JP2000240856A - ゴム補強用ポリアミド繊維の製造方法およびゴムホース - Google Patents

ゴム補強用ポリアミド繊維の製造方法およびゴムホース

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JP2000240856A
JP2000240856A JP4388699A JP4388699A JP2000240856A JP 2000240856 A JP2000240856 A JP 2000240856A JP 4388699 A JP4388699 A JP 4388699A JP 4388699 A JP4388699 A JP 4388699A JP 2000240856 A JP2000240856 A JP 2000240856A
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polyamide fiber
fiber
hose
heat treatment
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Yasumi Kanda
やすみ 神田
Masaharu Taniguchi
雅春 谷口
Tomoharu Kumaki
智春 久間木
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】繊維に処理剤を付与し乾熱処理した後さらに湿
熱処理した際の繊維とゴムとの接着力が優れたゴム補強
用ポリアミド繊維およびこのポリアミド繊維で補強され
てなるゴムと補強繊維との接着性がすぐれると共に外観
形状が良好なゴムホースを提供する。 【解決手段】ノボラック型レゾルシン・ホルマリン樹脂
とゴムラテックスとの混合物を主たる構成成分とし、さ
らに特定構造のクロロフェノール化合物を含有する処理
剤組成物をポリアミド繊維に付与し、乾熱処理を施した
後、さらに湿熱処理を施すことを特徴とするゴム補強用
ポリアミド繊維の製造方法。上記ゴム補強用ポリアミド
繊維で補強されたことを特徴とするゴムホース。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ホース・ベルトな
どの補強用に使用されるゴム補強用ポリアミド繊維の製
造方法およびそのその製造方法により得られた繊維によ
って補強されたゴムホースに関するものであり、さらに
詳しくは、ポリアミド繊維とゴムの接着力が良好なゴム
補強用ポリアミド繊維の製造方法およびゴムと補強繊維
との接着性がすぐれると共に外観形状が良好なゴムホー
スに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ベルトおよびホースなどの繊維・ゴム複
合体製品の補強材としては、ポリε−カプロラクタム繊
維やポリヘキサメチレンアジパミド繊維に代表されるポ
リアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維に代表
されるポリエステル繊維、および芳香族ポリアミド繊維
などの合成繊維が主として用いられている。
【0003】そして、なかでもポリアミド繊維は、高い
比強度を有しており、しかもポリエステル繊維などに比
較して加水分解を起こしにくく、耐劣化性がすぐれてい
ることから、ゴム補強用繊維として広く用いられてい
る。
【0004】しかし、ポリアミド繊維は加圧水蒸気中で
の収縮率が大きいため、加圧水蒸気中で繊維・ゴム複合
体を加硫した場合に、ポリアミド繊維の収縮により製品
に凸凹が発生し、外観不良や品質低下をおこしやすいと
いう問題を有していた。
【0005】このようなポリアミド繊維の収縮を少なく
する手段としては、繊維に予め加硫に相当する熱履歴を
与えておくこと、つまり予め水蒸気雰囲気下で加熱する
ことからなる、いわゆる湿熱処理をしておく手段が考え
られるが、この手段を適用した場合には、繊維の弾性率
の低下を引き起こすという問題があった。
【0006】ポリアミド繊維の弾性率の低下を抑制し、
収縮率を小さくする方法としては、例えば特開昭56−
105188号公報や特開昭57−76383号公報
に、ポリアミド繊維に張力を付与した状態で通常の湿度
下で高温加熱する乾熱処理を施し、しかる後にホースの
