JP2000239417A - 織物プリプレグ及び繊維強化複合材料 - Google Patents

織物プリプレグ及び繊維強化複合材料

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JP2000239417A
JP2000239417A JP34441499A JP34441499A JP2000239417A JP 2000239417 A JP2000239417 A JP 2000239417A JP 34441499 A JP34441499 A JP 34441499A JP 34441499 A JP34441499 A JP 34441499A JP 2000239417 A JP2000239417 A JP 2000239417A
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JP
Japan
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woven
resin
thermosetting resin
group
fiber
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JP34441499A
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English (en)
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Hajime Kishi
肇 岸
Hiroki Ooseto
浩樹 大背戸
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、強化繊維とマトリックス樹脂との接
着性に優れる織物プリプレグ、さらにこの織物プリプレ
グを使用して得られる、耐衝撃性や靭性に優れた繊維強
化複合材料、及びスキンパネルとハニカムコアとの自己
接着性、及び耐熱性や曲げ強度等の力学特性に優れるハ
ニカムサンドイッチパネルを提供せんとするものであ
る。 【解決手段】次の構成要素[A]と、構成要素[B]及
び[C]とを含む熱硬化性樹脂組成物からなり、かつカ
バーファクターが93%以上であることを特徴とする織
物プリプレグ。 [A]強化繊維織物 [B]熱硬化性樹脂 [C]分子内に、次式(1)〜(4)より選ばれる少な
くとも1種の部分構造を有し、かつ熱硬化性樹脂又はそ
の硬化剤と反応しうる官能基を1個有する化合物 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、織物プリプレグ、
繊維強化複合材料、及びハニカムサンドイッチパネルに
関するものである。特に詳しくは、耐衝撃性に優れた繊
維強化複合材料を与える織物プリプレグ、繊維強化複合
材料、及び織物プリプレグが硬化されてなるスキンパネ
ルとハニカムコアよりなるハニカムサンドイッチパネル
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】強化繊維とマトリックス樹脂よりなるプ
リプレグを中間基材とする繊維強化複合材料は、その力
学物性が優れているために、航空宇宙用途をはじめ、自
動車用途、一般産業用途、スポーツレジャー用途、建設
材料用途に広く用いられている。特に航空用途において
は、航空機の構造材料や内装材において、軽量化の要請
から繊維強化複合材料を適用するケースが増加してい
る。近年、その使用実績の累積に伴い、繊維強化複合材
料に対する要求特性はますます厳しくなっているのが現
状である。繊維強化複合材料の力学物性や耐久性などの
特性を存分に引き出すためには、かかる特性を低減させ
る要因たる欠陥を極力減らすとともに、強化繊維とマト
リックス樹脂がそれぞれ有する特性を協同して発揮させ
るのが重要である。
【0003】かかる特性のうち、航空用途においては耐
損傷許容性を高めるために耐衝撃性を高めることが強く
要望されている。耐衝撃性を高めるために、強化繊維、
とりわけ繁用される炭素繊維の強度の向上、及びマトリ
ックス樹脂の靱性の向上に努力が払われてきて、成果が
挙げられてきたが、近年の、破壊現象の精密な解析によ
れば、かかる耐衝撃性の向上のためには、必ずしも炭素
繊維自体の強度やマトリックス樹脂の靱性を改善するだ
けでは充分ではないことが明らかになってきた。
【0004】繊維強化複合材料は、一般に強化繊維方向
と同方向の引張強度は、強化繊維自体の物性を反映する
ため高いが、それ以外の方向の引張強度、及び剪断強度
は必ずしも優れる訳でななく、繊維強化複合材料におい
て、致命的となる場合が少なくない。
【0005】従って、プリプレグにより繊維強化複合材
料を成形するにあたっては、実用上、プリプレグにおけ
る強化繊維の方向を種々変えて積層することが多い。
【0006】かかる複合材料が破壊を受ける場合は、材
料の構成や外力のかかり方(曲げ、捻り、圧壊など)に
依存して破壊モードが変化するが、いずれかの層の繊維
方向(強化繊維の縦糸方向と同方向)圧縮又は非繊維方
向(層内で強化繊維の縦糸方法と直交する方向)引張の
いずれかの破壊モードが支配要因であることが多く、こ
れらに次いで剪断破壊が支配的である場合が見られる。
【0007】成形体、すなわち繊維強化複合材料におい
て、繊維方向圧縮強度は、マトリックス樹脂の曲げ弾性
率と、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性などに依
存し、これらの値が高い程、繊維方向での耐圧縮特性を
高めることができる。一方、非繊維方向引張強度は、マ
トリックス樹脂の引張伸度と、強化繊維とマトリックス
樹脂との接着性に依存し、これらの値が高い程、非繊維
方向での耐引張特性を高めることができる。
【0008】強化繊維とマトリックス樹脂との接着性を
高めるには、ガラス繊維に対するシランカップリング剤
処理、炭素繊維に対する電解酸化などの繊維の表面処理
が知られているが、電解酸化によって、かかる接着性は
向上するものの、同時に強化繊維の強度の低下を招き、
その他の手法についても有効なものが見いだせていなの
が現状である。前記強化繊維とマトリックス樹脂との接
着性を高めると、成形体において、圧縮強度や引張強度
など静的な強度特性ばかりではなく、動的な強度特性で
ある、耐衝撃性をも高くすることができる。特に、織物
プリプレグを積層して成形した複合材料の場合、必ずし
も平面方向のみに繊維が配向しているわけではなく、厚
み方向にも繊維が配向している場合あり、かかる繊維配
向の複雑性ゆえ破壊モードも複雑なものとなっており、
高度の耐衝撃性を有する織物強化複合材料が強く要望さ
れている。
【0009】強化繊維の処理だけでは、前記強化繊維と
マトリックス樹脂との接着性を向上させるには限界があ
り、昨今ますます厳しくなりつつある複合材料の物性向
上への要求に応じるためには、樹脂の改質による手法が
考えられるが、現在のところ、マトリックス樹脂として
繁用されるエポキシ樹脂について、樹脂の改質により、
強化繊維とマトリックス樹脂との接着性を高める手法と
しては、ある種の熱可塑性樹脂を配合させるのが有効で
あるという知見はあるものの、十分ではないのが現状で
ある。
【0010】また、航空機用の構造材料や内装材では、
軽量化の観点から、スキンパネルに繊維強化複合材料
を、ハニカムコアに、アラミドハニカムやアルミニウム
ハニカムをそれぞれ用い、フィルム状接着剤をハニカム
コアとプリプレグ積層体との間に挟みこんでプリプレグ
の硬化と同時に硬化させ、ハニカムコアとプリプレグ積
層体を接着させてハニカムサンドイッチパネルを成形す
る手法が採られている。
【0011】これに対して近年では、ハニカムサンドイ
ッチパネルの軽量化及び成形コスト低減の観点から、ハ
ニカムコアとプリプレグ積層体とを直接接着する自己接
着型成型法の採用が増しており、特にアラミド紙からな
るハニカムコアの両面にプリプレグを積層し、プリプレ
グ積層体の硬化と、プリプレグ積層体とハニカムコアと
の接着を同時に行うことにより、ハニカムサンドイッチ
パネルが製造されることが多い。
【0012】しかし、かかる自己接着型成型法によれ
ば、ハニカムコアとプリプレグ積層体との接着性を確保
するため、プリプレグ内の樹脂が成形中にハニカムコア
側へ移動しハニカム壁を充分に濡らす必要性があり、高
い接着強度を確保することは困難であった。
【0013】即ち、プリプレグ積層体からハニカムコア
の厚み方向に、ハニカムの壁に沿って樹脂が垂れ、ある
いはせり上がった状態で硬化した、ハニカムコアとプリ
プレグ積層体との接着に直接関与する部分をフィレット
と呼ぶが、自己接着型成型法では、このフィレットの形
成が、樹脂の粘度が低すぎると、上側のスキンパネルか
らハニカム壁に沿って樹脂の流れ落ちにより、逆に樹脂
の粘度が高すぎると、樹脂によりハニカム壁の濡れ性を
十分に高めることができず、いずれにしても上下のスキ
ンパネルとハニカムコアとの自己接着性が不充分となっ
ていた。
【0014】米国特許第4,500,660号に、特定のエポキ
シ樹脂と両末端に官能基を有するブタジエンアクリロニ
トリル共重合体とエポキシ樹脂との反応生成物にジシア
ンジアミドを配合したエポキシ樹脂組成物により、プリ
プレグ積層体とハニカムコアとの自己接着性及びスキン
パネルの層間剪断強度を改善する技術が開示されてい
る。
【0015】また、特開昭58−82755号公報に、
エポキシ樹脂、両末端にカルボキシル基を有する液状の
ブタジエンアクリロニトリル共重合体とエポキシ樹脂と
の反応生成物に、硬化剤としてジシアンジアミドとジア
ミノジフェニルスルホンを併用した樹脂組成物により、
プリプレグ積層体とハニカムコアとの自己接着性が高ま
り、特に高温下における接着強度が高められる技術が開
示されている。
【0016】しかしながら、これら手法によれば、前記
自己接着性は向上されるものの、ゴム成分を多用するこ
とから、得られるハニカムサンドイッチパネルの耐熱性
や曲げ強度等の力学特性が大きく損なわれる欠点があっ
た。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、強化繊維と
マトリックス樹脂との接着性に優れる織物プリプレグ、
さらにこの織物プリプレグを使用して得られる、耐衝撃
性や靭性に優れた繊維強化複合材料、及びスキンパネル
とハニカムコアとの自己接着性、及び耐熱性や曲げ強度
等の力学特性に優れるハニカムサンドイッチパネルを提
供せんとするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の織物プリプレグは次の構成を有する。すな
わち、次の構成要素[A]と、構成要素[B]及び
[C]とを含む熱硬化性樹脂組成物からなり、かつカバ
ーファクターが93%以上であることを特徴とする織物
プリプレグである。 [A]強化繊維織物 [B]熱硬化性樹脂 [C]分子内に、次式(1)〜(4)より選ばれる少な
くとも1種の部分構造を有し、かつ熱硬化性樹脂又はそ
の硬化剤と反応しうる官能基を1個有する化合物
【0019】
【化6】
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】また、本発明による繊維強化複合材料は次
の構成を有する。すなわち、前記織物プリプレグが硬化
されてなる繊維強化複合材料である。
【0024】さらに、本発明によるハニカムサンドイッ
チパネルは次の構成を有する。すなわち、前記織物プリ
プレグが硬化されてなるスキンパネルとハニカムコアか
らなるハニカムサンドイッチパネルである。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題について、鋭
意検討し、熱硬化性樹脂と、分子内に特定の部分構造を
有し、かつ熱硬化性樹脂又はその硬化剤と反応しうる官
能基を1個有するという特定の化合物とを含む熱硬化性
樹脂組成物と、強化繊維織物からなる織物プリプレグに
よって、かかる課題を一挙に解決することを究明したも
のである。また、織物プリプレグをカバーファクターが
93%以上である織物プリプレグとしたときに、特に効
果が顕著となることを見い出したものである。
【0026】本発明では、構成要素[A]として、ガラ
ス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミ
ナ繊維、及び炭化ケイ素繊維からなる群から選ばれる少
なくとも1種が使用できる。中でも得られる成形体に高
度の軽量性、耐久性、耐衝撃性を得る観点から、炭素繊
維及び/又は黒鉛繊維が好ましい。また、強化繊維自体
の引張強度や耐衝撃性が高いことから、樹脂含浸ストラ
ンド引張強度(以下、単に引張強度と略記)が4.4G
Pa以上、引張伸度が1.7%以上の炭素繊維を使用す
るのが好ましい。得られる成形体の耐衝撃性をさせるた
めに、引張伸度が1.7%以上である炭素繊維が好まし
