JP2000239310A - オレフィン重合用触媒及びそれを用いたオレフィンの重合法 - Google Patents

オレフィン重合用触媒及びそれを用いたオレフィンの重合法

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Hiroyuki Ozaki
裕之 尾崎
Hideaki Hagiwara
英昭 萩原
Michihiko Asai
道彦 浅井
Yasuzo Suzuki
靖三 鈴木
Satoru Miyazawa
哲 宮沢
Kenji Tsuchihara
健治 土原
Yoshifumi Fukui
祥文 福井
Masanao Kawabe
正直 川辺
Toshio Kase
俊男 加瀬
Kazuo Soga
和雄 曽我
Jiju Jin
ジジュ ジン
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 より簡便で、安価かつ取扱いが容易なメタロ
セン触媒系からなるオレフィン重合用触媒の提供。 【解決手段】 (1)一般式(I)で表される金属錯
体、(2)一般式(II)で表されるメタロセン化合物及
び(3)式Rn AlQ3-n (RはC1 〜C8 のアルキル
基、Qはハロゲン原子、nは3>n≧1.5)で表され
るアルキルアルミニウムハライドからなる。 (D及びEはハロゲン原子、J及びLはC1 〜C8 のア
ルキル基又はハロゲン原子、DとE、JとLは同じでも
良い。) (Tは(置換)アルカジエニル基、Xは(置換)アルカ
ジエニル基、C1 〜C8 のアルキル基又はハロゲン原
子、MはZr又はTi、Y及びZはC1 〜C8 のアルキ
ル基若しくはハロゲン原子、AはPh2 C=又は−(C
2 2 −、mは0又は1、TとX、XとYとZは同じ
でも良い。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エチレン、プロピ
レン等のオレフィン重合用触媒及びそれを用いるオレフ
ィンの重合方法に関する。
【0002】
【従来の技術】メタロセン化合物を触媒成分としたオレ
フィン重合用触媒は知られている。従来、メタロセン、
代表的には最も実用化が進んでいるジルコノセンは、
(1)メチルアルミノオキサン(MAO)、(2)Ph
2 MeHN・B(C6 5 4 (但し、Phはフェニル
基を、Meはメチル基を示す。)、(3)有機アルミニ
ウム化合物及びヘテロポリ酸、等と組み合わせて活性化
することにとって触媒成分にオレフィン重合能を発現さ
せている。
【0003】しかし、ジルコノセンを活性化するために
用いられる上記(1)のMAOは、大量に用いる必要が
あり、それに伴い重合触媒がコスト高となると共に得ら
れるポリマー中の触媒殘渣が多くなる、上記(2)のP
2 MeHN・B(C6 54 は、不安定であること
から、失活し易く、取扱いが不便である、上記(3)の
ヘテロポリ酸系は低活性である、等の問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、より簡便
で、安価かつ取扱いが容易なメタロセン触媒系からなる
オレフィン重合用触媒及びそれを用いるオレフィンの重
合方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究した結果、分子内にチタン原
子とアルミニウム原子を持ち、オレフィンの重合能を有
しないことが知られている化合物を、メタロセン化合物
及びアルキルアルミニウムハライドと組み合わせたもの
が、本発明の目的を達成し得ることを見出だし、本発明
を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、(1)下記一般式
(I)で表される金属錯体、(2)メタロセン化合物及
び(3)一般式 Rn AlQ3-n (但し、Rは炭素数1
〜8個のアルキル基を、Qはハロゲン原子を、nは3>
n≧1.5を示す。)で表されるエチルアルミニウムク
ロリドからなるオレフィン重合用触媒を要旨とする。
【化3】 (但し、Cpはシクロペンタジエニル基を、Dはハロゲ
ン原子を、Eはハロゲン原子を、Jは炭素数1〜8個の
アルキル基若しくはハロゲン原子を、Lは炭素数1〜8
個のアルキル基若しくはハロゲン原子をそれぞれ示し、
DとE、JとLはそれぞれ同じでも良い。)
【0007】又、本発明のオレフィン重合用触媒は、上
記金属錯体は、一般式(I)におけるD及びEがそれぞ
れ塩素原子、J及びLがそれぞれエチル基若しくは塩素
原子で示される化合物であることを特徴とする。又、本
発明のオレフィン重合用触媒は、上記メタロセン化合物
が、下記一般式(II)で表される化合物であることを特
徴とする。
【化4】 (但し、Tはアルカジエニル基若しくは置換アルカジエ
ニル基を、Xはmが0のときアルカジエニル基、置換ア
ルカジエニル基、炭素数1〜8個のアルキル基若しくは