水蒸気加硫状態に相当する湿熱処理を施して、繊維の弾
性率を損なうことなく収縮率の低いポリアミド繊維を得
る方法が提案されている。
【0007】しかしながら、上記の方法では、ポリアミ
ド繊維とゴムとの接着性を得るために付与されている処
理剤組成物が湿熱処理によって劣化し、湿熱処理後のポ
リアミド繊維とゴムとの接着力が極端に悪くなり、ポリ
アミド繊維とゴムとの界面が剥離するという問題があっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
課題は、繊維に処理剤を付与し乾熱処理した後さらに湿
熱処理した際の繊維とゴムとの接着力が優れたゴム補強
用ポリアミド繊維およびこのポリアミド繊維で補強され
てなるゴムと補強繊維との接着性がすぐれると共に外観
形状が良好なゴムホースを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本発明のゴム補強用ポリアミド繊維は、主として
次の構成を有する。すなわち、ノボラック型レゾルシン
・ホルマリン樹脂(以下、レゾルシン・ホルマリン樹脂
をRFということがある)とゴムラテックス(以下、L
ということがある)との混合物(以下、RFLというこ
とがある)を主たる構成成分とし、さらに下記一般式で
表されるクロロフェノール化合物を含有する処理剤組成
物をポリアミド繊維に付与し、乾熱処理を施した後、さ
らに湿熱処理を施すことを特徴とするゴム補強用ポリア
ミド繊維の製造方法である。
【化2】 (ただし、式中のnは0または1〜10の整数を表
す)。
【0010】なお、本発明のゴム補強用ポリアミド繊維
においては、前記処理剤組成物に含有されるゴムラテッ
クス(L)が、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエン
三元共重合体ラテックス、スチレン・ブタジエン三元共
重合体ラテックスおよびポリブタジエンラテックスより
なる群から選ばれた1種以上を含むこと、前記処理剤組
成物がさらにブロックドイソシアネート化合物および/
またはポリウレタン化合物を含むこと、および前記処理
剤組成物のポリアミド繊維に対する付着量が、乾燥重量
比で0.5〜7.0重量%であることが、いずれも好ま
しい条件であり、これらの条件を適用することにより、
一層すぐれた効果の取得を期待することができる。
【0011】また、本発明のゴムホースは、主として次
の構成を有する。すなわち、上記の製造方法により得ら
れたゴム補強用ポリアミド繊維で補強されたことを特徴
とするゴムホースである。なお、ゴムホースの構成材料
はエチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体ゴムであ
ることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳述する。
【0013】本発明で使用されるポリアミド繊維とは、
脂肪族ポリアミドを素材としてなるマルチフィラメント
であり、具体的にはポリε−カプロラクタム(ナイロン
6)やポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)
などが挙げられるが、強力や耐熱性の点からヘキサメチ
レンアジパミドの繰り返し単位が95モル%以上であ
り、蟻酸相対粘度が3.0以上であるN66繊維が好ま
しく使用される。
【0014】また、本発明の効果を損なわない程度に共
重合成分を含むポリアミドのコポリマーであってもよ
い。さらには、製糸性改善や最終製品の品質改善のため
に、共重合成分を添加したり、その他顔料などの粒子を
添加したポリアミドであっても何ら差し支えない。具体
的な共重合成分としては、ε−カプロラクタム、テトラ
メチレンアジパミド、ヘキサメチレンセバカミド、ヘキ
サメチレンイソフタラミド、テトラメチレンテレフタラ
ミド、およびキシリレンフタラミドなどが挙げられる。
また、汚染性を改善するために、特許第2,821,4
87号に記載されるようなアルカリ金属塩を含有するス
ルホン化した共重合ポリアミドを使用してもよい。
【0015】なお、原料ポリアミド中には、必要に応じ
て酸化チタンなどの艶消し剤、上記着色用顔料などのほ
か、染料、耐候剤、耐熱剤、老化防止剤および酸化防止