く、さらに引張弾性率が200GPa以上の炭素繊維が好
ましい。かかる高性能炭素繊維としては、東レ(株)
製、T700SCやT800H、T1000Gなどが挙
げられる。
【0027】本発明において、構成要素[A]として
は、通常の二次元織物を用いることができる。織物組織
としては平織、綾織、絡み織、及び繻子織からなる群か
ら選ばれる少なくとも1種の織構造を含む織物が好まし
い。中でも平織構造が、厚みの薄い成形体を造りやすく
好適に用いられる。織物における織糸はマルチフィラメ
ント糸からなるが、該マルチフィラメント糸は、フィラ
メント数が2500〜25000本であるものが良い。
さらに表面平滑性の高い成形体を得る観点から、好まし
くは2800〜25000本、より好ましくは5000
〜30000本であるものが良い。2500本未満であ
ると繊維配向が乱れ易く、成形体の強度特性、すなわち
圧縮強度、引張強度、層間剪断強度、面内剪断強度など
を低下させる原因となり、30000本を超えるとプリ
プレグ作製時、又は成形体成形時に樹脂の含浸性が悪化
することがある。マルチフィラメント糸の繊度は、表面
平滑性の高い成形体を得る観点から、1500〜200
00デニールが良い。1500デニール未満であると繊
維配向が乱れ易く、成形体の強度特性を低下させる原因
となり、20000デニールを超えるとプリプレグ作製
時、又は成形体成形時に樹脂の含浸性が悪化することが
ある。
【0028】前記したような強化繊維マルチフィラメン
ト糸を織糸とする織物をプリプレグに用いると、織糸の
交差角度、いわゆるクリンプを低く抑えることができ、
長時間放置後も織物繊維の動きが小さく表面樹脂の沈み
込みが起こり難く、また織物プリプレグのタック性の経
時変化も抑制するため好ましい。また、プリプレグ作製
時においても織物繊維の動きが小さく、表面樹脂の沈み
込みが起こり難く、織物プリプレグより得られる成形体
の表面平滑性の向上につながり好ましい。特に強化繊維
マルチフィラメント糸の糸厚みが0.05〜0.2m
m、糸幅/糸厚み比が30以上である織物が好ましい。
さらに織物は、織物目付が100〜400g/m2のも
のが良く、好ましくは100〜320g/m2のものが
良い。また、強化繊維マルチフィラメント糸は実質的に
撚りのない、扁平なものが好ましい。ここで、実質的に
撚りがないとは、糸長1m当たりに1ターン以上の撚り
がない状態をいう。
【0029】さらに強化繊維マルチフィラメント糸は、
その集束性がフックドロップ値で100〜1000m
m、好ましくは100〜500mmであるのが、織物繊
維の動きを小さく表面樹脂の沈み込みが起こり難く、織
物プリプレグのタック性の経時変化を抑制し、かつ織物
プリプレグより得られる成形体の表面平滑性の向上につ
ながり好ましい。フックドロップ値が100mm未満で
あると、集束性が強くなり過ぎ、織物プリプレグのカバ
ーファクターを大きくし難くなり、織物プリプレグのタ
ック性の経時変化を抑制し難くなったり、織物プリプレ
グにおいて、樹脂含浸性が劣ったものとなり易くなる。
その結果、成形体において、表面にピットや内部にボイ
ドが発生することがある。一方、フックドロップ値が1
000mmを超えると強化繊維マルチフィラメント糸の
集束性が低下により、毛羽が発生し易くなり、また成形
体の強度特性が低下することもある。ここで、フックド
ロップ値とは、マルチフィラメント糸の撚りや捩れの程
度を定量化する指標であり、この値が小さい程、マルチ
フィラメント糸の撚りや捩れの程度が大きくなる。集束
性を付与する方法としては、強化繊維が炭素繊維よりな
る場合は、サイジングや、炭素繊維用前駆体繊維マルチ
フィラメント糸のフィラメント同士を交絡させたり、フ
ィラメント同士を接着させることなどが挙げられる。
【0030】また、扁平な織糸を用いることにより通常
の織物より繊維密度の高い織物が得られ、成形体の表面
平滑性が向上したり、成形体の圧縮強度を高められ、内
部欠陥を減少することにもなり、高い強度特性、高い耐
衝撃性を有する成形体を得ることにもつながる。
【0031】こうして得られる、厚さが0.15〜0.
35mmの織物プリプレグは、織糸の屈曲による凹凸の
発生を抑止し、得られる成形体の耐衝撃性や表面平滑性
を向上させることができる。
【0032】織物プリプレグのカバーファクターとは、
プリプレグを平面と仮定した場合、織糸部分が存在する
面積がプリプレグ全体の面積に占める割合のことであ
る。織糸間の隙間である織目が小さいもの程、カバーフ
ァクターが高くなる。
【0033】本発明においては、カバーファクターが9
3%以上の織物プリプレグを用いることが必要である。
カバーファクターは、好ましくは95%以上、より好ま
しくは97%以上が良い。これにより、樹脂の織物プリ
プレグ内部への沈み込みを防止し、樹脂を織物プリプレ
グの表面に保持することでタック性の経時変化を抑制
し、また成形体の表面の欠陥が少なくなり、強度特性に
優れる繊維強化複合材料が得られるようになる。また、
バーンスルー特性に優れ耐火性の良い成形体が得られる
ようにもなる。カバーファクターが93%未満の場合
は、表面にピット、内部にポロシティが発生し易く、成
形体の強度特性が低下する。また、カバーファクターは
大きい程良いが、98%程度有れば、本発明の効果を奏
するに当たり充分であることが多い。
【0034】成形体、すなわち繊維強化複合材料におい
て、繊維方向圧縮強度は、マトリックス樹脂の曲げ弾性
率と、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性などに依
存し、これらの値が高い程、繊維方向での耐圧縮特性を
高めることができる。一方、非繊維方向引張強度は、マ
トリックス樹脂の引張伸度と、強化繊維とマトリックス
樹脂との接着性に依存し、これらの値が高い程、非繊維
方向での耐引張特性を高めることができる。このため、
マトリックス樹脂の曲げ弾性率は、3.2GPa以上で
あるのが良く、好ましくは3.5GPa以上であるのが
良い。一方、マトリックス樹脂の引張伸度は、8%以上
であるのが良く、好ましくは10%以上であるのが良
い。
【0035】本発明において、構成要素[B]は、分子
内に少なくとも1個のエポキシ基を有する化合物、及び
/又は、分子内に少なくとも1個の重合性不飽和結合を
有する化合物であるのが良い。また、この熱硬化性樹脂
は、熱的な作用により硬化する、すなわち、熱的な作用
により、化学反応を起こして重合物においてネットワー
ク構造を形成する化合物であるのが好ましい。
【0036】熱硬化性樹脂の具体例としては、ビニルエ
ステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレ
ート樹脂、マレイミド樹脂、アリル樹脂などの分子内に
重合性不飽和結合を有する樹脂、さらにエポキシ樹脂、
フェノール樹脂、シアネート樹脂、メラミン樹脂、ウレ
ア樹脂、ポリウレタン樹脂、ベンズオキサジン樹脂、オ
キサゾリン樹脂などが挙げられる。この内、エポキシ樹
脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂は、
一般的用途の成形体に適する。フェノール樹脂は、難燃
性が要求される用途、例えば、建築材料、航空機内装材
用途の成形体に適する。シアネート樹脂、マレイミド樹
脂は、複合材料に耐熱性が要求される用途、例えば人工
衛星構造材用途の成形体に適する。また、ビスマレイミ
ド樹脂や3官能以上の多官能マレイミド樹脂を組み合わ
せて用いると特に耐熱性の高い繊維強化複合材料が得ら
れる。さらに、ジアリルビスフェノールAなどのアリル
樹脂を用いると、織物プリプレグの取り扱い性をさらに
高めるのに効果的である。
【0037】構成要素[B]は、エポキシ樹脂が好まし
い。本発明において、エポキシ樹脂とは、分子内に2個
以上のエポキシ基を有する化合物を意味する。
【0038】具体的には、ポリオールから得られるグリ
シジルエーテル、活性水素を有するアミンより得られる
グリシジルアミン、ポリカルボン酸より得られるグリシ
ジルエステルや、分子内に複数の2重結合を有する化合
物を酸化して得られるポリエポキシドなどが用いられ
る。
【0039】グリシジルエーテルの具体例としては、ビ
スフェノールAから得られるビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、ビスフェノールFから得られるビスフェノール
F型エポキシ樹脂、ビスフェノールSから得られるビス
フェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノ
ールAから得られるテトラブロモビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂などが
挙げられる。ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品
としては、“エピコート”825(登録商標、エポキシ
当量172〜178)、“エピコート”828(エポキ
シ当量184〜194)、“エピコート”834(エポ
キシ当量230〜270)、“エピコート”1001
(エポキシ当量450〜500)、“エピコート”10
02(エポキシ当量600〜700)、“エピコート”
1003(エポキシ当量670〜770)、“エピコー
ト”1004(エポキシ当量875〜975)、“エピ
コート”1007(エポキシ当量1750〜220
0)、“エピコート”1009(エポキシ当量2400
〜3300)、“エピコート”1010(エポキシ当量
3000〜5000)(以上、油化シェルエポキシ
(株)製)、“エポトート”YD−128(登録商標、
エポキシ当量184〜194)“エポトート”YD−0
11(エポキシ当量450〜500)、“エポトート”
YD−014(エポキシ当量900〜1000)、“エ
ポトート”YD−017(エポキシ当量1750〜21
00)、“エポトート”YD−019(エポキシ当量2
400〜3000)、“エポトート”YD−022(エ
ポキシ当量4000〜6000)、(以上、東都化成
(株)製)、“エピクロン”840(登録商標、エポキ
シ当量180〜190)、“エピクロン”850(エポ
キシ当量184〜194)、“エピクロン”830(エ
ポキシ当量165〜185)、“エピクロン”1050
(エポキシ当量450〜500)、“エピクロン”30
50(エポキシ当量740〜860)、“エピクロン”
HM−101(エポキシ当量3200〜3900)(以
上、大日本インキ化学工業(株)製)、“スミエポキ
シ”ELA−128(登録商標、エポキシ当量184〜
194、住友化学工業(株)製)、DER331(型
番、エポキシ当量182〜192、ダウケミカル社製)
などを使用することができる。ビスフェノールF型エポ
キシ樹脂の市販品としては、“エピコート”806(エ
ポキシ当量160〜170)、“エピコート”807
(エポキシ当量160〜175)、“エピコート”E4
002P(エポキシ当量610)、“エピコート”E4
003P(エポキシ当量800)、“エピコート”E4
004P(エポキシ当量930)、“エピコート”E4
007P(エポキシ当量2060)、“エピコート”E
4009P(エポキシ当量3030)、“エピコート”
E4010P(エポキシ当量4400)(以上、油化シ
ェルエポキシ(株)製)、“エピクロン”830(エポ
キシ当量165〜180、大日本インキ化学工業(株)
製)、“エポトート”YDF−2001(エポキシ当量
450〜500)、“エポトート”YDF−2004
(エポキシ当量900〜1000)(以上、東都化成
(株)製)などを使用することができる。ビスフェノー
ルS型エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール”
EX-251(登録商標、ナガセ化成工業(株)製、エポキシ
当量189)などを使用することができる。テトラブロ
モビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、
“エピコート”5050(油化シェルエポキシ(株)
製、エポキシ当量380〜410)、“エピクロン”1
52(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量3
40〜380)、“スミエポキシ”ESB-400T(住友化学
工業(株)製、エポキシ当量380〜420)、“エポ
トート”YBD-360(東都化成(株)製、エポキシ当量3
50〜370)などを使用することができる。
【0040】グリシジルアミンの市販品としては、ジグ
リシジルアニリン、テトラグリシジルジアミノジフェニ
ルメタンである“スミエポキシ”ELM434(住友化学工業
(株)製、エポキシ当量110〜130)、テトラグリ
シジルm-キシリレンジアミンであるTETRAD-X(型番、三
菱ガス化学(株)製、エポキシ当量90〜105)など
が挙げられる。
【0041】さらに、グリシジルエーテルとグリシジル