ハロゲン原子、mが1のときアルカジエニル基若しくは
置換アルカジエニル基を、Mはジルコニウム原子若しく
はチタン原子を、Yは炭素数1〜8個のアルキル基若し
くはハロゲン原子を、Zは炭素数1〜8個のアルキル
基、ハロゲン原子若しくは水素原子を、AはU2 V=若
しくは−(CW2 2 −を、Uは水素原子、メチル基、
エチル基若しくはフェニル基を、Vは炭素原子若しくは
珪素原子を、Wは水素原子、メチル基、エチル基若しく
はフェニル基を、mは0若しくは1を、それぞれ示し、
TとX、YとZ、更にmが0のときXとYとZは、それ
ぞれ同じでも良い。)
【0008】又、本発明のオレフィン重合用触媒は、上
記一般式(II)におけるMがジルコニウム原子であり、
Vが炭素原子であることを特徴とする。
【0009】更に、本発明は、上記オレフィン重合用触
媒の存在下、オレフィンを重合することからなるオレフ
ィンの重合方法を要旨とする。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明のオレフィン重合触媒は、
(1)下記一般式(I)で表される金属錯体(以下、成
分(1)という。)、(2)メタロセン化合物(以下、
成分(2)という。)及び(3)一般式 Qn AlR
3-n (以下、成分(3)という。)で表されるアルキル
アルミニウムハライドからなる。
【化5】
【0011】成分(1)の上記一般式(I)において、
Dはハロゲン原子を、Eはハロゲン原子を、Jは炭素数
1〜8個のアルキル基若しくはハロゲン原子を、Lは炭
素数1〜8個のアルキル基若しくはハロゲン原子をそれ
ぞれ示す。DとE、更にJとLのハロゲン原子として
は、塩素、臭素、ヨウ素、弗素原子が挙げられ、特に塩
素原子が好ましい。JとLの炭素数1〜8個のアルキル
基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソ
ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、オクチル、2−エ
チルヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチ
ル、プロピル、特に好ましくはエチル基である。Dと
E、JとLはそれぞれ同じでも良い。
【0012】上記一般式(I)で表される成分(1)
は、公知の化合物であり、D及びEが共に塩素原子でJ
及びLが共に塩素原子である化合物(化合物(1))、
D及びEが共に塩素原子でJが塩素原子でLがエチル基
である化合物(化合物(2))及びD及びEが共に塩素
原子でJ及びLが共にエチル基である化合物(化合物
(3))が代表的な化合物である。これらの化合物は、
T.モール及びE.A.ジェフェリー著「オルガノアル
ミニウム コンパウンド」(398〜399頁、エルス
ビエール パブリッシング カンパニー,アムステルダ
ム,1972年)に記載されているように、例えば、化
合物(1)は、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウ
ムジクリド(Cp2 TiCl2 )とエチルアルミニウム
ジクロリドとを、化合物(2)は、Cp2 TiCl2
ジエチルアルミニウムクロリドとを、化合物(3)は、
Cp2 TiCl2 とトルエチルアルミニウムとを、それ
ぞれ反応させることにより製造することができる。これ
らの化合物の中でも、化合物(1)及び化合物(2)
が、特に化合物(1)が好ましい。
【0013】メタロセン化合物である成分(2)は、下
記一般式(II)で表される化合物が好ましい。
【化6】 上記一般式(II)において、Tはアルカジエニル基若し
くは置換アルカジエニル基を、Xはmが0のときアルカ
ジエニル基、置換アルカジエニル基、炭素数1〜8個の
アルキル基若しくはハロゲン原子、mが1のときアルカ
ジエニル基若しくは置換アルカジエニル基を、Mはジル
コニウム原子若しくはチタン原子を、Yは炭素数1〜8
個のアルキル基若しくはハロゲン原子を、Zは炭素数1
〜8個のアルキル基、ハロゲン原子若しくは水素原子
を、AはU2 V=若しくは−(CW2 2 −を、Uは水
素原子、メチル基、エチル基若しくはフェニル基を、V
は炭素原子若しくは珪素原子を、Wは水素原子、メチル
基、エチル基若しくはフェニル基を、mは0若しくは1
を、それぞれ示し、TとX、YとZは、更にmが0のと
きXとYとZは、それぞれ同じでも良い。
【0014】T及びXのアルカジエニル基としては、シ
クロペンタジエニル基、インデニル基、フルオレニル基
等が挙げられ、シクロペンタジエニル基が好ましい。置
換アルカジエニル基としては、上記アルカジエニル基の
1個又は2個以上の水素原子が1個又は2個以上のメチ
ル基、エチル基若しくはフェニル基で置換されたものが
挙げられる。X、Y及びZの炭素数1〜8個のアルキル