剤などの添加剤を併用して添加してもよい。
【0016】本発明で用いるポリアミド繊維の形態とし
ては、フィラメント、コード、織物などの状態があり、
フィラメントの状態の場合、繊維の収束性を向上させる
ために撚りをかけるほうが好ましいが、実質的に無撚り
の状態でもかまわない。
【0017】次に、本発明で使用する処理剤組成物につ
いて説明する。
【0018】本発明においては、処理剤組成物として、
レゾルシン・ホルマリン樹脂(RF)とゴムラテックス
(L)との混合物(RFL)を主たる構成成分とし、こ
れに上記した一般式で表されるクロロフェノール化合物
を含有せしめたものを用いる。
【0019】本発明で使用するレゾルシン・ホルマリン
樹脂は、ノボラック型レゾルシン・ホルマリン樹脂と呼
ばれているものであり、下記一般式で表されるように、
ジヒドロキシベンゼンとホルマリンを無触媒もしくは酸
性触媒下で重合したものである。
【化3】 (ただし、式中のnは0または1〜10の整数を表
す。) レゾルシン・ホルマリン樹脂には、上記の直鎖状のノボ
ラック型RF樹脂の他に、アルカリ性触媒下で重合され
る3次元構造のレゾール型RF樹脂があるが、レゾール
型RF樹脂を用いる場合は、湿熱処理による接着力の低
下が大きいため、本発明においては、ノボラック型RF
樹脂の使用が必須要件となる。
【0020】この理由は明確ではないが、ノボラック型
RF樹脂は直鎖状であるので、処理剤組成物中のゴムラ
テックスや上記一般式で表されるクロロフェノール化合
物などと反応しやすく、処理剤組成物をポリアミド繊維
に付与し、熱処理を行った後の処理剤組成物の被膜の化
学構造が密な状態になっていることから、湿熱処理時の
水蒸気の影響を受けにくいものと考えられる。
【0021】処理剤組成物に含まれるノボラック型RF
樹脂におけるレゾルシンとホルマリンの好ましい組成比
は、モル比で1/0.7〜1/5である。かかる範囲と
すると、ゴムホース製造工程で粘着性のカスが発生し難
くなり、また繊維の平滑性に優れ摩擦力の低い繊維とな
り、ゴムホースの製造が容易になる。一方、3次元的な
反応が進み過ぎることもなく、ノボラック型RF樹脂を
使用する効果を十分に発揮でき、また繊維を柔軟に仕上
げることが容易となる。
【0022】したがって、ノボラック型RF樹脂におけ
るゾルシンとホルマリンのモル比を上記の範囲とするこ
とで、湿熱下で加硫する際にも高い接着性とゴムホース
の製造工程の安定性を確保できやすくなる。特に、好ま
しいのはレゾルシンとホルマリンのモル比が1/1〜1
/2の範囲である。
【0023】ノボラック型RF樹脂におけるレゾルシン
とホルマリンの組成比を上記の範囲とするには、例えば
レゾルシン1モルに対してホルマリン0.7モル以下を
縮合したノボラック型RF樹脂(例えば、住友化学
(株)製“スミカノール700”)を、水酸化ナトリウ
ムや水酸化カリウム、アンモニアなどのアルカリ触媒水
分散液に溶解後、ホルマリンを添加し、レゾルシンとホ
ルマリンのモル比を1/0.7〜1/5に調整する方法
や、レゾルシンとホルマリンのモル比が1/0.7以下
の範囲にあるノボラック型RF樹脂とゴムラテックスを
混合、熟成後に、所定量のホルマリンを添加して所定の
モル比に調整する方法などが用いられる。
【0024】上記一般式で表されるクロロフェノール化
合物としては、2,6−ビス(2´,4´−ジヒドロキ
シ−フェニルメチル)−4−クロロフェノ−ル(トーマ
スワン(株)製“カサボンド”、ナガセ化成工業(株)
製“デナボンド”など)が挙げられるが、なかでも特に
ベンゼン核を3以上有するクロロフェノール化合物を主
成分とするものが接着性および工程通過性の点から好ま
しく用いられる。
【0025】本発明の処理剤組成物で使用するゴムラテ
ックス(L)としては、天然ゴムラテックス、スチレン
・ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル・ブタ
ジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックスお
よびビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテッ
クスなどが挙げられ、これらを単独または混合して使用