アミンの両構造を併せ持つエポキシ樹脂として、トリグ
リシジル-m-アミノフェノールである“スミエポキシ”E
LM120(エポキシ当量118、住友化学工業(株)
製)、及びトリグリシジル-p-アミノフェノールである
“アラルダイト”MY0510(登録商標、チバガイギ
ー社製、エポキシ当量94〜107)などを使用するこ
とができる。
【0042】グリシジルエステルの具体例としては、フ
タル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジ
ルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステルなどが挙
げられる。さらに、これら以外のグリシジル基を有する
エポキシ樹脂として、トリグリシジルイソシアヌレート
などが挙げられる。
【0043】分子内に複数の2重結合を有する化合物を
酸化して得られるポリエポキシドとしては、エポキシシ
クロヘキサン環を有するエポキシ樹脂などが挙げられ、
市販品としては、ユニオンカーバイド社のERL-4206(型
番、エポキシ当量70〜74)、ERL-4221(型番、エポ
キシ当量131〜143)、ERL-4234(型番、エポキシ
当量133〜154)などが使用でき、さらにエポキシ
化大豆油などを使用することができる。
【0044】また、構成要素[B]がエポキシ樹脂のと
き、かかるエポキシ樹脂の具体例としては、フェノール
やアルキルフェノール、ハロゲン化フェノールなどのフ
ェノール誘導体から得られるノボラックのグリシジルエ
ステルであるノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられ
る。ノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“エ
ピコート”152(エポキシ当量172〜179)、
“エピコート”154(エポキシ当量176〜181)
(以上、油化シェルエポキシ(株)製)、DER438
(型番、エポキシ当量176〜181、ダウケミカル社
製)、“アラルダイト”EPN1138(登録商標、エ
ポキシ当量176〜181、チバ社製)、“アラルダイ
ト”EPN1139(エポキシ当量172〜179、チバ社
製)、“エポトート”YCPN-702(エポキシ当量200〜23
0、東都化成(株)製)、BREN-105(エポキシ当量262〜
278、日本化薬(株)製)などを使用することができ
る。
【0045】その他にも、エポキシ樹脂として、レゾル
シンジグリシジルエーテルである“デナコール”EX-201
(登録商標、ナガセ化成工業(株)製、エポキシ当量1
18)、ヒドロキノンジグリシジルエーテルである“デ
ナコール”EX-203(ナガセ化成工業(株)製、エポキシ
当量112)、4,4'-ジヒドロキシ-3,3',5,5'-テトラメ
チルビフェニルジグリシジルエーテルである“エピコー
ト”YX4000(油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ当
量180〜192)、1,6-ジヒドロキシナフタレンのジ
グリシジルエーテルである“エピクロン”HP-4032H(大
日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量250)、
9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルエオレンのジグ
リシジルエーテルである“エポン”HPTレジン107
9(登録商標、シェル社製、エポキシ当量250〜26
0)、トリス(p-ヒドロキシフェニル)メタンのトリグ
リシジルエーテルであるTACTIX 742(型番、ダウケミカ
ル社製、エポキシ当量150〜157)、テトラキス(p
-ヒドロキシフェニル)エタンのテトラグリシジルエー
テルである“エピコート”1031S(油化シェルエポキシ
(株)製、エポキシ当量196)、グリセリンのトリグ
リシジルエーテルである“デナコール”EX-314(ナガセ
化成工業(株)製、エポキシ当量145)、ペンタエリ
スリトールのテトラグリシジルエーテルである“デナコ
ール”EX-411(ナガセ化成工業(株)製、エポキシ当量
231)などを使用することができる。中でも、ナフタ
レン骨格を有するエポキシ樹脂である、1,6-ジヒドロキ
シナフタレンのジグリシジルエーテルは、低吸水率かつ
耐熱性の高いマトリックス樹脂を与えるため好ましい。
また、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエ
ン型エポキシ樹脂、ジフェニルフルオレン型エポキシ樹
脂も低吸水率の硬化樹脂を与えるため好適に用いられ
る。
【0046】これらエポキシ樹脂は単独で使用しても良
いし、2種以上を適宜混合して使用しても良い。2官能
のエポキシ樹脂と3官能以上のエポキシ樹脂を混合して
使用すると、得られる熱硬化性樹脂組成物が、良好な流
動性と硬化後のマトリックス樹脂の耐熱性を兼ね備えた
ものとなるため好ましい。特にグリシジルアミン型エポ
キシとグリシジルエーテル型エポキシを混合して使用す
ると、マトリックス樹脂の耐熱性と耐水性、及びプロセ
ス性の3者の両立を可能にするため好ましい。また、室
温で液状のエポキシ樹脂と室温で固形状のエポキシ樹脂
とを少なくとも1種ずつ混合して使用すると、織物プリ
プレグのタック性やドレープ性がより適正化され好まし
い。フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾール
ノボラック型エポキシ樹脂を混合して使用すると、熱硬
化性樹脂組成物の吸水率を小さく、耐熱性と耐水性の高
いマトリックス樹脂を与えるため好ましい。これらを適
宜混合して使用することによって、マトリックス樹脂の
耐熱性と耐水性を高めつつ、織物プリプレグのタック性
やドレープ性を調節できる。
【0047】本発明において、構成要素[B]がエポキ
シ樹脂のとき、熱硬化性樹脂組成物に硬化剤を配合する
のが好ましい。硬化剤の具体例としては、4,4'-ジアミ
ノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルスルホ
ン、3,3'-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレン
ジアミン、m-キシリレンジアミンのように、活性水素を
有する芳香族アミン、ジエチレントリアミン、トリエチ
レンテトラミン、イソホロンジアミン、ビス(アミノメ
チル)ノルボルナン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)
メタン、ポリエチレンイミンのダイマー酸エステルな
ど、活性水素を有する脂肪族アミン、これら活性水素を
有するアミンにエポキシ化合物、アクリロニトリル、フ
ェノールとホルムアルデヒド、チオウレアなどを反応さ
せて得られる変性アミン、ジメチルアニリン、ジメチル
ベンジルアミン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチ
ル)フェノールや1−置換イミダゾールなど、活性水素
を有しない第三アミン、ジシアンジアミド、テトラメチ
ルグアニジン、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒ
ドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水
物、メチルナジック酸無水物のようなカルボン酸無水
物、アジピン酸ヒドラジドやナフタレンジカルボン酸ヒ
ドラジドなどのポリカルボン酸ヒドラジド、ノボラック
樹脂などのポリフェノール化合物、チオグリコール酸と
ポリオールのエステルなどのポリメルカプタン、三フッ
化ホウ素エチルアミン錯体などのルイス酸錯体、芳香族
スルホニウム塩などが挙げられる。
【0048】硬化剤として4,4'-ジアミノジフェニルメ
タン、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミ
ノジフェニルスルホンなどの芳香族ジアミンを使用する
と、マトリックス樹脂の耐熱性が高められる。中でも、
ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体を使用する
と、特にマトリックス樹脂の耐熱性が高められる。硬化
剤は、熱硬化性樹脂又はその硬化剤と反応しうる官能基
(以下、反応性官能基と略記)と化学量論的に当量とな
るよう配合するのが良いが、場合によって例えば、対当
量比0.7〜0.8で配合すると高度の曲げ弾性率を有
するマトリックス樹脂が得られるため好ましい。
【0049】さらに、硬化剤の硬化活性を高めるため
に、適当な硬化助剤を、熱硬化性樹脂組成物に配合する
ことができる。具体的には、ジシアンジアミドと、硬化
助剤として3-フェニル-1,1-ジメチルウレア、3-
(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチルウレア
(DCMU)、3-(3−クロロ−4-メチルフェニル)
-1,1-ジメチルウレア、2,4−ビス(3,3−ジメ
チルウレイド)トルエンのようなウレア誘導体を組合わ
せる例、カルボン酸無水物やノボラック樹脂に第三アミ
ンを硬化助剤として組合わせる例などがあげられる。ま
た、ジシアンジアミドと、硬化助剤として3-(3,4
−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアと組合
せることもできる。
【0050】ここで、硬化助剤として使用される化合物
には、単独でもエポキシ樹脂を硬化させる作用のあるも
のが多い。その他、これらの硬化剤をマイクロカプセル
化するなどして潜在化したものを用いると、室温環境下
で長時間放置により、織物プリプレグのタック性やドレ
ープ性が変化し難く好ましい。
【0051】また、硬化剤として1−置換イミダゾール
などのイミダゾール類を用いると比較的低温で硬化しな
がら高い耐熱性と耐水性を有するマトリックス樹脂が得
られるようになるため好ましい。また、硬化剤として酸
無水物を使用すると、硬化剤としてアミン化合物を使用
する場合と比較して吸水率の低い硬化物を与えるため好
ましい。
【0052】また、エポキシ樹脂と硬化剤を予め混合し
ておき、反応を予備的に進行させたものを、熱硬化性樹
脂組成物に配合することもできる。この方法は、粘度調
節や、保存安定性の向上に有効である。
【0053】本発明において、構成要素[C]は、分子
内に次式(1)〜(4)より選ばれる部分構造(以下、
部分構造Aと略記)を有する化合物である。
【0054】
【化10】
【0055】
【化11】
【0056】
【化12】
【0057】
【化13】
【0058】前記部分構造Aは、強化繊維と相互作用
し、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性を高めるも
のである。相互作用には次の2種がある。1は水素結合
である。これは、強化繊維の表面に−OHや−NHなど
の官能基が存在する場合に有効である。2は強化繊維と
樹脂に含まれる双極子間の電気的引力である。ここでは
部分構造Aは強力な永久双極子として作用する。かかる
永久双極子により誘起双極子が生じ、強化繊維とマトリ
ックス樹脂との間に電気的引力が生じる。かかる電気的
引力は、炭素繊維のように表面官能基が少ない強化繊維
において、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性を向
上させるに当たり、特に有効である。
【0059】さらに構成要素[C]は、分子内に、反応
性官能基を1個有するものである。分子内に、反応性官
能基を2個以上有する場合は、前記部分構造Aが、重合
物のネットワーク構造に取り込まれるようになり、強化
繊維の表面との接触が妨げられ、強化繊維と有効に相互
作用し難くなる。一方、構成要素[C]が、分子内に反
応性官能基を有しないと、強化繊維とマトリックス樹脂
との接着性が充分に発現しなかったりする。さらに、前
記化合物が可塑剤として作用し、マトリックス樹脂の耐
熱性を著しく損ねたりするときもある。
【0060】反応性官能基の具体例としては、カルボキ
シル基、フェノール性水酸基、アミノ基、第2アミン構
造、メルカプト基、エポキシ基、及びカルボニル基と共
役した二重結合からなる群から選ばれる少なくとも1種
が挙げられる。分子内に、反応性官能基を1個有する化
合物の具体例としては、次式(6)又は(8)に示す化
合物が挙げられる。
【0061】
【化14】
【0062】(ここで、Xは、
【0063】
【化15】
【0064】のいずれかであり、R4はアルキル基又は
アリール基である。
【0065】Yは−O−、−NR5−のいずれかであ
り、R5はアルキル基又はアリール基であり、nは0又
は1である。
【0066】R1は、炭化水素より誘導される2価基で