基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソ
ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、オクチル、2−エ
チルヘキシル等が挙げられ、特にメチル基が好ましく、
ハロゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素、弗素原子
が挙げられ、特に塩素原子が好ましい。又、上記一般式
(II)において、Mがジルコニウム原子であり、Vが炭
素原子である化合物が特に好ましい。上記一般式(II)
で示される成分(2)は既知の化合物であり、その多く
は市販されているが、後記の実施例で示すようにその製
造法は文献等に記載されているか、その文献等に記載さ
れている方法に準じて製造することができる。
【0015】成分(3)は上記一般式で表される。式に
おいてRは炭素数1〜8個のアルキル基を、Qはハロゲ
ン原子を、nは3>n≧1.5を示す。Rの炭素数1〜
8個のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、
ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、オ
クチル、2−エチルヘキシル等が挙げられる。Qのハロ
ゲン原子としては、塩素、臭素、ヨウ素、弗素原子が挙
げられる。成分(3)の具体例としては、ジエチルアル
ミニウムクロリド、ジプロピルアルミニウムクロリド、
ジブチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニ
ウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジエチ
ルアルミニウムアイオダイド、エチルアルミニウムセス
キクロリド等が挙げられるが、ジエチルアルミニウムク
ロリドが特に好ましい。
【0016】本発明の重合触媒は、上記成分(1)、成
分(2)及び成分(3)からなるが、それらは、成分
(1)中のチタン1グラム原子当り、成分(2)は成分
(2)中の遷移金属が0.1〜10グラム原子、好まし
くは0.5〜1.5グラム原子、成分(3)は0.5〜
1,000グラムモル、好ましくは10〜50グラムモ
ルとなる割合で用いられる。
【0017】上記3成分からなる重合触媒は、オレフィ
ンを重合する際に、上記3成分をそのまま、又は3成分
を同時に混合して用いても良いが、予め成分(1)と成
分(2)を混合、接触させた後、成分(3)を混合した
上で用いるのが好ましい。成分(1)と成分(2)の混
合、接触は、−100℃〜+100℃、好ましくは0〜
30℃で1〜60分間行われる。この混合、接触は、適
当な媒体、例えば、オレフィンの重合時に用いられるこ
とがある炭化水素中で行うことができる。
【0018】更に、本発明は、上記重合触媒の存在下、
オレフィンを重合することからなるオレフィンの重合方
法である。オレフィンの重合は、エチレン及び/又はオ
レフィン類(但し、エチレンを除く。)を単独重合若し
くは共重合させることからなる。単独重合若しくは共重
合させるオレフィン類としては、プロピレン、1−ブテ
ン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オ
クテン等のα−オレフィン等が挙げられる。本発明は、
エチレン又はプロピレンの単独重合並びにエチレンとプ
ロピレンの共重合に適しているが、特にエチレンの単独
重合に適している。
【0019】(共)重合反応は、通常、(共)重合反応
に対して不活性で、(共)重合時に液体である媒体中で
行われる。該媒体としては、プロパン、ブタン、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン等の飽和脂肪族炭化水素、シク
ロプロパン、シクロヘキサン等の飽和脂環式炭化水素、
ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が
挙げられる。これら媒体は1種に限らず2種以上併用す
ることができる。上記単独重合若しくは共重合は、通
常、−100℃〜+100℃、好ましくは0〜30℃で
0.5〜100時間行われる。
【0020】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に具体的に説明する。 (実施例1) [成分1の合成]100mlの3つ口フラスコを充分窒
素置換した後、3.77gのビス(シクロペンタジエニ
ル)チタニウムジクロリド(Cp2 TiCl2 )と予め
脱気、脱水した50mlのトルエンを入れ、攪拌下50
℃に昇温した。次いで、1モル/lのエチルアルミニウ
ムジクロリドのトルエン溶液38mlを30分掛けて滴
下した。滴下終了後、90℃に昇温し、この温度で15