することができるが、耐熱性および接着性の点から、ゴ
ムラテックス100重量%のうち、ビニルピリジン・ス
チレン・ブタジエン三元共重合体ゴムラテックスが50
重量%以上を占めるゴムラテックスが好ましい。
【0026】特に、本発明のゴム補強用ポリアミド繊維
を用いて補強されるゴムがエチレン・プロピレン・ジエ
ン三元共重合体ゴム(EPDMゴム)の場合には、ビニ
ルピリジン・スチレン・ブタジエン三元共重合体ゴムラ
テックス(VP)、スチレン・ブタジエン共重合体ラテ
ックス(SBR)およびポリブタジエンラテックス(P
B)の混合ゴムラテックスを用いることが好ましく、各
ゴムラテックスの混合比は、固形分重量比VP/SBR
/PBが50〜80/0〜50/0〜50の範囲とする
のが好ましい。
【0027】本発明の処理剤組成物におけるノボラック
型RF樹脂/ゴムラテックスの配合比は、固形分重量比
で1/1〜1/10、さらには、1/2〜1/4の範囲
で使用されるのが好ましい。かかる範囲とすると、すぐ
れたゴムとの接着力が得られ、一方、処理されたポリア
ミド繊維の粘着性が高くなりにくく、ゴムホース製造工
程での取り扱いが容易となる。
【0028】本発明の処理剤組成物において、上記一般
式で示されるクロロフェノール化合物の、ノボラック型
レゾルシン・ホルマリン樹脂とゴムラテックスとの混合
物(RFL)との配合比は、固形分重量比で1/1〜1
/6、とくに1/2〜1/4の範囲にすることが好まし
く、この範囲にすることによって、ゴムとの接着性が高
くなる。
【0029】本発明の処理剤組成物には、さらにブロッ
クドイソシアネート化合物および/またはポリウレタン
化合物を添加することができ、これによって湿熱処理に
よるゴムとの接着力の低下を一層効果的に防止すること
ができる。
【0030】ブロックドイソシアネート化合物とは、熱
によりブロック剤が遊離して活性なイソシアネート化合
物を生じる化合物であり、具体的にはトリレンジイソシ
アネート、メタフェニレンジイソシアネート、ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、ヘキサメチリンジイソシア
ネートおよびトリフェニルメタントリイソシアネートな
どのポリイソシアネート化合物と、フェノール、クレゾ
ール、レゾルシンなどのフェノール類、ε−カプロラク
タム、バレロラクタムなどのラクタム類、アセトキシ
ム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサンオキ
シムなどのオキシム類およびエチレンイミンなどから選
ばれたブロック化剤との反応生成物などが挙げられる。
【0031】これらのブロックドイソシアネート化合物
のなかでも、とくにε−カプロラクタムでブロックされ
た芳香族ポリイソシアネート化合物およびジフェニルメ
タンジイソシアネートの芳香族化合物の使用が好まし
い。
【0032】ポリウレタン化合物とは、ポリオールとポ
リイソシアネートを主原料に重付加反応させた化合物で
あり、ポリオールとしてはポリエチレングリコール、ポ
リテトラメチレングリコール、ポリエステル系ポリオー
ルなどが挙げられ、ポリイソシアネート化合物として
は、トリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソ
シアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキ
サメチリンジイソシアネートおよびトリフェニルメタン
トリイソシアネートなどが挙げられる。また、イソシア
ネート基の末端を適当なブロック剤で封鎖してプレポリ
マーとした化合物に熱をかけて重合させてポリウレタン
化合物にしてもよい。
【0033】ブロックドイソシアネート化合物および/
またはポリウレタン化合物の、RFLに対する配合比
を、固形分重量比で1/1〜1/20、さらには1/2
〜1/15の範囲とすれば、湿熱処理後の接着力が高く
なり、好ましい。
【0034】さらに、本発明の処理剤組成物には、繊維
・ゴム複合体の製造工程での工程通過性をよくするため
に、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサ
ンのようなポリシロキサン化合物や、四フッ化エチレン
のようなフッ素化合物などの平滑剤を添加してもよい。