あり、mは0又は1である。
【0067】Zは、カルボキシル基、フェノール性水酸
基、アミノ基、メルカプト基、次の一般式(7)で示さ
れる基、
【0068】
【化16】
【0069】のいずれかであり、R6、R7、R8、R9
水素、アルキル基、アリール基のいずれかである。
【0070】R2は水素、アルキル基、アリール基のい
ずれかであり、R3は水素、アルキル基、アリール基、
−WR10、−W−OR11、−W−NR1213のいずれか
であり、R10、R11はアルキル基又はアリール基であ
り、R12、R13は水素、アルキル基、アリール基のいず
れかであり、Wは−CO−又は−SO2−である。
【0071】上記のアルキル基、アリール基、及びR1
は、アルキル基、アリール基、ハロゲン、アルコキシ基
から選ばれる置換基を有しても良い。さらに、R1
2、R 3、R5、R6のいずれか2つが環を形成しても良
い。)
【0072】
【化17】
【0073】(ここで、Xは、
【0074】
【化18】
【0075】のいずれかであり、R17はアルキル基又は
アリール基である。また、R15はアルキル基又はアリー
ル基であり、R16は水素、アルキル基、アリール基、ア
シル基のいずれかであり、nは0又は1である。
【0076】R14は、炭化水素より誘導される2価基で
あり、mは0又は1である。
【0077】Zは、カルボキシル基、フェノール性水酸
基、アミノ基、メルカプト基、次の一般式(9)で示さ
れる基、
【0078】
【化19】
【0079】のいずれかであり、R18、R19、R20、R
21は水素、アルキル基、アリール基のいずれかである。
【0080】上記のアルキル基、アリール基、及びR14
はアルキル基、アリール基、ハロゲン、アルコキシ基か
ら選ばれる置換基を有しても良い。さらに、R14
15、R 16、R18のいずれか2つが環を形成しても良
い。) カルボキシル基を1個有し、一般式(6)で示される化
合物の具体例としては、オキサミン酸、スクシンアミド
酸、2-(フェニルカルバモイルオキシ)プロピオン酸、5-
ヒダントイン酢酸などが挙げられる。
【0081】カルボキシル基を1個有し、一般式(8)
で示される化合物の具体例としては、N-アセチルグリシ
ン、N-アセチルアラニン、4-アセトアミド安息香酸、N-
アセチルアントラニル酸、4-アセトアミド酪酸、6-アセ
トアミドヘキサン酸、馬尿酸、ピログルタミン酸、N-ト
シルグリシン、N-ジメチルホスフィノイルグリシンなど
が挙げられる。
【0082】フェノール性水酸基を1個有し、一般式
(6)で示される化合物の具体例としては、サリチルア
ミド、4-ヒドロキシベンズアミド、4-ヒドロキシフェニ
ルアセトアミドなどが挙げられる。
【0083】フェノール性水酸基を1個有し、一般式
(8)で示される化合物の具体例としては、4-ヒドロキ
シアセトアニリド、3-ヒドロキシアセトアニリド、N-ア
セチルチラミンなどが挙げられる。
【0084】アミノ基を1個有し、一般式(6)で示さ
れる化合物の具体例としては、4-アミノベンズアミド、
3-アミノベンズアミド、4-アミノブチルアミド、6-アミ
ノヘキサンアミド、3-アミノフタルイミド、4-アミノフ
タルイミド、スルファニルアミド、1-ブチル-3-スルフ
ァニリルウレア、ファーストレッドITRベース、FG
Lベース、2-アミノ-N-エチル-N-フェニルベンゼンスル
ホンアミドなどが挙げられる。
【0085】アミノ基を1個有し、一般式(8)で示さ
れる化合物の具体例としては、4'-アミノアセトアニリ
ド、4'-アミノ-N-メチルアセトアニリド、3'-アミノプ
ロピオンアニリド、などが挙げられる。
【0086】第2アミン構造を1個有し、一般式(6)
で示される化合物の具体例としては、ニペコタミド、N,
N-ジエチルニペコタミド、イソニペコタミドなどが挙げ
られる。
【0087】第2アミン構造を1個有し、一般式(8)
で示される化合物の具体例としては、1-アセチルピペラ
ジン、1-トシルピペラジンなどが挙げられる。
【0088】メルカプト基を1個有し、一般式(8)で
示される化合物の具体例としては、4-アセトアミドチオ
フェノール、N-(2-メルカプトエチル)アセトアミドな
どが挙げられる。
【0089】エポキシ基を1個有し、一般式(6)で示
される化合物の具体例としては、グリシダミド、N-フェ
ニルグリシダミド、N,N-ジエチルグリシダミド、N-メト
キシメチルグリシダミド、N-ヒドロキシメチルグリシダ
ミド、2,3-エポキシ-3-メチルブチルアミド、2,3-エポ
キシ-2-メチルプロピオンアミド、9,10-エポキシステア
ラミドなどが挙げられる。
【0090】エポキシ基を1個有し、一般式(8)で示
される化合物の具体例としては、N-グリシジルフタルイ
ミドなどが挙げられる。
【0091】一般式(6)又は(8)で示される化合物
の他に、アミノ基を1個有する化合物として、ヒドラジ
ド類、具体的には、アセトヒドラジド、ベンゾヒドラジ
ド、3-アミノローダニン、ベンゼンスルホヒドラジドな
どが挙げられる。
【0092】硬化剤と反応する反応性官能基としては、
さらにカルボニル基と共役した二重結合が挙げられる。
カルボニル基と共役した二重結合は、硬化剤中のアミノ
基やメルカプト基とマイケル型の付加反応を行う。
【0093】カルボニル基と共役した二重結合を1個有
する化合物としては、次の一般式(10)又は(11)
に示す化合物を用いることができる。
【0094】
【化20】
【0095】(ここで、Xは、
【0096】
【化21】
【0097】のいずれかであり、R28はアルキル基又は
アリール基である。
【0098】Yは−O−、−NR29−のいずれかであ
り、R29はアルキル基又はアリール基であり、nは0又
は1である。
【0099】R22は、炭化水素より誘導される2価基で
ある。
【0100】R23、R24、R25は水素、アルキル基、ア
リール基のいずれかである。
【0101】R26は水素、アルキル基、アリール基のい
ずれかであり、R27は水素、アルキル基、アリール基、
−WR30、−W−OR31、−W−NR3233のいずれか
であり、R30、R31はアルキル基又はアリール基であ
り、R32、R33は水素、アルキル基、アリール基のいず
れかであり、Wは−CO−又は−SO2−である。
【0102】上記のアルキル基、アリール基、及びR18
はアルキル基、アリール基、ハロゲン、アルコキシ基か
ら選ばれる置換基を有しても良い。さらに、R22
23、R 24、R25、R26、R27、R29のいずれか2つが
環を形成しても良い。)
【0103】
【化22】
【0104】(ここで、Xは、
【0105】
【化23】
【0106】のいずれかであり、R40はアルキル基又は
アリール基であり、nは0又は1である。
【0107】R34は、炭化水素より誘導される2価基で
ある。
【0108】R35、R36、R37は水素、アルキル基、ア
リール基のいずれかである。
【0109】R38はアルキル基、アリール基のいずれか
であり、R39は水素、アルキル基、アリール基、アシル
基のいずれかである。
【0110】上記のアルキル基、アリール基、及びR34
はアルキル基、アリール基、ハロゲン、アルコキシ基か
ら選ばれる置換基を有しても良い。さらに、R34
35、R 36、R37、R38、R39のいずれか2つが環を形
成しても良い。) さらに、カルボニル基と共役した二重結合を1個有する
化合物は、二重結合と共役するカルボニル基が式(1)
の構造のカルボニル基と同一であっても良い。すなわ
ち、次式(5)に示す部分構造を有するものでも良い。
【0111】
【化24】
【0112】上式(5)に示す部分構造Bを有する化合
物としては、次の一般式(12)に示すものを用いるこ
とができる。
【0113】
【化25】
【0114】(ここで、R41、R42、R43は水素、アル
キル基、アリール基のいずれかである。R44は水素、ア
ルキル基、アリール基のいずれかであり、R45は水素、
アルキル基、アリール基、−WR46、−W−OR47、−
W−NR4849のいずれかであり、R46、R47はアルキ
ル基又はアリール基であり、R48、R49は水素、アルキ
ル基、アリール基のいずれかであり、Wは−CO−又は
−SO2−である。
【0115】上記のアルキル基、アリール基はアルキル
基、アリール基、ハロゲン、アルコキシ基から選ばれる
置換基を有しても良い。さらに、R41、R42、R43、R
44、R45のいずれか2つが環を形成しても良い。) 式(5)に示す部分構造Bを有する化合物としては、さ
らにマレイミド及びアルキル基又はアリール基を置換基
として有するマレイミド誘導体を用いることができる。
【0116】一般式(10)で示される化合物の具体例
としては、2-(フェニルカルバモイルオキシ) エチルメ
タクリレート、2-(メタクリロイルオキシ)プロピオンア
ミド、2-(フェニルウレイド)エチルメタクリレード、
ラクタミドアクリレート、ラクタミドメタクリレート、
2-(ジメチルチオカルバモイルオキシ)エチルメタクリ
レート、2-(トシルカルバモイルオキシ)エチルメタク
リレートなどが挙げられる。
【0117】一般式(11)で示される化合物の具体例
としては、2-(メトキシカルボニルアミノ)エチルメタ
クリレート、2-(フェノキシカルボニルアミノ)エチル
メタクリレートなどが挙げられる。
【0118】一般式(12)で示される化合物の具体例
としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロト
ンアミド、シンナムアミド、N,N-ジメチルアクリルアミ
ド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N,N-ジブチルアクリ
ルアミド、N,N-ジベンジルアクリルアミド、N-tert-ブ
チルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、
N-ブチルアクリルアミド、N-t-ブチルアクリルアミド、
N-t-オクチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアク
リルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-ブト
キシメチルアクリルアミド、N-イソブトキシメチルアク
リルアミド、ジアセトンアクリルアミド、1-アクリロイ
ルモルホリン、1,2,3,6-テトラヒドロフタルイミド、ナ
ジイミドなどが挙げられる。
【0119】アルキル基又はアリール基を置換基として
有するマレイミド誘導体としては、N-エチルマレイミ
ド、N-イソプロピルマレイミド、N-フェニルマレイミド
などが挙げられる。
【0120】前記部分構造Aは、より大きな構造の一部
でも良い。例えば、式(1)に示すアミド結合を有する
化合物としては、カルボン酸アミドがあるが、それ以外
にも環の一部にアミド結合を有するものでも良い。この
場合、特に、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性が
高められ好ましい。さらに、部分構造Aは、より大きな
構造、例えば、イミド、ウレタン、ウレア、ビウレッ
ト、ヒダントイン、カルボン酸ヒドラジド、ヒドロキサ
ム酸、セミカルバジド、セミカルバゾンなどの構造の一
部でも良い。
【0121】アミド結合のカルボニル酸素は、ガラス強
化繊維表面の水酸基、アラミド繊維表面のアミド基、炭
素繊維表面のカルボキシル基や水酸基などの水素原子と
の水素結合を形成し、強化繊維とマトリックス樹脂との
接着性を高める。
【0122】さらに、アミド結合におけるカルボニル基
は強い永久双極子でもあるため、炭素繊維のように分極
率の高い強化繊維に誘起双極子を作り、双極子−双極子
の電気的引力により、強化繊維とマトリックス樹脂との
接着性を高める。
【0123】構成要素[C]における反応性官能基は、
使用する熱硬化性樹脂に応じて選択されるが、主反応で
ある熱硬化性樹脂の硬化反応、又は熱硬化性樹脂とその
硬化剤との反応に対して相対的に遅い反応性を有するの
が好ましい。この場合、主反応である硬化反応に対し、
その初期段階では、構成要素[C]の反応進行量が小さ
く、後になって反応が進行することになり、その結果、
内部ネットワーク構造の末端部分に部分構造Aが多く存
在することになり、構成要素[C]の配合量が少ない場
合でも、本発明の効果を奏するに当たり充分となる。
【0124】構成要素[C]は、強化繊維とマトリック
ス樹脂との接着性を高めるだけではなく、マトリックス
樹脂の曲げ弾性率を高める作用もある。これは、部分構
造Aや部分構造Bと、硬化物中に存在する−OHや−N
Hなどの官能基が水素結合を形成し、マトリックス樹脂
の分子運動を拘束するためと推定される。
【0125】構成要素[C]は、熱硬化性樹脂組成物全
100重量部に対して、0.5〜15重量部。好ましく
は0.5〜10重量部配合するのが良い。0.5部未満