分間攪拌、反応した。反応後、室温まで冷却し、真空脱
気によりトルエンを除去した。得られた青色の粉末を精
製ヘキサン各80mlで3回洗浄した。真空脱気により
トルエンを除去した後、約30mlの精製トルエンに再
溶解し、−78℃にて再結晶することで青色結晶からな
る一般式(I)において、D及びEが共に塩素原子でJ
及びLが共に塩素原子である化合物(化合物(1))を
合成した。
【0021】[エチレンの重合]窒素置換した100m
lのフラスコにトルエン17mlを入れ、良く攪拌しな
がら減圧下脱気を行った後、エチレンを導入した。エチ
レンの吸収量はマスフローメーターで測定した。エチレ
ンの吸収が認められなくなりトルエンが充分に飽和した
後、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロ
リド(Cp2 ZrCl2 )の2.73×10-5モルのト
ルエン溶液及び上記で合成した化合物(1)の2.73
×10-5モルのトルエン溶液をそれぞれ1ml加えたと
ころ、エチレンの吸収が認められなかったことからこの
時点ではエチレンの重合が進行していないことを確認し
た。この溶液を室温で5分間攪拌した後、ジエチルアル
ミニウムクロリドの1.0モルトルエン溶液を1ml加
えることにより重合が開始した。1時間後、重合溶液に
5mlのメタノールを加えることにより重合を停止し
た。2規定の塩酸を少量含む大量のメタノールに沈殿さ
せてポリマーを回収した後、濾過、減圧することにより
2.18gのポリエチレンを得た。GPC測定を行った
ところ、数平均分子量が3,700、分子量分布が重量
平均分子量/数平均分子量で1.8の単峰性のピークを
示した。又、1,1,4,4−テトラクロロエタン中で
13C−NMR測定を行ったところ、得られたポリエチレ
ンのスペクトルには、分岐に由来するシグナルが観測さ
れず、極めて高い直鎖状構造を有していることが判っ
た。
【0022】(実施例2) [成分2の合成]500mlの3つ口フラスコを充分窒
素置換した後、精製したフルオレン26.1g(15
1.6ミリモル)及び脱水したテトラヒドロフラン30
0mlを入れた。次に、2.5モル/lのブチルリチウ
ムヘキサン溶液61.5mlを室温で30分掛けて滴下
し、ジフェニルフルベンの粉末35.7g(155ミリ
モル)を導入し一晩攪拌した。反応溶液に300mlの
水を加えて加水分解し、大量のエーテルで抽出した後、
減圧溶媒を留去することによりジフェニルシクロペンタ
ジエニルメチルフルオレン20.5g(51.7ミリモ
ル)を得た。次に、500mlの3つ口フラスコを充分
窒素置換した後、19.6g(49.4ミリモル)のジ
フェニルシクロペンタジエニルメチルフルオレンと20
0mlの脱水した200mlのテトラヒドロフランを入
れた。0℃に冷却した後、1.6モルのブチルリチウム
ヘキサン溶液61.6mlを1時間で滴下した。室温で
3時間攪拌し後、減圧溶媒を留去し得られた固体を精製
ペンタンで洗浄、減圧乾燥することにより配位子のジア
ニオンを単離した。次いで、500mlの2つ口フラス
コを充分窒素置換した後、四塩化ジルコニウム1.2g
(17.1ミリモル)と精製した塩化メチレン40ml
を入れた。−78℃に冷却した後、上記配位子のジアニ
オン6.85g(17.1ミリモル)を加えて−78℃
で2時間攪拌し、室温まで昇温した後、更に5時間攪拌
した。反応溶液を濾過した後、固体を塩化メチレンでソ
ックスレー抽出することにより朱色結晶からなるジフェ
ニルメタンシクロペンタジエニルフルオレニルジルコニ
ウムジクロリド(Ph2 C(Cp)(Flu)ZrCl
2 )を合成した。
【0023】[エチレンの重合]Cp2 ZrCl2 の代
りに、上記で得たPh2 C(Cp)(Flu)ZrCl
2 を用いた以外は、実施例1と同様にしてエチレンの重
合を行った結果、1.05gのポリエチレンを得た。
【0024】(実施例3) [成分2の合成]100mlの3つ口フラスコを充分窒
素置換した後、6.03gのCp2 ZrCl2 と精製し
たジエチルエーテル溶媒50mlを入れた。次いで、攪
拌しながら14モル/lのメチルリチウムのジエチルエ
ーテル溶液29.5mlを30分掛けて滴下した。更
に、室温にて15時間攪拌した後、真空脱気により溶媒
を除去した。残存した固相部を精製ヘキサン400ml
で抽出し、その可溶部を回収した。更に、約100ml
の体積になるまで真空脱気にて濃縮した。この濃溶液を
−78℃に冷却することにより白色結晶からなるビス
(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム(Cp
2 ZrMe2 )を合成した。
【0025】[エチレンの重合]Cp2 ZrCl2 の代
りに、上記で得たCp2 ZrMe2 を用いた以外は、実
施例1と同様にしてエチレンの重合を行った結果、0.