【0035】本発明に用いる処理剤組成物は、混合液の
総固形分濃度が5〜20重量%、特に7〜15重量%の
範囲で使用されるのが好ましい。かかる範囲とすると、
処理剤の安定性に優れる。
【0036】本発明の処理剤組成物をポリアミド繊維に
付着させるには、浸漬、ノズル噴霧、ローラーによる塗
布などの任意の方法を採用することができる。ポリアミ
ド繊維に対する処理剤組成物の付着率は、乾燥重量比で
0.5〜7.0重量%、特に2.0〜4.5重量%の範
囲が好ましく、この範囲とすることで、ゴムとの接着力
を優れたものとでき、ポリアミド繊維の収束性を良好に
保ちゴムホース製造工程の工程通過性に優れる。一方、
ポリアミド繊維を柔軟に保つことができ、ゴムホースの
品質を優れたものに維持できる。
【0037】本発明においては、ポリアミド繊維に処理
剤組成物を付着させる際に、1段で付与する1浴処理の
ほかに、処理剤組成物を第1処理剤、第2処理剤の2段
に分けて付与する2浴処理を適用することもできる。
【0038】本発明のゴム補強用ポリアミド繊維の製造
方法は、ポリアミド繊維にゴムとの接着性を保持させる
ために下記処理剤組成物を付与し、その後、ポリアミド
繊維の弾性係数の低下を防ぐために乾熱処理を施し、さ
らに加硫時にポリアミド繊維が収縮することによる繊維
・ゴム複合体の外観不良を防ぐために蒸気加硫の熱履歴
に相当する湿熱処理を施すものである。
【0039】乾熱処理は、処理温度を200〜255
℃、さらには235〜250℃とするのが好ましく、処
理時間は20秒以上、さらには30〜90秒とするのが
好ましい。この乾熱処理条件とすることで、繊維の弾性
係数の低下を防ぎ、一方、繊維が熱によって融解してフ
ィラメント同士が固着することもない。かかる乾熱処理
温度における湿度は4%以下、さらには湿度1%以下と
するのが好ましい。乾熱処理時の湿度が4%以下の条件
で熱処理するとラテックスの吸着水がとれて、RFLの
硬化が十分となり、粘着性の低く、ホース製造工程での
取扱い性に優れたコードが得られる。乾熱処理時の湿度
を4%以下にするには、乾熱処理工程の前に乾燥工程を
設けることや、乾熱処理炉の排気を行い湿度の低い空気
等のガスを取り入れること、該空気等のガスに予め除湿
したガスを用いる方法等があげられる。
【0040】次いで行われる湿熱処理は、120〜17
0℃の加圧水蒸気下で、繊維に直接水蒸気があたる条件
下で、処理時間は10分以上、さらには20分〜60分
とするのが好ましい。この湿熱処理条件とすることで、
繊維の収縮率を十分小さくし、蒸気加硫による繊維の収
縮を抑制できるので、外観形状の不良が発生しにくい。
このように低い収縮特性を満足するためには、蒸気加硫
の熱履歴に相当する最低限の湿熱処理を施すのがよい。
以上の乾熱処理および湿熱処理により、加硫時の弾性率
の低下が少なく、かつ加硫時の熱に対してほとんど収縮
しないゴム補強用ポリアミド繊維が得られる。
【0041】次に、本発明のゴムホースについて説明す
る。本発明のゴムホースは、加硫した後のホース外観に
凸凹が発生しにくく、なおかつゴムとポリアミド繊維と
の接着性が良好な特性を有するものであり、ゴムホース
の補強繊維として、上記した製造方法により得られるゴ
ム補強用ポリアミド繊維を用いることを特徴とするもの
である。
【0042】ゴムホースの加硫方法としては、乾熱下で
の加硫と水蒸気下での加硫があるが、本発明のゴム補強
用ポリアミド繊維の効果が最も顕著に現れるのは水蒸気
加硫の場合であり、特にゴムホースが水蒸気に直接触れ
る条件下での加硫において効果が大きく好ましい。
【0043】一般的に、ポリアミド繊維は同じ温度でも
乾熱下よりも水蒸気下の方が繊維の収縮率が高く、ポリ
アミド繊維で補強されたゴムホースを水蒸気下で加硫す
ると、繊維が収縮してゴムに食い込み、ホースに凸凹が
発生する傾向となるが、本発明のゴム補強用ポリアミド
繊維は、予め湿熱処理が施されて繊維の収縮率が小さく
なっているので、水蒸気下の加硫においても繊維が収縮
しにくく、ホースに凸凹が発生しにくいため、外観の良
好なゴムホースが得られる。
【0044】本発明のゴムホースの形状としては、従来
から周知のものを適用することができるが、図1および
図2に示したように、内層ゴム1の上に1層または2層