であると、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性が充
分に向上されず、15重量部を超えると硬化物の耐熱性
が低下することがある。
【0126】構成要素[C]は、室温で液状のものでも
固形状のものでも良い。固形状のものを用いる場合は、
構成要素[B]に配合した後、加熱撹拌して溶解させて
も良いし、未溶解のままでも良い。未溶解の状態で配合
する場合は、粒径10μm以下に粉砕するのが好まし
い。
【0127】本発明においては、未硬化樹脂の粘弾性
や、マトリックス樹脂の圧縮強度や靱性の改良のため、
熱硬化性樹脂組成物に、種々の化合物が改質剤として配
合できる。具体的には、熱可塑性樹脂、有機粒子、無機
粒子、固形ゴム、液状ゴム、熱可塑性樹脂エラストマ
ー、及び短繊維からなる群から選ばれる1種以上の化合
物が好ましい。中でも熱可塑性樹脂が好適に用いられ
る。これにより、樹脂の粘度制御性、織物プリプレグの
取り扱い性、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性が
顕著に向上する。
【0128】熱可塑性樹脂は、本発明による熱硬化性樹
脂組成物に適度な粘弾性を付与する観点から、その配合
量を構成要素[B]100重量部に対して1〜20重量
部とするのが好ましい。
【0129】熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリスル
ホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポ
リビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリエチ
レンオキサイド、共重合ナイロンなどが挙げられる。中
でも、強化繊維とマトリックス樹脂との接着性を大きく
向上させることから、水素結合性の官能基を有するもの
が好ましい。具体的には、アルコール性水酸基、アミド
結合、スルホニル基などが挙げられる。アルコール性水
酸基を有するものとしては、ポリビニルホルマールやポ
リビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂、
ポリビニルアルコール、フェノキシ樹脂などが挙げら
れ、アミド結合を有するものとしては、ポリアミド、ポ
リイミドなどが挙げられ、スルホニル基を有するものと
しては、ポリスルホンなどが挙げられる。ここで、ポリ
アミド、ポリイミド及びポリスルホンは、主鎖にエーテ
ル結合、カルボニル基などの官能基を有するものでも良
い。ポリアミドは、アミド基の窒素原子にアルキル基な
どの置換基を有するものでも良い。
【0130】エポキシ樹脂に可溶、かつ水素結合性の官
能基を有する熱可塑性樹脂の市販品としては、“デンカ
ブチラール”及び“デンカホルマール”(登録商標、電
気化学工業(株)製)、“ビニレック”(登録商標、チ
ッソ(株)製)なとのポリビニルアセタール樹脂、“U
CAR”PKHP(型番、ユニオンカーバイド社製)な
どのフェノキシ樹脂、“マクロメルト”(登録商標、ヘ
ンケル白水(株)製)、“アミラン”CM4000(登
録商標、東レ(株)製)などのポリアミド樹脂、”ウル
テム”(登録商標、ジェネラル・エレクトリック社
製)、“Matrimid”5218(登録商標、、チ
バ社製)などのポリイミド樹脂、“Victrex”
(登録商標、三井東圧化学(株)製)、“UDEL”
(型番、ユニオンカーバイド社製)などのポリスルホン
樹脂が使用できる。
【0131】有機粒子は、マトリックス樹脂に適度な靭
性を与え、繊維強化複合材料としたときの耐衝撃性を高
めるために付与するものである。有機粒子としては、ゴ
ム粒子や熱可塑性樹脂粒子などが用いられる。
【0132】ゴム粒子としては、架橋ゴム粒子や、架橋
ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合したコア
シェルゴム粒子が好ましい。架橋ゴム粒子の粒子径は、
10μm以下が良く、好ましくは5μm以下、より好ま
しくは1μm以下が良い。10μmを超えると、強化繊
維にマトリックス樹脂を含浸させる際に、架橋ゴム粒子
の、熱硬化性樹脂組成物における分散性が悪化すること
がある。粒子径が1μm以下であると、強化繊維の含有
率が50体積%以上の複合材料でも繊維配向が乱されに
くく、得られる複合材料の耐衝撃性も顕著に向上し好ま
しい。架橋ゴム粒子の粒子径は、0.1μm程度有れば
本発明の効果を奏するに当たり充分であることが多い。
【0133】ここで、ゴム粒子の粒子径は、次に示す方
法で測定できる。すなわち、測定する粒子を室温で真空
乾燥して、含有水分率を0.2重量%以下とした後、粒
度計を用いて粒子の平均粒子径を測定する。ここでは粒
度計として、レーザー回折式粒度計(島津製作所(株)
製 SALD-200A型)を使用し、粒子を球体と想定して、
その直径を平均粒子径として求める。
【0134】架橋ゴム粒子の市販品としては、カルボキ
シル変性のブタジエン−アクリロニトリル共重合体の架
橋物からなるXER−91(型番、日本合成ゴム工業
(株)製)、アクリルゴム微粒子からなるCX−MNシ
リーズ(型番、日本触媒(株)製)、YR−500シリ
ーズ(型番、東都化成(株)製)などを使用することが
できる。
【0135】コアシェルゴム粒子の市販品としては、ブ
タジエン・メタクリル酸アルキル・スチレン共重合体か
らなる“パラロイド”EXL-2655(登録商標、呉羽化学工
業(株)製)、アクリル酸エステル・メタクリル酸エス
テル共重合体からなる“スタフィロイド”AC-3355、TR-2
122(登録商標、武田薬品工業(株)製)、アクリル酸
ブチル・メタクリル酸メチル共重合体からなる“PARALO
ID”EXL-2611、EXL-3387(登録商標、Rohm & Haas社
製)などを使用することができる。
【0136】熱可塑性樹脂粒子としては、ポリアミド樹
脂やポリイミド樹脂の粒子が好ましく用いられる。ポリ
アミド粒子の市販品としては、SP-500(型番、東レ
(株)製)、“オルガソール”(登録商標、ATOCH
EM社製)が挙げられる。
【0137】無機粒子は、増粘や適切なチキソトロピー
性付与など、本発明による熱硬化性樹脂組成物のレオロ
ジー制御のため配合するものである。無機粒子の具体例
としては、タルク、ケイ酸アルミニウム、微粒子状シリ
カ、炭酸カルシウム、マイカ、モンモリロナイト、スメ
クタイト、カーボンブラック、炭化ケイ素、アルミナ水
和物等が挙げられる。中でも、微粒子状シリカは、適切
なチキソトロピー性付与のために好適に使用できるが、
他にも熱硬化性樹脂組成物の粘弾性の温度依存性を低く
することにより、織物プリプレグのタック性の経時変化
を抑制するなどして、取り扱い性を向上させることもで
きる。
【0138】微粒子状シリカは、二酸化ケイ素を基本骨
格とするものとして、一次粒径の平均値が、5〜40n
mのものが、本発明による熱硬化性樹脂組成物に充分な
増粘効果を付与するため好ましい。この微粒子状シリカ
市販品としては、”アエロジル”(登録商標、日本アエ
ロジル(株)製)などが使用できる。微粒子状シリカ
は、その比表面積が50〜400m2 /gで、シリカの
表面がシラノール基で覆われているものが良いが、本発
明による熱硬化性樹脂組成物の増粘付与、適切なチキソ
トロピー性付与、成形体の耐水性、圧縮強度に代表され
る力学物性を向上させる観点から、シラノール基の水素
をメチル基、オクチル基、ジメチルシロキサンなどで置
換した疎水性微粒子状シリカを用いるのが好ましい。
【0139】無機粒子は、熱硬化性樹脂組成物100重
量%に対して、0.5〜8重量%、好ましくは0.8〜
5重量%、より好ましくは1〜3重量%配合するのが良
い。0.5重量%未満であると、無機粒子特有の前記し
たような改質作用が得にくく、8重量%を超えると樹脂
粘度が高すぎ、織物プリプレグへの含浸性が悪化する。
【0140】固形ゴムとしては、ブタジエンとアクリロ
ニトリルのランダムコポリマーであるアクリロニトリル
−ブタジエン共重合体がエポキシ樹脂との相溶性の面か
ら好ましい。アクリロニトリルの共重合比を変化させる
ことでエポキシ樹脂との相溶性を制御できる。
【0141】強化繊維とマトリックス樹脂との接着性を
高めるためには官能基を有する固形ゴムが好ましい。官
能基の具体例としては、カルボキシル基やアミノ基など
が挙げられる。固形ゴムとしては、分子内にカルボキシ
ル基を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴムの固形
ゴムが好ましい。固形ゴムの市販品としては、NIPOL107
2、NIPOL1072J、NIPOL1472、NIPOL1472HV、NIPOL1042、
NIPOL1043、NIPOL DN631、NIPOL1001、ZETPOL2020、ZET
POL2220、ZETPOL3110(以上、型番、日本ゼオン(株)
製)などを使用することができる。
【0142】熱可塑性エラストマーとしては、ポリエス
テル系やポリアミド系の熱可塑性エラストマーが好まし
く使用できる。特に、ポリアミド系の熱可塑性エラスト
マーは、得られる繊維強化複合材料において、繊維方向
圧縮強度、非繊維方向引張強度、層間剪断強度などの強
度特性を高めるため好ましい。かかる熱可塑性エラスト
マーを配合した熱硬化性樹脂組成物は、得られる織物プ
リプレグに優れたタック性を実現しながら、低粘度であ
り、ドレープ性、強化繊維への含浸性にも優れ、熱硬化
性樹脂組成物の粘弾性の温度依存性、特に室温付近での
変化を小さくするため、織物プリプレグの取り扱い性の
温度依存性を低減させるため好ましい。
【0143】かかる熱可塑性エラストマーは、構成要素
[B]100重量部に対して1〜20重量部配合するの
が好ましい。また、熱可塑性エラストマーの融点は、熱
硬化性樹脂組成物の硬化後の耐熱性に影響を与えるた
め、100℃以上が良く、好ましくは140℃以上が良
い。
【0144】本発明においては、硬化後にマトリックス
樹脂となる熱硬化性樹脂組成物に、反応性希釈剤、鎖延
長剤、酸化防止剤などを配合しても良いし、種々の目的
で樹脂に可溶なシリコーンを配合しても良い。例えば、
欧州特許第475611号公報(対応日本特許;特開平
6−93103号公報)に開示されている反応性シリコ
ーンは、樹脂硬化物の靭性、延性を向上させ、未硬化樹
脂のレオロジー特性の調節に有効であり好ましい。
【0145】反応性希釈剤としては、1官能のエポキシ
化合物が好ましく用いられる。具体的には、ブチルグリ
シジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテ
ル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジル
エーテル、p-sec- ブチルグリシジルエーテル、p-ter
t-ブチルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0146】鎖延長剤としては、耐衝撃性の高い複合材
料を得るために、ビスフェノール類が好ましく用いられ
る。具体的には、ビスフェノールA、ビスフェノール
S、フルオレンビスフェノールなどが挙げられる。
【0147】酸化防止剤としては、硫黄系酸化防止剤が
好ましく用いられる。具体的には、2,6−ジ-tert-ブ
チル−p−クレゾール(BHT)、ブチル化ヒドロキシ
アニソール、トコフェノールなどのフェノール系酸化防
止剤、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジ
ステアリル3,3’−チオジプロピオネートなどが挙げ
られる。
【0148】本発明において、プリプレグ作製には、マ
トリックス樹脂を溶媒に溶解して低粘化し含浸させるウ
エット法と、加熱により樹脂を低粘度化し含浸させるホ
ットメルト法などが適用できる。特にホットメルト法
は、熱硬化性樹脂組成物を離型紙などの上にコーティン
グして得られるフィルムを、強化繊維の片側又は両側か
ら積層し、その後加熱加圧することにより樹脂を含浸さ
せプリプレグを作製する方法であり、マトリックス樹脂
の含有率やプリプレグの厚みを制御しやすく、また、樹
脂含浸時の温度や圧力の調節によりカバーファクターの
高い織物プリプレグが容易に得られ、タック性の経時変
化の少なくなるため好ましく採用される方法である。
【0149】本発明による織物プリプレグにおいて、熱
硬化性樹脂組成物の含有率(以下、樹脂含有率と略記)
は、織物プリプレグ全100重量%に対して、33〜5
0重量%、好ましくは35〜45重量%が良い。33重
量%未満であると、織物プリプレグのタック性が損なわ
れ、成形体において、表面にピットや樹脂カスレ、内部
にポロシティが発生し易くなり、強度特性、耐衝撃性が
低くなる。一方、樹脂含有率が50重量%を超えると、
プリプレグ作製時や、複合材料の成形時に樹脂の流出が
起こり易くなり、また成形体の重量も増えるため軽量化