74gのポリエチレンを得た。
【0026】(実施例4) [成分2の合成]100mlの3つ口フラスコを充分窒
素置換した後、実施例3で得たCp2 ZrMe2 2.1
7g、トルエン溶媒50ml及びCp2 ZrCl2 2.
51gをこの順序で入れた。次いで、攪拌下、還流させ
ながら50時間反応させた。反応終了後、室温まで冷却
した後、真空脱気することにより溶液量が約半分になる
まで濃縮した。この濃溶液を−78℃に冷却することに
より淡黄色結晶からなるビス(シクロペンタジエニル)
ジルコニウムメチルクロリド(Cp2 ZrMeCl)を
合成した。
【0027】[エチレンの重合]Cp2 ZrCl2 の代
りに、上記で得たCp2 ZrMeClを用いた以外は、
実施例1と同様にしてエチレンの重合を行った結果、
2.62gのポリエチレンを得た。
【0028】(実施例5)Cp2 ZrCl2 の代りに、
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムヒドロクロ
リド(Cp2 ZrHCl)を用いた以外は、実施例1と
同様にしてエチレンの重合を行った結果、0.94gの
ポリエチレンを得た。
【0029】(実施例6) [成分2の合成]Cp2 ZrCl2 の代りに、2.11
gのrac−エチレンビス(インデニル)ジルコニウム
ジクロリド(rac−Et(Ind)2 ZrCl2
を、又、メチルリチウムのジエチルエーテル溶液を7.
2ml用いた以外は、実施例3と同様にして、黄色結晶
からなるrac−エチレンビス(インデニル)ジメチル
ジルコニウム(rac−Et(Ind)2 ZrMe2
を合成した。次いで、Cp2ZrMe2 の代りに、0.
64gのrac−Et(Ind)2 ZrMe2 を、又、
Cp2 ZrCl2 の代りに、0.71gのrac−Et
(Ind)2 ZrCl2 を用いた以外は、実施例4と同
様にして、黄色粉末からなるrac−エチレンビス(イ
ンデニル)ジルコニウムメチルクロリド(rac−Et
(Ind)2 ZrMeCl)を合成した。
【0030】[エチレンの重合]Cp2 ZrCl2 の代
りに、上記で得たrac−Et(Ind)2 ZrMeC
lを用い、かつrac−Et(Ind)2 ZrMeCl
と化合物(1)の反応時間を1時間とした以外は、実施
例1と同様にしてエチレンの重合を行った結果、2.4
6gのポリエチレンを得た。
【0031】(実施例7) [成分2の合成]300mlの3つ口フラスコを充分窒
素置換した後、3.27gのCp2 ZrCl2 と精製し
た塩化メチレン溶媒150mlを入れた。次いで、室温
で攪拌しながら2.01gの三臭化ホウ素を30mlの
塩化メチレンに溶解させた溶液を30分掛けて滴下し
た。更に、室温にて3時間攪拌した後、真空脱気により
溶媒及び副生成物の三臭化ホウ素を除去した。残存した
固相部を塩化メチレン100mlで抽出し、その可溶部
を回収した。この溶液を−78℃に冷却することにより
白色結晶からなるビス(シクロペンタジエニル)ジルコ
ニウジブロミド(Cp2 ZrBr2 )を合成した。
【0032】[エチレンの重合]Cp2 ZrCl2 の代
りに、上記で得たCp2 ZrBr2 を用いた以外は、実
施例1と同様にしてエチレンの重合を行った結果、1.