以上に補強用ポリアミド繊維2を巻き回し、その上に外
層ゴム3を被覆したものが好ましい。
【0045】補強用ポリアミド繊維2の巻き回し方法と
しては、一方の繊維と他方の繊維が上下交互に巻き回す
ブレード方式、一方の繊維を巻き回した上から他方の繊
維を巻き回すスパイラル方式などがあり、図1に示すよ
うに補強用繊維が互いに密着した形状や、図2に示すよ
うに補強用繊維が互いに間隔をおいている形状がある
が、特に指定はない。
【0046】本発明のゴム補強用ポリアミド繊維の効果
が最も顕著に現れるのは、図2に示したゴムホースの場
合であり、通常この場合には繊維2が収縮することによ
って、繊維2がゴム1,3に食い込み、ゴムホースに凸
凹が発生しやすいが、本発明のゴム補強用ポリアミド繊
維を使用することによって、凹凸の発生を効果的に解消
することができる。
【0047】一方、図1に示したゴムホースの場合は、
繊維2が収縮してもその圧力は内層ゴム1面全面に作用
するのでゴムホースの凸凹は発生しにくいが、内層ゴム
1の肉厚減少という問題が生じるので、繊維の収縮率は
低いほうが好ましい。
【0048】ゴムホース加硫時に補強用繊維が収縮する
量は、その繊維自身がもつ収縮量と、繊維をブレードま
たはスパイラル方式で巻き回すときのテンションによっ
て伸ばされた伸長分とを加えた量になるので、繊維の収
縮量をできるだけ少なくするためには、乾熱処理によっ
て繊維の弾性係数の低下を防いで伸びにくい繊維とし、
さらに湿熱処理によって繊維の収縮率を小さくすること
が有効である。
【0049】本発明のゴムホースの具体例としては、ラ
ジエターホース、ヒーターホース、ヒーターバイパスホ
ース、燃料ホースおよびパワステアリングホースなどが
挙げられる。
【0050】次に、本発明のゴム補強用ポリアミド繊維
およびゴムホースの製造手順の一例について説明する。
特にことわりのないかぎり、処理剤成分の配合比は固形
分重量比を表す。ノボラック型RF樹脂(RF)とVP
ラテックス/SBRラテックス/PBラテックスが50
〜80/0〜50/0〜50になるように混合したラテ
ックス(L)とを、RF/L=1/1〜1/10の配合
比率で混合し、そこへ上記一般式で示されるクロロフェ
ノール化合物を、クロロフェノール化合物/RFL=1
/1〜1/6の配合比率となるように、またブロックド
イソシアネート化合物および/またはポリウレタン化合
物を、ブロックドイソシアネート化合物および/または
ポリウレタン化合物/RFL=1/1〜1/20の配合
比率になるように混合し、総固形分濃度が5〜20%の
処理剤組成物を得る。
【0051】一方、ポリアミドマルチフィラメント繊維
に撚りをかけて作製した未処理コードを、上記処理剤組
成物に浸漬し、200〜255℃で20秒以上の乾熱処
理を施し、処理剤組成物の付着量が乾燥重量比でポリア
ミド繊維に対し2.0〜7.0重量%の処理コードと
し、次いでこの処理コードに120〜150℃の加圧水
蒸気下で10分以上の湿熱処理を施す。
【0052】次に、このようにして得られた処理コード
を、内層ゴムの上に1層または2層以上に巻き回し、そ
の上に外層ゴムを被覆してゴム管とし、加圧水蒸気下で
加硫してゴムホースとする。
【0053】かくして得られる本発明の製造方法による
ゴム補強用ポリアミド繊維は、従来のRFLを付与した
後、乾熱処理および湿熱処理を施された繊維と同じ弾性
率および湿熱収縮率を保持した上で、湿熱処理後の接着
力やさらには生スチームに直接触れるような湿熱加硫に
よっても高い接着力を有しており、またこのポリアミド
繊維を補強材として用いたゴムホースのゴムとの接着性
は良好で、ホースの外観形状も良好である。
【0054】そして、本発明のゴムホースは、特にラジ
エターホース、ヒーターホース、ヒーターバイパスホー
ス、燃料ホースおよびパワステアリングホースなどとし
て好適に用いられる。
【0055】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例における各測定値は次の方法
により求めたものである。 [処理剤付着量]JIS L 1017(1995年)の
質量法によって求めた。 [剥離接着力]直径10cm、長さ6cmのアルミニウム
製のパイプに内側ゴムとして下記のゴム配合組成の未加
硫ゴムを貼り付け、その上に処理コードを隙間がないよ