の利点が小さくなる。
【0150】本発明において、ハニカムサンドイッチパ
ネルは、上述したような、強化繊維と樹脂組成物とから
なる織物プリプレグをハニカムコアの両面にそれぞれ積
層した後、樹脂組成物を硬化させながらハニカムコアに
接着せしめる方法にて成型することができる。かかる成
型法としては、真空バッグ成形、真空バッグを用いたオ
ートクレーブ成型、プレス成型が多用されるが、より高
性能のハニカムサンドイッチパネルを得るためにオート
クレーブ成型法が好ましい。
【0151】また、本発明において、前記スキンパネル
のカバーファクターは、スキンパネルとハニカムコアと
の接着強度すなわちCDP向上の観点から95%以上、
より好ましくは98%以上が好ましい。
【0152】また、成形サイクルを短くし、高品位の表
面平滑性を得るためにプレス成型法が好ましく、マトリ
ックス樹脂としてフェノール樹脂を用いる場合は、プレ
ス成型法が多用される。
【0153】ハニカムコアとしては軽量でありながら高
強度の構造体を形成できる点で、フェノール樹脂を含浸
させたアラミド紙からなるノーメックスハニカムコアが
好ましく用いられる。かかるハニカムコアは、セルサイ
ズは3〜19mmの範囲のものを用いるのが良い。その
他、ハニカムコアとしてはアルミハニカム、ガラス繊維
強化プラスチック(GFRP)ハニカム、グラファイト
ハニカム、ペーパーハニカム等を用いることもできる。
【0154】なお、後述する実施例においては、織物プ
リプレグ、繊維強化複合材料、及びハニカムサンドイッ
チパネルの物性値の測定は次に示す方法によった。 <樹脂硬化物の曲げ弾性率、引張伸度>曲げ弾性率につ
いては、厚み2mmの樹脂板を作製し、ASTM D7
90に従い3点曲げ法により測定し、引張伸度について
は、厚み2mmの樹脂板を作製し、JIS K7113
に従いダンベル型試験片を用いて測定する。
【0155】<炭素繊維の引張強度、引張弾性率>測定
する炭素繊維に、ユニオンカーバイド(株)製、”ベー
クライト”(登録商標)ERL−4221(型番)を1
000g(100重量部)、三フッ化ホウ素モノエチル
アミン(BF3・MEA)を30g(3重量部)及びア
セトンを40g(4重量部)混合した熱硬化性樹脂組成
物を含浸させ、次に130℃で、30分間加熱して硬化
させ、樹脂含浸ストランドを得る。樹脂含浸ストランド
試験法(JIS R7601)により引張強度と引張弾
性率を求める。 <炭素繊維の引張伸度>JIS R7601に従い測定
する。 <フックドロップ値>予め長さ約3cm、直径約0.5
mmのステンレス製針金を、円弧部の直径が5mmにな
るように、フック状に折り曲げ、その一端に5gの重り
をつけたものを用意する。
【0156】測定するプリカーサーを約1m採取し、一
端を固定後、もう一端にフィラメント数12000本当
たり500gの重りをつけ、適当な場所で垂下する。
【0157】前記フック部をプリカーサー上部の固定端
から5cm下の糸束中心に差し入れ静かに放し、フック
部が自重で鉛直方向に落下後、静止するまでズレ落ちた
移動距離を測定する。少なくとも10回の測定を行い、
その相加平均値をフックドロップ値とする。 <織物プリプレグ、ハニカムサンドイッチパネルのカバ
ーファクターCf>測定する織物プリプレグについて、
その裏面側から、光を当てながら織物プリプレグの表面
を実態顕微鏡で写真撮影する。織糸部分は黒く、織目部
分は白く、織物の透過光パターンが撮影される。ここ
で、光量はハレーションを起こさない範囲に適度な量に
設定する。ハニカムサンドイッチパネルについては、パ
ネル表面から写真撮影する他はプリプレグの場合と同様
とする。
【0158】次に、得られる写真をCCD (charge cou
pled device)カメラで撮影し、撮影画像を白黒の明暗を
表わすデジタルデータに変換してメモリに記憶し、それ
を画像処理装置で解析し、全体の面積S1と、白い部分
(織目部分)の面積S2とから、次の一般式より求め
る。
【0159】カバーファクターCf(%) =[(S1
2)/S1]×100 なお、写真のデジタルデータには織糸部分(黒い部分)
と織目部分(白い部分)との境界に黒と白との中間部分
が含まれる。この中間部分を織糸部分と織目部分に区別
するためのしきい値を設定する必要がある。しきい値の
設定のため、標準サンプルとしてカバーファクターが7
5%の格子(透明な紙に幅6mmの黒色テープを縦横に
格子状に貼りつけ、カバーファクターが75%となるよ
うにしたもの)を使用する。
【0160】同じ織物10箇所について、同様の操作を
実施し、n=10の相加平均値をカバーファクターとす
る。
【0161】ここでは、実態顕微鏡として、ニコン
(株)製、型番:SMZ-10-1、CCDカメラ及び画像処理
装置として、ピアス(株)社製、パーソナル画像解析シ
ステムLA-525を使用する。 <繊維方向圧縮強度(縦糸圧縮強度)>織物プリプレグ
の縦糸方向を揃え6枚積層して得た複合材料から、幅1
2.7mm、長さ79.4mm、タブ間スパン4.8m
mの試験片を作製し、ASTMD695に従い、縦糸圧
縮強度を測定する。本測定は温度23℃、相対湿度50
%の環境で行う。 <非繊維方向引張強度(フラットワイズ引張強度)>織
物プリプレグの縦糸方向を揃え6枚積層して得た複合材
料から、縦50.8mm×横50.8mmの試験片を作
製し、アルミブロックをフィルム接着剤AF-126住友3M
(株)製などで接着した後、ASTM 297−61に
従い、厚み方向に引き剥がし強度を測定する。本測定は
温度23℃、相対湿度50%の環境で行う。 <衝撃後圧縮強度(CAI)>織物プリプレグの積層構
成を[[(±45)/(0/90)/(0/90)]2/[(±45)/(0/90)]3]sの
24枚積層とし、複合材料を作製する。6.7J/mm
の落錘衝撃を付与した後、圧縮強度をASTM D69
5に従い測定する。本測定は温度23℃、相対湿度50
%の環境で行う。 <スキンパネルとハニカムコアとの接着強度(CDP)
> (1)サンプルの積層 ハニカムコアとして、ノーメックスハニカムSAH1/
8−8.0(昭和飛行機(株)社製、SAH1/8−
8.0、厚み12.7mm)を用い、2プライ対称積層
構成とする。ここで、ハニカムコアと織物プリプレグの
寸法は、40cm(短手方向)×50cm(長手方向)
とし、織物プリプレグは、短手方向がハニカムコアのリ
ボン(L)方向、織物プリプレグの縦糸方向になるよう
に積層する。
【0162】次に、ナイロンバッグでアルミニウムツー
ル板上の積層体を覆い、バッグ内を真空状態に保った状
態でオートクレーブに収納し、1.5℃/分で135℃
迄昇温し、同温で2時間保持し硬化させる。次に150
Paまで圧力を与えたところでバッグ内を常圧に戻し、
その後300Paまで昇圧してから180℃迄昇温す
る。
【0163】その後、180℃で2時間放置して織物プ
リプレグを硬化させつつプリプレグ積層体をハニカムコ
アと接着させた後、室温まで2℃/分で降温し、ハニカ
ムコキュア成型体、すなわちハニカムサンドイッチパネ
ルとする。 (2)クライミングドラムピール強度の測定 上記した成型体サンプルを用いて、ASTM D178
1に従って、アルミニウムツール板側の、スキンパネル
とハニカムコアとのクライミングドラムピール強度(以
下、CDPと略記)を測定し、スキンパネルとハニカム
コアとの自己接着性の指標とする。
【0164】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。織物プリプレグの作製、複合材料の作製は次の方法
によった。 (1)織物の作製 通常の方法により作製された強化繊維織物を用いた。例
えば、扁平な炭素繊維マルチフィラメント糸を用いた織
物は、特開平7−300739号公報開示の方法によっ
て作製した。 (2)織物プリプレグの作製 熱硬化性樹脂組成物を離型紙上にコーティングし、所定
の樹脂目付の樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィル
ムをプリプレグ作製機にセットし、強化繊維織物の両面
から重ね、加熱加圧して熱硬化性樹脂組成物を含浸さ
せ、繊維目付193g/m2、樹脂含有率が40重量%
の織物プリプレグを作製した。 (3)繊維強化複合材料の作製 織物プリプレグを所定枚数積層し、オートクレーブ中で
温度135℃、圧力580Paで2時間加熱加圧して硬
化し、複合材料を作製した。
【0165】以下、実施例、比較例について説明する。
実施例、比較例中に記載の部数はすべて重量部である。
実施例、比較例は表1及び表2にまとめて示す。 (実施例1)構成要素[C]として、N,N−ジメチル
アクリルアミドを配合した例を示す。
【0166】下記原料をニーダーで混合して熱硬化性樹
脂組成物を得た。 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 40部 (“エピコート”828(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールA型エポキシ樹脂 30部 (“エピコート”1001(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) 臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂 20部 (“エピクロン”152(登録商標)、大日本インキ化学工業(株)製) テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン 10部 (“スミエポキシ”ELM434(登録商標)、住友化学工業(株)製) ジシアンジアミド 5部 (DICY7(型番)、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99(型番)、保土ヶ谷化学工業(株)製) N,N−ジメチルアクリルアミド 5部 ((株)興人製) ポリビニルホルマール 7部 (“ビニレック”K(登録商標)、チッソ(株)製) この熱硬化性樹脂組成物と、強化繊維織物として引張強
度4.9GPa、引張弾性率230GPa、引張伸度
2.1%、フックドロップ値170mmである東レ
(株)製、炭素繊維T700SC−12K(繊維数12
000本、繊度7200デニール)からなる炭素繊維平
織織物(目付193g/m2 、糸厚み0.11mm、糸
幅/糸厚み比70.2)を用い、樹脂含浸温度を110
℃として、織物プリプレグを作製した。プリプレグのカ
バーファクターは98.2%であった。さらに前記の方
法により複合材料及びハニカムサンドイッチパネルを作
製し、それらの物性を測定した。ハニカムサンドイッチ
パネルにおけるスキンパネルのカバーファクターは9
9.3%であった。 (実施例2)下記原料をニーダーで混合して熱硬化性樹
脂組成物を得た。 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 40部 (“エピコート”828(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールA型エポキシ樹脂 30部 (“エピコート”1001(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) 臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂 20部 (“エピクロン”152(登録商標)、大日本インキ化学工業(株)製) テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン 10部 (“スミエポキシ”ELM434(登録商標)、住友化学工業(株)製) ジシアンジアミド 5部 (DICY7(型番)、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99(型番)、保土ヶ谷化学工業(株)製) N,N−ジメチルアクリルアミド 3部 ((株)興人製) ポリビニルホルマール 7部 (“ビニレック”K(登録商標)、チッソ(株)製) この熱硬化性樹脂組成物と、実施例1と同じ炭素繊維平
織織物を用い、樹脂含浸温度を110℃として、織物プ
リプレグを作製した。プリプレグのカバーファクターは
99.1%であった。さらに前記の方法により複合材料
及びハニカムサンドイッチパネルを作製し、それらの物
性を測定した。ハニカムサンドイッチパネルにおけるス
キンパネルのカバーファクターは99.4%であった。 (実施例3)下記原料をニーダーで混合して熱硬化性樹