40gのポリエチレンを得た。
【0033】(実施例8) [成分2の合成]実施例7の成分2の合成において、C
2 ZrCl2 の使用量を2.50gとし、三臭化ホウ
素の代りに2.34gの三ヨウ化ホウ素を用いた以外
は、実施例7と同様にして、黄色結晶からなるビス(シ
クロペンタジエニル)ジルコニウジアイオダイド(Cp
2 ZrI2 )を合成した。
【0034】[エチレンの重合]Cp2 ZrCl2 の代
りに、上記で得たCp2 ZrI2 を用いた以外は、実施
例1と同様にしてエチレンの重合を行った結果、トレー
ス量のポリエチレンを得た。
【0035】(実施例9) [成分1の合成]100mlの3つ口フラスコを充分窒
素置換した後、3.77gのCp2 TiCl2 と予め脱
気、脱水した50mlのヘキサンを入れた。次いで、1
モル/lのジエチルアルミニウムクロリドのヘキサン溶
液38mlを30分掛けて滴下した。滴下終了後、室温
で15時間攪拌、反応した。反応後、真空脱気によりヘ
キサンを除去した。得られた青色の粉末を約30mlの
精製トルエンに再溶解し、−78℃にて再結晶した。上
澄液を除去後、再び約30mlの精製トルエンを導入し
て室温で固体を溶解し、−78℃にて再結晶した。更に
もう一度再結晶を行うことにより青色結晶からなる一般
式(I)において、D及びEが共に塩素原子でJが塩素
原子、Lがエチル基である化合物(化合物(2))を合
成した。
【0036】[エチレンの重合]化合物(1)の代り
に、上記で得た化合物(2)を用いた以外は、実施例1
と同様にしてエチレンの重合を行った結果、1.25g
のポリエチレンを得た。
【0037】(実施例10) [成分1の合成]実施例9の成分1の合成において、ジ
エチルアルミニウムクロリドの代りにトリエチルアルミ
ニウムを用いた以外は、実施例9と同様にして青色結晶
からなる一般式(I)におけるD及びEが共に塩素原子
でJ及びLが共にがエチル基である化合物(化合物
(3))を合成した。
【0038】[エチレンの重合]化合物(1)の代り
に、上記で得た化合物(3)を用いた以外は、実施例1
と同様にしてエチレンの重合を行った結果、0.79g
のポリエチレンを得た。
【0039】(実施例11)ジエチルアルミニウムクロ
リドの代りに、エチルアルミニウムセスキクロリドを用
いた以外は、実施例1と同様にしてエチレンの重合を行
った結果、0.66gのポリエチレンを得た。
【0040】(実施例12)ジエチルアルミニウムクロ
リドの代りに、ジイソブチルアルミニウムクロリドを用
いた以外は、実施例4と同様にしてエチレンの重合を行
った結果、0.43gのポリエチレンを得た。
【0041】(実施例13)Cp2 ZrMeClと化合
物(1)の反応時間を1時間とし、かつジエチルアルミ
ニウムクロリドの代りに、ジエチルアルミニウムブロミ
ドを用いた以外は、実施例4と同様にしてエチレンの重
合を行った結果、0.49gのポリエチレンを得た。
【0042】(実施例14)溶媒としてのトルエンの代
りに、ヘキサン(17ml)を用いた以外は、実施例1
と同様にしてエチレンの重合を行った結果、0.88g
のポリエチレンを得た。
【0043】(実施例15)窒素置換した100mlの
フラスコにトルエン17mlを入れ、良く攪拌しながら
減圧下脱気を行った後、エチレンを導入した。エチレン
の吸収量はマスフローメーターで測定した。エチレンの
吸収が認められなくなりトルエンが充分に飽和した後、
Cp2 TiCl2 の1.0×10-5モルのトルエンスラ
リーを2ml、次いで化合物(1)の2.73×10-5
モルのトルエン溶液を0.4ml加えたところ、エチレ
ンの吸収が認められなかったことからこの時点ではエチ
レンの重合が進行していないことを確認した。この溶液
を室温で5分間攪拌した後、ジエチルアルミニウムクロ
リドの1.0モルのトルエン溶液を1ml加えたとこ
ろ、約5分間の誘導期を経て急激なエチレンの吸収が認
められ重合が開始した。1時間後、重合溶液に5mlの
メタノールを加えることにより重合を停止した。2規定
の塩酸を少量含む大量のメタノールに沈殿させてポリマ
ーを回収した後、濾過、減圧することにより1.13g
のポリエチレンを得た。
【0044】(実施例16)窒素置換した100mlの