うに巻きつけ、その上に外側ゴムとして下記配合組成の
未加硫ゴムを貼り付けてコード・ゴム複合体とした後、
ラッピングクロス(東レ(株)製)を巻き付け、オート
クレーブ中にて150℃で30分間加硫した。放冷後、
ラッピングクロスを取り除き、コード・ゴム複合体をア
ルミニウム製パイプから剥がし取り、コードと水平方向
に幅1インチに切ってタンザク状の試験片とし、JIS
K6301(1995年)に準じて、処理コードと外
側ゴムの界面を50cm/minの速度で剥離し、1イ
ンチあたりの剥離力を測定した。剥離接着力の保持率
は、湿熱処理前コードの接着力A0 および湿熱処理後コ
ードの接着力A1 から、A1 /A0 を計算し、百分率で
表示した。 ゴム配合組成: (化合物) (重量部) EPDM 100.0 亜鉛華 5.0 ステアリン酸 1.0 カーボンブラック 80.0 加工油 0.3 硫黄 1.5 2−メルカプトベンゾチアゾール 0.5 テトラメチルチウラムジスルフィド 1.0 [コード湿熱収縮率]JIS L 1017(1995
年)によって測定した。すなわち、試料をかせ状に取
り、20℃、65%RHの温調室で24時間以上放置し
た後、試料に0.1g/dに相当する荷重をかけて長さ
0 を測定した後、試料を無張力状態で150℃の湿熱
水蒸気圧下でで30分間放置し、試料を取り出して前記
温調室で4時間以上放置し、再び上記荷重をかけて長さ
1 を測定し、(L0 −L1 )/L0 を計算し、百分率
で表示した。 [ホース接着ゴム付き]JIS K 6330−6(19
98年)により、加硫したあとのホースを幅1インチの
リング状に切断して試験片とし、処理コードと外側ゴム
の界面を50cm/minの速度で剥離した。剥離面を
目視し、繊維へのゴムの付着状態がかなり良好なものを
◎、良好なものを○、悪いものを×とした。 [ホース外観形状]加硫したあとのホースを目視し、ホー
ス外面に凸凹が見られない場合は○、凸凹がある場合は
×とした。
【0056】(実施例1〜9)処理剤組成物として、ノ
ボラック型RF樹脂“スミカノール700”(住友化学
(株)製)に水酸化ナトリウムの存在下でレゾルシンと
ホルマリンのモル比が1/1.5になるようにホルマリ
ンを添加し、4時間反応させた後、VPラテックス「ニ
ッポール2518FS」(日本ゼオン(株)製)、SB
Rラテックス「ニッポールLX112」(日本ゼオン
(株)製)、PBラテックス「ニッポールLX111A
2」(日本ゼオン(株)製)を表1記載の所定の比率で
混合し、24時間熟成させた。
【0057】上記処理剤組成物にクロロフェノール化合
物「デナボンド」(ナガセ化成工業(株)製)、ブロッ
クドイソシアネート化合物「エラストロンBN−04」
(第一工業製薬(株)製)またはポリウレタン化合物
「エラストロンE−37」(第一工業製薬(株)製)を
混合し、液固形分濃度15重量%の処理剤組成物を得
た。
【0058】試料として、N66の1400デシテック
スのマルチフィラメント2本を、100回/mの撚数で
撚り合わせて未処理コードとした。次いで、未処理コー
ドをコンピュートリータ処理機(リッツラ−社製)を用
いて、上記処理剤組成物に浸漬後、130℃で150秒
乾燥し、続いて240℃で60秒間の乾熱処理を施し、
次いで、該処理コードに蒸気釜で150℃で30分の湿
熱処理を施した。このようにして得られた各処理コ−ド
について、処理剤付着量、剥離接着力、接着力の保持率
および湿熱収縮率を評価した結果を表1に併せて示し
た。
【0059】次に、EPDMゴム配合物を押出し機で押
出して内管とし、その上に上記の各処理コードを図2に
示したとおりの態様で編組し、その外側に内管ゴムと同
一のEPDMゴム配合物を外管として押出し被覆した。
それを長尺巻取成形し、150℃で30分の蒸気缶加硫
を行い、内径16mm、外径24mmの補強ゴムホース
を作製した。このようにして得られたゴムホースについ
ての特性の評価結果を表1に併せて示した。表1の結果
から明らかなように、本発明によって処理されたゴム補
強用ポリアミド繊維は、湿熱処理後の接着力が従来より
も高く、この繊維を加圧水蒸気下で加硫することによっ
て得られるゴムホースの接着ゴム付きも良好である。そ
して、本発明のゴム補強用ポリアミド繊維は、その湿熱