脂組成物を得た。 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 40部 (“エピコート”828(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールA型エポキシ樹脂 30部 (“エピコート”1001(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) 臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂 20部 (“エピクロン”152(登録商標)、大日本インキ化学工業(株)製) テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン 10部 (“スミエポキシ”ELM434(登録商標)、住友化学工業(株)製) ジシアンジアミド 5部 (DICY7(型番)、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99(型番)、保土ヶ谷化学工業(株)製) N,N−ジメチルアクリルアミド 2部 ((株)興人製) ポリビニルホルマール 7部 (“ビニレック”K(登録商標)、チッソ(株)製) この熱硬化性樹脂組成物と、実施例1と同じ炭素繊維平
織織物を用い、樹脂含浸温度を110℃として、織物プ
リプレグを作製した。プリプレグのカバーファクターは
98.4%であった。さらに前記の方法により複合材料
及びハニカムサンドイッチパネルを作製し、それらの物
性を測定した。ハニカムサンドイッチパネルにおけるス
キンパネルのカバーファクターは99.1%であった。 (比較例1)下記原料をニーダーで混合して熱硬化性樹
脂組成物を得た。これは、実施例1〜3の樹脂組成物か
ら構成要素[C]を除いた例である。 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 40部 (“エピコート”828(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールA型エポキシ樹脂 30部 (“エピコート”1001(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) 臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂 20部 (“エピクロン”152(登録商標)、大日本インキ化学工業(株)製) テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン 10部 (“スミエポキシ”ELM434(登録商標)、住友化学工業(株)製) ジシアンジアミド 5部 (DICY7(型番)、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99(型番)、保土ヶ谷化学工業(株)製) ポリビニルホルマール 7部 (“ビニレック”K(登録商標)、チッソ(株)製) この熱硬化性樹脂組成物と、実施例1と同じ炭素繊維平
織織物を用い、樹脂含浸温度を110℃として、織物プ
リプレグを作製した。プリプレグのカバーファクターは
97.6%であった。さらに前記の方法により複合材料
及びハニカムサンドイッチパネルを作製し、それらの物
性を測定した。縦糸圧縮強度、フラットワイズ引張強
度、衝撃後圧縮強度、CDPとも実施例1〜3と比べ劣
っていた。ハニカムサンドイッチパネルにおけるスキン
パネルのカバーファクターは97.8%であった。 (比較例2)下記原料をニーダーで混合して熱硬化性樹
脂組成物を得た。これは、実施例1の構成要素[C]に
相当する化合物として、分子内に熱硬化性樹脂又はその
硬化剤と反応しうる官能基を有さず、かつアミド結合を
含む化合物(N−オクチルピロリドン)を配合した例で
ある。 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 40部 (“エピコート”828(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールA型エポキシ樹脂 30部 (“エピコート”1001(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) 臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂 20部 (“エピクロン”152(登録商標)、大日本インキ化学工業(株)製) テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン 10部 (“スミエポキシ”ELM434(登録商標)、住友化学工業(株)製) ジシアンジアミド 5部 (DICY7(型番)、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99(型番)、(保土ヶ谷化学工業(株)製) N−オクチルピロリドン 5部 (アルドリッチ・ケミカル・カンパニー製) ポリビニルホルマール 7部 (“ビニレック”K(登録商標)、チッソ(株)製) この熱硬化性樹脂組成物と、実施例1と同じ炭素繊維平
織織物を用い、樹脂含浸温度を110℃として、織物プ
リプレグを作製した。プリプレグのカバーファクターは
98.2%であった。さらに前記の方法により複合材料
及びハニカムサンドイッチパネルを作製し、それらの物
性を測定した。縦糸圧縮強度、フラットワイズ引張強
度、衝撃後圧縮強度、CDPとも実施例1〜3と比べ劣
っていた。ハニカムサンドイッチパネルにおけるスキン
パネルのカバーファクターは98.3%であった。 (比較例3)実施例1と同一の熱硬化性樹脂組成物、炭
素繊維平織織物を用い、プリプレグ作製時の樹脂含浸温
度を80℃とし、カバーファクターを92.3%とした
織物プリプレグを用いた。実施例1と同様にして、この
プリプレグから複合材料及びハニカムサンドイッチパネ
ルを作製し、それらの物性を測定した。縦糸圧縮強度、
フラットワイズ引張強度、衝撃後圧縮強度、CDPとも
実施例1〜3と比べ劣っていた。ハニカムサンドイッチ
パネルにおけるスキンパネルのカバーファクターは9
4.2%であった。 (実施例4)下記原料をニーダーで混合して熱硬化性樹
脂組成物を得た。これは、構成要素[C]として、N,
N−ジメチルアクリルアミドを配合した例である。
【0167】 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 10部 (“エピコート”828(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールA型エポキシ樹脂 30部 (“エピコート”1001(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン 10部 (“スミエポキシ”ELM434(登録商標)、住友化学工業(株)製) ビフェニル型エポキシ樹脂 50部 (“エピコート”YX4000H(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製 ) ジシアンジアミド 5部 (DICY7(型番)、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99(型番)、保土ヶ谷化学工業(株)製) N,N−ジメチルアクリルアミド 5部 ((株)興人製) ポリビニルホルマール 7部 (“ビニレック”K(登録商標)、チッソ(株)製) この熱硬化性樹脂組成物と、実施例1と同じ炭素繊維平
織織物を用い、樹脂含浸温度を110℃として、織物プ
リプレグを作製した。プリプレグのカバーファクターは
98.6%であった。さらに前記の方法により複合材料
及びハニカムサンドイッチパネルを作製し、それらの物
性を測定した。ハニカムサンドイッチパネルにおけるス
キンパネルのカバーファクターは99.3%であった。 (実施例5)下記原料をニーダーで混合して熱硬化性樹
脂組成物を得た。これは、構成要素[C]として、実施
例4で配合したN,N−ジメチルアクリルアミドの代わ
りに、N-n-ブトキシメチルアクリルアミドを配合した例
である。 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 10部 (“エピコート”828(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールA型エポキシ樹脂 30部 (“エピコート”1001(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン 10部 (“スミエポキシ”ELM434(登録商標)、住友化学工業(株)製) ビフェニル型エポキシ樹脂 50部 (“エピコート”YX4000H(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製 ) ジシアンジアミド 5部 (DICY7(型番)、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99(型番)、保土ヶ谷化学工業(株)製) N-n-ブトキシメチルアクリルアミド 5部 (笠野興産(株)製) ポリビニルホルマール 7部 (“ビニレック”K(登録商標)、チッソ(株)製) この熱硬化性樹脂組成物と、実施例1と同じ炭素繊維平
織織物を用い、樹脂含浸温度を110℃として、織物プ
リプレグを作製した。プリプレグのカバーファクターは
98.7%であった。さらに前記の方法により複合材料
及びハニカムサンドイッチパネルを作製し、それらの物
性を測定した。ハニカムサンドイッチパネルにおけるス
キンパネルのカバーファクターは99.5%であった。 (実施例6)下記原料をニーダーで混合して熱硬化性樹
脂組成物を得た。これは、構成要素[C]として、実施
例4で使用したN,N−ジメチルアクリルアミドの代わ
りに、アクリロイルモルホリンを配合した例である。 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 10部 (“エピコート”828(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールA型エポキシ樹脂 30部 (“エピコート”1001(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン 10部 (“スミエポキシ”ELM434(登録商標)、住友化学工業(株)製) ビフェニル型エポキシ樹脂 50部 (“エピコート”YX4000H(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製 ) ジシアンジアミド 5部 (DICY7(型番)、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99(型番)、保土ヶ谷化学工業(株)製) アクリロイルモルホリン 5部 ((株)興人製) ポリビニルホルマール 7部 (“ビニレック”K(登録商標)、チッソ(株)製) この熱硬化性樹脂組成物と、実施例1と同じ炭素繊維平
織織物を用い、樹脂含浸温度を110℃として、織物プ
リプレグを作製した。プリプレグのカバーファクターは
99.2%であった。さらに前記の方法により複合材料
及びハニカムサンドイッチパネルを作製し、それらの物
性を測定した。ハニカムサンドイッチパネルにおけるス
キンパネルのカバーファクターは99.6%であった。 (実施例7)下記原料をニーダーで混合して熱硬化性樹
脂組成物を得た。 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 10部 (“エピコート”828(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールA型エポキシ樹脂 30部 (“エピコート”1001(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン 10部 (“スミエポキシ”ELM434(登録商標)、住友化学工業(株)製) ビフェニル型エポキシ樹脂 50部 (“エピコート”YX4000H(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製 ) ジシアンジアミド 5部 (DICY7、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99、保土ヶ谷化学工業(株)製) イソプロピルアクリルアミド 5部 ((株)興人製) ポリビニルホルマール 7部 (“ビニレック”K(登録商標)、チッソ(株)製) この熱硬化性樹脂組成物と、実施例1と同じ炭素繊維平
織織物を用い、樹脂含浸温度を110℃として、織物プ
リプレグを作製した。プリプレグのカバーファクターは
98.9%であった。さらに前記の方法により複合材料
及びハニカムサンドイッチパネルを作製し、それらの物
性を測定した。ハニカムサンドイッチパネルにおけるス
キンパネルのカバーファクターは99.5%であった。 (実施例8)下記原料をニーダーで混合して熱硬化性樹
脂組成物を得た。これは、構成要素[C]として、N,
N−ジメチルアクリルアミドとN-n−ブトキシメチル