フラスコにトルエン17mlを入れ、良く攪拌しながら
減圧下脱気を行った後、プロピレンを導入した。プロピ
レンの吸収量はマスフローメーターで測定した。プロピ
レンの吸収が認められなくなりトルエンが充分に飽和し
た後、Ph2 C(Cp)(Flu)ZrCl2 の2.7
3×10-5モルのトルエンスラリーを1.0ml加え、
次いで化合物(1)の2.73×10-5モルのトルエン
溶液を1.0ml加えたところ、プロピレンの吸収が認
められなかったことからこの時点ではプロピレンの重合
が進行していないことを確認した。一方、窒素置換した
オートクレーブにトルエンを10ml及びジエチルアル
ミニウムクロリドの1.0モルのトルエン溶液を1ml
加え、−78℃に冷却しながら10lのプロピレンガス
を導入した。これに上記のトルエン、Ph2 C(Cp)
(Flu)ZrCl2 のトルエンスラリー及び化合物
(1)のトルエン溶液からなる溶液17mlを加えて4
0℃で16時間攪拌した。その後、プロピレンを放出し
てから重合溶液を大量の酸性メタノールに加えて重合を
停止したところ、トレース量のポリマーが析出した。
【0045】(実施例17)Ph2 C(Cp)(Fl
u)ZrCl2 の代りに、rac−Et(Ind)2
rMeClを用いた以外は、実施例16と同様にしてプ
ロピレンを行ったところ、0.012gのポリプロピレ
ンを得た。
【0046】(実施例18) [成分2の合成]実施例7の成分2の合成において、C
2 ZrCl2 の代りに3.25gのビス(シクロペン
タジエニル)チタニウムジクロリドを用い、三臭化ホウ
素の使用量を2.64gとした以外は、実施例7と同様
にして、深赤色結晶からなるビス(シクロペンタジエニ
ル)チタニウムジブロミド(Cp2 TiBr2 )を合成
した。
【0047】[エチレンの重合]Cp2 ZrCl2 の代
りに、上記で得たCp2 TiBr2 を用いた以外は、実
施例1と同様にしてエチレンの重合を行った結果、1.
36gのポリエチレンを得た。
【0048】(実施例19) [成分2の合成]実施例8の成分2の合成において、C
2 ZrCl2 の代りに1.81gのビス(シクロペン
タジエニル)チタニウムジクロリドを用い、三ヨウ化ホ
ウ素の使用量を2.15gとした以外は、実施例8と同
様にして、深赤色結晶からなるビス(シクロペンタジエ
ニル)チタニウムジアイオダイド(Cp2 TiI2 )を
合成した。
【0049】[エチレンの重合]Cp2 ZrCl2 の代
りに、上記で得たCp2 TiI2 を用いた以外は、実施
例1と同様にしてエチレンの重合を行った結果、0.6
8gのポリエチレンを得た。
【0050】(実施例20)Cp2 ZrCl2 の代り
に、シクロペンタジエニルチタニウムトリクロリドを用
いた以外は、実施例1と同様にしてエチレンの重合を行
った結果、0.38gのポリエチレンを得た。
【0051】(比較例1)Cp2 ZrCl2 を用いなか
った以外は、実施例1と同様にしてエチレンの重合を行
ったが、ポリマーは得られなかった。
【0052】(比較例2)化合物(1)を用いなかった
以外は、実施例1と同様にしてエチレンの重合を行った
が、ポリマーは得られなかった。
【0053】(比較例3)ジエチルアルミニウムクロリ
ドを用いなかった以外は、実施例1と同様にしてエチレ
ンの重合を行ったが、ポリマーは得られなかった。
【0054】(比較例4)ジエチルアルミニウムクロリ
ドの代りにエチルアルミニウムジクロリドを用いた以外
は、実施例4と同様にしてエチレンの重合を行ったが、
ポリマーは得られなかった。
【0055】(比較例5)ジエチルアルミニウムクロリ
ドの代りにトリオクチルアルミニウムを用いた以外は、
実施例4と同様にしてエチレンの重合を行ったが、ポリ
マーは得られなかった。
【0056】
【発明の効果】本発明の触媒は安定で取扱いが容易であ
り、常温でオレフィンの重合が可能であると共に、メタ
ロセン化合物と組み合わせる有機アルミニウム化合物の
使用量を従来のアルミノオキサンのそれに比べて大幅に
減少することができ、従って触媒コスト並びにポリマー
中の触媒残渣を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の触媒の調製方法を示すフロー
