを生じる。その
後、カンチレバー16の復元力が試料表面の表面吸着層
の吸着力よりも大きくなると、その時点で探針15は試
料11の表面の吸着層から解放され、その結果、探針・
試料間の力は0になる。上記の過程において、探針15
が試料11の表面吸着層から解放される時点の引力aが
吸着力となる。以上の過程を表す特性41は前述したフ
ォーカスカーブと呼ばれるものであり、このフォーカス
カーブを求める測定がフォーカスカーブ測定と呼ばれて
いる。かかるフォーカスカーブ測定を行うと、前述のご
とく、探針に対する試料の吸着力を引力aとして検出す
ることができる。
【0025】前述の探針良否判定部32は、上述した原
理に基づいて、探針15の先端の鋭さの良否を判定す
る。すなわち、例えば基準サンプルとして用意された試
料11に対して、良否判定を行うべき探針15を接近さ
せ、変位信号s1と制御信号s2を入力するフォーカス
カーブ測定部33で前述のフォーカスカーブ測定を行
い、その結果を利用して吸着力検出部34でその時の表
面吸着層による吸着力を検出し、得られた吸着力を比較
部35で基準値と比較し、その判定信号において、基準
値以下の場合には良好という判定信号が出力され、基準
値よりも大きい場合には不良という判定信号が出力され
る。
【0026】前述の実施形態ではフォーカスカーブ測定
を行って探針15に加わる吸着力を求める場合の例を説
明したが、測定の動作としては図2に示す特性41を生
じるべくZ軸圧電素子14bを伸縮動作させるだけでよ
く、簡単に探針15にかかる吸着力を検出でき、この吸
着力に基づいて探針の先端の鋭さに関する良否を判定す
ることができる。
【0027】また前述の実施形態では吸着力検出部34
で吸着力を検出した後に比較部35で直ぐに良否を判定
したが、記憶部を付設する構成を採用し、カンチレバー
交換直後の未使用の探針に対する試料の吸着力を測定
し、吸着力検出部34で検出した吸着力のデータを記憶
部に保存するようにし、その後、試料測定を行った後に
適時にフォーカスカーブ測定を行って吸着力を検出し、
この吸着力を、記憶部に保存された上記の吸着力と比較
して、探針の先端の良否を判定するように構成すること
もできる。このことは、探針の先端の鋭さは製作に起因
してばらつきがあり、そのため、未使用の探針であって
も試料から受ける吸着力にばらつきが生じること、およ
び探針に対する試料の吸着力も試料や環境に依存して異
なることから、カンチレバー交換直後の未使用の探針に
関して吸着力の測定を行い、測定データを記憶し、試料
観察を行った後に、必要に応じて再度探針に関して吸着
力を検出し、記憶部に記憶した吸着力と、その後の吸着
力とを比較することにより、未使用時からの探針の先端
の鋭さの変化を知ることが可能となる。この場合には、
最初に未使用状態の探針に関して検出された吸着力の値
が、前述の基準値設定部36に設定された基準値に代わ
るものとして使用される。より具体的に述べると、基準
値として用いられる未使用時の探針の吸着力は、或る係
数を掛けて使用し、観察を行った後の測定で得られた吸
着力が、当該値よりも大きくなったときに探針不良とい
う判定が行われる。
【0028】また探針の良否判定の他の仕方として、探
針先端の鋭さと探針に対する試料の吸着力との関係を示
すテーブルまたは関数関係を予め求めおき、探針の吸着
力を前述の手法で得た後、上記テーブル等を用いて求め
た吸着力に対応する探針先端の鋭さを求め、得られた探
針先端の鋭さに基づいて直接的に探針の良否を判定する
ように構成することもできる。
【0029】前述の実施形態では、原子間力顕微鏡につ
いて説明したが、他の形式の走査型プローブ顕微鏡に本
発明に係る探針良否判定装置を設けることができるのは
勿論である。
【0030】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明によ
れば、試料表面に対して探針を近付け接触させ、その後
引き離したときに生じるフォーカスカーブ特性を利用
し、試料の表面吸着層による探針の吸着力を調べること
によって、探針の先端の鋭さの程度を調べ、探針の良否
を判定するようにしたため、測定者の主観に依存せず、
定量的かつ客観的に探針の良否を判定することができ
る。また探針の良否の判定を自動的に行えるようにした
ため、容易かつ迅速に探針良否の判定を行うことができ
る。さらに、未使用の状態の探針に関する試料表面の吸
着層による吸着力を予め測定して得て、記憶部に保存し
ておき、試料観察を行ってその後の探針良否判定を行う
とき、比較用の基準値として、保存した未使用のときの
吸着力のデータを用いるように構成することもできる。
この構成によれば、探針製作に起因する探針先端の鋭さ
のばらつき、試料から受ける吸着力のばらつき、および
探針に対する試料の吸着力の試料や環境に依存したばら
つきに起因する探針良否判定の不具合を解消をすること
ができ、未使用時からの探針の先端の鋭さの変化を正し
く知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る走査型プローブ顕微鏡の探針良否
判定装置の代表的な実施形態を示すブロック図である。
【図2】フォーカスカーブ測定と表面吸着層による吸着
力を説明する図である。
【符号の説明】
11 試料 12 トライポッド 14a X軸圧電素子 14b Z軸圧電素子 15 探針 16 カンチレバー 17 レーザ光源 18 光検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 黒田 浩史 茨城県土浦市神立町650番地 日立建機株 式会社土浦工場内 Fターム(参考) 2F069 AA60 DD25 DD30 GG02 GG04 GG06 GG07 GG62 GG72 GG74 HH04 HH09 HH30 JJ07 LL03 LL10 MM21 MM32

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 探針を自由端に有するカンチレバーと、
    前記探針と試料の間の距離を変える微動素子を備える走
    査型プローブ顕微鏡において、 前記微動素子を伸ばして、離れた位置にある前記探針と
    前記試料を近付け、接触させ、さらに押付け、その後に
    前記微動素子を縮めて前記探針と前記試料を引き離す制
    御手段と、 前記制御手段によって前記探針と前記試料の間の距離が
    変化するときに前記カンチレバーの変位量を表す信号と
    前記微動素子の動作を制御する信号を入力してフォーカ
    スカーブを測定し、このフォーカスカーブから得られる
    探針の試料表面による吸着力を検出して前記探針の良否
    を判定する探針良否判定手段と、 を備えることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡の探針
    良否判定装置。
  2. 【請求項2】 前記探針良否判定手段は、前記カンチレ
    バーの変位量を表す信号と前記微動素子の動作を制御す
    る信号を入力してフォーカスカーブを測定するフォーカ
    スカーブ測定手段と、このフォーカスカーブ測定手段で
    得られたフォーカスカーブから前記吸着力を検出する吸
    着力検出手段と、基準値設定手段と、前記吸着力検出手
    段で検出された前記吸着力と前記基準値設定手段で設定
    された基準値とを比較して探針の良否を判定する比較手
    段とからなることを特徴とする請求項1記載の走査型プ
    ローブ顕微鏡の探針良否判定装置。
  3. 【請求項3】 未使用の探針のフォーカスカーブを測定
    し検出された未使用のときの吸着力のデータを記憶する
    記憶部を備え、使用後の前記探針の良否を判定するとき
    前記基準値として前記記憶部に記憶された未使用のとき
    の前記吸着力のデータが使用されることを特徴とする請
    求項2記載の走査型プローブ顕微鏡の探針良否判定装
    置。
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