アクリルアミドの両者を配合した例である。 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 10部 (“エピコート”828(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールA型エポキシ樹脂 30部 (“エピコート”1001(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン 10部 (“スミエポキシ”ELM434(登録商標)、住友化学工業(株)製) ビフェニル型エポキシ樹脂 50部 (“エピコート”YX4000H(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製 ) ジシアンジアミド 5部 (DICY7(型番)、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99(型番)、保土ヶ谷化学工業(株)製) N,N−ジメチルアクリルアミド 3部 ((株)興人製) N-n-ブトキシメチルアクリルアミド 2部 (笠野興産(株)製) ポリビニルホルマール 7部 (“ビニレック”K(登録商標)、チッソ(株)製) この熱硬化性樹脂組成物と、実施例1と同じ炭素繊維平
織織物を用い、樹脂含浸温度を110℃として、織物プ
リプレグを作製した。プリプレグのカバーファクターは
98.6%であった。さらに前記の方法により複合材料
及びハニカムサンドイッチパネルを作製し、それらの物
性を測定した。ハニカムサンドイッチパネルにおけるス
キンパネルのカバーファクターは99.3%であった。 (実施例9)炭素繊維平織織物として引張強度3.53
GPa、引張弾性率230GPa、引張伸度1.5%、
フックドロップ値160mmである東レ(株)製、炭素
繊維T300−3K(繊維数3000本、繊度1800
デニール)からなる炭素繊維平織織物(目付193g/
2 、糸厚み0.13mm、糸幅/糸厚み比12.1)
を用いた以外は、実施例7と同様にして織物プリプレグ
を作製した。プリプレグのカバーファクターは97.6
%であった。さらに前記の方法により複合材料及びハニ
カムサンドイッチパネルを作製し、それらの物性を測定
した。ハニカムサンドイッチパネルにおけるスキンパネ
ルのカバーファクターは98.2%であった。 (比較例4)下記原料をニーダーで混合して熱硬化性樹
脂組成物を得た。これは、実施例4〜9の熱硬化性樹脂
組成物から構成要素[C]を除いた例である。 ビスフェノールA型エポキシ樹脂 10部 (“エピコート”828(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) ビスフェノールA型エポキシ樹脂 30部 (“エピコート”1001(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製) テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン 10部 (“スミエポキシ”ELM434(登録商標)、住友化学工業(株)製) ビフェニル型エポキシ樹脂 50部 (“エピコート”YX4000H(登録商標)、油化シェルエポキシ(株)製 ) ジシアンジアミド 5部 (DICY7(型番)、油化シェルエポキシ(株)製) 3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレア 3部 (DCMU99(型番)、保土ヶ谷化学工業(株)製) ポリビニルホルマール 7部 (“ビニレック”K(登録商標)、チッソ(株)製) この熱硬化性樹脂組成物と、実施例1と同じ炭素繊維平
織織物を用い、樹脂含浸温度を110℃として、織物プ
リプレグを作製した。プリプレグのカバーファクターは
98.8%であった。さらに前記の方法により複合材料
及びハニカムサンドイッチパネルを作製し、それらの物
性を測定した。縦糸圧縮強度、フラットワイズ引張強
度、衝撃後圧縮強度、CDPとも実施例4〜9と比べ劣
っていた。ハニカムサンドイッチパネルにおけるスキン
パネルのカバーファクターは98.9%であった。 (比較例5)実施例9と同一の熱硬化性樹脂組成物、炭
素繊維平織織物を用い、プリプレグ作製時の樹脂含浸温
度を80℃とし、カバーファクターを92.5%とした
織物プリプレグを用いた。実施例1と同様にして、この
プリプレグから複合材料及びハニカムサンドイッチパネ
ルを作製し、それらの物性を測定した。縦糸圧縮強度、
フラットワイズ引張強度、衝撃後圧縮強度、CDPとも
実施例9と比べ劣っていた。ハニカムサンドイッチパネ
ルにおけるスキンパネルのカバーファクターは93.6
%であった。
【0168】
【表1】
【0169】
【表2】
【0170】
【発明の効果】本発明によれば、強化繊維とマトリック
ス樹脂との接着性、及びマトリックス樹脂の曲げ弾性率
と引張伸度に優れた熱硬化性樹脂組成物が得られる。こ
の熱硬化性樹脂組成物と炭素繊維などの強化繊維織物と
から良質な織物プリプレグを作製することができ、さら
にこの織物プリプレグを積層して成形することにより、
強度特性に優れた繊維強化複合材料を作製することがで
きる。
【0171】本発明による繊維強化複合材料は、繊維方
向圧縮強度と層間剪断強度(ILSS)に優れたものとな
る。この効果は、マトリックス樹脂の曲げ弾性率が高い
場合に顕著である。この原因としては、曲げ弾性率が高
いマトリックス樹脂は、強化繊維のオイラー座屈を防ぐ
効果を有するためと推定される。
【0172】本発明による繊維強化複合材料は、非繊維
方向引張強度、曲げ強度、捻り強度、圧壊強度、面内剪
断強度、及びEnd Notched Flexure 法で測定したモード
II層間靭性に優れたものとなる。これは、マトリックス
樹脂の引張伸度が高い場合に顕著である。この原因とし
ては、引張伸度が高いマトリックス樹脂は、局所的な繊
維破断による微小亀裂の伝搬を防ぐとともに、強化繊維
とマトリックス樹脂との剥離を防ぐ効果を有するためと
推定される。
【0173】本発明による繊維強化複合材料は、衝撃後
圧縮強度(CAI)に代表される耐衝撃性に優れたもの
となる。
【0174】本発明による繊維強化複合材料は、スポー
ツ用途では、ゴルフシャフト、釣り竿、テニス、バトミ
ントン、スカッシュなどのラケット用途、ホッケーなど
のスティック用途、スキーポール用途などに好適に用い
られる。また、航空宇宙用途では、主翼、尾翼、フロア
ビームなどの航空機一次構造材用途、フラップ、エルロ
ン、カウル、フェアリング、内装材などの二次構造材用
途、ロケットモーターケース、人工衛星構造材用途など
に好適に用いられる。さらに一般産業用途では、自動
車、船舶、鉄道車両などの移動体の構造材、ドライブシ
ャフト、板バネ、風車ブレード、圧力容器、フライホイ
ール、製紙用ローラ、屋根材、ケーブル、補強筋、補修
補強材料などの土木・建築材料用途などに好適に用いら
れる。
【0175】本発明によるハニカムサンドイッチパネル
は、スキンパネルとハニカムコアとの自己接着により製
造することができ、スキンパネルとハニカムコアとの自
己接着性が充分に確保され、さらに得られるハニカムサ
ンドイッチパネルの耐熱性や曲げ強度等の力学特性が大
きく向上したものとなり、航空機の構造材料や内装材に
好適に使用できるようになる。

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の構成要素[A]と、構成要素[B]及
    び[C]とを含む熱硬化性樹脂組成物からなり、かつカ
    バーファクターが93%以上であることを特徴とする織
    物プリプレグ。 [A]強化繊維織物 [B]熱硬化性樹脂 [C]分子内に、次式(1)〜(4)より選ばれる少な
    くとも1種の部分構造を有し、かつ熱硬化性樹脂又はそ
    の硬化剤と反応しうる官能基を1個有する化合物 【化1】 【化2】 【化3】 【化4】
  2. 【請求項2】前記構成要素[A]が、炭素繊維及び/又
    は黒鉛繊維を含むものである請求項1記載の織物プリプ
    レグ。
  3. 【請求項3】前記構成要素[A]が、強化繊維マルチフ
    ィラメント糸を含むものであり、該強化繊維マルチフィ
    ラメント糸の糸厚みが0.05〜0.2mm、糸幅/糸
    厚み比が30以上である請求項1又は2記載の織物プリ
    プレグ。
  4. 【請求項4】前記構成要素[A]が、実質的に撚りのな
    い、扁平なマルチフィラメント糸を織糸とするものであ
    り、その集束性が、フックドロップ値で100〜100
    0mmである請求項1〜3のいずれかに記載の織物プリ
    プレグ。
  5. 【請求項5】前記構成要素[A]が、引張弾性率200
    GPa以上である炭素繊維を含むものである請求項1〜
    4のいずれかに記載の織物プリプレグ。
  6. 【請求項6】前記構成要素[A]に含まれる強化繊維マ
    ルチフィラメント糸のフィラメント数が2500〜25
    000本である請求項1〜5のいずれかに記載の織物プ
    リプレグ。
  7. 【請求項7】前記構成要素[A]に含まれる強化繊維マ
    ルチフィラメント糸が炭素繊維マルチフィラメント糸で
    あり、構成要素[A]の織物目付が100〜400g/
    2 である請求項1〜6のいずれかに記載の織物プリプ
    レグ。
  8. 【請求項8】前記構成要素[A]が、平織、綾織、絡み
    織、及び繻子織からなる群から選ばれる少なくとも1種
    の織構造を含むものである請求項1〜7のいずれかに記
    載の織物プリプレグ。
  9. 【請求項9】前記構成要素[B]が、分子内に少なくと
    も1個のエポキシ基を有する化合物、及び/又は、分子
    内に少なくとも1個の重合性不飽和結合を有する化合物
    である請求項1〜8のいずれかに記載の織物プリプレ
    グ。
  10. 【請求項10】前記構成要素[B]が、マレイミド樹脂
    及び/又はアリル樹脂を含むものである請求項1〜9の
    いずれかに記載の織物プリプレグ。
  11. 【請求項11】前記構成要素[B]が、エポキシ樹脂で
    あり、さらに前記熱硬化性樹脂成物に硬化剤を含んでな
    る請求項1〜8のいずれかに記載の織物プリプレグ。
  12. 【請求項12】前記構成要素[C]において、熱硬化性
    樹脂又はその硬化剤と反応しうる官能基が、カルボキシ
    ル基、フェノール性水酸基、アミノ基、第2アミン構
    造、メルカプト基、エポキシ基、及びカルボニル基と共
    役した二重結合からなる群から選ばれる少なくとも1種
    である請求項1〜11のいずれかに記載の織物プリプレ
    グ。
  13. 【請求項13】前記構成要素[C]が、分子内に次式
    (5)に示す部分構造を少なくとも1個有するものであ
    る請求項1〜12のいずれかに記載の織物プリプレグ。 【化5】
  14. 【請求項14】前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の曲げ
    弾性率が、3.2GPa以上である請求項1〜13のいず
    れかに記載の織物プリプレグ。
  15. 【請求項15】前記熱硬化性樹脂組成物の硬化物の引張
    伸度が、8%以上である請求項1〜14のいずれかに記
    載の織物プリプレグ。
  16. 【請求項16】前記熱硬化性樹脂組成物が熱可塑性樹脂
    を含むものであり、該熱可塑性樹脂の配合量が、前記構
    成要素[B]100重量部に対して1〜20重量部であ
    る請求項1〜15のいずれかに記載の織物プリプレグ。
  17. 【請求項17】前記熱可塑性樹脂が、水素結合性の官能
    基を有するものである請求項16に記載の織物プリプレ
    グ。
  18. 【請求項18】前記構成要素[C]の配合量が、前記熱
    硬化性樹脂組成物100重量部に対して、0.5〜15
    重量部である請求項1〜17のいずれかに記載の織物プ
    リプレグ。
  19. 【請求項19】前記熱硬化性樹脂組成物の含有率が、織
    物プリプレグ全体の重量に対して、33〜50重量%で
    ある請求項1〜18のいずれかに記載の織物プリプレ
    グ。
  20. 【請求項20】請求項1〜19のいずれかに記載の織物
    プリプレグが硬化されてなることを特徴とする繊維強化
    複合材料。
  21. 【請求項21】請求項1〜19のいずれかに記載の織物
    プリプレグが硬化されてなるスキンパネルとハニカムコ
    アからなるハニカムサンドイッチパネル。
  22. 【請求項22】前記スキンパネルのカバーファクターが
    95%以上である請求項21記載のハニカムサンドイッ
    チパネル。
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