チャート図である。
フロントページの続き (72)発明者 尾崎 裕之 茨城県つくば市小野川四丁目6−202号 (72)発明者 萩原 英昭 茨城県つくば市天久保二丁目6番14−203 号 (72)発明者 浅井 道彦 茨城県つくば市並木三丁目711 (72)発明者 鈴木 靖三 茨城県つくば市吾妻二丁目805−808号 (72)発明者 宮沢 哲 茨城県つくば市松代四丁目403−103号 (72)発明者 土原 健治 茨城県つくば市吾妻二丁目806−703号 (72)発明者 福井 祥文 茨城県つくば市二の宮四丁目6番3−507 号 (72)発明者 川辺 正直 茨城県つくば市竹園二丁目6番2−203号 (72)発明者 加瀬 俊男 茨城県つくば市松代五丁目2番2号 (72)発明者 曽我 和雄 石川県能美郡辰口町緑が丘九丁目6番11号 (72)発明者 ジン ジジュ 石川県金沢市小立野二丁目2番7号 Fターム(参考) 4J028 AA02A AB01A AB02A AC10A AC28A BA01B BB01B BC16B BC19B DB03A DB04A DB05A EB02 EB04 EB05 EB07 EB09 EB10 EC01 EC02 FA02 FA07 GA01 GA06 4J100 AA02P AA03P AA04P AA16P AA17P AA19P CA01 CA04 FA10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)下記一般式(I)で表される金属
    錯体、(2)メタロセン化合物及び(3)一般式 Rn
    AlQ3-n (但し、Rは炭素数1〜8個のアルキル基
    を、Qはハロゲン原子を、nは3>n≧1.5を示
    す。)で表されるアルキルアルミニウムハライドからな
    るオレフィン重合用触媒。 【化1】 (但し、Cpはシクロペンタジエニル基を、Dはハロゲ
    ン原子を、Eはハロゲン原子を、Jは炭素数1〜8個の
    アルキル基若しくはハロゲン原子を、Lは炭素数1〜8
    個のアルキル基若しくはハロゲン原子をそれぞれ示し、
    DとE、JとLはそれぞれ同じでも良い。)
  2. 【請求項2】 上記金属錯体は、一般式(I)における
    D及びEがそれぞれ塩素原子、J及びLがそれぞれエチ
    ル基若しくは塩素原子で示される化合物である請求項1
    記載のオレフィン重合用触媒。
  3. 【請求項3】 上記メタロセン化合物が、下記一般式
    (II)で表される化合物である請求項1又は2記載のオ
    レフィン重合用触媒。 【化2】 (但し、Tはアルカジエニル基若しくは置換アルカジエ
    ニル基を、Xはmが0のときアルカジエニル基、置換ア
    ルカジエニル基、炭素数1〜8個のアルキル基若しくは
    ハロゲン原子、mが1のときアルカジエニル基若しくは
    置換アルカジエニル基を、Mはジルコニウム原子若しく
    はチタン原子を、Yは炭素数1〜8個のアルキル基若し
    くはハロゲン原子を、Zは炭素数1〜8個のアルキル
    基、ハロゲン原子若しくは水素原子を、AはU2 V=若
    しくは−(CW2 2 −を、Uは水素原子、メチル基、
    エチル基若しくはフェニル基を、Vは炭素原子若しくは
    珪素原子を、Wは水素原子、メチル基、エチル基若しく
    はフェニル基を、mは0若しくは1を、それぞれ示し、
    TとX、YとZは、更にmが0のときXとYとZは、そ
    れぞれ同じでも良い。)
  4. 【請求項4】 上記一般式(II)におけるMがジルコニ
    ウム原子であり、Vが炭素原子である請求項3記載のオ
    レフィン重合用触媒。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項に記載
    のオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合す
    ることからなるオレフィンの重合方法。
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