収縮率が低いので、これを補強材として使用して得られ
るゴムホースの外観形状も良好である。
【表1】
【0060】(比較例1〜3)比較例1はRF樹脂とし
てレゾール型RF樹脂を用いた処理剤を使用し、比較例
2はクロロフェノール化合物を添加していない処理剤を
使用し、比較例3は湿熱処理を行っていないもので、そ
れ以外はいずれも実施例1と同一条件で処理した場合で
あって、これらの結果を表1に併せて示した。
【0061】
【発明の効果】本発明の製造方法により得られるゴム補
強用ポリアミド繊維は、従来のRFLを付与した後、乾
熱処理および湿熱処理を施された繊維と同等レベルの弾
性率を有しており、生スチームや湿熱に対する収縮率を
低く保持した上で、湿熱処理後の接着力に優れ、さらに
は生スチームに直接触れるような湿熱加硫を施される場
合であっても高い接着力を有している。
【0062】また、かかるゴム補強用ポリアミド繊維を
補強材として用いたゴムホースは、ゴムと補強繊維との
接着性がすぐれると共に外観形状が良好であり、ゴムホ
ース、特にラジエターホースやヒーターホース、ヒータ
ーバイパスホース、燃料ホースおよびパワステアリング
ホースなどに好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のゴムホースの一例を示す一部分解側面
図。
【図2】本発明のゴムホースの他の例を示す一部分解側
面図。
【符号の説明】
1:内層ゴム 2:補強繊維(コード) 3:外層ゴム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H111 AA02 BA12 BA25 BA34 CB04 CB05 CC03 DA26 4F072 AB06 AC03 AD02 AD04 AD05 AD15 AD43 AF14 AF20 AK17 AL03 4L033 AA08 AB01 AC11 BA69 BA99 CA34 CA50 CA68 CA70

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ノボラック型レゾルシン・ホルマリン樹
    脂とゴムラテックスとの混合物を主たる構成成分とし、
    さらに下記一般式で表されるクロロフェノール化合物を
    含有する処理剤組成物をポリアミド繊維に付与し、乾熱
    処理を施した後、さらに湿熱処理を施すことを特徴とす
    るゴム補強用ポリアミド繊維の製造方法。 【化1】 (ただし、式中のnは0または1〜10の整数を表
    す)。
  2. 【請求項2】 処理剤組成物に含有されるゴムラテック
    スが、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエン三元共重
    合体ラテックス、スチレン・ブタジエン三元共重合体ラ
    テックスおよびポリブタジエンラテックスよりなる群か
    ら選ばれた1種以上を含むことを特徴とする請求項1に
    記載のゴム補強用ポリアミド繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 処理剤組成物が、さらにブロックドイソ
    シアネート化合物および/またはポリウレタン化合物を
    含むことを特徴とする請求項1または2に記載のゴム補
    強用ポリアミド繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 処理剤組成物のポリアミド繊維に対する
    付着量が、乾燥重量比で0.5〜7.0重量%であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム補
    強用ポリアミド繊維の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方
    法により得られたゴム補強用ポリアミド繊維で補強され
    たことを特徴とするゴムホース。
  6. 【請求項6】 前記ゴムホースの構成材料がエチレン・
    プロピレン・ジエン三元共重合体ゴムであることを特徴
    とする請求項5に記載のゴムホース。
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